JP4421715B2 - ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

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    • C08F2/20Aqueous medium with the aid of macromolecular dispersing agents

Description

【0001】
本発明は、生産性に優れたリフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いたビニル系化合物の懸濁重合によるビニル系樹脂の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、重合槽内における重合の中期〜後期に発生するドライフォームに対する消泡性に優れ、嵩比重の高いビニル系樹脂が得られるビニル系樹脂の製造方法に関するものである。
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系樹脂の工業的な製造は、分散安定剤の存在下で、塩化ビニルモノマーを水性媒体中に分散させ、油溶性の重合開始剤を重合槽に仕込んだ後、昇温して重合を行うバッチ式の懸濁重合が一般的である。
最近では、生産性を向上させるために重合1バッチに要する時間を短縮することが求められており、重合反応熱の除去速度を増加させるためにリフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いたり、昇温時間を短縮するために予め加熱した水性媒体を仕込む方法(ホットチャージ法)が提案されている。
【0003】
しかしながら、リフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いる場合には、塩化ビニルモノマーの気体が凝縮することに伴ってリフラックスコンデンサー付近の圧力が低下することから、ウェットフォームやドライフォームが激しくなるという問題があった。ウェットフォームとは、主としてポリビニルアルコールに起因する水を主成分とする発泡である。ドライフォームとは、塩化ビニル系樹脂や塩化ビニルモノマーや塩化ビニル粒子を主成分とする発泡であり、主として重合の中期から後期に発生する。ウェットフォームやドライフォームが発生した場合には、重合槽内の有効容積が減少して生産性が低下するという問題点を有し、更に、ドライフォームが発生した場合には、リフラックスコンデンサーにスケールが付着して重合槽の温度コントロールができなくなるという恐れもある。尚、リフラックスコンデンサーを使用しない場合には、ドライフォームは発生しないが、重合時間が長くなり生産性が低いという問題があった。
【0004】
これらの対策として▲1▼特開平2−180908号公報には、リフラックスコンデンサーにおける重合反応熱の除去量が全重合反応熱量の10%以下の時点で、ジメチルポリシロキサン等のシリコーンや低ケン化度ポリビニルアルコール等を添加する方法が開示されている。▲2▼特開平3−212409号公報には、リフラックスコンデンサーにおける重合反応熱の除去量が全重合反応熱量の10%を越えない時点で、塩化ビニルモノマー100重量部に対してケン化度20〜50モル%及び重合度200〜400の水不溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール0.002〜0.007重量部及びジメチルポリシロキサン等の消泡剤0.001〜0.01重量部を添加する方法が開示されている。
【0005】
又、▲3▼特開昭55−137105号公報には、重合開始前に、ケン化度60〜80モル%のイオン変性ポリビニルアルコールを添加することが開示されている。▲4▼特開平7−179507号公報には、重合転化率5〜50%の時点で、ケン化度70〜85モル%及び重合度700〜3,000の水溶性ポリビニルアルコールを添加し、かつ重合を58〜70℃の温度範囲で行う方法が開示されている。▲5▼特開平7−53607号公報には、重合転化率5〜50%の時点で、ケン化度70〜85モル%及び重合度700〜3,000の水溶性ポリビニルアルコールを連続的又は逐次的に添加する方法が開示されている。▲6▼特開平7−18007号公報には、重合転化率30〜60%の時点で、ケン化度75〜85モル%及び重合度1500〜2700の水溶性ポリビニルアルコールを添加する方法が開示されている。
【0006】
更に、▲7▼特開平10−1503号公報には、重合転化率30〜90%の時点で、ケン化度85モル%以下のポリビニルアルコール系重合体を添加する方法が開示され、▲8▼特開平11−116630号公報には、重合転化率30〜90%の時点で、ケン化度85モル%以下のポリビニルアルコール系重合体を連続的又は2回以上に分けて添加する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、上記▲1▼及び▲2▼の開示技術では、ドライフォーム発生が激しくなり、塩化ビニル系樹脂の充填比重が低下しやすいという問題があった。
又、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼の開示技術では、リフラックスコンデンサーを使用していないことから、重合時間が長くなり生産性が低いという問題があった。
【0008】
更に、▲7▼、▲8▼の開示技術では、リフラックスコンデンサー付きの重合槽を使用しており、生産性の高いものであるが、ドライフォームを抑制する消泡性に関してはまだまだ満足のいくものではなく、スケールが付着する等の問題が残るものであり、近年の技術の高度化に伴い、更なる改良が望まれるところである。
【0009】
そこで、本発明ではこのような背景下において、リフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いて、ビニル化合物の懸濁重合を行うに当たり、ドライフォームを抑制する消泡性に優れ、更に嵩比重の高いビニル系樹脂を得るための製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【問題点を解決するための手段】
