JP2000248143A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2000248143A
JP2000248143A JP11049631A JP4963199A JP2000248143A JP 2000248143 A JP2000248143 A JP 2000248143A JP 11049631 A JP11049631 A JP 11049631A JP 4963199 A JP4963199 A JP 4963199A JP 2000248143 A JP2000248143 A JP 2000248143A
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JP11049631A
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Takashi Chiba
尚 千葉
Tokuyuki Yamaguchi
徳幸 山口
Tetsuji Noda
鉄二 野田
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性及び流動性に優れ、かつ耐熱性、耐衝
撃性の物性バランスに優れた難燃性樹脂組成物をゴム変
性スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とを
必須成分とする樹脂組成物で提供すること。 【解決手段】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂及びポリ
フェニレンエーテル系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹
脂組成物100重量部、(B)燐化合物1〜50重量
部、(C)シリコーングラフト共重合体及びシリコーン
含有複合ゴムのグラフト共重合体から選択される少なく
とも1種を0.1〜20重量部、及び(D)硼素化合
物、亜鉛化合物、及び錫化合物の群から選択される少な
くとも1種の難燃助剤0.01〜10重量部を含有する
難燃性樹脂組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性樹脂組成物
に関するものである。さらに詳しくは、臭素系難燃剤等
のハロゲン系難燃剤を使用せずに難燃性及び流動性が良
好で、かつ耐熱性及び耐衝撃性のバランスにも優れた特
性を有する難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、耐衝撃性スチレン(以下、H
iPSと略す。)やアクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(以下、ABS樹脂と略す)等のゴム変
性スチレン系樹脂は、優れた物性バランスと成形加工性
の良さ等から幅広い用途で使用されている。しかし、用
途によっては、難燃性を有していることが必要条件とな
る。例えば、電気・電子機器部品、OA機器、家庭用品
あるいは建築材料として用いられる場合等である。ゴム
変性スチレン系樹脂に難燃性を付与する方法としては、
一般的にハロゲン系難燃剤、例えば臭素系難燃剤を添加
するが、混練時及び成形時に臭素系難燃剤の一部が分解
し、遊離の臭素ガスや臭素化合物が生成し、混練機や射
出成形機のシリンダー、スクリュー及び金型の表面を腐
食させたり、電気・電子機器部品分野では、金属部品を
腐食させ、接点不良や導通不良を引き起こしたりする。
さらに、臭素系難燃剤の中には、成形加工時や燃焼時に
極めて少量ながら、極めて有毒なブロム化ジベンゾダイ
オキシンやジベンゾフラン等が含まれる例が指摘されて
おり、作業場の労働環境を悪化させるばかりでなく、こ
のような臭素系難燃剤を含む樹脂製品を焼却処理する際
には、自然環境を著しく汚染する危険性も十分考えられ
る。
【0003】このような欠点を取り除くための方法とし
て、臭素系難燃剤の代わりに、燐化合物等を、HiPS
/PPE(ポリフェニレンエーテル系樹脂)アロイやP
C(ポリカーボネート樹脂)/ABSアロイへ添加する
ことが提案されている(特開平2−32154号公報、
特開平6−116459号公報、特開昭57−1530
35号公報)。しかしながら、これらのHiPS/PP
EアロイやPC/ABSアロイに燐化合物を配合した樹
脂組成物は、臭素系難燃剤を添加したHiPSやABS
に比較して流動性が低い(流動性が悪くなる)ため、大
型成形物を成形する場合、未充填、ヒケ、シルバー等の
外観不良が発生しやく、また、より高い成形温度が必要
となり、成形サイクルが長引くなり、成形時のエネルギ
ー消費が増大する等の課題が残されていた。
【0004】また、HiPS又はHiPS/PPEアロ
イとリン系難燃剤等の混合物に特定の粘度のポリオルガ
ノシロキサンを添加した樹脂組成物が開示されている
(特開平10−110076号公報、特開平9−286
893号公報)。しかしながら、これらの難燃性組成物
では、易滴下型難燃が向上し着火滴下型難燃性は得られ
るが、非滴下性難燃性の改良が課題として残されてい
る。また、HiPS/PPEアロイにおいて、シリコー
ン含有複合ゴムのグラフト共重合体は難燃性を損なわず
に耐衝撃性を大きく改良できることが記されているが
(特開平9−151315号公報)、さらなる難燃性の
改良が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な課題を背景になされたものであり、成形加工時や燃焼
時の有害物質の発生のおそれが無く、しかも、難燃性及
び流動性に優れ、かつ耐熱性及び耐衝撃性の物性バラン
スにも優れた難燃性樹脂組成物をゴム変性スチレン系樹
脂を必須成分とする樹脂組成物で提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ゴム変性スチ
レン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂と燐化合物
とを必須成分とする樹脂組成物において、特定の珪素含
有化合物と特定の難燃助剤とを併用することにより、難
燃性が向上し、その結果、燐化合物やポリフェニレンエ
ーテル系樹脂、必要に応じて用いるポリカーボネート樹
脂等のエンジニアリングプラスチックの配合量を低減す
ることができ、流動性を大幅に改良できることを見出し
本発明に到達したものである。
【0007】即ち、本発明は、(A)ゴム変性スチレン
系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂を必須成分と
する熱可塑性樹脂組成物100重量部、(B)燐化合物
1〜50重量部、(C)シリコーングラフト共重合体及
びシリコーン含有複合ゴムのグラフト共重合体から選択
される少なくとも1種を0.1〜20重量部、及び
(D)硼素化合物、亜鉛化合物、及び錫化合物の群から
選択される少なくとも1種の難燃助剤0.01〜10重
量部を含有する難燃性樹脂組成物である。
【0008】以下に本発明をさらに詳細に説明する。ま
ず、(A)ゴム変性スチレン系樹脂及びポリフェニレン
エーテル系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹脂組成物、
並びにその製法から説明する。(A)成分の必須成分で
あるゴム変性スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体を
必須成分とする(共)重合体よりなるマトリックス(樹
脂成分)中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合
体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体
及び必要に応じて、これと共重合可能なビニル単量体を
加えた単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、
乳化重合及び溶液重合することにより得られる。このよ
うな樹脂の例としては、HiPS、ABS樹脂、AAS
樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重
