JPH11172009A - 液状物質含有樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

液状物質含有樹脂組成物の製造方法

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JPH11172009A
JPH11172009A JP9343269A JP34326997A JPH11172009A JP H11172009 A JPH11172009 A JP H11172009A JP 9343269 A JP9343269 A JP 9343269A JP 34326997 A JP34326997 A JP 34326997A JP H11172009 A JPH11172009 A JP H11172009A
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resin
temperature
liquid substance
resin composition
melt
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JP9343269A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂に液状物質を特殊な方法により
添加することにより、優れた外観、耐光性、機械的特性
を有する液状物質含有樹脂組成物の製造方法の提供。 【解決手段】 (A)熱可塑性樹脂及び(B)25℃か
ら300℃の温度範囲で液体状態が存在する液状物質を
含有する樹脂組成物の製造方法において、まず(B)が
液体状態になる温度から300℃の温度範囲から選ばれ
た温度で、(A)と(B)とを混合して(A)のガラス
転移温度(Tg)を低下させ、次いで溶融押出機を用い
て150℃〜300℃で溶融押出しすることを特徴とす
る液状物質含有樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液状物質含有樹脂組
成物の製造方法に関する。更に詳しくは、熱可塑性樹脂
に液状物質を特殊な方法により添加することにより、優
れた外観、耐光性、機械的特性を有する液状物質含有樹
脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル系樹脂等の熱可
塑性樹脂を用いて得た成形体は、優れた耐熱性、耐衝撃
性を有するために、自動車部品、家電部品、OA機器部
品を始めとする多岐の分野で成形材料として使用されて
いる。
【0003】近年かかる分野でより高機能化のために各
種ポリマー用添加剤が用いられている。例えば、加工性
を改良するために流動パラフィン(ミネラルオイル)を
添加したり、また難燃性を付与するために有機リン化合
物を混合することが行なわれ、その添加法として通常溶
融押出法が採用されている。しかしながら、ポリフェニ
レンエーテル等の高融点、又は高ガラス転移点を持つ熱
可塑性樹脂を溶融押出する際に、液状添加剤を添加する
ためには特殊なフィード設備が必要となるだけでなく、
上記の液状添加剤の取り扱いが煩雑であるという欠点が
あった。更には、粘度の低い液状添加剤とポリフェニレ
ンエーテル等の粘度の高い熱可塑性樹脂とを溶融混合す
る場合には、大きい粘度差のために押出機での吐出量が
変動したり、また粘度の高い熱可塑性樹脂の未溶融物が
残存するために、外観を損ねたり、機械的特性が低下す
るという問題があった。
【0004】この問題を解決するために、例えばスチレ
ン系樹脂とポリフェニレンエーテルを溶融混合して得ら
れた樹脂成分に、液状ポリマー用添加剤を溶融混合する
ことが提案されている(日本国特許第2612396号
公報、日本国特開平5−295249号公報)。この技
術により、粘度の高いポリフェニレンエーテルの未溶融
物の残存を少なくすることが可能となったが、高温での
溶融状態を経るために著しい着色、耐光性の低下、分子
鎖の切断による機械的特性の低下等の問題があった。
【0005】これらの問題を解決する方法として、例え
ば、多孔質スチレン−ジビニルベンゼン共重合体に液状
油を吸着せしめた含油樹脂及び熱硬化樹脂からなる樹脂
組成物(日本国特公平7−122024号公報)、樹脂
に、吸油性架橋重合体に液状添加剤を含有させた樹脂改
質用添加剤を加えて得られる樹脂組成物を用いることに
より成形時に添加剤のブリードの発生を防止する方法
(日本国特開平5−214114号公報)、樹脂に特定
の架橋重合体を練り込むことにより、艶消しされた外観
を得る方法(日本国特開平6−57007号公報)、樹
脂に特定の架橋重合体を練り込むことにより、耐衝撃性
を向上させる方法(日本国特開平6−73190号公
報)、非晶質シリカにリン系難燃剤を含浸させて得られ
るポリマー用粉末状難燃剤(日本国特開平7−3312
44号公報)、無機質粉体に担持されたリン系難燃剤で
あるポリマー用添加剤(日本国特許番号第258833
1号公報)、ゲル化剤で固形化した液状添加剤を合成樹
脂に混合した樹脂組成物の製造方法(日本国特公昭56
−42619号公報)、ホスフェート系化合物を溶媒に
溶解させたものをポリプロピレンに溶融混練により分散
させる方法(日本国特開平4−1233号公報)、樹脂
用添加剤と吸油性重合体からなるマスターバッチ(日本
国特開平9−52956号公報)が知られている。上記
の技術はいずれも吸油性樹脂に液状添加剤を吸収または
吸着させて見かけ上液状添加剤を減少させることによる
取扱性の向上を目的とするものであり、この樹脂組成物
を溶融押出機で混練することにより成形しても、外観、
機械的特性の優れた成形材料は得られない。
【0006】また、熱可塑性樹脂を重合性単量体または
架橋性化合物中で溶解または吸着、含浸させた後に重合
性単量体または架橋性化合物を重合して得られた樹脂組
成物またはその製造方法が知られている。例えば、ポリ
塩化ビニルを芳香族ビニル単量体中に含浸させた状態で
重合して得られる樹脂組成物(日本国特公昭61−40
702、日本国特公昭62−1972、日本国特開平3
−197521号公報)、ポリフェニレンエーテル及び
ゴム状重合体を芳香族ビニル単量体に溶解し、樹脂組成
物を製造する方法(欧州特許EP226149、日本国
特開平7−242791号公報)、芳香族ビニル単量体
を含有するコーティング及びフィルム用ポリフェニレン
エーテル溶液(ロシア国特許第2069674号)、ポ
リフェニレンエーテル、液状エポキシ物質、難燃剤及び
硬化触媒の混合物を高温で反応させて得られた熱硬化型
電気積層板の製造方法(日本国特開平7−3053号公
報)、ポリフェニレンエーテル、架橋性難燃剤及び開始
剤を含むポリフェニレンオキサイド樹脂組成物(日本国
特開昭62−148564号公報)が知られている。こ
れらの公報に開示された技術のように添加剤を樹脂溶液
との混合物を重合または反応させて得る場合は、液状添
加物が樹脂と均一に混合した組成物が得られやすいが、
通常溶解した熱可塑性樹脂に重合性単量体がグラフトし
たり、または架橋等の副反応が起こり、熱可塑性樹脂本
来の特性が変化するので好ましくない。
【0007】また、日本国特開昭50−50号公報に
は、ポリアミドを特定のリン酸エステルと共に溶剤であ
るギ酸に溶解して得られる成型品の製造方法が開示され
ているが、この方法で得られた溶媒を除去した後の成形
品中ではポリアミドとリン酸エステルは相溶しておら
ず、外観や耐光性に優れた樹脂組成物は得られていな
い。また、溶剤としてジフェニルスルフォンを用いて、
ポリフェニレンエーテル等のポリマーを溶解し、アセト
ン及びメタノールを含む溶媒混合物と接触させる多孔質
ポリマー構造体の製造方法(日本国特開平8−2458
24号公報)及び溶剤に溶解したポリフェニレンエーテ
ルを他の重合体と共に多段工程で溶剤を除去するポリフ
ェニレンエーテル含有成形材料の製造方法(日本国特開
昭58−34829号公報)ポリアクリロニトリルをロ
ーダニン酸塩等の溶剤に溶解して得られた繊維(日本国
特開昭50−20029号公報)が知られているが、上
記公報においてはポリマー用添加剤が使用されておら
ず、液体添加剤と樹脂の均一混合組成物は得られていな
い。更にそして、可塑剤等を溶剤に溶解してポリフェニ
レンエーテルと処理する、ポリフェニレンエーテルの融
解温度低下法(日本国特開昭52−90596号公報)
も知られているが、ポリフェニレンエーテルが溶解また
は膨潤していないために、優れた外観、耐光性、機械的
特性を持つ樹脂組成物は得られていない。
【0008】さらに、ポリフェニレンエーテル等の樹脂
を、表面改質を目的としたポリマー用添加剤に溶解して
得られた樹脂組成物を得る技術が知られている。例え
ば、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン等の熱可
塑性樹脂を、帯電防止剤アミンに溶解して得られた帯電
防止用固体組成物(日本国特開昭50−105293号
公報、米国特許第4210556号、同431404
0、同4147742)、及び潤滑油と、潤滑油の保持
体として働く合成樹脂を、これらを溶解する溶剤を用い
て溶解した後に溶剤を除去することにより、潤滑剤が均
一分散した保持体を製造する方法(日本国特公昭513
4536号公報)等が知られている。しかし、帯電防止
剤、潤滑剤等のポリマー用添加剤は成形体の表面特性の
改良を目的としており、成形時にブリード性が発現し
て、成形体表面にポリマー用添加剤が偏在することが重
要であり、そのためにはポリマーとの相溶性が適度に低
くなければならない。従って、特に高濃度のポリマー用
添加剤を含有する樹脂組成物を製造するためは、ポリマ
ー添加剤の高温溶解が必要となり、ポリマー及びポリマ
ー用添加剤の劣化が促進されてしまう。そのため、この
技術によって得られた樹脂組成物を成形しても、十分な
外観、耐光性及び機械的特性を有する成形体は得られな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち液状物質
の取り扱いを容易にするだけでなく、より多量の液状物
質を、生産性を低下させずに含有させることができ、さ
らに外観、耐光性、機械的特性の優れた液状物質含有樹
脂組成物の製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、外観、耐光
性、機械的特性の優れた、液状物質含有樹脂組成物を鋭
意検討した結果、熱可塑性樹脂を特定温度で液状物質と
混合し、次いで溶融押出しすることにより、驚くべきこ
とに色調等の外観、耐光性及び機械的特性が飛躍的に向
上することを見出し、本発明に到達した。
