JPH115869A - 液状リン系難燃剤 - Google Patents

液状リン系難燃剤

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JPH115869A
JPH115869A JP15995997A JP15995997A JPH115869A JP H115869 A JPH115869 A JP H115869A JP 15995997 A JP15995997 A JP 15995997A JP 15995997 A JP15995997 A JP 15995997A JP H115869 A JPH115869 A JP H115869A
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JP
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weight
flame retardant
resin
component
aromatic
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JP15995997A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液状であるために生産性が向上し、かつ品質
の安定化を可能にする液状リン系難燃剤、及び長期間連
続成形を行なってもモールドディポジットが著しく少な
く、かつ難燃性、耐加水分解性、耐衝撃性、耐熱性、及
び流動性の優れた、上記剤を含有したスチレン系樹脂組
成物の提供。 【解決手段】 下記式(1)で示される化合物を含有
し、必要に応じて、液状化可能量の液状化剤を含有す
る、25℃で液体である液状リン系難燃剤、及び上記剤
を含有するスチレン系樹脂組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液状リン系難燃剤に
関する。更に詳しくは、液状であるために生産性が向上
し、かつ品質の安定化を可能にする液状リン系難燃剤で
あり、かつ卓越した難燃性、耐加水分解性、及び長期間
連続成形を行なってもモールドディポジットが発生しな
い、液状リン系難燃剤、及びこの剤を含有するスチレン
系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレン系樹脂
に添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲン系難燃
剤を用いた場合には、環境等の問題をも有し、リン系、
無機系難燃剤を用いた場合は、衝撃強度、成形加工流動
性及び耐熱性が必ずしも満足できるものではなく、そし
て、成形時の揮発性有機リンによる金型汚染、いわゆる
モールドディポジットが発生するために生産性を低下さ
せたり、または金型汚染物が成形品に転写しストレスク
ラックを引き起こすという問題があり、工業的使用が狭
められる。
【0004】揮発性を改良する技術として、ポリアミ
ド、ポリカーボネートとポリホスフェートからなる難燃
性樹脂組成物(特公平2−18336号公報)、フェニ
レンビス(ジ2,6−ジアルキルフェニルフォスフェー
ト)等の芳香族ジホスフェートの製造方法と用途(特開
平5−1079号公報)が開示されている。上記公報の
難燃剤は2,6−位にアルキル基が置換されているため
に、耐熱性及び低揮発性に優れているものの、上記難燃
剤が粉体であるために特に予備ブレンドにおいて、ペレ
ット状のスチレン系樹脂との混合性、分散性が悪く、難
燃剤が分級して安定した難燃性が発現しないという問題
がある。また、上記難燃剤の融点が低いために、難燃剤
を押出機にフィードする際にホッパーで固まり生産性を
低下させる問題もあり、生産性、品質の安定性の観点か
ら、液状難燃剤が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち液状であ
るために生産性が向上し、かつ品質の安定化を可能にす
る液状リン系難燃剤、及び卓越した難燃性、耐加水分解
性、及び長期間連続成形を行なってもモールドディポジ
ットが発生しない、上記剤を含有するスチレン系樹脂組
成物の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、生産性、品
質安定性を鋭意検討した結果、難燃剤として特定の構造
を有し、かつ液体の芳香族リン酸エステル縮合体を用い
ることにより、驚くべきことに、耐熱性と低揮発性を保
持しつつ、スチレン系樹脂の生産性と品質安定性を飛躍
的に向上させることが可能になることを見出し、本発明
に到達した。
【0007】即ち、本発明は、下記式(1)で示される
化合物を含有し、必要に応じて、とりわけ液状化可能量
の下記式(2)の液状化剤を含有する、25℃で液体で
ある液状リン系難燃剤、及び上記剤を含有するスチレン
系樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【化3】
【0009】(式中、Rは炭素数が1から10の炭化水
素を表す。)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30の炭化水素で
あり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計が平均12から30である。ここで、異なった
置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからなる
場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数
の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リン
酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素数
の合計との積の和である。) 以下、本発明を詳しく説明する。
【0012】本発明の液状リン系難燃剤(A成分)は、
特定の構造の芳香族リン酸エステル縮合体である。
【0013】上記A成分は、単量体でなく縮合体である
ことが重要である。縮合体であるために300℃以下の
加工温度では不揮発であり、加工時にモールドデポジッ
トの問題はない。また、前記式(1)の芳香族リン酸エ
ステル縮合体は、単官能フェノールとのリン酸エステル
結合部分と、二官能フェノールによって芳香族リン酸エ
ステルが縮合した結合部分とからなる。芳香族リン酸エ
ステル縮合体の縮合部分(二官能フェノール由来)は、
置換または無置換のフェニレン基であることが必須であ
る。ベンゼン環に二つのリン酸エステルが置換されるこ
とにより結合エネルギーが低下し、400〜450℃の
燃焼時に容易に分解し難燃化を促進する。もしフェニレ
ンの代わりにジフェニル基、イソプロピルジフェニル基
の場合は、エステル部分の結合が強いために燃焼時の分
解性が劣り、難燃性が低下する。そして、上記単官能フ
ェノールは、2,6位にアルキル基が置換されているこ
とが必要である。一般に縮合部分が置換または無置換の
フェニレン基の場合、比較的耐加水分解性が低いが、
2,6位に炭化水素基、特にアルキル基が置換されるこ
とにより耐加水分解性及び耐熱性が飛躍的に向上するこ
とを見出した。
【0014】次いで、上記難燃剤が液体であることが重
要である。難燃剤が粉体では特に予備ブレンド時におい
て、ペレット状のスチレン系樹脂との混合性、分散性が
悪く、押出機にフィードする際に、難燃剤が分級して安
定した難燃性が発現しなかったり、また、ホッパーで固
まり生産性を低下させるためである。2,6位にアルキ
