JPH09183805A - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents

ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤

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JPH09183805A
JPH09183805A JP35329695A JP35329695A JPH09183805A JP H09183805 A JPH09183805 A JP H09183805A JP 35329695 A JP35329695 A JP 35329695A JP 35329695 A JP35329695 A JP 35329695A JP H09183805 A JPH09183805 A JP H09183805A
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光夫 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニル系化合物単独、又はこれを主体とする
モノマー混合物を懸濁重合させる場合において、かさ密
度が顕著に大きく、多孔性の高いビニル系樹脂を製造で
きる分散助剤を提供する。 【解決手段】 側鎖又は末端基にスルホン酸基(A)を
0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)を
0.05〜1.0モル%有し、且つ(A)、(B)のモ
ル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5で、ケン化度
が60モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂をビニ
ル系化合物の懸濁重合用分散助剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニル系化合物なかん
ずく塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的にビニル系樹脂を製造する場合、
水溶性媒体中で分散安定剤の存在下にビニル系化合物を
分散させ、油溶性触媒を用いて、重合を行う懸濁重合法
が広く実施されている。一般に該樹脂の品質を支配する
要因としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、触
媒量、重合槽の形式、撹拌速度あるいは分散安定剤の種
類、量等が挙げられるが、この中でも分散安定剤の影響
が大きいと言われている。
【0003】該ビニル系樹脂の代表である塩化ビニル樹
脂においても分散安定剤は重要な要因である。塩化ビニ
ル重合用の分散安定剤に要求される性能としては、塩
化ビニル樹脂のポロシティを低下させることなく塩化ビ
ニル重合体粒子のかさ密度を上げる働きのあること。即
ち、高い充填効率が得られること、ここで充填効率と
は、充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4)
で示される。多孔性粒子中に残存する塩化ビニルモノ
マーの除去あるいは成形品中のフィッシュアイ等の生成
を防止するために各重合体粒子の空隙率をほぼ一定の範
囲内に収斂させる働きのあること、重合体粒子の可塑
剤の吸収速度を大きくしてゲル化性を容易にするため
に、粒子の空隙率が大きい、多孔性にする働きのあるこ
と等が挙げられる。
【0004】分散安定剤はポリビニルアルコール系樹脂
(以下PVAと略記する)、セルロース誘導体、ゼラチ
ン等の主分散剤が単独又は分散助剤と共に併用して用い
られている。中でもPVAは、主分散剤、分散助剤いず
れにも、多用されているが、上記の〜の性能はいま
だ十分とは言えず、塩化ビニル樹脂の性能を高めるため
に、分散助剤についても様々な試みがなされている。
【0005】例えば側鎖にアミノ基、アンモニウム基、
カルボキシル基、スルホン酸基を有したビニルエステル
系重合体を分散質とするビニル系化合物の懸濁重合用分
散助剤を主分散剤と併用することが試みられ、具体的に
は(a)特開昭59−62665号公報ではカルボキシル
基10モル%以下、ケン化度20〜90モル%ビニルエ
ステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の
主分散剤とともに併用する方法、(b)特開平1−95
103号公報では、カルボキシル基又はスルホン酸基を
0.01〜10モル%、ケン化度0〜40モル%のビニ
ルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従来公
知の主分散剤とともに併用する方法、(c)特開平4−
154810号公報では、カルボキシ基又はスルホン酸
基を0.01〜10モル%、ケン化度70モル%以下の
ビニルエステル系重合体を懸濁重合用分散助剤として従
来公知の主分散剤とともに併用する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら(a)〜
(c)の方法では、の性能は改良されるものの、
の性能が著しく低下してしまうという欠点があり、満足
できるものではなく、上記の〜の性能をすべて同時
に満足するビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤が望ま
れていたのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる欠点
を克服し、上記〜の要求性能を同時に満足する分散
安定剤を開発するために鋭意研究した結果、側鎖又は末
端にスルホン酸基(A)を0.01〜0.3モル%及び
カルボキシル基(B)を0.05〜1.0モル%有し、
且つ(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/
(B)≦0.5でケン化度が60モル%以下のビニルエ
ステル系重合体からなることを特徴とする懸濁重合用分
散助剤を主分散剤と共に用いると得られる塩化ビニル樹
