JPH10237246A - 卓越した難燃性を有するスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

卓越した難燃性を有するスチレン系樹脂組成物

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JPH10237246A
JPH10237246A JP3797197A JP3797197A JPH10237246A JP H10237246 A JPH10237246 A JP H10237246A JP 3797197 A JP3797197 A JP 3797197A JP 3797197 A JP3797197 A JP 3797197A JP H10237246 A JPH10237246 A JP H10237246A
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weight
styrene
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resin composition
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JP3797197A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 卓越した難燃性、耐加水分解性、耐熱変色
性を有し、かつ長期間連続成形を行なってもモールドデ
ィポジットが発生しないスチレン系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)スチレン系樹脂100重量部、
(B)下記式(1)で示される難燃剤1〜100重量
部、及び必要に応じて(C)ポリフェニレンエーテルを
配合した樹脂組成物であって、かつ上記樹脂組成物中に
残留する芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビニル単量体
の2量体及び3量体の合計の含有量が1重量%以下であ
ることを特徴とする卓越した難燃性を有するスチレン系
樹脂組成物。 【化1】 [式中、a,b,c,d,eは0から3であり(ただ
し、a,b,c,d,eは同時に0ではない)、R1
らR5は炭素数が1から10の炭化水素であり、nは1
〜3の整数を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は卓越した難燃性を有
するスチレン系樹脂組成物に関する。更に詳しくは、卓
越した難燃性、耐加水分解性、耐熱変色性、及び長期間
連続成形を行なってもモールドディポジットが発生しな
いスチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレン系樹脂
に添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲン系難燃
剤を用いた場合には、環境等の問題をも有し、リン系、
無機系難燃剤を用いた場合は、衝撃強度、成形加工流動
性及び耐熱性が必ずしも満足できるものではなく、そし
て、成形時の揮発性有機リンによる金型汚染、いわゆる
モールドディポジットが発生するために生産性を低下さ
せたり、または金型汚染物が成形品に転写しストレスク
ラックを引き起こすという問題があり、工業的使用が狭
められる。
【0004】揮発性を改良する技術として、ポリアミ
ド、ポリカーボネートとポリホスフェートからなる難燃
性樹脂組成物(特公平2−18336号公報)、フェニ
レンビス(2,6−ジアルキルフォスフェート)等の芳
香族ジホスフェートの製造方法と用途(特開平5−10
79号公報)が開示されている。該公報の難燃剤及び樹
脂組成物は低揮発性であるものの、残留する芳香族ビニ
ル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量体
を特定量以下に制御されていないために難燃性が劣る。
【0005】また、特公平7−119347号公報に
は、スチレン2量体とスチレン3量体を総量で0.5%
以下、残留揮発分を総量500ppm以下含有するゴム
変性スチレン系樹脂が開示されている。上記樹脂組成物
は、難燃剤のない組成物であり、本発明の特定の難燃剤
との組み合わせにより卓越した難燃性が発現することは
開示されていないし、暗示さえされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち長期間連
続成形を行なってもモールドディポジットが発生しない
(低揮発性)、卓越した難燃性を有するスチレン系樹脂
組成物の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、卓越した
難燃性向上技術と揮発性を示す一つの指標であるモール
ドディポジットの防止技術を鋭意検討した結果、難燃剤
として特定の構造の芳香族リン酸エステル縮合体と、芳
香族ビニル単量体由来の揮発性成分を特定量以下に制限
することにより、驚くべきことに、耐加水分解性、モー
ルドディポジットを抑制しつつ、スチレン系樹脂の難燃
性を飛躍的に向上させることが可能になることを見出
し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は、(A)スチレン系樹脂1
00重量部、(B)下記式(1)で示される難燃剤1〜
100重量部、及び必要に応じて(C)ポリフェニレン
エーテルを配合した樹脂組成物であって、かつ上記樹脂
組成物中に残留する芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビ
ニル単量体の2量体及び3量体の合計の含有量が1重量
%以下であることを特徴とする卓越した難燃性を有する
スチレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【化2】
【0010】[式中、a,b,c,d,eは0から3で
あり(ただし、a,b,c,d,eは同時に0ではな
い)、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す。] 以下、本発明を詳しく説明する。
【0011】本発明は、(A)スチレン系樹脂、(B)
難燃剤、及び必要に応じて、(C)ポリフェニレンエー
テルを配合した組成物において、特定量以下の芳香族ビ
ニル単量体由来の揮発性成分からなる難燃性スチレン系
樹脂組成物である。
【0012】上記(A)は成形用樹脂組成物の主成分を
なし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)はスチレ
ン系樹脂に難燃性を付与するための成分であり、(C)
は(A)に衝撃強度、耐熱性及び難燃性を付与するため
の成分である。
【0013】ここで、(B)は特定の構造の芳香族リン
酸エステル縮合体であり、単量体でなく縮合体であるこ
とが重要である。縮合体であるために300℃以下の加
工温度では不揮発であり、加工時にモールドデポジット
の問題はない。また、式(1)の芳香族リン酸エステル
縮合体は、単官能フェノールとのリン酸エステル結合部
分と、二官能フェノールによって芳香族リン酸エステル
が縮合した結合部分とからなる。芳香族リン酸エステル
縮合体の縮合部分(二官能フェノール由来)は、置換ま
たは無置換のフェニレン基であることが必須である。ベ
ンゼン環に二つのリン酸エステルが置換されることによ
り結合エネルギーが低下し、400〜450℃の燃焼時
に容易に分解し難燃化を促進する。もしフェニレンの代
わりにジフェニル基、イソプロピルジフェニル基の場合
は、エステル部分の結合が強いために燃焼時の分解性が
劣り、難燃性が低下する。そして、上記単官能フェノー
ルは、2,6位にアルキル基が置換されていることが好
ましい。一般に縮合部分が置換または無置換のフェニレ
ン基の場合、比較的耐加水分解性が低いが、2,6位に
炭化水素基、特にアルキル基が置換されることにより耐
加水分解性が飛躍的に向上することを見出した。
【0014】次に、樹脂組成物中に残留する芳香族ビニ
ル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量体