【0011】即ち、本発明は、(A)熱可塑性樹脂及び
(B)25℃から300℃の温度範囲で液体状態が存在
する液状物質を含有する樹脂組成物の製造方法におい
て、まず(B)が液体状態になる温度から300℃の温
度範囲から選ばれる温度で、(A)と(B)とを混合し
て(A)が結晶性樹脂の場合は融点(Tm)、非晶性樹
脂の場合はガラス転移温度(Tg)を判定基準とし、
(A)のTmまたはTgを判定基準とし、(A)のTm
またはTgを10℃〜200℃を低下させ、次いで溶融
押出機を用いて150℃〜300℃で溶融押出しするこ
とを特徴とする液状物質含有樹脂組成物の製造方法、と
りわけ更に(C)300℃で結晶または非晶性ポリマー
用添加剤を配合した液状物質含有樹脂組成物の製造方法
または(B)がポリマー用添加剤と溶剤からなり、
(A)と(B)とを混合し、次いで溶融押出機を用い
て、真空下、150℃〜300℃で、溶剤を除去しつつ
溶融押出しすることを特徴とする液状物質含有樹脂組成
物の製造方法を提供するものである。
【0012】以下、本発明を詳しく説明する。
【0013】本発明は、(A)熱可塑性樹脂、(B)特
定の液状物質、及び必要に応じて(C)特定の結晶また
非晶性ポリマー用添加剤を含有する樹脂組成物の製造方
法に関する。
【0014】上記(A)は成形用樹脂組成物の主成分を
なし、成形品の強度保持の役割を担い、(B)、(C)
は熱可塑性樹脂に難燃性や流動性等の機能性を付与する
ための成分である。
【0015】本発明の製造法において、まず(B)が液
体状態になる温度から300℃の温度から選ばれる温度
で、(A)と(B)とを混合し、(A)の融点(Tm)
またはガラス転移温度(Tg)を低下させることが重要
である。ここで、その混合方法については特に制限はな
く、例えば(A)と(B)との混合物のTmまたはTg
が、(A)のTmまたはTgより好ましくは10〜20
0℃、更に好ましくは30〜200℃、最も好ましくは
50〜200℃低下させることが可能な方法である。こ
のようにして(A)と(B)を混合処理することによ
り、(A)のTmまたはTgが低下し、多量の(B)を
(A)に対して配合することが可能となり、次いで溶融
押出機を用いて150℃〜300℃で溶融押出しする際
に、より低温で溶融押出が達成される。その結果、例え
ば、(A)としてポリフェニレンエーテルを用いた場
合、得られた樹脂組成物の黄色度YIが低くなり、その
組成物中のポリフェニレンエーテルの構造中にヒドロキ
シル基が、繰り返し単位100個中に0.5個以下とな
ることを見出した。
【0016】本発明において、(B)は、25℃から3
00℃の温度範囲で液体状態が存在し、非重合性である
ことが好ましく、特に(A)の特性改善のために機能を
付与する非重合性のポリマー用添加剤が好ましい。
【0017】ここで、液状ポリマー用添加剤の中でも、
熱可塑性樹脂の表面改質を目的としたポリマー用添加剤
は好ましくない。帯電防止剤、潤滑剤等の液状ポリマー
用添加剤は成形体の表面特性の改良を目的としており、
成形時にブリードし、成形体表面に液状ポリマー用添加
剤が偏在することが重要であり、そのためにはポリマー
との相溶性が適度に低くなければならない。従って、樹
脂の表面改質を目的とした液状ポリマー用添加剤は、特
に高温溶解が必要となり、樹脂及び添加剤の劣化を促進
する。また、表面改質剤としての液状ポリマー用添加剤
を高濃度に添加するためには、さらに高温溶解が必要と
なり、劣化が加速されるので好ましくない。一方、難燃
性、流動性等のバルクの樹脂の特性を改良する場合は、
ポリマーと液状ポリマー用添加剤の相溶性が適度に高い
ことが好ましく、そのために液状ポリマー添加剤を比較
的低温で溶解することができ、ポリマー及び液状ポリマ
ー用添加剤の劣化が抑制される。
【0018】また、(C)300℃で結晶または非晶性
ポリマー用添加剤は、(B)と同様に(A)の特性改善
のために機能を付与するものであるが、本発明の要件で
ある(A)と(B)との混合の際に配合することができ
る。
【0019】本発明において、(A)と(B)の相溶性
を向上させるために、(B)の中に溶剤を添加し、混合
した後に、溶剤を真空下にを除去することができる。但
し、溶剤による相溶化はあくまでも補助的であり、
(A)と(B)が部分相溶性の場合に少量の溶剤により
相溶化を可能にする。(A)と(B)が完全に非相溶な
組み合わせにおいては、溶剤が多量必要となり、除去工
程の負荷が大きくなり好ましくない。溶剤の添加量は、
(B)中で、0.1〜50重量%であることが好まし
く、更に好ましくは1〜40重量%、最も好ましくは5
〜20重量%である。
【0020】本発明の製造法で得られた組成物の中でも
最も好ましい組み合わせの一つは、(A)ポリフェニレ
ンエーテルと(B)有機リン化合物である。従来、耐熱
性の高いポリフェニレンエーテルを溶融混合するために
は、通常300〜350℃の温度が必要であり、その結
果、フリース転位によるメチレンブリッジ構造体、また
は末端アルキルアミンの反応に由来するメチレンブリッ
ジ構造体等によりヒドロキシル基が多数発生し、それを
用いて得られた成形体は耐光性や色調が低下するという
問題があった(下記反応参照)。
【0021】
【化1】
【0022】本発明者らは、ポリフェニレンエーテル系
樹脂の構造中にヒドロキシル基が、上記樹脂の繰り返し
単位100個中に0.5個以下有することにより、耐光
性と色調が著しく向上することを見出し、それを達成す
るためには上述の方法が有効であるとの結論に到達し
た。そしてさらに特定の構造の有機リン化合物の一つの
リン酸エステルとの組み合わせにより、低揮発性で安定
性の高い難燃性樹脂を開発するに至り、本発明を完成し
た。
【0023】以下に本発明の各成分について詳細に説明
する。
【0024】本発明において、(A)熱可塑性樹脂は、
(B)と相溶もしくは均一分散し得るものであり、ポリ
フェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリメ
タクリレート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアリ
レート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂等が好ましい。本
発明においては上記成分を含有する熱可塑性エラストマ
ーも熱可塑性樹脂に含まれる。ここで、特に熱可塑性樹
脂としてポリフェニレンエーテル系、ポリスチレン系、
ポリカーボネート系の熱可塑性樹脂が好ましい。上記ポ
リスチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂及び/ま
たは、ゴム非変性スチレン系樹脂である。特にポリフェ
ニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂のブレンド
体は(B)への溶解性は優れているので好ましい。ま
た、スチレン系樹脂でも融点と分解温度が近接している
立体規則性のポリスチレン、特にシンジオタクテイクポ
リスチレンは、低温押出が可能であるために、特に本発
明の製造方法は有効である。
【0025】また、(A)の熱可塑性樹脂の形状は特に
制限はないが、溶解性の観点からその数平均粒子直径が
0.01〜10000μmであることが好ましく、より
好ましくは0.1〜1000μm、更に好ましくは1〜
100μmである。数平均粒子直径が0.01未満で
は、凝集し取扱い上、品質安定性上好ましくない場合が
あり、一方、数平均粒子直径が10000μmを越える
と、(B)の溶解速度が低下し、未溶解物が生成し外
観、機械的特性が損なわれる恐れがある。
【0026】本発明において上記(A)熱可塑性樹脂の
一つのポリフェニレンエーテル(以下PPEと略称す
る。)は、下記式(1)で示される結合単位からなる単
独重合体及び/又は共重合体である。
【0027】
【化2】
【0028】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。
【0029】このPPEの具体的な例としては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が
好ましい。かかるPPEの製造方法は特に限定されるも
のではなく、例えば、米国特許第3,306,874号
明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレッ
クスを触媒として用い、例えば2,6キシレノールを酸
化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米
国特許第3,3061075号明細書、米国特許第3,
257,357号明細書、米国特許3,257,358
号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭
50−51197号公報に記載された方法で容易に製造
できる。本発明にて用いる上記PPEの還元粘度ηsp
/C(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測
定)は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあること
が好ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にある
ことがより好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要
件を9ηsp/C満たすための手段としては、前記PP
Eの製造の際の触媒量の調整などを挙げることができ
る。
【0030】本発明における(A)熱可塑性樹脂の一つ
のポリスチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂及び
/または、ゴム非変性スチレン系樹脂である。
【0031】このようなゴム変性スチレン系樹脂は、ビ
ニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これ
と共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公
知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化重
合することにより得られる。
【0032】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0033】ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移
