JPH09221572A - スチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤 - Google Patents

スチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤

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JPH09221572A
JPH09221572A JP2688196A JP2688196A JPH09221572A JP H09221572 A JPH09221572 A JP H09221572A JP 2688196 A JP2688196 A JP 2688196A JP 2688196 A JP2688196 A JP 2688196A JP H09221572 A JPH09221572 A JP H09221572A
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JP
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weight
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styrene
resin
parts
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JP2688196A
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Hajime Nishihara
一 西原
Ryuichiro Kanetani
隆一郎 金谷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤
の提供。 【解決手段】(A)アルケニル基非含有有機リン化合物
と,(B)アルケニル基含有有機リン化合物及び/また
は(C)軟化温度が200℃から380℃のガラス状化
合物からなるスチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制
剤、及びスチレン系樹脂100重量部に対して、ポリフ
ェニレンエーテル1〜100重量部及び上記の火種の滴
下抑制剤1〜50重量部を含有する樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂組成
物の火種の滴下抑制剤に関する。更に詳しくは、スチレ
ン系樹脂に高度な難燃性、とりわけ非滴下難燃性を付与
することが可能な火種の滴下抑制剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。
【0003】スチレン系樹脂の難燃化の方法としては、
ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤を熱可塑性樹脂に
添加することが知られており、それによりある程度難燃
化が達成されている。しかしながら、近年火災に対する
安全性の要求がとみにクローズアップされ、家電製品、
OA機器等に対する米国UL(アンダーライターズ・ラ
ボラトリー)垂直法燃焼試験の規制が年とともに厳しく
なってきた事や、軽量化、経済性向上の為、製品、部品
の肉厚が薄くなってきたことで、燃焼時に火種が滴下
し、このため他の製品や部品を損傷するといったことが
起こる様になり、この火種の落下を防止する技術、いわ
ゆるドリップ防止技術の開発が強く望まれてきている。
ドリップ防止技術としては難燃剤を増量する方法が知ら
れているが、元来高価な難燃剤を大量に使用することは
経済的でないだけでなく環境上の問題や機械的性質の低
下を助長するために好ましくない。
【0004】ドリップ防止の従来技術として、ホウ酸亜
鉛等の低融点ガラスを使用した難燃化技術が開示されて
いる。例えば塩ビ等の熱可塑性樹脂とホウ酸亜鉛との樹
脂組成物(J.Fire Sci.(1985),3,
415〜431及び432〜449)、ポリアミドとホ
ウ酸亜鉛との樹脂組成物(EP−A122698、12
2699)、ポリアミド/PPE/Sb23/ホウ酸亜
鉛等の低融点ガラスからなら樹脂組成物(特開平6−4
1420号公報)、樹脂の熱分解温度以下で溶融する無
機化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物(特開平7−3
09970号公報)等が知られている。しかし、上記公
報には特定の軟化温度の低融点ガラスを用いることによ
り、特にスチレン系樹脂の難燃性が向上することは開示
されていない。
【0005】また、アルケニル基含有有機リン化合物と
スチレン系単量体との共重合体が知られている。例え
ば、リン含有ビニル単量体を共重合したABS樹脂/ポ
リカーボネート/有機リン化合物/ポリテトラフルオロ
エチレンからなる/樹脂組成物(特開平6−1691
9、特開平5−239337、特開平5−239338
号公報)、リン含有ビニル単量体としてビニルホスホナ
ートを用いたABS樹脂(特公平6−4691号公報)
等が挙げられる。上記4公報の樹脂組成物は、スチレン
系単量体とリン含有ビニル単量体と共重合しているため
に組成物中にビニル基が含まれていないために、難燃性
が低下するだけでなく、ポリマー骨格にリンを含有する
ために耐熱性の低下が著しい。上記4公報にはアルケニ
ル基を最終組成物中に保持された有機リン化合物が卓越
した難燃効果を有することは開示していないし、暗示さ
えされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち燃焼時の
溶融滴下(ドリップ)を防止し、難燃性、耐衝撃性、耐
熱性及び流動性の優れたスチレン系樹脂組成物を可能に
するスチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤を提供す
ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはスチレン系
樹脂組成物の燃焼時のドリップ防止及び難燃性向上技術
を鋭意検討した結果、スチレン系樹脂に対して、アルケ
ニル基含有有機リン化合物と、特定の化合物からなる火
種の滴下抑制剤を添加することにより、驚くべきことに
難燃性、とりわけ耐ドリップ性が飛躍的に向上すること
を見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち本発明は、(A)アルケニル基非含有
有機リン化合物と、(B)アルケニル基含有有機リン化
合物及び/または(C)軟化温度が200℃から380
℃のガラス状化合物からなるスチレン系樹脂組成物の火
種の滴下抑制剤、及び上記火種の滴下抑制剤を含有した
スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルからなる樹脂
組成物を提供するものである。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。
【0010】本発明の火種の滴下抑制剤を、熱可塑性樹
脂と組み合わせて得られる熱可塑性樹脂組成物は驚くべ
き利点を有する。
【0011】本発明において(A)アルケニル基非含有
有機リン化合物は、例えば、ホスフィン、ホスフィンオ
キシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸
塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等である。より
具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオ
ペンチルフォスファイト、ヘンタエリスリトールジエチ
ルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネ
ート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエ
リスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペ
ンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポ
フォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイ
ト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテ
コールハイポジフォスフェートである。
【0012】ここで、特に有機リン化合物として、下記
式(1)で表わされる芳香族系リン酸エステル単量体、
下記式(2)で表わされる芳香族系リン酸エステル縮合
体が好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、A
5、Ar6はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニ
ル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
4,4’−ジオキシジアリールアルカン基から選ばれる
芳香族基である。また、nは0〜3の整数を表わし、m
は1以上の整数を表わす。) 上記芳香族系リン酸エステル単量体の中でも、特にヒド
ロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例え
ば、式(1)に示したトリクレジルフォスフェートやト
リフェニルフォスフェート等に1個または2個以上のフ
ェノール性水酸基を含有したリン酸エステル単量体、ま
たは下記式(3)に示した芳香族リン酸エステル単量体
が好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30の炭化水素で
あり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計が平均12から25である。ここで、異なった
置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからなる
場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素数
の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リン
酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素数
の合計との積の和である。) また前記芳香族リン酸エステル縮合体の中でも、特にテ
トラフェニルビスフェノールAジフォスフェート、テト
ラクレジルビスフェノールAジフォスフェート等が好ま
しい。
【0018】本発明において(B)アルケニル基含有有機
リン化合物は、炭素数2〜30のアルケニル基を有す
る、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、
ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜
リン酸エステルフォスフォネート、シラン変成リン酸エ
ステル等である。アルケニル基として、特にビニル基ま
たはアリル基が好ましい。より具体的には、ジフェニル
ビニルフォスフォネート、ビニルフェニルジフェニルフ
ォスフェート、ジアリルアリルフォスフォネート、ビニ
ルベンジルジエチルフォスフォネート、2−アクリロイ
ルオキシエチルフォスフェート、ジオクチル−2−アク
リロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2
−アクリロイルオキシエチルフォスフェート、2−メタ
クリロイルオキシエチルアッシドフォスフェート、ジフ
ェニル−2−メタクリロイルオキシエチルフォスフェー
ト、ジブチル−2−メタクリロイルオキシエチルフォス
フェート、ジメチルビニルシリルフェニルジフェニルフ
ォスフェート、ジフェニルアリルフォスフェート、ジフ
ェニルアリルフォスフォネート、ノネニルジフェニルフ
ォスフェート、ビスノネニルフェニルフォスフェート等
である。
【0019】本発明において(C)軟化温度が200℃
から380℃のガラス状化合物は、水和ガラスSiO2
−MgO−H2O、PbO−B23系、ZnO−P25
−MgO系、P25−B23−PbO−MgO系、P−
Sn−O−F系、PbO−V25−TeO2系、Al2
3・H2O系、ハロゲン化錫系、ホウ珪酸鉛系等のガラス
状化合物であり、かつその軟化温度が200℃から38
0℃である。
【0020】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤の配合比は、(A)成分が10〜99重量%、
(B)成分が0〜90重量%、(C)成分が0〜90重
量%が好ましく、さらに好ましくは(A)成分が50〜
80重量%、(B)成分が0〜20重量%、(C)成分
が0〜20重量%である。
【0021】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を添加することのできるスチレン系樹脂は、ゴ
ム変性スチレン系樹脂単独またはゴム変性スチレン系樹
脂とゴム非変性スチレン系樹脂からなり、本発明の火種
の滴下抑制剤と相溶もしくは均一分散し得るものであれ
ば特に制限はない。また、ゴム変性スチレン系樹脂は、
ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状
重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重
合体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、こ
れと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を
公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化
重合することにより得られる。
【0022】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0023】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0024】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0025】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。
【0026】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単
量体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高
める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0027】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0028】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0029】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の
滴下抑制剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に
対して、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは、
1〜30重量部、最も好ましくは、10〜20重量部で
ある。
【0030】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を、スチレン系樹脂に他の熱可塑性樹脂を配合
した樹脂組成物に添加することができる。例えば、ポリ
フェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にス
チレン系樹脂に添加することができる熱可塑性樹脂とし
てポリフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系の熱
可塑性樹脂が好ましい。
【0031】スチレン系樹脂に添加することのできるポ
リフェニレンエーテルは、下記式(4)で示される結合
単位からなる単独重合体及び/又は共重合体である。
【0032】
【化4】
【0033】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。
【0034】このポリフェニレンエーテルの具体的な例
としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,
6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、
中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)が好ましい。かかるポリフェニレンエーテルの
製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国
特許第3,306,874号明細書記載の方法による第
一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例
えば2,6キシレノールを酸化重合することにより容易
に製造でき、そのほかにも米国特許第3,306,87
5号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、
米国特許3,257,358号明細書、及び特公昭52
−17880号公報、特開昭50−51197号公報に
記載された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる
上記ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/c
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好
ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあること
がより好ましい。ポリフェニレンエーテルの還元粘度η
sp/cに関する上記要件を満たすための手段として
は、前記ポリフェニレンエーテルの製造の際の触媒量の
調整などを挙げることができる。
【0035】ポリフェニレンエーテルの量は、ゴム変性
スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜
100重量部、更に好ましくは、1〜40重量部、最も
好ましくは、1〜10重量部である。
【0036】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を添加することのできる熱可塑性樹脂の芳香族
ポリカーボネートは、芳香族二価フェノール系化合物を
苛性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホ
スゲン法、あるいは芳香族二価フェノール系化合物と炭
酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエス
テル交換法により得られ、該芳香族ホモまたはコポリカ
ーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好
適である。
【0037】ここで、上記二価フェノール系化合物は、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェ
ニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェ
ニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。そし
て、本発明の二価フェノール系化合物は、単独で用いて
もよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0038】ポリカーボネートの量は、ゴム変性スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜40重
量部、更に好ましくは、1〜10重量部、最も好ましく
は、3〜7重量部である。
【0039】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤は、樹脂組成物によって、必要に応じて、上記
A,B,C成分以外の難燃剤として、赤リン、無機系リ
ン酸塩、無機系難燃剤等を配合することができる。
【0040】上記A,B,C成分以外の難燃剤の量は、
ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、好まし
くは1〜40重量部、更に好ましくは、1〜20重量
部、最も好ましくは、5〜10重量部である。
【0041】前記難燃剤としての赤リンは、一般の赤リ
ンの他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよ
りえらばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたも
の、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬
化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化
チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性
樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0042】前記難燃剤としての無機系リン酸塩は、ポ
リリン酸アンモニウムが代表的である。
【0043】前記難燃剤としての無機系難燃剤として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化
バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種で
も2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれたもの
が難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0044】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤は、樹脂組成物にによって、必要に応じて、ト
リアジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属化合
物、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ、アラ
ミド繊維、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル繊維か
ら選ばれる一種以上の難燃助剤を配合することができ
る。
【0045】上記難燃助剤の量は、ゴム変性スチレン系
樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜4
0重量部、更に好ましくは、1〜20重量部、最も好ま
しくは、5〜10重量部である。
【0046】前記難燃助剤としてのトリアジン骨格含有
化合物は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性
を向上させるための成分である。その具体例としては、
メラミン、下記式(5)表わされるメラム、下記式
(6)で表わされるメレム、メロン(600°C以上で
メレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成
物)、下記式(7)で表わされるメラミンシアヌレー
ト、下記式(8)表わされるリン酸メラミン、下記式
(9)で表わされるサクシノグアナミン、アジポグアナ
ミン、メチルグルタログアナミン、下記式(10)で表
わされるメラミン樹脂、下記式(11)で表わされるB
Tレジン等を挙げることができるが、耐揮発性の観点か
ら特にメラミンシアヌレートが好ましい。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】前記難燃助剤としてのノボラック樹脂は、
難燃助剤であるとともに、ヒドロキシル基含有芳香族リ
ン酸エステルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向
上剤でもある。そして、その樹脂は、フェノール類とア
ルデヒド類を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で
縮合して得られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法
