JP3655376B2 - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物製造用二軸押出機 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物製造用二軸押出機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機に関する。更に詳しくは、優れた押出し安定性と高い生産性を可能にするだけでなく、製造された樹脂組成物の衝撃強度、耐熱性、成形加工流動性及び外観の向上をも可能にしたポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用押出機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエ−テル系樹脂は、優れた耐熱性、耐衝撃性を有するために自動車部品、家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用されている。近年かかる分野でより高機能化のために各種ポリマ−添加剤が用いられている。例えば、加工性を改良するために流動パラフェン(ミネラルオイル)を添加したり、また難燃性を付与するために有機リン化合物を混合することが通常行なわれている。しかしながら、液状のポリマ−添加剤と耐熱性の高いポリフェニレンエ−テルとを溶融混合する場合には、溶融粘度の差が大きいために相分離して生産性が低下したり、ポリフェニレンエ−テルの未溶融物の発生により外観が低下する等の問題があった。
【0003】
これに対して、独特許DE4024872号公報には、2ゾ−ンからなる押出機を用い、前段でポリフェニレンエ−テルとスチレン系樹脂を220〜350℃で溶融し、引き続き後段で添加剤を50〜200℃で溶融押出しする連続製造方法が開示されている。しかし、該公報により生産性がある程度向上するものの、充分ではなく工業的使用が狭められる。
【0004】
また、該公報には、押出機の先端部からの距離を異にする2箇所の供給用開口部を有する2ゾ−ンの押出機が開示されているが、特定の箇所に特定のニ−ディング部分を設けることにより、優れた押出安定性、高い生産性、及び得られた樹脂組成物の特性の向上については開示されていないし、暗示さえされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち押出し安定性と高い生産性を可能にするだけでなく、製造された樹脂組成物の衝撃強度、耐熱性、成形加工流動性及び外観の向上をも可能にしたポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用押出機の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物の高い生産性を可能にする二軸押出機を鋭意検討した結果、二軸押出機の先端部からの距離を異にする2箇所以上の供給用開口部を有し、かつ特定の箇所に特定のニ−ディング部分を設けることにより、驚くべきことに押出安定性、生産性、及び得られた樹脂組成物の特性が飛躍的に向上することを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエ−テル及び(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤を含有するポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機において、上記二軸押出機のシリンダ−内径(D)に対するスクリュ−長さ(L)の割合(L/D)が20〜50であり、上記二軸押出機の先端部からの距離を異にするメインフィ−ド開口部とサイドフィ−ド開口部の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給用開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用開口部との間に、それぞれ溶融混練を行うニ−ディング部分を有し、上記ニ−ディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることを特徴とするポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機である。以下、本発明を詳しく説明する。
【0008】
本発明は、特定のシリンダ−内径(D)に対するスクリュ−長さ(L)の割合(L/D)を有する二軸押出機であって、二軸押出機の先端部からの距離を異にする2箇所以上の供給用開口部を有し、かつ特定の箇所に特定のニ−ディング部分を有するポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機に関する。
本発明のポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機は、まず第一に、シリンダ−内径(D)に対するスクリュ−長さ(L)の割合(L/D)が、20〜50であることが必須である。L/Dが20未満では溶融混練状態が悪く、ポリフェニレンエ−テル(以下、PPEと略す)の未溶融物が発生し好ましくない。 一方、L/Dが50を越えると、樹脂組成物の押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂が劣化するので好ましくない。好ましくは、25〜45である。さらに好ましくは、30〜40である。
【0009】
第二に、二軸押出機の先端部からの距離を異にする2箇所以上の供給用開口部を有することが重要である。供給用開口部が1箇所では、溶融粘度の高いPPEと溶融粘度の低い有機リン化合物等のポリマ−添加剤とが相分離を起こし、好ましくない。そのために、2箇所以上の供給用開口部を設けて、メインフィ−ド開口部で樹脂成分を溶融した後、ポリマ−添加剤をサイドフィ−ド開口部からフィ−ドしなければならない。
【0010】
第三に、メインフィ−ド開口部とサイドフィ−ド開口部との間、及び押出機先端部とサイドフィ−ド開口部との間にニ−ディング部分を有し、そのニ−ディング部分の長さはそれぞれ3D〜10Dでなければならない。ニ−ディング部分の長さが3D未満では、溶融混練状態が悪く、ベントアップしたり、PPE等の未溶融物が発生し、一方、10Dを越えると、樹脂組成物の押出機内での滞留時間が長くなり、樹脂が劣化する。また、サイドフィ−ド開口部が複数箇所有する場合は、メインフィ−ド開口部−サイドフィ−ド開口部間、異なったサイドフィ−ド開口部間、先端部−サイドフィ−ド開口部間においても、上記ニ−ディング部分の要件を満たす必要がある。
【0011】
好ましくは、4D〜8Dである。さらに好ましくは、5D〜7Dである。
第四に、本発明の二軸押出機のニ−ディング部分とは、混練・混合性の向上のための部分であり、▲1▼特殊なミキシングエレメントを有するフルフライトスクリュ−部分、▲2▼逆ねじ部分、及び▲3▼ニ−ディングディスクあるいはニ−ディングブロックと呼ばれるミキシング部分、の少なくともいずれか一つの部分からなることが好ましい。
【0012】
上記▲1▼特殊なミキシングエレメントを有するフルフライトスクリュ−部分は、ダルメ−ジスクリュ−、フル−テッドミキシングスクリュ−、ユニメルトスクリュ−、スパイラルバリヤスクリュ−、ピンスクリュ−、パイナップルミキサ−、キャビティトランスファミキサ−等のミキシングエレメントである。
前記▲2▼逆ねじ部分は、樹脂の流れを抑え背圧を発生させる機能を有し、大きな混練能力を持つ部分である。
【0013】
前記▲3▼ニ−ディングディスクあるいはニ−ディングブロックと呼ばれるミキシング部分は、長円形の板であるディスクを少しづつ傾けて組み合わせる。90度づつ傾けて組み合わせたものは、推進力はないが、良好な混練能力を持つ。30度づつ順ねじ側に傾けて組み合わせたものは、推進力はあるが、混練能力は小さい。この他に、ディスクには厚薄があり、厚いものは推進力が小さく、混合能力も小さいが、混練またはせん断能力は良好である。一方、薄いものは推進力が大きく、混合能力も大きいが、混練能力は劣る。
【0014】
ニ−ディングディスクの形状については、三角むすび型の3条ディスク、2条ディスクがある。3条ディスクは、浅溝なのでせん断力も過大になるが、噛み合い部での分・合流の機会が多いので分配混合性が優れている。2条ディスクは、2条ディスクに比較してせん断力が小さい。
ニ−ディングディスクは、ディスクの形状、角度、枚数、厚み等により混合・混練を制御することができる。
【0015】
第五に、本発明の二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
【0016】
本発明の二軸押出機を用いて、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)PPE、及び(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤を含有するPPE系樹脂組成物を製造することができる。
上記(A)ゴム変性スチレン系樹脂は成形用樹脂組成物の主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)PPEは耐熱性と耐衝撃性を付与するための成分であり、(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤はPPE系樹脂に難燃性や流動性等の機能性を付与するための成分である。
【0017】
本発明の二軸押出機は、メインフィ−ド開口部から(B)PPEをフィ−ドするが、必要に応じて(A)ゴム変性スチレン系樹脂をフィ−ドしてもよい。サイドフィ−ド開口部からは、(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤をフイ −ドするが、複数箇所のサイドフィ−ド開口部を有する場合は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂またはその他の添加剤をフィ−ドすることができる。
【0018】
