JPH1112417A - 難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物

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JPH1112417A
JPH1112417A JP17052097A JP17052097A JPH1112417A JP H1112417 A JPH1112417 A JP H1112417A JP 17052097 A JP17052097 A JP 17052097A JP 17052097 A JP17052097 A JP 17052097A JP H1112417 A JPH1112417 A JP H1112417A
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resin
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rubber
resin composition
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JP17052097A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、難燃性の優れたスチレン系樹脂
組成物の提供。 【解決手段】 (A)スチレン系樹脂100重量部、
(B)有機リン化合物1〜100重量部、(C)未硬化
フェノール系樹脂0.1〜50重量部からなる樹脂組成
物であって、かつ上記樹脂組成物中に残留する芳香族ビ
ニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量
体の合計の含有量が1重量%以下であることを特徴とす
る難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂組成
物に関する。更に詳しくは、耐熱性、難燃性の優れたス
チレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレン系樹脂
に添加することが知られており、それによりある程度難
燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲン系難燃
剤を用いた場合には、環境等の問題をも有し、無機系難
燃剤を用いた場合は、衝撃強度及び成形加工流動性が必
ずしも満足できるものではなく、そして、リン系難燃
剤、特に有機リン系難燃剤の場合には、高い可塑性のた
めに耐熱性の低下が大きく、工業的使用が狭められる。
【0004】耐熱性を改良する技術として、ガラス転移
温度(Tg)の高い樹脂または化合物をスチレン系樹脂
に添加することが知られている。しかしながら、Tgの
高い樹脂を添加して耐熱性の向上を図ると、流動性の低
下が著しく、実用的ではない。 また、未硬化フェノー
ル樹脂を用いた耐熱性樹脂組成物が知られている。例え
ば、特開平5−163415号公報には、ノボラック樹
脂とポリフェニレンエーテルとからなる成形材料が開示
されている。上記公報の樹脂組成物は耐熱性は優れてい
るものの、難燃性については言及されていないし、特定
量のノボラック樹脂と有機リン化合物を併用することに
よる卓越した難燃性が発現することは開示されていな
い。
【0005】もう一つの例として、特開平8−2257
39号公報には、ポリフェニレンエーテル、スチレン系
樹脂、未硬化フェノールノボラック樹脂及びリン系難燃
剤からなる樹脂組成物が開示されている。上記公報の目
的は燃焼時の滴下のない難燃樹脂の提供であり、本発明
の特に滴下型難燃樹脂組成物に優れた耐熱性を付与する
ことは開示されていない。更に、上記2公報には、残留
する芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2
量体及び3量体が特定量以下存在することにより卓越し
た難燃性が発現することは開示されていないし、暗示さ
えされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち耐熱性、
難燃性の優れたスチレン系樹脂組成物の提供を目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱性及
び難燃性の向上を鋭意検討した結果、未硬化フェノール
系樹脂及び特定の物質を特定量含有することにより、驚
くべきことに、流動性を保持しつつ、スチレン系樹脂の
耐熱性及び難燃性を飛躍的に向上させることが可能にな
ることを見出し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は、(A)スチレン系樹脂1
00重量部、(B)有機リン化合物1〜100重量部、
(C)未硬化フェノール系樹脂0.1〜50重量部から
なる樹脂組成物であって、かつ上記樹脂組成物中に残留
する芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2
量体及び3量体の合計の含有量が1重量%以下であるこ
とを特徴とする難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物、及
び(A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4〜0.
