JP4404167B2 - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系化合物の粒径分布がシャープで、フィッシュアイの減衰速度、脱モノマー性、可塑剤吸収性等の性能に優れたビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ケン化度が70モル%以下のビニルエステル系樹脂は、ビニル系化合物(特にポリ塩化ビニル)の懸濁重合用分散助剤(以下分散助剤と略記する)、バインダー、可塑剤、ホットメルト用等の接着剤として広く利用されて、特に分散助剤として多用されている。該用途でのビニルエステル系樹脂は、重合缶への仕込み時の作業性を向上させることが必要とされるため、各種変性ポリビニルアルコールが用いられている。
例えば特開平1−95103号公報には、側鎖にアミノ基、アンモニウム基またはカルボキシル基を0.01〜10モル%含有し、ケン化度が0〜45モル%である分散助剤を用いることが開示され、特開平4−154810号公報には、側鎖にアミノ基、アンモニウム基、カルボキシル基またはスルホン酸基を0.1〜10モル%含有し、ケン化度が70モル%以下の分散助剤を用いることが開示され、特開平5−295009号公報には、ポリメタクリル酸メチルとポリビニルアセテートのブロック共重合体などからなる分散助剤を用いることが開示されている。特開平9−100301号公報には、特定の(ポリ)オキシアルキレン基の含有量が0.5〜10モル%で、ケン化度が70モル%以下のビニルエステル系樹脂を10〜50重量%含有する水性液からなる分散助剤を用いることが開示されている。
【0003】
しかしながら、上記のいずれの開示技術においても、該変性ビニルエステル系化合物を分散質とする水性液又は水性分散液を分散助剤として使用すると、仕込み時の作業性は向上するものの主分散剤の保護コロイド性を低下させるためかポリ塩化ビニル中に粗大粒子が多くなる問題が残っており、ビニル系化合物の懸濁重合安定性の向上が更に重要となってきている。更に最近はリフラックスコンデンサー等を使用してビニル系化合物の懸濁重合の重合速度が向上しているため、懸濁重合安定性の向上が更に求められる様になってきた。
【0004】
かかる問題点を解決するため、米国特許第4208499号明細書には、ケン化度21.7〜74.8モル%、重合度180〜350で280mμの吸光度が0.28以上のポリビニルアルコールを分散助剤として用いることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、米国特許第4208499号明細書開示技術では、分子鎖あたりのカルボニル基含量が規定されていないため、懸濁重合安定性はいまだ改善されず、粒径分布がシャープとならない場合があり、更に、ビニル系化合物重合後の反応缶内にスケールが付着しやすいという欠点を有している。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、本発明者らは、分子内にカルボニル基を含有し、ビニルエステル部分のケン化度が30〜50モル%、平均重合度(PA)が180〜750のビニルエステル系樹脂からなり、カルボニル基の含有量aモル%と平均重合度(PA)との関係が下記式(1)を満足し、側鎖又は末端にイオン性基を含有し、平均重合度(PA)とイオン性基の含有量bモル%との関係が下記式(3)を満足し、下記一般式(2)で示される(ポリ)オキシアルキレン基を0〜5.0モル%含有するビニル系化合物の分散助剤が、懸濁重合時の重合安定性が良好で、しかもポリ塩化ビニル粒子の粒径分布をシャープにすることを見いだし本発明を完成するに至った。
0.4<PA×a×10−2<3・・・(1)
0.4<PA×b×10−2<3・・・(3)
【化1】
−(CHR 1 −CHR 2 O) n −・・・(2)
[式中R 1 、R 2 は水素又はアルキル基、nは整数を表す。]
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるビニルエステル系樹脂は、ケン化度が30〜50モル%であることが必要である。ケン化度が65モル%を越えると、ビニルエステル系樹脂を分散助剤として用いるとビニル系化合物(ポリ塩化ビニル)の脱モノマー性やポロシティー分布の均一性、可塑剤吸収性向上の点で不十分となり不適であり、20モル%未満ではビニルエステル系樹脂を分散助剤として用いるとビニル系化合物(ポリ塩化ビニル)の脱モノマー性やポロシティー分布の均一性、可塑剤吸収性向上の点で不十分であり、更に(ポリ)オキシアルキレン基変性して水性液とする場合、変性量を5モル%より多くする必要がある為、ビニル系化合物の重合安定性を著しく阻害する結果となり不適である。
【0008】
