JPH115908A - 液状添加剤含有成形材料 - Google Patents

液状添加剤含有成形材料

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JPH115908A
JPH115908A JP9159972A JP15997297A JPH115908A JP H115908 A JPH115908 A JP H115908A JP 9159972 A JP9159972 A JP 9159972A JP 15997297 A JP15997297 A JP 15997297A JP H115908 A JPH115908 A JP H115908A
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JP
Japan
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resin
liquid additive
weight
molding material
acid
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JP9159972A
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English (en)
Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた外観、機械的特性を有する液状添加
剤含有熱可塑性樹脂成形材料及びその製造方法の提供。 【解決手段】 (A)熱可塑性樹脂及び(B)非重合性
でかつ25℃での粘度が10万センチストークス以下で
ある液状添加剤を含有する成形材料であって、(A)を
(B)に25℃から250℃の温度で溶解してなること
を特徴とする液状添加剤含有成形材料、及び(A)熱可
塑性樹脂及び(B)非重合性でかつ25℃での粘度が1
0万センチストークス以下である液状添加剤を含有する
成形材料の製造方法であって、まず(A)を(B)に2
5℃から250℃の温度で溶解して樹脂組成物を製造
し、次いで上記樹脂組成物と、(A)と同一または異な
った熱可塑性樹脂とを溶融押出しすることを特徴とする
液状添加剤含有成形材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形材料に関する。
更に詳しくは、熱可塑性樹脂に液状添加剤を特殊な方法
により添加することにより、優れた外観、機械的特性を
有する液状添加剤含有成形材料及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル系樹脂等の熱可
塑性樹脂からなる成形材料は、優れた耐熱性、耐衝撃性
を有するために自動車部品、家電部品、OA機器部品を
始めとする多岐の分野で使用されている。
【0003】近年かかる分野でより高機能化のために各
種ポリマー添加剤が用いられている。例えば、加工性を
改良するために流動パラフィン(ミネラルオイル)を添
加したり、また難燃性を付与するために有機リン化合物
を混合することが行なわれ、その製造法として通常溶融
押出法が採用されている。しかしながら、ポリフェニレ
ンエーテル等の熱可塑性樹脂を溶融押出する際に、液状
添加剤を添加するのに特殊なフィード設備が必要となる
だけでなく、取り扱いが煩雑である。更には、粘度の低
い液状添加剤と粘度の高いポリフェニレンエーテル等の
熱可塑性樹脂とを溶融混合する場合には、粘度の高い熱
可塑性樹脂の未溶融物が生成するために、外観を損ねた
り、機械的特性が低下するという問題があった。
【0004】これらの問題に対して、樹脂と液状添加剤
を溶融混合せずに、樹脂に液状添加剤を比較的低温で吸
収させる従来技術があり、吸油性樹脂と液体添加剤とか
らなる樹脂組成物または特性改良方法が開示されてい
る。例えば、多孔質スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体に液状油を吸着せしめた含油樹脂及び熱硬化樹脂から
なる樹脂組成物(特公平7−122024号公報)、吸
油性架橋重合体に添加剤を含有させた樹脂改質用添加剤
と、樹脂からなる樹脂組成物を用いた添加剤のブリード
防止方法(特開平5−214114号公報)、樹脂に特
定の架橋重合体を練り込むことにより、艶消しされた外
観を得る方法(特開平6−57007号公報)、樹脂に
特定の架橋重合体を練り込むことにより、耐衝撃性を向
上させる方法(特開平6−73190号公報)、非晶質
シリカにリン系難燃剤を含浸させた粉末状難燃剤(特開
平7−331244号公報)、無機質粉体に担持された
リン系難燃剤(特許番号第2588331号公報)、樹
脂用添加剤と吸油性重合体からなるマスターバッチ(特
開平9−52956号公報)が知られている。上記公報
は成形材料に関するものではなく、かつ吸油樹脂に液状
添加剤を吸収または吸着させて見かけ上液状添加剤を減
少させて取扱の向上を目的とするものである。従って、
上記公報においては液状添加剤が吸収または吸着した後
の吸油樹脂自体は粉体または固形状態であり、一方、本
発明においては熱可塑性樹脂を特定の液状添加剤に溶解
する場合は、熱可塑性樹脂自体が溶液状態となり、上記
公報と本質的に異なる。また、上記公報には、熱可塑性
樹脂を液状添加剤に溶解することにより、外観、機械的
特性の優れた成形材料が得られることが開示されていな
いし、暗示さえされていない。
【0005】また、熱可塑性樹脂を重合性単量体中で溶
解または吸着、含浸させた後に重合性単量体を重合して
得られた樹脂組成物またはその製造方法が開示されてい
る。例えば、ポリ塩化ビニルを芳香族ビニル単量体中に
含浸させて、吸収された状態で重合した樹脂組成物(特
公昭61−40702、特公昭62−1972、特開平
3−197521号公報)、ポリフェニレンエーテル、
ゴム状重合体を芳香族ビニル単量体に溶解し、樹脂組成
物を製造する方法(欧州特許EP226149、特開平
7−242791号公報)が知られている。液状添加剤
が重合性を有する場合は、通常溶解した熱可塑性樹脂と
グラフト反応等の反応が起こり、熱可塑性樹脂本来の特
性が変化するので好ましくなく、本発明の要件を満足し
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち液状添加
剤の取り扱いを容易にするだけでなく、外観、機械的特
性の優れた液状添加剤含有成形材料及びその製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、外観、機械
的特性の優れた液状添加剤を含有した成形材料を鋭意検
討した結果、熱可塑性樹脂を特定温度で液状添加剤に溶
解することにより、溶融押出に比較して、驚くべきこと
に色調等の外観及び機械的特性が飛躍的に向上すること
を見出し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は、(A)熱可塑性樹脂及び
(B)非重合性でかつ25℃での粘度が10万センチス
トークス以下である液状添加剤を含有する成形材料であ
って、(A)を(B)に25℃から250℃の温度で溶
解してなることを特徴とする液状添加剤含有成形材料、
及び更に(C)離型剤を配合した液状添加剤含有成形材
料、及び(A)熱可塑性樹脂及び(B)非重合性でかつ
25℃での粘度が10万センチストークス以下である液
状添加剤を含有する成形材料の製造方法であって、まず
(A)を(B)に25℃から250℃の温度で溶解して
樹脂組成物を製造し、次いで上記樹脂組成物と、(A)
と同一または異なった熱可塑性樹脂とを溶融押出しする
ことを特徴とする液状添加剤含有成形材料の製造方法を
提供するものである。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。
【0010】本発明は、(A)熱可塑性樹脂組成物、
(B)特定の液状添加剤、及び必要に応じて(C)離型
剤を含有する成形材料に関する。
【0011】上記(A)は成形用樹脂組成物の主成分を
なし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)は熱可塑
性樹脂に難燃性や流動性等の機能性を付与するための液
状添加剤であり、(C)は得られた成形材料同士の融着
を防止するための成分である。
【0012】本発明の成形材料は、(A)を(B)及び
必要に応じて(C)を溶解または部分溶解した材料であ
り、その材料の形状は例えば0.01mmから10mm
の筒状または球状等のペレット状、またはそれを押出成
形機で成形されたシートまたはフィルム状、あるいは射
出成形機で任意の金型で成形されたバルク状である。
【0013】ここで、(A)を(B)25℃での粘度が
10万センチストークス以下である液状添加剤に25℃
〜250℃、更に好ましくは100℃〜200℃、最も
好ましくは150℃〜200℃の温度で溶解または部分
溶解することが重要である。ガラス転移温度(Tg)の
高い(A)熱可塑性樹脂を(B)に吸着または吸収させ
ると、最終成形体に熱可塑性樹脂の粒子が残り、外観を
損ねたり、機械的特性を低下させる。上記溶解とは、
(B)を溶媒として、(A)を250℃以下の温度でバ
ッチ式にまたは連続式に溶解することである。(B)に
吸着または吸収させた状態と、溶解した状態の差異につ
いては、溶解状態では容器に入った溶液を傾けると流れ
るが、吸着、吸収状態では粉体または固形状体を保って
いることが多く、流れない場合がある。本発明における
溶解状態の溶液は、通常平均穴直径が1mmのメッシュ
を50%以上通過する。特に重要な点は、溶解温度が2
50℃を越えと、(A)が熱劣化して機械的強度、色調
が低下することを見出し、本発明を完成した。
【0014】本発明において、(A)熱可塑性樹脂は、
(B)と相溶もしくは均一分散し得るものであればとく
に制限はない。たとえば、ポリスチレン系、ポリフェニ
レンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンス
ルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート
系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用する
ことができる。ここで、特に熱可塑性樹脂としてポリフ
ェニレンエーテル系、ポリスチレン系の熱可塑性樹脂が
好ましい。上記ポリスチレン系樹脂は、ゴム変性スチレ
ン系樹脂及び/または、ゴム非変性スチレン系樹脂であ
る。
【0015】ここで、(A)の熱可塑性樹脂の数平均粒
