JPH07316383A - 衝撃強度と剛性の優れた良流動難燃性樹脂組成物 - Google Patents

衝撃強度と剛性の優れた良流動難燃性樹脂組成物

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JPH07316383A
JPH07316383A JP10984994A JP10984994A JPH07316383A JP H07316383 A JPH07316383 A JP H07316383A JP 10984994 A JP10984994 A JP 10984994A JP 10984994 A JP10984994 A JP 10984994A JP H07316383 A JPH07316383 A JP H07316383A
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rubber
resin
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flame
weight
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JP10984994A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝撃強度と剛性が著しく高く、かつ難燃性、
耐熱性、及び流動性の優れたスチレン系樹脂組成物の提
供。 【構成】 ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエ
−テルおよびヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステ
ルを有する有機リン化合物とからなる樹脂組成物であっ
て、該ゴム変性スチレン系樹脂のゴム粒子の重量平均粒
子径が、0.1〜0.9μmの範囲にある小粒子ゴムと
重量平均粒子径が、1.0〜3.0μmの範囲にある大
粒子ゴムからなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は衝撃強度と剛性の優れた
難燃性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、衝撃強度、
剛性、難燃性、耐熱性、及び流動性の優れたスチレン系
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、寸法安定性、成形性
に優れることに加え、剛性、電気絶縁性に優れているこ
とから、自動車部品、家電部品、OA機器部品を始めと
する多岐の分野で使用されているが、スチレン系樹脂の
易燃性のためにその用途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレン系樹脂
に添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、近年火災に対す
る安全性の要求がとみにクロ−ズアップされ、家電製
品、OA機器等に対する米国UL(アンダ−ライタ−ズ
・ラボラトリ−)垂直法燃焼試験の規制が年とともに厳
しくなってきた事や、軽量化、経済性向上の為、製品、
部品の肉厚が薄くなってきたことで、燃焼時に火種が滴
下し、このため他の製品や部品を損傷するといったこと
が発生したり、また機械的性質、特に製品の梱包落下時
の実用強度として重要な衝撃強度が低下するという問題
も起こっている。
【0004】そして、家電部品の薄肉化や家電部品の大
型化の必要性が生じた場合には、従来以上に剛性が要求
される。しかしながら、剛性を向上させるためにゴム量
を削減すると衝撃強度、特に面衝撃強度の低下が著し
く、二律背反の技術的制約があった。スチレン系樹脂の
衝撃強度を向上させる方法として、特開昭60−223
850号公報には、小粒子ゴム(0.7〜1.1μm)
と大粒子ゴム(3.0〜7.0μm)から構成されるゴ
ム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエ−テルからな
る樹脂組成物が開示されている。該公報の樹脂組成物
は、耐クラック性を改良することを意図した組成物であ
り、特定の難燃剤と特定のゴム粒子径分布により、難燃
性と衝撃強度のバランス特性が改良されることは開示さ
れていない。
【0005】また、特開昭57−153035号公報に
は、小粒子ゴム(1.5μm以下)と大粒子ゴム(3.
0μm以上)から構成されるゴム変性スチレン系樹脂と
ポリフェニレンエ−テルチレンと防炎添加剤からなる艶
消し性と難燃性の改良を意図した樹脂組成物が開示され
ている。しかし、難燃性と衝撃強度およひ流動性とのバ
ランスの改良という点で問題が残されている。
【0006】さらには、特開平1−223158号公報
には、ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルとフェ
ノ−ル樹脂との組み合わせが開示されている。しかし、
フェノ−ル樹脂と上記ヒドロキシル基含有芳香族リン酸
エステルとの組み合わせにより、耐熱性を保持しつつ、
流動性を向上させ、熱可塑性樹脂の生計加工性改良剤と
しての効果は開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち衝撃強
度、剛性、難燃性、耐熱性及び流動性の優れたスチレン
系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはスチレン系
樹脂の衝撃強度と剛性の改良技術を鋭意検討した結果、
特定のゴム粒子径分布を有するゴム変性スチレン系樹脂
とポリフェニレンエ−テルとヒドロキシル基含有芳香族
系リン酸エステルとを組み合わすことにより、驚くべき
ことに難燃性、流動性、及び耐熱性を保持しつつ、衝撃
強度と剛性を飛躍的に向上させることが可能になること
を見出し、本発明に到達した。
【0009】即ち、本発明は、(A)ゴム変性スチレン
系樹脂、(B)ポリフェニレンエ−テル、(C)ヒドロ
キシル基含有芳香族系リン酸エステルを有する有機リン
化合物からなる樹脂組成物であって、該(A)ゴム変性
スチレン系樹脂のゴム粒子が重量平均粒子径が、0.1
〜0.9μmの範囲にある小粒子ゴムと重量平均粒子径
が、1.0〜3.0μmの範囲にある大粒子ゴムからな
ることを特徴とする難燃性樹脂組成物、である。
【0010】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
難燃性樹脂組成物は、特定のゴム粒子径分布を有する
(A)ゴム変性スチレン系樹脂と(B)ポリフェニレン
エ−テルと(C)ヒドロキシル基芳香族系リン酸エステ
ルを有する有機リン化合物からなる物である。上記
(A)ゴム変性スチレン系樹脂は、成形用樹脂組成物の
主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担う。(B)
ポリフェニレンエ−テルは(A)ゴム変性スチレン系樹
脂の熱分解を抑制したり、または燃焼時に成形体表面に
炭化被膜を形成して難燃性をを付与する。(C)ヒドロ
キシル基芳香族系リン酸エステルを有する有機リン化合
物成分は難燃剤であり、成形加工改良剤でもある。難燃
剤としては、燃焼時に固相では、(B)ポリフェニレン
エ−テル成分の脱水剤として作用し、炭化被膜の形成を
促進し、気相では燃焼ラジカルの捕捉剤として作用す
る。また、成形加工改良剤としては、耐熱性と衝撃強度
を保持しつつ、成形加工流動性を向上させる。
【0011】ここで、(A)ゴム変性スチレン系樹脂お
いて、特定の大粒子ゴムと特定の小粒子ゴムの組み合わ
せが重要である。両者の組み合わせにより粒子間距離が
小さくなり、クレ−ズが連なり、クレ−ズ間の相互作用
が増大し衝撃強度が向上する。本発明の難燃性樹脂組成
物は、次に、難燃剤であると同時に成形加工性改良剤で
もある(C)ヒドロキシル基芳香族系リン酸エステルを
有する有機リン化合物を含有することが重要である。
【0012】芳香族リン酸エステルがヒドロキシル基を
有することにより、(A)ゴム変性スチレン系樹脂、
(B)ポリフェニレンエ−テルからなる樹脂成分との間
に部分相溶性が発現する。この部分相溶性の指標として
樹脂成分と(C)ヒドロキシル基芳香族系リン酸エステ
ルを有する有機リン化合物成分中のヒドロキシル基含有
リン酸エステルとの溶解性パラメ−タ−(Solubi
lity Parameter:SP値)の差が1.0
〜2.0[単位:〔cal/cm3 〕1/2 ]の範囲にある
ことが好ましい。
【0013】その結果、成形加工時には、上記リン酸エ
ステルが可塑化を促進し、流動性向上剤として作用し、
一方、成形体としての使用時には両者の部分相溶性のた
めに上記リン酸エステルがやや相分離することにより耐
熱性が向上する。本発明者らは、この部分相溶性こそ
が、耐熱性を保持しつつ、流動性を大幅に向上させる原
理であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】本発明に用いる(A)ゴム変性スチレン系
樹脂は、ゴム成分を必須成分とするが、ゴム変性スチレ
ン系樹脂を主体にポリスチレン等のゴム非変性スチレン
系樹脂を含有したスチレン系樹脂をも含む。上記ゴム変
性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体よりなるマ
トリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重