ル基が置換されたリン酸エステルは結晶性が高いが、結
晶化を阻害する化合物としての液状化剤、特に有機リン
化合物を添加する事により難燃性を高めつつ、液状化す
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】本発明の液状リン系難燃剤(A成分)を構
成する芳香族リン酸エステル縮合体は、下記式(1)で
示される。
【0016】
【化5】
【0017】(式中、Rは炭素数が1から10の炭化水
素を表す。) 本発明の芳香族リン酸エステル縮合体は、特開平5−1
079号公報等に開示された公知の方法により製造する
ことができる。例えば、2,6位に置換された単官能フ
ェノールとオキシハロゲン化リンとルイス酸触媒の存在
下で反応させ、ジアリールホスホロハライドを得、次い
でこれと二官能フェノールをルイス酸触媒の存在下で反
応する方法がある。
【0018】ここで、本発明の要件の一つの液状化方法
は、結晶化の阻害化合物である液状化剤を、液状化可能
量添加することにより達成することができる。液状化剤
は特に制限されないが、通常使用されているポリマー添
加剤であり、特に有機リン化合物が好ましい。また、液
状化剤の液状化可能量は特に限定されないが、例えば液
状難燃剤中、0.000001〜50重量%であり、好
ましくは1〜40重量%、更に好ましくは3〜30重量
%、最も好ましくは5〜20重量%である。
【0019】上記有機リン化合物の例としては、ホスフ
ィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウ
ム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エス
テル等である。より具体的には、トリフェニルフォスフ
ェート、メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエ
リスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペ
ンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォス
フェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフ
ェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジ
ネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテ
コールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフ
ェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェートであ
る。
【0020】ここで、特に液状化剤である有機リン化合
物として、下記式(3)で示される芳香族系リン酸エス
テル単量体、下記式(4)で示される芳香族系リン酸エ
ステル縮合体が好ましい。
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、A
5、Ar6はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニ
ル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
4,4’−ジオキシジアリールアルカン基から選ばれる
芳香族基である。また、nは0〜3の整数を表わし、m
は1以上の整数を表わす。) 上記液状化剤である芳香族系リン酸エステル単量体の中
でも、特にヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステル
単量体、例えば、トリクレジルフォスフェートやトリフ
ェニルフォスフェート等に1個または2個以上のフェノ
ール性水酸基を含有したリン酸エステル単量体、または
下記式(2)に示した芳香族リン酸エステル単量体が好
ましい。
【0024】
【化8】
【0025】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、液状化剤である芳香族リン酸エステル
単量体の中でも、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の
数平均は、15〜30が好ましく、さらには20〜30
が好ましく、25〜30が最も好ましい。
【0026】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、、特開平1−95149号公報、特開平3
−294284号公報等に開示された公知の方法により
製造することができる。例えば、アルキルフェノールと
オキシ塩化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下
に反応する方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で
酸化して、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方
法がある。
【0027】またもう一つの液状化剤の前記芳香族リン
酸エステル縮合体の中でも、特にビスフェノールA ビ
ス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールA
ビス(ジクレジルフォスフェート)等が好ましい。
【0028】本発明の液状リン系難燃剤はスチレン系樹
脂に配合することにより優れた難燃性を付与することが
できる。
【0029】上記スチレン系樹脂(B成分)は、ゴム変
性スチレン系樹脂及び/またはゴム非変性スチレン系樹
脂であり、A成分と相溶もしくは均一分散し得るもので
あれば特に制限はない。特にB成分として、ゴム変性ス
チレン系樹脂単独またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム
非変性スチレン系樹脂からなる組成物が好ましい。ま
た、ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状
懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得
られる。
【0030】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0031】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0032】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0033】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0034】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単
量体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高
める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0035】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0036】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0037】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。