6であるゴム変性スチレン系樹脂100重量部、(B)
芳香族リン酸エステル1〜100重量部、(C)ノボラ
ック樹脂0.1〜50重量部、(D)還元粘度ηsp/
Cが0.3〜0.6であるポリフェニレンエーテル1〜
100重量部からなる滴下型難燃性耐熱性スチレン系樹
脂組成物を提供するものである。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。
【0010】本発明は、(A)スチレン系樹脂、(B)
有機リン化合物、(C)未硬化フェノール系樹脂及び必
要に応じて、(C)ポリフェニレンエーテルを配合した
組成物において、特定量以下の芳香族ビニル単量体由来
の揮発性成分からなる難燃性スチレン系樹脂組成物であ
る。
【0011】上記(A)は成形用樹脂組成物の主成分を
なし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)はスチレ
ン系樹脂に難燃性を付与するための成分であり、(C)
は(A)に耐熱性を付与するための成分であり、(D)
は(A)に衝撃強度、耐熱性及び難燃性を付与するため
の成分である。
【0012】ここで、(C)は有機リン化合物の中で
も、特に芳香族リン酸エステルとスチレン系樹脂に対し
て、半相溶性を呈するために、耐熱性を保持しつつ、流
動性を向上させることを見出した。
【0013】また、樹脂組成物中に残留する芳香族ビニ
ル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量体
の合計の含有量が1重量%以下であることが重要であ
る。上記合計が1重量%を越えると、燃焼時に上記化合
物が揮発し、燃料として作用するために特に滴下型難燃
性が低下することを見出し、本発明を完成した。
【0014】本発明において、(A)スチレン系樹脂
は、ゴム変性スチレン系樹脂及び/またはゴム非変性ス
チレン系樹脂であり、特にゴム変性スチレン系樹脂単独
またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチレン系
樹脂からなることが好ましく、(B)〜(C)と相溶も
しくは均一分散し得るものであれば特に制限はない。ま
た、ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、乳化
重合、懸濁重合等の重合方法により得られる。
【0015】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であるこ
とが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下す
る。
【0016】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0017】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0018】また、(A)の中のゴム変性スチレン系樹
脂の成分として必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共
重合可能な単量体成分を一種以上導入することができ
る。耐油性を高める必要のある場合は、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用
いることができる。
【0019】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0020】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0021】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。
【0022】本発明において前記(B)として使用する
有機リン化合物の例としては、ホスフィン、ホスフィン
オキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン
酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等である。よ
り具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネ
オペンチルフォスファイト、ペンタエリスリトールジエ
チルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォ
ネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタ
エリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロ
ペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイ
ポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファ
イト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカ
テコールハイポジフォスフェートである。
【0023】ここで、特に有機リン化合物として、下記
式(1)で示される芳香族系リン酸エステル単量体、下
記式(2)で示される芳香族系リン酸エステル縮合体が
好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、A
5、Ar6はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニ
ル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
4,4’−ジオキシジアリールアルカン基から選ばれる
芳香族基である。また、nは0〜3の整数を表わし、m
は1以上の整数を表わす。) 上記芳香族系リン酸エステル単量体の中でも、特にヒド
ロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例え
ば、式(1)に示したトリクレジルフォスフェートやト
リフェニルフォスフェート等に1個または2個以上のフ
ェノール性水酸基を含有したリン酸エステル単量体、ま
たは下記式(3)に示した芳香族リン酸エステル単量体
が好ましい。
【0027】
【化3】
【0028】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、前記式(3)の芳香族リン酸エステル
単量体の中でも、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の
数平均は、15〜30が好ましく、さらには20〜30
が好ましく、25〜30が最も好ましい。
【0029】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、一つまたは複数個の置換基が一つの芳香環
にオルト、メタ、パラの何れの位置にも置換することが
できるが、パラ置換体が好ましい。一つのリン酸エステ
ル単量体に置換するアルキル基の炭素数の合計が12〜
30の範囲にあることが最も好ましいが、長鎖アルキル
基が一つだけ置換した芳香環を一つだけ有するリン酸エ
ステル単量体よりも、アルキル基が一つだけ置換した芳
香環が複数個有するリン酸エステル単量体の方が耐熱性
及び耐水性が優れている。例えば、置換するアルキル基
の炭素数の合計が18でも、オクタデシルフェニル ジ
フェニルフォスフェートよりも、ビス(ノニルフェニ
ル) フェニルフォスフェートの方が耐熱性が高く好ま
しい。
【0030】本発明において、前記式(3)の芳香族リ
ン酸エステル単量体の中でも、特にR1、R2、R3の少
なくとも1つはノニル基であるリン酸エステル単量体が
好ましく、R1、R2、R3がノニル基である芳香族リン
酸エステル単量体〔トリス(ノニルフェニル)フォスフ
ェート〕が流動性と揮発性の観点から最も好ましい。上
記リン酸エステル単量体は、難燃剤中に50重量%以上
含有する場合に特に大きな難燃性効果が発現する。そし
て、上記リン酸エステル単量体は火種の滴下性に優れ、
UL−94に準拠した難燃性基準において、V−2ラン
クの難燃剤として極めて優れている。この事実は従来知
られていなかった。
【0031】また、耐揮発性の観点から、置換基の炭素
数の合計が本発明の要件を満たす必要があるが、置換基
の炭素数の合計が12未満のものの割合が1重量%以下
である場合には、さらに優れた耐揮発性が発現する。
【0032】そして、難燃剤の熱安定性、特に耐熱変色
性の観点から、残存酸性物質の指標としてJIS−K6
751に規定する酸価が1mgKOH/g以下さらには
0.5mgKOH/g、及び/またはアルキルフェノー
ルが1重量%以下さらには0.5重量%以下であること
が好ましく、更にアルミニウム、マグネシウム、ナトリ
ウム、アンチモンが1000ppm以下であることがよ
り好ましい。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が難燃剤中に1〜1000重量ppm含有すると熱安定
性が飛躍的に向上する。
【0033】次いで、耐光性の観点からは、置換基
1、R2、R3はアリール基でなく、アルキル基の場合
でも、アルキル基は枝分かれが少ない方が好ましく、特
に直鎖または枝分かれが1箇所のアルキル基が特に好ま
しい。
【0034】さらに、芳香族リン酸エステルの1つの芳
香環に置換する置換基の数は、1つが好ましい。1つの
芳香環に複数個の置換基が置換した芳香族リン酸エステ
ル単量体の粘度は高く、その粘度は置換基数と共に上昇
する。芳香族リン酸エステル単量体の粘度が高くなる