子直径が0.01〜1000μmであることが好まし
く、より好ましくは0.1〜100μm、更に好ましく
は1〜50μmである。数平均粒子直径が0.01未満
では、化合物の安定性が低下するために強度が低下し、
数平均粒子直径が1000μmを越えると、(B)の溶
解速度が低下し、未溶解物が生成し外観、機械的特性が
損なわれる恐れがある。
【0016】本発明において上記(A)熱可塑性樹脂の
一つのポリフェニレンエーテル(以下PPEと略称す
る。)は、下記式(1)で示される結合単位からなる単
独重合体及び/又は共重合体である。
【0017】
【化1】
【0018】(但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ
水素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から
選択されるものであり、互いに同一でも異なっていても
よい。) このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチ
ルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの
共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるP
PEの製造方法は特に限定されるものではなく、例え
ば、米国特許第3,306,874号明細書記載の方法
による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として
用い、例えば2,6キシレノールを酸化重合することに
より容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,30
61075号明細書、米国特許第3,257,357号
明細書、米国特許3,257,358号明細書、及び特
公昭52−17880号公報、特開昭50−51197
号公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明に
て用いる上記PPEの還元粘度ηsp/C(0.5g/
dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.20〜
0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、0.3
0〜0.60dl/gの範囲にあることがより好まし
い。PPEの還元粘度に関する上記要件を9ηsp/C
満たすための手段としては、前記PPEの製造の際の触
媒量の調整などを挙げることができる。
【0019】本発明において前記(B)として使用する
液状添加剤は25℃での粘度が10万センチストークス
以下であり、ポリフェニレンエーテル系樹脂等の熱可塑
性樹脂に特殊機能を付与するための成分である。
【0020】ここで、液状添加剤は、可塑剤、安定剤、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、有機リン化合物、着色剤、
発泡剤、滑剤、香料、老化防止剤等である。
【0021】(A)と(B)からなる成形材料中の
(B)の量は、好ましくは1〜99重量%、より好まし
くは10〜90重量%、更に好ましくは20〜80重量
%、最も好ましくは30〜70重量%である。
【0022】上記可塑剤の例としては、フタル酸ジメチ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタ
ル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフ
タル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン
酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレン
グリコールジベンゾエート等のグリコールエステル、オ
レイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪
族酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油
等のエポキシ可塑剤であり、その他、トリメリット酸ト
リオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチ
ルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリ
ブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペー
ト、ポリエチレンセバケート、トリアセチン、トリブチ
リン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビ
フェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ等を挙げ
ることができる。
【0023】前記(B)としての安定剤の例としては、
金属石ケン、鉛安定剤、有機錫安定剤、複合安定剤、エ
ポキシ化合物等を挙げることができる。
【0024】前記発泡剤の例としては、アゾビスフォル
ムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノ
ベンゼン等のアゾ系発泡剤、N,N’ジメチルN,N’
ジニトロソテレフタルアミド、N,N’ジニトロソペン
タメチレンテトラミン等のN−ニトロソ系発泡剤、ベン
ゼンスルフォニルヒドラジド、トルエン4スルフォニル
ヒドラジド、ベンゼン1,3ジスルフォニルヒドラジド
等のスルフォニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0025】前記(B)としての滑剤の例としては、流
動パラフィン等の炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪
酸アミド系滑剤、アルコール系滑剤、金属石ケン類等を
挙げることができる。
【0026】そして、前記(B)としての有機リン化合
物の例としては、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビ
ホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸
エステル、亜リン酸エステル等である。より具体的に
は、トリフェニルフォスフェート、メチルネオベンチル
フォスファイト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォ
スファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フ
ェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリト
ールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハ
イポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスフ
ァイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチ
ルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハ
イポジフォスフェートである。
【0027】ここで、特に有機リン化合物として、下記
式(2)で示される芳香族系リン酸エステル単量体、下
記式(3)で示される芳香族系リン酸エステル縮合体が
好ましい。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、A
5、Ar6はフェニル基、キシレニル基、エチルフェニ
ル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、
4,4’−ジオキシジアリールアルカン基から選ばれる
芳香族基である。また、nは0〜3の整数を表わし、m
は1以上の整数を表わす。) 上記芳香族系リン酸エステル単量体の中でも、特にヒド
ロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例え
ば、上記式(2)に示したトリクレジルフォスフェート
やトリフェニルフォスフェート等に1個または2個以上
のフェノール性水酸基を含有したリン酸エステル単量
体、または下記式(4)に示した芳香族リン酸エステル
単量体が好ましい。
【0031】
【化4】
【0032】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3は水素または炭素数が1から30のアルキル基
であり、化合物全体として、置換基R1、R2、R3の炭
素数の合計が平均12から30である。ここで、異なっ
た置換基を有する、複数の芳香族リン酸エステルからな
る場合には、上記難燃剤の置換基R1、R2、R3の炭素
数の合計は、数平均で表し、上記難燃剤中の各芳香族リ
ン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の炭素
数の合計との積の和である。) 本発明において、前記式(4)の芳香族リン酸エステル
単量体の中でも、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の
数平均は、15〜30が好ましく、さらには20〜30
が好ましく、25〜30が最も好ましい。
【0033】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、一つまたは複数個の置換基が一つの芳香環
にオルト、メタ、パラの何れの位置にも置換することが
できるが、パラ置換体が好ましい。一つのリン酸エステ
ル単量体に置換するアルキル基の炭素数の合計が12〜
30の範囲にあることが最も好ましいが、長鎖アルキル
基が一つだけ置換した芳香環を一つだけ有するリン酸エ
ステル単量体よりも、アルキル基が一つだけ置換した芳
香環が複数個有するリン酸エステル単量体の方が耐熱性
及び耐水性が優れている。例えば、置換するアルキル基
の炭素数の合計が18でも、オクタデシルフェニル ジ
フェニルフォスフェートよりも、ビス(ノニルフェニ
ル) フェニルフォスフェートの方が耐熱性が高く好ま
しい。
【0034】本発明において、前記式(4)の芳香族リ
ン酸エステル単量体の中でも、特にR1、R2、R3の少
なくとも1つはノニル基であるリン酸エステル単量体が