平均重合度(PA)としては180〜750であることが必要である。平均重合度(PA)が150未満では分散助剤としての効果が低下し、ビニル系化合物の可塑剤吸収性、フィッシュアイの減衰速度等が低下するという欠点があり、平均重合度(PA)が1000を越えるとビニル系化合物に対する分散助剤の界面張力が上昇する為かビニル系化合物の可塑剤吸収性が低下したり、分散助剤を多く使用することが必要となり不適であり、又、後述するようにオキシアルキレン基で変性し、水性液として扱う場合、高濃度(40〜50重量%)での該水性液の粘度が高くなりすぎて、作業性が悪くなるので不適である。
なお平均重合度(PA)の測定はビニルエステル系樹脂を完全ケン化後、溶媒として水を用い、JIS K 6726の方法を適用した。
【0009】
本発明では、平均重合度(PA)とカルボニル基の含有量aモル%との関係が下記式(1)を満足することが必要であり、
0.4<PA×a×10-2<3・・・(1)
更に、下記式(1−2)を満足することが好ましい。
0.7<PA×a×10-2<2 ・・・(1−2)
上記式(1)はビニルエステル系樹脂の重合度に拘わらず、1分子鎖当たりに平均0.4個を越え、3個未満のカルボニル基を含むことを表しており、また、式(1−2)は同様に1分子鎖当たりに平均0.7個を越え、2個未満のカルボニル基を含むことを表している。
【0010】
PA×a×10−2が3以上では、分散助剤としての性能が低下し、可塑剤吸収性やフィッシュアイの減衰速度、脱モノマー性が阻害され、又、0.4以下の場合は主分散剤の保護コロイド性を低下させやすく、ポリ塩化ビニル中に粗大粒子が増加したり、場合によってはビニル系化合物の懸濁重合時に反応物がブロック化したりして反応を中断せざるをえない状況に至ることがある。特に親水性基(イオン性基)で変性された分散助剤を使用した場合に上記の現象が認められる。
【0011】
上記式(1)をコントロールする方法としては、▲1▼ビニルエステル系単量体を重合してビニルエステル系樹脂を調製する際にアルデヒドを共存させる方法、▲2▼ビニルエステル系樹脂を製造した後熱処理する方法、▲3▼ビニルエステル系樹脂を製造した後、酸化剤処理する方法等が挙げられるが、▲1▼の方法が好ましく、該方法について以下説明する。
【0012】
▲1▼の方法では、アルデヒドの添加量、溶媒とビニルエステル系単量体との比率等が制御され重合が行われる。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが、工業的には酢酸ビニルが好適である。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、好ましくはアセトアルデヒドが用いられる。
また、溶媒としてはメタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール溶媒、ベンゼン、各種酢酸エステル等が挙げられ、好ましくはメタノールが用いられる。
【0013】
該アルデヒドは通常ビニルエステル系単量体に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、更に好ましくは0.7〜7重量%が用いられる。
又、溶媒とビニルエステル系単量体の比率は、溶媒としてメタノール、ビニルエステル系単量体として酢酸ビニルを使用した例を挙げるとメタノール/酢酸ビニル(重量比)=0.02〜1、好ましくは0.03〜0.5の範囲で目的とするビニルエステル系樹脂の重合度に応じて、任意に選択される。
【0014】
上記式(1)を満足するための重合方法については、普通アルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合等も可能である。かかる溶液重合において単量体の仕込み方法としては、ビニルエステル系単量体の重合を開始し、上記のアルデヒドや下記に述べるオキシアルキレン基含有単量体あるいはイオン性基含有単量体等の単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、該単量体を重合初期に一括仕込み、又重合初期よりビニルエステル系単量体とオキシアルキレン基含有単量体を同時に仕込む方法等任意の手段を用いて良い。
アルデヒド以外の連鎖移動剤を共存させ重合する場合は所定の変性量になるように連鎖移動剤の連鎖移動定数を考慮して、重合系のビニルエステル系単量体の反応率に応じて連鎖移動剤を添加することにより、反応系の連鎖移動剤量がビニルエステル系単量体に対してあまり変化しないようにすることが好ましい。
重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの公知のラジカル重合触媒や低温活性触媒(例えばジ−n−プロピルカーボネート)を用いて行われる。又反応温度は30℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0015】
