JPH07285126A - 難燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法 - Google Patents

難燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法

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JPH07285126A
JPH07285126A JP12950194A JP12950194A JPH07285126A JP H07285126 A JPH07285126 A JP H07285126A JP 12950194 A JP12950194 A JP 12950194A JP 12950194 A JP12950194 A JP 12950194A JP H07285126 A JPH07285126 A JP H07285126A
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resin
rubber
fluidity
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JP12950194A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工流動性が向上する結果、大型薄肉成
形品の製造や成形サイクルの短縮を可能にしたゴム変性
熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法の提供。 【構成】 (A)ゴム変性熱可塑性樹脂、またはゴ
ム変性熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマ−と(B)難
燃剤とを溶融押出しする際に、(C)ビニル基を含有し
ないヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤を添加する、難
燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性ゴム変性熱可塑性
樹脂組成物の流動性の改良方法に関する。更に詳しく
は、本発明は、難燃性、成形加工流動性、耐熱性、及び
耐衝撃性の向上を可能にした難燃性ゴム変性熱可塑性樹
脂組成物の流動性の改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性熱可塑性樹脂は、成形性に優れ
ることに加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車
部品、家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野
で使用されるに至っている。近年、かかる分野で使用さ
れるゴム変性熱可塑性樹脂に対して、大型薄肉成形品の
製造や成形サイクルの短縮が求められ、流動性の改良の
要求が高まっている。ゴム変性熱可塑性樹脂の流動性を
改良するために、種々の添加物を配合する技術が開示さ
れている。
【0003】古くから工業的に実施されているミネラル
オイルの添加では流動性は改良されるものの、耐熱性が
著しく低下してしまう。更に、多価アルコ−ルと脂肪酸
とのエステル(特開昭61−2231045号公報、特
開昭61- 275341号公報)、高級脂肪酸とその金
属塩(特開昭62−132951号公報)、高級脂肪酸
の金属塩と特定の亜リン酸エステル(特開昭62−19
0242号公報)、脂肪酸アミドや脂肪族アルコ−ルと
エチレンビスステアリルアミド(特開昭62−2579
51号公報)、ステアリルステアレ−ト等の高級脂肪酸
と高級アルコ−ルとのエステル(特開平2−13521
9号公報)、イソシアヌル酸エステル化合物(特開平2
−194047号公報)等を配合する技術が開示されて
いる。
【0004】これらの技術でも、流動性の改良が不充分
だったり、高添加量において耐熱性が著しく低下してし
まったりして満足な樹脂組成物は得られていない。ま
た、熱可塑性樹脂に熱可塑性エラストマ−を添加して衝
撃強度を改良する技術は知られている。(米国特許43
18836、4313864号公報)そして、ポリフェ
ニレンエ−テル等の熱可塑性樹脂、ジエンベ−スゴム、
酸化防止剤、及び金属失活剤を添加して高熱履歴下の衝
撃強度を改良する技術も公知である(特開平4−339
858)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載された技術は衝撃強度の改良を意図した組成物
であるのに対して、本発明は特定のヒンダ−ドフェノ−
ル系酸化防止剤を配合することにより、成形加工流動性
を改良する方法である点で異なる。更に、該公報には本
発明に係る特定の酸化防止剤を配合することにより成形
加工流動性が飛躍的に向上することは開示されていない
し、示唆さえされていない。本発明は、このような現状
に鑑み、上記のような問題点のない、即ち高度な成形加
工性と耐熱性と耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成物を
提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ゴム変性
熱可塑性樹脂の成形加工性の改良方法を鋭意検討した結
果、従来の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂及び必要に応じ
て熱可塑性エラストマ−を配合した樹脂組成物と(B)
難燃剤とを溶融押出しする際に、(C)特定のヒンダ−
ドフェノ−ル系酸化防止剤を配合することにより、驚く
べきことに難燃性、衝撃強度、及び耐熱性を保持しつ
つ、成形加工性を飛躍的に向上させることが可能になる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0007】即ち本発明は、(A) ゴム変性熱可塑
性樹脂、または ゴム変性熱可塑性樹脂と熱可塑性エ
ラストマ−と(B)難燃剤とを溶融押出しする際に、
(C)ビニル基を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系酸
化防止剤を添加する、難燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成
物の流動性の改良方法を提供するものである。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、基本的に(A)ゴム変性熱可塑
性樹脂及び必要に応じて熱可塑性エラストマ−を配合し
た樹脂混合物、(B)難燃剤、及び(C)特定のヒンダ
−ドフェノ−ル系酸化防止剤から構成されるものであ
る。
【0009】上記(A)成分は成形用樹脂組成物の主成
分をなし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)成分
は(A)成分に対して、難燃性を付与するための成分で
あり、(C)成分は、(A)成分の流動性を向上させる
ための成分である。ここで、(C)成分のヒンダ−ドフ
ェノ−ル系酸化防止剤が(A)成分中の不飽和ゴムの劣
化(ゲル化)を抑制し、流動性を高める役割を果たす。
そして、本発明者は(C)成分としてビニル基を含有し
ないヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤のみが流動性を
著しく向上させることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】本発明の上記(A)成分のゴム変性熱可塑
性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−30°C以下の
ゴム成分を有する熱可塑性樹脂であり、(B)〜(C)
成分と相溶もしくは均一分散し得るものであればとくに
制限はない。
【0011】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポ
リフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にゴ
ム変性熱可塑性樹脂としてポリスチレン系、ポリフェニ
レンエーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑性樹脂が
好ましい。上記ポリスチレン系樹脂には、ゴム変性スチ
レン系樹脂を主体としゴム非変性スチレン系樹脂を配合
したものも含む。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂として最も好ましい
組み合わせは、ゴム変性スチレン系樹脂(A−1)とポ
リフェニレンエーテル(A−2)とのポリマーブレンド
体であり、(A−1)と(A−2)からなる樹脂成分の
100重量部中に占める(A−2)成分の割合は10〜
40重量部の範囲が好ましい。(A−2)成分が10重
量部未満では、炭化残渣量が少なく難燃性が充分でな
く、40重量部を越えると流動性が低下し、好ましくな
い。(A−2)成分のより好ましい範囲は15〜30重
量部である。
【0013】本発明において上記(A)成分として使用
するゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体を言い、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状
懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得
られる。
【0014】このようなゴム変性スチレン系樹脂の例と
しては、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹
脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合
体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピ
レンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0015】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。このようなゴ
ム状重合体の例としては、例えばポリブタジエン、ポリ
(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−
ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水
素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴ
ム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチ
レン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EP
