JP2013203994A - ポリビニルアルコール系重合体、懸濁重合用分散剤、塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体、懸濁重合用分散剤、塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な水溶性/水分散性を有し、懸濁重合用分散剤として用いた際に得られる塩化ビニル樹脂の空孔率を向上させ、かつ塩化ビニル樹脂の粒子径に悪影響を与えない懸濁重合用分散剤を提供する。また、該分散剤を用いることで空孔率に優れた塩化ビニル系樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酢酸ビニルと不飽和カルボン酸とからなる重合体をケン化してなるポリビニルアルコール系重合体において、不飽和カルボン酸の共重合量が0.15mol%以上0.4mol%以下であり、重合度が200から350の範囲であり、かつケン化度が30mol%以上50mol%以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系重合体を懸濁重合用分散剤として用いることで、空孔率に優れた塩化ビニル樹脂を与える。
【選択図】なし

Description

本発明は、懸濁重合用分散剤として好適に使用出来るポリビニルアルコール系重合体、このポリビニルアルコール系重合体からなる分散剤、この分散剤を使用して製造された塩化ビニル系樹脂及びその製造方法に関する。
塩化ビニル系樹脂は、一般に、塩化ビニルモノマーを、重合開始剤及び分散剤などと共に水性媒体中に分散させて、重合を行う懸濁重合法により製造されている。その際使用される分散剤としては、塩化ビニルモノマーの分散性を安定化して、製造される塩化ビニル系樹脂の粒径を調節するために添加されるいわゆる「一次分散剤」と、製造される塩化ビニル系樹脂粒子中の空孔率(ポロシティ)を上げるために添加されるいわゆる「二次分散剤」とがある。
従来、「一次分散剤」としては、ポリビニルアルコール(PVA)やヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが使用されており(特許文献1〜3参照)、「二次分散剤」としては、前述した一次分散剤よりも鹸化度が低いPVAが使用されている(特許文献4参照)。例えば、特許文献4に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法では、一次分散剤には、鹸化度が75〜85mol%のPVAを使用し、二次分散剤には鹸化度が20〜57mol%のPVAを使用している。
更に、特許文献5〜7には、分子内にカルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基などのイオン性基を導入したケン化度の低いPVAを二次分散剤として使用して、塩化ビニル樹脂を製造する方法が提案されている。
特開2002−003510号公報 特開2003−327607号公報 特開2003−238606号公報 特開2005−281680号公報 特開平04−154810号公報 特開平05−345805号公報 特開平10−168128号公報
これらの技術には、以下に示す問題点が残されている。即ち特許文献4に記載された様なイオン性基を導入していない二次分散剤を使用した場合には、二次分散剤を用いる本来の目的である空孔率は充分に改善されるが、二次分散剤そのものの水溶性/水分散性が不足しているために、溶液/分散液として使用するためにはアルコール等の有機溶剤を併用しなければならない欠点があった。
特許文献5〜7に記載された様なイオン性基を導入した二次分散剤では、水溶性/水分散性は改善されているものの、二次分散剤としての本来の働きである空孔率の改善が不十分であったり、一次分散剤の効果に対し悪影響を与え、塩化ビニル系樹脂の粒径を粗くしたりする問題点があった。
近年、環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、アルコール類などの有機溶剤を使用しなくとも、水単独で溶解/分散が可能であり、かつ「二次分散剤」の本来の使用目的である塩化ビニル系樹脂の空孔率を高める効果に優れた二次分散剤の開発が望まれていた。
本発明は、水に対する溶解性/分散性が良好でありながら、塩化ビニル系樹脂の空孔率を向上させることが可能なポリビニルアルコール系重合体、それを主成分とする懸濁重合用分散剤、塩化ビニル系樹脂及びその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明に係る懸濁重合用分散剤として好適に使用し得るポリビニルアルコール系重合体は、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸とからなる重合体をケン化してなるポリビニルアルコール系重合体であって、不飽和カルボン酸の共重合量が0.15mol%以上0.4mol%以下であり、重合度が200から350の範囲であり、かつケン化度が30mol%以上50mol%以下であることを特徴とするものである。ポリビニルアルコール系重合体における不飽和カルボン酸は、イタコン酸を用いることが好ましい。
