JPH06172658A - 成形加工性の優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

成形加工性の優れた熱可塑性樹脂組成物

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JPH06172658A
JPH06172658A JP32352292A JP32352292A JPH06172658A JP H06172658 A JPH06172658 A JP H06172658A JP 32352292 A JP32352292 A JP 32352292A JP 32352292 A JP32352292 A JP 32352292A JP H06172658 A JPH06172658 A JP H06172658A
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JP
Japan
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hydroxyl group
fatty acid
higher fatty
thermoplastic resin
resin composition
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JP32352292A
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Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
Katsuaki Maeda
勝昭 前田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度な成形加工性(流動性)と耐熱性と耐衝
撃性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 ヒドロキシル基含有加工助剤を有する熱可塑
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形加工性に優れた熱可
塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、成形加工性
(流動性)と耐熱性と耐衝撃性の優れた熱可塑性樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、ガラス等の無機物に比
較して成形性に優れることに加え、耐衝撃性に優れてい
ることから、自動車部品、家電部品、OA機器部品を始
めとする多岐の分野で使用されるに至っている。近年、
かかる分野で使用される熱可塑性樹脂に対して、大型薄
肉成形品の製造や成形サイクルの短縮が求められ、流動
性の改良の要求が高まっている。
【0003】熱可塑性樹脂の流動性を改良するために、
種々の添加物を配合する技術が開示されている。古くか
ら工業的に実施されているミネラルオイルの添加では、
流動性は改良されるものの、耐熱性が著しく低下してし
まう。更に、多価アルコ−ルと脂肪酸とのエステル(特
開昭61−2231045号公報、特開昭61- 275
341号公報)、高級脂肪酸とその金属塩(特開昭62
−132951号公報)、高級脂肪酸の金属塩と特定の
亜リン酸エステル(特開昭62−190242号公
報)、脂肪酸アミドや脂肪族アルコ−ルとエチレンビス
ステアリルアミド(特開昭62−257951号公
報)、ステアリルステアレ−ト等の高級脂肪酸と高級ア
ルコ−ルとのエステル(特開平2−135219号公
報)、イソシアヌル酸エステル化合物(特開平2−19
4047号公報)等を配合する技術が開示されている。
これらの技術でも、流動性の改良が不充分だったり、高
添加量において耐熱性が著しく低下してしまったりして
満足な樹脂組成物は得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち高度な成
形加工性と耐熱性と耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成
物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性
樹脂の成形加工性の改良を鋭意検討した結果、従来の
(A)熱可塑性樹脂に対して、(B)特殊なヒドロキシ
ル基含有有機化合物を組み合わせることにより、驚くべ
きことに高添加量においても、耐熱性を保持しつつ、成
形加工性を飛躍的に向上させることが可能になることを
見出し、本発明に到達した。
【0006】即ち本発明は、脂肪族炭化水素、高級脂肪
酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪
族アルコ−ル、金属石鹸の有機化合物から選ばれる一種
または、二種以上の有機化合物を含有する樹脂組成物で
あって、該有機化合物が、1分子中に少なくとも1個の
ヒドロキシル基を有することを特徴とする成形加工性の
優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0007】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と(B)ヒ
ドロキシル基含有有機化合物からなる。上記(A)成分
は成形用樹脂組成物の主成分をなし、成形品の強度保持
の役割を担い、(B)成分は(A)成分に対して耐熱性
と耐衝撃性を保持しつつ、流動性を付与するための成分
である。
【0008】ここで、(B)成分のヒドロキシル基を含
有することが重要である。上記ヒドロキシル基は、有機
化合物の極性を制御するためにあり、これと熱可塑性樹
脂と相互作用し、部分相溶性が発現する。本発明者ら
は、この部分相溶性こそが、耐熱性と耐衝撃性とを保持
しつつ、流動性を大幅に向上させる原理であることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明の上記(A)成分の熱可塑性樹脂と
は、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニ
ル系、ポリフェニレンエ−テル系、ポリアミド系、ポリ
エステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカ−ボ
ネ−ト系、ポリメタクリレ−ト系等の熱可塑性樹脂であ
り、単独もしくは二種以上を混合したものも含む。ここ
で、特に熱可塑性樹脂としてポリスチレン系熱可塑性樹
脂が好ましい。上記ポリスチレン系樹脂は、ゴム変性ス
チレン系樹脂または、ゴム非変性スチレン系樹脂であ
る。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂として最も好ましい
組み合わせは、ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレ
ンエ−テル系樹脂とのポリマ−ブレンド体である。本発
明の上記(A)成分のゴム変性スチレン系樹脂とは、ビ
ニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これ