は、「高分子実験学5『重縮合と重付加』p.437〜
455(共立出版(株))」に記載されている。
【0055】ノボラック樹脂製造の一例を下記式(1
2)、(13)に示す。
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0059】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0060】前記難燃助剤としての含金属化合物は、金
属酸化物及び/または金属粉である。上記金属酸化物
は、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マン
ガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜
鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸
化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、
酸化銅、酸化タングステン等の単体または、それらの複
合体(合金)であり、上記金属粉は、アルミニウム、
鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、
ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、ス
ズ、アンチモン等の単体または、それらの複合体であ
る。
【0061】前記難燃助剤としてのシリコーン樹脂は、
SiO2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構
造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシ
リコーン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル
基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニ
ル基を含有した置換基を示す。ここで、特にビニル基を
含有したシリコーン樹脂が好ましい。
【0062】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0063】前記難燃助剤としてのシリコーンオイル
は、ポリジメチルシロキサンであり、特に下記式(1
4)に示される化学結合単位からなるポリジオルガノシ
ロキサンが好ましい。
【0064】
【化14】
【0065】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式 (15)、(16)で
示される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の
置換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有す
る。
【0066】
【化15】
【0067】
【化16】
【0068】前記シリコーンオイルの粘度は、30〜1
000000センチポイズ(25℃)が好ましく、さら
に好ましくは90000〜150000センチポイズ
(25℃)である。
【0069】前記難燃助剤としてのシリカは、無定形の
二酸化ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合
物系のシランカップリング剤で処理した炭化水素系化合
物被覆シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した炭
化水素系化合物被覆シリカが好ましい。
【0070】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0071】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0072】前記難燃助剤としてのアラミド繊維は、平
均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10m
mであることが好ましく、イソフタルアミド、またはポ
リパラフェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒
または硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸する
ことにより製造することができる。
【0073】前記難燃助剤としてのフッ素系樹脂は、樹
脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。その具体例と
して、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチ
レン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体等を挙げることができる。また、耐ド
リップ性を損わない程度に必要に応じて上記含フッ素モ
ノマーと共重合可能なモノマーとを併用してもよい。
【0074】前記難燃助剤としてのポリアクリロニトリ
ル繊維は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が
0.1〜10mmであることが好ましく、ジメチルホル
ムアミド等の溶媒に重合体を溶解し、400℃の空気流
中に乾式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合
体を溶解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造さ
れる。
【0075】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤は、樹脂組成物によって、必要に応じて、芳香
族ビニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合
樹脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、または
金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流動性向上
剤を配合することができる。
【0076】上記流動性向上剤の量は、ゴム変性スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜2
0重量部、更に好ましくは、0.5〜10重量部、最も
好ましくは、1〜5重量部である。
【0077】前記流動性向上剤としての共重合樹脂の芳
香族ビニル単位は、例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−
ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等で
あり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上
記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。そし
て、アクリル酸エステル単位は、アクリル酸メチル、ア
クリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基からな
るアクリル酸エステルである。
【0078】ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エステ
ル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更には、
5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹脂の
分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のMEK
溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチポア
ズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満で
は、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流動