合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロ
ピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。芳香
族ビニル単量体を必須成分とするマトリッスにおける芳
香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体との重量
比は、50〜100/0〜50,好ましくは、60〜1
00/0〜40、特に好ましくは、70〜100/0〜
30である。芳香族ビニル単量体の割合が、50重量%
未満になると、成形性、耐熱性、弾性率の少なくとも1
つの特性が損なわれる。
【0009】(A)成分の必須成分であるゴム変性スチ
レン系樹脂の製法に使用される必須成分である芳香族ビ
ニル単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、t−ブチルスチレン、ハロスチレン、ス
チレンスルホン酸ナトリウム、インデン、アセナフチレ
ン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、α−メチルス
チレンである。また、ゴム変性スチレン系樹脂におい
て、必要に応じて使用できる共重合可能なビニル単量体
としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フ
マロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン
化ビニル単量体、メチルアクリル酸エステルやエチルア
クリル酸エステル、ブチルアクリル酸エステル等のアク
リル酸エステル単量体、メチルメタクリル酸エステル、
エチルメタクリル酸エステル、シクロヘキシルメタクリ
ル酸エステル等のメタクリル酸エステル単量体、アクリ
ル酸アミドやメタクリル酸アミド等の不飽和カルボン酸
アミド単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘ
キシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N
−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)マレイミド、N−(アルキル置換フェニル)マレイ
ミド等の不飽和ジカルボン酸イミド単量体、及びグリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニル
グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリ
シジルシナメート、メタアリルグリシジルエーテル、N
−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジ
メチルベンジル}アクリルアミド、N−{4−(2,3
−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジルメ
タクリルアミド等のエポキシ基を含有するビニル単量体
等が挙げられるが、好ましくは、アクリロニトリル、メ
タクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、マレイミ
ド、及びグリシジルメタクリレート等のビニル単量体で
ある。勿論、これらの2種類以上のビニル単量体を併用
してもよい。
【0010】(A)成分の必須成分であるゴム変性スチ
レン系樹脂に使用されるゴム状重合体は、ガラス転移温
度(Tg)が10℃以下であることが必要であり、10
℃を超えると耐衝撃性が低下する。ゴム状重合体の例と
して、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合
体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、イソ
プレン−スチレン共重合体、クロロプレンゴム等のジエ
ン系ゴム及び上記ジエン系ゴムを(部分)水素添加した
ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル系
ゴム、エチレン−プロピレン(ジエン成分)共重合体等
が挙げられる。特に好ましくは、ジエン系ゴムである。
【0011】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、2〜70重量%、好ましくは、3〜65重量
%、特に好ましくは、4〜60重量%である。ゴム状重
合体の含有量が2重量%未満では、耐衝撃性が低下し、
一方、70重量%を超えると、耐熱性、難燃性及び流動
性の少なくとも1つの特性が損なわれる傾向がある。ま
た、ゴム状重合体の重量平均粒子径は0.1〜5.0μ
m、好ましくは、0.2〜3.0μmであり、特に好ま
しくは、0.3〜2.0μmである。重量平均粒子径が
上記範囲内で特に耐衝撃性が良好になる。
【0012】ゴム変性スチレン系樹脂のマトリックス
(樹脂成分)の重量平均分子量は、8万〜25万であ
る。8万未満の場合、耐衝撃性の低下する傾向があり、
25万を超えると、流動性が低下する。重合開始剤の種
類や量、重合温度、連鎖移動剤の種類や量等により、重
量平均分子量を制御することができる。
【0013】ゴム変性スチレン系樹脂と必要に応じて併
用することができるゴム未変性スチレン系樹脂は芳香族
ビニル単量体及び必要に応じて、これと共重合可能なビ
ニル単量体を加えた単量体混合物を公知の塊状重合、塊
状懸濁重合、乳化重合及び溶液重合することにより得ら
れる。芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体
との重量比は、30〜100/70〜0、好ましくは、
40〜100/60〜0、特に好ましくは、50〜10
0/50〜0である。ビニル芳香族単量体の割合が、3
0重量%未満になると、成形性、耐熱性、耐衝撃性の少
なくとも1つの特性が損なわれる。芳香族ビニル単量体
及び共重合可能なビニル単量体はゴム変性スチレン系樹
脂において例示された芳香族ビニル単量体、シアン化ビ
ニル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸
エステル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体、不飽
和ジカルボン酸イミド単量体、エポキシ基を含有するビ
ニル単量体でよく、いずれの単量体も単独又は2種類以
上併用して用いることができる。ゴム未変性スチレン系
樹脂の具体例としては、ポリスチレン、α−メチルスチ
レン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロ
ニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/メタ
クリル酸メチル共重合体、スチレン/N−フェニルマレ
イミド共重合体、スチレン/N−フェニルマレイミド/
アクリロニトリル共重合体等である。ゴム未変性スチレ
ン系樹脂の組成はゴム変性スチレン系樹脂のマトリック
ス成分と同組成であってもよいが、必ずしも同一組成で
ある必要はない。また、ゴム未変性スチレン系樹脂の重
量平均分子量は、5万〜100万である。5万未満であ
ると、耐衝撃性の低下が大きく、一方、100万を超え
ると、流動性の低下や成形物の外観が損なわれる。
【0014】本発明において使用される(A)成分のも
う1つの必須成分であるポリフェニレンエーテル系樹脂
としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ−n
−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、2,6−ジメチル−1,4−フェニル/2,3,
6−トリメチル−1,4−フェノール共重合体及びこれ
らにそれぞれスチレンをグラフト重合したグラフト共重
合体やこれらに不飽和ジカルボン酸(無水物)等で変性
したものが挙げられる。ポリフェニレンエーテル系樹脂
の還元粘度ηsp/c(濃度0.5g/dl、クロロホ
ルム溶液、温度30℃で測定)は、0.20〜0.70
dl/gの範囲にあることが好ましく、0.35〜0.