と共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公
知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化重
合することにより得られる。
【0011】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30°C以下である
ことが必要であり、−30°Cを越えると耐衝撃性が低
下する。
【0012】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
−三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0013】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体とは、例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−
ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等で
あり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上
記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0014】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要の
ある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアク
リル酸エステルを用いることができる。また更に、樹脂
組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α−メ
チルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合してもよ
い。上記ビニル芳香族単量体と共重合可能なビニル単量
体は、単量体混合物中に0〜40重量%の範囲にあるこ
とが好ましい。
【0015】本発明のゴム変性スチレン系樹脂における
ゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ま
しくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混
合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは
90〜50重量%の範囲にある。この範囲外では、目的
とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが取れな
くなる。更には、スチレン系重合体のゴム粒子径は、
0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.0μ
mが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上
する。
【0016】本発明のゴム変性スチレン系樹脂の分子量
の尺度である還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、ト
ルエン溶液、30℃測定)は、0.30〜0.80dl
/gの範囲にあることが好ましく、0.40〜0.60
dl/gの範囲にあることがより好ましい。ゴム変性ス
チレン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を
満たすための手段としては、重合開始剤量、重合温度、
及び連鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。即ち
分子量を高めるためには、上記因子を低下させ、一方分
子量を下げるためには、上記因子を上昇させる。
【0017】本発明の(A)成分のポリフェニレンエ−
テル(以下PPEと略称する。)とは、下記式で示され
る結合単位からなる単独重合体及び/ 又は共重合体であ
る。
【0018】
【化1】
【0019】但し、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞ
れ水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群か
ら選択されるものであり、互いに同一でも異なっていて
もよい。このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル、2,6−
ジメチルフェノ−ルと2,3,6−トリメチルフェノ−
ルとの共重合体等が好ましく、中でも、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)が好ましい。
かかるPPEの製造方法は特に限定されるものではな
く、例えば、米国特許第3,306,874号明細書記
載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触
媒として用い、例えば、2,6キシレノ−ルを酸化重合
することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許
第3,306,875号明細書、米国特許第3,25
7,357号明細書、米国特許第3,257,358号
明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭5
0−51197号公報に記載された方法で容易に製造で
きる。本発明にて用いる上記PPEの還元粘度(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30°C測定)は、0.
20〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を満たすた
めの手段としては、前記PPEの製造の際の触媒量の調
整などを挙げることができる。
【0020】本発明の(B)特殊なヒドロキシル基含有
加工助剤は、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸
エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコ−ル、
金属石鹸の有機化合物であって、1分子中に少なくとも
1個のヒドロキシル基を有する化合物である。上記ヒド
ロキシル基含有脂肪族炭化水素は、流動パラフィン、天
然パラフィン、マイクロワックス、ポリオレフィンワッ
クス、合成パラフィン、及びこれらの部分酸化物、ある
いはフッ化物、塩化物等にヒドロキシル基を含有した脂
肪族炭化水素である。具体例として、1−ヒドロキシペ
ンタコンタン、オキシエチレン・オキシプロピレンッブ
ロックポリマ−等である。
【0021】上記ヒドロキシル基含有高級脂肪酸は、一
部、芳香族基で置換されたものも含み、α−オキシカプ
ロン酸、14−オキシヘキサデカン酸、ωオキシパルミ
チン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロ
キシフェニルステアリン酸、フェロン酸等のヒドロキシ