温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、
−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0034】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0035】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0036】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0037】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0038】本発明において、ゴム変性スチレン系樹脂
におけるゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、
特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な
単量体混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好
ましくは90〜50重量%の範囲にある。この範囲内で
は、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランス
が向上する。更には、スチレン系重合体のゴム粒子径
は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.
0μmが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃性が
向上する。
【0039】本発明において、使用されるゴム変性スチ
レン系樹脂の分子量の尺度である還元粘度ηsp/c
(0.5g/dl、30℃測定:マトリックス樹脂がポ
リスチレンの場合はトルエン溶液、マトリックス樹脂が
不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体の場合はメチル
エチルケトン)は、0.30〜0.80dl/gの範囲
にあることが好ましく、0.40〜0.60dl/gの
範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチレン系樹
脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満たすため
の手段としては、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤
量の調整等を挙げることができる。
【0040】本発明における(A)熱可塑性樹脂の一つ
の芳香族ポリカーボネートは、芳香族ホモポリカーボネ
ートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができ
る。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛
性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホス
ゲン法、あるいは、例えば、二官能フェノール系化合物
と炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させる
エステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカ
ーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好
適である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェ
ニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェ
ニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。本発
明において、2官能フェノール系化合物は、単独で用い
てもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0041】本発明において使用する液状物質(B)
は、熱可塑性樹脂(A)に添加剤として難燃性等の望ま
しい性質を付与するための成分である。そして、液状物
質(B)は25℃から300℃の範囲のある温度で流動
性を有することが必要であり、100℃での粘度が10
0万センチストークス以下であることが好ましく、更に
好ましくは10万センチストークス以下であり、最も好
ましくは1万センチストークス以下である。液状物質
(B)の上記粘度が1万センチストークス以下になると
熱可塑性樹脂(A)に対する溶解力が増大する。この条
件を満足する液状物質(B)としては、分子量が100
0以下の化合物が好ましく、ポリマー、オリゴマーであ
ってもよい。
【0042】ここで液状物質(B)は、可塑剤、熱安定
剤、光安定剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、香料、
発煙抑制剤、粘着付与剤、防腐剤、保温剤、耐衝撃性向
上剤、忌避剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、不安定化
剤、凝固剤、消泡剤、凍結防止剤、クリーミング剤、増
粘剤、感熱剤、起泡剤等のポリマー用添加剤または溶剤
等である。これらの中で可塑剤、熱安定剤、難燃剤、光
安定剤が熱可塑性樹脂(A)との相溶性が大きい点から
みて好ましい。
【0043】熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)から
なる本発明の樹脂組成物中の液状物質(B)の量は、好
ましくは1〜99重量%、より好ましくは10〜90重
量%、更に好ましくは20〜80重量%、最も好ましく
は30〜70重量%である。
【0044】上記液状物質(B)の1種として挙げた可
塑剤の例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、フタ
ル酸ブチルベンジルエステル等のフタル酸混基エステ
ル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の
脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコールジベン
ゾエート等のグリコールエステル、オレイン酸ブチル、
アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族酸エステル、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ可塑
剤であり、その他、トリメリット酸トリオクチル、エチ
ルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチル
グリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パ
ラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンセ
バケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスル
ホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添
ターフェニル、ショウノウ等を挙げることができる。
【0045】前記液状物質(B)としての熱安定剤の例
としては、金属石ケン、鉛安定剤、有機錫安定剤、複合
安定剤、エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0046】前記液状物質(B)としての光安定剤は、
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、酸化防止
剤、活性種捕促剤、遮光剤、金属不活性剤、または消光
剤等から選ばれる光安定剤である。
【0047】前記液状物質(B)としての難燃剤は、ハ
ロゲン系またはリン系等の難燃剤である。とりわけリン
系難燃剤の中でも有機リン化合物が好ましい。
【0048】上記有機リン化合物の例としては、ホスフ
ィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウ
ム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エス
テル等である。より具体的には、トリフェニルフォスフ
ェート、メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエ
リスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペ
ンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォス
フェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフ
ェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジ
ネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテ
コールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフ
ェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェートであ
る。
【0049】ここで、ポリフェニレンエーテル等の熱可
塑性樹脂との相溶性の観点から、特に有機リン化合物と
して、芳香族系リン酸エステル単量体(式2)、芳香族
系リン酸エステル縮合体(式3)が好ましい。
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar5、A
6はそれぞれ独立に無置換又は炭素数1〜10の炭化
水素基で少なくとも1つ置換されたフェニル基から選ば
れる芳香族基である。Ar4は炭素数6から20の2価
の芳香族基である。また、nは0〜3の整数を表わし、
mは1以上の整数である。) 上記芳香族系リン酸エステル単量体の中でも、特にヒド
ロキシル基含有芳香族系リン酸エステル単量体、例え
ば、トリクレジルフォスフェートやトリフェニルフォス
フェート等に1個または2個以上のフェノール性水酸基
を含有したリン酸エステル単量体、または下式4に示し
た芳香族リン酸エステル単量体が好ましい。