DM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ま
しい。
【0016】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体とし上
記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0017】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
ては、必要に応じて芳香族ビニル単量体に共重合可能な
他の単量体成分を一種以上導入することができる。耐油
性を高める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いること
ができる。
【0018】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0019】本発明のゴム変性スチレン系樹脂における
ゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ま
しくは10〜50重量%の範囲であり、またグラフト重
合可能な単量体混合物は、好ましくは95〜20重量
%、更に好ましくは90〜50重量%の範囲にある。こ
の範囲外では、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性
のバランスが取れなくなる。更には、スチレン系重合体
のゴム粒子径は0.1〜5.0μmが好ましく、特に
0.2〜3.0μmが好適である。上記範囲内では、特
に耐衝撃性が向上する。
【0020】本発明のゴム変性スチレン系樹脂の分子量
の尺度である還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、ト
ルエン溶液、30℃測定)は0.30〜0.80dl/
gの範囲にあることが好ましく、0.40〜0.60d
l/gの範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチ
レン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満
たすための手段としては、重合開始剤量、重合温度、連
鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。
【0021】本発明において(A)成分として使用する
ポリフェニレンエーテル(以下PPEと略称する。)
は、下記式で示される結合単位からなる単独重合体及び
/又は共重合体である。
【化1】 ( 但し、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ水素、
炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選択さ
れるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。)
【0022】このPPEの具体的な例としては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が
好ましい。かかるPPEの製造方法は特に限定されるも
のではなく、例えば、米国特許第3,306,874号
明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレッ
クスを触媒として用い、例えば2,6キシレノールを酸
化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米
国特許第3,3061075号明細書、米国特許第3,
257,357号明細書、米国特許3,257,358
号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭
50−51197号公報に記載された方法で容易に製造
できる。
【0023】本発明で用いる上記PPEの還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は
0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を満た
すための手段としては、前記PPEの製造の際の触媒量
の調整などを挙げることができる。
【0024】本発明の(A)成分の一部を構成する熱可
塑性エラストマ−は、例えばポリスチレン系、ポリオレ
フィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、1,2−
ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系エラストマー等で
あり、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマ−が好ま
しい。上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマ−は、芳
香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重
合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添
加されたブたブロック共重合体である。
【0025】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、前記ゴム変性熱可塑性樹脂の説明におい
て記載した芳香族ビニル単量体と同じくでよく、スチレ
ンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族
ビニル単量体を共重合してもよい。また、上記ブロック
共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタ
ジエン、イソプレン等を挙げることができる。
【0026】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n 、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n 、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や;(SB)n X(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0027】本発明の(B)成分の難燃剤は特に制限さ
れないが、ハロゲン系、リン系または無機系難燃剤が好
ましい。上記ハロゲン系難燃剤としては、例えばハロゲ
ン化ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン
化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合
体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェ
ニレンエーテル等が挙げられる。ハロゲン系難燃剤とし
て好ましくは、デカブロモジフェニルオキサイド、テト
ラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノー
ルAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系フェノキ
シ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、
ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブ
ロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニ
レンオキサイド、デカブロムジフェニルオキサイドビス
フェノール縮合物、含ハロゲンリン酸エステル及びフッ
素系樹脂等である。
【0028】また、上記リン系難燃剤としては、 有
機リン化合物、 赤リン、 無機系リン酸塩等が挙
げられる。本発明の難燃剤としての有機リン化合物
は、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホス
フィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エス
テル、亜リン酸エステル等である。より具体的には、ト
リフェニルフォスフェート、メチルネオベンチルフォス
ファイト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォスファ
イト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニル
ネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジ
フェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジ
フォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイ
ト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピ
ロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポ
ジフォスフェートである。
【0029】ここで、特に有機リン化合物として、ヒ
ドロキシル基含有芳香族リン酸エステルが好ましく、ヒ
ドロキシル基含有芳香族リン酸エステルを主体にヒドロ
キシル基を含有しない有機リン化合物をも含むことがで
きる。本発明の難燃剤(B)がヒドロキシル基を含有し
ない有機リン化合物を含む場合、両者の量比については
前者が20〜80重量%、後者が80〜20重量%であ
ることが好ましい。
【0030】上記ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エ
ステルは、トリクレジルフォスフェ−トやトリフェニル
フォスフェ−トやそれらの縮合リン酸エステル等に1個
または2個以上のフェノ−ル性水酸基を含有したリン酸
エステルであり、例えば下記の化合物である。
【化2】
【0031】
【化3】 (但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 、Ar5 、A
r6 はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニル基、
イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基から選ばれ
る芳香族基であり、リン酸エステル中に少なくとも1個
のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換されている。ま
た、nは0〜3の整数を表わし、mは1以上の整数を表
わす。)