の合計の含有量が1重量%以下であることが重要であ
る。上記合計が1重量%を越えると、燃焼時に上記化合
物が揮発し、燃料として作用するために特に滴下型難燃
性が低下することを見出し、本発明を完成した。
【0015】本発明において、(A)スチレン系樹脂
は、ゴム変性スチレン系樹脂及び/またはゴム非変性ス
チレン系樹脂であり、特にゴム変性スチレン系樹脂単独
またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチレン系
樹脂からなることが好ましく、(B)〜(C)と相溶も
しくは均一分散し得るものであれば特に制限はない。ま
た、ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、乳化
重合、懸濁重合等の重合方法により得られる。
【0016】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0017】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0018】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0019】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0020】また、(A)の中のゴム変性スチレン系樹
脂の成分として必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共
重合可能な単量体成分を一種以上導入することができ
る。耐油性を高める必要のある場合は、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用
いることができる。
【0021】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0022】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0023】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。
【0024】本発明において前記(B)として使用する
難燃剤は、式(1)で示される。
【0025】
【化3】
【0026】[式中、a,b,c,d,eは0から3で
あり(ただし、a,b,c,d,eは同時に0ではな
い)、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す。] 上記難燃剤は、特開平5−1079号公報等に開示され
た公知の方法により製造することができる。例えば、
2,6位に置換された単官能フェノールとオキシハロゲ
ン化リンとルイス酸触媒の存在下で反応させ、ジアリー
ルホスホロハライドを得、次いでこれと二官能フェノー
ルをルイス酸触媒の存在下で反応する方法がある。本発
明において、特に好ましい難燃剤としては、1,3−フ
ェニレンビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)フォス
フェート]、1,4−フェニレンビス[ジ(2,6−ジ
メチルフェニル)フォスフェート]などがある。
【0027】ここで、前記難燃剤がアルミニウム、マグ
ネシウム、ナトリウム、アンチモンから選ばれる金属原
子を1〜1000ppm含有することが好ましく、更に
フェノール系化合物を1〜5000ppm含有すること
がより好ましい。その結果、耐加水分解性、耐熱変色性
を保持しつつ、卓越した難燃性が発現することが判明し
た。アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、アンチ
モンは、上記芳香族リン酸エステル縮合体の製造におい
て用いられる触媒由来の金属原子であり、フェノール系
化合物は上記製造において用いられる未反応のフェノー
ル系化合物である。上記製造法により得られた未精製の
芳香族リン酸エステル縮合体は、水洗、蒸留または液体
クロマトグラフィーによる分取分別等により精製され
る。その際、精製の程度を変更することにより上記金属
の総原子重量、フェノール系化合物量を制御することが
できる。
【0028】本発明における前記(B)の量は、スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜100
重量部、更に好ましくは、1〜30重量部であり、最も
好ましくは、5〜20重量部である。
【0029】本発明において、スチレン系樹脂を主体に
他の熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ポ
リフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にポ
リフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑
性樹脂が好ましい。
【0030】本発明において、スチレン系樹脂と共に配
合できる熱可塑性樹脂の一つの(C)ポリフェニレンエ
ーテルは、下記式(2)で示される結合単位からなる単
独重合体及び/又は共重合体である。
【0031】
【化4】
【0032】(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ
水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から
選択されるものであり、互いに同一でも異なっていても
よい。) このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリ
メチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの製造方法
は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第
3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩
とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば
2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製
造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号
明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国
特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−1
7880号公報、特開昭50−51197号公報に記載
された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記
ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.2
0〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポ
リフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の調整などを
挙げることができる。
【0033】本発明における前記(C)の量は、スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜100
重量部、更に好ましくは、1〜50重量部であり、最も
好ましくは、5〜20重量部である。
【0034】本発明において、特にUL−94規定のV
−2ランキングに相当する滴下型難燃スチレン系樹脂
は、(A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4〜
0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重量部、
(B)式(1)で示される難燃剤1〜50重量部、
(C)還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリ
