JP3558440B2 - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ビニル系化合物なかんずく塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業的にビニル系樹脂を製造する場合、水溶性媒体中で分散安定剤の存在下にビニル系化合物を分散させ、油溶性触媒を用いて、重合を行う懸濁重合法が広く実施されている。一般に該樹脂の品質を支配する要因としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、触媒量、重合槽の形式、撹拌速度あるいは分散安定剤の種類、量等が挙げられるが、この中でも分散安定剤の影響が大きいと言われている。
【0003】
該ビニル系樹脂の代表である塩化ビニル樹脂においても分散安定剤は重要な要因である。塩化ビニル重合用の分散安定剤に要求される性能としては、▲1▼塩化ビニル樹脂のポロシティを低下させることなく塩化ビニル重合体粒子のかさ密度を上げる働きのあること。即ち、高い充填効率が得られること、ここで充填効率とは、充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4)で示される。▲2▼多孔性粒子中に残存する塩化ビニルモノマーの除去あるいは成形品中のフィッシュアイ等の生成を防止するために各重合体粒子の空隙率をほぼ一定の範囲内に収斂させる働きのあること、▲3▼重合体粒子の可塑剤の吸収速度を大きくしてゲル化性を容易にするために、粒子の空隙率が大きい、多孔性にする働きのあること等が挙げられる。
【0004】
分散安定剤はポリビニルアルコール系樹脂(以下PVAと略記する)、セルロース誘導体、ゼラチン等の主分散剤が単独又は分散助剤と共に併用して用いられている。中でもPVAは、主分散剤、分散助剤いずれにも、多用されているが、上記の▲1▼〜▲3▼の性能はいまだ十分とは言えず、塩化ビニル樹脂の性能を高めるために、分散助剤についても様々な試みがなされている。
【0005】
例えば側鎖にアミノ基、アンモニウム基、カルボキシル基、スルホン酸基を有したビニルエステル系重合体を分散質とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤を主分散剤と併用することが試みられ、具体的には(a)特開昭59−62665号公報ではカルボキシル基10モル%以下、ケン化度20〜90モル%ビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法、(b)特開平1−95103号公報では、カルボキシル基又はスルホン酸基を0.01〜10モル%、ケン化度0〜40モル%のビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法、(c)特開平4−154810号公報では、カルボキシ基又はスルホン酸基を0.01〜10モル%、ケン化度70モル%以下のビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら(a)〜(c)の方法では▲2▼、▲3▼の性能は改良されるものの、▲1▼の性能が著しく低下してしまうという欠点があり、満足できるものではなく、上記の▲1▼〜▲3▼の性能をすべて同時に満足するビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤が望まれていたのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる欠点を克服し、上記▲1▼〜▲3▼の要求性能を同時に満足する分散安定剤を開発するために鋭意研究した結果、側鎖又は末端にスルホン酸基(A)を0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)を0.05〜1.0モル%有し、且つ(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5でケン化度が60モル%以下のビニルエステル系重合体からなることを特徴とする懸濁重合用分散助剤を主分散剤と共に用いると得られる塩化ビニル樹脂粒子のかさ密度が低下することなく、各粒子が多孔性で更に残存する塩化ビニルモノマーが除去され、フィッシュアイが少なく上記の▲1▼〜▲3▼の要求性能すべてを満足させることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の分散助剤は上記の如く側鎖又は末端にスルホン酸基及びカルボキシル基を含有するPVAであればその製造方法については特に制限はなく、例えばスルホン酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法、又、この他にスルホン酸基のみ有するポリビニルエステル系重合体とカルボキシル基のみ有するポリビニルエステル系重合体をブレンドし、ケン化する方法。若しくは、スルホン酸基のみ有するポリビニルエステル系重合体ケン化物とカルボキシル基のみ有するポリビニルエステル系重合体ケン化物をそれぞれブレンドする方法等が挙げられるが、スルホン酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体及びビニルエステル化合物の共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法が好適に実施される。以下かかる方法について説明する。
【0009】
スルホン酸基を導入する方法として以下に示す。
▲1▼共重合体より導入する場合には、スルホン酸基(A)を有する単量体としては以下のものが挙げられる。
(イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩
(ロ)下記一般式で表されるスルホアルキルマレート
【化1】
又は、
【化2】
(但し一般式化1,化2においてR1はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
【0010】
(ハ)下記一般式で表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキル(メタ)アクリレート