【0038】本発明において、スチレン系樹脂と共に他
の熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ポリ
フェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にポ
リフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑
性樹脂が好ましい。
【0039】本発明において、スチレン系樹脂と共に配
合できる熱可塑性樹脂の一つのポリフェニレンエーテル
(C成分)は、下記式(5)で示される結合単位からな
る単独重合体及び/又は共重合体である。
【0040】
【化9】
【0041】(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ
水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から
選択されるものであり、互いに同一でも異なっていても
よい。) このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリ
メチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの製造方法
は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第
3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩
とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば
2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製
造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号
明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国
特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−1
7880号公報、特開昭50−51197号公報に記載
された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記
ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.2
0〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポ
リフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の調整などを
挙げることができる。
【0042】本発明において、(B)スチレン系樹脂と
(C)ポリフェニレンエーテルからなる樹脂成分100
重量部中の、(C)の占める量は1〜99重量%であ
り、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは、3〜
40重量%、最も好ましくは、5〜25重量%である。
【0043】本発明において、スチレン系樹脂と共に配
合できる熱可塑性樹脂の一つの芳香族ポリカーボネート
(D成分)は、芳香族ホモポリカーボネートと芳香族コ
ポリカーボネートより選ぶことができる。製造方法とし
ては、2官能フェノール系化合物に苛性アルカリ及び溶
剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲン法、あるい
は、例えば、二官能フェノール系化合物と炭酸ジエチル
とを触媒の存在下でエステル交換させるエステル交換法
を挙げることができる。該芳香族ポリカーボネートは粘
度平均分子量が1万〜10万の範囲が好適である。ここ
で、上記2官能フェノール系化合物は、2,2’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピル
フェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1’−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等であり、特に
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
〔ビスフェノールA〕が好ましい。本発明において、2
官能フェノール系化合物は、単独で用いてもよいし、あ
るいはそれらを併用してもよい。
【0044】本発明において、(B)スチレン系樹脂と
(D)芳香族ポリカーボネートからなる樹脂成分100
重量部中の、(D)の占める量は1〜99重量%であ
り、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは、2
0〜70重量%、最も好ましくは、30〜60重量%で
ある。
【0045】本発明における(B)を含有する樹脂成分
100重量部に対して、前記(A)を1〜100重量部
含有することが好ましく、更に好ましくは、1〜30重
量部であり、最も好ましくは、5〜20重量部である。
【0046】本発明の液状リン系難燃剤(A成分)は、
樹脂組成物によって、必要に応じて、A成分以外の難燃
剤(E成分)として、ハロゲン系難燃剤、赤リン、無機
系リン酸塩、無機系難燃剤等を配合することができる。
【0047】E成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは、1
〜20重量部、最も好ましくは、5〜10重量部であ
る。
【0048】上記E成分としてのハロゲン系難燃剤は、
ハロゲン化ビスフェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0049】前記E成分の一つの赤リンは、一般の赤リ
ンの他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
りえらばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたも
の、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬
化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化
チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性
樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0050】前記E成分の一つの無機系リン酸塩は、ポ
リリン酸アンモニウムが代表的である。
【0051】そして、前記E成分としての無機系難燃剤
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化
バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種で
も2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたもの
が難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0052】本発明における前記E成分の添加量は,樹
脂成分100重量部に対して、1〜100重量部であ
り、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは、3〜