ル基含有飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、リシンベライ
ジン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等のヒドロキシ
ル基含有不飽和脂肪酸等である。
【0022】上記ヒドロキシル基含有高級脂肪酸エステ
ルは、一部、芳香族基で置換されたものも含み、12−
ヒドロキシフェニルステアリン酸メチル、12−ヒドロ
キシフェニルステアリン酸ブチル等のヒドロキシル基含
有脂肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸ジ
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリルのフタル酸ジ
エステル等のヒドロキシル基含有多塩基酸の1価アルコ
−ルエステルであり、さらに、ソルビタンモノラウレ−
ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノオレ
−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、ソルビタントリオレ
−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ−ト、
ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノオレ−ト等のソルビタンエス
テル、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノ
グリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ベヘニン
酸モノグリセライド等のグリセリン単量体の脂肪酸エス
テル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリ
セリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸
エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレンモノ
ステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ−ト等のポ
リアルキレンエ−テルユニットを有するヒドロキシル基
含有脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオ−ルジス
テアリン酸エステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸
エステル等である。
【0023】上記ヒドロキシル基含有高級脂肪酸アミド
は、一部、芳香族基で置換されたものも含み、12−ヒ
ドロキシフェニルステアリン酸アミド、メチロ−ルステ
アリン酸アミド、メチロ−ルベヘン酸アミド等のヒドロ
キシル基含有飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ油脂肪酸ジ
エタノ−ルアミド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、及
びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタ
ノ−ルアミド等のヒドロキシル基含有N,N’−2置換
モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒ
ドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、ヘ
キサメチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステア
リン酸アミド等のヒドロキシル基含有飽和脂肪酸ビスア
ミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロキシフェ
ニル)ステアリン酸アミド等のヒドロキシル基含有芳香
族系ビスアミドである。
【0024】上記高級脂肪族アルコ−ルは、一部、芳香
族基で置換されたものも含み、ステアリルアルコ−ルや
セチルアルコ−ル等の1価のアルコ−ル、ソルビト−ル
やマンニト−ル等の多価アルコ−ル、及びポリオキシエ
チレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンボクタデシ
ルアミン等であり、さらに、ポリオキシエチレンアリル
化エ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを有す
るアリル化エ−テル、及びポリオキシエチレンラウリル
エ−テル、ポリオキシエチレントリドデシルエ−テル、
ポリオキシエチレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレ
ンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ
−テル等のポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエ−テル、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエ−テル、ポリエピクロルヒドリン
エ−テル、ポリオキシエチレンビスフェノ−ルAエ−テ
ル、ポリオキシエチレンエチレングリコ−ル、ポリオキ
シプロピレンビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレングリコ−ルエ−テル等のポ
リアルキレンエ−テルユニットを有する2価アルコ−ル
である。
【0025】上記ヒドロキシル基含有金属石鹸は、上記
12−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高級脂肪酸
の、バリウムやカルシウムや亜鉛やアルミニウムやマグ
ネシウム等の金属塩である。また、本発明の樹脂組成物
に難燃性を付与することが必要な場合には、(C)難燃
剤や、(D)難燃助剤を配合することができる。
【0026】本発明の(C)成分の難燃剤は、ハロゲン
系、リン系及び無機系の難燃剤である。上記ハロゲン系
難燃剤は、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ
樹脂、ハロゲン化ポリカ−ボネ−ト、ハロゲン化芳香族
ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレ−ト樹脂、ハロゲ
ン化ポリフェニレンエ−テル等である。この中で特に好
ましいハロゲン系難燃剤は、デカブロモジフェニルオキ
サイド、テトラブロムビスフェノ−ルA、テトラブロム
ビスフェノ−ルAのオリゴマ−、ブロム化ビスフェノ−
ル系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノ−ル系フェノキ
シ樹脂、ブロム化ビスフェノ−ル系ポリカ−ボネ−ト、
ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブ
ロム化ポリフェニレンエ−テル、ポリジブロムフェニレ
ンエ−テル、デカブロモジフェニルオキサイドビスフェ