60dl/gの範囲にあることがより好ましい。
【0015】本発明の(A)成分における熱可塑性樹脂
組成物は、ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム未変性スチレ
ン系樹脂、及びポリフェニレンエーテル系樹脂が比率
で、5〜99:0〜94:1〜80重量%であることが
好ましい。更に好ましくは、10〜98:0〜88:2
〜70重量%、特に好ましくは、20〜97:0〜7
7:3〜65重量%である。ゴム変性スチレン系樹脂の
割合が5重量%未満であると耐衝撃性や流動性が低下す
る短所が顕著になる。ゴム未変性スチレン系樹脂の割合
が94重量%を超えると、耐衝撃性が低下し、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂が80重量%を超えると流動性が
損なわれ、1重量%未満では難燃性が不足する短所が顕
著になる。
【0016】本発明で用いられる(B)燐化合物は、燐
原子を有する化合物であれば特に制限はなく、燐酸エス
テル、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジル
ホスフィンオキシド、メタンホスホン酸ジフェニル、フ
ェニルホスホン酸ジエチル、ホスファゼン化合物、赤
燐、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸アンモ
ニウム及びポリ燐酸アンモニウムの樹脂被覆物等を挙げ
ることができる。好ましくは一般式(1)で表される有
機燐化合物が用いられる。
【0017】
【化1】 (式中、R1、R2及びR3は互いに独立して、水素原
子又は有機基を表すがR1=R2=R3=Hの場合を除
く。Xは2価以上の有機基を表し、Yは酸素原子又は硫
黄原子、Zはアルコキシ基又はメルカプト基を表す。n
は0又は1であり、pは0又は1であり、qは1〜30
の整数であり、rは0又は1以上の整数を表す。しか
し、これらに限定されるものではない。)
【0018】上記式において、有機基とは例えば、置換
されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基等が挙げられる。また、置換されてい
る場合、置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ
基、アルキルチオ基等が挙げられ、またこれらの置換基
を組み合わせた基(例えばアリールアルコキシアルキル
基等)又はこれらの置換基を酸素原子、硫黄原子、窒素
原子等により結合して組み合わせた基(例えば、アリー
ルスルホニルアリール基等)を置換基として用いてもよ
い。また、2価以上の有機基とは上記した有機基から、
炭素原子に結合している水素原子の一個以上を除いてで
きる2価以上の基を意味する例えばアルキレン基、及び
好ましくは(置換)フェニレン基、多核フェノール類例
えばビスフェノール類から誘導されるものが挙げられ2
以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。特に好ま
しいものとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノール
A]、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ケトン等が挙げられる。
【0019】これらの燐化合物を例示すると、燐酸エス
テルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホ
スフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチ
ルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフ
ェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニル
ホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ェート、トリス(o−フェニルフェニル)ホスフェー
ト、トリス(p−フェニルフェニル)ホスフェート、ト
リナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェ
ート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル
(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピ
ルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェ
ニルジクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、
モノブチルホスフート、ジ−2−エチルヘキシルホスフ
ェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイ
ルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロ
イルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−
2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニ
ル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等及
びこれらの縮合物、例えばレゾルシノールビス(ジフェ
ニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジル
ホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホ
スフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフ
ェート)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェートやポリホスフェートオリゴマ
ー等が挙げられる。
【0020】またトリフェニルホスフェートやトリクレ
ジルホスフェートやそれらの縮合燐酸エステル等に1個
又は2個以上のフェノール性水酸基を含有した、ヒドロ
キシル基含有芳香族系燐酸エステルも燐化合物として用
いることができる。ヒドロキシル基含有芳香族系燐酸エ
ステルとしては、ジフェニルレゾルシノールホスフェー
ト、フェニルジレゾルシノールホスフェート、ジクレジ
ルレゾルシノールホスフェート等が挙げられる。
【0021】本発明では有機燐化合物として燐酸エステ