【0032】本発明のヒドロキシル基含有芳香族系リン
酸エステルの中でも特に、下記式化4 ジフェニルレゾ
ルシニルフォスフェ−トまたは 化5 ジフェニルハイ
ドロキノニルフォスフェ−トが好ましく、その製造方法
は、例えば特開平1 −223158号公報に開示されて
おり、フェノ−ル、ヒドロキシフェノ−ル、塩化アルミ
ニウム及びオキシ塩化リンの反応により得られる。
【0033】
【化4】
【化5】
【0034】前記赤リンとは、一般の赤リンの他に、
その表面を予め、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸
化物の被膜で被覆処理されたもの;水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜
で被覆処理されたもの;水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被
覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0035】前記無機系リン酸塩はポリリン酸アンモ
ニウムが代表的である。また、本発明の(B)成分中の
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金
属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタ
ホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカ
ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げら
れ、これらは1種でも2種以上を併用してもよい。この
中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、
塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる
群から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利
である。
【0036】本発明の(C)成分は、ビニル基を含有し
ないヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤であり、ラジカ
ル連鎖禁止剤として作用する。上記ヒンダ−ドフェノ−
ル系酸化防止剤(C)としては、例えば2,6−ジタ−
シャルブチル−4−メチルフェノ−ル、スタイレネイテ
ドフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(3,5−ジタ
−シャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
−ト、
【0037】2,2’−メチレンビス(4−メチル−6
−タ−シャルブチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデ
ンビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェノ−
ル)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−タ−シャ
ルブチルフェノ−ル)、アルキレイテッドビスフェノ−
ル、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジタ−シャル
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メ
タン、3,9−ビス[2−〔3−(3−タ−シャルブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオ
ニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン等であ
る。
【0038】本発明の樹脂組成物に必要に応じて、ト
リアジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属
化合物、シリコ−ン樹脂、シリコ−ンオイル、シ
リカ、アラミド繊維、フッ素系樹脂から選ばれる一
種以上の難燃助剤〔(D)成分〕を配合することができ
る。
【0039】上記トリアジン骨格含有化合物は、有機
リン化合物の難燃助剤として一層の難燃性を向上させる
ための成分である。その具体例としては、メラミン、メ
ラム(化6)、メレム(化7)、メロン(600℃以上
でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成
物)、メラミンシアヌレ−ト(化8)、リン酸メラミン
(化9)、サクシノグアナミン(化10)、アジポグア
ナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂(化
11)、BTレジン(化12)等を挙げることができる
が、耐揮発性の観点から特にメラミンシアヌレ−トが好
ましい。
【0040】
【化6】
【化7】
【0041】
【化8】
【化9】
【0042】
【化10】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】ノボラック樹脂の一つの製造例を下記化1
3に示す。
【化13】
【0045】前記ノボラック樹脂は、燃焼時の火種の
滴下を抑制(耐ドリップ性)するための成分であり、か
つヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用する
場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そして、
該樹脂は、フェノ−ル類とアルデヒド類を硫酸または塩
酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可塑性
樹脂である。その製造方法は「高分子実験学5『重縮合
と重付加』p.437〜455(共立出版(株)」に詳
細に記載されている。
【0046】該ノボラック樹脂の製造原料の一つである
上記フェノ−ル類は、例えばフェノ−ル、o−クレゾ−
ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,5−ジメチ
ル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメチル
−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル−、p
−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェニル
−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロピル
−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、
【0047】p−メトキシ−、及びp−フェノキシフェ
ノ−ル、ピロカテコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキ
ノン、サリチルアルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸、メチル p−ヒドロキシベンゾエ−ト、p
−シアノ−、及びo−シアノフェノ−ル、p−ヒドロキ
シベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホ
ンアミド、シクロヘキシル p−ヒドロキシベンゼンス
ルホネ−ト、4−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィ
ン酸、メチル 4−ヒドロキシフェニルフェニルホスフ
ィネ−ト、4−ヒドロキシフェニルホスホン酸、エチル
4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト、ジフェニル
4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト等である。
【0048】該ノボラック樹脂の製造原料の一つである
上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、n−プロパナ−ル、n−ブタナ−ル、イソプロパ
ナ−ル、イソブチルアルデヒド、3−メチル−n−ブタ
ナ−ル、ベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、2
−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0049】前記含金属化合物は、金属酸化物及び/
または金属粉である。該金属酸化物は、酸化アルミニウ
ム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、
酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、
酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングス
テン等の単体または、それらの複合体(合金)であり、
上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、
亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッ
ケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単体ま
たは、それらの複合体である。
【0050】前記シリコ−ン樹脂は、SiO2 、RS
iO3/2 、R2 SiO、R3 SiO1/2 の構造単位を組
み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ−ン樹
脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジル基
等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した
置換基を示す。
【0051】該シリコ−ン樹脂としては特にビニル基を
含有したシリコ−ン樹脂が好ましい。このようなシリコ
−ン樹脂は、上記の構造単位に対応するオルガノハロシ
ランを共加水分解して重合することにより得られる。
【0052】前記シリコ−ンオイルは、下記化14に
示される化学結合単位からなるポリジオルガノシロキサ
ンである。
【化14】 (上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C6〜13の
アリ−ル基、下記化15、化16で示される含ビニル基
から選ばれる一種または二種以上の置換基であり、Rと
しては、特に分子中ビニル基を含有することが好まし
い。)
【0053】
【化15】
【化16】
【0054】前記シリコ−ンオイルの粘度は、600〜
