JPH07179615A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法

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JPH07179615A
JPH07179615A JP32871593A JP32871593A JPH07179615A JP H07179615 A JPH07179615 A JP H07179615A JP 32871593 A JP32871593 A JP 32871593A JP 32871593 A JP32871593 A JP 32871593A JP H07179615 A JPH07179615 A JP H07179615A
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Withdrawn
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JP32871593A
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English (en)
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Hajime Nishihara
一 西原
Osamu Nakajima
修 中島
Matsuyoshi Nakagawa
松善 中川
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 押出し安定性に優れ、高い生産性を有するポ
リフェニレンエ−テル系樹脂組成物の製造方法の提供。 【構成】 (A)スチレン系樹脂成分と(B)ポリフェ
ニレンエ−テルを有する樹脂成分とからなる樹脂成分
に、(C)100°Cで液状であるポリマ−添加剤成分
を含有する樹脂組成物の製造方法において、上記(A)
成分と(B)成分の樹脂成分が(B)成分を50重量%
以上含有してあり、上記(A)成分と(B)成分の樹脂
成分を250〜350°Cで溶融し、ついで、上記
(A)成分の溶融してない残りの樹脂成分と(C)成分
を200〜250°Cで溶融することを特徴とするポリ
フェニレンエ−テル系樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリフェニレンエ−テル
系樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、押出
し安定性に優れ、高い生産性を有する製造方法により、
耐衝撃性、引張特性、曲げ特性等の機械的特性及び外観
の向上を可能にしたポリフェニレンエ−テル系樹脂組成
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエ−テル系樹脂は、優れ
た耐熱性、耐衝撃性を有するために自動車部品、家電部
品、OA機器部品を初めとする多岐の分野で使用されて
いる。近年かかる分野でより高機能化のために各種ポリ
マ−添加剤が用いられている。例えば、加工性を改良す
るために流動パラフェン(ミネラルオイル)を添加した
り、また難燃性を付与するために有機リン化合物を混合
することが通常行なわれている。しかしながら、液状の
ポリマ−添加剤と耐熱性の高いポリフェニレンエ−テル
とを溶融混合する場合には、溶融粘度の差が大きいため
に相分離して生産性が低下したり、未溶融物の発生によ
り外観が低下する等の問題があった。
【0003】これに対して、独特許DE4024872
号公報には、2ゾ−ンからなる押出機を用い、前段でポ
リフェニレンエ−テルとスチレン系樹脂を220℃〜3
50℃で溶融し、引き続き後段で添加剤を50〜200
℃で溶融押出しする連続製造方法が開示されている。し
かし、該公報により生産性がある程度向上するものの、
充分ではなく工業的使用が狭められる。また、該公報に
は、樹脂成分中のポリフェニレンエ−テルが特定量の
時、かつ押出温度が特定の領域の時のみ、押出安定性及
び得られた樹脂組成物の機械的性質、外観が飛躍的に向
上することが開示されていないし、暗示さえされていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち押出し安
定性に優れ、高い生産性を有する製造方法により、耐衝
撃性、引張特性、曲げ特性等の機械的特性及び外観の向
上を可能にしたポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物の
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフェ
ニレンエ−テル系樹脂の高い生産性を有する製造方法を
鋭意検討した結果、樹脂成分中のポリフェニレンエ−テ
ルが特定量の時、かつ押出温度が特定の領域の時のみ、
押出安定性が向上し、そして、驚くべきことに得られた
樹脂組成物の機械的性質、外観が飛躍的に向上すること
を見出し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明は、(A)スチレン系樹脂成
分と(B)ポリフェニレンエ−テルを有する樹脂成分と
からなる樹脂成分が、(C)100℃で液状であるポリ
マ−添加剤成分を含有する樹脂組成物の製造方法におい
て、上記(A)(B)からなる樹脂成分が(B)成分を
50重量%以上含有しており、まず、上記(A)(B)
成分からなる樹脂組成物を250〜350℃で溶融し、
ついで、(A)成分の溶融しない残りの樹脂成分と
(C)成分とを200〜250℃で溶融し、押出しする
ことを特徴とするポリフェニレンエ−テル系樹脂組成物
の製造方法、である。
【0007】以下、本発明を詳しく説明する。本発明
は、(A)スチレン系樹脂成分と(B)ポリフェニレン
エ−テルとを有する樹脂成分と、(C)100℃で液状
であるポリマ−添加剤成分を含有する樹脂組成物を、特
定の押出条件で溶融押出しする製造方法である。上記
(A)成分は成形用樹脂組成物の主成分をなし、成形品
の強度保持の役割を担い、(B)成分は耐熱性と耐衝撃
性を付与するための成分であり、(C)成分はポリフェ
ニレンエ−テル系樹脂に難燃性や流動性等の機能性を付
与するための成分である。
【0008】ここで、特定の押出条件によって初めて押
出安定性、機械的性質、及び外観が向上する。以下、そ
の理由を説明する。まず、溶融押出しの前段での樹脂成
分中の(B)ポリフェニレンエ−テルは50重量%以上
であることが重要である。(B)成分が50重量%未満
では、せん断力がかからないためにポリフェニレンエ−
テルの未溶融物が生成する。
【0009】次に、樹脂成分と(C)ポリマ−添加剤成
分とを分離することが必須である。(C)成分の存在下
で樹脂成分を溶融すると、両者の粘度差が大きいために
未溶融物が生成する。具体的には、前段のポリフェニレ
ンエ−テルンを含有する樹脂成分を250〜350℃で
溶融し、引き続き(A)成分の残りの樹脂成分と(C)
成分を200〜250℃で溶融する。
【0010】ポリフェニレンエ−テルを含有する樹脂成
分を250℃未満で溶融すると、ポリフェニレンエ−テ
ルの未溶融物が生成し、一方、350℃を越えるとスチ
レン系樹脂の分解が始まる。そして、(C)成分を20
0℃未満で溶融すると、樹脂成分とポリマ−添加剤との
粘度差が大きくなるために、または両成分の相溶性が低
下するために(C)成分が相分離し、安定押出しが困難
になる。一方、(C)成分の溶融温度が250℃を越え
ると、(C)成分が揮発したり、分解することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0011】本発明の(A)成分のスチレン系樹脂は、
ゴム変性スチレン系樹脂またはゴム非変性スチレン系樹
脂である。本発明において上記(A)成分として使用す
るゴム変性スチレン系樹脂とは、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状
懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得
られる。
【0012】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であるこ
とが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下す
る。
【0013】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0014】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0015】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要の