しかるに、本発明者は上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、リフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いて、懸濁重合用分散安定剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合するに際し、ビニル系化合物の重合率が30%以上の時点で、ケン化度が65〜85モル%、重合度が700以上で、かつ下記(1)式を満足するポリビニルアルコール系樹脂(A)を添加するビニル系樹脂の製造方法が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるリフラックスコンデンサーは、ビニル系化合物の懸濁重合により生じる重合反応熱を効率よく除去するために使用される。即ち、重合槽中の懸濁液から発生する未反応のビニル化合物の気体は、リフラックスコンデンサーにより液化される。リフラックスコンデンサーにおいて液化されたビニル化合物は重合槽に返されることにより、重合熱が除去される。リフラックスコンデンサーの冷却水の温度は、通常10〜50℃程度である。重合槽の温度制御は、リフラックスコンデンサーによる除熱の他に、通常は重合槽のジャケット又はコイルによる温度制御が併用される。リフラックスコンデンサーにおける重合反応熱の除去量については特に限定されないが、全重合反応熱量の10〜80%が好ましく、より好ましくは20〜60%である。
【0012】
本発明のビニル系化合物の懸濁重合は、懸濁重合用分散安定剤の存在下で行われる。具体的には、ビニル系化合物の懸濁重合を行うに際して、通常、水又は加熱水媒体に懸濁重合用分散安定剤、必要に応じて更に懸濁重合用分散助剤を添加し、ビニル系化合物を分散させて油溶性触媒の存在下で重合を行う。
【0013】
本発明の懸濁重合に使用されるビニル系化合物としては、塩化ビニルモノマー単独の他、塩化ビニルモノマーを主体とするモノマー混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化ビニルモノマーと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンその他塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーが例示される。
【0014】
又、本発明は、必ずしも塩化ビニルモノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸及びそのエステル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イソブテン、ブタジエン等のα−オレフィン及びエチレン等の群からなる1種又は2種以上の成分を含有するビニル化合物の懸濁重合に用いることも可能である。
【0015】
懸濁重合用分散安定剤としては、特に限定されないが、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチンあるいはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられるが、中でもケン化度65〜95モル%、好ましくは68〜89モル%で、重合度200〜3,500、好ましくは500〜2,500のポリビニルアルコールが好適に用いられる。
【0016】
懸濁重合用分散安定剤として用いられるポリビニルアルコールとしては、エチレン、α−オレフィン、カルボキシル基、スルホン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセトアセチル基等を10モル%以下の少量含有するものや分子内にカルボニル基を有するポリビニルアルコール、共役二重結合を含有するポリビニルアルコールやジアセトンアクリルアミド変成のポリビニルアルコールも使用することができる。これらの分散安定剤は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
かかる懸濁重合用分散安定剤の添加量については、特に限定されないが、ビニル系化合物100重量部に対して0.01〜0.5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。かかる添加量が0.01重量部未満では懸濁重合の重合安定性が低下し、塩化ビニルのブロックや粗粒子が発生し実用的でなくなり、0.5重量部を越えると塩化ビニル樹脂の重合初期のウェットフォーミングが激しくなったり、塩化ビニル粒子が細くなりすぎたり、塩化ビニル重合終了後の脱モノマー工程で発泡が激しくなったりして好ましくない。
【0018】
又、必要に応じて、ビニル系樹脂の物性及び重合の安定性のために、アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタンエステル系、ポリエーテル系混合物等の周知の分散助剤のうちから1種又は2種以上を併用しても差し支えない。
【0019】
更に、ケン化度60モル%以下のポリビニルエステル系重合体を分散助剤として用いてもよく、その添加量はビニル系化合物100重量部に対して、0.01〜0.15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.06重量部、特に好ましくは0.01〜0.04重量部である。
分散助剤として用いるポリビニルエステル系重合体としては、無変性のポリビニルエステルの他に、側鎖又は末端にカルボキシル基等のイオン性基やオキシアルキレン基を10モル%以下含有するポリビニルエステル系樹脂等が挙げられる。
【0020】