と、取り扱い上の問題だけでなく、高粘度のために精製
が困難となり前述の不純物が残存することにより、耐光
性、耐熱変色性が低下する。
【0035】前記式(3)の中でも最も好ましい芳香族
リン酸エステル単量体の組み合わせは、トリス(ノニル
フェニル)フォスフェート(TNPP)を主体に、ビス
(ノニルフェニル) フェニルフォスフェート(BNP
P)を少量含有し、置換基R1、R2、R3の炭素数合計
の数平均が20〜27であり、好ましくは25〜27で
あり、さらに好ましくは26〜27であり、26.5〜
27が最も好ましい。上記の炭素数合計の数平均を満足
するためには、例えばBNPPが78〜0重量%、好ま
しくは22〜0重量%、さらに好ましくは11〜0重量
%、最も好ましくは5〜0重量%であり、TNPPが2
2〜100重量%、好ましくは78〜100重量%、さ
らに好ましくは89〜100重量%、最も好ましくは9
5〜100重量%の範囲にある。このような組み合わせ
の難燃剤は特に難燃性、流動性、耐熱性、衝撃強さ、耐
水光沢保持性、及び得られた成形体の表面硬度のバラン
ス特性が優れている。TNPPは耐揮発性、耐熱性付与
効果が高いだけでなく、構造的に対称であるために、耐
水光沢保持性が極めて優れている。このようにTNPP
は特異的効果を発現し、従来の知見では予想できない。
【0036】前記式(3)の芳香族リン酸エステル単量
体は、特開平1−95149号公報、特開平3−294
284号公報等に開示された公知の方法により製造する
ことができる。例えば、アルキルフェノールとオキシ塩
化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下に反応す
る方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で酸化し
て、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方法があ
る。また前記芳香族リン酸エステル縮合体の中でも、特
にビスフェノールA ビス(ジフェニルフォスフェー
ト)、ビスフェノールA ビス(ジクレジルフォスフェ
ート)、下記式(4)で示される芳香族リン酸エステル
縮合体が好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】(式中、a,b,c,d,eは0から3で
あり、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す。) 本発明における(B)の中の、例えば、上記式(4)で
示される芳香族リン酸エステル縮合体の中でも、aが0
であり、b,c,d,eが2であり、かつR2からR5
2,6−位に置換された場合は、粉体または固形状であ
るために耐熱性に優れている。このような2,6−位置
換の固形状芳香族リン酸エステル縮合体は、特開平5−
1079号公報等に開示された公知の方法により製造す
ることができる。例えば、2,6位に置換された単官能
フェノールとオキシハロゲン化リンとルイス酸触媒の存
在下で反応させ、ジアリールホスホロハライドを得、次
いでこれと二官能フェノールをルイス酸触媒の存在下で
反応する方法がある。
【0039】本発明において前記(C)として使用する
未硬化フェノール系樹脂は、難燃助剤であり、かつ有機
リン化合物と併用する場合には、流動性と耐熱性の向上
剤でもあり、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾ
ールノボラック樹脂、p−オクチルフェノール樹脂、p
−フェニルフェノール樹脂、アルキルベンゼン変性樹
脂、カシュー変性樹脂、テルペン変性樹脂等である。そ
して、未硬化フェノール樹脂の中でもフェノールノボラ
ック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が好ましく、フェ
ノール類とアルデヒド類を硫酸または塩酸のような酸触
媒の存在下で縮合して得られる熱可塑性樹脂であり、そ
の製造方法は、「高分子実験学5『重縮合と重付加』
p.437〜455(共立出版(株))」に記載されて
いる。
【0040】ノボラック樹脂製造の一例を下記式
(5)、(6)に示す。
【0041】
【化5】
【0042】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0043】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0044】本発明において、ノボラック樹脂はJIS
−K2531規定の軟化温度が100〜200℃であ
り、また未反応原料のフェノール類、アルデヒド類の含
有量合計が1重量%以下であることが好ましい。
【0045】本発明において、スチレン系樹脂を主体に
他の熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ポ
リフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にポ
リフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑
性樹脂が好ましい。
【0046】本発明において、スチレン系樹脂と共に配
合できる熱可塑性樹脂の一つの(D)ポリフェニレンエ
ーテルは、下記式(7)で示される結合単位からなる単
独重合体及び/又は共重合体である。
【0047】
【化6】
【0048】(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ
水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から
選択されるものであり、互いに同一でも異なっていても
よい。)このポリフェニレンエーテルの具体的な例とし
ては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−
トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中で
もポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの製造
方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許
第3,306,874号明細書記載の方法による第一銅
塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば
2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製
造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号
明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国
特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−1
7880号公報、特開昭50−51197号公報に記載
された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記
ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.2
0〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポ
リフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の調整などを
挙げることができる。
【0049】本発明における前記(D)の量は、スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜100
重量部、更に好ましくは、1〜50重量部であり、最も
好ましくは、5〜30重量部である。
【0050】本発明において、特にUL−94規定のV
−2ランキングに相当する滴下型難燃スチレン系樹脂
は、(A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4〜
0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重量部、
(B)芳香族リン酸エステル1〜100重量部、(C)
フェノールノボラック樹脂0.1〜50重量部、(D)
還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリフェニ
レンエーテル1〜100重量部を組み合わせることによ
り達成することができる。本発明の還元粘度の要件を満
足することにより、火種の滴下性と衝撃強度のバランス
特性が向上する。
【0051】本発明において、必要に応じて(B)以外
の難燃剤(E)として、ハロゲン系難燃剤、赤リン、無
機系リン酸塩、無機系難燃剤等を配合することができ
る。
【0052】上記(E)としてのハロゲン系難燃剤は、
ハロゲン化ビスフェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0053】前記(E)中の赤リンは、一般の赤リンの
他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえら
ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水
酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂
よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