ノ−ル縮合物及び含ハロゲンリン酸エステル等である。
【0027】また、上記リン系難燃剤は、有機リン化合
物、赤リン、及び無機系リン酸塩等である。本発明のリ
ン系難燃剤の有機リン化合物は、ホスフィン、ホスフィ
ンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィ
ン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等であり、
具体的には、トリフェニルフォスフェ−ト、メチルネオ
ペンチルフォスファイト、ペンタエリスリト−ルジエチ
ルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネ
−ト、フェニルネオペンチルフォスフェ−ト、ペンタエ
リスリト−ルジフェニルジフォスフェ−ト、ジシクロペ
ンチルハイポジフォスフェ−ト、ジネオペンチルハイポ
フォスファイト、フェニルピロカテコ−ルフォスファイ
ト、エチルピロカテコ−ルフォスフェ−ト、ジピロカテ
コ−ルハイポジフォスフェ−ト等である。
【0028】ここで特にヒドロキシル基含有芳香族系リ
ン酸エステルが流動性、耐熱性、耐衝撃性のバランス
上、好ましく、上記ヒドロキシル基を含有していない有
機リン化合物と併用してもよい。上記、ヒドロキシル基
含有芳香族系リン酸エステルとは、トリクレジルフォス
フェ−トやトリフェニルフォスフェ−トやそれらの縮合
リン酸エステル等に1個または2個以上のフェノ−ル性
水酸基を含有したリン酸エステルであり、例えば下記の
化合物である。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】(但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4
、Ar5 、Ar6 はフェニル基、キシレニル基、エチ
ルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニ
ル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に
少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換
されている。また、nは0〜3の整数を表わし、mは1
以上の整数を表わす。) 本発明のヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルの
中でも特に、下記式〔化4〕ジフェニルレゾルシニルフ
ォスフェ−トまたは〔化5〕ジフェニルハイドロキノニ
ルフォスフェ−トが好ましく、その製造方法は、例えば
特開平1 −223158号公報に開示されており、フェ
ノ−ル、ヒドロキシフェノ−ル、塩化アルミニウム及び
オキシ塩化リンの反応により得られる。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】本発明のリン系難燃剤の赤リンは、一般の
赤リンの他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン
よりえらばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたも
の、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬
化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化
チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性
樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0035】本発明のリン系難燃剤の無機系リン酸塩
は、ポリリン酸アンモニウムが代表的である。そして、
無機系難燃剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシ
ウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸
化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物
の水和物、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジ
ルコニウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化
銅、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マンガン、酸
化亜鉛等の金属酸化物、及びホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜
鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウ
ム、ム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等
である。これらは、一種でも二種以上を併用してもよ
い。
【0036】本発明の(D)難燃助剤は、トリアジン骨
格含有化合物、シリコ−ン樹脂、ポリホスファゼン等で
ある。ここで、リン系難燃剤の難燃助剤としては、特に
上記トリアジン骨格含有化合物が好ましい。その具体例
としては、メラミン、メラム、メロン、メラミンシアヌ
レ−ト、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチ
ルグルタログアナミン、リン酸メラミン、メラミン樹
脂、BTレジン等を挙げることができるが、特にメラミ
ンシアヌレ−トが好ましい。
【0037】本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹
脂100重量部に対して、(B)ヒドロキシル基含有有
機化合物が1〜30重量部、(C)難燃剤が0〜40重
量部、(C)難燃助剤が0〜30重量部の範囲にあるこ
とが好ましい。ここで上記範囲内では、成形加工性(流
動性)、難燃性、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特性が
優れている。
【0038】本発明の樹脂組成物は、(B)ヒドロキシ
ル基含有有機化合物を比較的高添加量(5〜30重量
部)用いたときに、従来の加工助剤では達成できない流
動性と耐熱性に非常に優れたバランス特性を発現する。
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販の単軸押出機
あるいは、二軸押出機などで例えば溶融混練することに
より得られるが、その際にヒンダ−ドフェノ−ル等の酸
化防止剤、ベンゾトリアゾ−ルやヒンダ−ドアミン等の
紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無機系やハロゲ
ン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の滑
剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料等の着
色剤等を必要に応じて添加することができる。