20重量部、最も好ましくは、5〜15重量部である。
【0053】本発明の液状リン系難燃剤(A成分)は、
樹脂組成物によって、必要に応じて、飽和高級脂肪族の
カルボン酸またはそれらの金属塩、カルボン酸エステル
系ワックス、オルガノシロキサン系ワックス、ポリオレ
フィンワックス、ポリカプロラクトンから選ばれる一種
または二種以上の離型剤(F成分)を配合することがで
きる。
【0054】上記F成分の中でも、飽和高級脂肪族のカ
ルボン酸またはそれらの金属塩から選ばれた1種または
2種以上の化合物が好ましい。
【0055】飽和高級脂肪酸のカルボン酸としては炭素
数12〜42の直鎖飽和モノカルボン酸が好ましい。例
えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。これ
らの金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜
鉛等があり、特にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウムが特に好ましい。
【0056】F成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましく
は、0.1〜5重量部、最も好ましくは、0.3〜1重
量部である。
【0057】本発明において、必要に応じて、トリアジ
ン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属化合物、シ
リコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ、アラミド繊
維、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル繊維から選ば
れる一種以上の難燃助剤(G成分)を配合することがで
きる。
【0058】G成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは0.001〜40重量部、更に好まし
くは、1〜20重量部、最も好ましくは、5〜10重量
部である。
【0059】G成分としてのトリアジン骨格含有化合物
は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上
させるための成分である。その具体例としては、メラミ
ン、下記式(6)で示されるメラム、下記式(7)で示
されるメレム、メロン(600℃以上でメレム3分子か
ら3分子の脱アンモニアによる生成物)、下記式(8)
で示されるメラミンシアヌレート、下記式(9)で示さ
れるリン酸メラミン、下記式(10)で示されるサクシ
ノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログア
ナミン、下記式(11)で示されるメラミン樹脂、下記
式(12)で示されるBTレジン等を挙げることができ
るが、低揮発性の観点から特にメラミンシアヌレートが
好ましい。
【0060】
【化10】
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
【化13】
【0064】
【化14】
【0065】
【化15】
【0066】
【化16】
【0067】G成分としてのノボラック樹脂は、難燃助
剤であり、かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあ
る。そして、その樹脂は、フェノール類とアルデヒド類
を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得
られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、「高分子
実験学5『重縮合と重付加』p.437〜455(共立
出版(株))」に記載されている。
【0068】ノボラック樹脂製造の一例を下記式(1
3)、(14)に示す。
【0069】
【化17】
【0070】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0071】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0072】G成分としての含金属化合物は、金属酸化
物及び/または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化
アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モ
リブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、
酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸
化タングステン等の単体または、それらの複合体(合
金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタ
ン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマ
ス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アン
チモン等の単体または、それらの複合体である。
【0073】G成分としてのシリコーン樹脂は、SiO
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位
を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコー
ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジ
ル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有
した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシ
リコーン樹脂が好ましい。
【0074】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0075】G成分としてのシリコーンオイルはポリジ
オルガノシロキサンであり、特に含ビニル基シリコーン
オイルが好ましく、下記式(15)に示される化学結合
単位からなる。
【0076】
【化18】
【0077】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式(16)、(17)で示
される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置
換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0078】
【化19】
【0079】
【化20】
【0080】前記含ビニル基シリコーンオイルの粘度
は、600〜1000000センチストークス(25
℃)が好ましく、さらに好ましくは90000〜150
000センチストークス(25℃)である。
【0081】G成分としてのシリカは、無定形の二酸化
ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系の
シランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆
シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素
系化合物被覆シリカが好ましい。