懸濁重合用分散安定剤と分散助剤の添加量の重量比については90/10〜30/70の範囲が好ましく、特に80/20〜50/50が好ましい。この割合が30/70より小さい場合は重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があり、重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、充填効率が上がらず、90/10より大きい場合は粒子のポロシティー分布が一定にならず、脱モノマー性、充填効率等が低下しフィッシュアイが増加することがあり好ましくない。
該分散安定剤及び分散助剤は、重合の初期に一括仕込みしても、又重合の途中で分割して仕込んでも良い。
【0021】
又、使用される懸濁重合用触媒としては、油溶性の触媒であれば特に限定されず、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、γ−クミルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、ベンゾールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を単独又は組み合わせて使用することができる。
【0022】
又、スケーリング防止のため、適当量のチオシアン酸アンモニウムや亜硝酸塩等の水溶性の重合禁止剤を添加してもよい。又、「NOXOL WSW」、「NOXOL ETH」(以上、CIRS社製)等の公知のスケーリング防止剤が反応缶内壁に塗布されていてもよい。
重合温度は、当業者周知の範囲から、目的とするビニル系化合物の重合度に応じて任意に選択される。
【0023】
又、その他の添加剤として、例えば重合度調整剤、加工性改良剤、帯電防止剤、pH調整剤、酸化防止剤、スケール防止剤、連鎖移動剤、ゲル防止剤等を1種又は2種以上使用できる。
【0024】
本発明の懸濁重合においては、各成分の仕込み割合、各成分の仕込み順序及び重合温度等については特に制限はなく、従来塩化ビニル等のビニル系化合物の懸濁重合において採用される条件から適宜選択される。又、ビニル系化合物を重合槽に仕込む前に、ビニル系化合物を加熱しておく方法も好適に用いられる。
更に、生産効率を高めるために、温度40℃以上(好ましくは70℃以上)に加熱された水性媒体を重合開始前に重合槽に仕込む方法も好適に用いられる。
【0025】
本発明においては、リフラックスコンデンサー付き重合槽を用いて、上記の如く懸濁重合用分散安定剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合するに際し、ビニル系化合物の重合率が30%以上、好ましくは30〜90%の時点で、ポリビニルアルコール系樹脂(A)が添加される。かかるポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、そのケン化度は65〜85モル%であり、より好ましくは68〜83モル%、特に好ましくは76〜82モル%である。該ケン化度が65モル%未満ではドライフォームの抑制効果が得られず、発泡することとなり、85モル%を越えるとビニル系樹脂、とりわけ塩化ビニル系樹脂の嵩比重が目標値よりも上がりすぎることとなる。
【0026】
又、該ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重合度は、700以上であり、好ましくは700〜3,000であり、より好ましくは1,000〜2,600、特に好ましくは1,500〜2,500である。該重合度が700未満ではドライフォームの抑制効果がなく、逆にウェットフォーミングが激しくなり、3,000を越えるとビニル系化合物、とりわけ塩化ビニル系樹脂の嵩比重が目標値よりも上がりすぎるため、軟質用の塩化ビニル系樹脂を製造する場合等に不適となる。
【0027】
尚、ポリビニルアルコール系樹脂(A)に変性基が含まれる場合には、ケン化度には変性基は含まれず、ビニルエステル基とビニルアルコール基のみから求められる。
又、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、ポリビニルアルコールを完全ケン化した後、JIS 6726に準じて測定される。
【0028】
更に、ポリビニルアルコール系樹脂(A)としては、上記ケン化度及び重合度の他に、下記(1)式を満足するものであり、より好ましくは下記(2)式を満足するものであり、特に好ましくは下記(3)式を満足するものである。
【0029】
0.0300≦(3−Y)/X≦0.0330・・・(1)
(X:ケン化度(モル%)、Y:ヨード呈色度)
0.0300≦(3−Y)/X≦0.0320・・・(2)
(X:ケン化度(モル%)、Y:ヨード呈色度)
0.0310≦(3−Y)/X≦0.0320・・・(3)
(X:ケン化度(モル%)、Y:ヨード呈色度)
【0030】
上記(1)式において、(3−Y)/Xが0.0300未満となるポリビニルアルコール系樹脂の生産は工業的でなく、又、0.0300未満又は0.0330を越えると塩化ビニル樹脂粒子や塩化ビニルモノマーへのポリビニルアルコール系樹脂の吸着速度が低下したり、吸着量が低下し、ドライフォーミング抑制効果や持続時間の点で不充分となり本発明の効果を発揮しない。
【0031】
尚、ヨード呈色度とは、0.1重量%に調製した試料溶液5ml、純水11ml、1/1000[N]ヨード溶液4mlを混合し、25℃に調節して20分間静置させた後、波長490nm、スリット幅1mmにて吸光度を測定したものである。
【0032】
上記(1)式を満足するポリビニルアルコール系樹脂(A)は、後述のポリビニルアルコール系樹脂の製造方法において、ビニルエステル、特に酢酸ビニルを重合して得られたポリ酢酸ビニルをアルカリ存在下でエステル交換反応によりケン化し、ポリビニルアルコール系樹脂を製造する際のケン化溶媒の誘電率をコントロールすることにより製造される。
【0033】
かかるポリビニルアルコール系樹脂(A)は、ポリビニルエステル系重合体をケン化触媒を用いてケン化することにより得られる。