1,000,000センチポイズ(25℃)が好まし
く、さらに好ましくは90,000〜150,000セ
ンチポイズ(25℃)である。
【0055】前記シリカは無定形の二酸化ケイ素であ
り、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系のシランカッ
プリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆シリカが好
ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素系化合物被
覆シリカが好ましい。上記シランカップリング剤として
は、例えばp−スチリルトリメトキシシラン、ビニルト
リクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン等のビニル基含有シラン;
【0056】β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン等のエポキシシラン及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランを挙げることができる。
【0057】ここで、特に熱可塑性樹脂と構造が類似し
た単位を有するシランカップリング剤が好ましく、例え
ば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリルトリメト
キシシランが好適である。シリカ表面へのシランカップ
リング剤の処理は湿式法と乾式法に大別される。湿式法
はシリカをシランカップリング剤溶液中で処理し、その
後乾燥させる方法であり、乾式法はヘンシェルミキサ−
のような高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、
攪拌しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下
し、その後熱処理する方法である。
【0058】前記アラミド繊維は全芳香族ポリアミド
繊維であり、その製法は例えばポリメタフェニレンイソ
フタルアミド、またはポリパラフェニレンテレフタルア
ミドをアミド系極性溶媒または硫酸に溶解し、湿式また
は乾式法で溶液紡糸することにより製造することができ
る。
【0059】前記フッ素系樹脂は、更に一層、耐ドリ
ップ性を向上させるための成分であり、樹脂中にフッ素
原子を含有する樹脂である。その具体例として、例えば
ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、
ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体等を挙げることができる。また、耐ドリップ
性を損わない程度に必要に応じて上記含フッ素モノマ−
と共重合可能なモノマ−とを併用してもよい。
【0060】これらのフッ素系樹脂の製造方法は米国特
許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,5
34,058号明細書に開示され、例えばテトラフルオ
ロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫酸
カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg/
cm2 の加圧下、0〜200℃の温度で重合し、次いで
懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、または沈
殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られる。
【0061】ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混
練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融する
ことが好ましい。せん断力下で融点以上での溶融により
高度にフィブリル化し、配向結晶化すると、フッ素系樹
脂が幹繊維に対して枝分かれした特殊な高次構造を有す
るフッ素系樹脂が得られる。その結果として、三次元的
に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融適下を抑制す
るのである。また、その場合に、高せん断力を与えるた
めに、ゴム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)
より、ポリフェニレン−テル等の溶融粘度の高い硬質樹
脂中で溶融することが好ましい。
【0062】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練して
マスタ−バッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤
と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィ−
ド可能な二ゾ−ンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素
系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げ
て難燃剤をフィ−ド、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0063】本発明の樹脂組成物に必要に応じて、芳
香族ビニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重
合樹脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪
酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコ
−ル、または金属石鹸から選ばれる一種または二種以
上の流動性向上剤〔(E)成分〕を配合することができ
る。
【0064】上記共重合樹脂を構成する芳香族ビニル
単位は、(A)成分の説明において示した芳香族ビニル
単位が好ましく用いられるし、また、アクリル酸エステ
ル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の炭
素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸エステル
である。ここで、共重合樹脂を構成するアクリル酸エス
テル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更に
は、5〜20重量%が好適である。
【0065】また、上記共重合樹脂の分子量の指標で
ある溶液粘度(樹脂10重量%のMEK溶液中、測定温
度25℃)が、2〜10cP(センチポアズ)であるこ
とが好ましい。溶液粘度が2cP未満では衝撃強度が低
下し、一方、10cPを越えると流動性の向上効果が低
下する。
【0066】前記脂肪族炭化水素系加工助剤として
は、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロ
ワックス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、
及びこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等
を挙げることができる。前記高級脂肪酸としては、例
えばカプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、フェニルステアリン酸、フェロン酸等の飽和
脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライジン酸、9−
オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げる
ことができる。
【0067】前記高級脂肪酸エステルとしては、例え
ばフェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸
ブチル等の脂肪酸の1価アルコ−ルエステル;及びフタ
ル酸ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多
塩基酸の1価アルコ−ルエステルであり、さらに、ソル
ビタンモノラウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、
ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、
ソルビタントリオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
パルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステ
アレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト
等のソルビタンエステル;
【0068】ステアリン酸モノグリセライド、オレイン
酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ベ
ヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量体の脂肪
酸エステル:ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポ
リグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラウ
リン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレ
ンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ−ト
等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する脂肪酸エ
ステル;及びネオペンチルポリオ−ルジステアリン酸エ
ステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エステル等を
挙げることができる。
【0069】前記高級脂肪酸アミドとしては、例えば
フェニルステアリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸
アミド、メチロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモ
ノアミド;ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン
酸ジエタノ−ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ル