り選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被
膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0054】前記(E)中の無機系リン酸塩は、ポリリ
ン酸アンモニウムが代表的である。
【0055】そして、前記(E)としての無機系難燃剤
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化
バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種で
も2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたもの
が難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0056】本発明における前記(E)の添加量は,ス
チレン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部
であり、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは、
3〜20重量部、最も好ましくは、5〜15重量部であ
る。
【0057】本発明において、必要に応じて、トリアジ
ン骨格含有化合物、含金属化合物、シリコーン樹脂、シ
リコーンオイル、シリカ、アラミド繊維、フッ素系樹
脂、ポリアクリロニトリル繊維から選ばれる一種以上の
難燃助剤(F)を配合することができる。
【0058】(F)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.001〜40重量部、更に
好ましくは、1〜20重量部、最も好ましくは、5〜1
0重量部である。
【0059】(F)としてのトリアジン骨格含有化合物
は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上
させるための成分である。その具体例としては、メラミ
ン、下記式(8)で示されるメラム、下記式(9)で示
されるメレム、メロン(600℃以上でメレム3分子か
ら3分子の脱アンモニアによる生成物)、下記式(1
0)で示されるメラミンシアヌレート、下記式(11)
で示されるリン酸メラミン、下記式(12)で示される
サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタ
ログアナミン、下記式(13)で示されるメラミン樹
脂、下記式(14)で示されるBTレジン等を挙げるこ
とができるが、揮発性の観点から特にメラミンシアヌレ
ートが好ましい。
【0060】
【化7】
【0061】
【化8】
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】(F)としての含金属化合物は、金属酸化
物及び/または金属粉である。上記金属酸化物は、酸化
アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モ
リブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、
酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸
化タングステン等の単体または、それらの複合体(合
金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタ
ン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマ
ス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アン
チモン等の単体または、それらの複合体である。
【0068】(F)としてのシリコーン樹脂は、SiO
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単位
を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコー
ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジ
ル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有
した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシ
リコーン樹脂が好ましい。
【0069】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0070】(F)としてのシリコーンオイルはポリジ
オルガノシロキサンであり、特に含ビニル基シリコーン
オイルが好ましく、下記式(15)に示される化学結合
単位からなる。
【0071】
【化14】
【0072】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式(16)、(17)で示
される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置
換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】前記含ビニル基シリコーンオイルの粘度
は、600〜1,000,000センチストークス(2
5℃)が好ましく、さらに好ましくは90,000〜1
50,000センチストークス(25℃)である。
【0076】(F)としてのシリカは、無定形の二酸化
ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系の
シランカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆
シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素
系化合物被覆シリカが好ましい。上記シランカップリン
グ剤は、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリ
クロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン等のビニル基含有シラン、β−(3,4エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、及びN
−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン等のアミノシランである。ここで、特に熱
可塑性樹脂と構造が類似した単位を有するシランカップ
リング剤が好ましく、例えば、スチレン系樹脂に対して
は、p−スチリルトリメトキシシランが好適である。
【0077】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0078】(F)としてのアラミド繊維は、平均直径
が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであ
ることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラ
フェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または
硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することに
より製造することができる。
【0079】(F)としてのフッ素系樹脂は、難燃助剤
であり、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。そ
の具体例として、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体等を挙げることができる。
また、必要に応じて上記含フッ素モノマーと共重合可能
なモノマーとを併用してもよい。
【0080】(F)としてのポリアクリロニトリル繊維
は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜
10mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド
等の溶媒に重合体を溶解し、400℃の空気流中に乾式
紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解
し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
【0081】本発明において、必要に応じて、芳香族ビ
ニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹
脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤(G)を配合することができる。
【0082】(G)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ま
しくは、0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5
重量部である。(G)としての共重合樹脂の芳香族ビニ
ル単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パ
ラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモス
チレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、ス
チレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳
香族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリ
ル酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブ
チル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル
酸エステルである。ここで、共重合樹脂中のアクリル酸
エステル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更
には、5〜20重量%が好適である。また、上記共重合
樹脂の分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%の
MEK溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(セン
チポアズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未
満では、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると
流動性の向上効果が低下する。
【0083】(G)としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0084】(G)としての高級脂肪酸は、飽和脂肪
酸、及びリシノール酸、リシンベライジン酸、9−オキ
シ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0085】(G)としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0086】(G)としての高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0087】(G)としての高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンオクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0088】(G)としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0089】本発明において、必要に応じて、熱可塑性
エラストマー(H)を配合することができ、例えば、ポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポ
リウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビ
ニル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エラスト
マーが好ましい。
【0090】(H)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ま
しくは、1〜10重量部、最も好ましくは、2〜5重量
部である。上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0091】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0092】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0093】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0094】本発明において、必要に応じて、飽和高級
脂肪族のカルボン酸またはそれらの金属塩、カルボン酸
エステル系ワックス、オルガノシロキサン系ワックス、
ポリオレフィンワックス、ポリカプロラクトンから選ば
れる一種または二種以上の離型剤(I)を配合すること
ができる。上記(I)成分の中でも、飽和高級脂肪族の
カルボン酸またはそれらの金属塩から選ばれた1種また
は2種以上の化合物が好ましい。
【0095】飽和高級脂肪酸のカルボン酸としては炭素
数12〜42の直鎖飽和モノカルボン酸が好ましい。例
えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が挙げられる。これ
らの金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜
鉛等があり、特にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウムが特に好ましい。
【0096】(I)の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ま
しくは、0.1〜5重量部、最も好ましくは、0.3〜
1重量部である。
【0097】本発明において、耐光性が要求される場合
には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン
系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、金
属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種
以上の耐光性改良剤(J)を配合することができる。
(J)の量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、
好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましくは、
0.1〜10重量部、最も好ましくは、0.2〜5重量
部である。耐光性改良剤の量は、マスターバッチ100
重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、更
に好ましくは、0.1〜10重量部、最も好ましくは、
0.1〜5重量部である。
【0098】(J)としての紫外線吸収剤は、光エネル
ギーを吸収して、分子内プロトン移動することによりケ
ト型分子となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾ
ール系)、またはcis−trans異性化することに
より(シアノアクリレート系)、熱エネルギーとして放
出、無害化するための成分である。その具体例は、2,
4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オク
トキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒ
ドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル
−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、フェニ
ルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、
2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシ
ル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエ
ート等のベンゾエート類、2−エチル−2’−エトキシ
オキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニ
リド等の置換オキザニリド類、及びエチル−α−シアノ
−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シア
ノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリ
レート等のシアノアクリレート類である。
【0099】(J)としてのヒンダードアミン系光安定
剤は、光エネルギーにより生成したハイドロパーオキサ
イドを分解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N
−OHを生じ、安定化させるための成分である。その具
体例は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビ
ス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテト
ラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−
ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ジ(トリデシ
ル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレー
ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピ
ペリジル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−
(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合
物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合
物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6
−t−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,