【0039】このようにして得られた本発明の組成物を
例えば、射出成形機または押出成形することにより、成
形加工性(流動性)、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優
れた成形品が得られる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。尚、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機を用いて行なった。
【0041】(1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性スチレン系樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組成
物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真中
のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出す
る。 重量平均粒子径=ΣNi・Di4 /ΣNi・Di3 (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である。) (2)還元粘度ηSP/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノ−ル2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノ−ルで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0042】このようにして得られた樹脂0.1gをト
ルエンに溶解し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、この
溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液流下秒数 t1 を測定した。一方、別
に同じ粘度計で純トルエンの流下秒数 t0 を測定し、
以下の数式により算出した。
【0043】
【数1】
【0044】一方、(A)成分のPPEの還元粘度ηSP
/cについては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃
度0.5 g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。 (3)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1 /8インチ試験片) (4)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (5)メルトフロ−レ−ト(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10
分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。 (6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) 実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
【0045】(イ)熱可塑性樹脂 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)の製造 ポリブタジエン〔(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合=95/ 2/3(重量比))(日
本ゼオン(株)製、商品名Nipol 1220S
L)〕を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0046】 ポリブタジエン 10.5 重量% スチレン 72.2 重量% エチルベンゼン 15.0 重量% ミネラルオイル 2.0 重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1 −ビス(t−ブチルパ−オキシ) −3,3,5−トリメチルシクロヘキサン 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹はん機付の直列4段式反応機に
連続的に送液して、第1段は撹はん数190rpm、1
26℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20
rpm、140℃、第4段は20rpm、155℃で重
合を行なった。引き続きこの固形分73%の重合液を脱
気装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変
性スチレン系樹脂を得た。(HIPSと称する。)得ら
れたゴム変性スチレン系樹脂を分析した結果、ゴム含量
は14重量%、ゴムの重量平均粒子径は2.4μm、還
元粘度ηSP/Cは0.53dl/gであった。
【0047】ポリフェニレンエ−テル(PPE)の製
造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹はん羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒
素で充分に置換した後、臭化第2銅54.8g、ジ−n
−ブチルアミン1110g、及びトルエン20リット
ル、n−ブタノ−ル16リットル、メタノ−ル4リット
ルの混合溶媒に2,6−キシレノ−ル8.75Kgを溶
解して反応機に仕込んだ。撹はんしながら反応機内部に
酸素を吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら18
0分間重合を行なった。重合終了後、析出したポリマ−
をろ別した。これにメタノ−ル/塩酸混合液を添加し、
ポリマ−中の残存触媒を分解し、さらにメタノ−ルを用
いて充分洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエ
−テルを得た。(PPEと称する。)還元粘度ηsp/C
は0.55dl/gであった。
【0048】次いで、上記PPEとポリスチレン(旭化
成工業(株)製 商品名 スタイロン685)を重量比
で70/30で混合し、二軸押出機で350°Cで溶融
押出を行なった。得られたペレットをPPE−MBと称
する。 (ロ)有機化合物(加工助剤) ヒドロキシル基含有有機化合物 a)エチレンビス(12−ヒドロキシ)ステアリン酸ア
ミド(EBS−OH) 日本化成(株)製 商品名 スリッパクス H を用い
た。(以後、EBS−OHと称する。)
【0049】
【化6】
【0050】b)12−(p−ヒドロキシフェニル)ス
テアリン酸(SA−OH) 日本油脂(株)製 商品名 ノバアシッド P を用い
た。(以後、SA−OHと称する。)
【0051】
【化7】
【0052】c)ポリグリセリンステアリン酸エステル
(PGS) 日本油脂(株)製 商品名 ユニグリGS−106 を
用いた。(以後、PGSと称する。)
【0053】
【化8】
【0054】d)ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