アミド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−
2置換モノアミド等であり、さらに、
【0070】メチレンビス(12−ヒドロキシフェニ
ル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸ア
ミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステ
アリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスア
ミド;及びm−キシリレンビス(12−ヒドロキシフェ
ニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミド等を
挙げることができる。
【0071】前記高級脂肪族アルコ−ルとしては、例
えばステアリルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価
のアルコ−ル;ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価ア
ルコ−ル;及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポ
リオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、さら
に、ポリオキシエチレンアリル化エ−テル等のポリアル
キレンエ−テルユニットを有するアリル化エ−テル;及
【0072】ポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポ
リオキシエチレントリドデシルエ−テル、ポリオキシエ
チレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリル
エ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル等のポ
リオキシエチレンアルキルエ−テル;ポリオキシエチレ
ンオクチルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエ−テル;ポリエピクロルヒドリンエ−テル、ポ
リオキシエチレンビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキ
シエチレンエチレングリコ−ル、ポリオキシプロピレン
ビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレングリコ−ルエ−テル等のポリアルキレン
エ−テルユニットを有する2価アルコ−ル等を挙げるこ
とができる。
【0073】前記金属石鹸としては、例えば上記ステ
アリン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜
鉛やアルミニウムやマグネシウム等の金属塩を挙げるこ
とができる。本発明の樹脂組成物は、(A)成分として
ゴム変性スチレン系樹脂を主成分とし、必要に応じてゴ
ム非変性スチレン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラ
ストマ−を配合した樹脂成分、(B)成分として有機リ
ン化合物またはハロゲン化合物、(C)成分としてアル
キル基置換ヒンダ−ドフェノ−ル、(D)成分としてト
リアジン骨格含有化合物またはアンチモン酸化物、
(E)成分として高級脂肪酸アミドまたは流動パラフィ
ンの組み合わせが好ましい。
【0074】本発明の樹脂組成物は、ゴム変性熱可塑性
樹脂100重量部に対して、熱可塑性エラストマ−が0
〜40重量部、(B)難燃剤が1〜50重量部、(C)
成分のビニル基を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系熱
可塑性エラストマ−が0.01〜10重量部、(D)難
燃助剤が0〜30重量部、(E)流動性向上剤が0〜1
0重量部を配合することが好ましい。ここで上記範囲内
では、難燃性、成形加工性(流動性)、耐衝撃性及び耐
熱性のバランス特性が優れている。
【0075】本発明の溶融押出方法は、全成分を同時に
溶融押出してもいいし、またはまず樹脂成分を溶融押出
しした後に、再度ポリマ−添加剤を溶融押出しする逐次
的押出法、あるいは複数ゾ−ンからなる押出機で前段で
樹脂成分を溶融し、後段でポリマ−添加剤を溶融押出す
る一段押出法等がある。
【0076】ここで、熱可塑性樹脂として(A−1)ゴ
ム変性スチレン系樹脂と(A−2)ポリフェニレンエ−
テルを用いた場合に、上記一段押出法において、前段で
(A−1)成分の一部と(A−2)成分を溶融し、後段
で(A−1)成分の残部及び(B)成分を溶融押出しす
ることができる。
【0077】本発明の樹脂組成物は、上記方法で溶融混
練することにより得られるが、その際にその他の酸化防
止剤、その他の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の
無機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン
酸亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料
や顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することができ
る。このようにして得られた本発明の組成物を、例えば
射出成形または押出成形することにより、成形加工性
(流動性)、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優れた成形
品が得られる。
【0078】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。尚、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機を用いて行なった。 (1) ゴム重量平均粒子径 ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組
成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真
中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式(1) により
算出する。
【数1】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4 /ΣNi・Di3 ・・(1) (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である。)
【0079】(2) 還元粘度ηSP/C ゴム変性芳香族ビニル樹脂1gにメチルエチルケトン1
8mlとメタノ−ル2mlの混合溶媒を加え、25℃で
2時間振とうし、5℃、18,000rpmで30分間
遠心分離する。上澄み液を取り出しメタノ−ルで樹脂分
を析出させた後に乾燥した。このようにして得られた樹
脂0.1gをトルエンに溶解し、濃度0.5 g/dlの
溶液とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型
粘度計に入れ、30℃でこの溶液流下秒数t1 を測定し
た。
【0080】一方、別に同じ粘度計で純トルエンの流下
秒数t0 を測定し、以下の数式(2)により算出した。
【数2】ηSP/C=(t1 /t0 −1)/C ・・(2) (C:ポリマ−濃度 g/dl) 一方、(A)成分のPPEの還元粘度ηSP/cについて
は、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.5 g/
dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0081】(3)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1 /8インチ試験片) (4)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (5)メルトフロ−レ−ト(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10
分間当たりの押出量(g/10分)から求めた。
【0082】(6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) (7)各成分の溶解性パラメ−タ−(Solubili
ty Parameter :SP値(δ) Polymer Engineering and S
cience,14,(2),147(1974)に記
載のFedors式(3) により算出した。
【0083】
【数3】 δ= 〔Σ(Δe1)/Σ(Δv1)〕-1/2・・・(3) [ここで、Δe1 : 各単位官能基当たりの凝集エネルギ
−、Δv1 :各単位官能基当たりの分子容を示す。δ
〔単位:(cal/cm3 )1/2 〕] なお、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が
成立すると仮定し、単量体ユニットまたはブレンド物の
各成分のSP値の重量比の比例配分により算出した。
【0084】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。 (イ)熱可塑性樹脂(A成分) ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン 0.03重量%
【0085】次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段
式反応機に連続的に送液して、第1段は撹拌数190r
pm、126℃;第2段は50rpm、133℃;第3
段は20rpm、140℃;第4段は20rpm、15
5℃で重合を行った。引き続きこの固形分73%の重合
液を脱揮装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、
ゴム変性芳香族ビニル樹脂を得た(HIPSと称す
る)。
【0086】得られたゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析
した結果、ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量平均
粒子径は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.53d
l/gであった。
【0087】 ゴム非変性スチレン系樹脂〔ポリスチ
レン(GPPS)〕 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万)〔(旭化成工業(株)製)(以後、GPP
Sと称する)〕を用いた。
【0088】 共重合樹脂(BAS) アクリル酸ブチル 13.6重量部、スチレン 66.