本発明によるポリビニルアルコール系重合体は、不飽和カルボン酸を0.15mol%以上0.4mol%以下共重合することによって水に対する十分な溶解性/分散性を有しており、懸濁重合用分散剤として使用する際に水溶液/水分散液として使用することが可能である。水溶液/水分散液での使用が可能となることから、取り扱いが容易であるのみならず、環境にも優しく安全上も好ましいものである。
本発明のポリビニルアルコール系重合体は、更に重合度が200から350の範囲であり、かつケン化度が30mol%以上50mol%以下に制御することにより、懸濁重合により塩化ビニル系樹脂を製造した際に、一次分散剤の効果を損ねることなく十分な空孔率を与えることが可能となる。
本発明によれば、十分な水溶性/水分散性を有することから水溶液/水分散液としての使用が可能であり、一次分散剤の性能を損ねることなしに懸濁重合を行うことが可能であり、かつ十分な空孔率を塩化ビニル系樹脂に与え得る懸濁重合用分散剤を実現することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るポリビニルアルコール系重合体、及び懸濁重合用分散剤について説明する。本実施形態は、ポリビニルアルコール系重合体であり、懸濁重合により塩化ビニル系樹脂を製造する際に、分散剤として使用されるものである。該重合体は、重合液中において、塩化ビニル系樹脂の空孔率を向上させる「二次分散剤」として作用する。
[構成単位]
本実施形態のポリビニルアルコール系重合体は、具体的には、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸とからなる重合体をケン化してなるポリビニルアルコール系重合体であって、不飽和カルボン酸の共重合量が0.15mol%以上0.4mol%以下であり、重合度が200から350の範囲であり、かつケン化度が30mol%以上50mol%以下である。懸濁重合用分散剤は、上記ポリビニルアルコール系重合体を懸濁重合用分散剤として使用するものである。
本発明に用いる不飽和カルボン酸としては、例えばイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。酢酸ビニルとの共重合性比やハンドリングの容易さから、イタコン酸の使用が最も好ましい。
不飽和カルボン酸の共重合量は、0.15mol%以上0.4mol%以下の範囲であり、この範囲を外れると本発明の効果は得られない。不飽和カルボン酸の共重合量が0.15mol%未満の場合、得られるポリビニルアルコール系重合体の水溶性/水分散性が不十分であり、水溶液/水分散液としての取り扱いが出来ないか、水溶液/水分散液の安定性が悪く、実用上問題となる。
不飽和カルボン酸の共重合量が0.4mol%を超えると、一次分散剤に対する悪影響が生じ始める。具体的には、塩化ビニル系樹脂の粒径が肥大化し始める。
本実施形態のポリビニルアルコール系重合体の重合度は、200以上350以下である。重合度が200未満の場合には、得られるポリビニルアルコール系重合体の軟化温度が低くなり過ぎて固形状態で得られなり、製品のハンドリングが著しく悪化する。重合度が350を超えた場合は、一次分散剤の効果を阻害し始め、塩化ビニル系樹脂の粒径が粗くなってしまう。
本実施形態のポリビニルアルコール系重合体のケン化度は、30mol%以上50mol%以下である。ケン化度が30mol%未満の場合、水溶性/水分散性が不十分であり、水溶液/水分散液としての取り扱いが困難となる。ケン化度が50mol%を超えると、一次分散剤の働きを阻害する効果を示し始め、塩化ビニル系樹脂の粒径が肥大化する結果を生じる。
前述の如く、本実施形態のポリビニルアルコール系重合体の懸濁重合用分散剤としての優れた効果を発現せしめるには、不飽和カルボン酸の共重合量、重合度、ケン化度を狭い範囲の中で制御することが必須である。特に不飽和カルボン酸の共重合量を増加させたり、ケン化度を高めることは、水溶性/水分散性を向上させるには良い方向であるが、一次分散剤の主要な働きである塩化ビニル系樹脂の粒径を安定化させる効果を阻害してしまうため、避けなければならない。
本実施形態のポリビニルアルコール系重合体は、酢酸ビニル単量体と不飽和カルボン酸とを共重合させた後、その共重合体をケン化することにより得られる。