性の向上効果が低下する。
【0079】前記流動性向上剤としての脂肪族炭化水素
系加工助剤は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイ
クロワックス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィ
ン、及びこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化
物等である。
【0080】前記流動性向上剤としての高級脂肪酸は、
カプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ステアリ
ン酸、フェニルステアリン酸、フェロン酸等の飽和脂肪
酸、及びリシノール酸、リシンベライジン酸、9−オキ
シ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0081】前記流動性向上剤としての高級脂肪酸エス
テルは、フェニルステアリン酸メチル、フェニルステア
リン酸ブチル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及
びフタル酸ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル
等の多塩基酸の1価アルコールエステルであり、さら
に、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステア
レート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオ
レート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
オレート等のソルビタンエステル、ステアリン酸モノグ
リセライド、オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸
モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグ
リセリン単量体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステ
アリン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステ
ル、ポリグリセリンラウリン酸エステル等のポリグリセ
リンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキ
シエチレンモノオレート等のポリアルキレンエーテルユ
ニットを有する脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリ
オールジステアリン酸エステル等のネオペンチルポリオ
ール脂肪酸エステル等である。
【0082】前記流動性向上剤としての高級脂肪酸アミ
ドは、フェニルステアリン酸アミド、メチロールステア
リン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪
酸のモノアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラ
ウリン酸ジエタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタ
ノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,
N’−2置換モノアミド等であり、さらに、メチレンビ
ス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、
エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメ
チレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸
アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレン
ビス(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド
等の芳香族系ビスアミドである。
【0083】前記流動性向上剤としての高級脂肪族アル
コールは、ステアリルアルコールやセチルアルコール等
の1価のアルコール、ソルビトールやマンニトール等の
多価アルコール、及びポリオキシエチレンドデシルアミ
ン、ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、
さらに、ポリオキシエチレンアリル化エーテル等のポリ
アルキレンエーテルユニットを有するアリル化エーテ
ル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオ
キシエチレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレ
ンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエー
テル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオ
キシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエ
チレンエチレングリコール、ポリオキシプロピレンビス
フェノールAエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレングリコールエーテル等のポリアルキレンエー
テルユニットを有する2価アルコールである。
【0084】前記流動性向上剤としての金属石鹸は、上
記ステアリン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウ
ムや亜鉛やアルミニウムやマグネシウム等の金属塩であ
る。本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤
は、樹脂組成物によって、必要に応じて、熱可塑性エラ
ストマーを配合することができ、例えば、ポリスチレン
系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン
系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系等で
あり、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ま
しい。
【0085】上記熱可塑性エラストマーの量は、ゴム変
性スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは
0.5〜20重量部、更に好ましくは、1〜10重量
部、最も好ましくは、2〜5重量部である。
【0086】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0087】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0088】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0089】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0090】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤は、樹脂組成物により、耐光性が要求される場
合には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミ
ン系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、
金属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二
種以上の耐光性改良剤を配合することができる。
【0091】上記耐光性改良剤の量は、ゴム変性スチレ
ン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜
20重量部、更に好ましくは、0.1〜10重量部、最
も好ましくは、1〜5重量部である。