フェニレンエーテル1〜50重量部を組み合わせること
により達成することができる。本発明の還元粘度の要件
を満足することにより、火種の滴下性と衝撃強度のバラ
ンス特性が向上する。
【0035】本発明において、必要に応じて、(B)以
外の難燃剤(D)として、ハロゲン系難燃剤、(B)以
外の有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩、無機系
難燃剤等を配合することができる。
【0036】上記(D)としてのハロゲン系難燃剤は、
ハロゲン化ビスフェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0037】前記(D)中の有機リン化合物の例として
は、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、
ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜
リン酸エステル等である。より具体的には、トリフェニ
ルフォスフェート、メチルネオベンチルフォスファイ
ト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、
メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペ
ンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニ
ルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォス
フェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェ
ニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコ
ールフォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォス
フェートである。
【0038】上記有機リン化合物の中でも、特にヒドロ
キシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例えばト
リクレジルフォスフェートやトリフェニルフォスフェー
ト等に1個または2個以上のフェノール性水酸基を含有
したリン酸エステル単量体、または式(3)に示した芳
香族リン酸エステル単量体が好ましい。
【0039】
【化5】
【0040】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、芳香族リン酸エステル単量体の中で
も、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平均は、1
5〜30が好ましく、さらには20〜30が好ましく、
25〜30が最も好ましい。
【0041】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、一つまたは複数個の置換基が一つの芳香環
にオルト、メタ、パラの何れの位置にも置換することが
できるが、パラ置換体が好ましい。一つのリン酸エステ
ル単量体に置換するアルキル基の炭素数の合計が12〜
30の範囲にあることが最も好ましいが、長鎖アルキル
基が一つだけ置換した芳香環を一つだけ有するリン酸エ
ステル単量体よりも、アルキル基が一つだけ置換した芳
香環が複数個有するリン酸エステル単量体の方が耐熱性
及び耐水性が優れている。例えば、置換するアルキル基
の炭素数の合計が18でも、オクタデシルフェニルジフ
ェニルフォスフェートよりも、ビス(ノニルフェニル)
フェニルフォスフェートの方が耐熱性が高く好ましい。
【0042】本発明において、有機リン化合物の中で
も、特にR1、R2、R3の少なくとも1つはノニル基で
あるリン酸エステル単量体が好ましく、R1、R2、R3
がノニル基である芳香族リン酸エステル単量体〔トリス
(ノニルフェニル)フェニルフォスフェート〕が流動性
と耐揮発性の観点から最も好ましい。そして、上記リン
酸エステル単量体は火種の滴下性に優れ、UL−94に
準拠した難燃性基準において、V−2ランクの難燃剤と
して極めて優れており、更に本発明の組成物において用
いられている(B)を併用することにより卓越した滴下
型難燃性が発現する。この事実は従来知られていなかっ
た。
【0043】前記(D)中の赤リンは、一般の赤リンの
他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえら
ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水
酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂
よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被
膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0044】前記(D)中の無機系リン酸塩は、ポリリ
ン酸アンモニウムが代表的である。
【0045】そして、前記(D)としての無機系難燃剤
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化
バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種で
も2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたもの
が難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0046】本発明における前記(D)の添加量は、ス
チレン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部
であり、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは、
3〜20重量部、最も好ましくは、5〜15重量部であ
る。
【0047】本発明において、必要に応じて、トリアジ
ン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属化合物、シ
リコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ、アラミド繊
維、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル繊維から選ば
れる一種以上の難燃助剤(E)を配合することができ
る。
【0048】(E)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.001〜40重量部、更に
好ましくは、1〜20重量部、最も好ましくは、5〜1
0重量部である。
【0049】(E)としてのトリアジン骨格含有化合物
は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上
させるための成分である。その具体例としては、メラミ
ン、下記式(4)で示されるメラム、下記式(5)で示
されるメレム、メロン(600℃以上でメレム3分子か
ら3分子の脱アンモニアによる生成物)、下記式(6)
で示されるメラミンシアヌレート、下記式(7)で示さ
れるリン酸メラミン、下記式(8)で示されるサクシノ
グアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナ
ミン、下記式(9)で示されるメラミン樹脂、下記式
(10)で示されるBTレジン等を挙げることができる
が、揮発性の観点から特にメラミンシアヌレートが好ま
しい。
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】(E)としてのノボラック樹脂は、難燃助
剤であり、かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあ
る。そして、その樹脂は、フェノール類とアルデヒド類
を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得
られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、「高分子
実験学5『重縮合と重付加』p.437〜455(共立
出版(株))」に記載されている。
【0058】ノボラック樹脂製造の一例を下記式(1
1)、(12)に示す。
【0059】
【化13】
【0060】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0061】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0062】(E)としての含金属化合物は、金属酸化
物及び/または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化
アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モ
リブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、
酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸
化タングステン等の単体または、それらの複合体(合
金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタ
ン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマ
ス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アン
チモン等の単体または、それらの複合体である。
【0063】(E)としてのシリコーン樹脂は、SiO
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位
を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコー
ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジ
ル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有
した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシ
リコーン樹脂が好ましい。
【0064】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0065】(E)としてのシリコーンオイルはポリジ
オルガノシロキサンであり、特に含ビニル基シリコーン
オイルが好ましく、下記式(13)で示される化学結合
単位からなる。
【0066】
【化14】
【0067】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式(14)、(15)で示
される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置
換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】前記含ビニル基シリコーンオイルの粘度
は、600〜1000000センチストークス(25
℃)が好ましく、さらに好ましくは90000〜150
000センチストークス(25℃)である。
【0071】(E)としてのシリカは、無定形の二酸化
ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系の
シランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆
シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素
系化合物被覆シリカが好ましい。
【0072】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0073】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0074】(E)としてのアラミド繊維は、平均直径
が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであ
ることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラ
フェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または
硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することに
より製造することができる。
【0075】(E)としてのフッ素系樹脂は、難燃助剤
であり、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。そ
の具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。
また、必要に応じて上記含フッ素モノマーと共重合可能
なモノマーとを併用してもよい。
【0076】(E)としてのポリアクリロニトリル繊維
は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜
10mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド
等の溶媒に重合体を溶解し、400°Cの空気流中に乾
式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶
解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
【0077】本発明において、必要に応じて、芳香族ビ
ニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹
脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤(F)を配合することができる。
【0078】(F)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ま
しくは、0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5
重量部である。
【0079】(F)としての共重合樹脂の芳香族ビニル
単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラ
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチ
レンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香
族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリル
酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸
エステルである。
【0080】ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エステ
ル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更には、
5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹脂の
分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のMEK
溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチポア
ズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満で
は、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流動
性の向上効果が低下する。
