JP4245784B2 - 塩化ビニル懸濁重合用分散安定剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル単量体またはこれと共重合し得る単量体との混合物(以下、塩化ビニル系単量体と記載することがある)の懸濁重合用分散安定剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、少量の使用でも懸濁重合安定性に顕著に優れ、また得られた塩化ビニル系重合体を加工する際に着色を抑制することができる懸濁重合用分散安定剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリ塩化ビニル(以下、PVCと略記することがある)は物理的、機械的物性の優れた有用な樹脂であり、硬質および軟質の材料として幅広く使用されている。塩化ビニル系樹脂の製造は、工業的には、水性媒体中で分散安定剤の存在下で塩化ビニルなどの単量体を分散させ、油溶性開始剤を用いて重合を行う懸濁重合により広く行われている。一般に、塩化ビニル系重合体の品質を支配する因子としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、開始剤の種類および量、重合槽の型式、撹拌速度、分散安定剤の種類などが挙げられるが、この中でも分散安定剤の種類による影響が非常に大きい。
その分散安定剤としては多くの場合ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)が重用されており、PVCの重合安定性を向上させる目的で、PVAを熱処理して重合反応に用いることが提案されている(特開昭51−45189号公報、特開平10−67806号公報など)。しかしながら、このPVAの熱処理は酢酸ナトリウムを存在させて行われるので、酢酸ナトリウムがPVA中に残存し、PVAが着色する原因となる場合があり、PVAが着色すると最終製品であるPVCにも着色が発生し、好ましくない。
【0003】
特開平1−95104号公報、特開平3−140303号公報、特開平6−80709号公報、特開平8−259609号公報などによれば、エチレン単位を含有する変性ポリビニルアルコールからなるビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤が提案されており、PVCの充填比重、可塑剤の吸収性などの点ではある程度の物性の向上が認められるが、着色の問題は依然として解決されていない。
【0004】
PVAをはじめとする分散安定剤は、塩化ビニル単量体の重合時にはその使用が不可欠であるが、一旦PVCが得られるとPVC中に存在する必要は全くなく、むしろPVC中にPVAが残存しているとPVCの諸物性が低下する懸念がある。このような理由から、できる限り少量で塩化ビニル単量体を重合しうる分散安定剤が望まれていたが、十分に満足できる分散安定剤は実際には得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、少量の使用でも懸濁重合安定性に顕著に優れ、また得られた塩化ビニル系重合体を加工する際に着色を抑制することができる懸濁重合用分散安定剤を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、エチレン単位を0.5〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対して、pKaが3.5〜5.5の酸および/またはその金属塩(B)を0.05〜2重量部の割合で含有することを特徴とする塩化ビニル単量体またはこれと共重合し得る単量体との混合物の懸濁重合用分散安定剤が、上記課題を達成するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、エチレン単位を0.5〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体である。このビニルアルコール系重合体(A)におけるエチレン単位の含有量は、より好ましくは0.7〜9モル%、とくに好ましくは1〜8モル%である。エチレン単位の含有量が0.5モル%未満の場合には、懸濁重合を安定に行うことのできる範囲が狭くなり、10モル%を越える場合には、ビニルアルコール系重合体の水溶性が低下して取り扱い性が悪化する。
【0008】
ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度について特に制限はないが、通常は50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上である。けん化度が50モル%未満の場合、ビニルアルコール系重合体が本来有する性質である水溶性が低下する恐れがある。またビニルアルコール系重合体(A)の重合度についても特に制限はないが、通常は100〜8000、好ましくは200〜3000である。ビニルアルコール系重合体の重合度が100未満の場合には、ビニルアルコール系重合体の分散安定剤としての特徴が発揮されず、また、8000を越えるビニルアルコール系重合体は工業的な製造に困難を伴う。
【0009】
本発明において、ビニルアルコール系重合体(A)は、従来公知の方法、特開平8−259609号公報に記載されている方法にしたがい、ビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、得られた共重合体を常法によりけん化することによって得ることができる。ビニルエステル系単量体とエチレンを共重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法が適用できる。重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾ系触媒、過酸化物系触媒、レドックス系触媒などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤としNaOH触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。
【0010】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
【0011】
また、本発明において用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体単位を含有しても差し支えない。このような単量体として例えば、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類、塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン、酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物、マレイン酸およびその塩またはそのエステル、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニルなどがある。