合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量
体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を
加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、
溶液重合、または乳化重合することにより得られる。
【0015】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であるこ
とが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下す
る。
【0016】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0017】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0018】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要の
ある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアク
リル酸エステルを用いることができる。また更に、樹脂
組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α−メ
チルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合してもよ
い。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香族単量体と
共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40重量%であ
る。
【0019】本発明におけるゴム変性スチレン系樹脂に
添加するゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、
特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な
単量体混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好
ましくは90〜50重量%の範囲にある。この範囲外で
は、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランス
が取れなくなる。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上
する。
【0020】本発明に用いるゴム変性スチレン系樹脂の
ゴム粒子は、重量平均粒子径が、0.1〜0.9μmの
範囲にある小粒子ゴムと、重量平均粒子径が、1.0〜
3.0μmの範囲にある大粒子ゴムからなることが重要
である。小粒子ゴムの重量平均粒子径が0.1μm未満
では衝撃強度及び難燃性が低下し、0.9μmを越える
と、剛性及び外観(光沢)が低下する。また、大粒子ゴ
ムの重量平均粒子径が1.0μm未満では衝撃強度及び
難燃性が低下し、3.0μmを越えると、衝撃強度、剛
性及び外観(光沢)が低下する。
【0021】上記小粒子ゴムは、例えばスチレンと1,
3−ブタジエンとのブロック共重合体から得られるカプ
セル構造体(一つのゴム粒子内にただ一つのオクル−ジ
ョンを有する粒子構造)であり、上記大粒子ゴムは、例
えばポリブタジエンから得られるサラミ構造体(一つの
ゴム粒子内に複数のオクル−ジョンを有する粒子構造)
であり、(A)ゴム変性スチレン系樹脂のゴム中の前者
の比率は20〜80重量%であり、後者のそれは80〜
20重量%であることが好ましい。
【0022】また、上記スチレンと1,3−ブタジエン
とのブロック共重合体は、含まれるブタジエンの量が1
5〜35重量%であることが好ましく、構造がSBSB
またはSBS(Sはスチレン重合体ブロック、Bは1,
3−ブタジエンあるいはブタジエンを主体とする重合体
ブロックである)で示されるブロック共重合体である。
【0023】本発明に用いる(A)ゴム変性スチレン系
樹脂は、小粒子ゴムを含有するゴム変性スチレン系樹脂
と大粒子ゴムを含有するゴム変性スチレン系樹脂とを別
々に作り、押出機等でブレンドすることにより製造する
か、または小粒子ゴムと大粒子ゴムのゴム変性スチレン
系樹脂を重合反応機にて混合することにより製造するこ
とができる。
【0024】具体的には、ゴム質重合体、単量体混合
物、及び重合溶媒よりなる均一な重合原液を撹はん機付
き連続多段式塊状重合反応機に供給し、連続的に重合、
脱気する塊状重合法が好ましい。塊状重合法による製造
の場合、ゴム粒子径の制御は、撹はん回転数で行ない、
小粒子化は回転数を上げ、大粒子化は回転数を下げるこ
とによる。
【0025】本発明に用いるゴム変性スチレン系樹脂
は、分子量の尺度である還元粘度ηsp/c(0.5g
/dl、トルエン溶液、30℃測定)が、0.30〜
0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、0.4
0〜0.60dl/gの範囲にあることがより好まし
い。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関
する上記要件を満たすための手段としては、重合開始剤
種と量、重合温度、溶剤、連鎖移動剤量の調整等を挙げ
ることができる。
【0026】本発明に用いる(B)ポリフェニレンエ−
テル(以下PPEと略称する。)は、下記式で示される
結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体であ
る。
【0027】
【化1】
【0028】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジ
メチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール
との共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かか
るPPEの製造方法は特に限定されるものではなく、例
えば、米国特許第3,306,874号明細書記載の方
法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒とし
て用い、例えば2,6キシレノールを酸化重合すること
により容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,3
061075号明細書、米国特許第3,257,357
号明細書、米国特許3,257,358号明細書、及び
特公昭52−17880号公報、特開昭50−5119
7号公報に記載された方法で容易に製造できる。
【0029】本発明にて用いる上記PPEの還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好
ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあること
がより好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を
満たすための手段としては、前記PPEの製造の際の触
媒量の調整などを挙げることができる。
【0030】本発明の難燃性樹脂組成物中の樹脂成分
に、(A)ゴム変性スチレン系樹脂(以下、単に(A)
成分、と略す)、(B)ポリフェニレンエ−テル(以
下、単に(B)成分と、略す)と相溶もしくは均一分散
し得る熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、
ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、
ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカ
ーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは
二種以上を混合したものを使用することができる。
【0031】本発明に用いる(A)成分、(B)成分か
らなる樹脂成分の100重量部中に占める(B)成分の
割合は、10〜40重量部の範囲が好ましい。(B)成
分が10重量部未満では、炭化残渣量が少なく難燃性が
充分でなく、40重量部を越えると流動性が低下し、好
ましくない。(B)成分のより好ましい範囲は15〜3
0重量部である。
【0032】本発明に用いる(C)ヒドロキシル基含有
芳香族系リン酸エステルを有する有機リン化合物(以
下、単に(C)成分、と略す)の有機リン化合物は、ヒ
ドロキシル基含有芳香族リン酸エステルを必須成分とす
るが、ヒドロキシル基を含有しない有機リン化合物をも
含むことができる。本発明に用いる(C)成分がヒドロ
キシル基を含有しない有機リン化合物を含む場合、両者
の量比については、前者が20〜80重量%、後者が8
0〜20重量%であることが好ましい。
【0033】上記ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エ
ステルは、トリクレジルフォスフェ−トやトリフェニル
フォスフェ−トやそれらの縮合リン酸エステル等に1個
または2個以上のフェノ−ル性水酸基を含有したリン酸
エステルであり、例えば下記の化合物である。