上記の方法により上記式(1)を満足する様に変性されたビニルエステル系樹脂が得られるのであるが、本発明では、更にビニルエステル系樹脂に一般式(2)で示されるオキシアルキレン基含有単量体を0〜5.0モル%含有させると、分散助剤を高濃度の水性液として取り扱うことが可能となり、ビニル系化合物の懸濁重合の重合安定性を損なうことなく本来の分散助剤の性能と分散助剤の仕込み時の作業性の向上を両立させることができる点で好ましい。
該(ポリ)オキシアルキレン基としては、より具体的には(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシプロピレン基、(ポリ)オキシブチレン基等が効果的であるが、好ましくは(ポリ)オキシエチレン基である。
(ポリ)オキシアルキレン基の含有量として更に好ましくは1.0〜3.0モル%である。(ポリ)オキシアルキレン基の含有量が0.5モル%未満では、本発明の分散助剤を高濃度(10〜50重量%)の水性液とした時、放置安定性が悪くなる場合があり、5.0モル%を越えると、分散助剤としての効果(ポロシティー分布の均一性、ポロシティーの向上、脱モノマー性等)が低下する場合があり好ましくない。
【0016】
nの範囲として好ましくは5≦n≦50で、更には8≦n≦20である。n<5ではビニルエステル系樹脂を水性液とした時、安定性が悪く、例えばケン化度60モル%の該ビニルエステル系樹脂の40重量%の水溶液を3〜20重量%の低濃度に希釈すると、該ビニルエステル系樹脂が析出してしまい好ましくない。又、n>50では親水性が強くなりすぎる為、油溶性成分としての寄与が発現しがたくなり、分散助剤としての効果を十分に発揮することができず、又、工業的にも製造コストが高くなり好ましくない。
【0017】
上記一般式(2)で示される官能基を含有するビニルエステル系樹脂は任意の方法で製造できる。例えば、▲1▼アルデヒドとポリオキシアルキレンの存在下にビニルエステル系単量体を重合する方法、▲2▼アルデヒドの存在下、上記一般式(2)で示される官能基を有する不飽和単量体をコモノマーとしてビニルエステル系樹脂と共重合する方法、▲3▼SH−(CHR1−CHR2O)n−R3〔R1、R2、R3は水素又はアルキル基、nは整数を表す。〕からなる連鎖移動剤とアルデヒドの存在下、ビニルエステル系樹脂を重合する方法等が挙げられるが、▲2▼の方法が好ましく、以下▲2▼の方法について述べる。
【0018】
上記一般式(2)で示される官能基を有する不飽和単量体としては次の様なものが例示される。但し、本発明ではこれらのみに限定されるものではない。
[(メタ)アクリル酸エステル型]
下記の一般式(4)で示されるもので、具体的には(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【化3】
(但し、Yは水素又はメチル基、Aはフェニレン基、置換フェニレン基のいずれか、R1、R2、R3は水素又はアルキル基、mは0又は、1以上の整数、nは5〜50の整数で、好ましくは8〜20の整数を示す。)
【0019】
[(メタ)アクリル酸アミド型]
下記の一般式(5)で示されるもので、具体的には(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル等が挙げられる。
【化4】
(但し、Y3は水素又はメチル基又は、 −(CHR1−CHR2O)n−R3を表し、A、Y、R1、R2、R3、m、nは前記と同様。)
【0020】
[(メタ)アリルアルコール型]
下記の一般式(6)で示されるもので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【化5】
(但しY、R1、R2、R3、nは前記と同様。)
【0021】
[ビニルエーテル型]
下記の一般式(7)で示されるもので、具体的には(ポリ)オキシエチレンビニルエーテル、(ポリ)オキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。
【化6】
CH2=CH−O−(A−O)m−(CHR1−CHR2O)n−R3・・・(7)
(但し、A、R1、R2、R3、m、nは前記と同様。)
これらの(ポリ)オキシアルキレン基を含有する単量体の中でも一般式(6)で示される(メタ)アリルアルコール型のものが好適に使用される。
【0022】
本発明では、更に側鎖又は末端にイオン性基を含有し、平均重合度(PA)とイオン性基の含有量bモル%との関係が下記式(3)式を満足することが必要であり、
0.4<PA×b×10-2<3・・・(3)
更に、下記式(3−2)を満足することが好ましい。
0.4<PA×b×10-2<2・・・(3−2)
上記式(3)はビニルエステル系樹脂の重合度に拘わらず、1分子鎖当たりに平均0.4個を越え、3個未満のイオン性基を含むことを表しており、式(3−2)は同様に、1分子鎖当たりに平均0.4個を越え、2個未満のイオン性基を含むことを表している。
【0023】