本発明の二軸押出機は、押出し方法について特に制限はないが、以下の押出条件をとることにより押出安定性、機械的性質、及び外観が向上する。
まず第一に、メインフィ−ド開口部とサイドフィ−ド開口部間の溶融押出しの前段では、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)PPEからなる樹脂成分中の(B)PPEが50重量%以上であることが好ましい。(B)PPEが50重量%未満では、せん断力がかからないためにPPEの未溶融物を生成することがある。
【0019】
第二に、上記樹脂成分と(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤成分とを分離することが必須である。(C)成分の存在下で樹脂成分を溶融すると、両者の粘度差が大きいために未溶融物が生成する。具体的には、前段のPPEを含有する樹脂成分を250〜350℃で溶融し、引き続き残りの樹脂成分と(C)成分を200〜250℃で溶融することが好ましい。
【0020】
PPEを含有する樹脂成分を250℃未満で溶融すると、PPEの未溶融物が生成し、一方、350℃を越えるとスチレン系樹脂の分解が始まることがある。そして、(C)成分を200℃未満で溶融すると、樹脂成分とポリマ−添加剤との粘度差が大きくなるために、または両成分の相溶性が低下するために(C)成分が相分離し、安定押出しが困難になることがある。一方、(C)成分の溶融温度が250℃を越えると、(C)成分が揮発したり、分解することがある。
【0021】
上述したように、本発明の二軸押出機は、特定の樹脂組成物を、好ましい押出し条件で溶融押出しすることにより、優れた押出し安定性と高い生産性を可能にするだけでなく、製造された樹脂組成物の衝撃強度、耐熱性、成形加工流動性及び外観をも向上することが可能になった。
本発明の二軸押出機は、溶融押出しする前記(A)ゴム変性スチレン系樹脂に、ゴム変性スチレン系樹脂を必須成分とし、必要に応じてゴム非変性スチレン系樹脂を含有させることができる。
【0022】
上記ゴム変性スチレン系樹脂は、芳香族ビニル系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合法、塊状懸濁重合法、溶液重合法、または乳化重合法によりグラフト重合することにより得られる。
【0023】
このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられるが、特に耐衝撃ポリスチレンが好ましい。
【0024】
上記ゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
このようなゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ−三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
【0025】
上記ゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を含有してもよい。また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分として必要に応じ、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体成分を一種以上導入することができる。
【0026】
芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体は、単量体混合物中において、0〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明で用いられるゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体が、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物が、好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜50重量%の範囲にあるものが好ましい。この範囲内では、得られる樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが良好である。
【0027】
本発明で用いられるゴム変性スチレン系樹脂のゴム粒子径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に1.0〜2.0μmが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
本発明に用いるゴム変性スチレン系樹脂は、分子量の尺度であるトルエン可溶分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、トルエン溶液、30℃測定)が、0.30〜1.00dl/gの範囲にあることが好ましく、0.50〜0.80dl/gの範囲にあることがより好ましい。
【0028】
ここで特に、ゴム質重合体、単量体混合物、及び重合溶媒よりなる均一な重合原液を撹はん機付き連続多段式塊状重合反応機に供給し、連続的に重合、脱気する塊状重合法が好ましい。塊状重合法によりゴム変性スチレン系樹脂を製造する場合、還元粘度ηsp/cの制御は、重合温度、開始剤種と量、溶剤、及び連鎖移動剤量により行なうことができる。また、共重合組成の制御は、仕込み単量体組成により行なうことができる。そして、ゴム粒子径の制御は、撹はん回転数で行ない、小粒子化は回転数を上げ、大粒子化は回転数を下げることによる。
【0029】
本発明で用いられる(B)PPEは、下記式で示される結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体である。
【0030】
【化1】
Figure 0003655376
【0031】
但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水素、炭化水素、または置換炭化基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい。 このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるPPEの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,306875号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記PPEの還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を満たすための手段としては、PPEの製造の際の触媒量の調整などを挙げることができる。
【0032】
本発明で(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤は、PPE系樹脂に特殊機能を付与するための成分である。 ここで、ポリマ−添加剤は、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、香料、老化防止剤等である。
上記可塑剤の例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフタル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコ−ルジベンゾエ−ト等のグリコ−ルエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノ−ル酸メチル等の脂肪族酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ可塑剤であり、その他、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレ−ト、ブチルフタリルブチルグリコレ−ト、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添タ−フェニル、ショウノウ等を挙げることができる。
【0033】
前記安定剤の例としては、金属石ケン、鉛安定剤、有機錫安定剤、複合安定剤、エポキシ化合物等を挙げることができる。
上記発泡剤の例としては、アゾビスフォルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ系発泡剤、N,N’ジメチルN,N’ジニトロソテレフタルアミド、N,N’ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のN−ニトロソ系発泡剤、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエン4スルフォニルヒドラジド、ベンゼン1,3ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0034】
前記滑剤の例としては、流動パラフィン等の炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、アルコ−ル系滑剤、金属石ケン類等を挙げることができる。
そして、前記難燃剤の例としては、有機リン化合物を挙げることができ、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等である。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェートである。
【0035】
本発明において(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤の一成分として使用する前記有機リン化合物の中でも、ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル単量体と芳香族系リン酸エステル縮合体を含有することが好ましい。