【化3】
又は、
【化4】
又は、
【化5】
(但し一般式化3〜化4において、R2,R3,R4,R5,R7,R8,R9は水素又はアルキル基、R6はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0011】
【化6】
(但し一般式化6においてR10は水素又はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。
共重合により導入する場合、上記スルホン酸基(A)を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
【0012】
▲2▼スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド或いはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(但し一般式化7〜化10において、R11〜R19はそれぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。尚、nが複数のときはnの数だけ存在する各R14,R15,R17,R18は同じものでも異なるものでもよい。)
具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパン等が挙げられる。
【0013】
▲3▼ポリビニルアルコールを臭素、ヨウ素等で処理した後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方法。
▲4▼ポリビニルアルコールを濃厚な硫酸水溶液中で加熱する方法。
▲5▼ポリビニルアルコールをスルホン酸基を有するアルデヒド化合物でアセタール化する方法等である。
【0014】
又カルボキシル基を導入する方法として以下に示す。
▲1▼共重合により導入する方法として、カルボキシル基(B)を有する単量体としてエチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体およびその塩が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使用される。
又、カルボキシル基を導入した場合、ケン化反応時あるいは乾燥時にラクトン環が生成されることによる不溶化が懸念されるがその対策として水溶解性が良いポリビニルアルコールの製法で既に公知であるマレイン酸又は無水マレイン酸に対して0.5〜2.0モル当量のアルカリ存在下で酢酸ビニルを有機溶媒中共重合させケン化する方法も使用される。
【0015】
▲2▼カルボキシル基を有するアルコール、アルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化11】
HS−(CH2)n−COOH 及びこの塩
【化12】
(但し一般式化11,化12において、R20,R21,R22はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基(置換基を含んでもよい)、nは0〜5の整数を示す。)
【化13】
(但し一般式化13において、nは0〜20の整数を示す。)
具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0016】
更にビニルエステル系化合物としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられるが中でも酢酸ビニルが好適に使用される。
上記のビニルエステル系化合物の重合の形式は、従来の公知の形式、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合のいずれをも採用し得るが工業的にはメタノールやトルエン等を用いる溶液重合が好ましい。
またビニルエステル系化合物の製造法については特に制限はなく、上記に示した方法を採用することができるが、その多成分の仕込み方法として一括、分割、連続滴下等が挙げられ、適宜選択すればよい。連鎖移動剤として共存させ重合する場合は所定の変性量になるように重合系のビニルエステルの反応率に応じて連鎖移動剤を添加することにより、反応系の連鎖移動剤量がビニルエステルに対しあまり変化しないようにすることが好ましい。
【0017】
本発明の側鎖又は末端にスルホン酸基(A)0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)0.05〜1モル%有し、且つ(A),(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5でケン化度が60モル%以下のポリビニルエステル系重合体を得る方法としては、通常公知の方法、即ち未ケン化のポリビニルエステル系重合体をケン化する方法が挙げられる。ケン化方法としては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用できるが、工業的にはメタノール溶媒でNaOHやCH3ONaを触媒とした加メタノール分解が最も有利である。
【0018】
かかる共重合体のスルホン酸基(A)の含有量は0.01〜0.3モル%であることが必要である。0.01モル%未満では、分散助剤の水分散液の放置安定性が悪くなり、0.3モル%を越える場合は親水性が強く、懸濁重合時の主剤の保護コロイド性を低下させる為か、ビニル系モノマーの懸濁重合の重合安定性が不安定となり得られる重合物の粒子が粗粒化し好ましくない。
又カルボキシル基(B)の含有量は0.05〜1.0モル%であることが必要である。0.05モル%未満では、分散助剤の水分散液の放置安定性が悪くなり、1.0モル%を越える場合は親水性が強く、懸濁重合時の主剤の保護コロイド性を低下させる傾向となり好ましくない。
【0019】
又ケン化度は60モル%以下であることが必要で、好ましくは0〜50モル%、更に好ましくは30〜50モル%、特に好ましくは40〜50モル%である。ケン化度が60モル%を越えると懸濁重合により得られる重合体粒子の空隙率が低下し、残存するビニル系モノマー、特に塩ビモノマーの除去性が悪い、或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない。