6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホ
リノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0100】(J)としての酸化防止剤は、熱成形時ま
たは光暴露により生成したハイドロパーオキシラジカル
等の過酸化物ラジカルを安定化したり、生成したハイド
ロパーオキサイド等の過酸化物を分解するための成分で
ある。その例は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や
過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁止剤と
して、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに安定な
アルコール類に分解して自動酸化を防止する。
【0101】前記酸化防止剤としてのヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤の具体例は、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、スタイレネイテドフェノー
ル、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒ
ドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t
−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデ
ンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキ
ス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−
ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−
ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシス
ピロ〔5・5〕ウンデカン等である。
【0102】また、前記酸化防止剤としての過酸化物分
解剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、
トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物
分解剤またはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ
ート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネー
ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、
ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロ
ピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピ
オネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機
イオウ系過酸化物分解剤である。
【0103】(J)としてのハロゲン捕捉剤は、熱成形
時または光暴露時に生成する遊離ハロゲンを捕捉するた
めの成分である。その具体例は、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の塩基性金属塩、ハイドロタル
サイト、ゼオライト、酸化マグネシウム、有機錫化合
物、または有機エポキシ化合物である。
【0104】上記ハロゲン捕捉剤としてのハイドロタル
サイトは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニ
ウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩や無水塩基性炭酸
塩で、天然物および合成品が含まれる。天然物として
は、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oの構造のものが
挙げられる。また、合成品としては、Mg0.7Al
0.3(OH)2(CO3)0.15・0.54H2O、Mg4.5Al2
(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al2(OH)12.4
CO3、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Ca6Al
2(OH)16CO3・4H2O、Mg14Bi2(OH)29.6
4.2H2O等が挙げられる。
【0105】前記ゼオライトとしては、Na2O・Al2
3・2SiO2・XH2Oで示されるA型ゼオライト、
または周期律表第II族及び第IV族の金属から選ばれた少
なくとも一種の金属を含む金属により置換されたゼオラ
イトを挙げることができる。そして、その置換金属とし
ては、Mg、Ca、Zn、Sr、Ba、Zr、Sn等で
あり、特にCa、Zn、Baが好ましい。
【0106】前記ハロゲン捕捉剤としての有機エポキシ
化合物は、エポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ハイドロキノンジグリシジルエ
ーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’
−スルホビスフェノール・ポリグリシジルエーテル、N
−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノール
Aグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシ
レート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ
〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−
ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイ
ド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4
−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ
ート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキ
サン)、ジシクロペンタジエンエポキサイド、エチレン
グリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフ
タル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−
2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等であ
る。
【0107】(J)としての遮光剤は、光が高分子内部
に達するのを防止するための成分である。その具体例と
しては、ルチル型酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム
(CeO2)等を挙げることができる。
【0108】(J)としての金属不活性剤は、キレート
化合物を形成して樹脂中の重金属イオンをキレート化合
物中で不活性化するための成分である。その具体例とし
ては、アシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾール、及
びその誘導体等を挙げることができる。
【0109】(J)としての消光剤は、高分子中の光励
起したハイドロパーオキサイドやカルボニル基等の官能
基をエネルギー移動によって失活させるための成分であ
って、有機ニッケル等が知られている。
【0110】(D)ポリフェニレンエーテルを用いる場
合の本発明の樹脂組成物の製造方法としては、スチレン
系樹脂と(D)をまず溶融し、次いで、(B)を添加
し、同一押出機で溶融混練する方法、またはスチレン系
樹脂、(D)、または必要に応じて(B)を配合したマ
スターバッチを製造した後、上記マスターバッチと、残
りのスチレン系樹脂または残りの(B)を混練する方法
がある。
【0111】本発明の難燃樹脂組成物の製造において用
いられる二軸押出機については、特にポリフェニレンエ
ーテルを含有する場合には、そのシリンダー内径Dに対
するスクリュー長さLの割合L/Dが20〜50である
ことが好ましく、上記二軸押出機の先端部からの距離を
異にするメインフィード開口部とサイドフィード開口部
の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給用
開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の
供給用開口部との間にニーディング部分を有し、上記ニ
ーディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dである
ことが好ましい。
【0112】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性
(滴下型難燃性)、流動性、耐熱性及び耐衝撃性が優れ
ている。
【0113】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。
【0114】尚、実施例、比較例における測定は、以下