好ましく、R1、R2、R3がノニル基である芳香族リン
酸エステル単量体〔トリス(ノニルフェニル)フェニル
フォスフェート〕が流動性と揮発性の観点から最も好ま
しい。上記リン酸エステル単量体は、難燃剤中に50重
量%以上含有する場合に特に大きな難燃性効果が発現す
る。そして、上記リン酸エステル単量体は火種の滴下性
に優れ、UL−94に準拠した難燃性基準において、V
−2ランクの難燃剤として極めて優れている。この事実
は従来知られていなかった。
【0035】また、耐揮発性の観点から、置換基の炭素
数の合計が本発明の要件を満たす必要があるが、置換基
の炭素数の合計が12未満のものの割合が1重量%以下
である場合には、さらに優れた耐揮発性が発現する。
【0036】そして、難燃剤の熱安定性、特に耐熱変色
性の観点から、残存酸性物質の指標としてJIS−K6
751に規定する酸価が1mgKOH/g以下さらには
0.5mgKOH/g、及び/またはアルキルフェノー
ルが1重量%以下さらには0.5重量%以下であること
が好ましく、更にアルミニウム、マグネシウム、ナトリ
ウム、アンチモンが1000ppm以下であることがよ
り好ましい。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が難燃剤中に1〜1000重量ppm含有すると熱安定
性が飛躍的に向上する。
【0037】次いで、耐光性の観点からは、置換基
1、R2、R3はアリール基でなく、アルキル基の場合
でも、アルキル基は枝分かれが少ない方が好ましく、特
に直鎖または枝分かれが1箇所のアルキル基が特に好ま
しい。
【0038】さらに、芳香族リン酸エステルの1つの芳
香環に置換する置換基の数は、1つが好ましい。1つの
芳香環に複数個の置換基が置換した芳香族リン酸エステ
ル単量体の粘度は高く、その粘度は置換基数と共に上昇
する。芳香族リン酸エステル単量体の粘度が高くなる
と、取り扱い上の問題だけでなく、高粘度のために精製
が困難となり前述の不純物が残存することにより、耐光
性、耐熱変色性が低下する。
【0039】前記式(4)の中でも最も好ましい芳香族
リン酸エステル単量体の組み合わせは、トリス(ノニル
フェニル)フォスフェート(TNPP)を主体に、ビス
(ノニルフェニル) フェニルフォスフェート(BNP
P)を少量含有し、置換基R1、R2、R3の炭素数合計
の数平均が20〜27であり、好ましくは25〜27で
あり、さらに好ましくは26〜27であり、26.5〜
27が最も好ましい。上記の炭素数合計の数平均を満足
するためには、例えばBNPPが78〜0重量%、好ま
しくは22〜0重量%、さらに好ましくは11〜0重量
%、最も好ましくは5〜0重量%であり、TNPPが2
2〜100重量%、好ましくは78〜100重量%、さ
らに好ましくは89〜100重量%、最も好ましくは9
5〜100重量%の範囲にある。このような組み合わせ
の難燃剤は特に難燃性、流動性、耐熱性、衝撃強さ、耐
水光沢保持性、及び得られた成形体の表面硬度のバラン
ス特性が優れている。TNPPは耐揮発性、耐熱性付与
効果が高いだけでなく、構造的に対称であるために、耐
水光沢保持性が極めて優れている。このようにTNPP
は特異的効果を発現し、従来の知見では予想できない。
【0040】前記式(4)の芳香族リン酸エステル単量
体は、特開平1−95149号公報、特開平3−294
284号公報等に開示された公知の方法により製造する
ことができる。例えば、アルキルフェノールとオキシ塩
化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下に反応す
る方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で酸化し
て、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方法があ
る。
【0041】また前記芳香族リン酸エステル縮合体の中
でも、特にビスフェノールA ビス(ジフェニルフォス
フェート)、ビスフェノールA ビス(ジクレジルフォ
スフェート)、下記式(5)で示される芳香族リン酸エ
ステル縮合体が好ましい。
【0042】
【化5】
【0043】(式中、a、b,c,d,eは0から3で
あり、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す。但し、b,c,d,eが
2でなく、かつR2からR5は2,6−位に置換されな
い。) 本発明における(B)は、粉体または固形状の有機化合
物を液状添加剤に溶解して液状化した液状添加剤をも含
む。例えば、上記式(5)で示される芳香族リン酸エス
テル縮合体の中でも、aが0であり、b,c,d,eが
2であり、かつR2からR5は2,6−位に置換された構
造は、固形状であるが、比較的結晶化速度が小さいため
に、上記TNPP等の液状添加剤を添加することにより
液状化する。このような2,6−位置換の固形状芳香族
リン酸エステル縮合体は、特開平5−1079号公報等
に開示された公知の方法により製造することができる。
例えば、2,6位に置換された単官能フェノールとオキ
シハロゲン化リンとルイス酸触媒の存在下で反応させ、
ジアリールホスホロハライドを得、次いでこれと二官能
フェノールをルイス酸触媒の存在下で反応する方法があ
る。
【0044】本発明において、(A)と相溶性に乏しい
(B)液状添加剤を用いて、(A)を溶解する場合は、
両者の相溶化剤として、上記(B)と異なった液状添加
剤または(B)に溶解または相互作用を有する界面活性
剤を併用することができる。例えば、(B)液状添加剤
の中でも芳香族リン酸エステル縮合体等の、二量体以上
のオリゴマータイプの液状添加剤に、ポリフェニレンエ
ーテル等の(A)熱可塑性樹脂を溶解する場合は、前記
TNPP等のモノマータイプの液状添加剤を相溶化剤と
して併用することが好ましい。(B)中にモノマータイ
プの液状添加剤が、好ましくは0.01〜50重量%、
より好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは1
〜20重量%、最も好ましくは2〜10重量%含有す
る。
【0045】本発明において、(A)と(B)との相溶
化剤として働く上記界面活性剤は、脂肪族炭化水素、高
級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、または高級脂肪族アルコ
ール等を挙げることができ、(B)成分中に好ましくは
0.01〜20重量%、更に好ましくは、0.1〜10
重量%、最も好ましくは、1〜5重量%含有する。
【0046】前記相溶化剤としての脂肪族炭化水素は、
流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、
ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれら
の部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。
【0047】前記高級脂肪酸は、飽和脂肪酸、及びリシ
ノール酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタ
デセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0048】前記高級脂肪酸アミドは、フェニルステア
リン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロ
ールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ
油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノール
アミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、オレイ
ン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置換モノアミ
ド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキシ
フェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリ
ン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニ
ル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪
酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロ
キシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスア
ミドである。
【0049】前記相溶化剤としての高級脂肪族アルコー
ルは、ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1
価のアルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価
アルコール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、
ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、さら
に、ポリオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアル
キレンエーテルユニットを有するアリル化エーテル、及
びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエ
チレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエ
チレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレン
エチレングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノ
ールAエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レングリコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユ
ニットを有する2価アルコールである。
【0050】本発明において、(A)と(B)からなる
成形材料の融着防止等の取り扱い性の観点から必要に応