ある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアク
リル酸エステルを用いることができる。また更に、樹脂
組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α−メ
チルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合してもよ
い。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香族単量体と
共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40重量%であ
る。
【0016】本発明に用いるゴム変性スチレン系樹脂に
おけるゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特
に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単
量体混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ま
しくは90〜50重量%の範囲にある。この範囲外で
は、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランス
が取れなくなる。更には、スチレン系重合体のゴム粒子
径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜
3.0μmが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃
性が向上する。
【0017】本発明に用いるゴム変性スチレン系樹脂
は、分子量の尺度である還元粘度ηsp/c(0.5g
/dl、トルエン溶液、30℃測定)が、0.30〜
0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、0.4
0〜0.60dl/gの範囲にあることがより好まし
い。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関
する上記要件を満たすための手段としては、重合開始剤
量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げることがで
きる。本発明において(B)成分として使用するポリフ
ェニレンエーテル(以下PPEと略称する。)は、下記
式で示される結合単位からなる単独重合体及び/又は共
重合体である。
【0018】
【化1】
【0019】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジ
メチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール
との共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0020】かかるPPEの製造方法は特に限定される
ものではなく、例えば、米国特許第3,306,874
号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレ
ックスを触媒として用い、例えば2,6キシレノールを
酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも
米国特許第3,3061075号明細書、米国特許第
3,257,357号明細書、米国特許3,257,3
58号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特
開昭50−51197号公報に記載された方法で容易に
製造できる。
【0021】本発明にて用いる上記PPEの還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好
ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあること
がより好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を
満たすための手段としては、前記PPEの製造の際の触
媒量の調整などを挙げることができる。
【0022】本発明に用いる(C)成分は、PPE系樹
脂に特殊機能を付与するための成分であり、特に100
℃で液状であるポリマ−添加剤である。ここで、ポリマ
−添加剤は、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、香料、老化防止剤
等である。上記可塑剤の例としては、フタル酸ジメチ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタ
ル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフ
タル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン
酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレン
グリコ−ルジベンゾエ−ト等のグリコ−ルエステル、オ
レイン酸ブチル、アセチルリシノ−ル酸メチル等の脂肪
族酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油
等のエポキシ可塑剤であり、その他、トリメリット酸ト
リオクチル、エチルフタリルエチルグリコレ−ト、ブチ
ルフタリルブチルグリコレ−ト、アセチルクエン酸トリ
ブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペ−
ト、ポリエチレンセバケ−ト、トリアセチン、トリブチ
リン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビ
フェニル、部分水添タ−フェニル、ショウノウ等を挙げ
ることができる。
【0023】上記安定剤の例としては、金属石ケン、鉛
安定剤、有機錫安定剤、複合安定剤、エポキシ化合物等
を挙げることができる。上記発泡剤の例としては、アゾ
ビスフォルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジ
アゾアミノベンゼン等のアゾ系発泡剤、N,N’ジメチ
ルN,N’ジニトロソテレフタルアミド、N,N’ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン等のN−ニトロソ系発
泡剤、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエン4ス
ルフォニルヒドラジド、ベンゼン1,3ジスルフォニル
ヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド等を挙げること
ができる。
【0024】上記滑剤の例としては、流動パラフィン等
の炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑
剤、アルコ−ル系滑剤、金属石ケン類等を挙げることが
できる。そして、上記難燃剤の例としては、有機リン化
合物を挙げることができ、例えば、ホスフィン、ホスフ
ィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフ
ィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等であ
る。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、メ
チルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエリスリトー
ルジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォ
スフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、
ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジ
シクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチ
ルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォ
スファイト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジ
ピロカテコールハイポジフォスフェートである。