4重量部、エチルベンゼン 20重量部、連鎖移動剤と
してt−ドデシルメルカプタン 0.15重量部、及び
開始剤として、1,1 −ビス(t−ブチルパ−オキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン 0.03重
量部の混合液を1.2L/時間の速度で容量2.1リッ
トルの完全混合型反応器に連続的に供給し140℃で重
合を行なった。重合液は連続してベント付き押出機に導
かれ、260℃、40Torrの条件下で未反応モノマ
−及び溶媒を除去し、ポリマ−を連続して冷却固化し、
粒子状の共重合樹脂(BASと称する)を得た。
【0089】これは溶液粘度が2.7cPであり、樹脂
組成が、アクリル酸ブチル単位14重量%、スチレン単
位86重量%であった(樹脂組成比はプロトン撹磁気共
鳴スペクトル法による。)。このようにして得られた共
重合樹脂を表1に示した。
【0090】 ポリフェニレンエーテル(PPE)の
製造 a)高分子量PPEの製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間
重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。
【0091】そのポリフェニレンエーテルは還元粘度η
SPは0.55dl/gであった。 b)低分子量PPEの製造 上記高分子量PPE−1の製造において、重合時間を9
0分に短縮すること以外、PPE−1と同一の実験を繰
り返した。得られたポリフェニレンエ−テルをPPE−
2と称する。その還元粘度ηSP/Cは0.41dl/g
であった。
【0092】 ポリスチレン系熱可塑性エラストマ− a)TPE−1 市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合体〔スチレ
ン/ブタジエンブロックコポリマ−(40/60重量
比)旭化成工業(株)製〕を用いた(TPE−1称す
る)。 b)TPE−2 市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合体〔スチレ
ンブロック/ブタジエン由来ブロック=28/72(重
量比)(SBS型、シェル社製 商品名「カリフレック
ス TRKX65S」(TPE−2と称する)〕を用い
た。
【0093】(ロ)難燃剤〔B成分〕 有機リン化合物 a)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
1)の製造 フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比
1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレ
ゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え、更に
反応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最
終的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了さ
せた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩
素分を除去してリン酸エステル混合物(以下FR−1と
称する)を得た。
【0094】この混合物をGPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー 東ソ−(株)製、「HLC−8
020」、移動相 テトラヒドロフラン)により分析し
たところ、化17の式(1)のジフェニルレゾルシニル
ホスフェート(以下TPP−OHと称する)と、トリフ
ェニルホスフェート(以下TPPと称する)と、 化1
7の式(2)の芳香族縮合リン酸エステル(以下TPP
ダイマーと称する)からなり、重量比がそれぞれ54.
2/18.3/27.5であった。
【0095】
【化17】
【0096】b)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−2)の製造 FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モル
のハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行な
った。このようにして得られたリン酸エステル混合物を
FR−2と称する。この混合物をGPCにより分析した
ところ、ジフェニルハイドロキノニルホスフェ−ト(T
PP−OH−Pと称する:化18の構造式を有する)、
トリフェニルホスフェ−ト(TPP)、芳香族縮合リン
酸エステル〔TPPダイマ−(p)と称する〕、及び芳
香族縮合リン酸エステル〔TPPオリゴマ−(p)と称
する〕からなり、重量比がそれぞれ64.6/12.4
/17.0/6.0であった。
【0097】
【化18】 (但し、n=1:TPPダイマー(p) n≧2:TPPオリゴマー(p)と称する。)
【0098】c)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−3)の製造 FR−1の製造において、フェノ−ルの代わりに等モル
のクレゾ−ルを用いること以外、同一の実験を行なっ
た。このようにして得られたリン酸エステル混合物をF
R−3と称する。この混合物をGPCにより分析したと
ころ、ジクレジルレゾルシニルホスフェ−ト(TCP−
OHと称する)、トリクレジルホスフェ−ト(TC
P)、芳香族縮合リン酸エステル〔TCPダイマ−と称
する:n=1で化19の構造式を有する〕、芳香族縮合
リン酸エステル〔TCPオリゴマ−と称する:n≧2で
化19の構造式を有する〕、及びレゾルシンからなり、
重量比がそれぞれ52.2/11.2/32.1/3.
1/1.4であった。
【0099】
【化19】 (但し、n=1:TCPダイマー n≧2:TCPオリゴマーと称する。)
【0100】d)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−4)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比1.0のフェノ−ルとモル比1.0のク
レゾ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイ
ドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。
このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−
4と称する。この混合物をGPCにより分析したとこ
ろ、フェニルクレジルハイドロキノニルホスフェ−ト
(CPQ−OHと称する)、ジクレジルフェニルホスフ
ェ−ト(DCP)、芳香族縮合リン酸エステル〔CPQ
ダイマ−と称する:n=1で化20の構造式を有す
る〕、芳香族縮合リン酸エステル〔CPQオリゴマ−と
称する:n≧2で化20の構造式を有する〕、及びフェ
ノ−ルからなり、重量比がそれぞれ68.4/13.5
/16.8/1.1/0.2であった。
【0101】
【化20】 (但し、n=1:CPQダイマー n≧2:CPQオリゴマーと称する。)
【0102】e)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−5)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0のクレゾ−ルを、そしてレゾルシ
ンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以
外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリ
ン酸エステル混合物をFR−5と称する。この混合物を
GPCにより分析したところ、ジクレジルハイドロキノ
ニルホスフェ−ト(CQ−OHと称する)、トリクレジ
ルホスフェ−ト(TCP)、芳香族縮合リン酸エステル
〔CQダイマ−と称する:n=1で化21の構造式を有
する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔CQオリゴマ−と
称する:n≧2で化21の構造式を有する〕、及びハイ
ドロキノンからなり、重量比がそれぞれ65.4/1
2.4/19.8/1.3/1.1であった。
【0103】
【化21】 (但し、n=1:CQダイマー n≧2:CQオリゴマーと称する。)
【0104】f)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−6)の製造 FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モル
のビスフェノ−ルAを用いること以外、同一の実験を行
なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物
をFR−6と称する。この混合物をGPCにより分析し
たところ、ジフェニルビスフェニルAホスフェ−ト(P
BP−OHと称する)、トリフェニルホスフェ−ト(T
PP)、芳香族縮合リン酸エステル〔PBPダイマ−と
称する:n=1で化22の構造式を有する〕、芳香族縮
合リン酸エステル〔PBPオリゴマ−と称する:n≧2
で化22の構造式を有する〕、及びビスフェノ−ルAか
らなり、重量比がそれぞれ37.7/16.5/27.