ビニルエステルとしては、特に限定されず、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが実用性の面で特に好ましい。
又、酢酸ビニルの他に共重合可能なモノマーを10モル%以下、好ましくは5モル%以下共重合させることもできる。
【0034】
共重合可能なモノマーとしては、例えば、オレフィン類(エチレン、プロピレン、α−ブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等)、不飽和モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)又はこれらのエステル又は塩、不飽和多価カルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等)又はこれらの部分ないし完全エステル又は塩又は無水物、不飽和スルホン酸(エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、スルホアルキルマレート、スルホアルキル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキル(メタ)アクリレート、アクリル−アミド−2−メチルプロパンスルホン酸等)又はこれらの塩、アミド(アクリルアミド、メタクリルアミド等)、ニトリル(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル、ビニルケトン、塩化ビニル、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0035】
又、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等の共重合可能なモノマーを用い、ポリビニルアルコール系樹脂(A)にオキシアルキレン基を導入してもよい。又、ビニルエステル系重合体の鹸化物の末端にチオールを導入するべくチオ酢酸を連鎖移動剤としてビニルエステルの重合時に使用してもよい。又各種アルキルメルカプタン等の公知の連鎖移動剤を使用して、ビニルエステル系重合体に末端アルキルを導入してもよい。
【0036】
かかるビニルエステル系重合体のケン化工程においては、必要に応じて、残存モノマーを追い出してから、常法に従ってケン化される。即ち、ケン化に当たっては、該ビニルエステル系重合体を溶媒に溶解、又は該ビニルエステル系重合体ペーストに所定量の溶媒を添加し、必要に応じて、樹脂中の酸成分を中和後、或いは中和と同時に酸触媒又はアルカリ触媒でケン化が行われる。
【0037】
溶媒としては、特に限定されないが、本発明においては、ケン化時の溶媒の誘電率が32c.g.s.e.s.u.以下となるような溶媒を用いることが好ましく、より好ましい誘電率は6〜29c.g.s.e.s.u.、特に好ましい誘電率は12〜28c.g.s.e.s.u.である。誘電率が32c.g.s.e.s.u.を越えるとポリビニルアルコール系樹脂中の残存酢酸基の配列のブロック性が低下し、塩化ビニル樹脂粒子への吸着速度が低下するためドライフォーミング抑制効果の点で不充分となり好ましくない。
【0038】
誘電率が32c.g.s.e.s.u.以下の溶媒としては、例えばメタノール(31.2c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=1/3(重量比)の混合溶媒(27.1c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=1/1(重量比)の混合溶媒(21.0c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=3/1(重量比)の混合溶媒(13.9c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル(7.03c.g.s.e.s.u.)、イソプロピルアセテート(6.3c.g.s.e.s.u.)、トリクロロエチレン(3.42c.g.s.e.s.u.)、キシレン(2.37c.g.s.e.s.u.)、トルエン(2.38c.g.s.e.s.u.)、ベンゼン(2.28c.g.s.e.s.u.)、アセトン(21.4c.g.s.e.s.u.)等が挙げられる。
溶媒中のビニルエステル系重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。
【0039】
ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、或いは硫酸、塩酸等の酸触媒が用いられる。
かかる触媒の使用量は、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、通常ビニルエステルに対して0.1〜10モル%が適当である。
【0040】
ケン化反応温度は特に制限はなく、通常10〜60℃で、好ましくは20〜50℃の範囲から選ばれる。ケン化反応終了後、必要に応じて中和し、アルコール等で洗浄し乾燥される。
又、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲でアセタール化、ウレタン化、リン酸エステル化、シアノエチル化したり、ビニルモノマーをグラフトすることも可能である。
【0041】
かくして本発明で用いられる、ケン化度65〜85モル%、重合度700以上、好ましくは700〜3,000で、かつ上記(1)式を満足するポリビニルアルコール系樹脂(A)が得られる。
【0042】
ビニル系化合物の懸濁重合において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の添加時期は、ビニル系化合物の重合率が30%以上の時点であり、好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜85%、特に好ましくは50〜80%である。重合率が30%未満の時点での添加では塩化ビニル系樹脂の可塑剤吸収性やフィッシュアイの減衰速度が低下することとなる。又、塩化ビニルモノマーの重合において、重合率が90%を越えることは工業的に難しい。