ルが好ましく用いられ、その中でも特に好ましくはトリ
フェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ト
リキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェ
ニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、キシレニルジフェニルホスフェート、ジ(イソプロ
ピルフェニル)フェニルホスフェート等のモノホスフェ
ートや、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)等のビスホスフェート等が挙げられる。これらの燐
化合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わせ
ても用いることができる。
【0022】本発明で用いられる(C)成分は、シリコ
ーングラフト共重合体及びシリコーン含有複合ゴムのグ
ラフト共重合体の群から選択される少なくとも1種を含
む珪素含有化合物である。
【0023】本発明で用いられるシリコーングラフト共
重合体は、特開平6−248153号公報に記載されて
いるように、イ)1分子中にラジカル反応性基を有する
有機基及び/又はSH基を有する有機基を有する反応性
オルガノポリシロキサンと、ロ)ゴム変性スチレン系樹
脂において例示された芳香族ビニル単量体、シアン化ビ
ニル単量体、メタクリル酸エステル単量体、不飽和ジカ
ルボン酸イミド単量体の少なくともいずれか1種を含む
単量体混合物とを、重量比で5〜95/95〜5の割合
でグラフト共重合して得られる共重合体や、イ)と熱可
塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルメタアク
リレート共重合体、ポリメタアクリル酸メチル等とを過
酸化物の存在下又は不存在下で混練して得られる共重合
体が挙げられる。なお、ラジカル反応性基を持つ有機基
としては、ビニル基、アリル基、γー(メタ)アクリロ
キシプロピル基等、SH基を持つ有機基としては、γー
メルカプトプロピル基等が好適なものとして例示され
る。
【0024】本発明で用いられるシリコーン含有複合ゴ
ムのグラフト共重合体は、特開昭64−79257号公
報に記載されているような、ポリオルガノシロキサンゴ
ム成分と、ポリブタジエンゴム及び/又はアクリルゴム
成分とが交互に絡み合って複合一体化されている構造を
有する複合ゴムと、ゴム変性スチレン系樹脂において例
示された芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、
メタクリル酸エステル単量体、不飽和ジカルボン酸イミ
ド単量体の少なくともいずれか1種を含む単量体混合物
とを、重量比で30〜95/70〜5の割合でグラフト
共重合して得られる共重合体である。シリコーン含有複
合ゴム中のポリオルガノシロキサン成分と、ポリブタジ
エンゴム及び/又はアクリルゴム成分との重量比率は、
3〜97/97〜3であるのが好ましく、複合ゴムの平
均粒子径は0.08〜1.0μm、好ましくは、0.1
〜0.9μm、特に好ましくは、0.15〜0.8μm
である。
【0025】本発明における(D)成分としては、硼酸
メラミン、硼酸アンモニウム、メタ硼酸、硼酸、硼砂、
無水硼酸、硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウ
ム、硼酸マグネシウム、硼酸カドニウム、硼酸鉛、オル
ト硼酸バリウム等の硼素化合物、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、
酸化亜鉛、硫化亜鉛、カルボン酸亜鉛等の亜鉛化合物、
及び錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、酸化錫等の錫化合
物の群から選択される少なくとも1成分を含有する難燃
助剤である。これらの硼素化合物、亜鉛化合物、及び錫
化合物を使用する場合、重量平均粒子径が10μm以
下、特に8μm以下が好ましく、有機界面活性剤、シラ
ン系カップリング剤、チタン系カップリング剤及びアル
ミニウム系カップリング剤で表面処理して使用してもよ
い。
【0026】本発明の難燃性樹脂組成物は、(A)ゴム
変性スチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂
を必須成分とする熱可塑性樹脂組成物100重量部当た
り、(B)燐化合物1〜50重量部、(C)シリコーン
グラフト共重合体及びシリコーン含有複合ゴムのグラフ
ト共重合体から選択される少なくとも1種を0.1〜2
0重量部、及び(D)硼素化合物、亜鉛化合物、及び錫
化合物の群から選択される少なくとも1種を含有する難
燃助剤0.01〜10重量部を含有することを特徴とす
る。好ましくは、(A)成分100重量部当たり、
(B)成分2〜40重量部、(C)成分0.3〜18重
量部、(D)成分0.03〜7重量部、特に好ましく
は、(A)成分100重量部当たり、(B)成分3〜3
0重量部、(C)成分0.5〜15重量部、(D)成分
0.05〜5重量部である。(A)成分100重量部当
たり、(B)成分が1重量部以上、(C)成分が0.1
重量部以上、(D)成分0.01重量部以上の条件を同
時に満たさない場合、難燃性が不足するので、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂の配合割合を増加させる必要があ
り、流動性が低下する短所が現れる。一方、(B)成分
が50重量部を超えると、耐熱性や耐衝撃性が低下した
り、ジューシング等の弊害が発生しやすくなる。(C)
成分が20重量部を超えると、耐熱性、着色性及び塗装
性が低下したり、押出や射出成形時に樹脂が滑り易くな
り作業性の低下が見られるようになる。(D)成分が2
0重量部を超えると、耐衝撃性や流動性が低下する短所
が現れる。
【0027】本発明の難燃性樹脂組成物に必要に応じ
て、上記(A)〜(D)成分に加えて、トリアジン骨格
含有化合物、フッ素系樹脂、ヒドロキシスチレン系樹
脂、フェノール樹脂、シリカ、硼素・亜鉛・錫以外の金
属化合物、加工助剤等を配合することができる。
【0028】トリアジン骨格含有化合物の具体例として
は、メラミン、メラミンシアヌレート、メレム、メロ
ン、蓚酸メラミン、硫酸メラミン、メラミンフタレー
ト、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグ
ルタログアナミン、メラミン樹脂、BTレジン等が挙げ
られるが、メラミンシアヌレートや硫酸メラミンが揮発
性が低く、難燃性の向上の点で特に好ましい。
【0029】本発明で用いることもできるフッ素系樹脂