【0025】ここで、上記有機リン化合物の中でもヒド
ロキシル基含有リン酸エステルが好ましく、ヒドロキシ
ル基含有芳香族リン酸エステルとヒドロキシル基を含有
しない有機リン化合物を併用したものも含む。両者の量
比については、前者が20〜80重量%、後者が80〜
20重量%であることが好ましい。有機リン化合物とし
てヒドロキシル基含有リン酸エステルを用いると、流動
性と耐熱性と耐衝撃性のバランス特性が優れる。上記ヒ
ドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルは、トリクレ
ジルフォスフェ−トやトリフェニルフォスフェ−トやそ
れらの縮合リン酸エステル等に1個または2個以上のフ
ェノ−ル性水酸基を含有したリン酸エステルであり、例
えば下記の化合物である。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】(但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4
、Ar5 、Ar6 はフェニル基、キシレニル基、エチ
ルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニ
ル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に
少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換
されている。また、nは0〜3の整数を表わし、mは1
以上の整数を表わす。) 本発明に用いることができるヒドロキシル基含有芳香族
系リン酸エステルは、中でも特に、下記式(化4)ジフ
ェニルレゾルシニルフォスフェ−トまたは(化5)ジフ
ェニルハイドロキノニルフォスフェ−トが好ましく、そ
の製造方法は、例えば特開平1 −223158号公報に
開示されており、フェノ−ル、ヒドロキシフェノ−ル、
塩化アルミニウム及びオキシ塩化リンの反応により得ら
れる。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】本発明のPPE系樹脂組成物は、(A)成
分、(B)成分、(C)成分を必須成分とし、必要に応
じて(D)上記以外の難燃剤、(E)難燃助剤、(F)
流動性向上剤、及び(G)スチレン系熱可塑性エラスト
マ−等の成分を含有することができる。本発明のPPE
系樹脂組成物に(B)成分以外の難燃剤として、ハロゲ
ン系、リン系または無機系難燃剤を配合することができ
る。
【0032】本発明に用いる(D)成分の難燃剤は、ハ
ロゲン系、リン系及び無機系の難燃剤である。上記ハロ
ゲン系難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノ−ル、芳
香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネート、ハ
ロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレー
ト樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテル等が挙げら
れ、好ましくはデカブロモジフェニルオキサイド、テト
ラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノー
ルAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系フェノキ
シ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、
ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブ
ロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニ
レンオキサイド、デカブロムジフェニルオキサイドビス
フェノール縮合物、含ハロゲンリン酸エステル及びフッ
素系樹脂等である。
【0033】上記リン系難燃剤としては、赤リン、
無機系リン酸塩等が挙げられる。本発明において使用す
る上記赤リンとは、一般の赤リンの他に、その表面を
あらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸
化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被
覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0034】本発明で使用する上記無機系リン酸塩
は、ポリリン酸アンモニウムが代表的である。また、無
機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カ
ルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、
水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化
合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ
酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
これらは、1種でも2種以上を併用してもよい。この中
で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩
基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる群
から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利で
ある。
【0035】本発明で使用する前記(E)成分の難燃助
剤としては、例えば、トリアジン骨格含有化合物、
ノボラック樹脂、フッ素系樹脂、含金属化合物、
ポリジオルガノシロキサン、シリカから選ばれる一種
以上の難燃助剤等である。上記トリアジン骨格含有化
合物は、(C)成分の有機リン化合物の難燃助剤として
一層の難燃性を向上させるための成分である。その具体
例としては、メラミン、メラム(化6)、メレム(化
7)、メロン(600℃以上でメレム3分子から3分子
の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレ−ト
(化8)、リン酸メラミン(化9)、サクシノグアナミ
ン(化10)、アジポグアナミン、メチルグルタログア
ナミン、、メラミン樹脂(化11)、BTレジン(化1
2)等を挙げることができるが、耐揮発性の観点から特
にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】上記ノボラック樹脂は、燃焼時の火種の
滴下を抑制(耐ドリップ性)するための成分であり、か
つヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用する
場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そして、
その樹脂は、フェノ−ル類とアルデヒド類を硫酸または
塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可塑
性樹脂であり、その製造方法は、「高分子実験学 5
重縮合と重付加 共立出版(株)p.437〜455」
に記載されている。ノボラック樹脂製造の一例を下記
(式1)に示す。
【0044】
【数1】
【0045】上記フェノ−ル類は、フェノ−ル、o−ク
レゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノ−ル、ピロカ
テコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエ−ト、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノ−ル、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネ−ト、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネ−ト、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネ−ト、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネ−ト等である。
【0046】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナ−ル、n−ブタナ−