じて、(C)離型剤を配合することができる。例えば、
金属石鹸等の有機酸金属塩類、金属酸化物類、無機塩
類、ワックス類、シリカ、タルク、珪藻土等の鉱物類、
鉄、アルミナ等の金属類、綿、パルプ等の繊維類等であ
り、これらの一種または二種以上を用いることができ
る。中でも平均粒子径が0.01〜300μmの粉体化
合物が好ましい。この平均粒子径が0.01μm未満で
は、粉体同士の凝集が起こり、また300μmを越える
と(A)の(B)への溶解速度が低下する。
【0051】上記(C)の量は、(A)と(B)からな
る成形材料100重量部に対して、好ましくは0.00
1〜50重量部、更に好ましくは、0.01〜10重量
部、最も好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0052】前記(C)離型剤としての有機酸金属塩
は、例えば酪酸、カプロン酸、ペラルゴン酸、カプリン
酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の直鎖飽和脂肪
酸;オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の直鎖不
飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分岐脂肪酸;リシノ
ール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ
ル基含有脂肪酸;安息香酸;ナフテン酸;アビエチン
酸;デキストロピマル酸等のロジン酸を代表とする有機
カルボン酸類のリチウム塩、銅塩、ベリリウム塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウ
ム塩、亜鉛塩、カドミウム塩、アルミニウム塩、セリウ
ム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、鉛塩、クロム塩、マ
ンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩等を挙げることがで
きる。
【0053】前記(C)離型剤としての金属酸化物類
は、例えば酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、
ケイ酸アルミニウム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化バ
リウム、二酸化マンガン、酸化マグネシウム等を挙げる
ことができ、特にアルミナ、鉱物類としても挙げられて
いるシリカが好ましい。
【0054】前記(C)としての無機塩類は、チタン酸
バリウム、硫酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
【0055】前記(C)としてのワックス類は、オルガ
ノシロキサン系ワックス、ポリオレフィンワックス、ポ
リカプロラクトン等を挙げることができる。
【0056】また、前記金属酸化物を疎水化変性した、
疎水性シリカまたは疎水性アルミナ等の疎水化金属酸化
物が特に好ましい。その製造方法としては、金属酸化物
の表面を化学的あるいは物理的に不活性化すればよく、
例えばアルキルアルコキシシラン、アルキルハロゲン化
シラン等のシランカップリング剤を用いる方法、ジメチ
ルシロキサン等のポリシロキサンを用いる方法、合成ワ
ックスや天然ワックスを用いる方法、カルシウム等によ
り金属表面処理する方法等を挙げることができる。
【0057】本発明の成形材料は、溶解槽に(B)を仕
込み、25℃〜250℃の温度で攪拌下に(A)を少量
づつ添加して溶解し、次いで冷却システムを装備したベ
ルトクーラーでペレット化する。このようなプロセスは
サンドビック社で開発され、一例を図1に示した。
【0058】本発明において、(A)と(B)を必須成
分とし、必要に応じて(C)を配合した成形材料をマス
ターバッチとし、(A)熱可塑性樹脂の一つであるスチ
レン系樹脂、(B)に記載した以外の難燃剤、熱可塑性
エラストマー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、錫系熱安定
剤、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の滑剤、充填
剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料等の着色剤等を
溶融押出法により配合することができる。
【0059】上記スチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン
系樹脂及び/または、ゴム非変性スチレン系樹脂であ
り、ゴム変性スチレン系樹脂を主体に、ゴム非変性スチ
レン系樹脂を配合することが好ましい。
【0060】上記溶融押出法で添加するスチレン系樹脂
の量は,前記マスターバッチ100重量部に対して、好
ましくは1〜1000重量部、更に好ましくは、1〜5
00重量部、最も好ましくは、5〜100重量部であ
る。
【0061】このようなゴム変性スチレン系樹脂は、ビ
ニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これ
と共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公
知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化重
合することにより得られる。
【0062】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0063】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0064】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0065】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0066】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0067】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0068】本発明において、ゴム変性スチレン系樹脂
におけるゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、
特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な
単量体混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好
ましくは90〜50重量%の範囲にある。この範囲外で
は、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランス
が取れなくなる。更には、スチレン系重合体のゴム粒子
径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜
3.0μmが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃
性が向上する。
【0069】本発明において、使用されるゴム変性スチ
レン系樹脂の分子量の尺度である還元粘度ηsp/c
(0.5g/dl、30℃測定:マトリックス樹脂がポ
リスチレンの場合はトルエン溶液、マトリックス樹脂が
不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体の場合はメチル
エチルケトン)は、0.30〜0.80dl/gの範囲
にあることが好ましく、0.40〜0.60dl/gの
範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチレン系樹
脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満たすため
の手段としては、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤
量の調整等を挙げることができる。
【0070】本発明において、前記必要に応じて配合す
ることのできる、(B)以外の難燃剤は、ハロゲン系、
リン系または無機系難燃剤である。
【0071】上記ハロゲン系難燃剤は、ハロゲン化ビス
フェノール、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカ
ーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハロゲ
ン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエー
テル等が挙げられ、好ましくはデカブロモジフェニルオ
キサイド、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロ
ムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノ
ール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリ
カーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポ
リスチレン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリ
ジブロムフェニレンオキサイド、デカブロムジフェニル
オキサイドビスフェノール縮合物、含ハロゲンリン酸エ
ステル及びフッ素系樹脂等である。
【0072】前記難燃剤の中のリン系難燃剤としては、
赤リン、無機系リン酸塩等が挙げられる。
【0073】前記難燃剤において、リン系難燃剤の一つ
の赤リンは、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじ
め、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸化物の被膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理さ
れたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の
被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理された
ものなどである。