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】(但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4
、Ar5 、Ar6 はフェニル基、キシレニル基、エチ
ルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニ
ル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に
少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換
されている。また、nは0〜3の整数を表わし、mは1
以上の整数を表わす。) 本発明に用いるヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エス
テルの中でも特に、ジフェニルレゾルシニルフォスフェ
−ト(下記化4の式)または、ジフェニルハイドロキノ
ニルフォスフェ−ト(下記化5の式)が好ましく、その
製造方法は、例えば特開平1 −223158号公報に開
示されており、フェノ−ル、ヒドロキシフェノ−ル、塩
化アルミニウム及びオキシ塩化リンの反応により得られ
る。
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】上記ヒドロキシル基を含有しない有機リン
化合物は、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、
ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン
酸エステル、亜リン酸エステル等である。より具体的に
は、トリフェニルフォスフェート、メチルネオベンチル
フォスファイト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォ
スファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フ
ェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリト
ールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハ
イポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスフ
ァイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチ
ルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハ
イポジフォスフェートである。
【0040】本発明の難燃性樹脂組成物に必要に応じ
て、(C)成分以外の難燃剤として、ハロゲン系、リン
系及び無機系の難燃剤〔以下、(D)成分という〕を配
合することができる。上記ハロゲン系難燃剤としては、
ハロゲン化ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0041】前記リン系難燃剤としては、赤リン、
無機系リン酸塩等が挙げられる。本発明において使用す
る上記赤リンとは、一般の赤リンの他に、その表面を
あらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸
化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被
覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0042】リン系難燃剤の前記無機系リン酸塩は、
ポリリン酸アンモニウムが代表的である。また、(D)
成分中の前記無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサ
イト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸
マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物
等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸
亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウ
ム、ムーカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等
が挙げられる。これらは、1種でも2種以上を併用して
もよい。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサ
イトからなる群から選ばれたものが難燃効果が良く、経
済的にも有利である。
【0043】本発明の難燃性樹脂組成物に必要に応じ
て、トリアジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、
含金属化合物、シリコ−ン樹脂、シリコ−ンオイ
ル、シリカ、アラミド繊維、フッ素系樹脂、ポ
リアクリロニトリル繊維から選ばれる一種以上の難燃助
剤〔以下、(E)成分という〕を配合することができ
る。
【0044】上記トリアジン骨格含有化合物は、リン
系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上させるた
めの成分である。その具体例としては、メラミン、メラ
ム(下記 化6)、メレム (下記化7)、メロン(6
00℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアに
よる生成物)、メラミンシアヌレ−ト (下記化8)、
リン酸メラミン(下記化9)、サクシノグアナミン
(下記化10)、アジポグアナミン、メチルグルタログ
アナミン、メラミン樹脂 (下記化11)、BTレジン
(下記化12)等を挙げることができるが、耐揮発性
の観点から特にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0045】
【化6】
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】前記ノボラック樹脂は、燃焼時の火種の
滴下を抑制(耐ドリップ性)するための成分であり、か
つヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用する
場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そして、
その樹脂は、フェノ−ル類とアルデヒド類を硫酸または
塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可塑
性樹脂であり、その製造方法は、「高分子実験学5『重
縮合と重付加』p.437〜455(共立出版(株)」
に記載されている。ノボラック樹脂製造の一例を下記化
13に示す。
【0053】
【化13】
【0054】上記フェノ−ル類は、フェノ−ル、o−ク
レゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノ−ル、ピロカ
テコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエ−ト、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノ−ル、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネ−ト、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネ−ト、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネ−ト、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネ−ト等である。
【0055】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナ−ル、n−ブタナ−
ル、イソプロパナ−ル、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナ−ル、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
前記含金属化合物は、金属酸化物及び/または金属粉
である。上記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化
鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸
化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバ
ルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アン
チモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の
単体または、それらの複合体(合金)であり、上記金属
粉は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モ
リブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、
銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単体または、
それらの複合体である。
【0056】前記シリコ−ン樹脂は、SiO2 、RS
iO3/2 、R2 SiO、R3 SiO1/2 の構造単位を組
み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ−ン樹
脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジル基
等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した
置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシリコ
−ン樹脂が好ましい。このようなシリコ−ン樹脂は、上
記の構造単位に対応するオルガノハロシランを共加水分
解して重合することにより得られる。前記シリコ−ン
オイルは、下記の式化14に示される化学結合単位から
なるポリジオルガノシロキサンである。
【0057】
【化14】
【0058】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリ−ル基、下記の化15、化16で示され
る含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置換基
であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有することが
好ましい。
【0059】
【化15】
【0060】
【化16】
【0061】前記シリコ−ンオイルの粘度は、600〜
1000000センチポイズ(25°C)が好ましく、
さらに好ましくは90000〜150000センチポイ
ズ(25°C)である。前記シリカは、無定形の二酸
化ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系
のシランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被
覆シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水
素系化合物被覆シリカが好ましい。
【0062】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0063】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサ−のよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0064】前記アラミド繊維は、平均直径が1〜5
00μmで平均繊維長が0.1〜10mmであることが
好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラフェニレ
ンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または硫酸に溶
解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することにより製造
することができる。前記フッ素系樹脂は、更に一層、
耐ドリップ性を向上させるための成分であり、樹脂中に
フッ素原子を含有する樹脂である。その具体例として、
ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、
ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体等を挙げることができる。また、耐ドリップ
性を損わない程度に必要に応じて上記含フッ素モノマ−
と共重合可能なモノマ−とを併用してもよい。
【0065】これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国
特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,
534,058号明細書に開示され、例えばテトラフル
オロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg
/cm2 の加圧下、0〜200°Cの温度で重合し、次
いで懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、また
は沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られ
る。
【0066】ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混
練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融する
ことが好ましい。せん断力下、融点以上での溶融によ
り、高度にフィブリル化し、配向結晶化する。そして、
フッ素系樹脂が幹繊維に対して、枝分かれした特殊な高
次構造を有するフッ素系樹脂が得られる。その結果とし
て、三次元的に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融
適下を抑制する。また、高せん断力を与えるために、ゴ
ム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、ポ
リフェニレン−テル等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で溶
融することが好ましい。
【0067】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練して
マスタ−バッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤
と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィ−
ド可能な二ゾ−ンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素
系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げ
て難燃剤をフィ−ド、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0068】前記ポリアクリロニトリル繊維は、平均
直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mm
であることが好ましく、ジメチルホルムアミド等の溶媒
に重合体を溶解し、400°Cの空気流中に乾式紡糸す
る乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解し水中
に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。本発明の
難燃性樹脂組成物に必要に応じて、芳香族ビニル単位
とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹脂、脂肪
族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、
高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコ−ル、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤〔以下、(F)成分という〕を配合することができ
る。
【0069】上記共重合樹脂の芳香族ビニル単位は、
(A)成分の説明において示した芳香族ビニル単位であ
り、アクリル酸エステル単位は、アクリル酸メチル、ア
クリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基からな
るアクリル酸エステルである。 ここで、共重合樹脂中
のアクリル酸エステル単位の含量は、3〜40重量%が
好ましく、更には、5〜20重量%が好適である。ま
た、上記共重合樹脂の分子量の指標である溶液粘度(樹
脂10重量%のMEK溶液、測定温度25℃)が、2〜
10cP(センチポアズ)であることが好ましい。溶液
粘度が2cP未満では、衝撃強度が低下し、一方、10
cPを越えると流動性の向上効果が低下する。
【0070】前記脂肪族炭化水素系加工助剤は、流動
パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、ポリ
オレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれらの部
分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。前記
高級脂肪酸は、カプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、フェニルステアリン酸、フェロン
酸等の飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライジ
ン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸
等である。
【0071】前記高級脂肪酸エステルは、フェニルス
テアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチル等の脂
肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸ジフェニ
ルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基酸の1価
アルコ−ルエステルであり、さらに、ソルビタンモノラ
ウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモ
ノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、ソルビタント
リオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト等のソルビ
タンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、オレイ
ン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、
ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量体の脂
肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、
ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラ
ウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエ
チレンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ
−ト等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する脂肪
酸エステル、及びネオペンチルポリオ−ルジステアリン
酸エステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エステル
等である。
【0072】前記高級脂肪酸アミドは、フェニルステ
アリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミド、メチ
ロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤ
シ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−
ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、オレ
イン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置換モノア
ミド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステア
リン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニ
ル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪
酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロ
キシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスア
ミドである。
【0073】前記高級脂肪族アルコ−ルは、ステアリ
ルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアルコ−
ル、ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価アルコ−ル、
及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエ
チレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリオキ
シエチレンアリル化エ−テル等のポリアルキレンエ−テ
ルユニットを有するアリル化エ−テル、及びポリオキシ
エチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレントリド
デシルエ−テル、ポリオキシエチレンセチルエ−テル、
ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエ
チレンオレイルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキ
ルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ−
テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル等の
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリエ
ピクロルヒドリンエ−テル、ポリオキシエチレンビスフ
ェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンエチレングリ
コ−ル、ポリオキシプロピレンビスフェノ−ルAエ−テ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ−
ルエ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを有す
る2価アルコ−ルである。
【0074】前記金属石鹸は、上記ステアリン酸等の
高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛やアルミニ
ウムやマグネシウム等の金属塩である。本発明の難燃性
樹脂組成物に必要に応じて、熱可塑性エラストマ−〔以
下、(G)成分という〕を配合することができ、例え
ば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル
系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ
塩化ビニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エ
ラストマ−が好ましい。
【0075】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマ−
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。上記ブロ
ック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、前記
(A)成分の説明において記載した芳香族ビニル単量体
であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に
上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0076】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。そして、ブロック共重合体のブ
ロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロッ
クをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に
水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示
する場合、SB、S(BS)n 、(但し、nは1〜3の
整数)、S(BSB)n 、(但し、nは1〜2の整数)
のリニア−ブロック共重合体や、(SB)n X(但し、
nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポ
リエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で表示さ
れる、B部分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック
共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、
SBSの3型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重
合体が好ましい。
【0077】本発明の難燃性樹脂組成物は、(A)成分
としてゴム変性スチレン系樹脂を主成分とし、必要に応
じてゴム非変性スチレン系樹脂を配合したスチレン系樹
脂と、(B)成分を配合した樹脂成分、(C)成分とし
てヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを含有し
た有機リン化合物、(E)成分としてトリアジン骨格含
有化合物、(F)成分として高級脂肪酸アミド、(G)
成分としてスチレン−ブタジエンのブロック共重合体の
組み合わせが好ましい。
【0078】本発明の難燃性樹脂組成物は、上記(A)
成分、(B)成分からなる樹脂成分100重量部に対し
て、(C)成分の有機リン化合物が1〜50重量部、
(D)成分その他の難燃剤が0〜30重量部、(E)成
分の難燃助剤が0〜40重量部、(F)流動性向上剤が
0〜20重量部、(G)成分の熱可塑性エラストマ−が
0〜30重量部を配合することが好ましい。
【0079】ここで上記範囲内では、難燃性、成形加工
性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特性が優