【0020】
かかる共重合体のスルホン酸基(A)及び、カルボキシル基(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5であることが必要で、好ましくは(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.4、更に好ましくは(A)、(B)のモル比が0.05≦(A)/(B)≦0.3である。(A)、(B)のモル比が0.5を越えると懸濁重合時に主剤の保護コロイド性を低下させ、ビニル系モノマーの懸濁重合で得られる重合体粒子が粗粒となったり、更には重合体粒子のポロシティを低下させることなくB.D.をアップすることができなくなり、(A)、(B)のモル比が0.01未満では分散助剤を水性分散液にして使用する場合その放置安定性が悪くなり好ましくない。
重合度としては1000以下が好ましく、更に好ましくは100〜650である。重合度が1000を越えると分散助剤の水性分散液の放置安定性が悪くなり、100未満では該分散助剤を用いて得られる懸濁重合物の重合体粒子の内部モルフォロジーを充分にコントロールすることができない傾向にあり、好ましくない。
【0021】
次に本発明の分散助剤を用いた場合のビニル系化合物の懸濁重合について説明する。
ビニル系化合物としては塩化ビニルモノマー単独のほか、塩化ビニルモノマーを主体とするモノマー混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化ビニルモノマーと共重合されるコモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンその他塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーが例示される。
【0022】
又本発明の分散助剤は必ずしも塩化ビニルモノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イソブテン、ブタジエンなどのα−オレフィン及びエチレンなどの群からなる1種又は2種以上の成分を含有するビニル化合物の懸濁重合にも用いられるが、塩化ビニルモノマーの懸濁重合を主体に以下具体的に説明する。
【0023】
該重合を実施するに当たっての各成分の仕込み割合、重合温度等は従来塩化ビニルの懸濁重合で採用されている条件に準じて定めればよく、特に限定する理由は存在しないが、主分散剤と共に本発明で得られる分散助剤を用いて、塩化ビニルモノマーを懸濁重合する際には通常、水媒体に分散安定剤を添加し、塩化ビニルモノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合が行われる。
本発明の分散助剤を分散質とする水性分散液は、実用範囲内の濃度(3〜20重量%)で0〜50℃における放置安定性が良好であり、1ケ月間以上の放置によっても性状に変化がない。
【0024】
かかる方法において、分散助剤は主分散剤と共に粉末のまま或いは溶液状にして加えられる。溶液状で加える場合は水溶液にして又、アルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒あるいは水との混合溶媒に溶かした溶液として加えられる。該分散安定剤は塩化ビニルモノマーに対して0.01〜0.15重量%、好ましくは0.01〜0.06重量%、特に好ましくは0.01〜0.04重量%で使用される。該分散安定剤が0.15重量%を越えると、主剤の保護コロイド性が低下し、重合が不安定となり、充填効率を上げることができなくなり、0.01重量%未満では重合体粒子の空隙率が低下し、残存する塩ビモノマーの除去性が低く、或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない傾向がある。又必要に応じ塩化ビニル樹脂の物性及び重合の安定性のために、アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタンエステル系、ポリエーテル系混合物等の周知の分散助剤のうちから1種又は2種以上を併用しても差し支えない。
【0025】
一方、重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を単独又は組合わせて使用することができる。
更に、ビニル系化合物の重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、pH調整剤等を添加することも任意である。
【0026】
本発明で用いられる主分散剤としては特に限定されないが、PVA、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が用いられるが、好ましくはPVAが用いられる。
【0027】
PVAを主分散剤として用いる場合には、ケン化度65〜95モル%、好ましくは69〜85モル%、重合度200〜3000、好ましくは、500〜2500のPVAが好ましい。主分散剤として用いられるPVAとしてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセトアセチル基等を10モル以下の少量含有するものや分子内にカルボニル基を有するPVAや共役二重結合を含有するPVAも使用することができる。
【0028】
主分散剤の重量%は塩化ビニルモノマー100重量部に対して一般的には0.01〜0.5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.1重量部である。
【0029】
本発明の分散助剤と主分散剤の重量比は分散助剤/主分散剤=10/90〜70/30、更に好ましくは分散助剤/主分散剤=20/80〜40/60である。この割合が10/90より小さい場合には、粒子のポロシティ分布が一定にならず、脱モノマー性、充填効率等が低下し、F.E.も増加する。70/30より大きい場合には重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があり、重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、充填効率も上がらない。