の方法もしくは測定機を用いて行なった。
【0115】(1)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cゴム変性スチレン
系樹脂1gにメチルエチルケトン18mlとメタノール
2mlの混合溶媒を加え、25℃で2時間振とうし、5
℃、18000rpmで30分間遠心分離する。上澄み
液を取り出しメタノールで樹脂分を析出させた後、乾燥
した。
【0116】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0117】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0118】(2)組成物の分析 樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトンに溶
解し、超遠心分離機を用いて分離する(20,000r
pm、1時間)。次いで、分離して得られた上澄み液に
2倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、溶
液部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。溶
液部分については、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体
(RI屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム
東ソー(株)製、G1000HXL 2本;移動相
テトラヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力 6
0kgf/cm2;温度 INLET 35℃,OVE
N 40℃,RI 35℃;サンプルループ 100m
l;注入サンプル量 0.08g/20ml 〕で分析
し、クロマトグラム上の各成分の面積比を各成分の重量
分率と仮定し、面積比からリン酸エステル及び残留する
芳香族ビニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体
及び3量体の組成と量を求めた。一方、上記の樹脂部分
については、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−
FT−NMR)を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族
プロトンの積分値の比を求め、ゴム変性スチレン系樹脂
及びポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂の量を求
めた。
【0119】(3)揮発性評価(熱重量天秤試験:TG
A法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、40℃/分で昇温し、1重量%減少量
を揮発性の尺度とした。
【0120】一方では、上記装置を用いて、窒素気流
下、250℃で5分間静置後の残存量を揮発性の尺度と
した。
【0121】(4)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。
【0122】(Vノッチ、1/4インチ試験片) (5)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0123】(6)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0124】(7)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片)。
【0125】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0126】(イ)スチレン系樹脂 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0127】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPS−1と称する)。得られ
たゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量
は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μ
m、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0128】また、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動
剤量の調整により、還元粘度ηsp/cの異なったゴム
変性スチレン系樹脂を製造した。その結果を表3に記載
した。
【0129】実施例、比較例において、以下のHIPS
を用いた(表3)。
【0130】HIPS−1:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/g。
【0131】HIPS−2:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.79dl/g。
【0132】HIPS−3:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.60dl/g。
【0133】HIPS−4:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.58dl/g。
【0134】HIPS−5:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.40dl/g。
【0135】HIPS−6:ゴム含量は12.1重量
%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηs
p/cは0.35dl/g。
【0136】ゴム非変性スチレン系樹脂(GPPS) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)を用いた(GPPSと称する)。
【0137】(ロ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηsp/Cは
0.41dl/gであった。
【0138】また、ポリフェニレンエーテルの製造の際
の触媒量の調整または重合時間の制御により、還元粘度
ηsp/cの異なったポリフェニレンエーテルを製造し
た。その結果を表4に示す。
【0139】(ハ)リン系難燃剤 1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェー
ト)(FR−1) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(FR
−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リン
酸エステルは、GPC分析によると、下記式(18)で
表わされるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴマ
ー(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/35
であった。
【0140】
【化17】
【0141】1,3−フェニレンビス(2,6−ジメ
チルホスフェート)(FR−2)の製造 2,6−キシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120℃に達した時点でオキシ
塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この時
発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化
リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃ま
で2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られた
中間体のジ(2,6−キシレニル)ホスホロクロリドの
収率は99.7%であった。次いで、得られた中間体4
5重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニウム
1.5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反応液
の温度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させて脱
塩酸反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成後、
200mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、反応
を完結した。このようにして得られた反応液にキシレン
500重量部、10%塩酸水200重量部を添加し、残
存する触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。この精
製反応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化させ、メタ
ノールで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行ない、下記式
(19)で示される1,3−フェニレンビス(2,6−
ジメチルフェニルホスフェート)(FR−2と称する)
を得た。
【0142】
【化18】