れている。本発明の難燃性樹脂組成物を溶融押出しする
方法は、全成分を同時に溶融押出してもいいし、または
まず樹脂成分を溶融押出しした後に、再度ポリマ−添加
剤を溶融押出しする逐次的押出し法、あるいは複数ゾ−
ンからなる押出機で前段で樹脂成分を溶融し、後段でポ
リマ−添加剤を溶融押出しする一段押出法等がある。こ
こで、(A)成分としてゴム変性スチレン系樹脂、
(B)成分としてポリフェニレンエ−テルからなる樹脂
成分を用いた場合、上記一段押出法において、前段で
(A)成分の一部と(B)成分を溶融し、後段で(A)
成分の残部及び(C)成分等の樹脂成分以外の添加剤成
分を溶融押出しすることができる。
【0080】本発明の難燃性樹脂組成物は、上記方法で
溶融混練することにより得られるが、その際に酸化防止
剤、紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無機系やハ
ロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の
滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料等の
着色剤等を必要に応じて添加することができる。このよ
うにして得られた本発明の組成物を例えば、射出成形機
または押出成形することにより、成形加工性(流動
性)、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優れた成形品が得
られる。
【0081】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 尚、実施例、比較例における測定は、以下の
方法もしくは測定機を用いて行なった。 (1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組
成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真
中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出
する。 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3 (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である。)
【0082】(2)還元粘度ηSP/C ゴム変性芳香族ビニル樹脂1gにメチルエチルケトン1
8mlとメタノ−ル2mlの混合溶媒を加え、25℃で
2時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠
心分離する。上澄み液を取り出しメタノ−ルで樹脂分を
析出させた後、乾燥した。
【0083】このようにして得られた樹脂0.1gをト
ルエンに溶解し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、この
溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液流下秒数 t1 を測定した。一方、別
に同じ粘度計で純トルエンの流下秒数 t0 を測定し、
以下の数式により算出した。 ηSP/C=(t1 / t0 − 1)/C (C:ポリ
マ−濃度 g/dl) 一方、(A)成分のPPEの還元粘度ηSP/cについて
は、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.5 g/
dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0084】(3)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1 /8インチ試験片) (4)面衝撃強度 ASTM−D1709に類似の方法で23℃で測定し
た。具体的には、デュポン衝撃試験機(東洋精機製作
所)を用い、撃芯先端直径が6.4mmR、長さ5.2
mmのダ−ト(重錘200g)を受台直径9.5mm、
穴深さ4.0mmの受台上の成形体(70mm角、厚み
1mm又は2mmの成形体)表面に接触固定して、最高
50cmの高さから、荷重を成形体に落下させて、成形
体の50%が破壊する時の荷重の重量を50%破壊荷重
とし、それに落下荷重を乗じて50%破壊エネルギ−を
算出した。この50%破壊エネルギ−を面衝撃強度とし
た。単位はkgcmである。
【0085】(5)引張強さ、引張伸度 ASTM−D638に準拠した方法で23℃で測定し
た。 (6)曲げ強さ、曲げ弾性率 ASTM−D790に準拠した方法で23℃で測定し
た。ここで、曲げ弾性率を剛性の指標とした。 (7)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (8)メルトフロ−レ−ト(MFR) 流動性の指標でISO−R1133に準拠した方法で測
定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10分間
あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0086】(9)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) (10)各成分の溶解性パラメ−タ−(Solubil
ity Parameter :SP値(δ) Polymer Engineering and S
cience,14,(2),147(1974)に記
載のFedors式により算出した。 δ=√〔Σ(Δe1)/Σ(Δv1)〕 [ここで、Δe1 : 各単位官能基当たりの凝集エネルギ
−、Δv1 :各単位官能基当たりの分子容を示す。δ
〔単位:(cal/cm2)1/2 〕] 尚、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が成
立すると仮定し、単量体ユニットまたはブレンド物の各
成分のSP値の重量比の比例配分により算出した。
【0087】(11)樹脂成分と有機リン化合物との相
溶性評価 樹脂成分をクロロホルムに溶解し、樹脂5重量%の溶液
とした。次いで、各種有機リン化合物を混合し、ホット
ップレ−ト上でフィルムを作製し、目視により相溶性を
判定した。実施例、比較例は各成分として以下のものを
用いた。
【0088】(イ) A成分 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン 0.03重量%
【0089】次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段
式反応機に連続的に送液して、第1段は撹拌数190r
pm、126℃、第2段は50rpm、133℃、第3
段は20rpm、140℃、第4段は20rpm、15
5℃で重合を行った。引き続きこの固形分73%の重合
液を脱揮装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、
ゴム変性芳香族ビニル樹脂を得た(HIPS−1と称す
る)。得られたゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結
果、ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径
は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/g
であった。 次いで、ゴム種、ゴム量、ゴムの重量平均
粒子径、及び還元粘度ηsp/cの異なったHIPSを
製造した。即ち、上記製造条件において、ゴムとして、
前記ポリブタジエン、またはスチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体〔スチレン/ブタジエン=40/60(重
量比)、シス1,4結合/トランス1,4結合/ビニル
1,2結合重量比=37/50/13)〕を用い、撹反
数を変更することによりゴムの重量平均粒子径を制御
し、α−メチルスチレン2量体の量を変更することによ
り還元粘度を制御した。得られたHIPSを表1に示
す。
【0090】
【表1】
【0091】ゴム非変性スチレン系樹脂〔ポリスチレ
ン(GPPS)〕 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万)〔(旭化成工業(株)製)(以後、GPP
Sと称する)〕を用いた。 (ロ) B成分 )高分子量PPEの製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間
重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηSPは0.55
dl/gであった。
【0092】)低分子量PPEの製造 上記高分子量PPE−1の製造において、重合時間を9
0分に短縮すること以外、PPE−1と同一の実験を繰
り返した。得られたポリフェニレンエ−テルをPPE−
2と称する。還元粘度ηsp/Cは0.41dl/gであ
った。 (ハ)C成分の有機リン化合物 ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
1)の製造 フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比