【0030】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて更に詳しく説明する。
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示す分散助剤を用いて表2に示す如き主分散剤とを所定量仕込み、塩化ビニルの懸濁重合を下記方法で実施した。ファウドラータイプの撹拌翼を備えた容量100lのステンレス製オートクレーブに脱イオン水150重量部、塩化ビニルモノマー100重量部、更に表1に示す分散助剤と表2に示す主分散剤を所定量、及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを0.2重量部の割合で仕込み、撹拌しながら重合温度を58℃に調整し、7時間懸濁重合を行った。
得られた塩化ビニル樹脂の物性を下記の方法に従い測定した。結果は表1及び3に示す。(但し、分散助剤は5重量%水性分散液にして所定量仕込み、水分散しない分散助剤6,11,13については重合を実施しなかった。)
【0031】
1.水分散性
分散助剤を濃度5重量%になるように、水に投入し室温で1時間、撹拌分散させる。
水分散する・・・・○
水分散しない・・・×
2.充填比重
JISK−6721により測定した。
3.充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4)
上記の式より算出した。
【0032】
4.可塑剤吸収性
塩化ビニル樹脂100重量部とジオクチルフタレート50重量部の混合物の乾燥点までの時間をブラベンダーにて測定した。尚、表示は下記の如く表す。
乾燥時間が3分以内・・・・a
〃 3〜5分・・・・b
〃 5〜10分・・・c
【0033】
5.フィッシュアイ
重合により得られた塩化ビニル樹脂100重量部、ジオクチルフタレート50重量部にカーボンブラック0.2重量部を混合したものを155℃のロールで5分間混練し、4分後のフィッシュアイを目視で観察した。
4分後にフィッシュアイが
なし・・・○
あり・・・×
【0034】
6.粒径分布
タイラーメッシュ基準の金網を使用して乾式ふるい分析により42メッシュオンの粗大粒子量で評価した。
少ない・・・○
多い・・・・×
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤を用いると、得られるビニル系樹脂はポロシティを低下させることなくかさ密度が大きい、即ち、充填効率が高く、ゲル化性が良好となる。
【産業上の利用分野】
本発明は、ビニル系化合物なかんずく塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業的にビニル系樹脂を製造する場合、水溶性媒体中で分散安定剤の存在下にビニル系化合物を分散させ、油溶性触媒を用いて、重合を行う懸濁重合法が広く実施されている。一般に該樹脂の品質を支配する要因としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、触媒量、重合槽の形式、撹拌速度あるいは分散安定剤の種類、量等が挙げられるが、この中でも分散安定剤の影響が大きいと言われている。
【0003】
該ビニル系樹脂の代表である塩化ビニル樹脂においても分散安定剤は重要な要因である。塩化ビニル重合用の分散安定剤に要求される性能としては、▲1▼塩化ビニル樹脂のポロシティを低下させることなく塩化ビニル重合体粒子のかさ密度を上げる働きのあること。即ち、高い充填効率が得られること、ここで充填効率とは、充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4)で示される。▲2▼多孔性粒子中に残存する塩化ビニルモノマーの除去あるいは成形品中のフィッシュアイ等の生成を防止するために各重合体粒子の空隙率をほぼ一定の範囲内に収斂させる働きのあること、▲3▼重合体粒子の可塑剤の吸収速度を大きくしてゲル化性を容易にするために、粒子の空隙率が大きい、多孔性にする働きのあること等が挙げられる。
【0004】
分散安定剤はポリビニルアルコール系樹脂(以下PVAと略記する)、セルロース誘導体、ゼラチン等の主分散剤が単独又は分散助剤と共に併用して用いられている。中でもPVAは、主分散剤、分散助剤いずれにも、多用されているが、上記の▲1▼〜▲3▼の性能はいまだ十分とは言えず、塩化ビニル樹脂の性能を高めるために、分散助剤についても様々な試みがなされている。
【0005】
例えば側鎖にアミノ基、アンモニウム基、カルボキシル基、スルホン酸基を有したビニルエステル系重合体を分散質とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤を主分散剤と併用することが試みられ、具体的には(a)特開昭59−62665号公報ではカルボキシル基10モル%以下、ケン化度20〜90モル%ビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法、(b)特開平1−95103号公報では、カルボキシル基又はスルホン酸基を0.01〜10モル%、ケン化度0〜40モル%のビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法、(c)特開平4−154810号公報では、カルボキシ基又はスルホン酸基を0.01〜10モル%、ケン化度70モル%以下のビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併用する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら(a)〜(c)の方法では▲2▼、▲3▼の性能は改良されるものの、▲1▼の性能が著しく低下してしまうという欠点があり、満足できるものではなく、上記の▲1▼〜▲3▼の性能をすべて同時に満足するビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤が望まれていたのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる欠点