ル、イソプロパナ−ル、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナ−ル、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
前記フッ素系樹脂は、更に一層、耐ドリップ性を向上
させるための成分であり、樹脂中にフッ素原子を含有す
る樹脂である。その具体例として、ポリモノフルオロエ
チレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエ
チレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げ
ることができる。また、耐ドリップ性を損わない程度に
必要に応じて上記含フッ素モノマ−と共重合可能なモノ
マ−とを併用してもよい。
【0047】これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国
特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,
534,058号明細書に開示され、例えばテトラフル
オロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg
/cm2 の加圧下、0〜200℃の温度で重合し、次い
で懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、または
沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られ
る。
【0048】ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混
練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融する
ことが好ましい。せん断力下、融点以上での溶融によ
り、高度にフィブリル化し、配向結晶化する。そして、
フッ素系樹脂が幹繊維に対して、枝分かれした特殊な高
次構造を有するフッ素系樹脂が得られる。その結果とし
て、三次元的に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融
適下を抑制する。また、高せん断力を与えるために、ゴ
ム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、P
PE等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で溶融することが好
ましい。
【0049】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練して
マスタ−バッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤
と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィ−
ド可能な二ゾ−ンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素
系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げ
て難燃剤をフィ−ド、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0050】前記含金属化合物は、金属酸化物及び/
または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化アルミニ
ウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデ
ン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ス
ズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タン
グステン等の単体または、それらの複合体(合金)であ
り、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガ
ン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、
ニッケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単
体または、それらの複合体である。
【0051】前記ポリジオルガノシロキサンは、ポリ
ジメチルシロキサン等の線状のシリコ−ンオイル、また
は、SiO2 、RSiO3/2 、R2 SiO、R3 SiO
1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を
有するシリコ−ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、
エチル基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニ
ル基、ベンジル基等の芳香族基を示す。
【0052】このようなポリジメチルシロキサンは、上
記の構造単位に対応するオルガノハロシランを共加水分
解して重合することにより得られる。前記シリカは、
無定形の二酸化ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水
素系化合物系のシランカップリング剤で処理した炭化水
素系化合物被覆シリカが好ましい。
【0053】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0054】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサ−のよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0055】本発明で用いられる(F)流動性向上剤
は、芳香族ビニル単位とアクリル酸エステル単位から
なる共重合樹脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、
高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪
族アルコ−ル、または金属石鹸であり、それらを一種
以上組み合わした剤をも含有する。上記共重合樹脂の
芳香族ビニル単位は、(A)成分の説明において示した
芳香族ビニル単位であり、アクリル酸エステル単位は、
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の炭素数が1〜
8のアルキル基からなるアクリル酸エステルである。こ
こで、共重合樹脂中のアクリル酸エステル単位の含量
は、3〜40重量%が好ましく、更には、5〜20重量
%が好適である。また、上記共重合樹脂の分子量の指標
である溶液粘度(樹脂10重量%のMEK溶液、測定温
度25℃)が、2〜10cP(センチポアズ)であるこ
とが好ましい。溶液粘度が2cP未満では、衝撃強度が
低下し、一方、10cPを越えると流動性の向上効果が
低下する。
【0056】上記脂肪族炭化水素系加工助剤は、流動
パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、ポリ
オレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれらの部
分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。上記
高級脂肪酸は、カプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、フェニルステアリン酸、フェロン
酸等の飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライジ
ン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸
等である。
【0057】上記高級脂肪酸エステルは、フェニルス
テアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチル等の脂
肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸ジフェニ
ルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基酸の1価
アルコ−ルエステルであり、さらに、ソルビタンモノラ
ウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモ
ノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、ソルビタント
リオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト等のソルビ
タンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、オレイ
ン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、
ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量体の脂
肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、
ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラ
ウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエ
チレンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ
−ト等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する脂肪
酸エステル、及びネオペンチルポリオ−ルジステアリン
酸エステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エステル
等である。
【0058】前記高級脂肪酸アミドは、フェニルステ
アリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミド、メチ
ロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤ
シ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−
ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、オレ
イン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置換モノア
ミド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステア
リン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニ
ル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪
酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロ
キシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスア
ミドである。
【0059】前記高級脂肪族アルコ−ルは、ステアリ
ルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアルコ−
ル、ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価アルコ−ル、
及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエ
チレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリオキ
シエチレンアリル化エ−テル等のポリアルキレンエ−テ
ルユニットを有するアリル化エ−テル、及びポリオキシ
エチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレントリド
デシルエ−テル、ポリオキシエチレンセチルエ−テル、
ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエ
チレンオレイルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキ
ルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ−
テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル等の
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリエ
ピクロルヒドリンエ−テル、ポリオキシエチレンビスフ
ェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンエチレングリ
コ−ル、ポリオキシプロピレンビスフェノ−ルAエ−テ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ−
ルエ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを有す
る2価アルコ−ルである。
【0060】前記金属石鹸は、上記ステアリン酸等の
高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛やアルミニ
ウムやマグネシウム等の金属塩である。本発明のPPE
系樹脂組成物の製造方法に使用できる成分として前記
(G)スチレン系熱可塑性エラストマ−は、芳香族ビニ
ル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体、ま
たは上記共役ジエン単位部分が水素添加されたブロック
共重合体である。
【0061】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、(A)成分の説明において記載した芳香
族ビニル単量体であり、スチレンが最も好ましいが、ス
チレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合し
てもよい。また、上記ブロック共重合体を構成する共役
ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を
挙げることができる。
【0062】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその水素添加された単位
からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S
(BS)n 、(但し、nは1〜3の整数)、S(BS
B)n 、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブロッ
ク共重合体や、(SB)n X(但し、nは3〜6の整
数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合
物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部分を
結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体である
ことが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、
SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好まし
い。
【0063】本発明のPPE系樹脂組成物の製造方法に
使用する樹脂成分は、(A)成分と(B)成分からな
り、その樹脂成分の100重量部中に占める(B)成分
の割合は、10〜40重量部の範囲が好ましい。(B)
成分が10重量部未満では、炭化残渣量が少なく難燃性
が充分でなく、40重量部を越えると流動性が低下し、
好ましくない。(B)成分のより好ましい範囲は15〜
30重量部である。
【0064】本発明の樹脂組成物は、樹脂成分100重
量部に対して、(C)ポリマ−添加剤が5〜40重量
部、(D)難燃剤が0〜30重量部、(E)難燃助剤が
0〜30重量部、(F)流動性向上剤が0〜10重量
部、(G)スチレン系熱可塑性エラストマ−が0〜20
重量部を配合することが好ましい。ここで上記範囲内で
は、難燃性、成形加工性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱
性のバランス特性が優れている。
【0065】本発明のPPE系樹脂組成物の製造方法で
は、まず、樹脂成分を溶融押出しした後に、再度ポリマ
−添加剤を溶融押出しする逐次的押出し法、または複数
ゾ−ンからなる押出機で前段で樹脂成分を溶融し、後段
でポリマ−添加剤を溶融押出しする一段押出法等があ
る。ここで、上記一段押出法において、前段で(A)成
分の一部と(B)成分を溶融し、後段で(A)成分の残