は、フッ素原子を含有する樹脂であれば、特に制限はな
い。本発明で用いられるフッ素系樹脂を例示すると、ポ
リ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロ
ピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−エチ
レン共重合体、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化
ビニリデン等が挙げられる。これらは1種のみ用いても
よいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。フッ素系
樹脂の形態は、エマルジョン状、懸濁状、ミクロフィブ
リル状、粉末状、粒状等如何なるものであってもよい。
本発明では好ましくはポリ四フッ化エチレンが用いられ
る。
【0030】本発明で使用することもできるヒドロキシ
スチレン系樹脂は、一般式(2)で表わされるモノマー
の(共)重合体が挙げられる。
【化2】 (但し、式中のR4〜R7は水素原子、炭素数1〜16
のアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基又はアラ
ルキル基を表し、mは1〜5の整数、nは0又は1〜4
の整数を表す。)
【0031】ヒドロキシスチレン系樹脂において共重合
可能なビニル単量体としては、(A)成分で述べられた
芳香族ビニル単量体及びビニル単量体が挙げられる。ヒ
ドロキシスチレン系樹脂の具体例としては、ポリp−ビ
ニルフェノール、p−ビニルフェノール/スチレン共重
合体、p−ビニルフェノール/メチルメタクル酸エステ
ル共重合体等が挙げられる。重量平均分子量は500〜
50000、好ましくは、800〜40000、特に好
ましくは、1000〜30000である。
【0032】フェノール系樹脂は、フェノール類とアル
デヒド類及び/又はケトン類を酸性又はアルカリ性触媒
下で反応させて得られる。フェノール類としては、フェ
ノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノー
ル、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフ
ェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、フ
ェノキシフェノール、ハイドロキノン、レゾルシノー
ル、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
サルファイド、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン等、及びこれらの混合物が
挙げられる。
【0033】アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオ
キサール等が挙げられる。また一分子中に少なくともフ
ェノール性水酸基を一個有する芳香族モノアルデヒドも
用いることができる。このような芳香族モノアルデヒド
として、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロ
キシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒ
ド、β−レゾルシルアルデヒド、バニリン等が挙げられ
る。
【0034】ケトン類としては、アセトン等が挙げられ
る。これらのアルデヒド類及び/又はケトン類は1種の
み用いても良いし、2種以上組み合わせて用いることも
できる。
【0035】フェノール系樹脂としてレゾール型、ノボ
ラック型のどちらも使用することが可能であるが、好ま
しくはノボラック型フェノール樹脂が用いられる。本発
明で用いられるノボラック型フェノール樹脂は、上記フ
ェノール類と上記アルデヒド類及び/又はケトン類を酸
触媒下、公知の方法で反応させて得られる。また本発明
においては、上記アルデヒド類及び/又はケトン類の一
部、或いは全部をジシクロペンタジエンやテルペン化合
物に置き換え、上記フェノール類と反応させて得られる
ノボラック型フェノール樹脂も用いることができる。
【0036】更に本発明では、上記アルデヒド類及び/
又はケトン類の一部、或いは全部をアラルキルハライド
誘導体及び/又はアラルキルアルコール誘導体に置き換
え、上記フェノール類と反応させて得られるノボラック
型フェノール樹脂も用いることができる。本発明におけ
るアラルキルハライド誘導体及び/又はアラルキルアル
コール誘導体は一般式(3)で表わされる化合物が用い
られる。
【0037】
【化3】 (但し、式中、R8,R9は塩素、臭素等のハロゲン原
子、水酸基、又はアルコキシ基である化合物である。ア
ルコキシ基としては炭素数4以下の低級アルコキシ基が
好ましい。)
【0038】好ましく使用されるアラルキルハライド誘
導体としては、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、
α,α’−ジブロモ−p−キシレン、α,α’−ジヨー
ド−p−キシレン等が挙げられ、また好ましく使用され
るアラルキルアルコール誘導体としては、α,α’−ジ
ヒドロキシ−p−キシレン、α,α’−ジメトキシ−p
−キシレン、α,α’−ジエトキシ−p−キシレン、
α,α’−ジプロポキシ−p−キシレン、α,α’−ジ
−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α’−ジ−sec
−ブトキシ−p−キシレン、α,α’−ジ−イソブトキ
シ−p−キシレン等が挙げられる。
【0039】シリカとしては、結晶性の二酸化珪素でも
無定形の二酸化珪素でもよい。また、形状も破砕状、球
状のどちらでもよいが、好ましくは、重量平均粒子径が
10μm以下、特に好ましくは、1μm以下である。こ
れらシリカは樹脂中での分散性を良くするため、種々の
カップリング剤で処理したものがより好ましい。
【0040】硼素、亜鉛、錫以外の金属化合物として、
鉄、チタン、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、
モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、アンチモ
ン、ニッケル、銅、タングステン、アルミニウム等の金
属の水酸化物、酸化物、硝酸塩、スルホン酸塩及びカル
ボン酸塩、蓚酸陰イオン処理の水酸化アルミニウム、ニ
ッケル化合物処理の水酸化マグネシウム、フェロセン等
が挙げられる。
【0041】加工助剤としては、流動パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、ポリオレフィンワック