を克服し、上記▲1▼〜▲3▼の要求性能を同時に満足する分散安定剤を開発するために鋭意研究した結果、側鎖又は末端にスルホン酸基(A)を0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)を0.05〜1.0モル%有し、且つ(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5でケン化度が60モル%以下のビニルエステル系重合体からなることを特徴とする懸濁重合用分散助剤を主分散剤と共に用いると得られる塩化ビニル樹脂粒子のかさ密度が低下することなく、各粒子が多孔性で更に残存する塩化ビニルモノマーが除去され、フィッシュアイが少なく上記の▲1▼〜▲3▼の要求性能すべてを満足させることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の分散助剤は上記の如く側鎖又は末端にスルホン酸基及びカルボキシル基を含有するPVAであればその製造方法については特に制限はなく、例えばスルホン酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体及びビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法、又、この他にスルホン酸基のみ有するポリビニルエステル系重合体とカルボキシル基のみ有するポリビニルエステル系重合体をブレンドし、ケン化する方法。若しくは、スルホン酸基のみ有するポリビニルエステル系重合体ケン化物とカルボキシル基のみ有するポリビニルエステル系重合体ケン化物をそれぞれブレンドする方法等が挙げられるが、スルホン酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体及びビニルエステル化合物の共重合体を得た後、該共重合体をケン化する方法が好適に実施される。以下かかる方法について説明する。
【0009】
スルホン酸基を導入する方法として以下に示す。
▲1▼共重合体より導入する場合には、スルホン酸基(A)を有する単量体としては以下のものが挙げられる。
(イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩
(ロ)下記一般式で表されるスルホアルキルマレート
【化1】
又は、
【化2】
(但し一般式化1,化2においてR1はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられる。
【0010】
(ハ)下記一般式で表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキル(メタ)アクリレート
【化3】
又は、
【化4】
又は、
【化5】
(但し一般式化3〜化4において、R2,R3,R4,R5,R7,R8,R9は水素又はアルキル基、R6はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0011】
【化6】
(但し一般式化6においてR10は水素又はアルキル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。)
上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げられる。
共重合により導入する場合、上記スルホン酸基(A)を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はその塩が好適に使用される。
【0012】
▲2▼スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド或いはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(但し一般式化7〜化10において、R11〜R19はそれぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。尚、nが複数のときはnの数だけ存在する各R14,R15,R17,R18は同じものでも異なるものでもよい。)
具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパン等が挙げられる。
【0013】
▲3▼ポリビニルアルコールを臭素、ヨウ素等で処理した後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方法。
▲4▼ポリビニルアルコールを濃厚な硫酸水溶液中で加熱する方法。
▲5▼ポリビニルアルコールをスルホン酸基を有するアルデヒド化合物でアセタール化する方法等である。
【0014】
又カルボキシル基を導入する方法として以下に示す。
▲1▼共重合により導入する方法として、カルボキシル基(B)を有する単量体としてエチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいは(メタ)アクリル酸等の単量体およびその塩が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使用される。
又、カルボキシル基を導入した場合、ケン化反応時あるいは乾燥時にラクトン環が生成されることによる不溶化が懸念されるがその対策として水溶解性が良いポリビニルアルコールの製法で既に公知であるマレイン酸又は無水マレイン酸に対して0.5〜2.0モル当量のアルカリ存在下で酢酸ビニルを有機溶媒中共重合させケン化する方法も使用される。
【0015】
▲2▼カルボキシル基を有するアルコール、アルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下のものが挙げられる。
【化11】
HS−(CH2)n−COOH 及びこの塩
【化12】
(但し一般式化11,化12において、R20,R21,R22はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基(置換基を含んでもよい)、nは0〜5の整数を示す。)
【化13】
(但し一般式化13において、nは0〜20の整数を示す。)