1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体にレ
ゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え、更に
反応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最
終的には180℃まで温度を上げてエステル化を完了さ
せた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩
素分を除去してリン酸エステル混合物(以下FR−1と
称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー 東ソ−(株)製、HLC−
8020 移動相 テトラヒドロフラン)により分析し
たところ、化17の式(1)のジフェニルレゾルシニル
ホスフェート(以下TPP−OHと称する)と、トリフ
ェニルホスフェート(以下TPPと称する)と、下記化
17の式(2)の芳香族縮合リン酸エステル(以下TP
Pダイマーと称する)からなり、重量比がそれぞれ5
4.2/18.3/27.5であった。
【0093】
【化17】
【0094】ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ル(FR−2)の製造 FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モル
のハイドロキノンを用いること以外、同様の実験を行な
った。このようにして得られたリン酸エステル混合物を
FR−2と称する。この混合物をGPCにより分析した
ところ、ジフェニルハイドロキノニルホスフェ−ト(T
PP−OH−Pと称する)、トリフェニルホスフェ−ト
(TPP)、芳香族縮合リン酸エステル〔TPPダイマ
−(p)と称する〕、及び芳香族縮合リン酸エステル
〔TPPオリゴマ−(p)と称する〕からなり、重量比
がそれぞれ64.6/12.4/17.0/6.0であ
った。
【0095】
【化18】
【0096】(但し、n=1:TPPダイマー(p) n≧2:TPPオリゴマー(p)と称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
3)の製造 FR−1の製造において、フェノ−ルの代わりに等モル
のクレゾ−ルを用いること以外、同様の実験を行なっ
た。このようにして得られたリン酸エステル混合物をF
R−3と称する。この混合物をGPCにより分析したと
ころ、ジクレジルレゾルシニルホスフェ−ト(TCP−
OHと称する)、トリクレジルホスフェ−ト(TC
P)、芳香族縮合リン酸エステル〔TCPダイマ−と称
する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔TCPオリゴマ−
と称する〕、及びレゾルシンからなり、重量比がそれぞ
れ52.2/11.2/32.1/3.1/1.4であ
った。
【0097】
【化19】
【0098】(但し、n=1:TCPダイマー n≧2:TCPオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
4)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比1.0のフェノ−ルとモル比1.0のク
レゾ−ルを、そしてレゾルシンの代わりに等モルのハイ
ドロキノンを用いること以外、同一の実験を行なった。
このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−
4と称する。この混合物をGPCにより分析したとこ
ろ、フェニルクレジルハイドロキノニルホスフェ−ト
(CPQ−OHと称する)、ジクレジルフェニルホスフ
ェ−ト(DCP)、芳香族縮合リン酸エステル〔CPQ
ダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔CP
Qオリゴマ−と称する〕、及びフェノ−ルからなり、重
量比がそれぞれ68.4/13.5/16.8/1.1
/0.2であった。
【0099】
【化20】
【0100】(但し、n=1:CPQダイマー n≧2:CPQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
5)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0のクレゾ−ルを、そしてレゾルシ
ンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以
外、同様の実験を行なった。このようにして得られたリ
ン酸エステル混合物をFR−5と称する。この混合物を
GPCにより分析したところ、ジクレジルハイドロキノ
ニルホスフェ−ト(CQ−OHと称する)、トリクレジ
ルホスフェ−ト(TCP)、芳香族縮合リン酸エステル
〔CQダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エステル
〔CQオリゴマ−と称する〕、及びハイドロキノンから
なり、重量比がそれぞれ65.4/12.4/19.8
/1.3/1.1であった。
【0101】
【化21】
【0102】(但し、n=1:CQダイマー n≧2:CQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
6)の製造 FR−1の製造において、レゾルシンの代わりに等モル
のビスフェノ−ルAを用いること以外、同様の実験を行
なった。このようにして得られたリン酸エステル混合物
をFR−6と称する。この混合物をGPCにより分析し
たところ、ジフェニルビスフェニルAホスフェ−ト(P
BP−OHと称する)、トリフェニルホスフェ−ト(T
PP)、芳香族縮合リン酸エステル〔PBPダイマ−と
称する〕、芳香族縮合リン酸エステル〔PBPオリゴマ
−と称する〕、及びビスフェノ−ルAからなり、重量比
がそれぞれ37.7/16.5/27.2/12.2/
6.4であった。
【0103】
【化22】
【0104】(但し、n=1:PBPダイマー n≧2:PBPオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
7)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0のキシレノ−ルを、そしてレゾル
シンの代わりに等モルのハイドロキノンを用いること以
外、同様の実験を行なった。このようにして得られたリ
ン酸エステル混合物をFR−7と称する。この混合物を
GPCにより分析したところ、ジキシレニルハイドロキ
ノニルホスフェ−ト(XQ−OHと称する)、トリキシ
レニルホスフェ−ト(TXP)、芳香族縮合リン酸エス
テル〔XQダイマ−と称する〕、芳香族縮合リン酸エス
テル〔XQオリゴマ−と称する〕、ハイドロキノン、及
びキシレノ−ルからなり、重量比がそれぞれ62.2/
13.8/3.2/19.8/0.5/0.5であっ
た。
【0105】
【化23】
【0106】(但し、n=1:XQダイマー n≧2:XQオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル(FR−
8)の製造 FR−1の製造において、モル比2.0のフェノ−ルの
代わりにモル比2.0の2,6−キシレノ−ルを、そし
てレゾルシンの代わりに等モルのハイドロキノンを用い
ること以外、同様の実験を行なった。このようにして得
られたリン酸エステル混合物をFR−8と称する。この
混合物をGPCにより分析したところ、ジ(2,6−キ
シレニル)ハイドロキノニルホスフェ−ト(X26Q−
OHと称する)、芳香族縮合リン酸エステル〔X26Q
ダイマ−と称する〕、及びハイドロキノンからなり、重
量比がそれぞれ72.1/26.3/1.6であった。
【0107】
【化24】
【0108】(但し、n=1:X26Qダイマー n≧2:X26Qオリゴマーと称する。) ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(fr
−1) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741C
(fr−1と称する)}を用いた。
【0109】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、化25 で表わされるTCP−A
−ダイマーとTCP−A−オリゴマーとトリクレジルフ
ォスフェート(TCP)からなり、重量比でそれぞれ8
0.4/14.1/5.5であった。
【0110】
【化25】
【0111】(但し、n=1:TCP−A−ダイマー n≧2:TCP−A−オリゴマーと称する。) (10)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(f
r−2) 市販の芳香族縮合リン酸エステル{大八化学工業(株)
製、商品名 CR733S(fr−2と称する)}を用
いた。また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、GPC
分析によると、化26で表わされるTPPダイマーとT
PPオリゴマーからなり、重量比でそれぞれ65/35
であった。
【0112】
【化26】
【0113】(但し、n=1:TPPダイマー n≧2:TPPオリゴマーと称する。) (11) ドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル〔ト