【0143】トリス(ノニルフェニル)フォスフェー
ト(FR−3)の製造 ノニルフェノール431.0重量部(モル比3.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。反応を完結
させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温
度を上げてエステル化を完了させた。次いで反応生成物
を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してトリス
(ノニルフェニル)フォスフェート(以下、FR−3と
称する)を得た。
【0144】また、置換基の炭素数の合計の平均は2
7.0である。
【0145】芳香族リン酸エステル縮合体:ビスフェ
ノールA ビス(ジフェニルホスフェート)(FR−
4) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(F
R−4と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リ
ン酸エステルは、GPC分析によると、下記式(20)
で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP
−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェー
ト(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。
【0146】
【化19】
【0147】トリフェニルホスフェート(FR−5) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(FR−5と称する)〕を用い
た。また、リン含有量は9.5重量%である。
【0148】(ニ)ノボラック樹脂 旭有機材料工業(株)のノボラック樹脂を用いた。
【0149】フェノールノボラック樹脂(軟化温度
120℃) フェノール類組成:フェノール=100(重量比) 商品名 SP1006N(NK−1と称する) クレゾールノボラック樹脂(軟化温度 160℃) フェノール類組成:m−クレゾール/p−クレゾール=
60/40(重量比) 商品名 A−11(NK−2と称する) クレゾールノボラック樹脂(軟化温度 152℃) フェノール類組成:m−クレゾール=100(重量比) 商品名 A−12(NK−3と称する) クレゾールノボラック樹脂(軟化温度 161℃) フェノール類組成:m−クレゾール/p−クレゾール/
3,5−キシレノール=混合物 商品名 A−13(NK−4と称する) 実施例1〜2、比較例1〜2 重合温度と連鎖移動剤量を変更することにより、残留ス
チレンモノマー、オリゴマー(スチレンの2量体及び3
量体)を多量含有するポリスチレンを製造し、HIPS
−1を精製して得られたHIPSに配合することによ
り、残留スチレンモノマー、オリゴマー量の異なったゴ
ム変性ポリスチレンを製造した。次いで、表1記載の組
成比で配合し、サイドフィード可能な二軸押出機(シリ
ンダー内径D=40mmΦ、L/D=46)を用い、2
30℃で溶融押出しを行なった。
【0150】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)で、シリン
ダー温度230℃、金型温度60℃の条件で試験片を作
製し、難燃性評価を行なった。その結果を表1に記載し
た。
【0151】表1によると、樹脂組成物中の残留スチレ
ンモノマー、オリゴマーを1重量%以下にすることによ
り、大幅に難燃性が向上することが分かる。
【0152】
【表1】
【0153】実施例3〜6、比較例3 表2記載の、各種ノボラック樹脂の組成物を、実施例1
と同様に作製し、評価を行なった。その結果を表2に示
した。表2によると、ノボラック樹脂は卓越した耐熱性
を付与することが分かる。
【0154】
【表2】
【0155】実施例7〜23 表3〜4記載の還元粘度ηsp/Cの異なるHIPS、
PPEを用い、残留スチレン単量体、スチレンの2量
体、3量体の合計の含有量が0.5重量%になるように
表3、4記載の組成比で混合し、実施例1と同様の実験
を行い評価した。但し、PPEを用いる場合はメインフ
ィーダーからHIPS/PPEをフィードし300℃で
溶融し、サイドフィーダーから残りの成分をフィードし
同様に230℃で溶融した。その結果を表3〜4に記載
した。
【0156】表3〜4によると、成形体中の残留スチレ
ン単量体、スチレンの2量体、3量体の合計の含有量が
1.0重量%以下で、HIPSのηsp/Cが0.4〜
0.6の範囲にある場合は、流動性、衝撃強度、及び難
燃性のバランス特性が優れており、そして、PPEが存
在すると、耐熱性と流動性、衝撃強度のバランス特性が
向上し、その還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であ
る場合には流動性、耐熱性、衝撃強度及び難燃性のバラ
ンス特性がさらに向上することが分かる。
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】実施例24〜29 表5記載の(B)芳香族リン酸エステルを用いて、表5
記載の組成比で混合し、実施例1と同様の実験を行い評
価した。その結果を表5に記載した。
【0160】
【表5】
【0161】
【発明の効果】本発明は、耐熱性、難燃性の優れたスチ
レン系樹脂組成物に関する。
【0162】本発明の組成物は、VTR、分電盤、テレ
ビ、オーディオプレーヤー、コンデンサ、家庭用コンセ
ント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレ
イヤー、エアコンディショナー、加湿機、電気温風機械
等の家電ハウジング、シャーシまたは部品、CD−RO
Mのメインフレーム(メカシャーシ)、プリンター、フ
ァックス、PPC、CRT、ワープロ複写機、電子式金
銭登録機、オフィスコンピューターシステム、フロッピ
ーディスクドライブ、キーボード、タイプ、ECR、電
卓、トナーカートリッジ、電話等のOA機器ハウジン
グ、シャーシまたは部品、コネクタ、コイルボビン、ス
イッチ、リレー、リレーソケット、LED、バリコン、
ACアダップター、FBT高圧ボビン、FBTケース、
IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、
モーター部品等の電子・電気材料、そして、インスツル
メントパネル、ラジエーターグリル、クラスター、スピ
ーカーグリル、ルーバー、コンソールボックス、デフロ
スターガーニッシュ、オーナメント、ヒューズボック
ス、リレーケース、コネクタシフトテープ等の自動車材
料等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 71/12 C08L 71/12 //(C08L 25/04 61:06 71:12)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スチレン系樹脂100重量部、
    (B)有機リン化合物1〜100重量部、(C)未硬化
    フェノール系樹脂0.1〜50重量部からなる樹脂組成
    物であって、かつ上記樹脂組成物中に残留する芳香族ビ
    ニル単量体並びに芳香族ビニル単量体の2量体及び3量
    体の合計の含有量が1重量%以下であることを特徴とす
    る難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (C)がノボラック樹脂であり、JIS
    −K2531規定の軟化温度が100〜200℃、及び
    /また未反応原料のフェノール類、アルデヒド類の含有
    量合計が1重量%以下である請求項1記載の難燃性耐熱
    性スチレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 更に(D)ポリフェニレンエーテル1〜
    100重量部を配合した請求項1または2記載の難燃性
    耐熱性スチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが
    0.4〜0.6であるゴム変性スチレン系樹脂100重
    量部、(B)芳香族リン酸エステル1〜100重量部、
    (C)ノボラック樹脂0.1〜50重量部、(D)還元
    粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリフェニレン
    エーテル1〜100重量部からなる請求項3記載の滴下
    型難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物。
JP17052097A 1997-06-26 1997-06-26 難燃性耐熱性スチレン系樹脂組成物 Pending JPH1112417A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100520790B1 (ko) * 2000-02-17 2005-10-12 제일모직주식회사 열가소성 난연성 수지조성물
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JP2010084044A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Nippon Zeon Co Ltd 層状複水酸化物含有重合性組成物、プリプレグ、及び積層体

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