【0082】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0083】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0084】G成分としてのアラミド繊維は、平均直径
が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであ
ることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラ
フェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または
硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することに
より製造することができる。
【0085】G成分としてのフッ素系樹脂は、難燃助剤
であり、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。そ
の具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。
また、必要に応じて上記含フッ素モノマーと共重合可能
なモノマーとを併用してもよい。
【0086】G成分としてのポリアクリロニトリル繊維
は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜
10mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド
等の溶媒に重合体を溶解し、400°Cの空気流中に乾
式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶
解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
【0087】本発明において、必要に応じて、芳香族ビ
ニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹
脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤(H成分)を配合することができる。
【0088】H成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましく
は、0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量
部である。
【0089】H成分としての共重合樹脂の芳香族ビニル
単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラ
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチ
レンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香
族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリル
酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸
エステルである。
【0090】ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エステ
ル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更には、
5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹脂の
分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のMEK
溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチポア
ズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満で
は、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流動
性の向上効果が低下する。
【0091】H成分としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0092】H成分としての高級脂肪酸は、離型剤(E
成分)の項で述べたもの以外の飽和脂肪酸、及びリシノ
ール酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタデ
セン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0093】H成分としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0094】H成分としての高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0095】H成分としての高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンオクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0096】H成分としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0097】本発明において、必要に応じて、熱可塑性
エラストマー(I成分)を配合することができ、例え
ば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル
系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ
塩化ビニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エ
ラストマーが好ましい。
【0098】I成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましく
は、1〜10重量部、最も好ましくは、2〜5重量部で
ある。
【0099】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0100】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0101】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0102】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0103】本発明において、耐光性が要求される場合
には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン
系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、金
属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種
以上の耐光性改良剤(J成分)を配合することができ
る。
【0104】J成分の量は、樹脂成分100重量部に対
して、好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましく
は、0.1〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量
部である。