【0092】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を含有する樹脂組成物の製造方法としては、ゴ
ム変性スチレン系樹脂と他の熱可塑性樹脂をまず溶融
し、次いで、本発明の火種の滴下抑制剤を添加し、同一
押出機で溶融混練する方法、またはゴム変性スチレン系
樹脂、他の熱可塑性樹脂、または必要に応じて本発明の
火種の滴下抑制剤を配合したマスターバッチを製造した
後、上記マスターバッチと、残りのゴム変性スチレン系
樹脂または残りの本発明の火種の滴下抑制剤もしくは他
の添加剤成分を混練する方法がある。
【0093】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を用いて得られる樹脂組成物の好ましい組成の
一例としては次のものを挙げることができる。ゴム変性
スチレン系樹脂30〜70重量部とゴム非変性スチレン
系樹脂70〜30重量部からなる、スチレン系樹脂10
0重量部に対して、ポリフェニレンエーテル1〜100
重量部、(A)ビスノニルフェニルフェニルフォスフェ
ート、テトラフェニルビスフェノールAジフォスフェー
ト、レゾルシニルジフェニルフォスフェート等の芳香族
リン酸エステル10〜99重量%、(B)ビニルフォス
フォネートオリゴマー0〜90重量%、(C)ホウ珪酸
鉛0〜90重量%からなる火種の滴下抑制剤1〜50重
量部。
【0094】本発明のスチレン系樹脂組成物の火種の滴
下抑制剤を用いて得られる樹脂組成物は、上記各成分を
市販の単軸押出機あるいは、二軸押出機などで例えば溶
融混練することにより得られるが、その際にヒンダード
フェノール等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールやヒン
ダードアミン等の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他
の無機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリ
ン酸亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染
料や顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することがで
きる。
【0095】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性が
優れている。
【0096】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はそれにより
何ら限定を受けるものではない。
【0097】尚、実施例、比較例においては、以下の測
定法もしくは測定機を用いて種々の測定を行なった。
【0098】(1)ガラス状化合物の軟化温度 15mm直径の銅製皿にガラス状化合物を入れて、電熱
ヒーターで徐々に温度を上げて行き、粉末のガラス状化
合物が凝集して流動しない温度を軟化温度と定義する。
ここで、凝集状態とはガラス状化合物が一体となり皿を
逆さまにしても、ガラス状化合物が部分的にバラバラに
分離しない状態を指す。
【0099】(2)難燃性 UL−サブジェクト94に準拠したVB(Vertic
al Burning)法により評価した(1/8イン
チ試験片を使用)。UL−サブジェクト94に記載の方
法に関しては、例えば、米国特許第4,966,814
号を参照することができる。
【0100】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0101】(イ)アルケニル基非含有有機リン化合物 (1)トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
【0102】(ロ)アルケニル基含有有機リン化合物 (1)ビニルホスホナートオリゴマー(FR−1) 下記式(17)で示されるビニルホスホナートオリゴマ
ー(明成化学工業(株)製 商品名 ホスコン−76、
以後FR−1と称する)を用いた。
【0103】
【化17】
【0104】(2)ビス(ノネニルフェニル)フェニルフ
ォスフェート(FR−2) 二重結合を1つ含有するノネニル基(C917)を有す
る芳香族リン酸エステル(以後、FR−2と称する) (ハ)含リンポリマー(fr) FR−1とスチレンを50/50の重量比で重合して得
た。(以後、frと称する) (ニ)ガラス状化合物 (1)Ca/Zn/Si/O系ガラス状化合物(G−1) 軟化温度450℃のガラス状化合物(Bokusui
Brown社製、商品名シープリー、以後G−1と称す
る)を用いた。
【0105】(2)アルミノリン酸塩(G−2) 軟化温度390℃のガラス状化合物(日本琺瑯油薬
(株)製、フィラーフリット4021、以後G−2と称
する)を用いた。
【0106】(3)ホウ珪酸鉛(G−3)) 軟化温度350℃のガラス状化合物(日本琺瑯油薬
(株)製、含鉛フリット、以後G−3と称する)を用い
た。
【0107】(4)ホウ珪酸鉛(G−4) 軟化温度380℃のガラス状化合物(日本琺瑯油薬
(株)製、含鉛フリット、以後G−4と称する)を用い
た。
【0108】(ホ)ゴム変性スチレン系樹脂(HIP
S) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0109】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重量を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量は1
2重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm)であっ
た。
【0110】(ヘ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηSP/Cは0.41d
l/gであった。
【0111】実施例 1〜4 比較例 1〜4 表1記載の組成比(重量比)で、機械的に混合し、東洋
精機製作所製ラボプラストミルを用いて、溶融温度25
0℃、回転数50rpmで10分間溶融した。但し、P
PEの溶融温度が高いので、まずGPPS/PPEを3
00℃で溶融してマスターバッチを作製した後、それを
用いて残りの成分を上記の条件で溶融した。
【0112】このようにして得られた樹脂組成物から圧
縮成形により1/8インチ厚の試験片を作製し、難燃性
の評価を行なった。表1にその結果を示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【発明の効果】本発明は、スチレン系樹脂組成物の火種
の滴下抑制剤を提供するものである。この滴下抑制剤に
より得られるスチレン系樹脂組成物は、家電部品、OA
機器部品等に好適であり、これら産業界に果たす役割は
大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルケニル基非含有有機リン化合
    物と、(B)アルケニル基含有有機リン化合物及び/ま
    たは(C)軟化温度が200℃から380℃のガラス状
    化合物からなるスチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制
    剤。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂100重量部に対して、
    ポリフェニレンエーテル1〜100重量部及び請求項1
    記載の火種の滴下抑制剤1〜50重量部を含有する樹脂
    組成物。
JP2688196A 1996-02-14 1996-02-14 スチレン系樹脂組成物の火種の滴下抑制剤 Withdrawn JPH09221572A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126528A1 (ja) * 2005-05-24 2006-11-30 Fuji Electric Holdings Co., Ltd. 難燃性樹脂加工品
JP4777892B2 (ja) * 2004-07-30 2011-09-21 株式会社カネカ 難燃性合成繊維、難燃繊維複合体およびそれを用いた布張り家具製品
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