部及び(C)成分を溶融押出しすることができる。
【0066】本発明の製造方法で得られる樹脂組成物
は、前記の方法で溶融混練するが、その際にヒンダ−ド
フェノ−ル等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾ−ルやヒン
ダ−ドアミン等の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他
の無機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリ
ン酸亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染
料や顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することがで
きる。このようにして本発明の製造方法で得られたPP
E系樹脂組成物は、例えば、射出成形機または押出成形
することにより、熱安定性、成形加工性(流動性)、難
燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優れた成形品が得られる。
【0067】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。尚、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機を用いて行なった。
【0068】(1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組
成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真
中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出
する。 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3 (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である。) (2)還元粘度ηSP/C ゴム変性芳香族ビニル樹脂1gにメチルエチルケトン1
8mlとメタノ−ル2mlの混合溶媒を加え、25℃で
2時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠
心分離する。上澄み液を取り出しメタノ−ルで樹脂分を
析出させた後、乾燥した。
【0069】このようにして得られた樹脂0.1gをト
ルエンに溶解し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、この
溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液流下秒数 t1 を測定した。一方、別
に同じ粘度計で純トルエンの流下秒数 t0 を測定し、
以下の数式により算出した。 ηSP/C=(t1 /t0 −1)/C (C:ポリマ−濃
度 g/dl) 一方、(B)成分のPPEの還元粘度ηSP/cについて
は、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.5 g/
dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0070】(3)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定した
(Vノッチ、1 /8インチ試験片)。 (4)引張伸度 ASTM−D638に準拠した方法で23℃で測定し
た。 (5)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (6)メルトフロ−レ−ト(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10
分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0071】(7)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片)。
V−0、V−1、V−2のいずれにも属さないランクを
HBとして示す。 (8)各成分の溶解性パラメ−タ−(Solubili
ty Parameter :SP値(δ) Polymer Engineering and S
cience,14,(2),147(1974)に記
載のFedors式(式2)により算出した。
【0072】
【数2】
【0073】[ここで、Δe1 : 各単位官能基当たりの
凝集エネルギ−、Δv1 :各単位官能基当たりの分子容
を示す。δ〔単位:(cal/cm3 )1/2 〕] 尚、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が成
立すると仮定し、単量体ユニットまたはブレンド物の各
成分のSP値の重量比の比例配分により算出した。
【0074】(9)成形品中の分散状態 倒立型金属顕微鏡(OLYMPUS(株)製 PEN
3)で分散状態を観察した。実施例、比較例で用いる各
成分は以下のものを用いた。 (イ)スチレン系樹脂(A成分) ゴム変性スチレン系樹脂 ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名 Nipol 122 OS
L)}を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0075】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(以下HIPS−1と称する)。
【0076】得られたゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析
した結果、ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量平均
粒子径は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.53d
l/gであった。 ゴム変性スチレン系樹脂 旭化成工業(株)製のゴム変性スチレン系樹脂を用い
た。ゴム含量(%) ゴムの重量平均粒子径 (μ還元粘度 (ηsp/c) MO(%) 略称 12.3 1.25 0.79 0 HIPS-2 9.5 1.85 0.61 2 HIPS-3 ゴム非変性スチレン系樹脂〔ポリスチレン〕 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万)〔(旭化成工業(株)製)(以下、GPP
Sと称する)〕を用いた。
【0077】(ロ)PPE(B成分) 高分子量PPEの製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。 撹拌しながら反応機内部に酸素
を吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分
間重合を行った。
【0078】重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のPPE(以下PPE−1と
称する)を得た。還元粘度ηSPは0.55dl/gであ
った。 低分子量PPEの製造 上記高分子量PPE−1の製造において、重合時間を9
0分に短縮すること以外、PPE−1と同一の実験を繰
り返しPPE(以下PPE−2と称する)を得た。得ら
れたPPE−2の還元粘度ηsp/Cは0.41dl/g
であった。
【0079】(ハ)ポリマ−添加剤〔有機リン化合物
(C成分)〕 ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比
1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレ
ゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え、更に
反応させた。
【0080】反応を完結させるために、徐々に昇温し最
終的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了さ
せた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩
素分を除去してリン酸エステル混合物(以下FR−1と
称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー 東ソ−(株)製、HLC−
8020 移動相 テトラヒドロフラン)により分析し
たところ、(化13)の(1)のジフェニルレゾルシニ