【0043】
又、重合槽の内圧が低下し始める直前あるいは重合槽の内圧が低下し始めた直後に、ドライフォームによる発泡が生じる場合には、この時点で添加することも好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂(A)の添加については、一括に添加することもできるが、連続的あるいは2回以上に分けて不連続的に添加するほうがドライフォーム抑制効果を持続させる意味で好ましい。即ち、上記の如くビニル系化合物の重合が30%以上(好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜85%、更に好ましくは50〜80%)の間に添加すべきポリビニルアルコール系樹脂(A)を全量を時間をかけて連続的に添加したり、あるいは2回以上に分けて(スポット的に)間隔をおきながら不連続的に添加すればよい。
【0044】
ポリビニルアルコール系樹脂(A)の添加方法は特に制限されないが、水溶液、水性分散液、メタノール等の有機溶媒溶液、メタノール・水混合溶液等の形態で添加する方法等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂(A)の溶液の濃度は、通常0.01〜30重量%である。ポリビニルアルコール系樹脂(A)の溶液の温度は特に限定されず、室温又は重合温度まで昇温したものでもよい。
【0045】
ポリビニルアルコール系樹脂(A)の添加量は、懸濁重合に供されるビニル系化合物100重量部に対して、0.001〜0.5重量部であり、好ましくは0.01〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。かかる添加量が0.001重量部未満ではドライフォーム抑制効果が発揮されず、0.5重量部を越えると塩化ビニル樹脂の嵩密度が上がりすぎたり、塩化ビニルのゲル化性が低下したり、塩化ビニルの重合終了後の脱モノマー工程での発泡が激しくなったり、塩化ビニル樹脂の生産性が低下し好ましくない。
【0046】
かくして本発明のビニル系樹脂の製造方法では、リフラックスコンデンサー付き重合槽を用いて、懸濁重合用分散安定剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合するに際し、ビニル系化合物の重合率が30%以上の時点で、上記ポリビニルアルコール系樹脂(A)を添加するため、ドライフォームを抑制する消泡性に優れ、更に嵩比重の高いビニル系樹脂を得ることができるのである。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
【0048】
実施例1
[ポリビニルアルコール系樹脂(A)の製造]
ポリビニルアルコール系樹脂(A−1)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール16.4部及びアゾビスイソブチロニトリル0.008モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で5.8時間重合を行った(重合率は74%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分41%)を得た。続いて、該溶液を酢酸メチル(誘電率7.03c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度29.5%(ケン化溶媒の誘電率23.7c.g.s.e.s.u.)に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(A−1)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(A−1)のケン化度は78.5モル%、重合度2200、ヨード呈色度0.49であった((3−Y)/Xは0.0320であり、(1)式を満足するものである)。
【0049】
ポリビニルアルコール系樹脂(A−2)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール11.9部及びアゾビスイソブチロニトリル0.00432モル%部を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で6.5時間重合を行った(重合率は68%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分41%)を得た。続いて、該溶液を酢酸メチル(誘電率7.03c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度24.9%(ケン化溶媒の誘電率21.55c.g.s.e.s.u.)に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(A−2)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(A−2)のケン化度は78.6モル%、重合度2400、ヨード呈色度0.56であった((3−Y)/Xは0.031であり、(1)式を満足するものである)。
【0050】
ポリビニルアルコール系樹脂(A−3)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール11.9部及びアゾビスイソブチロニトリル0.00432モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で6.5時間重合を行った(重合率は68%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分40%)を得た。続いて、該溶液(ケン化溶媒の誘電率31.2c.g.s.e.s.u.)をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(A−3)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(A−3)のケン化度は78.9モル%、重合度2400、ヨード呈色度0.40であった((3−Y)/Xは0.0330であり、(1)式を満足するものである)。