【0081】(F)としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0082】(F)としての高級脂肪酸は、飽和脂肪
酸、及びリシノール酸、リシンベライジン酸、9−オキ
シ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0083】(F)としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0084】(F)としての高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0085】(F)としての高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0086】(F)としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0087】本発明において、必要に応じて、熱可塑性
エラストマー(F)を配合することができ、例えば、ポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポ
リウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビ
ニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エラスト
マーが好ましい。
【0088】(F)の量は、ゴム変性スチレン系樹脂1
00重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、
更に好ましくは、1〜10重量部、最も好ましくは、2
〜5重量部である。
【0089】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0090】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0091】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0092】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0093】本発明において、必要に応じて、飽和高級
脂肪族のカルボン酸またはそれらの金属塩、カルボン酸
エステル系ワックス、オルガノシロキサン系ワックス、
ポリオレフィンワックス、ポリカプロラクトンから選ば
れる一種または二種以上の離型剤(G)を配合すること
ができる。
【0094】上記E成分の中でも、飽和高級脂肪族のカ
ルボン酸またはそれらの金属塩から選ばれた1種または
2種以上の化合物が好ましい。
【0095】飽和高級脂肪酸のカルボン酸としては炭素
数12〜42の直鎖飽和モノカルボン酸が好ましい。例
えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。これ
らの金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜
鉛等があり、特にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウムが特に好ましい。
【0096】(G)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ま
しくは、0.1〜5重量部、最も好ましくは、0.3〜
1重量部である。
【0097】本発明において、耐光性が要求される場合
には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン
系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、金
属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種
以上の耐光性改良剤(H)を配合することができる。
【0098】(H)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、更に好
ましくは、0.1〜10重量部、最も好ましくは、1〜
5重量部である。
【0099】(C)ポリフェニレンエーテルを用いる場
合の本発明の樹脂組成物の製造方法としては、スチレン
系樹脂と(C)をまず溶融し、次いで、(B)を添加
し、同一押出機で溶融混練する方法、またはスチレン系
樹脂、(C)、または必要に応じて(B)を配合したマ
スターバッチを製造した後、上記マスターバッチと、残
りのスチレン系樹脂または残りの(B)を混練する方法
がある。
【0100】本発明の難燃樹脂組成物の製造において用
いられる二軸押出機については、特にポリフェニレンエ
ーテルを含有する場合には、そのシリンダー内径Dに対
するスクリュー長さLの割合L/Dが20〜50である
ことが好ましく、上記二軸押出機の先端部からの距離を
異にするメインフィード開口部とサイドフィード開口部
の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給用
開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の
供給用開口部との間にニーディング部分を有し、上記ニ
ーディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dである
ことが好ましい。
【0101】本発明の難燃樹脂組成物の好ましい組成の
一例としては次のものを挙げることができる。ゴム変性
スチレン系樹脂10〜90重量部とゴム非変性スチレン
系樹脂90〜10重量部からなる、スチレン系樹脂
(A)100重量部に対して、トリス(ノニルフェニ
ル)フォスフェート等の芳香族リン酸エステル単量体と
1,3−フェニレンビス[ジ(2,6−ジメチルフェニ
ル)フォスフェート]及び/または1,4−フェニレン
ビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)フォスフェー
ト]等の芳香族リン酸エステル縮合体からなる難燃剤
(B)5〜15重量部、(C)ポリフェニレンエーテル
3〜10重量部。
【0102】上記組成の場合には、難燃性、特に滴下型
難燃性、連続成形性、成形加工性(流動性)、耐衝撃
性、及び耐熱性のバランス特性が優れている。
【0103】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性
(滴下型難燃性)、流動性、耐熱性及び耐衝撃性が優れ
ている。
【0104】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。
【0105】尚、実施例、比較例における測定は、以下
の方法もしくは測定機を用いて行なった。
【0106】(1)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエーテルの還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0107】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0108】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0109】(2)組成物の分析 樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトンに溶
解し、超遠心分離機を用いて分離する。(20000r
pm、1時間)次いで、分離して得られた上澄み液に2
倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、溶液
部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。溶液
部分については、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体(R
I屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム 東
ソー(株)製、G1000HXL2本;移動相 テトラ
ヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力 60kg
f/cm2;温度 INLET 35℃,OVEN 4
0℃,RI 35℃;サンプルループ 100ml;注
入サンプル量 0.08g/20ml〕で分析し、クロ
マトグラム上の各成分の面積比を各成分の重量分率と仮
定し、面積比からリン酸エステル及び残留する芳香族ビ
ニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量
体の組成と量を求めた。一方、上記の樹脂部分について
は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−FT−N
MR)を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族プロトン
の積分値の比を求め、ゴム変性スチレン系樹脂及びポリ
フェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂の量を求めた。
【0110】(3)難燃剤の揮発性評価(熱重量天秤試
験:TGA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、40℃/分で昇温し、300℃または
400℃での重量減少量揮発性の尺度とした。一方で
は、上記装置を用いて、窒素気流下、250℃で5分間
静置後の残存量を揮発性の尺度とした。
【0111】(4)Izod衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。
【0112】(Vノッチ、1/8インチ試験片) (5)Vicat軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0113】(6)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0114】(7)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) (8)耐加水分解性 成形体を80℃の恒温槽に10時間浸漬し、浸漬前後の
成形体について、ASTM−D523−62Tに基づき
60度の入射角による表面光沢を求めた。次いで、浸漬
前後の表面光沢をそれぞれG0、G1とし、その差ΔG
を耐加水分解性の指標とした。
【0115】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0116】(イ)スチレン系樹脂 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0117】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た。(HIPS−1と称する)得られ
たゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量
は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μ
m、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0118】また、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動
剤量の調整により、還元粘度ηsp/cの異なったゴム
変性スチレン系樹脂を製造した。その結果を表2に記載
した。
【0119】実施例、比較例において、以下のHIPS
を用いた。(表3) HIPS−1:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.53dl/g HIPS−2:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.79dl/g HIPS−3:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.60dl/g HIPS−4:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.58dl/g HIPS−5:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.40dl/g HIPS−6:ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量
平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.3
5dl/g。
【0120】ゴム非変性スチレン系樹脂(GPPS) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)を用いた(GPPSと称する)。
【0121】(ロ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηsp/Cは
0.41dl/gであった。
【0122】また、ポリフェニレンエーテルの製造の際
の触媒量の調整または重合時間の制御により、還元粘度
ηsp/cの異なったポリフェニレンエーテルを製造し
た。その結果を表4に示す。
【0123】(ハ)リン系難燃剤 1,3−フェニレンビス[ジ(2,6−ジメチルフェ
ニル)ホスフェート](FR−1)の製造 2,6−キシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120℃に達した時点でオキシ
塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この時
発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化
リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃ま
で2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られた
中間体のジ(2,6−キシレニル)ホスホロクロリドの
収率は99.7%であった。次いで、得られた中間体4
5重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニウム
1.5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反応液
の温度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させて脱
塩酸反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成後、
200mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、反応
を完結した。このようにして得られた反応液にキシレン
500重量部、10%塩酸水200重量部を添加し、残
存する触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。この精
製反応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化させ、メタ
ノールで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行ない、下記式
(16)で示される1,3−フェニレンビス[ジ(2,
6−ジメチルフェニルホスフェート)](FR−1と称
する)を得た。
【0124】
【化17】
【0125】トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
また、リン含有量は9.5重量%である。
【0126】芳香族リン酸エステル縮合体:ビスフェ
ノールA ビス(ジフェニルホスフェート)(fr−
1) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(f
r−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リ
ン酸エステルは、GPC分析によると、下記式(17)