ス、合成パラフィン、テルペン樹脂及びこれらの部分酸
化物、高級脂肪酸及びそれらの金属塩、高級脂肪酸エス
テル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール等が挙
げられる。
【0042】本発明では更に必要に応じて、難燃性や耐
衝撃性等の物性を阻害しない範囲で、(A)成分のゴム
変性スチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂以
外の樹脂を含有することもできる。それらの中の代表的
なものを例示すれば、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリ
エチレンナフタレート等のポリエステル、6−ナイロ
ン、6,6−ナイロン、メタキシリレンジアミン/アジ
ピン酸の芳香族ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアリ
レート、(変性)ポリエチレン、(変性)ポリプロピレ
ン、(変性)エチレン・プロピレン共重合樹脂、ポリメ
チルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタ
ール、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメタクリル酸メ
チル等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合
わせて使用することも可能である。
【0043】本発明の難燃性樹脂組成物は、臭素或いは
塩素を含有する化合物を難燃化成分として使用せずに、
優れた難燃効果を発現するものであるが、通常用いられ
る公知の塩素或いは臭素含有化合物等の難燃化添加剤を
併用することもできる。
【0044】樹脂及び難燃剤等の混合方法には特別の制
限はなく、これらを均一に混合できる手段であればいず
れの手段をも採用できる。例えば、単軸押出機、2軸押
出機、ヘンシェル型ミキサー、バンバリーミキサー、ニ
ーダー、加熱ロール等各種の混合用機械による混合、混
練等が適宜採用できる。混練に際しては、各成分を一括
混練してもよく、また任意の成分を混練したのち、残り
の成分を添加し混練してもよい。好ましい混練方法は、
押出機を用いる方法であり、押出機としては2軸押出機
が特に好ましい。
【0045】この際、必要に応じて難燃性を阻害しない
範囲でその効果が発現する量の種々の充填材や添加剤等
を配合できる。それらを例示するとガラス繊維、アスベ
スト、炭素繊維、チタン酸カリウムウイスカー繊維、金
属繊維、セラミックス繊維、ボロンウイスカー繊維、ア
ラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の繊維状充填
材、マイカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ガラス
ビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、熱膨張性グ
ラファイト等の充填材や、離型剤、可塑剤、分散剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、老化
防止剤、染(顔)料等の添加剤等が挙げられる。更には
樹脂組成物の特性を向上させるための衝撃強度改良剤、
相溶化成分等も配合することができる。
【0046】
【実施例】本発明をさらに説明するために以下にその実
施例を挙げるが、これらの実施例はいかなる意味におい
ても本発明を制限するものではない。なお、本明細書記
載の部及び比は特に記載がなければ、いずれも重量基準
で示したものである。
【0047】以下に実施例及び比較例において使用した
樹脂、燐化合物、珪素含有化合物、及び難燃助剤等を示
す。 (A)成分 (1)ゴム変性スチレン系樹脂の製造 各3リットルの1個の攪拌槽及び3個の塔式反応器及び
脱気槽を直列にした連続重合装置を使用し、以下の方法
で製造した。攪拌槽にスチレン90部に溶解させたブタ
ジエンゴム(日本ゼオン製ニッポール1220)10部
の溶液を供給し、第2段目の塔式反応器の入り口にスチ
レン30部、エチルベンゼン30部の混合液を供給す
る。攪拌槽の反応温度を127℃に、3個の塔式反応器
の出口温度をそれぞれ140℃、145℃、160℃と
する。第3の塔式反応器からでる重合液は、真空度20
mmHg、内部温度250℃で運転される脱気槽に導か
れた後、押出機でペレット化した。以下、このペレット
をAHiPSと略す。得られたゴム変性ステレン系樹脂
を分析した結果、ゴム含量は7.6%、ゴムの重量平均
粒子径は1.6μm、マトリックス(樹脂成分)の重量
平均分子量は181000であった。
【0048】(2)ゴム未変性ステレン系樹脂の製造 攪拌翼を備えた30リットル反応器に、スチレン20k
g、エチルベンゼン5kg及びジ−t−ブテルパーオキ
シヘキサヒドロフタレート10gを仕込み、温度100
℃にて3時間、更に130℃にて3時間重合した。その
後、温度200℃の脱揮槽で減圧下にて残存揮発分を除
去し、押出機にてペレットとし、以下、これをAGPと
略す。重量平均分子量は271000であった。
【0049】なお、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状
重合体の量は、赤外吸収スペクトル法により日本バイオ
ラッドラボラトリーズ社製 FTS−575C型を用い
て測定して求めた。また、ゴムの分散粒子の平均径は、
ゴム変性スチレン系樹脂0.5gをジメチルホルムアミ
ド100gに溶解し、コールターカウンター(日科機社
製 LS−230)を用いて測定を行い、重量平均粒子
径で示した。更に、上記の(1)ゴム変性スチレン系樹
脂及び(2)ゴム未変性ステレン系樹脂の重量平均分子
量は、装置としてSYSTEM−21(RI)(東ソ−
社製)を使用し、テトラハイドロフランを溶離液として
標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いてGP
Cによる測定を行って求めた。
【0050】(3)ポリフェニレンエーテル系樹脂の製
造 攪拌翼を備え、酸素吹き込み口を底部に有する反応器に
トルエン20kg、n−ブタノール15kg、メタノー
ル4kgの混合溶媒に2,6−キシレノール8.75k
gを仕込み、溶解させた後、更に臭化第二銅55g、ジ
−n−ブチルアミン1100gを仕込み、反応温度を3
00℃に制御し、酸素を2時間吹き込み続け重合を行っ
た。析出したポリマーを濾別し、メタノール/塩酸混合
液で残存触媒を分解後、メタノールで洗浄・乾燥し、粉
末状のポリフェニレンエーテルを得た。還元粘度は0.