【0074】前記難燃剤において、リン系難燃剤の一つ
の無機系リン酸塩は、ポリリン酸アンモニウムが代表的
である。
【0075】そして、前記難燃剤としての無機系難燃剤
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマ
イト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化
バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上を併用
してもよい。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタ
ルサイトからなる群から選ばれたものが難燃効果が良
く、経済的にも有利である。
【0076】本発明における前記(B)以外の難燃剤の
添加量は,前記マスターバッチ100重量部に対して、
1〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部、
更に好ましくは、3〜20重量部、最も好ましくは、5
〜15重量部である。
【0077】本発明において、必要に応じて、ノボラッ
ク樹脂、トリアジン骨格含有化合物、シリコーン樹脂、
シリコーンオイル、フッ素系樹脂、アラミド繊維、ポリ
アクリロニトリル繊維から選ばれる一種以上の難燃助剤
を配合することができる。
【0078】上記難燃助剤の量は、マスターバッチ10
0重量部に対して、好ましくは0.001〜40重量
部、更に好ましくは、1〜20重量部、最も好ましく
は、5〜10重量部である。
【0079】必要に応じて配合することのできる難燃助
剤としてのノボラック樹脂は、芳香族リン酸エステルと
併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあり、
樹脂成分と芳香族リン酸エステルとの間の相溶性をやや
低下させる。そして、その樹脂は、フェノール類とアル
デヒド類を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮
合して得られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、
「高分子実験学5『重縮合と重付加』p.437〜45
5(共立出版(株))」に記載されている。
【0080】ノボラック樹脂製造の一例を下記式
(6)、(7)に示す。
【0081】
【化6】
【0082】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノール、ピロカ
テコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート等である。
【0083】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナール、n−ブタナー
ル、イソプロパナール、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
【0084】難燃助剤としてのトリアジン骨格含有化合
物は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向
上させるための成分である。その具体例としては、メラ
ミン、下記式(8)で示されるメラム、下記式(9)で
示されるメレム、メロン(600℃以上でメレム3分子
から3分子の脱アンモニアによる生成物)、下記式(1
0)で示されるメラミンシアヌレート、下記式(11)
で示されるリン酸メラミン、下記式(12)で示される
サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタ
ログアナミン、下記式(13)で示されるメラミン樹
脂、下記式(14)で示されるBTレジン等を挙げるこ
とができるが、低揮発性の観点から特にメラミンシアヌ
レートが好ましい。
【0085】
【化7】
【0086】
【化8】
【0087】
【化9】
【0088】
【化10】
【0089】
【化11】
【0090】
【化12】
【0091】
【化13】
【0092】難燃助剤としてのシリコーン樹脂は、Si
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単
位を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ
ーン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プ
ロピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベン
ジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含
有した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有した
シリコーン樹脂が好ましい。
【0093】このようなシリコーン樹脂は、上記の構造
単位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重
合することにより得られる。
【0094】難燃助剤としてのシリコーンオイルはポリ
ジオルガノシロキサンであり、特に含ビニル基シリコー
ンオイルが好ましく、下記式(15)に示される化学結
合単位からなる。
【0095】
【化14】
【0096】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリール基、下記式(16)、(17)で示
される含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置
換基であり、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0097】
【化15】
【0098】
【化16】
【0099】前記含ビニル基シリコーンオイルの粘度
は、600〜1000000センチストークス(25
℃)が好ましく、さらに好ましくは90000〜150
000センチストークス(25℃)である。
【0100】本発明において前記難燃助剤として使用す
るフッ素系樹脂は、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂
である。その具体例として、ポリモノフルオロエチレ
ン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げるこ
とができる。また、必要に応じて上記含フッ素モノマー
と共重合可能なモノマーとを併用してもよい。
【0101】これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国
特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,
534,058号明細書に開示され、例えばテトラフル
オロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg
/cm2の加圧下、0〜200℃の温度で重合し、次い
で懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、または
沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られ
る。
【0102】ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混
練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融する
ことが好ましい。せん断力下、融点以上での溶融によ
り、高度にフィブリル化し、配向結晶化する。そして、
フッ素系樹脂が幹繊維に対して、枝分かれした特殊な高
次構造を有するフッ素系樹脂が得られる。その結果とし
て、三次元的に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融
適下を抑制する。また、高せん断力を与えるために、ゴ
ム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、ポ
リフェニレンーテル等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で溶
融することが好ましい。
【0103】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練して
マスターバッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤
と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィー
ド可能な二ゾーンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素
系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げ
て難燃剤をフィード、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0104】前記難燃助剤としてのアラミド繊維は、平
均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10m
mであることが好ましく、イソフタルアミド、またはポ
リパラフェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒
または硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸する
ことにより製造することができる。
【0105】前記難燃助剤としてのポリアクリロニトリ
ル繊維は、平均直径が1〜500μmで平均繊維長が
0.1〜10mmであることが好ましく、ジメチルホル
ムアミド等の溶媒に重合体を溶解し、400℃の空気流
中に乾式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合
体を溶解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造さ
れる。
【0106】本発明において、前記必要に応じて配合す
ることのできる熱可塑性エラストマーは、例えば、ポリ
スチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ
ウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニ
ル系等であり、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ーが好ましい。
【0107】上記熱可塑性エラストマーの量は、前記マ
スターバッチ100重量部に対して、好ましくは1〜3
0重量部、更に好ましくは、2〜20重量部、最も好ま
しくは、2〜10重量部である。
【0108】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブロック共重合体である。
【0109】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0110】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。
【0111】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n、(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−
ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6
の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ
化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部
分を結合中心とする星状(スター)ブロック共重合体で
あることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3
型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ま
しい。
【0112】本発明において必要に応じて、紫外線吸収
剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲ
ン捕捉剤、遮光剤、金属不活性剤、または消光剤から選
ばれる耐光性改良剤を配合することがのできる。
【0113】耐光性改良剤の量は、マスターバッチ10
0重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、
更に好ましくは、0.1〜10重量部、最も好ましく
は、0.1〜5重量部である。
【0114】耐光性改良剤としての紫外線吸収剤は、光
エネルギーを吸収して、分子内プロトン移動することに
よりケト型分子となったり(ベンゾフェノン、ベンゾト
リアゾール系)、またはcis−trans異性化する
ことにより(シアノアクリレート系)、熱エネルギーと
して放出、無害化するための成分である。その具体例
は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビ
ス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等
の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル
−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、フェニ
ルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、
2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシ
ル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエ
ート等のベンゾエート類、2−エチル−2’−エトキシ
オキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニ
リド等の置換オキザニリド類、及びエチル−α−シアノ
−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シア
ノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリ
レート等のシアノアクリレート類である。
【0115】耐光性改良剤としてのヒンダードアミン系
光安定剤は、光エネルギーにより生成したハイドロパー
オキサイドを分解し、安定なN−O・ラジカルやN−O
R、N−OHを生じ、安定化させるための成分である。
その具体例は、2,2,6,6,−テトラメチル−4−
ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバ
ケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−
ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,
2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラ
カルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロ
ネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエ
チル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエ
タン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジ
クロロ−6−t−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮
合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−
6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0116】耐光性改良剤としての酸化防止剤は、熱成
形時または光暴露により生成したハイドロパーオキシラ
ジカル等の過酸化物ラジカルを安定化したり、生成した
ハイドロパーオキサイド等の過酸化物を分解するための
成分である。その例は、ヒンダードフェノール系酸化防
止剤や過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁
止剤として、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに
安定なアルコール類に分解して自動酸化を防止する。
【0117】前記酸化防止剤としてのヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤の具体例は、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、スタイレネイテドフェノー
ル、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒ
ドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t
−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデ
ンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキ
ス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−
ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−
ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシス
ピロ〔5・5〕ウンデカン等である。
【0118】また、前記酸化防止剤としての過酸化物分
解剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、
トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物
分解剤またはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ
ート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネー
ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、
ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロ
ピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピ
オネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機
イオウ系過酸化物分解剤である。
【0119】耐光性改良剤としてのハロゲン捕捉剤は、
熱成形時または光暴露時に生成する遊離ハロゲンを捕捉
するための成分である。その具体例は、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸亜鉛等の塩基性金属塩、ハイド
ロタルサイト、ゼオライト、酸化マグネシウム、有機錫
化合物、または有機エポキシ化合物である。
【0120】上記ハロゲン捕捉剤としてのハイドロタル
サイトは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニ
ウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩や無水塩基性炭酸
塩で、天然物および合成品が含まれる。天然物として
は、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oの構造のもの
が挙げられる。また、合成品としては、Mg0.7Al0.3
(OH)2(CO30.15・0.54H2O、Mg4.5Al
2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al2(O
H)12.4CO3、Zn6Al2(OH)16CO3・4H
2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg14
2(OH)29.6・4.2H2O等が挙げられる。
【0121】前記ゼオライトとしては、Na2O・Al2
3・2SiO2・XH2Oで示されるA型ゼオライト、
または周期律表第II族及び第IV族の金属から選ばれた少