PA×b×10-2が3を越えると、ビニル系化合物の懸濁重合時に主分散剤の保護コロイド性を低下させる為か、得られる重合物が粗粒子化し、0.4未満の場合は、ビニルエステル系樹脂の水性液中の樹脂分を3重量%未満に希釈した場合の放置安定性が低下し好ましくない。
【0024】
上記式(3)を満足するように、イオン性基を含有させるには、アルデヒドの存在下、ビニルエステル系単量体とイオン性基を有する単量体及び上記一般式(2)で示される(ポリ)オキシアルキレン基含有単量体とを共重合する方法が主に用いられ、該イオン性基を有する単量体としては特に限定されず、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、アンモニウム基含有単量体等が用いられる。
【0025】
カルボキシル基含有単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体およびその塩が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルおよびその塩が好適に使用される。
またカルボキシル基単量体として、カルボキシル基を有するアルコール、アルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として用いてもよく、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【0026】
【化7】
HS−(CH2)n−COOH・・・(8)
及び一般式(8)の塩
(但しnは1〜20の整数を示す。)
【化8】
及び一般式(9)の塩
(但し一般式(9)において、Yはそれぞれ水素又は低級アルキル基(置換基を含んでもよい)、nは0〜5の整数を示す。)
【化9】
及び一般式(10)の塩
(但し一般式(10)において、nは0〜20の整数を示す。)
具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0027】
【化10】
HS−(CHX3)r−(CHX4)sCOOH・・・(11)
(但し一般式(11)において、X3は水素又はカルボキシル基、X4は水素又はSH基、rは0又は正数、sは正数を示す。)
具体的にはチオグリコール酸、チオプロピオン酸、チオリンゴ酸等が挙げられる。
【0028】
また、スルホン酸基含有単量体としては以下のものが挙げられる。
(イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩
(ロ)一般式(12)又は(13)で表されるスルホアルキルマレート
【化11】
【化12】
(但し一般式(12)又は一般式(13)においてY1はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
【0029】
(ハ)下記一般式(14)〜(16)で表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【化13】
【化14】
【化15】
(但し一般式(14)〜(16)において、Y2、Y3、Y4、Y5、Y7、Y8、Y9は水素又はアルキル基、Y6はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホ−tert−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホ−sec−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホ−tert−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
【化16】
(但しY10は水素又はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
【0031】
また、スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド或いはチオール等の官能基を有するスルホン酸基含有単量体としては、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
(但し一般式(18)〜(21)において、Y11〜Y19はそれぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、Mは水素又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。尚、nが整数のときはnの数だけ存在する各Y14、Y15、Y17、Y18、Y19は同時に同じものでも異なるものでもよい。)
具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパン等が挙げられる。
【0032】