【0051】
ポリビニルアルコール系樹脂(A−4)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール4.9部、アセトアルデヒドを酢酸ビニルモノマーに対して1.32%、及びアセチルパーオキサイド0.036モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で8時間重合を行い(重合率80%)、次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液を得た。続いて、該溶液を酢酸メチル(誘電率7.03c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度40%(ケン化溶媒(メタノール/酢酸メチル=1.9/1)の誘電率22.8c.g.s.e.s.u.)に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(A−4)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(A−4)のケン化度は72モル%、重合度850、ヨード呈色度0.75であった((3−Y)/Xは0.0312であり、(1)式を満足するものである)。
【0052】
ポリビニルアルコール系樹脂(a−1)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール16.4部及びアゾビスイソブチロニトリル0.008モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で5.8時間重合を行った(重合率は74%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分32%)を得た。続いて、該溶液に水を少量添加し、ケン化溶媒の誘電率を32.2c.g.s.e.s.u.に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して7ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(a−1)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(a−1)のケン化度は80モル%、重合度2200、ヨード呈色度0.32であった((3−Y)/Xは0.0335であり、(1)式を満足しないものである)。
【0053】
ポリビニルアルコール系樹脂(a−2)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール16.4部及びアゾビスイソブチロニトリル0.00432モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で6.5時間重合を行った(重合率は68%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液を得た。続いて、該溶液をベンゼン(誘電率2.28c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度30%(ケン化溶媒の誘電率16.7c.g.s.e.s.u.)になるように調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して7ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(a−2)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(a−2)のケン化度は80モル%、重合度2200、ヨード呈色度0.76であった((3−Y)/Xは0.0280であり、(1)式を満足しないものである)。
【0054】
ポリビニルアルコール系樹脂(a−3)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール23.9部及びアゾビスイソブチロニトリル0.0136モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で5.8時間重合を行った(重合率は80%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分30%)を得た。続いて、該溶液(ケン化溶媒の誘電率31.2c.g.s.e.s.u.)をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して4.5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(a−3)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(a−3)のケン化度は60モル%、重合度1700であった。
尚、ケン化度60モル%のポリビニルアルコール系樹脂は水に不溶であるため、ヨード呈色度は測定不可能であった。
【0055】