【0012】
また、本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、アンモニウム基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基を導入することにより水溶性を高めることができ、あるいはノニオン基または(長鎖)アルキル基などを導入してもよい。この場合のビニルアルコール系重合体のけん化度はビニルエステル基とビニルアルコール基から求められ、導入されたイオン性基、ノニオン基または(長鎖)アルキル基などのけん化度は含まれない。また、従来公知の方法にしたがい、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下に酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合し、得られたビニルエステル系重合体をけん化することにより得られる末端変性物も用いることができる。ビニルアルコール系重合体(A)は、5〜100℃、好ましくは10〜90℃の水に対して水溶性であることが好ましい。
【0013】
本発明の懸濁重合用分散安定剤では、25℃におけるpKaが3.5〜5.5の酸および/またはその金属塩(B)を用いる。使用しうる酸の種類についてとくに制限はなく、その具体例として、酢酸(pKa4.76)、プロピオン酸(pKa4.87)、酪酸(pKa4.63)、オクタン酸(pKa4.89)、アジピン酸(pKa5.03)、安息香酸(pKa4.00)、ギ酸(pKa3.55)、吉草酸(pKa4.63)、ヘプタン酸(pKa4.66)、乳酸(pKa3.66)、フェニル酢酸(pKa4.10)、イソ酪酸(pKa4.63)、シクロヘキサンカルボン酸(pKa4.70)などを挙げることができる。奏される効果の点でとくに好ましく用いることができる酸は、酢酸、プロピオン酸、および乳酸である。
また、上記の酸の金属塩としては特に制限はないが、通常、上記の酸とナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属からなる金属塩が用いられ、とりわけ酢酸ナトリウムが好適に用いられる。
【0014】
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、ビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対して、pKaが3.5〜5.5の酸および/またはその金属塩(B)を0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1.7重量部、より好ましくは0.2〜1.5重量部の割合で含有する。ビニルアルコール系重合体(A)に対する酸および/またはその金属塩(B)の含有量が0.05重量部未満の場合、懸濁重合時の安定性が低下し、2重量部を越えると、後述する熱処理により懸濁重合用分散安定剤が着色し、好ましくない。
【0015】
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、熱処理して用いることで懸濁重合時の安定性がさらに向上する。熱処理の条件は特に制限されないが、通常、酸素、空気または窒素雰囲気下、60℃〜220℃の温度で1分〜4時間加熱して行う。熱処理時の温度が60℃未満では熱処理による効果が十分発現しなくなる場合があり、220℃を越えると懸濁重合用分散安定剤が着色するおそれがある。
【0016】
本発明の懸濁重合用分散安定剤の使用量について特に制限はないが、塩化ビニル系単量体100重量部当たり0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜0.8重量部、さらに好ましくは0.02〜0.5重量部である。塩化ビニル系単量体100重量部に対する懸濁重合用分散安定剤の使用量が0.01重量部未満の場合には、重合安定性が低下するおそれがあり、1重量部を越える場合には、重合後の廃液のCOD(化学的酸素要求量)が高くなるおそれがある。
【0017】
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、塩化ビニル単量体またはこれと共重合し得る単量体との混合物を水性媒体中で懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造する際の分散安定剤として用いられる。塩化ビニル単量体と共重合し得る単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、アクリル酸またはメタクリル酸およびそのエステル類などが挙げられ、これらの単量体は、塩化ビニル単量体100重量部に対して20重量部を越えない範囲で用いることが好ましい。
【0018】
本発明の懸濁重合用分散安定剤を用いて塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合するに際し、水性媒体の温度には特に制限はなく、20℃程度の冷水はもとより、90℃以上の温水でも好適に用いられる。この水性媒体は、純粋な水の他、各種の添加成分を含有する水溶液または他の有機溶剤を含む水性媒体からなることができる。また、除熱効率を高めるためにリフラックスコンデンサー付き重合器も好適に用いられる。
【0019】
本発明の懸濁重合用分散安定剤を用いて塩化ビニル系単量体を懸濁重合するに際し、重合開始剤は従来塩化ビニルなどのビニル系化合物の重合に使用されているものでよい。重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどの過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられ、さらにはこれらに過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて使用することもできる。
【0020】
本発明の懸濁重合用分散安定剤を用いて塩化ビニル系単量体を懸濁重合するに際し、各種添加剤を必要に応じて加えることができる。添加剤としては、例えば、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、メルカプタン類などの重合度調節剤、フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキシド化合物などの重合禁止剤などが挙げられる。また、pH調整剤、スケール防止剤、架橋剤などを任意に加えることができ、また、上記の添加剤を複数併用しても差し支えない。