この際、本発明の効果を損なわない範囲でなら、他の単量体をさらに共重合させても良い。他の単量体としては、具体的には、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のビニルエステル系単量体や、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、マレイン酸ジアルキルエステル類、フマル酸ジアルキルエステル類、アルキルビニルエーテル類などが挙げられる。
また、これらの単量体の重合方法は、特に限定するものではなく、公知の重合方法を採用することができる。一般には、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合により製造されるが、バルク重合や乳化重合や懸濁重合などで製造してもよい。また、溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいし、バッチ重合でもよい。更に、単量体は一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的又は断続的に添加してもよい。
不飽和カルボン酸としてイタコン酸を用いる場合には、イタコン酸単位を重合体中に出来るだけ均一に分散させるために、酢酸ビニル単独で重合を開始し、重合が始まった時点から重合終了の直前に掛けてイタコン酸の重合系内への供給を連続的または断続的に行うことが好ましい。
溶液重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)などのアゾ化合物、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどの過酸化物、ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネートなどのパーエステル化合物、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリルなどの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。また、重合反応温度は、特に限定するものではないが、通常30〜90℃程度の範囲で設定することができる。操作の容易さ、及び重合の制御の点からは使用溶剤の沸点で重合を行うことが推奨される。
一方、変性PVAを製造する際の鹸化条件も特に限定されるものではなく、前述した方法で得られた重合体を、公知の方法で鹸化すればよい。一般的には、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で、分子中のエステル部を加水分解及び/または加アルコール分解することで行うことができる。このとき、重合溶媒であるアルコール中の共重合体の濃度は、特に限定されないが、10〜80質量%であることが望ましい。
その際使用されるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート及びカリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物や、アルコラートなどを用いることができる。また、酸触媒としては、例えば、塩酸及び硫酸などの無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いることができるが、特に水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
更に、鹸化反応の温度も、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る塩化ビニル系樹脂について説明する。本実施形態の塩化ビニル系樹脂は、前述した第1の実施形態のポリビニルアルコール系重合体を二次分散剤として使用し、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水中に分散させて懸濁重合することにより得られたものであり、可塑剤吸収量が18質量部以上のものである。
この塩化ビニル系樹脂は、以下に示す方法で製造される。先ず、本実施形態の塩化ビニル系樹脂の原料となる単量体は、塩化ビニル単量体単独、又は塩化ビニル単量体とこれと共重合可能な他の単量体との混合物である。混合物の場合は、塩化ビニル単量体を50質量%以上含むことが望ましい。塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体の種類は限定されず、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸メチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンなどを用いることができる。