【0105】本発明において、(C)ポリフェニレンエ
ーテルを用いる場合の樹脂組成物の製造方法としては、
(B)スチレン系樹脂と(C)をまず溶融し、次いで、
(A)を添加し、同一押出機で溶融混練する方法、また
は(A)、(C)、または必要に応じて(A)を配合し
たマスターバッチを製造した後、上記マスターバッチ
と、残りのスチレン系樹脂または残りの(A)を混練す
る方法がある。
【0106】本発明において、難燃樹脂組成物の製造に
用いられる二軸押出機については、特にポリフェニレン
エーテルを含有する場合には、そのシリンダー内径Dに
対するスクリュー長さLの割合L/Dが20〜50であ
ることが好ましく、上記二軸押出機の先端部からの距離
を異にするメインフィード開口部とサイドフィード開口
部の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給
用開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離
の供給用開口部との間にニーディング部分を有し、上記
ニーディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであ
ることが好ましい。
【0107】本発明において、難燃樹脂組成物の好まし
い組成の一例としては次のものを挙げることができる。
【0108】樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4〜
0.6であるゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチ
レン系樹脂からなるスチレン系樹脂80〜95重量%、
還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリフェニ
レンエーテル25〜5重量%を含有する熱可塑性樹脂1
00重量部、または上記ゴム変性スチレン系樹脂とゴム
非変性スチレン系樹脂からなるスチレン系樹脂10〜7
0重量%、芳香族ポリカーボネート90〜30重量%を
含有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記式
(1)で示される難燃剤5〜20重量部、5〜20重量
部。
【0109】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性、
耐加水分解性、耐熱性及び耐衝撃性が優れている。
【0110】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はそれにより何ら限定を
受けるものではない。
【0111】尚、実施例、比較例においては、以下の測
定法もしくは測定機を用いて種々の測定を行なった。
【0112】(1)難燃剤、樹脂組成物の分析 (A)樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケト
ンに溶解し、超遠心分離機を用いて分離する。(200
00rpm、1時間)次いで、分離して得られた上澄み
液に2倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出さ
せ、溶液部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離し
た。溶液部分については、GPC(ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置
本体(RI屈折率検出器付き) HLC−8020;カ
ラム 東ソー(株)製、G1000HXL 2本;移動
相 テトラヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力
60kgf/cm2;温度 INLET 35℃,O
VEN 40℃,RI 35℃;サンプルループ 10
0ml;注入サンプル量 0.08g/20ml 〕で
分析し、クロマトグラム上の各成分の面積比を各成分の
重量分率と仮定し、面積比からリン酸エステル、未反応
フェノール系化合物量を求めた。一方、上記の樹脂部分
については、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−
FT−NMR)を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族
プロトンの積分値の比を求め、ゴム変性スチレン系樹脂
及び芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル
等の熱可塑性樹脂の量を求めた。
【0113】(B)難燃剤の揮発性(熱重量天秤試験:
TGA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、40℃/分で昇温し、300℃または
400℃での重量減少量を揮発性の尺度とした。
【0114】(2)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエーテルの還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0115】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0116】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0117】(3)アイゾット(Izod)衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。
【0118】(Vノッチ、1/8インチ試験片) (4)ビカット(Vicat)軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0119】(5)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0120】(6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) (7)耐加水分解性 成形体を80℃の恒温槽に10時間浸漬し、浸漬前後の
成形体について、ASTM−D523−62Tに基づき
60度の入射角による表面光沢を求めた。次いで、浸漬
前後の表面光沢をそれぞれG0、G1とし、その差△Gを
耐加水分解性の指標とした。
【0121】(8)連続生産性(品質の安定性) サイドフィード可能な二軸押出機(Werner Pf
leiderer社製ZSK−40mmΦ )を用い、
10時間連続溶融押出しを行ない、1時間毎に得られた
ペレットの平均消炎時間を測定し、その難燃性の変化か
ら連続生産性(品質の安定性)を評価した。
【0122】具体的には、粉体リン系難燃剤を用いる場
合はホッパーに樹脂成分、難燃剤等全成分を一括添加
し、一方液体リン系難燃剤を用いる場合には難燃剤以外
の成分をホッパーに添加し、難燃剤のみサイドフィード
で液体添加する。尚、樹脂成分の一つとしてPPEを用
いる場合は、溶融粘度が高いために前もって製造された
PPE/GPPSのマスターバッチを使用する。
【0123】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0124】(イ)スチレン系樹脂 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0125】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た。(HIPS−1と称する)得られ
たゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量
は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μ
m、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0126】また、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動
剤量の調整により、還元粘度ηsp/cの異なったゴム
変性スチレン系樹脂を製造した。その結果を表2に記載
した。
【0127】実施例、比較例において、以下のHIPS
を用いた(表2、3)。
【0128】HIPS−1:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/g。
【0129】HIPS−2:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.79dl/g。
【0130】HIPS−3:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.60dl/g。
【0131】HIPS−4:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.58dl/g。
【0132】HIPS−5:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.40dl/g。
【0133】HIPS−6:ゴム含量は12.1重量
%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηs
p/cは0.35dl/g。
【0134】ゴム非変性スチレン系樹脂(GPPS) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)を用いた(GPPSと称する)。
【0135】(ロ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηsp/Cは
0.41dl/gであった。
【0136】また、ポリフェニレンエーテルの製造の際
の触媒量の調整または重合時間の制御により、還元粘度
ηsp/cの異なったポリフェニレンエーテルを製造し
た。その結果を表3に示す。
【0137】(ハ)芳香族ポリカーボネート(PC) 市販の、ビスフェノールAポリカーボネート{住友ダウ
(株)製、商品名 カリバー3(PCと称する)}を用
いた。
【0138】(ニ)リン系難燃剤 トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
融点が50℃の粉体難燃剤である。
【0139】1,3−フェニレンビス(ジ2,6−ジ
メチルフェニルホスフェート)(fr−1)の製造 2,6−キシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120℃に達した時点でオキシ
塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この時
発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化
リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃ま
で2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られた
中間体のジ(ジ2,6−ジメチルフェニル)ホスホロク
ロリドの収率は99.%であった。次いで、得られた中
間体45重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニ
ウム1.5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反
応液の温度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させ
て脱塩酸反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成
後、200mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、
反応を完結した。このようにして得られた反応液にキシ
レン500重量部、10%塩酸水200重量部を添加
し、残存する触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。
この精製反応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化さ
せ、メタノールで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行な
い、下記式(18)で示される1,3−フェニレンビス
(ジ2,6−ジメチルフェニルホスフェート)(fr−
1と称する)を得た。融点が95℃の粉体難燃剤であ
る。
【0140】
【化21】
【0141】トリス(ノニルフェニル)フォスフェー
ト(fr−2)の製造 ノニルフェノール431.0重量部(モル比3.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。反応を完結
させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温
度を上げてエステル化を完了させた。次いで反応生成物
を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してトリス
(ノニルフェニル)フォスフェート(以下、fr−2と
称する)を得た。25℃では液状難燃剤である。
【0142】ビスフェノールA ビス(ジフェニルホ
スフェート)(fr−3) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(f
r−3と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リ
ン酸エステルは、GPC分析によると、下記式(19)
で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP
−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェー
ト(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。25℃では液状難燃剤であ
る。
【0143】
【化22】
【0144】1,3−フェニレン ビス(ジフェニル
ホスフェート)(fr−4) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(fr
−4と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リン
酸エステルは、GPC分析によると、下記式(20)で
表わされるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴマ
ー(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/35
であった。25℃では液状難燃剤である。
【0145】
【化23】
【0146】本発明fr−1含有液状リン系難燃剤 fr−1の製造において、精製反応液に上記fr−2〜
−4を表1記載量添加して、25℃で液状の1,3−フ