ルホスフェート(以下TPP−OHと称する)と、トリ
フェニルホスフェート(以下TPPと称する)と、(化
13)の(2)の芳香族縮合リン酸エステル(以下TP
Pダイマーと称する)からなり、重量比がそれぞれ5
4.2/18.3/27.5であった。
【0081】
【化13】
【0082】ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルの製造 上記FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等
モルのハイドロキノンを用いた以外は、上記ヒドロキ
シル基含有芳香族リン酸エステルの製造と同一の実験を
行なって、リン酸エステル混合物(以下FR−2と称す
る)を得た。得られた混合物をGPCにより分析したと
ころ、ジフェニルハイドロキノニルホスフェ−ト(以下
TPP−OH−Pと称する)、トリフェニルホスフェ−
ト(TPP)、芳香族縮合リン酸エステル〔以下TPP
ダイマ−(p)と称する〕、及び芳香族縮合リン酸エス
テル〔以下TPPオリゴマ−(p)と称する〕からな
り、重量比がそれぞれ64.6/12.4/17.0/
6.0であった。
【0083】
【化14】
【0084】(但し、n=1:TPPダイマー(p) n≧2:TPPオリゴマー(p)と称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 上記FR−1の製造において、フェノ−ルの代わりに等
モルのクレゾ−ルを用いた以外は、上記ヒドロキシル
基含有芳香族リン酸エステルの製造と同一の実験を行な
って、リン酸エステル混合物(以下FR−3と称する)
を得た。得られた混合物をGPCにより分析したとこ
ろ、ジクレジルレゾルシニルホスフェ−ト(以下TCP
−OHと称する)、トリクレジルホスフェ−ト(TC
P)、芳香族縮合リン酸エステル(以下TCPダイマ−
と称する)、芳香族縮合リン酸エステル〔以下TCPオ
リゴマ−と称する〕、及びレゾルシンからなり、重量比
がそれぞれ52.2/11.2/32.1/3.1/
1.4であった。
【0085】
【化15】
【0086】(但し、n=1:TCPダイマー n≧2:TCPオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 上記FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−
ルの代わりにモル比1.0のフェノ−ルとモル比1.0
のクレゾ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルの
ハイドロキノンを用いた以外は、上記ヒドロキシル基
含有芳香族リン酸エステルの製造と同一の実験を行なっ
て、リン酸エステル混合物(以下FR−4と称する)を
得た。
【0087】得られた混合物をGPCにより分析したと
ころ、フェニルクレジルハイドロキノニルホスフェ−ト
(以下CPQ−OHと称する)、ジクレジルフェニルホ
スフェ−ト(DCP)、芳香族縮合リン酸エステル(以
下CPQダイマ−と称する)、芳香族縮合リン酸エステ
ル(以下CPQオリゴマ−と称する)、及びフェノ−ル
からなり、重量比がそれぞれ68.4/13.5/1
6.8/1.1/0.2であった。
【0088】
【化16】
【0089】(但し、n=1:CPQダイマー n≧2:CPQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 上記FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−
ルの代わりにモル比2.0のクレゾ−ルを、そしてレゾ
ルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いた以外
は、上記ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの
製造と同一の実験を行なって、リン酸エステル混合物
(以下FR−5と称する)を得た。得られた混合物をG
PCにより分析したところ、ジクレジルハイドロキノニ
ルホスフェ−ト(以下CQ−OHと称する)、トリクレ
ジルホスフェ−ト(TCP)、芳香族縮合リン酸エステ
ル(以下CQダイマ−と称する)、芳香族縮合リン酸エ
ステル(以下CQオリゴマ−と称する)、及びハイドロ
キノンからなり、重量比がそれぞれ65.4/12.4
/19.8/1.3/1.1であった。
【0090】
【化17】
【0091】(但し、n=1:CQダイマー n≧2:CQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 上記FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等
モルのビスフェノ−ルAを用いた以外は、上記ヒドロ
キシル基含有芳香族リン酸エステルの製造と同一の実験
を行なって、リン酸エステル混合物(以下FR−6と称
する)を得た。
【0092】得られた混合物をGPCにより分析したと
ころ、ジフェニルビスフェニルAホスフェ−ト(以下P
BP−OHと称する)、トリフェニルホスフェ−ト(T
PP)、芳香族縮合リン酸エステル(以下PBPダイマ
−と称する)、芳香族縮合リン酸エステル(以下PBP
オリゴマ−と称する)、及びビスフェノ−ルAからな
り、重量比がそれぞれ37.7/16.5/27.2/
12.2/6.4であった。
【0093】
【化18】
【0094】(但し、n=1:PBPダイマー n≧2:PBPオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 上記FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−
ルの代わりにモル比2.0のキシレノ−ルを、そしてレ
ゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いた以
外は、上記ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル
の製造と同一の実験を行なって、リン酸エステル混合物
(以下FR−7と称する)を得た。
【0095】このようにして得られた混合物をGPCに
より分析したところ、ジキシレニルハイドロキノニルホ
スフェ−ト(以下XQ−OHと称する)、トリキシレニ
ルホスフェ−ト(TXP)、芳香族縮合リン酸エステル
(以下XQダイマ−と称する)、芳香族縮合リン酸エス
テル(以下XQオリゴマ−と称する)、ハイドロキノ
ン、及びキシレノ−ルからなり、重量比がそれぞれ6
2.2/13.8/3.2/19.8/0.5/0.5
であった。
【0096】
【化19】
【0097】(但し、n=1:XQダイマー n≧2:XQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルの製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0の2,6−キシレノ−ルを、そし
てレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用い
た以外は、上記ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エス
テルの製造と同一の実験を行なって、リン酸エステル混
合物(以下FR−8と称する)を得た。
【0098】このようにして得られた混合物をGPCに
より分析したところ、ジ(2,6−キシレニル)ハイド
ロキノニルホスフェ−ト(以下X26Q−OHと称す
る)、芳香族縮合リン酸エステル〔以下X26Qダイマ
−と称する〕、及びハイドロキノンからなり、重量比が
それぞれ72.1/26.3/1.6であった。
【0099】
【化20】
【0100】(但し、n=1:X26Qダイマー n≧2:X26Qオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741C
(以下fr−1と称する)}を用いた。
【0101】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、(化21)で表わされるTCP−
A−ダイマーとTCP−A−オリゴマーとトリクレジル
フォスフェート(TCP)からなり、重量比でそれぞれ
80.4/14.1/5.5であった。
【0102】
【化21】
【0103】(但し、n=1:TCP−A−ダイマー n≧2:TCP−A−オリゴマーと称する。) (10)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル 市販の芳香族縮合リン酸エステル{大八化学工業(株)