具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0016】
更にビニルエステル系化合物としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられるが中でも酢酸ビニルが好適に使用される。
上記のビニルエステル系化合物の重合の形式は、従来の公知の形式、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合のいずれをも採用し得るが工業的にはメタノールやトルエン等を用いる溶液重合が好ましい。
またビニルエステル系化合物の製造法については特に制限はなく、上記に示した方法を採用することができるが、その多成分の仕込み方法として一括、分割、連続滴下等が挙げられ、適宜選択すればよい。連鎖移動剤として共存させ重合する場合は所定の変性量になるように重合系のビニルエステルの反応率に応じて連鎖移動剤を添加することにより、反応系の連鎖移動剤量がビニルエステルに対しあまり変化しないようにすることが好ましい。
【0017】
本発明の側鎖又は末端にスルホン酸基(A)0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)0.05〜1モル%有し、且つ(A),(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5でケン化度が60モル%以下のポリビニルエステル系重合体を得る方法としては、通常公知の方法、即ち未ケン化のポリビニルエステル系重合体をケン化する方法が挙げられる。ケン化方法としては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用できるが、工業的にはメタノール溶媒でNaOHやCH3ONaを触媒とした加メタノール分解が最も有利である。
【0018】
かかる共重合体のスルホン酸基(A)の含有量は0.01〜0.3モル%であることが必要である。0.01モル%未満では、分散助剤の水分散液の放置安定性が悪くなり、0.3モル%を越える場合は親水性が強く、懸濁重合時の主剤の保護コロイド性を低下させる為か、ビニル系モノマーの懸濁重合の重合安定性が不安定となり得られる重合物の粒子が粗粒化し好ましくない。
又カルボキシル基(B)の含有量は0.05〜1.0モル%であることが必要である。0.05モル%未満では、分散助剤の水分散液の放置安定性が悪くなり、1.0モル%を越える場合は親水性が強く、懸濁重合時の主剤の保護コロイド性を低下させる傾向となり好ましくない。
【0019】
又ケン化度は60モル%以下であることが必要で、好ましくは0〜50モル%、更に好ましくは30〜50モル%、特に好ましくは40〜50モル%である。ケン化度が60モル%を越えると懸濁重合により得られる重合体粒子の空隙率が低下し、残存するビニル系モノマー、特に塩ビモノマーの除去性が悪い、或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない。
【0020】
かかる共重合体のスルホン酸基(A)及び、カルボキシル基(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5であることが必要で、好ましくは(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.4、更に好ましくは(A)、(B)のモル比が0.05≦(A)/(B)≦0.3である。(A)、(B)のモル比が0.5を越えると懸濁重合時に主剤の保護コロイド性を低下させ、ビニル系モノマーの懸濁重合で得られる重合体粒子が粗粒となったり、更には重合体粒子のポロシティを低下させることなくB.D.をアップすることができなくなり、(A)、(B)のモル比が0.01未満では分散助剤を水性分散液にして使用する場合その放置安定性が悪くなり好ましくない。
重合度としては1000以下が好ましく、更に好ましくは100〜650である。重合度が1000を越えると分散助剤の水性分散液の放置安定性が悪くなり、100未満では該分散助剤を用いて得られる懸濁重合物の重合体粒子の内部モルフォロジーを充分にコントロールすることができない傾向にあり、好ましくない。
【0021】
次に本発明の分散助剤を用いた場合のビニル系化合物の懸濁重合について説明する。
ビニル系化合物としては塩化ビニルモノマー単独のほか、塩化ビニルモノマーを主体とするモノマー混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化ビニルモノマーと共重合されるコモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンその他塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーが例示される。
【0022】
又本発明の分散助剤は必ずしも塩化ビニルモノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イソブテン、ブタジエンなどのα−オレフィン及びエチレンなどの群からなる1種又は2種以上の成分を含有するビニル化合物の懸濁重合にも用いられるが、塩化ビニルモノマーの懸濁重合を主体に以下具体的に説明する。
【0023】
該重合を実施するに当たっての各成分の仕込み割合、重合温度等は従来塩化ビニルの懸濁重合で採用されている条件に準じて定めればよく、特に限定する理由は存在しないが、主分散剤と共に本発明で得られる分散助剤を用いて、塩化ビニルモノマーを懸濁重合する際には通常、水媒体に分散安定剤を添加し、塩化ビニルモノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合が行われる。
本発明の分散助剤を分散質とする水性分散液は、実用範囲内の濃度(3〜20重量%)で0〜50℃における放置安定性が良好であり、1ケ月間以上の放置によっても性状に変化がない。
【0024】