46であった。これを以下、APPEと略す。なお、還
元粘度は濃度0.5g/d1、クロロホルム溶液、温度
30℃で測定した値である。
【0051】(B)成分 燐化合物として、大八化学工業社製トリフェニルホスフ
ェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)を使用し、以下、それぞれBTPP、BPXと略
す。
【0052】(C)成分 シリコーングラフト共重合体及びシリコーン含有複合ゴ
ムのグラフト共重合体として、以下に示すものを使用し
た。 (1)シリコーングラフト共重合体及びシリコーン含有
複合ゴムのグラフト共重含体の製法 オクタメチルシクロテトラシロキサン1500部、メタ
クリロキシブロピルメチルシロキサン1.2部及ぴ純水
1500部を混含し、これにラウリル酸ナトリウム15
部、ドデシルベンゼンスルホン酸10部を添加後、ホモ
ジナイザーに通し安定なエマルジョンを製造した。この
エマルジョンを温度70℃で12時間加熱後、25℃ま
で冷却し、24時間熟成後、炭酸ナトリウムでpH7に
調整した。水蒸気蒸留で揮発性のシロキサンを除去し、
純水を加え、固形分45%に調整した。得られたエマル
ジョンはメタクリル基を0.03モル%含有するオルガ
ノシロキサンのエマルジョンであり、このエマルジョン
793部と純水1206部を仕込み、窒素雰囲気下で、
温度30℃に調整した後、t−プチルハイドロパーオキ
シド1.0部、L−アスコルビン酸0.5部、硫酸第一
鉄7水和物0.002部を加え、メタクリル酸メテル3
48部、2−ヒドロキシエテルメタクリレート7部及ぴ
1,4−ブタンジオールジアクリレート2部の混合物を
3時問かけて滴下し、滴下終了後、さらに3時問反応さ
せ、固形分30%のエマルジョンが得られた。このエマ
ルジョンに硫酸ナトリウム水溶液を添加し、析出・濾過
・乾燥後、粉体状のシリコーン含有グラフト共重合体C
SiG1を得た。
【0053】また、テトラエトキシシラン2部、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン
0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン9
7.5部の混合液に、ドデシルベンゼンスルホン酸及び
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを各々0.67
部溶解した蒸留水200部を加え、ホモジナイザーによ
り乳化させた。この乳化液を攪拌混合しながら、温度8
0℃で5時聞加熱後、48時問、室温で放置した後、水
酸化ナトリウム水溶液でpH6.9に中和した。ポリオ
ルガノシロキサンヘの重合率は90.3%であった。こ
の重合液34.2部、蒸留水195部、オレイン酸カリ
ウム2.0部、デキストローズ0.2部の混合液を加
え、窒素置換後、減圧し、ブタジェン90部、クメンハ
イドロパーオキサイド0.24部、t−ドデシルメルカ
ブタン0.6部の混合物を仕込み、55℃に昇温した。
温度50℃に到達した時点で硫酸第一鉄0.0036
部、ピロ燐酸ソーダ0.3部、蒸留水5部を反応器に添
加し重合を開始させた。更に温度55℃で10時間反応
させ、シリコーン含有複合ゴムを得た。ブタジエンの重
合率は96%であった。このラテックスをマントンゴー
リンのゴム粒子の肥大化処理を行い、重量平均粒子径
0.38μmの複合ゴムラテツクスを得た。この肥大化
複合ゴムに、硫酸第一鉄0.002部、エテレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリツト
0,26部、蒸留水5部の混合液を添加し、内温を70
℃に昇温した後、スチレン30部、t−ブチルハイドロ
パーオキサイド0.12部の混合液を滴下し、グラフト
重合を行った。このグラフト重合液に塩化カルシウム水
溶液を添加し、析出・濾過・乾燥し、シリコーン含有複
合ゴムのグラフト共重合体CSFG1を得た。なお、ス
チレンの重合率は91.6%であった。スチレン30部
の代わりに、スチレン、アクリロニトリルをそれぞれ2
5部、5部に変更した以外は、CSFG1と同様にし
て、それぞれの単量体の重合率が94.3%、98.1
%のシリコーン含有複合ゴムのグラフト共童合体CSF
G2を得た。
【0054】(D)成分 硼素化合物及び亜鉛化合物として、水澤化学工業社製
ALCANEX FR−100(硼酸亜鉛)を使用し、
以下、DBZnと略す。亜鉛化合物及び錫化合物の例と
して、堺化学製の亜鉛華2号(酸化亜鉛)、及び森澤商
事株式会社のZS(錫酸亜鉛)を使用し、以下、それぞ
れDZnO、DSnZnと略す。 (E)その他の成分 ポリカーボネート系樹脂として、三菱エンジニアリング
製 ユーピロンH3000FNを使用し、以下、EPC
と略す。滑剤として、花王株式会社製 カオーワックス
EB−P(エチレンビスステアリルアマイド)を使用
し、以下、EEBPと略す。フッ素系樹脂として、三井
デュポンフロロケミカル社製 ポリ四フッ化エチレンテ
フロン6Jを使用した。以下、EPTFEと略す。フェ
ノール系樹脂として、軟化点92℃である粒状フェノー
ルノボラックを使用した。以下、ENOVと略す。
【0055】実施例1〜12及び比較例1〜6 表1〜表3に示した重量部の配合で、ヘンシェルミキサ
ーで混合撹拌し、L/D=35の2軸押出機(ZSK−
25)を使用し、バレル設定温度320℃、定量フィー
ド15kg/hrで溶融混練押出し、ペレタイザーによ
りペレット化した。このようにして得たペレットを十分