ェニレンビス(ジ2,6−ジメチルフェニルホスフェー
ト)含有リン系難燃剤を製造した。
【0147】実施例1〜3、比較例1〜4 表1記載の各種芳香族リン酸エステルを測定法記載の欄
の方法により測定し、表1の難燃剤評価の欄に記載し
た。
【0148】次いで、HIPS−1/GPPS−1(7
0/30)からなるスチレン系樹脂100重量部に対し
て、表1記載のリン系難燃剤9重量部を機械的に混合
し、サイドフィード可能な二軸押出機(Werner
Pfleiderer社製 ZSK−40mmΦ )を
用いて、溶融押出しを行なった。即ち、押出機で上記混
合組成物を溶融する際に、粉体リン系難燃剤を用いる場
合はホッパーに樹脂成分、難燃剤等全成分を一括添加
し、一方液体リン系難燃剤を用いる場合には難燃剤以外
の成分をホッパーに添加し、難燃剤のみサイドフィード
で液体添加し、回転数295rpm、吐出量80kg/
hで240℃で溶融混練した。
【0149】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ
ー温度230℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、耐加水分解性、難燃性及び連続生産性の評価を行な
った。表1にその結果を記載した。
【0150】
【表1】
【0151】実施例4〜9 表2記載の還元粘度ηsp/CのHIPSを用いて、表
2記載の組成物を実施例1と同様にして、試験片を作製
し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟化温度、
難燃性、及び連続生産性の評価を行なった。表2にその
結果を記載した。
【0152】表2によると、HIPSの分子量の指標で
ある還元粘度ηsp/Cが小さい方が滴下型の難燃性が
優れているが、特にηsp/Cが0.4〜0.6の範囲
にある場合は、流動性、衝撃強度、及び難燃性のバラン
ス特性が優れていることが分かる。
【0153】
【表2】
【0154】実施例10〜19 表3記載の還元粘度ηsp/CのPPEを用いて、表3
記載の組成物を実施例1と同様にして、試験片を作製
し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟化温度、
難燃性、連続生産性の評価を行なった。表3にその結果
を記載した。但し、PPEを使用するために、押出機の
前段でPPE/GPPSを320℃で溶融し、後段で残
りの樹脂成分とリン系難燃剤をサイドフィードし、同様
に溶融混練した。
【0155】
【表3】
【0156】表3によると、PPEが存在すると、耐熱
性が向上するが、特にPPEの還元粘度ηsp/Cが
0.3〜0.6である場合には流動性、耐熱性、剛性、
衝撃強度及び難燃性のバランス特性が著しく向上するこ
とが分かる。
【0157】実施例20〜25 表4記載の組成物を実施例1と同様にして、試験片を作
製し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟化温
度、難燃性、及び連続生産性の評価を行なった。表4に
その結果を記載した。
【0158】
【表4】
【0159】
【発明の効果】液状であるために生産性が向上し、かつ
品質の安定化を可能にする液状リン系難燃剤をスチレン
系樹脂に添加することによって、長期間連続成形を行な
ってもモールドディポジットが著しく少なく、かつ難燃
性、耐加水分解性、耐衝撃性、耐熱性、及び流動性の優
れた樹脂組成物が得られる。
【0160】この樹脂組成物は、VTR、分電盤、テレ
ビ、オーディオプレーヤー、コンデンサ、家庭用コンセ
ント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレ
イヤー、エアコンディショナー、加湿機、電気温風機械
等の家電ハウジング、シャーシまたは部品、CD−RO
Mのメインフレーム(メカシャーシ)、プリンター、フ
ァックス、PPC、CRT、ワープロ複写機、電子式金
銭登録機、オフィスコンピューターシステム、フロッピ
ーディスクドライブ、キーボード、タイプ、ECR、電
卓、トナーカートリッジ、電話等のOA機器ハウジン
グ、シャーシまたは部品、コネクタ、コイルボビン、ス
イッチ、リレー、リレーソケット、LED、バリコン、
ACアダップター、FBT高圧ボビン、FBTケース、
IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、
モーター部品等の電子・電気材料、そして、インスツル
メントパネル、ラジエーターグリル、クラスター、スピ
ーカーグリル、ルーバー、コンソールボックス、デフロ
スターガーニッシュ、オーナメント、ヒューズボック
ス、リレーケース、コネクタシフトテープ等の自動車材
料等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大き
い。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 21/12 C09K 21/12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で示される化合物を含有す
    る、25℃で液体である液状リン系難燃剤。 【化1】 (式中、Rは炭素数が1から10の炭化水素を表す。)
  2. 【請求項2】 液状化可能量の液状化剤を配合した、請
    求項1記載の25℃で液体である液状リン系難燃剤。
  3. 【請求項3】 式(1)のRがメチル基である請求項1
    または2記載の液状リン系難燃剤。
  4. 【請求項4】 液状化剤が下記式(2)で示される化合
    物である請求項1から3記載のいずれかの液状リン系難
    燃剤。 【化2】 (式中、a、b、cは1から3、R1、R2、R3は水素
    または炭素数が1から30の炭化水素であり、化合物全
    体として、置換基R1、R2、R3の炭素数の合計が平均
    12から30である。ここで、異なった置換基を有す
    る、複数の芳香族リン酸エステルからなる場合には、上
    記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数の合計は、数
    平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リン酸エステル成
    分の重量分率と、各成分の置換基の炭素数の合計との積
    の和である。)
  5. 【請求項5】 スチレン系樹脂100重量部に対して、
    請求項1〜4のいずれかの難燃剤1〜100重量部を含
    有するスチレン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ゴム変性スチレン系樹脂1〜99重量
    %、ポリフェニレンエーテル99〜1重量%からなる樹
    脂成分100重量部に対して、請求項1〜4記載のいず
    れかの難燃剤1〜100重量部を含有する難燃性スチレ
    ン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ゴム変性スチレン系樹脂1〜99重量
    %、ポリカーボネート99〜1重量%からなる樹脂成分
    100重量部に対して、請求項1〜4記載のいずれかの
    難燃剤1〜100重量部を含有する難燃性スチレン系樹
    脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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