かかる方法において、分散助剤は主分散剤と共に粉末のまま或いは溶液状にして加えられる。溶液状で加える場合は水溶液にして又、アルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒あるいは水との混合溶媒に溶かした溶液として加えられる。該分散安定剤は塩化ビニルモノマーに対して0.01〜0.15重量%、好ましくは0.01〜0.06重量%、特に好ましくは0.01〜0.04重量%で使用される。該分散安定剤が0.15重量%を越えると、主剤の保護コロイド性が低下し、重合が不安定となり、充填効率を上げることができなくなり、0.01重量%未満では重合体粒子の空隙率が低下し、残存する塩ビモノマーの除去性が低く、或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない傾向がある。又必要に応じ塩化ビニル樹脂の物性及び重合の安定性のために、アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタンエステル系、ポリエーテル系混合物等の周知の分散助剤のうちから1種又は2種以上を併用しても差し支えない。
【0025】
一方、重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を単独又は組合わせて使用することができる。
更に、ビニル系化合物の重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、pH調整剤等を添加することも任意である。
【0026】
本発明で用いられる主分散剤としては特に限定されないが、PVA、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が用いられるが、好ましくはPVAが用いられる。
【0027】
PVAを主分散剤として用いる場合には、ケン化度65〜95モル%、好ましくは69〜85モル%、重合度200〜3000、好ましくは、500〜2500のPVAが好ましい。主分散剤として用いられるPVAとしてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセトアセチル基等を10モル以下の少量含有するものや分子内にカルボニル基を有するPVAや共役二重結合を含有するPVAも使用することができる。
【0028】
主分散剤の重量%は塩化ビニルモノマー100重量部に対して一般的には0.01〜0.5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.1重量部である。
【0029】
本発明の分散助剤と主分散剤の重量比は分散助剤/主分散剤=10/90〜70/30、更に好ましくは分散助剤/主分散剤=20/80〜40/60である。この割合が10/90より小さい場合には、粒子のポロシティ分布が一定にならず、脱モノマー性、充填効率等が低下し、F.E.も増加する。70/30より大きい場合には重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があり、重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、充填効率も上がらない。
【0030】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて更に詳しく説明する。
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示す分散助剤を用いて表2に示す如き主分散剤とを所定量仕込み、塩化ビニルの懸濁重合を下記方法で実施した。ファウドラータイプの撹拌翼を備えた容量100lのステンレス製オートクレーブに脱イオン水150重量部、塩化ビニルモノマー100重量部、更に表1に示す分散助剤と表2に示す主分散剤を所定量、及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを0.2重量部の割合で仕込み、撹拌しながら重合温度を58℃に調整し、7時間懸濁重合を行った。
得られた塩化ビニル樹脂の物性を下記の方法に従い測定した。結果は表1及び3に示す。(但し、分散助剤は5重量%水性分散液にして所定量仕込み、水分散しない分散助剤6,11,13については重合を実施しなかった。)
【0031】
1.水分散性
分散助剤を濃度5重量%になるように、水に投入し室温で1時間、撹拌分散させる。
水分散する・・・・○
水分散しない・・・×
2.充填比重
JISK−6721により測定した。
3.充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4)
上記の式より算出した。
【0032】
4.可塑剤吸収性
塩化ビニル樹脂100重量部とジオクチルフタレート50重量部の混合物の乾燥点までの時間をブラベンダーにて測定した。尚、表示は下記の如く表す。
乾燥時間が3分以内・・・・a
〃 3〜5分・・・・b
〃 5〜10分・・・c
【0033】
5.フィッシュアイ
重合により得られた塩化ビニル樹脂100重量部、ジオクチルフタレート50重量部にカーボンブラック0.2重量部を混合したものを155℃のロールで5分間混練し、4分後のフィッシュアイを目視で観察した。
4分後にフィッシュアイが
なし・・・○
あり・・・×
【0034】
6.粒径分布
タイラーメッシュ基準の金網を使用して乾式ふるい分析により42メッシュオンの粗大粒子量で評価した。
少ない・・・○
多い・・・・×
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤を用いると、得られるビニル系樹脂はポロシティを低下させることなくかさ密度が大きい、即ち、充填効率が高く、ゲル化性が良好となる。
Claims (1)
- 側鎖又は末端にスルホン酸基(A)を0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)を0.05〜1.0モル%有し、且つ(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5で、ケン化度が60モル%以下のポリビニルエステル重合体からなることを特徴とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
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