また、スルホン酸基を導入したビニルエステル系樹脂を得る方法としては、ビニルエステル系樹脂を臭素、ヨウ素等で処理した後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方法。ビニルエステル系樹脂を濃厚な硫酸水溶液中で加熱する方法。ビニルエステル系樹脂をスルホン酸基を有するアルデヒド化合物でアセタール化する方法等もある。
【0033】
アミノ基あるいはアンモニウム基を含有するイオン性基含有単量体としては以下のものが挙げられる。
【化21】
及び一般式(22)の四級化物
【化22】
及び一般式(23)の四級化物
【0034】
【化23】
及び一般式(24)の四級化物
【化24】
及び一般式(25)の四級化物
【化25】
(但し一般式(22)〜(26)において、nは0〜3の整数、mは1〜10の整数、Y1、Y2、Y5、Y6、Y7は水素又はメチル基を示し、Y3、Y4はそれぞれ低級アルキル基(置換基を含んでもよい)、Xはアンモニウム窒素と塩を形成する陰性の基、Aはアミンあるいはアンモニウムと一般式(22)のアミド基の窒素原子あるいは一般式(24)の酸素原子とを連結する基をそれぞれ示す。)
【0035】
又、アミノ基あるいはアンモニウム基を有するアルコール、アルデヒドあるいはチオール等の官能基を有するアミノ基あるいはアンモニウム基含有単量体を連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化26】
及び一般式(27)の四級化物
【化27】
及び一般式(28)の四級化物
【0036】
【化28】
及び一般式(29)の四級化物
【化29】
及び一般式(30)の四級化物
(但し一般式(27)〜(30)において、nは0〜3の整数、mは1〜10の整数、Y1、Y2、Y5、Y6、Y7は水素又はメチル基を示し、Y3、Y4はそれぞれ低級アルキル基(置換基を含んでもよい)、Aはアミンあるいはアンモニウムの窒素と一般式(27)のアミド基の窒素あるいは一般式(29)の酸素とを連結する基を示す。)
【0037】
本発明において前述したイオン性基の中で、特にカルボキシル基が分散助剤の性能(フィッシュアイの減衰速度、可塑剤吸収性、得られるポリ塩化ビニルの粒径分布の均一性)を損ない難いという点で好ましい。
【0038】
本発明においては、前述した如き(ポリ)オキシアルキレン基、イオン性基を有する単量体、ビニルエステル以外の他の一般の単量体を50モル%以下共存せしめて重合を行なっても良い。これらの単量体を次に例示する。
[エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル等]
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、オレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
[α−オレフィン]
エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等。
【0039】
[アルキルビニルエーテル]
プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等。
[アルキルアリルエーテル]
プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等。
その他、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニルなどの使用も可能である。
【0040】
上記のビニルエステル系単量体と各種単量体が共重合された後、ケン化反応を行ってビニルエステル系樹脂が得られるのであるが、ケン化に当たっては共重合体をアルコール、ベンゼン、酢酸メチル等に溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられ、中でもメタノールが好適に使用される。アルコール中の該樹脂の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。
ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒が用いられる。かかるアルカリ触媒の使用量はモノマー単位のビニルエステル系単量体1モルに対して1〜100ミリモル、好ましくは1〜50ミリモル、更に好ましくは1〜15ミルモルである。
また、ケン化触媒として硫酸、塩酸等の酸触媒を用いてケン化を行うことも可能であり、その場合、得られたビニルエステル系樹脂を水性液として使用する場合、水性液の安定性が向上したり、又ビニル系化合物の懸濁重合時の起泡性を抑制することが可能となる点で好ましい。
【0041】
本発明の分散助剤の内、(ポリ)オキシアルキレン基を含有するビニルエステル系樹脂を水性液とする場合、かかる水性液を得る方法としては、特に限定されず、ケン化時のアルコールをスチーム等の吹き込みにより水に置換する方法、撹拌下で水中へビニルエステル系樹脂を投入し、引き続き撹拌する方法、更に加熱を併用する方法等が挙げられ、好ましくはケン化時の含有アルコールをスチーム等の吹き込みにより水に置換する方法が用いられる。