なくとも一種の金属を含む金属により置換されたゼオラ
イトを挙げることができる。そして、その置換金属とし
ては、Mg、Ca、Zn、Sr、Ba、Zr、Sn等で
あり、特にCa、Zn、Baが好ましい。
【0122】前記ハロゲン捕捉剤としての有機エポキシ
化合物は、エポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ハイドロキノンジグリシジルエ
ーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’
−スルホビスフェノール・ポリグリシジルエーテル、N
−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノール
Aグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシ
レート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ
〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−
ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイ
ド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4
−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ
ート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキ
サン)、ジシクロペンタジエンエポキサイド、エチレン
グリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフ
タル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−
2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等であ
る。
【0123】耐光性改良剤としての遮光剤は、光が高分
子内部に達するのを防止するための成分である。その具
体例としては、ルチル型酸化チタン(TiO2)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウ
ム(CeO2)等を挙げることができる。
【0124】耐光性改良剤としての金属不活性剤は、キ
レート化合物を形成して樹脂中の重金属イオンをキレー
ト化合物中で不活性化するための成分である。その具体
例としては、アシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾー
ル、及びその誘導体等を挙げることができる。
【0125】耐光性改良剤としての消光剤は、高分子中
の光励起したハイドロパーオキサイドやカルボニル基等
の官能基をエネルギー移動によって失活させるための成
分であって、有機ニッケル等が知られている。
【0126】本発明の成形材料の好ましい実施態様は、
(A)数平均粒子直径が20μmのポリフェニレンエー
テル20〜80重量%、(C)シリカを0.01〜1重
量%を(B)芳香族リン酸エステル80〜20重量%
に、130℃〜200℃の温度で溶解または部分溶解し
て得られたマスターバッチと、スチレン系樹脂を溶融押
出法、特に射出成形法で製造された射出成形材料であ
る。このようにして製造された射出成形材料は、難燃性
等の機能、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特性に優れて
いる。
【0127】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。
【0128】尚、実施例、比較例における測定は、以下
の方法もしくは測定機を用いて行なった。
【0129】(1)難燃剤の分析 樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトンに溶
解し、超遠心分離機を用いて分離する(20000rp
m、1時間)。次いで、分離して得られた上澄み液に2
倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、溶液
部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。溶液
部分については、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体(R
I屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム 東
ソー(株)製、G1000HXL 2本;移動相 テトラヒドロフラン;流量 0.8ml
/分;圧力 60kgf/cm2;温度 INLET
35℃,OVEN 40℃,RI 35℃;サンプルル
ープ 100ml;注入サンプル量 0.08g/20
ml 〕で分析し、クロマトグラム上の各成分の面積比
を各成分の重量分率と仮定し、面積比からリン酸エステ
ルの組成と量を求めた。一方、上記の樹脂部分について
は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−FT−N
MR)を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族プロトン
の積分値の比を求め、ゴム変性スチレン系樹脂及びポリ
フェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂の量を求めた。
【0130】(2)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエーテルの還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0131】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0秒)を測定し、以下の数
式により算出した。
【0132】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0133】(3)黄色度ΔYI SMカラーコンピュータ型式SM−3(スガ試験機
(株)製)を用いて、JIS−Z−8722に準拠した
方法で測定し、外観(色調)の指標とした。
【0134】(4)アイゾット衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(1/4インチ試験片、ノッチなし) (5)揮発性評価(熱重量天秤試験:TGA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、40℃/分で昇温し、1重量%減少温
度を揮発性の尺度とした。
【0135】(6)ビカット(Vicat)軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0136】(7)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0137】(8)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片)。
【0138】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0139】(イ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηsp/Cは0.4
1dl/gであった。また数平均粒子径は20μmであ
った。
【0140】(ロ)スチレン系樹脂:ゴム非変性スチレ
ン系樹脂(GPPS) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)(GPPSと称する)を粉砕し、数平均粒子
直径が20μmのGPPSを使用した。
【0141】(ハ)液状添加剤:リン系難燃剤 トリス(ノニルフェニル)フォスフェート(TNP
P)の製造 ノニルフェノール431.0重量部(モル比3.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。反応を完結
させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温
度を上げてエステル化を完了させた。次いで反応生成物
を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してトリス
(ノニルフェニル)フォスフェート(以下、TNPPと
称する)を得た。
【0142】また、置換基の炭素数の合計の平均は2
7.0である。
【0143】1,3−フェニレン ビス(ジフェニル
ホスフェート)(FR−1) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(以
下、FR−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族
縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、下記式
(18)で表わされるTPPダイマー(n=1)とTP
Pオリゴマー(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ
65/35であった。
【0144】
【化17】
【0145】1,3−フェニレンビス(ジ2,6−ジ
メチルフェニルホスフェート)(FR−2)の製造 2,6−キシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120℃に達した時点でオキシ
塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この時
発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化
リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃ま
で2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られた
中間体のジ(2,6−キシリル)ホスホロクロリドの収
率は99.7%であった。次いで、得られた中間体45
重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニウム1.