で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP
−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェー
ト(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。
【0127】
【化18】
【0128】1,3−フェニレン ビス(ジフェニル
ホスフェート)(fr−2) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(fr
−2と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リン
酸エステルは、GPC分析によると、下記式(18)で
表わされるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴマ
ー(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/35
であった。
【0129】
【化19】
【0130】実施例1〜2、比較例1〜3 重合温度と連鎖移動剤量を変更することにより、残留ス
チレンモノマー、オリゴマー(スチレンの2量体及び3
量体)を多量含有するポリスチレンを製造し、HIPS
−1を精製して得られたHIPSに配合することによ
り、残留スチレンモノマー、オリゴマー量の異なったゴ
ム変性ポリスチレンを製造した。次いで、表1記載の組
成比で配合し、サイドフィード可能な二軸押出機(シリ
ンダー内径D=40mmΦ、L/D=46)を用い、2
30℃で溶融押出しを行なった。
【0131】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)で、シリン
ダー温度230℃、金型温度60℃の条件で試験片を作
製し、難燃性評価を行なった。その結果を表1に記載し
た。
【0132】表1によると、樹脂組成物中の残留スチレ
ンモノマー、オリゴマーを1重量%以下にすることによ
り、大幅に難燃性が向上することが分かる。
【0133】
【表1】
【0134】実施例3、比較例4〜6 HIPS−1/GPPS(70/30)からなるスチレ
ン系樹脂100重量部に対して、表2記載の芳香族リン
酸エステル9重量部を機械的に混合し、実施例1と同様
に試験片を作製し、難燃性、耐加水分解性の評価を行な
った。その結果を表2に示した。
【0135】表2によると、本発明の要件を満足する芳
香族リン酸エステルは、300℃の重量減少がきわめて
小さいために、成形時に低揮発性であり、かつ、400
℃の重量減少が20%以上と大きく、燃焼時に効率的に
揮発または分解するために難燃性が優れていることが分
かる。そして、本発明の組成物は、難燃性、低揮発性、
耐加水分解性のバランス特性が優れていることが分か
る。
【0136】
【表2】
【0137】実施例4〜19 表3〜4記載の還元粘度ηsp/Cの異なるHIPS、
PPEを用い、残留スチレン単量体、スチレンの2量
体、3量体の合計の含有量が0.5重量%になるように
表3、4記載の組成比で混合し、実施例1と同様の実験
を行い評価した。但し、PPEを用いる場合はメインフ
ィーダーからHIPS/PPEをフィードし300℃で
溶融し、サイドフィーダーから残りの成分をフィードし
同様に230℃で溶融した。その結果を表3〜4に記載
した。
【0138】表3〜4によると、成形体中の残留スチレ
ン単量体、スチレンの2量体、3量体の合計の含有量が
1.0重量%以下で、HIPSのηsp/Cが0.4〜
0.6の範囲にある場合は、流動性、衝撃強度、及び難
燃性のバランス特性が優れており、そして、PPEが存
在すると、耐熱性と流動性、衝撃強度のバランス特性が
向上するが、特にゴム変性スチレン系樹脂に対して、P
PEを3〜10重量部配合し、その還元粘度ηsp/C
が0.3〜0.6である場合には流動性、耐熱性、衝撃
強度及び難燃性のバランス特性がさらに向上することが
分かる。
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【発明の効果】本発明は、卓越した難燃性を有するスチ
レン系樹脂組成物に関する。
【0142】本発明の組成物は、VTR、分電盤、テレ
ビ、オーディオプレーヤー、コンデンサ、家庭用コンセ
ント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレ
イヤー、エアコンディショナー、加湿機、電気温風機械
等の家電ハウジング、シャーシまたは部品、CD−RO
Mのメインフレーム(メカシャーシ)、プリンター、フ
ァックス、PPC、CRT、ワープロ複写機、電子式金
銭登録機、オフィスコンピューターシステム、フロッピ
ーディスクドライブ、キーボード、タイプ、ECR、電
卓、トナーカートリッジ、電話等のOA機器ハウジン
グ、シャーシまたは部品、コネクタ、コイルボビン、ス
イッチ、リレー、リレーソケット、LED、バリコン、
ACアダップター、FBT高圧ボビン、FBTケース、
IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、
モーター部品等の電子・電気材料、そして、インスツル
メントパネル、ラジエーターグリル、クラスター、スピ
ーカーグリル、ルーバー、コンソールボックス、デフロ
スターガーニッシュ、オーナメント、ヒューズボック
ス、リレーケース、コネクタシフトテープ等の自動車材
料等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大き
い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スチレン系樹脂100重量部、
    (B)下記式(1)で示される難燃剤1〜100重量部
    からなる樹脂組成物であって、かつ上記樹脂組成物中に
    残留する芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビニル単量体
    の2量体及び3量体の合計の含有量が1重量%以下であ
    ることを特徴とする卓越した難燃性を有するスチレン系
    樹脂組成物。 【化1】 [式中、a,b,c,d,eは0から3であり(ただ
    し、a,b,c,d,eは同時に0ではない)、R1
    らR5は炭素数が1から10の炭化水素であり、nは1
    〜3の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 式(1)のaが0であり、b,c,d,
    eが2であり、かつR2〜R5が2,6−位に置換されて
    いる難燃剤である、請求項1記載の卓越した難燃性を有
    するスチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 式(1)が、1,3−フェニレンビス
    [ジ(2,6−ジメチルフェニル)フォスフェート]及
    び/または1,4−フェニレンビス[ジ(2,6−ジメ
    チルフェニル)フォスフェート]である請求項1記載の
    卓越した難燃性を有するスチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】更に(C)ポリフェニレンエーテル1〜1
    00重量部を配合した請求項1〜3記載のいずれかの卓
    越した難燃性を有するスチレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが
    0.4〜0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重
    量部に対して、(B)請求項1〜3記載のいずれかの難
    燃剤1〜50重量部、(C)還元粘度ηsp/Cが0.
    3〜0.6であるポリフェニレンエーテル1〜50重量
    部である、請求項4記載の卓越した滴下型難燃性を有す
    るスチレン系樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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