脂粒子のかさ密度が低下することなく、各粒子が多孔性
で更に残存する塩化ビニルモノマーが除去され、フィッ
シュアイが少なく上記の〜の要求性能すべてを満足
させることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明の分散助剤は上記の如く側鎖又は末端にスルホン
酸基及びカルボキシル基を含有するPVAであればその
製造方法については特に制限はなく、例えばスルホン酸
基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体及び
ビニルエステル系化合物より共重合体を得た後、該共重
合体をケン化する方法、又、この他にスルホン酸基のみ
有するポリビニルエステル系重合体とカルボキシル基の
み有するポリビニルエステル系重合体をブレンドし、ケ
ン化する方法。若しくは、スルホン酸基のみ有するポリ
ビニルエステル系重合体ケン化物とカルボキシル基のみ
有するポリビニルエステル系重合体ケン化物をそれぞれ
ブレンドする方法等が挙げられるが、スルホン酸基を有
する単量体、カルボキシル基を有する単量体及びビニル
エステル化合物の共重合体を得た後、該共重合体をケン
化する方法が好適に実施される。以下かかる方法につい
て説明する。
【0009】スルホン酸基を導入する方法として以下に
示す。 共重合体より導入する場合には、スルホン酸基(A)
を有する単量体としては以下のものが挙げられる。 (イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩 (ロ)下記一般式で表されるスルホアルキルマレート
【化1】 又は、
【化2】 (但し一般式化1,化2においてR1はアルキル基、n
は2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はア
ンモニウムイオンを示す。) 上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナト
リウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナ
トリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、
ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリ
ウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられ
る。
【0010】(ハ)下記一般式で表されるスルホアルキ
ル(メタ)アクリルアミド、スルホアルキル(メタ)ア
クリレート
【化3】 又は、
【化4】 又は、
【化5】 (但し一般式化3〜化4において、R2,R3,R4,R5,R
7,R8,R9は水素又はアルキル基、R6はアルキル基、n
は2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又はア
ンモニウムイオンを示す。) 上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具
体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナ
トリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウム
スルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt
−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0011】
【化6】 (但し一般式化6においてR10は水素又はアルキル基、
nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ金属又は
アンモニウムイオンを示す。) 上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体
的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げ
られる。共重合により導入する場合、上記スルホン酸基
(A)を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、
又はその塩が好適に使用される。
【0012】スルホン酸基を有するアルコール、アル
デヒド或いはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖
移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に連鎖
移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で以下
のものが挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】 (但し一般式化7〜化10において、R11〜R19はそれ
ぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、Mは水素原
子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオンを示す。
尚、nが複数のときはnの数だけ存在する各R14,R15,
17,R18は同じものでも異なるものでもよい。) 具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパ
ン等が挙げられる。
【0013】ポリビニルアルコールを臭素、ヨウ素等
で処理した後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方
法。 ポリビニルアルコールを濃厚な硫酸水溶液中で加熱す
る方法。 ポリビニルアルコールをスルホン酸基を有するアルデ
ヒド化合物でアセタール化する方法等である。
【0014】又カルボキシル基を導入する方法として以
下に示す。 共重合により導入する方法として、カルボキシル基