本発明の水性液は、分散剤や乳化剤を特に使用することもなく1年以上の良好な放置安定性が得られる。
【0042】
又水性液にはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ペンタクロルフェノールナトリウム塩。アノンLG(日本油脂(株)製)、カチオンF2−50E(日本油脂(株)製)、ホクスターL−100A(北興化学製)、ホクスターHP(北興化学製)等の公知の防腐剤を、分散助剤としての性能を阻害しない範囲で適当量添加することができる。
【0043】
次に上記で得られたビニルエステル樹脂(分散助剤)を用いたビニル系化合物の懸濁重合法について説明する。
用いる分散助剤は上記のビニルエステル系樹脂を粉末あるいは水性液として使用でき、水性液特に、(ポリ)オキシアルキレン変性の該樹脂を水性液とする場合、該樹脂を水中に50重量%以下の割合で分散又は溶解させたものが好ましく、更には1〜45重量%、特には3〜40重量%である。該樹脂の割合が50重量%を越えると該水性液の流動性が著しく低下したり或いはゲル状となったりして不適当なことがある。
【0044】
ビニル系化合物の懸濁重合を行う際には、通常、水又は加熱水媒体に本発明の分散助剤と公知の主分散剤を添加し、ビニル系モノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合を行う。かかる主分散剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン或いはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられ、中でもケン化度65〜90モル%、好ましくは68〜89モル%で重合度500〜3500のポリビニルアルコールが好適に用いられ、主分散剤の種類等によって一概に言えないが主分散剤と分散助剤の添加量の重量比は90/10〜30/70の範囲が好ましく、特に80/20〜50/50が好ましい。
該主分散剤及び分散助剤は、重合の初期に一括仕込みしても、又重合の途中で分割して仕込んでもよい。
【0045】
更に、本発明の分散助剤には、本発明の効果を阻害しない範囲においてカチオン系、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤を併用してもよい。
また、使用される懸濁重合用触媒としては、油溶性の触媒であれば特に限定されず、例えば、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、γ−クミルパーオキシネオデカネート、ベンゾールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド或いはこれらの混合物が使用される。
又、スケーリング防止の為、適当量のチオシアン酸アンモニウムや亜硝酸塩等の水溶性の重合禁止剤を添加してもよい。又、「NOXOL WSW」、「NOXOL ETH」(以上CIRS社製)等の公知のスケーリング防止剤が反応缶内壁に塗布されていてもよい。
重合温度は、当業者周知の範囲から、目的とするビニル系化合物の重合度に応じて任意に選択される。
【0046】
懸濁重合の対象となるモノマーとしては、塩化ビニルの単独重合のみではなく、これと共重合可能なモノマー、例えばハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はその無水物やエチレン、プロピレン、スチレン等との共重合物にも用いられる。又、その他の添加剤として、例えば重合度調整剤、加工性改良剤、帯電防止剤、pH調整剤、酸化防止剤、スケール防止剤等を1種類又は2種類以上使用できる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお,実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
比較例8
メタノール溶媒0.35部に、酢酸ビニル7.0部、オキシエチレンの付加モル数が平均15のポリオキシエチレンモノアリルエーテル〔ユニオックスPKA−S004(日本油脂(株)製)1.25部(酢酸ビニルに対して2モル%)、アセトアルデヒド0.31部(酢酸ビニルに対して8.7モル%)、アセチルパーオキサイド0.0014部(酢酸ビニルに対して0.15モル%)を添加し、沸点下で重合を開始した。重合開始4時間後、6時間後にアチルパーオキサイドを、酢酸ビニルに対して各々0.05モル%添加して8時間重合を継続した。重合率は97.3%であった。