ポリビニルアルコール系樹脂(a−4)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール14.4部及びアゾビスイソブチロニトリル0.0044モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で5.8時間重合を行った(重合率は65%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分30%)を得た。続いて、該溶液(ケン化溶媒の誘電率31.2c.g.s.e.s.u.)をニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して7ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(a−4)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(a−4)のケン化度は88モル%、重合度2200、ヨード呈色度0.12であった((3−Y)/Xは0.0327であり、(1)式を満足するものである)。
【0056】
ポリビニルアルコール系樹脂(a−5)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール58部及びアゾビスイソブチロニトリル0.066モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で4.7時間重合を行った(重合率は75%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分41%)を得た。続いて、該溶液を酢酸メチル(誘電率7.03c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度24.9%(ケン化溶媒の誘電率21.55c.g.s.e.s.u.)に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(a−5)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(a−5)のケン化度は80モル%、重合度500、ヨード呈色度0.52であった((3−Y)/Xは0.0310であり、(1)式を満足するものである)。
上記(A−1)〜(A−3)及び(a−1)〜(a−6)を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004421715
【0058】
実施例1〜4及び比較例1〜6
内容積2000Lのリフラックスコンデンサー付き重合槽に、ケン化度79.5モル%、重合度2400のポリビニルアルコールを450g、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート260g、脱イオン水900kg、塩化ビニルモノマー600kgを仕込み撹拌しながら、ジャケットに熱水を通して57℃まで昇温し、重合を開始した。重合開始時の重合槽内の圧力は、7.0kg/cm2Gであった。
【0059】
引き続き重合を継続し、表2に示す如き所定の重合率になった時点で、表2に示す如きポリビニルアルコール系樹脂(A)(又はポリビニルアルコール系樹脂(a))を所定の方法で添加した。重合槽内の圧力が6.0kg/cm2Gに低下したところで、未反応モノマーを回収し、重合体スラリーを器外に取り出し、脱水、乾燥を行って、塩化ビニル樹脂を得た。
重合槽内のドライフォームの発生状態及び得られた塩化ビニル樹脂について、以下の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
【0060】
(スケール付着状態)
重合槽内のドライフォームの発生状態を、リフラックスコンデンサーへのスケールの付着状態を観察することで評価した。評価基準は下記の通りである。
○・・・スケールの付着が見られなかった。
△・・・スケールの付着が少量見られた。
×・・・スケールの付着が多量に見られた。
【0061】
(泡状重合体の量)
塩化ビニル樹脂10kgを、JIS Z−8801に準じた48メッシュの篩いを用いて篩い分け、その篩いの上の残量を測定し、その割合を求めた。
(塩化ビニル樹脂の嵩比重)
JIS K−6721に準じて測定を行った。
【0062】
【表2】
Figure 0004421715
【0063】
【発明の効果】
本発明のビニル系樹脂の製造方法は、リフラックスコンデンサー付き重合槽を用いて、懸濁重合用分散安定剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合するに際し、ビニル系化合物の重合率が30%以上の時点で、特定のポリビニルアルコール系樹脂(A)を添加するため、重合の中期〜後期に発生するドライフォームを抑制する消泡性に優れた効果を示し、更に嵩比重の高いビニル系樹脂を得ることができるものである。

Claims (4)

  1. リフラックスコンデンサー付きの重合槽を用いて、懸濁重合用分散安定剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合するに際し、ビニル系化合物の重合率が30%以上の時点で、ケン化度が65〜85モル%、重合度が700以上で、かつ下記(1)式を満足するポリビニルアルコール系樹脂(A)を添加することを特徴とするビニル系樹脂の製造方法。
    0.0300≦(3−Y)/X≦0.0330・・・(1)
    (X:ケン化度(モル%)、Y:ヨード呈色度)
  2. ポリビニルアルコール系樹脂(A)をビニル系化合物100重量部に対して0.001〜0.5重量部添加することを特徴とする請求項1記載のビニル系樹脂の製造方法。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、誘電率32c.g.s.e.s.u.以下となる溶媒の共存下でケン化してなるポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のビニル系樹脂の製造方法。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂(A)を連続的あるいは不連続的に添加することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のビニル系樹脂の製造方法。
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