また、本実施形態の塩化ビニル系樹脂は懸濁重合によって得ることができるが、懸濁重合において用いられる重合開始剤は限定されず、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカノエートなどのパーオキシエステル化合物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物など、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどのパーオキシド化合物が挙げられる。
更に、重合開始剤は、水又は単量体を仕込む前と仕込む後のどちらに添加してもよい。又は、予め水性エマルジョンとしてから重合槽に添加してもよい。重合開始剤の添加量は、塩化ビニル単量体又はそれを含む単量体混合物100質量部に対して、0.02〜0.2質量部であることが好ましい。
懸濁重合用の分散剤としては、本発明のポリビニルアルコール系重合体を二次分散剤として使用する以外に、一次分散剤も併用される。一次分散剤としては、ケン化度70〜90mol%であるポリビニルアルコール系重合体、メチルセルロース類、カルボキシルメチルセルロース類等が単独、あるいはこれらを組合せて用いられる。これら一次分散剤の使用量は、塩化ビニル単量体に対して0.03〜0.15質量%の範囲で用いることが望ましい。一次分散剤の使用量が0.03質量%未満の場合、塩化ビニル単量体の水への分散性が低下することがある。また、一次分散剤の量が0.15質量%を超えると、得られる塩化ビニル系樹脂の粒子径が小さくなりすぎて、排水に塩化ビニル系樹脂が混入し、排水処理が困難になる恐れがある。
本発明のポリビニルアルコール系重合体(懸濁重合用分散剤)は、二次分散剤として使用され、塩化ビニル単量体に対して、0.001〜0.06質量%の範囲で用いることが好ましい。添加量が0.001質量%未満の場合、得られる塩化ビニル系樹脂の空孔率が十分ではなく、0.06質量%を超えて加えた場合には得られた塩化ビニル系樹脂の加工性が悪化する恐れがある。
なお、本実施形態の塩化ビニル系樹脂の製造方法における種々の条件は、公知の技術を用いることができる。例えば、各原料化合物の仕込み方法や、単量体と水との仕込み比率や、重合温度や、重合転化率や、攪拌回転数等の重合条件は、特に限定されない。また、必要に応じて、消泡剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、耐電防止剤等を用いてもよい。
本実施形態の塩化ビニル系樹脂は、懸濁重合の際に、前述した第1の実施形態の分散剤を使用したことに伴い、高い空孔率を持ち、脱モノマー性に優れ、フィッシュアイが発生しにくい等の優れた特性を持っている。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、本発明の範囲内のポリビニルアルコール系重合体A〜G及び本発明の範囲から外れるポリビニルアルコール系重合体H〜Lを製造した。続いて、これら実施例及び比較例のポリビニルアルコール系重合体を分散剤として使用し、塩化ビニル系樹脂の懸濁重合を行い、得られた塩化ビニル樹脂の物性などを評価した。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1〜7]
<ポリビニルアルコール系重合体Aの製造>
酢酸ビニル10部、メタノール45部及びアゾビスイソブチロニトリル0.012部を重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温した。そして、反応液温度が60℃以上になったら、重合缶上部より、酢酸ビニル140部、メタノール49部及びイタコン酸0.68部の混合物を、13時間かけて少しずつ連続的に滴下した。滴下が終了してから1時間後、重合率95%に達した時点で重合を停止した。
次に、常法により未反応の酢酸ビニルを除去し、得られた重合体を、水酸化ナトリウムを使用し、反応温度、反応時間及び水酸化ナトリウム量を調節して、常法により鹸化した。ケン化反応終了後、90℃で90分熱風乾燥して、ポリビニルアルコール系重合体Aを得た。
<ポリビニルアルコール系重合体B〜Gの製造>
表1に記載したイタコン酸変性量、重合度、ケン化度となるように重合およびケン化条件を調整して、ポリビニルアルコール系重合体Aと同様に重合、ケン化を行い、ポリビニルアルコール系重合体B〜Gを得た。
<PVAの特性評価>
得られた変性ポリビニルアルコールA〜Gについて、重合度、ケン化度、4%水溶液/水分散液の安定性を、それぞれ下記の方法によって確認、測定した。
a)重合度:JIS K6726に準拠して測定した。
b)鹸化化度:JIS K6726に準拠して測定した。
c)4%水溶液/水分散液の安定性:濃度4質量%のポリビニルアルコール系重合体水溶液/水分散液を調製した。該水溶液/水分散液を試験管に100mL取り分けた後に密栓し、23℃の暗所に保管し、沈殿が発生するまでの日数を調べた。
<塩化ビニル単量体の懸濁重合>