上記ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体は、トリクレジルフォスフェ−トやトリフェニルフォスフェ−ト等に1個または2個以上のフェノ−ル性水酸基を含有したリン酸エステル単量体であり、例えば下記の化合物である。
【0036】
【化2】
Figure 0003655376
【0037】
(但し、Ar1 、Ar2 はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換されている。また、nは0〜3の整数を表わす。)
本発明で、(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤の一成分として用いる上記ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体は、中でも特に、下記式(化3)のジフェニルレゾルシニルフォスフェ−トまたは(化4)のジフェニルハイドロキノニルフォスフェ−トが好ましく、その製造方法は、例えば特開平1 −223158号公報に開示されており、フェノ−ル、ヒドロキシフェノ−ル、塩化アルミニウム及びオキシ塩化リンの反応により得られる。
【0038】
【化3】
Figure 0003655376
【0039】
【化4】
Figure 0003655376
【0040】
本発明で(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤の一成分として用いる前記芳香族系リン酸エステル縮合体は、下記式で示されるリン酸エステルである。
【0041】
【化5】
Figure 0003655376
【0042】
(但し、Ar3 、Ar4 、Ar5 、Ar6 はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換されている。また、mは1以上の整数を表わす。)
本発明で(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤の一成分として用いる芳香族系リン酸エステル縮合体は、中でも特に、テトラクレジルビスフェノ−ルAジホスフェ−ト、テトラフェニルビスフェノ−ルAジホスフェ−ト等のビスフェノ−ルA骨格を有するポリホスフェ−トが耐揮発性、耐加水分解性の観点から好ましい。
【0043】
本発明の二軸押出機により得られる樹脂組成物には、必要に応じて(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤の一成分である有機リン化合物以外の難燃剤として、(D)ハロゲン系、リン系または無機系難燃剤を配合することができる。上記ハロゲン系難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化PPE等が挙げられ、好ましくはデカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0044】
本発明の二軸押出機で得られる樹脂組成物に、必要に応じて含有することができる、前記リン系難燃剤としては、▲1▼赤リン、▲2▼無機系リン酸塩等が挙げられる。
本発明で前記リン系難燃剤としての▲1▼赤リンとは、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0045】
前記リン系難燃剤としての▲2▼無機系リン酸塩は、ポリリン酸アンモニウムが代表的である。
そして、必要に応じて含有することができる、無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0046】
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、更に高度な難燃性が要求される場合には、必要に応じて、(E)▲1▼トリアジン骨格含有化合物、▲2▼ノボラック樹脂、▲3▼含金属化合物、▲4▼シリコ−ン樹脂、▲5▼シリコ−ンオイル、▲6▼シリカ、▲7▼アラミド繊維、▲8▼フッ素系樹脂、▲9▼ポリアクリロニトリル繊維から選ばれる一種以上の難燃助剤を含有することができる。
【0047】
上記▲1▼トリアジン骨格含有化合物は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上させるための成分である。その具体例としては、メラミン、メラム(化6)、メレム(化7)、メロン(600℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレ−ト(化8)、リン酸メラミン(化9)、サクシノグアナミン(化10)、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂(化11)、BTレジン(化12)等を挙げることができるが、耐揮発性の観点から特にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0048】
【化6】
Figure 0003655376
【0049】
【化7】
Figure 0003655376
【0050】
【化8】
Figure 0003655376
【0051】
【化9】
Figure 0003655376
【0052】
【化10】
Figure 0003655376
【0053】
【化11】
Figure 0003655376
【0054】
【化12】
Figure 0003655376
【0055】
前記▲2▼ノボラック樹脂は、燃焼時の火種の滴下を抑制(耐ドリップ性)するための成分であり、かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そして、その樹脂は、フェノ−ル類とアルデヒド類を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、「高分子実験学5 重縮合と重付加」(共立出版 昭55−8−15)p.437〜455に記載されている。
【0056】
ノボラック樹脂製造の一例を化13に示す。
【0057】
【化13】
Figure 0003655376
【0058】
前記▲3▼ノボラック樹脂を構成するフェノ−ル類は、フェノ−ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,5−ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメチル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノ−ル、ピロカテコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、サリチルアルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メチル p−ヒドロキシベンゾエ−ト、p−シアノ−、及びo−シアノフェノ−ル、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シクロヘキシル p−ヒドロキシベンゼンスルホネ−ト、4−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネ−ト、4−ヒドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト、ジフェニル 4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト等である。
【0059】
前記▲3▼ノボラック樹脂を構成するアルデヒド類は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−プロパナ−ル、n−ブタナ−ル、イソプロパナ−ル、イソブチルアルデヒド、3−メチル−n−ブタナ−ル、ベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
前記▲3▼含金属化合物は、金属酸化物及び/または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の単体または、それらの複合体(合金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単体または、それらの複合体である。
【0060】
前記▲4▼シリコ−ン樹脂は、SiO2 、RSiO3/2 、R2 SiO、R3 SiO1/2 の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ−ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシリコ−ン樹脂が好ましい。
【0061】
このようなシリコ−ン樹脂は、上記の構造単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重合することにより得られる。
前記▲5▼シリコ−ンオイルは、(化14)に示される化学結合単位からなるポリジオルガノシロキサンである。
【0062】
【化14】
Figure 0003655376
【0063】
上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C6〜13のアリ−ル基、 化15 化16 で示される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有することが好ましい。
【0064】
【化15】
Figure 0003655376
【0065】
【化16】
Figure 0003655376
【0066】
前記シリコ−ンオイルの粘度は、600〜1000000センチポイズ(25℃)が好ましく、さらに好ましくは90000〜150000センチポイズ(25℃)である。
前記▲6▼シリカは、無定形の二酸化ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系のシランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素系化合物被覆シリカが好ましい。
【0067】
上記シランカップリング剤は、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリルトリメトキシシランが好適である。