【0053】
【化5】
【0054】(式中、a、b、cは1から3、R1
2、R3のそれぞれが独立に水素または炭素数が1から
30のアルキル基であり、化合物全体として、置換基R
1、R2、R3の炭素数の合計が平均12から30であ
る。ここで、異なった置換基を有する、複数の芳香族リ
ン酸エステルからなる場合には、上記難燃剤の置換基R
1、R2、R3の炭素数の合計は、数平均で表し、上記難
燃剤中の各芳香族リン酸エステル成分の重量分率と、各
成分の置換基の炭素数の合計との積の和である。) 本発明において、式4の芳香族リン酸エステル単量体の
中でも、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平均
は、15〜30が好ましく、さらには20〜30が好ま
しく、25〜30が最も好ましい。
【0055】具体的な置換基として、ノニル基、t−ブ
チル基等のブチル基、t−アミル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オタデシル基、ノナデシル基、オクタドデシル基等
が挙げられ、一つまたは複数個の置換基が一つの芳香環
にオルト、メタ、パラの何れの位置にも置換することが
できるが、パラ置換体が好ましい。一つのリン酸エステ
ル単量体に置換するアルキル基の炭素数の合計が12〜
30の範囲にあることが最も好ましいが、長鎖アルキル
基が一つだけ置換した芳香環を一つだけ有するリン酸エ
ステル単量体よりも、アルキル基が一つだけ置換した芳
香環が複数個有するリン酸エステル単量体の方が耐熱性
及び耐水性が優れている。例えば、置換するアルキル基
の炭素数の合計が18でも、オクタデシルフェニル ジ
フェニルフォスフェートよりも、ビス(ノニルフェニ
ル) フェニルフォスフェートの方が耐熱性が高く好ま
しい。
【0056】本発明において、式4の芳香族リン酸エス
テル単量体の中でも、特にR1、R2、R3の少なくとも
1つはノニル基であるリン酸エステル単量体が好まし
く、R1、R2、R3がノニル基である芳香族リン酸エス
テル単量体〔トリス(ノニルフェニル)フォスフェー
ト〕が流動性と低揮発性の観点から最も好ましい。上記
リン酸エステル単量体は、難燃剤中に50重量%以上含
有する場合に特に大きな難燃性効果が発現する。そし
て、上記リン酸エステル単量体は火種の滴下性に優れ、
UL−94に準拠した難燃性基準において、V−2ラン
クの難燃剤の中ででは極めて優れた自己消火性を示す。
【0057】また、低揮発性の観点から、置換基の炭素
数の合計が上記した要件を満たすものが好ましい、置換
基の炭素数の合計が12未満のものの割合が1重量%以
下である場合には、さらに優れた低揮発性が発現する。
【0058】そして、難燃剤の熱安定性、特に耐熱変色
性の観点から、残存酸性物質の指標としてJIS−K6
751に規定する酸価が1mgKOH/g以下さらには
0.5mgKOH/g、及び/またはアルキルフェノー
ルが1重量%以下さらには0.5重量%以下であること
が好ましく、更にアルミニウム、マグネシウム、ナトリ
ウム、アンチモンが1000ppm以下であることがよ
り好ましい。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
が難燃剤中に1〜1000重量ppm含有すると熱安定
性が飛躍的に向上する。
【0059】次いで、耐光性の観点からは、置換基
1、R2、R3はアリール基でなく、アルキル基が好ま
しい。又アルキル基の場合でも、アルキル基の枝分かれ
が少ない方が好ましく、特に直鎖または枝分かれが1箇
所のアルキル基が特に好ましい。
【0060】さらに、芳香族リン酸エステルの1つの芳
香環に置換する置換基の数は、1つが好ましい。1つの
芳香環に複数個の置換基が置換した芳香族リン酸エステ
ル単量体の粘度は高く、その粘度は置換基数と共に上昇
する。芳香族リン酸エステル単量体の粘度が高くなる
と、取り扱い上の問題だけでなく、高粘度のために精製
が困難となり前述の不純物が残存することにより、耐光
性、耐熱変色性が低下する。
【0061】式4の中でも最も好ましい芳香族リン酸エ
ステル単量体の組み合わせは、トリス(ノニルフェニ
ル)フォスフェート(TNPP)を主体に、ビス(ノニ
ルフェニル) フェニルフォスフェート(BNPP)を
少量含有し、置換基R1、R2、R3の炭素数合計の数平
均が20〜27であり、好ましくは25〜27であり、
さらに好ましくは26〜27であり、26.5〜27が
最も好ましい。上記の炭素数合計の数平均を満足するた
めには、例えばBNPPが78〜0重量%、好ましくは
22〜0重量%、さらに好ましくは11〜0重量%、最
も好ましくは5〜0重量%であり、TNPPが22〜1
00重量%、好ましくは78〜100重量%、さらに好
ましくは89〜100重量%、最も好ましくは95〜1
00重量%の範囲にある。このような組み合わせの難燃
剤は特に難燃性、流動性、耐熱性、衝撃強さ、耐水光沢
保持性、及び得られた成形体の表面硬度のバランス特性
が優れている。TNPPは耐揮発性、耐熱性付与効果が
高いだけでなく、構造的に対称であるために、耐水光沢
保持性が極めて優れている。このようにTNPPを本発
明における液状物質(B)として用いると、特に優れた
性質をもつ樹脂組成物が得られる。
【0062】式4の芳香族リン酸エステル単量体は、日
本国特開平1−95149号公報、日本国特開平3−2
94284号公報等に開示された公知の方法により製造
することができる。例えば、アルキルフェノールとオキ
シ塩化リンと触媒の無水塩化アルミニウムを加熱下に反
応する方法、または亜リン酸トリエステルを酸素で酸化
して、対応する芳香族リン酸エステルに転換する方法が
ある。
【0063】また前記芳香族リン酸エステル縮合体(式
3)の中でも、特にAr4がフェニレン基又はジアリー
ルアルカン基であることが耐加水分解性、熱安定性の観
点から好ましく、例えばビスフェノールA ビス(ジフ
ェニルフォスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジ
クレジルフォスフェート)が好ましい。
【0064】前記芳香族系リン酸エステル縮合体の中で
好ましいものの一つとして、式5で示される芳香族リン
酸エステル縮合体を挙げることができる。
【0065】
【化6】
【0066】(式中、a、b、c、d、eは0から3で
あり、R1からR5は炭素数が1から10の炭化水素であ
り、nは1〜3の整数を表す)。
【0067】ここで、上記式5で示される芳香族リン酸
エステル縮合体の中でも、aが0であり、b、c、d、
eが2であり、かつR2からR5は2,6−位に置換され
た構造は、室温では固体形状であるが、比較的結晶化速
度が小さいために、上記TNPP等の非重合性液状物質
を添加することにより液状化する。このような2,6−
位置換の固体状芳香族リン酸エステル縮合体は、日本国
特開平5−1079号公報等に開示された公知の方法に
より製造することができる。例えば、2,6−位に置換
された単官能フェノールとオキシハロゲン化リンとルイ
ス酸触媒の存在下で反応させ、ジアリールホスホロハラ
イドを得、次いでこれと二官能フェノールをルイス酸触
媒の存在下で反応する方法がある。
【0068】前記液状物質(B)としての発泡剤の例と
しては、アゾ系発泡剤、N−ニトロソ系発泡剤、スルフ
ォニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0069】前記液状物質(B)としての滑剤の例とし
ては、流動パラフィン等の炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑
剤、脂肪酸アミド系滑剤、アルコール系滑剤、金属石ケ
ン類等を挙げることができる。
【0070】また、本発明における液状物質(B)に
は、25℃〜300℃の温度範囲で粉体または固体状の
化合物でも、他の液状物質に溶解して上記温度範囲で液
状化した化合物をも含むことができる。
【0071】本発明において、熱可塑性樹脂(A)と液
状物質(B)との相溶性を更に高めるために、両者の相
溶化剤として、上記液状物質(B)と異なった液状物質
または非重合性液状物質(B)に溶解または相互作用を
有する界面活性剤を併用することができる。たとえ液状
物質(B)の要件を満足していない固体界面活性剤で
も、液状物質(B)中に溶解するものであれば使用する
ことができる。
【0072】本発明において、液状物質(B)の中でも
芳香族リン酸エステル縮合体等の二量体以上のオリゴマ
ータイプの液状物質に、ポリフェニレンエーテル等の熱
可塑性樹脂(A)を溶解する場合は、前記TNPP等の
モノマータイプの液状物質を、相溶化剤としての役割も
兼ねて併用すると良好な外観、耐光性、機械的性質を持
つ樹脂組成物が得られる。モノマータイプの液状物質
は、全体の液状物質(B)中に、好ましくは0.01〜
50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、更に
好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは2〜10重
量%の範囲で含まれるのが望ましい。
【0073】熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)との
相溶化剤としては、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級
脂肪酸アミド、または高級脂肪族アルコール等を挙げる
ことができ、液状物質(B)中に好ましくは0.01〜
20重量%、更に好ましくは、0.1〜10重量%、最
も好ましくは、1〜5重量%含有する。
【0074】前記相溶化剤としての脂肪族炭化水素は、
流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、
ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこれら
の部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。
【0075】前記高級脂肪酸は、飽和脂肪酸、及びリシ
ノール酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタ
デセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0076】前記高級脂肪酸アミドは、フェニルステア
リン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロ
ールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ
油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノール
アミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、オレイ
ン酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置換モノアミ
ド等であり、さらに、メチレンビス(12−ヒドロキシ
フェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリ
ン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニ
ル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪
酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12−ヒドロ
キシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスア
ミドである。
【0077】前記相溶化剤としての高級脂肪族アルコー
ルは、ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1
価のアルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価
アルコール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、
ポリオキシエチレンボクタデシルアミン等であり、さら
に、ポリオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアル
キレンエーテルユニットを有するアリル化エーテル、及
びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエ
チレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエ
チレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレン
エチレングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノ
ールAエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レングリコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユ
ニットを有する2価アルコールである。
【0078】前記溶剤は炭化水素系、ハロゲン化炭化水
素系、アルコール系、フェノール系、エーテル系、アセ
タール系、ケトン系、脂肪酸系、酸無水物系エステル
系、窒素化合物系、硫黄化合物系、無機系溶剤等であ
り、溶剤の添加量は、(B)の中で0.1〜50重量%
であることが好ましく、更に好ましくは1〜40重量
%、最も好ましくは5〜20重量%である。
【0079】溶剤の中でも、ジフェニルエーテル、ブチ
ルフェニルエーテル等の沸点が200〜300℃のエー
テル・アセタール系溶剤、炭化水素系溶剤が好ましい。
炭化水素系溶剤は、例えばペンタン、2−メチルブタ
ン、ヘキセン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチル
ブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタ
ン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、
ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、ド
デカン、不飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロ
ピルベンゼン、クメン、メシチレン、ナフタレン、テト
ラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシル
ベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペ
ンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、シク
ロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、P−メ
ンタン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセン、α−ピネ
ン、ジペンテン、デカリン、石油エーテル、石油ベンジ
ン、石油ナフサ、リグロイン、工業ガソリン、灯油、ソ
ルベントナフサ、ショウノウ油、テレビン油、パイン油
等であり、特に沸点が200〜300℃のアミルベンゼ
ン、シクロヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、パイ
ンオイル、ビフェニルが最も好ましい。
【0080】本発明において前記固体物質(C)として
使用する300℃で結晶または非晶性ポリマー用添加剤
である固体物質は、添加剤として、本発明の樹脂組成物
に望ましい性質を付与するもので、熱可塑性樹脂
(A)、液状物質(B)中で分散、膨潤または溶解して
いる。固体物質(C)は上記要件を満足しておれば特に
制限されないが、例えば付着防止剤、吸油性化合物、熱
安定剤、光安定剤、等である。
【0081】上記固体物質(C)の量は、熱可塑性樹脂
(A)100重量部に対して、好ましくは0.0000
01〜100重量部、更に好ましくは、0.01〜20
重量部、最も好ましくは、0.1〜10重量部である。
【0082】前記固体物質(C)としての付着防止剤
は、熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)からなる樹脂
組成物の融着防止等の取り扱い性向上のための成分であ
る。例えば、金属石鹸等の有機酸金属塩類、金属酸化物
類、無機塩類、ワックス類、シリカ、タルク、珪藻土等
の鉱物類、鉄、アルミナ等の金属類、綿、パルプ等の繊
維類等であり、これらの一種または二種以上を用いるこ
とができる。中でも数平均粒子直径が0.01〜300
μmの粉体化合物が好ましい。この数平均粒子直径が
0.01μm未満では、粉体同士の凝集が起こり、また
300μmを越えると熱可塑性樹脂(A)の液状物質
(B)への溶解速度を低下させる傾向にある。
【0083】前記固体物質(C)の一つの付着防止剤と
しての有機酸金属塩は、例えば酪酸、カプロン酸、ペラ
ルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸
等の直鎖飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレ
イン酸等の直鎖不飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分
岐脂肪酸;リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン
酸等のヒドロキシル基含有脂肪酸;安息香酸;ナフテン
酸;アビエチン酸;デキストロピマル酸等のロジン酸を
代表とする有機カルボン酸類のリチウム塩、銅塩、ベリ
リウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチ
ウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、カドミウム塩、アルミニ
ウム塩、セリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、鉛
塩、クロム塩、マンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩等
を挙げることができる。
【0084】前記固体物質(C)の一つの付着防止剤と
しての金属酸化物類は、例えば酸化亜鉛、アルミナ(酸
化アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、シリカ(酸化
ケイ素)、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、酸化鉄、酸化バリウム、二酸化マンガン、酸化マグ
ネシウム等を挙げることができ、特にアルミナ、鉱物類
としても挙げられているシリカが好ましい。
【0085】前記固体物質(C)の一つの付着防止剤と
して無機塩類は、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、炭
酸マンガン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等を挙
げることができる。
【0086】前記固体物質(C)の一つの付着防止剤と
してのワックス類は、オルガノシロキサン系ワックス、
ポリオレフィンワックス、ポリカプロラクトン等を挙げ
ることができる。
【0087】付着防止剤としては、前記金属酸化物を疎
水化変性した、疎水性シリカまたは疎水性アルミナ等の
疎水化金属酸化物が特に好ましい。その製造方法として
は、金属酸化物の表面を化学的あるいは物理的に不活性
化すればよく、例えばアルキルアルコキシシラン、アル
キルハロゲン化シラン等のシランカップリング剤を用い
る方法、ジメチルシロキサン等のポリシロキサンを用い
る方法、合成ワックスや天然ワックスを用いる方法、カ
ルシウム等により金属表面処理する方法等を挙げること
ができる。
【0088】本発明において、前記固体物質(C)とし
ての吸油性化合物は、熱可塑性樹脂(A)の液状物質
(B)への溶解性を向上させるための成分であり、溶解
性向上効果の観点から、数平均粒子直径が0.001〜
1000μmの化合物が好ましく、熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂、金属、金属酸化物、難燃剤、補強剤、セラミ
ック等の粉体または多孔質粉体等を挙げることができ
る。
【0089】前記固体物質(C)の一つの吸油性化合物
としての熱可塑性樹脂は、数平均粒子直径が0.001
〜1000μmであることが好ましく、液状物質(B)
と親和性のある置換基を有する熱可塑性樹脂であり、例
えば、アルキル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボ
ン酸エステル、ジアルキル(メタ)アクリルアミド等の
炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド、1−ヘキ
セン等のα−オレフィン、ビニルシクロヘキサン等の脂
環式ビニル化合物、ドデシルアリルエーテル等の炭化水
素基を有するアリルエーテル、カプロン酸ビニル等の炭
化水素基を有するビニルエステル、ブチルビニルエーテ
ル等の炭化水素基を有するビニルエーテル、スチレン等
の芳香族ビニル化合物等から選ばれた少なくとも一種の
重合性不飽和基を有する単量体を含有することが好まし
い。
【0090】また、上記吸油性化合物としての熱可塑性
樹脂は、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有
する架橋性単量体を、熱可塑性を保持する範囲で少量含
んでいてもいい。例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート等の二価アルコールの(メタ)アクリ
レート類、グリセリン、テトラメチロールメタン等の多
価アルコールの(メタ)アクリレート類、ジビニルベン
ゼン等から選ばれた少なくとも一種の架橋性単量体であ
る。
【0091】前記固体物質(C)の一つの吸油化合物と
しての熱硬化樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン共重
合体等の芳香族ビニル単量体と複数個の不飽和結合を有
する架橋性単量体との共重合体、メタクリル酸エステル
またはアクリル酸エステルと上記架橋性単量体との共重
合体、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、キシ
レン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート、アラ
ミド等である。
【0092】本発明の樹脂組成物をペレットとして得る
場合には、熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)を加熱
混合する工程と、(A)と(B)を溶融押出機で溶融押
出する工程からなる方法によって製造されることが好ま
しく、その方法においては、熱可塑性樹脂(A)を液状
物質(B)中で、(B)が液体状態になる温度から30
0℃の温度範囲から選ばれる温度で熱可塑性樹脂(A)
を液状物質(B)と混合することが必要である。
【0093】熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)を加
熱混合する方法としては、竪型の攪拌機付き溶解槽(図
1参照)または横型のスクリュー型混合機(図2参照)
を用いることが好ましい。
【0094】次いで、(A)と(B)からなる混合物を
溶融押出機に導入し、冷却して回転刃式ペレタイザーに
より粒状化する。
【0095】本発明の製造方法において用いられる溶融
押出機は、単軸押出機、特殊単軸押出機、二軸押出機等
であるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に好ましく
はメインフィーダーとサイドフィーダーの2つ以上のフ
ィーダーが付けられる溶融混練可能な押出機である。好
ましい押出機は、サイドフィーダー付きの二軸同方向回
転押出機、二軸異方向回転押出機であり、そのサイドフ
ィーダーは、縦型、横型を問わない。
【0096】このような二軸押出機については、そのシ
リンダー内径Dに対するスクリュー長さLの割合L/D
が10〜50であることが好ましく、更に好ましくは2
0〜40である。上記二軸押出機の先端部からの距離を
異にするメインフィード開口部とサイドフィード開口部
の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給用
開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の
供給用開口部との間にニーディング部分を有し、上記ニ
ーディング部分の長さが、それぞれD〜10Dであるこ
とが好ましい。
【0097】本発明のもう一つの好ましい具体的製造方
法は、熱可塑性樹脂(A)と液状物質(B)の溶解性を
さらに向上させるためには、熱可塑性樹脂(A)を液状
物質(B)中で25℃から300℃の範囲の温度から選
ばれた温度で混合する際に、溶剤を用いて両者を溶解ま
たは膨潤させた後に溶剤を除去する方法がある。
【0098】このようにして得られた熱可塑性樹脂組成
物は、このまま射出成形材料等の用途に使用してもよい
が、これをマスターバッチとし、熱可塑性樹脂(A)と
同じか又は異なった熱可塑性樹脂と共に例えば100℃
〜300℃の温度で溶融押出しすることができる。その
際に液状物質(B)、固体物質(C)はもちろん、液状
物質(B)、固体物質(C)以外の各種固体物質を配合
することができる。
【0099】ここで、マスターバッチの中で用いられる
(A)熱可塑性樹脂と、そのマスターバッチと共に溶融
押出しする熱可塑性樹脂の組み合わせの判断基準とし
て、非晶性ポリマーではガラス転移温度(Tg)であ
り、結晶性ポリマーでは融点(Tm)である。マスター
バッチの中で用いられる(A)のTgまたはTmは、好
ましくは100℃以上であり、更に好ましくは140℃
以上であり、最も好ましくは200℃以上である。一
方、そのマスターバッチと共に溶融押出しする熱可塑性
樹脂のTgまたはTmは好ましくは、85℃〜200℃
であり、更に好ましくは、85℃〜120℃である。こ
のような熱可塑性の組み合わせは本発明の効果が最も顕
著となる。
【0100】ここで、熱可塑性樹脂(A)と同じか又は
異なった熱可塑性樹脂は、とくに制限はない。たとえ
ば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリ
オレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリ
エステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボ
ネート系、ポリメタクリレート系、ポリアセタール系、
ポリアリレート系、ポリスルフォン系等の単独もしくは
二種以上を混合したものを使用することができる。ここ
で、特に熱可塑性樹脂として、ポリスチレン系、ポリカ
ーボネート系の熱可塑性樹脂が好ましい。上記ポリスチ
レン系樹脂には、ゴム変性スチレン系樹脂も含まれる。
【0101】本発明において、液状物質含有樹脂組成物
をマスターバッチとし、必要に応じて熱可塑性樹脂
(A)とは異なった熱可塑性樹脂と共に配合可能な固体
物質として、液状物質(B)に記載した以外の難燃剤、
難燃助剤、熱可塑性エラストマー、酸化防止剤または錫
系熱安定剤等の熱安定剤、耐光性改良剤、流動性改良
剤、滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料
等の着色剤、発泡剤、帯電防止剤、離型剤等を挙げるこ
とがができる。
【0102】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。
【0103】尚、実施例、比較例における測定は、以下
の方法もしくは測定機を用いて行なった。
【0104】(1)難燃剤の分析 樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトンに溶
解し、超遠心分離機を用いて分離する(20000rp
m、1時間)。次いで、分離して得られた上澄み液に2
倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、溶液
部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。溶液
部分については、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体(R
I屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム 東
ソー(株)製、G1000HXL2本;移動相 テトラ
ヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力 60kg
f/cm2;温度 INLET 35℃,OVEN 4
0℃,RI 35℃;サンプルループ 100ml;注
入サンプル量 0.08g/20ml 〕で分析し、ク
ロマトグラム上の各成分の面積比を各成分の重量分率と
仮定し、面積比からリン酸エステルの組成と量を求め
た。一方、上記の樹脂部分を重水素化クロロホルムに溶
解して、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−FT
−NMR)〔BRUKER社製 機種DPX−400〕
を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族プロトンの積分
値の比及び化学シフトから構造を同定し、ゴム変性スチ
レン系樹脂及びポリフェニレンエーテル、ポリカーボネ
ート等の熱可塑性樹脂の量を求めた。
【0105】(2)ポリフェニレンエーテルのヒドロキ
シル基の分析 (1)の難燃剤分析の項の処理と同様に、樹脂組成物を
溶解、分離して溶液部分を蒸発乾固し、5重量%の固形
物の塩化メチレン溶液を作製した。この溶液を−15℃
の冷凍庫に24時間静置して析出した沈殿物を、冷時濾
過後、塩化メチレンで洗浄し、引き続き真空乾燥した。
得られたポリフェニレンエーテルのサンプルを、(1)
と同様にフーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−FT
−NMR)を用いて、ポリフェニレンエーテルの繰り返
し単位100個中の、メチレンブリッジ構造体及びヘッ
ド末端のヒドロキシル基(OH基)を定量した。通常上
記OH基は4.2から4.4ppmに存在する(図3、
4参照)。
【0106】(3)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエーテルの還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0107】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0108】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては、0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.