翼幅37.5mmのパドル撹拌翼を備えた内容量30リットルの反応器に、水12000gと、一次分散剤としてケン化度80%のポリビニルアルコール(電気化学社製W−24N)6.0g,二次分散剤としてポリビニルアルコール系重合体A2.0gを入れて溶解した。次に、重合開始剤としてクミルパーオキシネオデカノエート0.5gとt−ブチルパーオキシネオデカノエート2.3gを仕込み、系内の窒素置換を行った後、塩化ビニル単量体5000gを仕込み、回転数650rpmで撹拌しながら、温度57.5℃で4時間反応させた。そして、内圧が0.78MPa以下になった時点で重合反応を終了させ、反応器から樹脂スラリーを取り出し、脱水乾燥して塩化ビニル樹脂の粉末を得た。
<塩化ビニル樹脂の特性評価>
得られた塩化ビニル系樹脂の平均粒子径、嵩比重及び可塑剤吸収量について評価した。平均粒径の測定はJIS K6721に準拠して、60メッシュ(目開き250μm)、80メッシュ(目開き180μm)、100メッシュ(目開き150μm)、150メッシュ(目開き106μm)、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて、累積頻度50%の粒子径を平均粒子径とした。また、嵩比重は、JIS K6720−2に準拠して測定した。なお、平均粒子径が200μm以上は粗粒とした。
ポリビニルアルコール系重合体B〜Gについても、ポリビニルアルコール系重合体Aと同様に評価を行った。評価の結果は表1にまとめて示した。
[比較例1]
本発明のポリビニルアルコール系重合体を使用せずに、一次分散剤のみを用いて実施例1と同様に塩化ビニル単量体の重合試験を実施した。結果は、表2にまとめて示した。
[比較例2〜6]
<ポリビニルアルコール系重合体H〜Lの製造>
表2に記載したイタコン酸変性量、重合度、ケン化度となるように重合およびケン化条件を調整して、実施例1と同様に重合、ケン化を行い、ポリビニルアルコール系重合体H〜Lを得た。
ポリビニルアルコール系重合体H〜Lについても、ポリビニルアルコール系重合体Aと同様に評価を行った。評価の結果は表2にまとめて示した。
表1および表2から、実施例は比較例に対して優れていることが判る。結果の概要について下記の通り記す。
比較例1: 本発明の分散剤を使用しておらず、可塑剤吸収性が劣る。
比較例2: カルボン酸を共重合していないことから、水溶性/水分散性が不足。
比較例3: カルボン酸共重合量が多過ぎるため、粒子径が粗大化している。
比較例4: 重合度が高過ぎるため、粒子径が粗大化している。
比較例5: ケン化度が低過ぎるため、水溶液/水分散液の安定性が悪い。
比較例6: ケン化度が高過ぎるため、粒子径が粗大化している。
これらの結果の様に、実施例1〜7のポリビニルアルコール系重合体は、比較例1〜6に比べて、水溶性/水分散性、塩化ビニル系樹脂の空孔率が高く、結果として可塑剤吸収量が多い、一次分散剤への悪影響が少ないことから、塩化ビニル系樹脂の平均粒径が肥大化しない等の優れた特性を示すことが判る。なお、これらの表には示さなかったが、ポリビニルアルコール系重合体の重合度を190に調整した場合は、重合体を固形状態で得られなかったためその後の評価を中止した。
Figure 2013203994
Figure 2013203994

Claims (5)

  1. 酢酸ビニルと不飽和カルボン酸とからなる重合体をケン化してなるポリビニルアルコール系重合体において、不飽和カルボン酸の共重合量が0.15mol%以上0.4mol%以下であり、重合度が200から350の範囲であり、かつケン化度が30mol%以上50mol%以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系重合体。
  2. 請求項1に記載のポリビニルアルコール系重合体において、不飽和カルボン酸がイタコン酸であることを特徴とするポリビニルアルコール系重合体。
  3. 請求項1または2に記載のポリビニルアルコール系重合体を主成分とする懸濁重合用分散剤。
  4. 請求項3に記載の懸濁重合用分散剤を使用し、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水中に分散させて懸濁重合することにより得られる、可塑剤吸収量が18質量部以上であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂。
  5. 請求項3に記載の懸濁重合用分散剤を水溶液または水性分散剤として使用し、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水中に分散させて懸濁重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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