【0068】
シリカ表面へのシランカップリング剤の処理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカをシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥させる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサ−のような高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はんしながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、その後熱処理する方法である。
【0069】
前記▲7▼アラミド繊維は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラフェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することにより製造することができる。
前記▲8▼フッ素系樹脂は、更に一層、耐ドリップ性を向上させるための成分であり、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。その具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。また、耐ドリップ性を損わない程度に必要に応じて上記含フッ素モノマ−と共重合可能なモノマ−とを併用してもよい。
【0070】
これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,534,058号明細書に開示され、例えばテトラフルオロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg/cm2 の加圧下、0〜200℃の温度で重合し、次いで懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、または沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られる。
【0071】
ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融することが好ましい。せん断力下、融点以上での溶融により、高度にフィブリル化し、配向結晶化する。そして、フッ素系樹脂が幹繊維に対して、枝分かれした特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂が得られる。その結果として、三次元的に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融適下を抑制する。また、高せん断力を与えるために、ゴム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、ポリフェニレン−テル等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で溶融することが好ましい。
【0072】
上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練してマスタ−バッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィ−ド可能な二ゾ−ンからなる押出機を用い、前段で熱可塑性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げて難燃剤をフィ−ド、溶融混練する一段プロセス法等がある。
【0073】
前記▲9▼ポリアクリロニトリル繊維は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド等の溶媒に重合体を溶解し、400℃の空気流中に乾式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、成形加工流動性が要求される場合には、必要に応じて、(F)▲1▼芳香族ビニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹脂、▲2▼脂肪族炭化水素、▲3▼高級脂肪酸、▲4▼高級脂肪酸エステル、▲5▼高級脂肪酸アミド、▲6▼高級脂肪族アルコ−ル、または▲7▼金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上剤を含有することができる。
【0074】
上記▲1▼共重合樹脂の芳香族ビニル単位は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂の説明において示した芳香族ビニル単位であり、アクリル酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸エステルである。 ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エステル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更には、5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹脂の分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のメチルエチルケトン溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチポアズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満では、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流動性の向上効果が低下する。
【0075】
前記▲2▼脂肪族炭化水素系加工助剤は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。
前記▲3▼高級脂肪酸は、カプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フェニルステアリン酸、フェロン酸等の飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0076】
前記▲4▼高級脂肪酸エステルは、フェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチル等の脂肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基酸の1価アルコ−ルエステルであり、さらに、ソルビタンモノラウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、ソルビタントリオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト等のソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ−ト等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオ−ルジステアリン酸エステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エステル等である。
【0077】
前記▲5▼高級脂肪酸アミドは、フェニルステアリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミド、メチロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミドである。
【0078】
前記▲6▼高級脂肪族アルコ−ルは、ステアリルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアルコ−ル、ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価アルコ−ル、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリオキシエチレンアリル化エ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを有するアリル化エ−テル、及びポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレントリドデシルエ−テル、ポリオキシエチレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリエピクロルヒドリンエ−テル、ポリオキシエチレンビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンエチレングリコ−ル、ポリオキシプロピレンビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ−ルエ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する2価アルコ−ルである。
【0079】
前記▲7▼金属石鹸は、上記ステアリン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛やアルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、更に高度な衝撃強度が要求される場合には、必要に応じて、(G)熱可塑性エラストマ−を含有することができ、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマ−が好ましい。
【0080】
上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマ−は、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体からなるブロック共重合体、または上記共役ジエン単量体部分が部分的に水素添加されたブロック共重合体である。
芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体からなるブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂の説明において示した芳香族ビニル単量体であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0081】
また、上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。
そして、ブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単量体からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n 、(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)n 、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブロック共重合体や、(SB)n X(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
【0082】
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、耐光性が要求される場合には、必要に応じて、(H)▲1▼紫外線吸収剤、▲2▼ヒンダ−ドアミン系光安定剤、▲3▼酸化防止剤、▲4▼ハロゲン捕捉剤、▲5▼遮光剤、▲6▼金属不活性剤、または▲7▼消光剤から選ばれる一種または二種以上の耐光性改良剤を含有することができる。
上記▲1▼紫外線吸収剤は、光エネルギ−を吸収して、分子内プロトン移動することによりケト型分子となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾ−ル系)、またはcis−trans異性化することにより(シアノアクリレ−ト系)、熱エネルギ−として放出、無害化するための成分である。その具体例は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等野2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノ−ル等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル類、フェニルサリシレ−ト、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−ト、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエ−ト、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエ−ト等のベンゾエ−ト類、2−エチル−2’−アトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類、及びエチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレ−ト、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレ−ト等のシアノアクリレ−ト類である。
【0083】
前記▲2▼ヒンダ−ドアミン系光安定剤は、光エネルギ−により生成したハイドロパ−オキサイドを分解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N−OHを生じ、安定化させるための成分である。その具体例は、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルステアレ−ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレ−ト、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエ−ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネ−ト、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−t−オクチリアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0084】
前記▲3▼酸化防止剤は、熱成形時または光暴露により、生成したハイドロパ−オキシラジカル等の過酸化物ラジカルを安定化したり、生成したハイドロパ−オキサイド等の過酸化物を分解するための成分である。その具体例は、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤及び/または過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁止剤として、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに安定なアルコ−ル類に分解して自動酸化を防止する。
【0085】
前記▲3▼酸化防止剤としてのヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤は、2,6−ジタ−シャルブチル−4−メチルフェノ−ル、スタイレネイテドフェノ−ル、n−オクタデシル3−(3,5−ジタ−シャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2’−メチレンッビス(4−メチル−6−タ−シャルブチフェノ−ル)、2−タ−シャルブチル−6−(3−タ−シャルブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレ−ト、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジタ−シャルペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジタ−シャルペンチルフェニルアクリレ−ト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェノ−ル)、アルキレイテッドビスフェノ−ル、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジタ−シャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−タ−シャルブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン等である。
【0086】
また、前記▲3▼酸化防止剤としての過酸化物分解剤は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジタ−シャルブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解剤またはジラウリル3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネ−、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネ−ト)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネ−ト、2−メルカプトベンズイミダゾ−ル等の有機イオウ系過酸化物分解剤である。
【0087】
前記▲4▼ハロゲン捕捉剤は、熱成形時または光暴露時に生成する遊離ハロゲンを捕捉するための成分である。その具体例は、ハイドロタルサイト、ゼオライト、酸化マグネシウム、ステアリン酸カリシウム、ステアリン酸亜鉛等の塩基性金属塩、有機錫化合物、または有機エポキシ化合物である。
上記▲4▼ハロゲン捕捉剤としてのハイドロタルサイトは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩またはその結晶水をふくまないもので、天然物及び合成品が含まれる。天然物としては、Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 Oの構造のものが挙げられる。また、合成品としては、Mg0.7 Al0.3 (OH)2 (CO3 )0.15・0.54H2 O、Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2 O、Mg4.2 Al2 (OH)12.4CO3 、Zn6 Al2 (OH)16CO3 ・4 H2 O、Ca6 Al2 (OH)16CO3 ・4 H2 O、Mg14Bi2 (OH)29.6・4.2H2 O等が挙げられる。
【0088】
前記ゼオライトは、Na2 O・Al2 O3 ・2SiO2 ・XH2 Oで示されるA型ゼオライト、または周期律表第II族及び第IV族の金属から選ばれた少なくとも一種の金属を含む金属置換ゼオライトである。そして、その置換金属としては、Mg、Ca、Zn、Sr、Ba、Zr、Sn等であり、特にCa、Zn、Baが好ましい。
【0089】
前記▲4▼ハロゲン捕捉剤としての有機エポキシ化合物は、エポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレ−ト、ハイドロキノンジグリシジルエ−テル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’−スルホビスフェノ−ル・ポリグリシジルエ−テル、N−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノ−ルAグリシジルエ−テル、3,4 −エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンベポキサイド、エチレングリコ−ルのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エ−テル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等である。