5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。
【0109】(4)(A)と(B)の混合物の融点(T
m)、ガラス転移温度(Tg) “Polymer Handbook”(edited
by J.Brandrup,A Wiley−In
terscience Publication,Jo
hn Wiley & Sons,New York
(1975))に記載の示差走査熱量測定法(DSC)
によって行った。DSC法では、Tgは比熱容量の段階
的な変化から求められ、Tmは融解曲線のピーク位置か
ら求められる。具体的には、日本国、島津製作所製、熱
分析装置DT−40を用いて、5mg試料を窒素気流
下、10℃/分で昇温する。Tgはベースラインと最初
のステップのラインとの交点をTgと定義し(図5の
(a)参照)、一方、Tmはベースラインと吸熱ピーク
の立ち上がりのラインとの交点を融点と定義する(図5
の(b)参照)。
【0110】なお、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーの
判定は、融解曲線の吸熱ピークの有無により行なう。吸
熱ピーク面積は結晶化熱(Cal/g)に対応し、結晶
化度の指標となる。
【0111】“Polymer Handbook”に
よると、例えば、ポリフェニレンエーテル(Poly
(2,6−dimethyl−1,4−phenyle
neoxide))、芳香族ポリカーボネート(Pol
ycarbonate ofBisphenol
A)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルのTgはそれぞ
れ、209℃、145℃、100℃、81℃である。
【0112】示差走査熱量測定法(DSC)によって行
い、具体的には島津製作所製、熱分析装置DT−40を
用いて、5mg試料を窒素気流下、10℃/分で昇温す
ることにより測定した。
【0113】(5)色調(黄色度YI) SMカラーコンピュータ型式SM−3(スガ試験機
(株)製)を用いて、JIS−Z−8722に準拠した
方法で測定し、外観(色調)の指標とした。
【0114】(6)アイゾット衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(1/4インチ試験片、ノッチなし) (7)揮発性評価(熱重量天秤試験:TGA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用い
て、窒素気流下、40℃/分で昇温し、1重量%減少温
度を揮発性の尺度とした。
【0115】(8)ビカット(Vicat)軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0116】(9)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でISO−R1133に準拠した方法
で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で1
0分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0117】(10)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8または1/16
インチ試験片) (11)成形体の耐光性 耐光性試験は、耐光試験機として米国ATLAS Electric D
evices Co.製 ATLASCI35W Weatherometer を用い、J
IS K7102に基づいた方法で行なった。照射条件
としては、試験機内部温度、55℃、湿度55%、雨無
し、キセノン光(波長340nm エネルギー0.30
W/m2)300時間照射とした。日本国スガ試験機
(株)製 SMカラーコンピューター型式SM−3を用
い、L.a.b.法により試験前後での成形体の色差Δ
Eをもとめて、色調変化を評価した。色調変化が小さい
ほど、耐光性が高い。
【0118】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0119】(イ)熱可塑性樹脂(A) ポリフェニレンエーテル(PPE)の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηsp/Cは0.4
1dl/gであった。
【0120】また、数平均粒子径は20μmであった。
【0121】ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0122】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量は1
2.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還
元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0123】(ロ)液状ポリマー添加剤(B) トリス(ノニルフェニル)フォスフェート(TNP
P)の製造 ノニルフェノール431.0重量部(モル比3.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。反応を完結
させるために、徐々に昇温し最終的には180℃まで温
度を上げてエステル化を完了させた。次いで反応生成物
を冷却し、水洗して触媒及び塩素分を除去してトリス
(ノニルフェニル)フォスフェート(以下、TNPPと
称する)を得た。
【0124】また、置換基の炭素数の合計の平均は2
7.0である。
【0125】1,3−フェニレン ビス(ジフェニル
ホスフェート)(FR−1) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(以
下、FR−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族
縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、下記式6
で表わされるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴ
マー(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/3
5であった。
【0126】
【化7】
【0127】1,3−フェニレンビス(ジ2,6−ジ
メチルフェニルホスフェート)(FR−2)の製造 2,6−キシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120℃に達した時点でオキシ
塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この時
発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩化
リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃ま
で2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られた
中間体のジ(2,6−キシリル)ホスホロクロリドの収
率は99.7%であった。次いで、得られた中間体45
重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニウム1.