【0021】
さらに、本発明の懸濁重合用分散安定剤を用いて塩化ビニル系単量体を懸濁重合するに際し、各成分の仕込み割合、重合温度などは、従来の塩化ビニル系単量体の懸濁重合において採用されている条件に準じて定めればよい。また、塩化ビニル系単量体、重合開始剤、分散安定剤、水性媒体およびその他の添加剤の仕込み順序や比率についても特に制限はない。また、水性媒体として温水を用いると同時に、塩化ビニル系単量体を重合器に仕込む前に加熱しておくホットチャージ法も好適に用いられる。
【0022】
本発明の懸濁重合用分散安定剤は単独で使用してもよいが、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使用される重合度100〜4000、けん化度30〜99モル%のポリビニルアルコール系重合体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、ゼラチンなどの水溶性ポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマーなどの油溶性乳化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤などを併用してもよい。その添加量は特に制限されないが、塩化ビニル系単量体100重量部当たり0.01〜2.0重量部が好ましい。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」および「重量部」を意味する。
【0024】
実施例1
(塩化ビニルの重合)
エチレン含有量2.0モル%、重合度1700、けん化度80モル%の変性ポリビニルアルコール100部に対して酢酸ナトリウム(酢酸の25℃におけるpKa4.76)1部を混合し、懸濁重合用分散安定剤を調製した。このものを空気中で150℃、2時間熱処理して懸濁重合に用いた。
グラスライニング製オートクレーブに、上記の熱処理により得られた懸濁重合用分散安定剤0.03部を溶解した脱イオン水40部およびジイソプロピルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液0.04部を仕込み、オートクレーブ内を0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニルモノマー30部を仕込み、攪拌下に57℃に昇温して重合を行った。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は0.83MPaであったが、重合開始7時間後に0.44MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーをパージし、内容物を取り出して脱水乾燥した。
【0025】
懸濁重合用分散剤の着色性、および懸濁重合により得られたPVCの特性を次のようにして評価した。評価結果を表1に示す。
(1)懸濁重合用分散剤の着色性
熱処理時における懸濁重合用分散剤の着色の程度を目視により評価した。評価結果を、○変化なし、△微黄色に着色、×赤茶色に着色、で示す。
(2)PVCのスケール量
重合反応終了後に攪拌機を含む重合槽に付着したPVC量を測定し、得られた全PVC量に対する重量%で求めた。
(3)PVCの平均粒子径の測定
得られたPVC粉末をJIS標準篩(目開き:355,250,180,150,125,106,75μm)を用いて篩い分けし、ロジン・ラムラープロットを行い、累積重量分布で50%となる粒子径をもって平均粒子径とした。
(4)PVCの着色性
得られたPVC粉末を空気雰囲気下180℃、1時間加熱し、着色性を評価した。評価結果を、○変化なし、△微黄色に着色、×黄色に着色、で示す。
【0026】
実施例1におけるPVCの重合収率は85%、スケール量は6重量%であり、得られたPVCは平均重合度が1050、平均粒子径が130μmであり、PVCを重合安定性よく製造することができた。また、実施例1で用いた懸濁重合用分散剤および得られたPVC粉末は熱処理時において着色がみられず、優れた耐着色性を示した。
【0027】
実施例2〜6および比較例1〜6
実施例1において、変性ポリビニルアルコールの代りに表1に示す未変性または変性ポリビニルアルコールを用い、酢酸ナトリウムの代りに表1に示す酸もしくは酸金属塩を用いてまたは用いることなく調製した懸濁重合用分散安定剤を実施例1と同様にして熱処理し、その熱処理した分散安定剤を塩化ビニルモノマーに対し表1に示す量で用いた以外は実施例1と同様にして懸濁重合を行い、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1において、実施例3と比較例5、あるいは実施例4と比較例6を比較すると明らかなように、本発明の懸濁重合用分散安定剤を用いると顕著な重合安定性が発現し、非常に少量の分散安定剤を使用することで塩化ビニル単量体を安定に重合可能であることが分かる。また、実施例1〜6と比較例1〜6を比較すると、本発明の懸濁重合用分散安定剤は熱処理時に着色し難く、かつ得られたPVCの熱処理時の着色を抑制する効果に優れていることが分かる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル懸濁重合用分散安定剤は、少量の使用でも懸濁重合安定性に顕著に優れており、また得られた塩化ビニル系重合体を加工する際に着色を抑制することができる。
Claims (4)
- エチレン単位を0.5〜10モル%含有するビニルアルコール系重合体(A)100重量部に対して、pKaが3.5〜5.5の酸および/またはその金属塩(B)を0.05〜2重量部の割合で含有することを特徴とする塩化ビニル単量体またはこれと共重合し得る単量体との混合物の懸濁重合用分散安定剤。
- ビニルアルコール系重合体(A)の重合度が100〜8000、けん化度が50モル%以上である請求項1の懸濁重合用分散安定剤。
- 懸濁重合用分散安定剤が60℃〜220℃の温度で1分〜4時間熱処理して得られたものである請求項1または2の懸濁重合用分散安定剤。
- pKa3.5〜5.5の酸および/またはその金属塩(B)が酢酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれか1項の懸濁重合用分散安定剤。
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