【0090】
前記▲5▼遮光剤は、光が高分子バルクに達するのを防止するための成分である。その具体例は、ルチル型酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化セリウム(CeO2 )等である。
前記▲6▼金属不活性剤は、キレ−ト化合物により樹脂中の重金属イオンを不活性化するための成分である。その具体例は、アシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾ−ル、及びその誘導体倒である。
【0091】
前記▲7▼消光剤は、高分子中の光励起したハイドロパ−オキサイドやカルボニル基等の官能基をエネルギ−移動によって失活させるための成分であり、有機ニッケル等が知られている。
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、上述した以外の成分として滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することができる。
【0092】
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、必要に応じてゴム非変性スチレン系樹脂を配合した、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエ−テル、(C)100℃で液状のポリマ−添加剤として、有機リン化合物、とりわけテトラクレジルビスフェノ−ルAジホスフェ−ト、テトラフェニルビスフェノ−ルAジホスフェ−ト等の縮合リン酸エステル及び/またはジフェニルレゾルシニルホスフェ−ト等のヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステル、(E)トリアジン骨格含有化合物、中でもメラミンシアヌレ−ト、(F)高級脂肪酸アミド、(G)スチレン−ブタジエンのブロック共重合体の組み合わせが好ましい。
【0093】
本発明の二軸押出機によって得られる樹脂組成物は、(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)PPEからなる樹脂成分100重量部に対して、(C)100℃で液状のポリマ−添加剤が5〜40重量部、(D)その他の難燃剤が0〜30重量部、(E)難燃助剤が0〜30重量部、(F)流動性向上剤が0〜10重量部、(G)スチレン系熱可塑性エラストマ−が0〜20重量部を含有することが好ましい。ここで上記範囲内では、難燃性、成形加工流動性、衝撃強度、及び耐熱性のバランス特性が優れている。
【0094】
このようにして得られた組成物を例えば、射出成形機または押出成形機を用いて得られた成形品は難燃性、衝撃強度及び耐熱性が優れている。
【0095】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
尚、実施例、比較例における測定は、以下の方法もしくは測定機を用いて行なった。
(1)ゴム重量平均粒子径
ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出する。
【0096】
重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3
(ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体粒子の個数である。)
(2)還元粘度ηSP/C
ゴム変性芳香族ビニル樹脂1gにメチルエチルケトン18mlとメタノ−ル2mlの混合溶媒を加え、25℃で2時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心分離する。上澄み液を取り出しメタノ−ルで樹脂分を析出させた後、乾燥した。
【0097】
このようにして得られた樹脂0.1gをトルエンに溶解し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、30℃でこの溶液流下秒数 t1 を測定した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンの流下秒数 t0 を測定し、以下の数式により算出した。
ηSP/C=(t1 /t0 −1)/C (C:ポリマ−濃度 g/dl)
一方、(A)PPEの還元粘度ηSP/cについては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0098】
(3)アイゾット衝撃強さ
ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定した。(Vノッチ、1 /8インチ試験片)
(4)ビカット軟化温度
ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性の尺度とした。
【0099】
(5)メルトフロ−レ−ト(MFR)
流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
(6)難燃性
UL−94に準拠したVB(Vertical Burning)法により評価した。(1/8インチ試験片)
(7)各成分の溶解性パラメ−タ−(Solubility Parameter :SP値(δ)
Polymer Engineering and Science,14,〔2〕p.147(1974)に記載のFedors式により算出した。
【0100】
δ=√〔Σ(Δe1)/Σ(Δv1)〕
[ここで、Δe1 : 各単位官能基当たりの凝集エネルギ−、Δv1 :各単位官能基当たりの分子容を示す。δ〔単位:(cal/cm3 )1/2 〕]
尚、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が成立すると仮定し、単量体ユニットまたはブレンド物の各成分のSP値の重量比の比例配分により算出した。
【0101】
(8)揮発性(熱重量天秤試験)
島津熱分析装置DT−40を用いて、窒素気流下、200℃で30分間保持し、重量減少を測定した。
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(イ)スチレン系樹脂
a)ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)
ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼオン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0102】
ポリブタジエン 10.5重量%
スチレン 74.2重量%
エチルベンゼン 15.0重量%
α−メチルスチレン2量体 0.27重量%
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン 0.03重量%
次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rpm、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香族ビニル樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0103】
b)ゴム非変性スチレン系樹脂〔ポリスチレン(GPPS)〕
市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分子量12万)〔(旭化成工業(株)製)(以後、GPPSと称する)〕を用いた。
(ロ)PPE
a)高分子量PPEの製造
酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解して反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別した。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分洗浄した後乾燥し、粉末状のPPEを得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηSPは0.55dl/gであった。
【0104】
b)低分子量PPEの製造
上記高分子量PPE−1の製造において、重合時間を90分に短縮すること以外、PPE−1と同一の実験を繰り返した。得られたPPEをPPE−2と称する。還元粘度ηsp/Cは0.41dl/gであった。
(ハ)100℃で液状のポリマ−添加剤:有機リン化合物
a)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを有する有機リン化合物
▲1▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−1)の製造
フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え、更に反応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了させた。
次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してリン酸エステ混合物(以下FR−1と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 東ソ−(株)製、HLC−8020 移動相テトラヒドロフラン)により分析したところ、 化17 の式(1)のジフェニルレゾルシニルホスフェート(以下TPP−OHと称する)と、トリフェニルホスフェート(以下TPPと称する)と、 化17 の式(2)の芳香族縮合リン酸エステル(以下TPPダイマーと称する)からなり、重量比がそれぞれ54.2/18.3/27.5であった。
【0105】
【化17】
Figure 0003655376
【0106】