次いで残存酢酸ビニル量が0.06%になるまで残存モノマーを追い出した後、6.6ミリモル%(対酢酸ビニル)の水酸化ナトリウムをメタノール溶液として加えて、ケン化(35℃で2時間)し析出したビニルエステル系樹脂を濾別し、乾燥後、表1に示される如きビニルエステル系樹脂(分散助剤8)を得た。尚、カルボニル基の定量は分散助剤を完全ケン化後、高分子化学 第15巻、第156号、第249〜254頁(1958)に記載の方法に準じて定量を行った。 得られた該樹脂はニーダーにより水に溶解させて10%の水性液に調製され、以下の要領で分散性及び放置安定性を調べた。評価結果を表2に示す。
【0048】
(分散性)
目視により、ビニルエステル系樹脂水性液中の析出やゲルの発生、相分離の状況を調べた。
(各分散剤の使用形態での放置安定性)
ビニルエステル系樹脂水性液を、20℃で12ケ月放置し、放置前後の水性液の分散(又は溶解)状態を目視観察して、凝集、沈殿の発生等の変化の有無を調べた。
【0049】
次いで、以下に示す様に上記分散助剤8(水性液)と、主分散剤を用いて、以下の要領でポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニル粒子について、後述の如き性能評価を行った。
撹拌機を備えたオートクレーブ中に塩化ビニル単量体100部、水150部、表1及び表2に示す分散助剤8の水性液0.2部(ビニルエステル系樹脂として固形分換算で0.03部含有)及び主分散剤として重合度700,ケン化度72モル%のポリビニルアルコール0.07部、更にジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート0.02部を仕込み、回転数400rpmで撹拌しながら温度57℃にて懸濁重合を行った。オートクレーブ内の圧力が57℃における塩化ビニルの飽和蒸気圧により2kg/cm2に低下したところで重合を停止し、未反応の塩化ビニルを回収して反応を停止し、ポリ塩化ビニル粒子を得、以下の評価を行い、結果を表3、4に示した。
【0050】
<平均粒子径>
ロータップ式振動ふるい(JIS標準ふるい使用)により測定した粒径分布よりメジアン径(50%重量径)を求めて平均粒子径とした。
<粒径分布>
JIS標準ふるいを用いて測定した。
<可塑剤吸収性>
プラストグラフに接続されたプラネタリー型ミキサーに得られたポリ塩化ビニル粒子60部とDOP(ジオクチルフタレート)40部の混合物を投入して、80℃で撹拌しながら各時間毎の混練トルクを測定し、混練トルクが低下するまでの経過時間を調べた。
評価基準は以下の通り。
A −−− 3分未満
B −−− 3〜5分未満
C −−− 5分以上
【0051】
<残存モノマー>
得られたポリ塩化ビニル粒子の一定量をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させて、ガスクロマトグラフにより残存する塩化ビニルモノマーを定量した。
<フィッシュアイ>
得られたポリ塩化ビニル粒子100部、DOP(ジオクチルフタレート)50部、ジオクチル錫ジラウレート3部及びステアリン酸亜鉛1部を155℃で3分間、ロール練りして0.3mm厚のシートを作製し100mm×100mm当たりのフィッシュアイの数を測定した。評価基準は以下の通り。
A −−− 0〜4個
B −−− 5〜10個
C −−− 11個以上
<スケール付着性>
重合体スラリーを重合缶外に取り出した後、缶内におけるスケールの付着の状態を目視観察した。
評価基準は以下の通り。
A −−− スケールの付着がなく、重合缶内の金属光沢が見える
B −−− 重合缶内の金属光沢が明瞭でない
C −−− 重合缶内の全面にフィルム状のスケールが確認できる
<ポロシティー>
水銀ポロシティーメーターにより測定した。
<ガラス状粒子の生成>
得られたポリ塩化ビニル粒子中のガラス状粒子の有無を目視で以下の様に判定した。
○ −−− 生成しない
× −−− 生成する
【0052】
実施例1
メタノール溶媒3.64部に、酢酸ビニル7.00部、オキシエチレンの付加モル数が平均15のポリオキシエチレンモノアリルエーテル1.25部(酢酸ビニルに対して2モル%)、アセトアルデヒド0.31部(酢酸ビニルに対して8.7モル%)、マレイン酸モノメチルの60%メタノール溶液0.056部(酢酸ビニルに対して0.32モル%)、アセチルパーオキサイド0.00065部(酢酸ビニルに対して0.07モル%)を添加し、沸点下で重合を開始した。重合開始4時間後、6時間後にアセチルパーオキサイドを、酢酸ビニルに対して各々0.03モル%添加して7時間重合を継続した。重合率は95.0%であった。
次いで残存酢酸ビニル量が0.08%になるまで残存モノマーを追い出した後、6.6ミリモル%(対酢酸ビニル)の水酸化ナトリウムをメタノール溶液として加えて、ケン化(35℃で2時間)し析出したビニルエステル系樹脂を濾別し、乾燥後、表1に示される如きビニルエステル系樹脂(分散助剤1)を得た。尚、カルボニル基の定量は比較例8と同様に行った。