乾燥した後、射出成形にて試験片を作成し、以下の方法
により評価・測定した。 (1)衝撃強度(アイゾット衝撃強度):ASTM D
256に準拠し、温度23℃で1/8インチ厚み、ノッ
チ付き試験片を用いて測定した。 (2)耐熱性(加熱変形温度):ASTM D648に
準拠し、荷重18.6kg/cm2で測定した。 (3)メルトフローレート(MFR):ASTM D1
238に準拠し、荷重5kg、温度200℃の条件で測
定した。 (4)難燃性:UL−94試験法に準拠し、2.2mm
厚みの試験片を使用して評価し、判定もUL−94に準
じた。それらの結果を表1〜表3に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】実施例1、2と比較例1〜4との対比か
ら、樹脂成分と燐化合物の組成が同じある場合、シリコ
ーングラフト共重合体及び/又はシリコーン含有複合ゴ
ムのグラフト共重合体と特定の難燃助剤が特定量共存す
る場合のみ、特に優れた難燃性を示し、かつ流動性、衝
撃強度、及び耐熱性の物性バランスに優れた特性を示
す。
【0060】本発明におけるシリコーングラフト共重合
体及び/又はシリコーン含有複合ゴムのグラフト共重合
体と特定の難燃助剤を併用しない場合、比較例5に示す
ように、同じ難燃性を確保するにはポリフェニレンエー
テル系樹脂の配合割合を高める必要があり、流動性は低
下する。
【0061】実施例3〜5は、ゴム未変成スチレン系樹
脂を含有させた例であるが、実施例1、2と同様に優れ
た難燃性を示し、かつ流動性、衝撃強度、及び耐熱性の
物性バランスに優れた特性を示す。
【0062】実施例6、7は、燐化合物の種類を替える
ことにより、難燃性や衝撃強度を保持しつつ、耐熱性を
高めた例である。
【0063】実施例8,9は、ポリカーボネート系樹脂
を含んだ例であり、衝撃強度の向上が認められる。
【0064】実施例10は、フッソ系樹脂を併用した例
である。実施例11は、フェノール系樹脂を含んだ例で
あり、難燃性を損なうことなく、流動性が改良されてい
る。
【0065】実施例12は、ゴム変性スチレン系樹脂:
ポリフェニレンエーテル系樹脂の比率が85:15の例
であるが、比較例6に比較して、V−0ではないが難燃
性に優れる。また、滑剤を併用することにより、難燃性
を損なわず流動性を更に改良することもできる。
【0066】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、難燃性、流動
性、耐熱性及び耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物であ
り、電子・電気製品、OA機器等の用途、各種部品材料
として好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BC034 BC044 BC064 BC094 BN06W BN12W BN123 BN14W BN143 BN15W BN173 CH07X CP173 DA056 DE097 DE107 DE187 DG047 DH046 DH056 DK007 EG047 EW046 EW126 EW146 EW156 EY017 FD137 GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム変性スチレン系樹脂及びポリ
    フェニレンエーテル系樹脂を必須成分とする熱可塑性樹
    脂組成物100重量部、(B)燐化合物1〜50重量
    部、(C)シリコーングラフト共重合体及びシリコーン
    含有複合ゴムのグラフト共重合体から選択される少なく
    とも1種を0.1〜20重量部、及び(D)硼素化合
    物、亜鉛化合物、及び錫化合物の群から選択される少な
    くとも1種の難燃助剤0.01〜10重量部を含有する
    ことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(A)成分がゴム変性ス
    チレン系樹脂5〜99重量%、ゴム未変性スチレン系樹
    脂0〜94重量%、ポリフェニレンエーテル系樹脂1〜
    80重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であることを特
    徴とする難燃性樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003064269A (ja) * 2001-08-23 2003-03-05 Hitachi Chem Co Ltd 絶縁樹脂組成物及びこれを用いた多層配線板の製造方法
JP2009096837A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Asahi Kasei Chemicals Corp 難燃ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP2011116988A (ja) * 2010-12-28 2011-06-16 Hitachi Chem Co Ltd 絶縁樹脂組成物及びこれを用いた多層配線板の製造方法
CN112127152A (zh) * 2020-08-24 2020-12-25 盐城工学院 一种阻燃纺织面料及其制备方法

Cited By (4)

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