2/12.2/6.4であった。
【0105】
【化22】 (但し、n=1:PBPダイマー n≧2:PBPオリゴマーと称する。)
【0106】g)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−7)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0のキシレノ−ルを、そしてレゾル
シンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以
外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリ
ン酸エステル混合物をFR−7と称する。この混合物を
GPCにより分析したところ、ジキシレニルハイドロキ
ノニルホスフェ−ト(XQ−OHと称する)、トリキシ
レニルホスフェ−ト(TXP)、芳香族縮合リン酸エス
テル〔XQダイマ−と称する:n=1で化23の構造式
を有する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔XQオリゴマ
−と称する:n≧2で化23の構造式を有する〕、ハイ
ドロキノン、及びキシレノ−ルからなり、重量比がそれ
ぞれ62.2/13.8/3.2/19.8/0.5/
0.5であった。
【0107】
【化23】 (但し、n=1:XQダイマー n≧2:XQオリゴマーと称する。)
【0108】h)ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テル(FR−8)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0の2,6−キシレノ−ルを、そし
てレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用い
ること以外、同一の実験を行なった。このようにして得
られたリン酸エステル混合物をFR−8と称する。この
混合物をGPCにより分析したところ、ジ(2,6−キ
シレニル)ハイドロキノニルホスフェ−ト(X26Q−
OHと称する)、芳香族縮合リン酸エステル〔X26Q
ダイマ−と称する:n=1で化24の構造式を有す
る〕、芳香族縮合リン酸エステル〔X26Qオリゴマ−
と称する:n≧2で化24の構造式を有する〕、及びハ
イドロキノンからなり、重量比がそれぞれ72.1/2
6.3/1.6であった。
【0109】
【化24】 (但し、n=1:X26Qダイマー n≧2:X26Qオリゴマーと称する。)
【0110】i)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸
エステル(fr−1) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741C
(fr−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮
合リン酸エステルは、GPC分析によると、芳香族縮合
リン酸エステル〔TCP−A−ダイマーと称する:n=
1で化25の構造式を有する〕、芳香族縮合リン酸エス
テル〔TCP−A−オリゴマーと称する:n≧2で化2
5の構造式を有する〕、とトリクレジルフォスフェート
(TCP)からなり、重量比でそれぞれ80.4/1
4.1/5.5であった。
【0111】
【化25】 (但し、n=1:TCP−A−ダイマー、n≧2:TC
P−A−オリゴマーと称する。)
【0112】j)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸
エステル(fr−2) 市販の芳香族縮合リン酸エステル{大八化学工業(株)
製、商品名 CR733S(fr−2と称する)}を用
いた。また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、GPC
分析によると、芳香族縮合リン酸エステル〔TPPダイ
マーと称する:n=1で化26の構造式を有する〕、芳
香族縮合リン酸エステル〔TPPオリゴマーと称する:
n≧2で化26の構造式を有する〕からなり、重量比で
それぞれ65/35であった。
【0113】
【化26】 (但し、n=1:TPPダイマー、n≧2:TPPオリ
ゴマーと称する。)
【0114】k)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸
エステル〔トリフェニルホスフェート(TPP)〕 市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学工業(株)製、
商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
【0115】 ハロゲン系難燃剤 a)変性テトラブロモビスフェノ−ルAエポキシオリゴ
マ−〔末端トリブロモフェニル基(BR)、大日本イン
キ化学工業(株)製の下記の商品名;化27の構造式を
有する〕を用いた。
【0116】
【化27】
【0117】(ハ)ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤
〔C成分〕 ビニル基を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系酸化
防止剤 a)オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト (AO−1) 市販のヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤化28〔日本
チバガイギ−(株)製の商品名「イルガノックス107
6」(AO−1と称する);化28の構造式を有する〕
を用いた。
【0118】
【化28】
【0119】 ビニル基を含有しないヒンダ−ドフェ
ノ−ル系酸化防止剤 b)2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペ
ンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチル
フェニルアクリレ−ト (AO−2) 市販のヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤化29〔住友
化学工業(株)製の商品名「スミライザ− GS」(A
O−2と称する);化29の構造式を有する〕を用い
た。
【0120】
【化29】
【0121】(ニ)難燃助剤〔D成分〕 トリアジン骨格含有化合物 押出安定剤としてだけでなく、難燃助剤として市販のメ
ラミンシアヌレ−ト〔日産化学(株)製の商品名「MC
610」(以後、MCと称する。)〕を用いた。尚、M
C610は250℃では溶融しない。 三酸化アンチモン(Sb2 O3 ) 難燃助剤として、市販の三酸化アンチモン〔同和鉱業