得られた該樹脂(分散助剤1)は比較例8と同様の方法で3%の水性液とし、同様に分散性及び放置安定性を調べた。評価結果を表2に示す。
更に比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、ポリ塩化ビニルを評価した。評価結果を表3、4に示す。
【0053】
比較例9
比較例8において、オキシエチレンの付加モル数が平均15のポリオキシエチレンモノアリルエーテルを省略した以外は同様にして、表1に示される如きビニルエステル系樹脂(分散助剤9)を製造した。尚、分散助剤9は水に溶けないので、水性液の分散性及び放置安定性は評価しなかった。次いで比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニルを評価した。評価結果を表3、4に示す。
【0054】
比較例10
比較例8において、分散助剤8のカルボニル基、(ポリ)オキシアルキレン基を表1のように変化させて、分散助剤4を製造し、同様に分散性及び放置安定性を調べた。その評価結果を表2に示す。次いで比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニルの評価をした。その評価結果を表3、4に示す。
【0055】
実施例2、比較例14、比較例11〜13
実施例1に準じて、表1に示す如きビニルエステル系樹脂(分散助剤2、3、5〜7)を製造し、同様に分散性及び放置安定性を調べた。その評価結果を表2に示す。次いで比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニルの評価をした。評価結果を表3、4に示す。
比較例1
比較例8において、分散助剤8のカルボニル基、(ポリ)オキシアルキレン基を表1のように変化させて、分散助剤10を製造し、同様に分散性及び放置安定性を調べた。その評価結果を表2に示す。次いで比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニルの評価をした。その評価結果を表3、4に示す。
比較例2〜7
実施例1に準じて、表1に示す如きビニルエステル系樹脂(分散助剤11〜16)を製造し、同様に分散性及び放置安定性を調べた。その評価結果を表2に示す。次いで比較例8と同様にポリ塩化ビニルの重合を行って、得られたポリ塩化ビニルの評価をした。評価結果を表3、4に示す。
尚、比較例2(分散助剤11使用)及び比較例5(分散助剤14使用)においては、分散助剤を粉末状のままポリ塩化ビニルの重合に用いた。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
(分散助剤の使用形態と塩化ビニルの性能(1))
【0059】
【表4】
(ポリ塩化ビニルの性能(2))
【0060】
【発明の効果】
本発明の懸濁重合用分散助剤は、分子内にカルボニル基を含有し、ビニルエステル部分のケン化度が30〜50モル%、平均重合度(PA)が180〜750のビニルエステル系樹脂からなり、更にはカルボニル基の含有量aモル%と平均重合度(PA)との関係が特定の関係式を満足し、側鎖又は末端にイオン性基を含有し、平均重合度(PA)とイオン性基の含有量bモル%との関係が特定の関係式を満足するため、ビニル系化合物の懸濁重合用に供した場合、分散助剤本来の性能(フィッシュアイの減衰速度、可塑剤吸収性、脱モノマー性が良好)とビニル系化合物の懸濁重合安定性を両立させることができ、大変有用性が高い。
Claims (3)
- 分子内にカルボニル基を含有し、ビニルエステル部分のケン化度が30〜50モル%、平均重合度(PA)が180〜750のビニルエステル系樹脂からなり、カルボニル基の含有量aモル%と平均重合度(PA)との関係が下記式(1)を満足し、側鎖又は末端にイオン性基を含有し、平均重合度(PA)とイオン性基の含有量bモル%との関係が下記式(3)を満足し、下記一般式(2)で示される(ポリ)オキシアルキレン基を0〜5.0モル%含有することを特徴とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
0.4<PA×a×10−2<3・・・(1)
0.4<PA×b×10−2<3・・・(3)
【化1】
−(CHR 1 −CHR 2 O) n −・・・(2)
[式中R 1 、R 2 は水素又はアルキル基、nは整数を表す。] - 一般式(2)で示される(ポリ)オキシアルキレン基を0.5〜5.0モル%含有するビニルエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
- ビニルエステル系樹脂の含有量が50重量%以下の水性液であることを特徴とする請求項1または2記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
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