(B)を有する単量体としてエチレン性不飽和ジカルボ
ン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエ
チレン性不飽和カルボン酸モノエステル(マレイン酸モ
ノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、
イタコン酸モノアルキルエステル等)又はエチレン性不
飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエ
ステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジア
ルキルエステル等)又はエチレン性不飽和カルボン酸無
水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいは
(メタ)アクリル酸等の単量体およびその塩が挙げられ、
その中でもエチレン性不飽和カルボン酸モノエステル又
はその塩が好適に使用される。又、カルボキシル基を導
入した場合、ケン化反応時あるいは乾燥時にラクトン環
が生成されることによる不溶化が懸念されるがその対策
として水溶解性が良いポリビニルアルコールの製法で既
に公知であるマレイン酸又は無水マレイン酸に対して
0.5〜2.0モル当量のアルカリ存在下で酢酸ビニル
を有機溶媒中共重合させケン化する方法も使用される。
【0015】カルボキシル基を有するアルコール、ア
ルデヒドあるいはチオール等の官能基を有する化合物を
連鎖移動剤として共存させ重合する方法があるが、特に
連鎖移動効果の大きいチオールに由来するものが有効で
以下のものが挙げられる。
【化11】HS−(CH2n−COOH 及びこの塩
【化12】 (但し一般式化11,化12において、R20,R21,R22
はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基(置換基を含ん
でもよい)、nは0〜5の整数を示す。)
【化13】 (但し一般式化13において、nは0〜20の整数を示
す。) 具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン
酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステ
アリン酸等が挙げられる。
【0016】更にビニルエステル系化合物としては酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニ
ル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる
が中でも酢酸ビニルが好適に使用される。上記のビニル
エステル系化合物の重合の形式は、従来の公知の形式、
例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又は
エマルジョン重合のいずれをも採用し得るが工業的には
メタノールやトルエン等を用いる溶液重合が好ましい。
またビニルエステル系化合物の製造法については特に制
限はなく、上記に示した方法を採用することができる
が、その多成分の仕込み方法として一括、分割、連続滴
下等が挙げられ、適宜選択すればよい。連鎖移動剤とし
て共存させ重合する場合は所定の変性量になるように重
合系のビニルエステルの反応率に応じて連鎖移動剤を添
加することにより、反応系の連鎖移動剤量がビニルエス
テルに対しあまり変化しないようにすることが好まし
い。
【0017】本発明の側鎖又は末端にスルホン酸基
(A)0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基
(B)0.05〜1モル%有し、且つ(A),(B)の
モル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5でケン化度
が60モル%以下のポリビニルエステル系重合体を得る
方法としては、通常公知の方法、即ち未ケン化のポリビ
ニルエステル系重合体をケン化する方法が挙げられる。
ケン化方法としては、アルカリケン化又は酸ケン化のい
ずれも採用できるが、工業的にはメタノール溶媒でNa
OHやCH3ONaを触媒とした加メタノール分解が最
も有利である。
【0018】かかる共重合体のスルホン酸基(A)の含
有量は0.01〜0.3モル%であることが必要であ
る。0.01モル%未満では、分散助剤の水分散液の放
置安定性が悪くなり、0.3モル%を越える場合は親水
性が強く、懸濁重合時の主剤の保護コロイド性を低下さ
せる為か、ビニル系モノマーの懸濁重合の重合安定性が
不安定となり得られる重合物の粒子が粗粒化し好ましく
ない。又カルボキシル基(B)の含有量は0.05〜
1.0モル%であることが必要である。0.05モル%
未満では、分散助剤の水分散液の放置安定性が悪くな
り、1.0モル%を越える場合は親水性が強く、懸濁重
合時の主剤の保護コロイド性を低下させる傾向となり好
ましくない。
【0019】又ケン化度は60モル%以下であることが
必要で、好ましくは0〜50モル%、更に好ましくは3
0〜50モル%、特に好ましくは40〜50モル%であ
る。ケン化度が60モル%を越えると懸濁重合により得
られる重合体粒子の空隙率が低下し、残存するビニル系
モノマー、特に塩ビモノマーの除去性が悪い、或いは可
塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない。
【0020】かかる共重合体のスルホン酸基(A)及
び、カルボキシル基(B)のモル比が0.01≦(A)
/(B)≦0.5であることが必要で、好ましくは
(A)、(B)のモル比が0.01≦(A)/(B)≦
0.4、更に好ましくは(A)、(B)のモル比が0.
05≦(A)/(B)≦0.3である。(A)、(B)
のモル比が0.5を越えると懸濁重合時に主剤の保護コ
ロイド性を低下させ、ビニル系モノマーの懸濁重合で得
られる重合体粒子が粗粒となったり、更には重合体粒子
のポロシティを低下させることなくB.D.をアップす
ることができなくなり、(A)、(B)のモル比が0.