−テル(POE−NP) 日本油脂(株)製 商品名 ノニオンNS−270 を
用いた。(以後、POE−NPと称する。)
【0055】
【化9】
【0056】e)ポリオキシエチレンビスフェノ−ルA
エ−テル(POE−A) 日本油脂(株)製 商品名 ユニオ−ルDA−350F
を用いた。(以後、POE−Aと称する。)
【0057】
【化10】
【0058】ヒドロキシル基非含有有機化合物 a)エチレンビスステアリン酸アミド(EBS) 花王(株)製 商品名 カオ−ワックスEB−FF を
用いた。(以後、EBSと称する。)
【0059】
【化11】
【0060】b)ステアリン酸(SA) 日本油脂(株)製 ステアリン酸粉末を用いた。(以
後、SAと称する)
【0061】
【化12】
【0062】c)ミネラルオイル(流動パラフィン)
(MO) 松村石油研究所(株)製、商品名スモイルPS−260
を用いた。(以後、MOと称する。) d)トリフェニルフォスフェート(TPP) 加工助剤として、市販の芳香族リン酸エステル〔大八化
学工業(株)製、商品名 TPP(TPPと称する)〕
を用いた。
【0063】(ハ)難燃剤 有機リン化合物 a)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルを含有
した有機リン化合物の製造(FR−1) フェノ−ル122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90°Cでオキシ塩化リン100重量部(モル
比1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体二
レゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を加え更に
反応させた。反応を完結させるために、徐々に昇温し最
終的には180°Cまで温度を上げエステル化を完了さ
せた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触媒及び塩
素分を除去してリン酸エステル混合物(以下、FR−1
と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパ−ミエ
−ションクロマトグラフィ−)により分析したところ、
下記式〔化13〕ジフェニルレゾルシニルホスフェ−ト
(以下、TPP−OHと称する)と、トリフェニルホス
フェ−ト(以下、TPPと称する)と、下記式〔化1
4〕芳香族縮合リン酸エステル(以下、TPPダイマ−
と称する)とからなり、重量比がそれぞれ54.2/ 1
8.3/27.5であった。
【0064】
【化13】
【0065】(TPP−OH)
【0066】
【化14】
【0067】(TPPダイマー) b)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(F
R−2) 市販の芳香族縮合リン酸エステル〔大八化学工業(株)
製、商品名 CR733S(FR−2と称する)〕を用
いた。また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、GPC
分析によると、下記式〔15〕で表されるTPPダイマ
−とTPPオリゴマ−からなり、重量比でそれぞれ65
/35であった。
【0068】
【化15】
【0069】(但し、n=1 TPPダイマ− n≧2 TPPオリゴマ−と称する。) c)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(F
R−3) 市販の、ビスフェノ−ルA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル〔大八化学工業(株)製、商品名 CR741C
(FR−3と称する)〕を用いた。
【0070】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、下記式〔16〕で表されるTCP
−A−ダイマ−とTCP−A−オリゴマ−とトリクレジ
ルフォスフェ−ト(TCP)からなり、重量比でそれぞ
れ80.4/ 14.1/5.5であった。
【0071】
【化16】
【0072】(但し、n=1 TCP−A−ダイマ− n≧2 TCP−A−オリゴマ−と称する。) d)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(T
PP) 難燃剤として、市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学
工業(株)製、商品名TPP(TPPと称する)〕を用
いた。
【0073】赤リン 市販の樹脂被覆赤リン粉末〔燐化学工業(株)製、商品
名 ノ−バエクセル140(以後、RPと称する)〕を
用いた。 (ニ)難燃助剤 トリアジン骨格含有化合物 市販のメラミンシアヌレ−ト〔日産化学(株)製、商品
名 MC610(以後、MCと称する。)〕を用いた。
【0074】フッ素系樹脂(PTFE) 火種の滴下の抑制剤として、市販のポリテトラフルオロ
エチレン〔三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品
名 テフロン6J(以後、PTFEと称する)〕を用い
た。PTFEの添加方法については、PPE−MB/P
TFE/EBS〔98/1/1(重量比)〕のマスター
バッチを330°Cで作製し、規定量になるように熱可
塑性樹脂組成物に配合する方法により行った。
【0075】
【実施例 1、2 比較例 1〜4】熱可塑性樹脂HI
PS100重量部に対して、表1記載の有機化合物3重
量部を機械的に混合し、東洋精機製作所製ラボプラスト
ミルを用いて、溶融温度230℃、回転数50rpmで
5分間溶融した。このようにして得られた樹脂組成物か
ら加熱プレスにより1/8インチ厚の試験片を作製し、
難燃性、ビカット軟化温度、アイゾット衝撃強さ及びM
FRの評価を行なった。表1にその結果を示す。
【0076】
【実施例 3、4 比較例 5〜8】実施例1におい
て、熱可塑性樹脂としてHIPSの代わりに、HIPS
/ PPE−MB(71/29重量比)100重量部に対
して、表2記載の有機化合物2.4重量部に変更し、か
つ溶融温度を250℃に変更すること以外、実施例1と
同一の実験を繰り返した。表2にその結果を示す。
【0077】表1、2より、本発明のヒドロキシル基含
有有機化合物を用いた樹脂組成物は、耐熱性及び耐衝撃
性を保持しつつ、流動性が著しく向上していることが分
かる。
【0078】
【実施例 5、6 比較例 5、9、10】実施例3に
おいて、樹脂組成物を表3記載の樹脂組成物に変更する
こと以外、実施例3と同一の実験を繰り返した。その結
果を、表3及び図1に示す。表3及び図1より、ヒドロ
キシル基含有有機化合物(例えば、POE−A)は、高
添加量においても耐熱性を保持し、流動性を向上させ、
一方、従来のヒドロキシル基を含有しない有機化合物
(例えば、TPP)は、添加量と共に流動性と耐熱性が
低下することが分かる。
【0079】
【実施例 7〜11 比較例 11〜14】実施例3に
おいて、樹脂組成物を、HIPS/PPE−MB/表4
記載の有機化合物/FR−1/RP=71/29/2.