▲2▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−2)の製造
FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−2と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジフェニルハイドロキノニルホスフェ−ト(TPP−OH−Pと称する)、トリフェニルホスフェ−ト(TPP)、芳香族縮合リン酸エステル〔TPPダイマ−(p)と称する〕、及び芳香族縮合リン酸エステル〔TPPオリゴマ−(p)と称する〕からなり、重量比がそれぞれ64.6/12.4/17.0/6.0であった。
【0107】
【化18】
Figure 0003655376
【0108】
(但し、n=1:TPPダイマー(p)
n≧2:TPPオリゴマー(p)と称する。)
▲3▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−3)の製造
FR−1の製造において、フェノ−ルの代わりに等モルのクレゾ−ルを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−3と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジクレジルレゾルシニルホスフェ−ト(TCP−OHと称する)、トリクレジルホスフェ−ト(TCP)、芳香族縮合リン酸エステル〔TCPダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔TCPオリゴマ−と称する〕、及びレゾルシンからなり、重量比がそれぞれ52.2/11.2/32.1/3.1/1.4であった。
【0109】
【化19】
Figure 0003655376
【0110】
(但し、n=1:TCPダイマー
n≧2:TCPオリゴマーと称する。)
▲4▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−4)の製造
FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの代わりにモル比1.0のフェノ−ルとモル比1.0のクレゾ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−4と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、フェニルクレジルハイドロキノニルホスフェ−ト(CPQ−OHと称する)、ジクレジルフェニルホスフェ−ト(DCP)、芳香族縮合リン酸エステル〔CPQダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔CPQオリゴマ−と称する〕、及びフェノ−ルからなり、重量比がそれぞれ68.4/13.5/16.8/1.1/0.2であった。
【0111】
【化20】
Figure 0003655376
【0112】
(但し、n=1:CPQダイマー
n≧2:CPQオリゴマーと称する。)
▲5▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−5)の製造
FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの代わりにモル比2.0のクレゾ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−5と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジクレジルハイドロキノニルホスフェ−ト(CQ−OHと称する)、トリクレジルホスフェ−ト(TCP)、芳香族縮合リン酸エステル〔CQダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔CQオリゴマ−と称する〕、及びハイドロキノンからなり、重量比がそれぞれ65.4/12.4/19.8/1.3/1.1であった。
【0113】
【化21】
Figure 0003655376
【0114】
(但し、n=1:CQダイマー
n≧2:CQオリゴマーと称する。)
▲6▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−6)の製造
FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モルのビスフェノ−ルAを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−6と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジフェニルビスフェニルAホスフェ−ト(PBP−OHと称する)、トリフェニルホスフェ−ト(TPP)、芳香族縮合リン酸エステル〔PBPダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔PBPオリゴマ−と称する〕、及びビスフェノ−ルAからなり、重量比がそれぞれ37.7/16.5/27.2/12.2/6.4であった。
【0115】
【化22】
Figure 0003655376
【0116】
(但し、n=1:PBPダイマー
n≧2:PBPオリゴマーと称する。)
▲7▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−7)の製造
FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの代わりにモル比2.0のキシレノ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−7と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジキシレニルハイドロキノニルホスフェ−ト(XQ−OHと称する)、トリキシレニルホスフェ−ト(TXP)、芳香族縮合リン酸エステル〔XQダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔XQオリゴマ−と称する〕、ハイドロキノン、及びキシレノ−ルからなり、重量比がそれぞれ62.2/13.8/3.2/19.8/0.5/0.5であった。
【0117】
【化23】
Figure 0003655376
【0118】
(但し、n=1:XQダイマー
n≧2:XQオリゴマーと称する。)
▲8▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−8)の製造
FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの代わりにモル比2.0の2,6−キシレノ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−8と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、ジ(2,6−キシレニル)ハイドロキノニルホスフェ−ト(X26Q−OHと称する)、芳香族縮合リン酸エステル〔X26Qダイマ−と称する〕、及びハイドロキノンからなり、重量比がそれぞれ72.1/26.3/1.6であった。
【0119】
【化24】
Figure 0003655376
【0120】
(但し、n=1:X26Qダイマー
n≧2:X26Qオリゴマーと称する。)
▲9▼ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−9)の製造
FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの代わりにモル比1.0のフェノ−ルとモル比1.0のノニルフェノ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−9と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェ−ト(NQ−OHと称する)、ジフェニルノニルフェニルホスフェ−ト(DPN)、TPP−OH−P、TPP、芳香族縮合リン酸エステル〔NQダイマ−と称する〕、及び芳香族縮合リン酸エステル〔NQオリゴマ−と称する〕からなり、重量比がそれぞれ31.2/6.6/12.4/3.4/36.2/10.2であった。
【0121】
【化25】
Figure 0003655376
【0122】
【化26】
Figure 0003655376
【0123】
【化27】
Figure 0003655376
【0124】
(但し、n=1:NQダイマー
n≧2:NQオリゴマーと称する。)
b)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル
▲1▼ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(fr−1)
市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エステル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741C(fr−1と称する)}を用いた。
【0125】
また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、 化28 で表わされるTCP−A−ダイマーとTCP−A−オリゴマーとトリクレジルフォスフェート(TCP)からなり、重量比でそれぞれ80.4/14.1/5.5であった。
【0126】
【化28】
Figure 0003655376
【0127】
(但し、n=1:TCP−A−ダイマー
n≧2:TCP−A−オリゴマーと称する。)
▲2▼ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(fr−2)
市販の芳香族縮合リン酸エステル{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(fr−2と称する)}を用いた。
【0128】
