JPH05345805A - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents

ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤

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JPH05345805A
JPH05345805A JP5035396A JP3539693A JPH05345805A JP H05345805 A JPH05345805 A JP H05345805A JP 5035396 A JP5035396 A JP 5035396A JP 3539693 A JP3539693 A JP 3539693A JP H05345805 A JPH05345805 A JP H05345805A
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均 丸山
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直樹 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔性であって、可塑吸収速度および充填比
重が高く、しかも残留塩化ビニルモノマーの除去が容易
なビニル系重合体粒子を製造するのに適したビニル系化
合物の懸濁重合用分散助剤や分散安定剤を開発するこ
と。 【構成】 けん化度60モル%以下および平均重合度4
000以上であり、かつ平均粒子径が100μm以下の
ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル系重合体を分散
質とする水性分散液からなるビニル系化合物(塩化ビニ
ル等)の懸濁重合用分散助剤である。また、この分散助
剤5〜70重量%(固形分換算)と重合度500以上の
水溶性高分子(ポリビニルアルコール等)30〜95重
量%(固形分換算)とを含有する懸濁重合用分散安定剤
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビニル系化合物の懸濁重
合用分散助剤,ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤
およびビニル系重合体の製造方法に関し、詳しくは塩化
ビニル等のビニル系化合物の懸濁重合にあたって、少量
の使用で高い分散力を有し、しかも得られるビニル系重
合体粒子を多孔性にする能力に優れた分散助剤,分散安
定剤およびビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から、工業的に塩化ビニル系樹脂等のビニル系重合体を
製造する場合、水性媒体中で分散安定剤の存在下に塩化
ビニルモノマー等のビニル系化合物を分散させ、油溶性
触媒を用いて重合を行う懸濁重合法が広く実施されてい
る。一般に、ビニル系重合体の品質を支配する因子とし
ては、重合率,水−モノマー比,重合温度,触媒の種類
および量,重合槽の型式,攪拌速度あるいは分散安定剤
の種類などが挙げられるが、なかでも分散安定剤の種類
による影響が非常に大きいことが知られている。
【0003】ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤に
要求される性能としては、(i)少量の使用で高い分散
力を示し、得られるビニル系重合体粒子の粒径分布をで
きるだけシャープにする働きのあること、(ii)可塑剤
の吸収速度を大きくして加工性を容易にするため、およ
び重合体粒子中に残存する塩化ビニルモノマー等の除去
を容易にするため、さらには成型品中のフィッシュアイ
などの生成を防止するため各重合体粒子をできるだけ均
一にしかも多孔性にする働きがあること、および(iii)
充填比重の大きい重合体粒子を形成する働きがあること
などが挙げられる。
【0004】従来、ビニル系化合物の懸濁重合用分散安
定剤としては、メチルセルロース,カルボキシメチルセ
ルロースなどのセルロース誘導体あるいは部分けん化ポ
リビニルアルコールなどがそれぞれ単独または組み合わ
せて使用されている。例えば、特開昭52−11589
0号公報には、けん化価300〜500(けん化度37.
3〜69.7モル%に相当する)および平均分子量100
00〜30000(平均重合度140〜530に相当す
る)の部分けん化ポリビニルアルコールを分散助剤とし
て用いて塩化ビニルを懸濁重合する方法が開示されてい
る。また、特開昭55−112210号公報には、けん
化価505〜600(けん化度14.6〜36.3モル%に
相当する)および4%メタノール溶液の粘度が0.5〜2.
0cps(平均重合度550以下に相当する)の部分け
ん化ポリビニルアルコールを分散助剤として用いて塩化
ビニルを懸濁重合する方法が開示されている。しかしな
がら、これらの分散助剤は、得られた塩化ビニル重合体
粒子のポロシティー(多孔性)の点では若干の効果が見
られるが、塩化ビニル重合体粒子の充填比重が低下する
という致命的欠点があった。
【0005】さらに、特開昭53−6392号公報に
は、けん化度40〜55モル%およびイソプロパノール
と水との混合溶剤(イソプロパノール:水=1:1)中
での4%粘度が5〜15mPas(平均重合度74〜7
80に相当する)である部分けん化ポリビニルアルコー
ルを分散助剤として用いて塩化ビニルを懸濁重合する方
法が開示されている。しかしながら、該公報記載の分散
助剤は、得られる塩化ビニル重合体粒子を多孔性にする
能力が低い、可塑剤吸収速度が遅い、あるいは残留ビニ
ルモノマーの除去が困難であるという欠点があった。ま
た、特開平2−167319号公報には、けん化度80
モル%,平均重合度3000のポリビニルアルコールと
けん化度40モル%,平均重合度3000のポリビニル
アルコールとからなる塩化ビニルの懸濁重合用分散剤が
開示されており、特開昭56−167745号公報に
は、けん化度65モル%以上,平均重合度100〜30
00のポリビニルアルコールを分散剤とし、けん化度2
0〜65モル%,平均重合度1000以下のポリビニル
エステルを分散質とする水性分散液が開示されており、
該水性分散液は、塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤に使