01未満では分散助剤を水性分散液にして使用する場合
その放置安定性が悪くなり好ましくない。重合度として
は1000以下が好ましく、更に好ましくは100〜6
50である。重合度が1000を越えると分散助剤の水
性分散液の放置安定性が悪くなり、100未満では該分
散助剤を用いて得られる懸濁重合物の重合体粒子の内部
モルフォロジーを充分にコントロールすることができな
い傾向にあり、好ましくない。
【0021】次に本発明の分散助剤を用いた場合のビニ
ル系化合物の懸濁重合について説明する。ビニル系化合
物としては塩化ビニルモノマー単独のほか、塩化ビニル
モノマーを主体とするモノマー混合物(塩化ビニル50
重量%以上)が包含され、この塩化ビニルモノマーと共
重合されるコモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリ
ル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、
無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビ
ニリデンその他塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノ
マーが例示される。
【0022】又本発明の分散助剤は必ずしも塩化ビニル
モノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニ
リデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリ
ル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステ
ル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレ
ン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イ
ソブテン、ブタジエンなどのα−オレフィン及びエチレ
ンなどの群からなる1種又は2種以上の成分を含有する
ビニル化合物の懸濁重合にも用いられるが、塩化ビニル
モノマーの懸濁重合を主体に以下具体的に説明する。
【0023】該重合を実施するに当たっての各成分の仕
込み割合、重合温度等は従来塩化ビニルの懸濁重合で採
用されている条件に準じて定めればよく、特に限定する
理由は存在しないが、主分散剤と共に本発明で得られる
分散助剤を用いて、塩化ビニルモノマーを懸濁重合する
際には通常、水媒体に分散安定剤を添加し、塩化ビニル
モノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合が行わ
れる。本発明の分散助剤を分散質とする水性分散液は、
実用範囲内の濃度(3〜20重量%)で0〜50℃にお
ける放置安定性が良好であり、1ケ月間以上の放置によ
っても性状に変化がない。
【0024】かかる方法において、分散助剤は主分散剤
と共に粉末のまま或いは溶液状にして加えられる。溶液
状で加える場合は水溶液にして又、アルコール、ケト
ン、エステル等の有機溶媒あるいは水との混合溶媒に溶
かした溶液として加えられる。該分散安定剤は塩化ビニ
ルモノマーに対して0.01〜0.15重量%、好まし
くは0.01〜0.06重量%、特に好ましくは0.0
1〜0.04重量%で使用される。該分散安定剤が0.
15重量%を越えると、主剤の保護コロイド性が低下
し、重合が不安定となり、充填効率を上げることができ
なくなり、0.01重量%未満では重合体粒子の空隙率
が低下し、残存する塩ビモノマーの除去性が低く、或い
は可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない傾向がある。
又必要に応じ塩化ビニル樹脂の物性及び重合の安定性の
ために、アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタンエ
ステル系、ポリエーテル系混合物等の周知の分散助剤の
うちから1種又は2種以上を併用しても差し支えない。
【0025】一方、重合開始剤としては、ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキ
シジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブ
チルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシ
ネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート
等のパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスル
ホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−
2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、ア
ゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等
のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、過酸化水素等を単独又は組合わせて使用すること
ができる。更に、ビニル系化合物の重合に適宜使用され
る重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、pH調整剤等を添加することも任意である。
【0026】本発明で用いられる主分散剤としては特に
限定されないが、PVA、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が用
いられるが、好ましくはPVAが用いられる。
【0027】PVAを主分散剤として用いる場合には、
ケン化度65〜95モル%、好ましくは69〜85モル
%、重合度200〜3000、好ましくは、500〜2
500のPVAが好ましい。主分散剤として用いられる
PVAとしてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオ
ン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、
環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセト
アセチル基等を10モル以下の少量含有するものや分子
内にカルボニル基を有するPVAや共役二重結合を含有
するPVAも使用することができる。
【0028】主分散剤の重量%は塩化ビニルモノマー1
00重量部に対して一般的には0.01〜0.5重量部
であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.