(株)製の商品名「アンチモニ ブルーン 100A」
(Sb2 O3 と称する)〕を用いた。なお、Sb2 O3
は250℃では溶融しない。
【0122】 フッ素系樹脂(PTFE) 火種の滴下抑制剤として、市販のポリテトラフルオロエ
チレン〔三井デュポンフロロケミカル(株)製の商品名
「テフロン6J」(PTFEと称する)〕を用いた。P
TFEの添加方法については、PPE−MB/PTFE
/EBS〔98/1/1(重量比)〕のマスタ−バッチ
を330℃で作製し、規定量になるように樹脂組成物に
配合する方法により行なった。
【0123】(ホ)流動性向上剤〔E成分〕 エチレンビスステアリン酸アミド(EBS) 市販のエチレンビスステアリン酸アミド〔花王(株)製
の商品名「カオ−ワックスEB−FF」(EBSと称す
る);化30の構造式を有する〕を用いた。なお、EB
Sは143℃で溶融する。
【化30】[C1735CONH]2 (CH2 2
【0124】 流動パラフィン(MO) 流動性向上剤として流動パラフィンを用いた(MOと称
する)。 (ヘ)その他添加剤 耐衝撃改良剤(SI) 耐衝撃改良剤としてシリコ−ンオイル(ポリジメチルシ
ロキサン、粘度100cp)を用いた(SIと称す
る)。
【0125】(実施例1、2及び比較例1、2)HIP
S/GPPS/TPE−1/BR/表1記載のヒンダ−
ドフェノ−ル系酸化防止剤/Sb2 O3 /SI/MO
を、重量比でそれぞれ50/50/5/22/表1記載
量/2/0.05/2の比率で混合し、30mmφの二
軸押出機(ナカタニ機械(株)製型式AS30)で20
0℃で溶融押出し、ペレットを作製した。
【0126】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製、型式IS80A)でシリンダ
−温度200℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、各種物性評価を行なった。表1にその結果を示す。
【表1】
【0127】(実施例3〜5、比較例3〜7)HIPS
/GPPS/BAS/PPE−2/TPE−2/FR−
1/表2記載のヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤/E
BSを、重量比でそれぞれ32/44/5/19/表2
記載量/13.5/表2記載量/2の比率で、機械的に
混合し、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用いて、
溶融温度260℃、回転数70rpmで10分間溶融し
た。但し、比較例6はGPPSのみ、比較例7はGPP
S100重量部に対して、AO−1/AO−2=0.5
/0.5(重量比)を添加混合した。
【0128】このようにして得られた樹脂組成物から加
熱プレスにより1/8インチ厚の試験片を作製し、ビカ
ット軟化温度、アイゾット衝撃強さ、MFR、及び難燃
性の評価を行なった。表2にその結果を示す。
【表2】
【0129】表1、2によると、ゴム成分を有する組成
物に対しては、ビニル基を含有しないヒンダ−ドフェノ
−ル系酸化防止剤を溶融押出しの際に添加すると、流動
性が著しく向上することが分かる。
【0130】(実施例6〜17)実施例3において、樹
脂組成物を、HIPS/GPPS/PPE−1/PPE
−2/TPE−2/表3記載の有機リン化合物/AO−
1/MC/PTFE/EBS=63/11/19/7/
1/26/0.1/6/0.04/2(重量比)に変更
すること以外、実施例3と同一の実験を繰り返した。
【0131】表3及び図1にその結果を示す。
【表3】
【0132】表3及び図1によると、ヒドロキシル基含
有リン酸エステルを有機リン化合物として用いた場合に
は、成形加工流動性、耐熱性、及び衝撃強さのバランス
特性が優れていることが分かる。ここで、ヒドロキシル
基を含有することにより、樹脂成分として特にスチレン
系樹脂、またはポリフェニレンエ−テルを用いた場合、
両者の間に部分相溶性が発現する。この部分相溶性の指
標として、樹脂成分と(B)成分との溶解性パラメ−タ
−(Solubility Parameter:SP
値)の差ΔSP値を用いた(図1参照)。
【0133】即ち、樹脂成分(HIPS/GPPS/P
PE)のSP値が9.9であるのに対して、一方、
(B)成分中のヒドロキシル基含有リン酸エステル(T
PP−OH)、TPP、TPPダイマ−、TPPオリゴ
マ−、TCP、TCP−A−ダイマ−、TCP−A−オ
リゴマ−のSP値が、それぞれ11.8、10.7、1
0.8、10.8、8.8、9.3、9.4であり、Δ
SP値がそれぞれ、1.9、0.8、0.9、0.9、
1.1、0.6、0.5である(図1参照)。ここで、
ΔSP値が約1以下の場合には完全相溶性を呈し、流動
性は向上するが、耐熱性は低下する。
【0134】ところが、TPP−OHのようにΔSP値
が1.5〜2.0の場合には、部分相溶性を呈する。そ
の結果、成形加工時には、可塑化を促進し、流動性向上
剤として作用し、一方、成形体としての使用時には両者
の部分相溶性のために上記リン酸エステルがやや相分離
することにより耐熱性が向上すると推察される。
【0135】
【発明の効果】本発明は、成形加工流動性が向上する結
果、大型薄肉成形品の製造や成形サイクルの短縮を可能
にしたゴム変性熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法
である。この製造方法により得られる組成物は、家電部
品、OA機器部品等に好適であり、これら産業界に果た
す役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】表3の熱可塑性樹脂と有機リン化合物のFed
ors式により算出されたSP値(溶解性パラメ−タ
−)を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) ゴム変性熱可塑性樹脂、また
    は ゴム変性熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマ−と
    (B)難燃剤とを溶融押出しする際に、(C)ビニル基
    を含有しないヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤を添加
    することを特徴とする難燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成
    物の流動性の改良方法。
JP12950194A 1994-04-15 1994-04-15 難燃性ゴム変性熱可塑性樹脂組成物の流動性の改良方法 Withdrawn JPH07285126A (ja)

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