5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反応液の温
度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させて脱塩酸
反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成後、20
0mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、反応を完
結した。このようにして得られた反応液にキシレン50
0重量部、10%塩酸水200重量部を添加し、残存す
る触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。この精製反
応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化させ、メタノー
ルで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行ない、下記式7の
1,3−フェニレンビス(ジ2,6−ジメチルフェニル
ホスフェート)(以下、FR−2と称する)を得た。
【0128】
【化8】
【0129】ビスフェノールA ビス(ジフェニルホ
スフェート)(FR−3) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(以
下、FR−3と称する)}を用いた。また、上記芳香族
縮合リン酸エステルは、GPC分析によると、下記式8
で表わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP
−A−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェー
ト(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。
【0130】
【化9】
【0131】トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(以下、TPPと称する)〕を
用いた。
【0132】実施例1、比較例1〜4 表1記載の組成物を以下の4つのプロセスにより製造
し、色調(黄色度)YI等の成形材料評価を行った。そ
の結果を表1に記載した。
【0133】プロセス(各成分の添加方法): I:スクリュータイプの連続混合機に(A)PPEと
(B)TNPPを200℃で混合し、二軸押出機に導入
し200℃で溶融押出してペレット化した。
【0134】II−1:サイドフィード可能な二軸押出機
で、メインフィーダーから(A)PPEをフィードし、
サイドフィーダーから(B)TNPPをフィードし表1
記載の温度で溶融押出してペレット化した。
【0135】II−2:サイドフィード可能な二軸押出機
で、メインフィーダーから(A)PPEと(B)TNP
Pを同時にフィードし350℃で溶融押出してペレット
化した。
【0136】III:(A)に(B)を少量づつ添加し、
20℃で吸着させた後に、プロセスIと同様に20℃で
スクリュータイプの連続混合機で混合し、二軸押出機に
導入し200℃で溶融押出してペレット化した。
【0137】
【表1】
【0138】表1によると、プロセスIの、PPEを3
00℃以下の温度で混合機で混合すると、混合物のTg
が低下するために、比較的低温で溶融押出が可能とな
り、得られた組成物は、PPEユニット中のOH基の生
成が抑制されるために(図3、4参照)、プロセスII−
1の溶融押出のみで得られた組成物に比較して外観(色
調)及び耐光性が優れていることが分かる。プロセスII
−1の、PPEが溶融状態を経た組成物は、未溶融物は
なく、外観は良好であるが、色調、耐光性が劣る。また
プロセスII−2の、(A)(B)を同時添加して溶融押
出した組成物は、PPEの未溶融物が多数生成し組成物
の外観が劣る。特にプロセスIIIの、PPEに(B)を
吸着させて得た組成物は、未溶融状態のPPEが極めて
多く、成形体の表面状態が著しく悪化していることが分
かる。
【0139】実施例2〜5、比較例5〜12 表1の実験と同様に、PPE/TPPが60/40の重
量比で混合し、プロセスIまたはIIで組成物を製造し、
色調(黄色度)YI等の成形材料評価を行った。その結
果を表2に記載した。
【0140】
【表2】
【0141】表2によると、プロセスIの、熱可塑性樹
脂を300℃以下の温度で混合して得られた組成物は、
プロセスII−1の溶融押出のみで得られた組成物に比較
して外観(色調)が優れていることが分かる。
【0142】実施例6〜8 表1の実験と同様に、スクリュータイプの混合機に表3
記載量のFR−1と、さらに相溶性を高めるために
(D)溶剤を添加して、表3記載の混合温度でPPEと
混合後、単軸押出機に導入して200℃で溶融押出しマ
スターバッチを製造し、そのマスターバッチとHIPS
を230℃で二軸押出機を用い、真空で溶剤を除去しな
がら、表3記載の組成、製造条件で溶融押出しを行なっ
た。このようにして得られたペレットを射出成形機(日
本製鋼製作所(株)製 型式JSWJ100EP)で、
シリンダー温度230℃、金型温度60℃の条件で試験
片を作製し、色調(黄色度)YI等の評価を行ない、そ
の結果を表3に記載した。
【0143】
【表3】
【0144】表3によると、相溶性の優れている難燃剤
でも芳香族リン酸エステル縮合体(FR−1)はややP
PE等との相溶性が低いが、(D)溶剤を少量添加する
ことにより著しく溶解性が向上することが分かる。
【0145】実施例9〜14、比較例13 芳香族リン酸エステルの種類と特性との関係を求めるた
めに、表4記載の組成比の組成物を、製造プロセス
(a)(b)の方法で作製し、難燃性、MFR、アイゾ
ット衝撃強度、ビカット軟化温度、耐光性、1%重量減
少温度及び色調(黄色度YI)を評価し、その結果を表
4に記載した。
【0146】
【表4】
【0147】(製造プロセス) プロセス(各成分の添加方法): (a):スクリュータイプの連続混合機に(A)PPE
と(B)を200℃で混合し、単軸押出機に導入し20
0℃で溶融押出してマスターバッチを製造し、そのマス
ターバッチとHIPSを230℃で二軸押出機を用い、
溶融押出しを行なう方法。
【0148】(b):サイドフィード可能な二軸押出機
で、メインフィーダーから(A)PPEをフィードし、
(A)を350℃で溶融した後に、サイドフィーダーか
ら(B)をフィードしてマスターバッチを製造し、次い
でそのマスターバッチを(a)と同様に溶融押出しを行
う方法。
【0149】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性樹脂に液状物質を特
殊な方法により添加することにより、優れた外観、耐光
性、機械的特性を有する液状物質含有樹脂組成物の製造
方法に関する。
【0150】この製造方法により得られた組成物は、V
TR、分電盤、テレビ、オーディオプレーヤー、コンデ
ンサ、家庭用コンセント、ラジカセ、ビデオカセット、
ビデオディスクプレイヤー、エアコンディショナー、加
湿機、電気温風機械等の家電ハウジング、シャーシまた
は部品、CD−ROMのメインフレーム(メカシャー
シ)、プリンター、ファックス、PPC、CRT、ワー
プロ複写機、電子式金銭登録機、オフィスコンピュータ
ーシステム、フロッピーディスクドライブ、キーボー
ド、タイプ、ECR、電卓、トナーカートリッジ、電話
等のOA機器ハウジング、シャーシまたは部品、コネク
タ、コイルボビン、スイッチ、リレー、リレーソケッ
ト、LED、バリコン、ACアダップター、FBT高圧
ボビン、FBTケース、IFTコイルボビン、ジャッ
ク、ボリュウムシャフト、モーター部品等の電子・電気
材料、そして、インスツルメントパネル、ラジエーター
グリル、クラスター、スピーカーグリル、ルーバー、コ
ンソールボックス、デフロスターガーニッシュ、オーナ
メント、ヒューズボックス、リレーケース、コネクタシ
フトテープ等の自動車材料等であり、これら産業界に果
たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物の一つの製造プロセスを示し
た。(B)を溶解槽で加熱する膨潤・溶解工程(混合工
程)と、押出機による(A)と(B)の溶融押出工程
と、冷却水槽を通過して冷却し、次いで回転刃式ペレタ
イザーによる粒状化工程を示している。
【図2】本発明の組成物のもう一つの製造プロセスを示
した。(A)と(B)をスクリュータイプの混合機で加
熱混合する加熱混合工程と、押出機による(A)と
(B)の溶融押出工程と、冷却水槽を通過して冷却し、
次いで回転刃式ペレタイザーによる粒状化工程を示して
いる。
【図3】図3の(a)及び図3の(b)は比較例3にお
いて溶融押出法により製造されたポリフェニレンエーテ
ル樹脂組成物の1H−NMR測定結果を示し、
【図4】図4(a)及び図4(b)は実施例1において
本発明の方法により製造された樹脂組成物の1H−NM
R測定結果を示している(尚、図中のメチレンブリッジ
構造体中の環水素をA、メチレン基水素をD、OH基水
素をB、及びポリマーヘッド末端のOH基をCとし、図
4の(a)及び図4の(b)におけるA’〜D’は、そ
れぞれ図3の(a)及び図3の(b)においてA〜Dで
示した位置に対応する位置を示している。)。
【図5】図5の(a)はガラス転移点(Tg)の、また
図5の(b)は融点(Tm)のそれぞれ模式的説明図を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 101:12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂及び(B)25℃か
    ら300℃の温度範囲で液体状態が存在する液状物質を
    含有する樹脂組成物の製造方法において、まず(B)が
    液体状態になる温度から300℃の温度範囲から選ばれ
    る温度で、(A)と(B)とを混合して(A)が結晶性
    樹脂の場合は融点(Tm)、非晶性樹脂の場合はガラス
    転移温度(Tg)を判定基準とし、(A)のTmまたは
    Tgを10℃〜200℃低下させ、次いで溶融押出機を
    用いて150℃〜300℃で溶融押出しすることを特徴
    とする液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 (B)がポリマー用添加剤である請求項
    1記載の液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 (B)が難燃剤である請求項2記載の液
    状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 (B)が有機リン化合物である請求項3
    記載の液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 更に(C)300℃で結晶または非晶性
    ポリマー用添加剤を配合した請求項1〜4のいずれかに
    記載の液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 (B)がポリマー用添加剤と溶剤からな
    り、(A)と(B)とを混合し、次いで溶融押出機を用
    いて、真空下、150℃〜300℃で、溶剤を除去しつ
    つ溶融押出しすることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 (A)と(B)とを混合する際に、竪型
    の攪拌機付き溶解槽または横型のスクリュー型混合機を
    用いること、及び/または溶融押出機として二軸押出機
    を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
    載の液状物質含有樹脂組成物の製造方法。
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