4/20/6(重量比)に変更すること以外、実施例3
と同一の実験を繰り返した。その結果を、表4に難燃性
評価(1/8インチ厚さ)と共に示す。
【0080】表4より、ヒドロキシル基含有有機化合物
とヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルとを併用
すると、樹脂成分との部分相溶性が一層助長され、難燃
性と耐熱性と耐衝撃性を保持しつつ、流動性が著しく向
上することが分かる。
【0081】
【実施例 12〜16 比較例 15〜18】実施例3
において、樹脂組成物を、HIPS/PPE−MB/表
5記載の有機化合物/FR−1/FR−3/RP/MC
/PTFE=71/29/2.4/12/8/2.4/
8/0.04(重量比)に変更すること以外、実施例3
と同一の実験を繰り返した。その結果を、表5に難燃性
評価(1/ 8,1/12インチ厚さ)と共に示す。
【0082】
【実施例 14 比較例 17〜20】実施例3におい
て、樹脂組成物を、HIPS/PPE−MB/PGS/
表6記載の有機リン化合物/RP/MC/PTFE=7
1/29/2.4/20/2.4/8/0.04(重量
比)に変更すること以外、実施例3と同一の実験を繰り
返した。その結果を、表6に難燃性評価(1/ 8)と共
に示す。
【0083】表6によると、ヒドロキシル基を含有する
有機リン化合物を、難燃剤として用いると、難燃性、耐
熱性、及び耐衝撃性を保持しつつ、成形加工性(流動
性)を著しく向上させ、バランス特性の優れた樹脂組成
物が得られることが分かる。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【発明の効果】本発明の組成物は、優れた成形加工性
(流動性)と耐熱性と耐衝撃性を兼備した熱可塑性樹脂
組成物である。また、必要に応じて難燃剤、難燃助剤を
配合した組成物は、難燃性と上記特性を有した、バラン
ス特性の優れた熱可塑性樹脂組成物である。
【0091】この組成物は、家電部品、OA機器部品等
に好適であり、特に優れた流動性により、大型薄肉成形
品を無理なく成形できるだけでなく、成形温度を低目に
設定できることにより成形サイクルの短縮が期待でき、
これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機化合物(加工助剤)として、ヒドロキシ基
含有有機化合物(POE−A)とヒドロキシ基非含有有
機化合物(TPP)を用いて挙動解析を行った。熱可塑
性樹脂100重量部に対する有機化合物(加工助剤)の
添加量と、MFR、ビカット軟化温度及びアイッゾ衝撃
強度との関係を示したグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪
    酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコ−
    ル、金属石鹸の有機化合物から選ばれる一種または、二
    種以上の有機化合物を含有する樹脂組成物であって、該
    有機化合物が、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシ
    ル基を有することを特徴とする成形加工性の優れた熱可
    塑性樹脂組成物。
JP32352292A 1992-12-03 1992-12-03 成形加工性の優れた熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JPH06172658A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0791634A3 (en) * 1996-02-26 1998-01-14 Mitsubishi Engineering Plastics Corporation Fire retardant polyester resin composition and process for producing the same
JP2009091400A (ja) * 2007-10-04 2009-04-30 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および成形品
JP2011246564A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品

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JP2009091400A (ja) * 2007-10-04 2009-04-30 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 強化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および成形品
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