製、商品名 CR733S(以下fr−2と称する)}
を用いた。
【0104】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、(化22)で表わされるTPPダ
イマーとTPPオリゴマーからなり、重量比でそれぞれ
65/35であった。
【0105】
【化22】
【0106】(但し、n=1:TPPダイマー n≧2:TPPオリゴマーと称する。) (11)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル〔ト
リフェニルホスフェート(TPP)〕 市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学工業(株)製、
商品名 TPP(以下TPP称する)〕を用いた。
【0107】(ニ)難燃助剤(E成分) トリアジン骨格含有化合物 市販のメラミンシアヌレ−ト〔日産化学(株)製、商品
名 MC610(以下、MCと称する。)〕を用いた。 フッ素系樹脂(PTFE) 火種の滴下の抑制剤として、市販のポリテトラフルオロ
エチレン〔三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品
名 テフロン6J(以下PTFEと称する)〕を用い
た。PTFEの添加方法については、PPE−MB/P
TFE/EBS〔98/1/1(重量比)〕のマスタ−
バッチを330℃で作製し、規定量になるように樹脂組
成物に配合する方法により行なった。
【0108】(ホ)流動性向上剤(F成分) エチレンビスステアリン酸アミド(EBS) 市販のエチレンビスステアリン酸アミド〔花王(株)製
商品名 カオ−ワックスEB−FF(以下EBSと称す
る)〕を用いた。
【0109】
【化23】[C17H35CONH]2 (CH2 )2 (ヘ)スチレン系熱可塑性エラストマ−(G成分) スチレン−ブタジエンブロック共重合体(TPE) 市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合体〔スチレ
ンブロック/ブタジエン由来ブロック=28/72(重
量比) SBS型 〔シェル社製 商品名 カリフレッ
クス TRKX65S(以下TPEと称する)〕を用い
た。
【0110】
【実施例1、比較例1〜6】HIPS−1/GPPS/
PPE−2/FR−1/EBS/TPE=41/40/
19/13/2/4(重量比)からなる樹脂組成物を製
造した。即ち、サイドフィ−ド可能な二軸押出機(We
rner Pfleiderer社製 ZSK−40m
mΦ )を用い、回転数295rpm、吐出量80kg
/hで表1の条件で溶融混練し、樹脂組成物を製造し
た。
【0111】次いで、得られた組成物を射出成形機(樹
脂温度200℃)により試験片を作製し、難燃性、外
観、及びアイゾット衝撃強さの評価を行なった。表1及
び図1(実施例)、図2(比較例)にその結果を示す。
表1及び図1、図2によると、以下のことが分かる。樹
脂成分とポリマ−添加剤を分離せずに溶融押出しする
と、PPEの未溶融物が生成し、外観及び特に引張伸度
の低下が著しい。また、前段の樹脂成分中のPPE含有
量が50重量%未満ではせん断力がかからず、未溶融物
が生成する。
【0112】
【実施例2〜8】実施例1において、樹脂組成物を、H
IPS−2/HIPS−3/GPPS/PPE−1/リ
ン酸エステル/MC/EBS=19/44/11/26
/19/15/2(重量比)に変更した以外は実施例1
と同一の実験を繰り返した。表2にその結果を示す。
【0113】表2によると、ヒドロキシル基含有リン酸
エステルを有機リン化合物として用いた場合には、成形
加工流動性、耐熱性、及び衝撃強さのバランス特性が優
れていることが分かる。ここで、ヒドロキシル基を含有
することにより、樹脂成分として特にスチレン系樹脂、
またはPPEを用いた場合、両者の間に部分相溶性が発
現する。この部分相溶性の指標として、樹脂成分と
(C)成分との溶解性パラメ−タ−(Solubili
ty Parameter:SP値)の差ΔSP値を用
いた(図3参照)。
【0114】即ち、樹脂成分(HIPS/GPPS/P
PE−1)のSP値が9.9であり、一方、(C)成分
中のTPP−OH(ヒドロキシル基含有リン酸エステ
ル)、TPP、TPPダイマ−、TPPオリゴマ−、T
CP、TCP−A−ダイマ−、TCP−A−オリゴマ−
のSP値が、それぞれ11.8、10.7、10.8、
10.8、8.8、9.3、9.4であり、ΔSP値は
それぞれ、1.9、0.8、0.9、0.9、1.1、
0.6、0.5である(図1参照)。
【0115】ここで、ΔSP値が約1以下の場合には、
完全相溶性を呈し、流動性は向上するが、耐熱性は低下
する。ところが、TPP−OHのようにΔSP値が1.
5〜2.0の場合には、部分相溶性を呈する。その結
果、成形加工時には、可塑化を促進し、流動性向上剤と
して作用し、一方、成形体としての使用時には両者の部
分相溶性のために上記ヒドロキシル基含有リン酸エステ
ルがやや相分離することにより耐熱性が向上すると推察
される。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【発明の効果】本発明のPPE系樹脂組成物の製造方法
は、押出し安定性に優れ、高い生産性を有するものであ
り、耐衝撃性、引張特性、曲げ特性等の機械的特性及び
外観の著しく向上したPPE系樹脂組成物が得られる。
本発明の製造方法により得られるPPE系樹脂組成物
は、家電部品、OA機器部品等に好適であり、これら産
業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の成形体の表面の代表的な倒立型金属
顕微鏡写真の模式図である。
【図2】比較例1の成形体の表面の代表的な倒立型金属
顕微鏡写真の模式図である。
【図3】表2の熱可塑性樹脂と有機リン化合物のFed
ors式により算出されたSP値(溶解性パラメ−タ
−)を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/12 LQP

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スチレン系樹脂成分と(B)ポリ
    フェニレンエーテルを有する樹脂成分とからなる樹脂成
    分が(C)100℃で液状であるポリマ−添加剤成分を
    含有する樹脂組成物の製造方法において、上記(A)
    (B)からなる樹脂成分が(B)成分を50重量%以上
    含有しており、まず、上記(A)(B)成分からなる樹
    脂組成物を250〜350℃で溶融し、ついで、(A)
    成分の溶融しない残りの樹脂成分と(C)成分とを20
    0〜250℃で溶融し、押出しすることを特徴とするポ
    リフェニレンエ−テル系樹脂組成物の製造方法。
JP32871593A 1993-12-24 1993-12-24 ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法 Withdrawn JPH07179615A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998010020A1 (fr) * 1996-09-09 1998-03-12 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Composition de resine thermoplastique
WO2003089442A1 (en) * 2002-04-22 2003-10-30 Songwon Industrial Co., Ltd. A method of preparing phosphoric ester
JP2004136643A (ja) * 2002-08-22 2004-05-13 Asahi Kasei Chemicals Corp 難燃樹脂組成物の製造方法

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WO1998010020A1 (fr) * 1996-09-09 1998-03-12 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Composition de resine thermoplastique
WO2003089442A1 (en) * 2002-04-22 2003-10-30 Songwon Industrial Co., Ltd. A method of preparing phosphoric ester
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