5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反応液の温
度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させて脱塩酸
反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成後、20
0mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、反応を完
結した。このようにして得られた反応液にキシレン50
0重量部、10%塩酸水200重量部を添加し、残存す
る触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。この精製反
応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化させ、メタノー
ルで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行ない、下記式(1
9)で示される1,3−フェニレンビス(ジ2,6−ジ
メチルフェニルホスフェート)(以下、FR−2と称す
る)を得た。
【0146】
【化18】
【0147】ビスフェノールA ビス(ジフェニルホ
スフェート)(FR−3) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(以
下、FR−3と称する)}を用いた。また、上記芳香族
縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、下記式
(20)で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)
とTPP−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホ
スフェート(TPP)からなり、重量比でそれぞれ8
4.7/13.0/2.3であった。
【0148】
【化19】
【0149】トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(以下、TPPと称する)〕を
用いた。
【0150】(ニ)離型剤:珪素化合物 市販のシリカ(日本シリカ工業(株)製 商品名 ニブ
シルVN3LP)を用いた。
【0151】実施例1〜7、比較例1〜5 表1記載の組成物を以下の3つの添加方法により製造し
た。このようにして得られたペレットを射出成形機(日
本製鋼製作所(株)製 型式JSW J100EP)
で、シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件で
試験片を作製し、成形体の色調ΔYIを測定した。その
結果を表1に記載した。
【0152】各成分の添加方法: I:攪拌機付バッチ式の混合槽に(B)を溶媒として、
表1記載の添加時の温度で(A)を攪拌しながら溶解
し、ベルトコンベヤタイプの冷却乾燥機(ベルトクーラ
ー)に導入してペレット化した。
【0153】II:サイドフィード可能な二軸押出機で、
メインフィーダーからPPEをフィードし、サイドフィ
ーダーから(B)TNPPをフィードし表1記載の添加
時の温度で溶融押出してペレット化した。
【0154】III:(A)に(B)を少量づつ添加し、
吸着させた後に、(A)と(B)からなるブレンド物を
ベルトコンベヤタイプの冷却乾燥機(ベルトクーラー)
に導入してペレット化した。
【0155】
【表1】
【0156】表1によると、PPEまたはGPPSを2
50℃以下の温度で溶解して得られた成形体は、溶融押
出して得られた成形体に比較して外観(色調)が優れて
いることが分かる。特に(B)として芳香族縮合リン酸
エステルはPPEに対して、やや相溶性が劣るが、芳香
族リン酸エステル単量体を併用することにより、相溶性
が飛躍的に向上する。一方、PPEを250℃以下のの
温度で溶融押出すると、色調は優れているものの、PP
Eの未溶融物が多数生成し成形体外観を損ない、またP
PEに(B)を吸着させる方法では未溶融状態のPPE
が成形体の表面状態を著しく低下させる。
【0157】実施例8〜23、比較例6〜7 表2〜3記載の還元粘度ηsp/Cの異なるHIPS、
PPEを用い、表2、3記載の組成比の成形材料を以下
の2つの方法で作製し、実施例1と同様に評価した。そ
の結果を表2〜3に記載した。
【0158】表2〜3によると、HIPSのηsp/C
が0.4〜0.6の範囲にある場合は、流動性、衝撃強
度、及び難燃性のバランス特性が優れており、特にPP
Eの還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6である場合に
は流動性、耐熱性、衝撃強度及び難燃性のバランス特性
が向上することが分かる。
【0159】(イ):攪拌機付バッチ式の混合槽に
(B)を溶媒として、200℃で(A)を攪拌しながら
溶解し、ベルトコンベヤタイプの冷却乾燥機(ベルトク
ーラー)に導入してマスターバッチを製造し、そのマス
ターバッチとHIPSを230℃で二軸押出機(Wer
ner Pfleiderer社製 ZSK−40mm
Φ)を用い、溶融押出しを行なう方法。
【0160】(ロ):(A)に(B)を少しづつ、20
0℃で添加し、吸着させた後に、(A)と(B)からな
るブレンド物をHIPSと混合し、230℃で(イ)と
同様に溶融押出しを行う方法。
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】実施例24〜29 表4記載の(B)芳香族リン酸エステルを用いて、表4
記載の組成比の成形材料を、実施例8と同様の実験を行
い評価した。その結果を表4に記載した。
【0164】
【表4】
【0165】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性樹脂に液状添加剤を
特殊な方法により添加することにより、優れた外観、機
械的特性を有する液状添加剤含有成形材料及びその製造
方法に関する。
【0166】この成形材料は、VTR、分電盤、テレ
ビ、オーディオプレーヤー、コンデンサ、家庭用コンセ
ント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレ
イヤー、エアコンディショナー、加湿機、電気温風機械
等の家電ハウジング、シャーシまたは部品、CD−RO
Mのメインフレーム(メカシャーシ)、プリンター、フ
ァックス、PPC、CRT、ワープロ複写機、電子式金
銭登録機、オフィスコンピューターシステム、フロッピ
ーディスクドライブ、キーボード、タイプ、ECR、電
卓、トナーカートリッジ、電話等のOA機器ハウジン
グ、シャーシまたは部品、コネクタ、コイルボビン、ス
イッチ、リレー、リレーソケット、LED、バリコン、
ACアダップター、FBT高圧ボビン、FBTケース、
IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、
モーター部品等の電子・電気材料、そして、インスツル
メントパネル、ラジエーターグリル、クラスター、スピ
ーカーグリル、ルーバー、コンソールボックス、デフロ
スターガーニッシュ、オーナメント、ヒューズボック
ス、リレーケース、コネクタシフトテープ等の自動車材
料等であり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形材料の製造プロセスを示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 25/04 C08L 25/04 // B29C 33/60 B29C 33/60

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂及び(B)非重合性
    でかつ25℃での粘度が10万センチストークス以下で
    ある液状添加剤を含有する成形材料であって、(A)を
    (B)に25℃から250℃の温度で溶解してなること
    を特徴とする液状添加剤含有成形材料。
  2. 【請求項2】 更に(C)離型剤を配合した請求項1記
    載の液状添加剤含有成形材料。
  3. 【請求項3】 (B)液状添加剤がオリゴマータイプと
    モノマータイプの液状添加剤の併用である請求項1〜2
    のいずれかに記載の液状添加剤含有成形材料。
  4. 【請求項4】 (A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンエ
    ーテル及び/または(B)液状添加剤が芳香族リン酸エ
    ステルである請求項1〜3のいずれかに記載の液状添加
    剤含有成形材料。
  5. 【請求項5】 (A)熱可塑性樹脂及び(B)非重合性
    でかつ25℃での粘度が10万センチストークス以下で
    ある液状添加剤を含有する成形材料の製造方法であっ
    て、まず(A)を(B)に25℃から250℃の温度で
    溶解して樹脂組成物を製造し、次いで上記樹脂組成物
    と、(A)と同一または異なった熱可塑性樹脂とを溶融
    押出しすることを特徴とする液状添加剤含有成形材料の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 (A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンエ
    ーテル及び/または(B)液状添加剤が芳香族リン酸エ
    ステル及び/または(A)と同一または異なった熱可塑
    性樹脂がスチレン系樹脂である請求項5に記載の液状添
    加剤含有成形材料の製造方法。
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