また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、 化29 で表わされるTPPダイマーとTPPオリゴマーからなり、重量比でそれぞれ65/35であった。
【0129】
【化29】
Figure 0003655376
【0130】
(但し、n=1:TPPダイマー
n≧2:TPPオリゴマーと称する。)
▲3▼ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル〔トリフェニルホスフェート(TPP)〕
市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学工業(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
【0131】
▲4▼ヒドロキシル基非含有芳香族リン酸エステル(TNPP)の製造
FR−1の製造において、オキシ塩化リン1モルに対して、フェノ−ル、レゾルシンの代わりに3モルのノニルフェノ−ルを用いることと、同時添加による1段階反応であること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られた反応物をGPCにより分析したところ、トリスノニルフェニルホスフェ−ト(TNPPと称する)100%であった。
【0132】
【化30】
Figure 0003655376
【0133】
▲5▼ヒドロキシル基非含有芳香族リン酸エステル(fr−3)の製造
FR−1の製造において、オキシ塩化リン1モルに対して、フェノ−ル、レゾルシンの代わりに1モルのフェノ−ルと2モルのノニルフェノ−ルを用いることと、同時添加による1段階反応であること以外、同一の実験を行なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物をfr−3と称する。この混合物をGPCにより分析したところ、フェニルビスノニルフェニルホスフェ−ト(DNPと称する)、TNPP、DPN、及びノニルフェノ−ルからなり、重量比がそれぞれ77.8/11.3/8.4/2.5であった。
【0134】
【化31】
Figure 0003655376
【0135】
(ニ)難燃助剤
a)トリアジン骨格含有化合物
市販のメラミンシアヌレ−ト〔日産化学(株)製、商品名 MC610(以後、MCと称する。)〕を用いた。
b)ビニル基含有シリコ−ンオイル(SI)
市販の 化28 で示されるビニル基含有シリコ−ンオイル〔信越化学工業(株)製 X−21−5833 ビニル基含有構造単位20モル% (SIと称する)〕を用いた。
【0136】
【化32】
Figure 0003655376
【0137】
(ホ)流動性向上剤
a)エチレンビスステアリン酸アミド(EBS)
市販のエチレンビスステアリン酸アミド〔花王(株)製商品名 カオ−ワックスEB−FF(EBSと称する)〕を用いた。
【0138】
【化33】
Figure 0003655376
【0139】
(ヘ)スチレン系熱可塑性エラストマ−
A)スチレン−ブタジエンブロック共重合体(TPE)
市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合体〔スチレンブロック/ブタジエン由来ブロック=40/60(重量比) 〔旭化成工業(株)製 商品名 タフプレン 125 (TPEと称する)〕を用いた。
【0140】
【実施例1〜3、比較例1〜4】
下記の樹脂組成物を、機械的に混合し、サイドフィ−ド可能な二軸押出機(Werner Pfleiderer社製 ZSK シリンダ−内径D=40mmΦ または70mmΦ)を用い、溶融押出しを行なった。(図1参照)
Figure 0003655376
マスタ−バッチ(MB−1、MB−2)の製造において、樹脂成分はメインフィ−ダ−からフィ−ドし前段(サイドフィ−ド開口部の上流側)で、バレル温度320℃で溶融した後、有機リン化合物はサイドフィ−ダ−からフィ−ドし後段(サイドフィ−ド開口部の下流側)で、バレル温度270℃で溶融混練した。(回転数295rpm、吐出量80kg/h)
樹脂組成物(I、II)の製造において、上記マスタ−バッチと、有機リン化合物以外の残りの成分をメインフィ−ダ−からフィ−ドし前段で、バレル温度270℃で溶融した後、有機リン化合物はサイドフィ−ダ−からフィ−ドし後段で、バレル温度270℃で溶融混練した。(回転数295rpm、吐出量80kg/h)
樹脂組成物(III)の製造において、PPE/GPPSを15/10の重量比で押出機の前段で上記マスタ−バッチと同一条件で押出した後に、押出機の後段で残りの樹脂成分と有機リン化合物以外の成分をサイドフィ−ダ−からフィ−ドし、更に有機リン化合物を別のサイドフィ−ダ−でフィ−ドし、上記組成物(I、II)と同一条件で押出した。
【0141】
このようにして得られたペレットを射出成形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ−温度200℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製し、各種物性評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0142】
【実施例9〜24】
実施例1において、樹脂組成物を、PPE−1/PPE−2/HIPS/GPPS/表2記載の有機リン化合物/MC/SI/EBS/TPE=7/19/37/37/30/7/1.5/2/4(重量比)に変更すること以外、実施例1と同一の実験を繰り返した。表2及び図2にその結果を示す。
【0143】
表2及び図2によると、押出しは安定であり、ヒドロキシル基含有リン酸エステルを有機リン化合物として用いた場合には、成形加工流動性、耐熱性、及び衝撃強さのバランス特性が優れていることが分かる。
ここで、ヒドロキシル基を含有することにより、スチレン系樹脂とポリフェニレンエ−テルからなる樹脂成分と上記基を含有する芳香族系リン酸エステルとの間に部分相溶性が発現する。この部分相溶性の指標として、樹脂成分と上記リン酸エステルとの溶解性パラメ−タ−(Solubility Parameter:SP値)の差ΔSP値を用いた。即ち、(HIPS/GPPS/PPE)のSP値が10.1であり、一方、C、D成分中のヒドロキシル基含有リン酸エステル(TPP−OH)、TPP、TPPダイマ−、TPPオリゴマ−、TCP、TCP−A−ダイマ−、TCP−A−オリゴマ−のSP値が、それぞれ12.3、10.7、11.1、11.1、10.5、9.3、9.4であり、ΔSP値はそれぞれ、2.2、0.6、1.0、1.0、0.4、0.8、0.7である。ここで、ΔSP値が約1以下の場合には、完全相溶性を呈し、流動性は向上するが、耐熱性は低下する。ところが、TPP−OHのようにΔSP値が1.5〜2.5の場合には、部分相溶性を呈する。その結果、成形加工時には、可塑化を促進し、流動性向上剤として作用し、一方、成形体としての使用時には両者の部分相溶性のために上記リン酸エステルがやや相分離することにより耐熱性が向上すると推察される。
【0144】
また、表2からヒドロキシル基非含有芳香族系縮合リン酸エステルとヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを併用することにより、揮発性が抑制されることが分かる。
【0145】
【表1】
Figure 0003655376
【0146】
【表2】
Figure 0003655376
【0147】
【発明の効果】
本発明のポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機は、従来のものに比べて、優れた押出し安定性と高い生産性を可能であるだけでなく、製造された樹脂組成物の衝撃強度、耐熱性、成形加工流動性及び外観をも向上することが可能である。
【0148】
本発明の二軸押出機により得られた組成物は、家電部品、OA機器部品等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二軸押出機の模式的に示す説明図である。斜線部分はニ−ディング部分を表す。
【図2】表2の実施例、比較例の組成物において有機リン化合物として、ヒドロキシル基含有リン酸エステル(○)、またはヒドロキシル基非含有リン酸エステル(●)を用いた時の成形加工流動性(MFR)と耐熱性(ビッカト軟化温度)との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 :メインフィ−ド・サイドフィ−ド開口部間のニーデング部分の長さ
2 :先端部分・サイドフィ−ド開口部間のニーデング部分の長さ
3 :メインフィ−ド・サイドフィ−ド開口部間の長さ

Claims (1)

  1. (A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリフェニレンエ−テル及び(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤を含有するポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機において、上記二軸押出機のシリンダ−内径(D)に対するスクリュ−長さ(L)の割合(L/D)が20〜50であり、上記二軸押出機の先端部からの距離を異にするメインフィ−ド開口部とサイドフィ−ド開口部の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給用開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用開口部との間に、それぞれ溶融混練を行うニ−ディング部分を有し、上記ニ−ディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることを特徴とするポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物製造用二軸押出機。
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