1重量部である。
【0029】本発明の分散助剤と主分散剤の重量比は分
散助剤/主分散剤=10/90〜70/30、更に好ま
しくは分散助剤/主分散剤=20/80〜40/60で
ある。この割合が10/90より小さい場合には、粒子
のポロシティ分布が一定にならず、脱モノマー性、充填
効率等が低下し、F.E.も増加する。70/30より
大きい場合には重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があ
り、重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、充填効率も
上がらない。
【0030】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて更に詳
しく説明する。 実施例1〜5、比較例1〜5 表1に示す分散助剤を用いて表2に示す如き主分散剤と
を所定量仕込み、塩化ビニルの懸濁重合を下記方法で実
施した。ファウドラータイプの撹拌翼を備えた容量10
0lのステンレス製オートクレーブに脱イオン水150
重量部、塩化ビニルモノマー100重量部、更に表1に
示す分散助剤と表2に示す主分散剤を所定量、及びジ−
2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを0.2
重量部の割合で仕込み、撹拌しながら重合温度を58℃
に調整し、7時間懸濁重合を行った。得られた塩化ビニ
ル樹脂の物性を下記の方法に従い測定した。結果は表1
及び3に示す。(但し、分散助剤は5重量%水性分散液
にして所定量仕込み、水分散しない分散助剤6,11,1
3については重合を実施しなかった。)
【0031】1.水分散性 分散助剤を濃度5重量%になるように、水に投入し室温
で1時間、撹拌分散させる。 水分散する・・・・○ 水分散しない・・・× 2.充填比重 JISK−6721により測定した。 3.充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/1.4) 上記の式より算出した。
【0032】4.可塑剤吸収性 塩化ビニル樹脂100重量部とジオクチルフタレート5
0重量部の混合物の乾燥点までの時間をブラベンダーに
て測定した。尚、表示は下記の如く表す。
【0033】5.フィッシュアイ 重合により得られた塩化ビニル樹脂100重量部、ジオ
クチルフタレート50重量部にカーボンブラック0.2
重量部を混合したものを155℃のロールで5分間混練
し、4分後のフィッシュアイを目視で観察した。4分後
にフィッシュアイが なし・・・○ あり・・・×
【0034】6.粒径分布 タイラーメッシュ基準の金網を使用して乾式ふるい分析
により42メッシュオンの粗大粒子量で評価した。 少ない・・・○ 多い・・・・×
【0035】
【表1】 (A)スルホン酸基 (B)カルホ゛キシル基 (A)/(B) 重合度 ケン化度 変性種 変性量 変性種 変性量 水分散性 (モル%) (モル%) (モル%) 分散助剤1 250 45 0.05 0.40 0.125 ○ 分散助剤2 550 40 0.10 0.30 0.33 ○ 分散助剤3 550 40 0.20 0.80 0.25 ○ 分散助剤4 300 45 0.05 0.10 0.50 ○ 分散助剤5 300 50 0.01 0.05 0.20 ○ 分散助剤6 250 45 0.05 − −− −− × 分散助剤7 250 45 − −− 0.40 −− ○ 分散助剤8 250 70 0.05 0.40 0.125 ○ 分散助剤9 250 45 0.30 0.10 3.0 ○ 分散助剤10 250 45 0.40 0.90 0.44 ○ 分散助剤11 250 45 0.008 0.05 0.16 × 分散助剤12 250 45 0.30 1.2 0.25 ○分散助剤13 250 45 0.012 0.03 0.40 × 変性種は以下の通り :アリルスルホン酸ナトリウム、:メタアリルスルホン酸ナトリウム :スルホアルキルメタアクリルアミド、:マレイン酸モノメチル :イタコン酸、:マレイン酸
【0036】
【表2】 分散助剤 主分散剤 使用分散助剤 使用量*1 重合度 ケン化度 使用量*1 (モル%) 実施例1 分散助剤1 0.02 2200 80 0.08 実施例2 分散助剤2 0.02 2400 80 0.08 実施例3 分散助剤3 0.02 800 72 0.08 実施例4 分散助剤4 0.02 3000 85 0.06 実施例5 分散助剤5 0.02 2200 78 0.07 比較例1 分散助剤7 0.02 2200 80 0.08 比較例2 分散助剤8 0.02 2200 80 0.08 比較例3 分散助剤9 0.02 2200 80 0.08 比較例4 分散助剤10 0.02 2200 80 0.08 比較例5 分散助剤12 0.02 2200 80 0.08 *1;塩化ビニル100重量部に対する、重量部を示す。 ・分散助剤6,11,13は表1に示す如く水に分散しない為重合を実施せず。
【0037】
【表3】 かさ密度 充填効率 可塑剤 フィッシュアイ 粒径分布 (g/ml) (g/ml) 吸収性 42メッシュオン 実施例1 0.582 0.570 a ○ ○ 実施例2 0.578 0.575 a ○ ○ 実施例3 0.580 0.600 a ○ ○ 実施例4 0.579 0.587 b ○ ○ 実施例5 0.577 0.591 a ○ ○ 比較例1 0.552 0.491 a ○ ○ 比較例2 0.557 0.507 c × ○ 比較例3 0.568 0.466 a × × 比較例4 0.572 0.510 a × ×比較例5 0.571 0.499 a × ×
【0038】
【発明の効果】本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分
散助剤を用いると、得られるビニル系樹脂はポロシティ
を低下させることなくかさ密度が大きい、即ち、充填効
率が高く、ゲル化性が良好となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖又は末端にスルホン酸基(A)を
    0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基(B)を
    0.05〜1.0モル%有し、且つ(A)、(B)のモ
    ル比が0.01≦(A)/(B)≦0.5で、ケン化度
    が60モル%以下のポリビニルエステル重合体からなる
    ことを特徴とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助
    剤。
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