リフェニルホスフェート(TPP)〕 市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学工業(株)製、
商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。 (ニ)E成分(難燃助剤) ビニル基含有シリコ−ンオイル(SI) 市販の 下記の化27の式で示されるビニル基含有シリ
コ−ンオイル〔信越化学工業(株)製 X−21−58
33 ビニル基含有構造単位20モル% (SIと称す
る)〕を用いた。
【0114】
【化27】
【0115】トリアジン骨格含有化合物 市販のメラミンシアヌレ−ト〔日産化学(株)製 、商
品名 MC610(以後、MCと称する。)〕を用い
た。 フッ素系樹脂(PTFE) 火種の滴下の抑制剤として、市販のポリテトラフルオロ
エチレン〔三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品
名 テフロン6J(PTFEと称する)〕を用いた。P
TFEの添加方法については、PPE−MB/PTFE
/EBS〔98/1/1(重量比)〕のマスタ−バッチ
を330℃で作製し、規定量になるように樹脂組成物に
配合する方法により行なった。
【0116】(ホ)F成分(流動性向上剤) エチレンビスステアリン酸アミド(EBS) 市販のエチレンビスステアリン酸アミド〔花王(株)製
商品名 カオ−ワックスEB−FF(EBSと称す
る)〕を用いた。
【0117】
【化28】
【0118】(ヘ)H成分(スチレン系熱可塑性エラス
トマ−) スチレン−ブタジエンブロック共重合体(TPE−
1) 市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合体〔スチレ
ンブロック/ブタジエン由来ブロック=28/72(重
量比) SBS型 〔シェル社製 商品名 カリフレッ
クス TRKX65S(TPE−1と称する)〕を用い
た。 スチレン−ブタジエンブロック共重合体(TPE−
2) 市販のスチレン−ブタジエンブロック共重合〔スチレン
/ブタジエンブロックコポリマ−(40/60重量比)
旭化成工業(株)製〕を用いた。(TPE−2称する)
【0119】
【実施例 1〜3 比較例 1〜4 】以下の組成物
A、Bを、機械的に混合し、サイドフィ−ド可能な二軸
押出機(Werner Pfleiderer社製 Z
SK−40mmΦ )を用い、溶融押出しを行なった。
即ち、押出機の前段でPPE/GPPSを320°Cで
溶融し、後段で残りの成分をサイドフィ−ドし、270
°C、回転数295rpm、吐出量80kg/hで溶融混
練した。
【0120】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ−
温度200℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、各種物性評価を行なった。表2及び図2にその結果
を示す。 組成物A :表2記載の樹脂成分/FR−1/fr−1
/MC/SI/TPE−2/EBS=100/16/1
5/7/1.5/4/2(重量比) 組成物B :表2記載の樹脂成分/FR−1/fr−1
/TPE−2/EBS=100/15/3/6/2(重
量比) 表2及び図2によると、本発明の大粒子と小粒子からな
るHIPSを用いた組成物は、剛性と衝撃強度、特に面
衝撃強度が優れていることが分かる。また、本発明の組
成物の中でもPPEの多い組成物(組成物BよりA)の
方が面衝撃強度の向上効果が大きいことが分かる。
【0121】
【表2】
【0122】
【実施例 4、5 比較例 5〜14 】表3記載の樹
脂成分(HIPS/ GPPS/PPE)/FR−1/M
C/EBSを、それぞれ100/26/15/2(重量
比)で、機械的に混合し、実施例1と同一の実験を繰り
返した。表3及び図3にその結果を示す。表3及び図3
によると、本発明の大粒子と小粒子からなるHIPSを
用いた組成物は、流動性と衝撃強度のバランス特性が優
れていることが分かる。また、小粒子HIPS単独の衝
撃強度は低いが、それにPPEを添加すると著しく向上
する。PPEを添加することにより、組成物が延性的に
なり、小粒子HIPSでも強度が発現することが分か
る。
【0123】
【表3】
【0124】
【実施例 6〜17 】実施例1において、樹脂組成物
を、HIPS−1/HIPS−2/GPPS/PPE−
1/PPE−2/表4記載の有機リン化合物/MC/P
TFE/EBS=32/31/11/19/7/26/
6/0.07/2(重量比)に変更すること以外、実施
例1と同様の実験を繰り返した。表4、5及び図1にそ
の結果を示す。
【0125】表4及び図1によると、ヒドロキシル基含
有リン酸エステルを有機リン化合物として用いた場合に
は、成形加工流動性、耐熱性、及び衝撃強さのバランス
特性が優れていることが分かる。ここで、ヒドロキシル
基を含有することにより、樹脂成分として特にスチレン
系樹脂、またはポリフェニレンエ−テルを用いた場合、
両者の間に部分相溶性が発現する。この部分相溶性の指
標として、樹脂成分と(C)成分との溶解性パラメ−タ
−(Solubility Parameter:SP
値)の差ΔSP値及び樹脂成分と有機リン化合物からな
るフィルムの目視判定を用いた(図1参照)。
【0126】即ち、樹脂成分(HIPS/GPPS/P
PE)のSP値が10.1であり、一方、(C)成分中
のヒドロキシル基含有リン酸エステル(TPP−O
H)、TPP、TPPダイマ−、TPPオリゴマ−、T
CP、TCP−A−ダイマ−、TCP−A−オリゴマ−
のSP値が、それぞれ12.3、10.7、11.1、
11.1、10.5、9.3、9.4であり、ΔSP値
はそれぞれ、2.2、0.6、1.0、1.0、0.
4、0.8、0.7である(図1参照)。
【0127】ここで、ΔSP値が約1以下の場合には、
完全相溶性を呈し、流動性は向上するが、耐熱性は低下
する。ところが、TPP−OHのようにΔSP値が1.
5〜2.5の場合には、部分相溶性を呈する。その結
果、成形加工時には、可塑化を促進し、流動性向上剤と
して作用し、一方、成形体としての使用時には両者の部
分相溶性のために上記リン酸エステルがやや相分離する
ことにより耐熱性が向上すると推察される。
【0128】また、表5に記載したように上記ΔSP値
1.0以下の場合は、完全相溶性であり、有機リンの比
較的高添加量領域まで透明なフィルムが得られるが、Δ
SP値が1.5を越えると相溶性が低下してフィルムが
白濁する。この事実は、前述のSP値での解釈と対応す
る。
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【0131】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、従来のも
のと比べ、衝撃強度と剛性が著しく高く、かつ難燃性、
耐熱性、及び流動性の優れたスチレン系樹脂組成物であ
る。この組成物は、家電部品、OA機器部品等に好適で
あり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】表4及び表5に記載の熱可塑性樹脂と有機リン
化合物のFedors式により算出されたSP値(溶解
性パラメ−タ−)を示した図である。
【図2】比較例1、2、実施例1、2のHIPS2
(0.34μm)/HIPS1(1.53μm)の組成
比と、面衝撃強度〔kgcm (2mm厚)〕と曲げ弾
性率(kg/ cm2 )との関係を示した図である。
【図3】比較例11〜13〔HIPS4(2.0μm)
/HIPS3(1.25μm)〕と、比較例14、実施
例4、5〔HIPS5(0.2μm)/HIPS3
(1.25μm)〕のMFRとアイゾット衝撃強度との
関係を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)
    ポリフェニレンエ−テル、(C)ヒドロキシル基含有芳
    香族系リン酸エステルを有する有機リン化合物からなる
    樹脂組成物であって、該(A)ゴム変性スチレン系樹脂
    のゴム粒子が重量平均粒子径が、0.1〜0.9μmの
    範囲にある小粒子ゴムと、重量平均粒子径が、1.0〜
    3.0μmの範囲にある大粒子ゴムからなることを特徴
    とする難燃性樹脂組成物。
JP10984994A 1994-05-24 1994-05-24 衝撃強度と剛性の優れた良流動難燃性樹脂組成物 Withdrawn JPH07316383A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063258A (ja) * 2004-08-30 2006-03-09 Kyocera Chemical Corp ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及びその用途。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063258A (ja) * 2004-08-30 2006-03-09 Kyocera Chemical Corp ハロゲンフリー難燃性樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及びその用途。

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