用できる旨の記載がある。しかしながら、これらの公報
に記載されている分散剤を用いても、上述の問題(塩化
ビニル重合体粒子の多孔性が低く、充填比重が低い)は
充分には解決されない。さらに、WO91/15518
号公報には、けん化度60モル%以下,平均重合度50
〜3000の末端イオン性基変性ポリビニルエステル系
重合体を分散質とする水性分散液を、塩化ビニル等のビ
ニル系単量体の懸濁重合用分散助剤に用いることが開示
されている。しかしながら、この分散助剤を用いても、
解決しがたい問題(特に、塩化ビニル重合体の充填比重
が小さい)が数多く残されている。その他、特開昭52
−110797号公報には、けん化度30〜65モル
%,重合度60〜6000の部分けん化ポリビニルアル
コールからなる塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤が開示
されている。しかしながら、この分散助剤を用いると、
得られる塩化ビニル重合体粒子のポロシティー(多孔
性)は若干改善されるが、充填比重が低く、可塑剤吸収
速度が低いという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような状況の下に、
本発明者らは、上記問題を克服してよりすぐれた懸濁重
合用の分散助剤および分散安定剤を開発すべく鋭意研究
を重ねた結果、けん化度60モル%以下,平均重合度4
000以上であり、かつ平均粒子径100μm以下のポ
リビニルエステル系重合体(以下、PVES系重合体と
略記することがある)を分散質とする水性分散液が、目
的とする性能を有する分散助剤となることを見出した。
また、それを用いた分散安定剤が目的とする性能を有す
るものになることを同時に見出した。本発明はこのよう
な知見に基いて完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、けん化度60モル%
以下および平均重合度4000以上であり、かつ平均粒
子径が100μm以下のポリビニルエステル系重合体を
分散質とする水性分散液からなるビニル系化合物の懸濁
重合用分散助剤(A)を提供するとともに、該分散助剤
(A)および重合度500以上の水溶性高分子(B)か
らなり、固形分換算の配合割合が成分(A)5〜70重
量%および成分(B)30〜95重量%であるビニル系
化合物の懸濁重合用分散安定剤を提供するものである。
さらに、本発明は、上記の分散安定剤を用いてビニル系
化合物を懸濁重合することを特徴とするビニル系重合体
の製造方法を提供するものである。
【0008】本発明による分散助剤は、上記のようにP
VES系重合体を分散質とする水性分散液であり、該P
VES系重合体は、平均重合度4000以上、好ましく
は7000以上、さらに好ましくは10000以上のも
のである。PVES系重合体の平均重合度の上限につい
ては、特に制限はないが、該重合体の製造上の観点か
ら、40000以下が好ましく、35000以下がより
好ましい。ここで、PVES系重合体の平均重合度は、
PVES系重合体を完全にけん化した後、アセチル化し
てポリ酢酸ビニルとした後、30℃におけるアセトン溶
液中の極限粘度数から、次式により求めた粘度平均重合
度(P)で表したものである。 P=(〔η〕×103 /7.94)(1/0.62) また、PVES系重合体のけん化度は、60モル%以下
であり、好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは
15モル%以下、最も好ましくは0〜5モル%、特に0
モル%である。ここで、けん化度とは、ビニルエステル
成分のけん化度を意味し、他の成分を共重合している場
合はその成分は含まない。けん化度は従来公知の化学分
析法や核磁気共鳴分析法などにより分析できる。このP
VES系重合体を構成するビニルエステル単位として
は、様々なビニルエステル化合物に由来する単位がある
が、例えば酢酸ビニル,ギ酸ビニル,プロピオン酸ビニ
ル,酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,
カプリル酸ビニル,バーサチック酸ビニルなどに由来す
るビニルエステル単位が挙げられるが、これらのビニル
エステル系単位のなかでも工業的には酢酸ビニル単位が
好ましい。本発明のPVES系重合体は、その分子中に
イオン基,親水性基,親油性基を10モル%以下含むこ
とは何ら妨げるものではない。また、分散質の平均粒子
径は、100μm以下であり、好ましくは30μm以
下、さらに好ましくは10μm以下、一層好ましくは2
μm以下、より好ましくは1μm以下、特に好ましくは
0.5μm以下である。なお、分散質の平均粒子径は、固
体として測定する場合はふるい法により、水性分散液と
して測定する場合は光透過式粒度分布測定器,沈降式粒
度分布測定器あるいは動的光散乱粒度分布測定器を用い
て測定される。
【0009】本発明に用いるPVES系重合体を製造す
るには、通常公知の方法、例えば塊状重合,溶液重合,
懸濁重合,エマルジョン重合,分散重合のいずれの方法
も採用し得るが、工業的には溶液重合,エマルジョン重
合,分散重合が好ましい。また重合プロセスとしては、
回分法,半回分法,連続法いずれのプロセスにおいても
製造可能である。このPVES系重合体が部分けん化物
である場合には、ポリビニルエステルをけん化してPV
ES系重合体を得ることができる。具体的には通常公知
の方法、すなわちアルカリけん化,酸けん化のいずれも
採用できるが、工業的にはメタノール溶媒で水酸化ナト
リウムやナトリウムメトキシドを触媒としたメタノール
分解が最も有利である。けん化温度は特に制限はない
が、得られるPVES系重合体の着色防止という観点か
ら、20〜60℃で行うのが好ましい。また触媒とする
水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシドの量は、ビニ
ルエステル単位1モルに対して通常0.2モル以下が得ら
れるPVES系重合体の着色防止や酢酸ナトリウムの量
を低く抑えるという点から好ましい。
【0010】本発明におけるPVES系重合体を分散質
とする水性分散液は、分散質の平均粒子径が100μm
以下であれば、その製法はいずれの方法でもよい。例え
ば懸濁重合,エマルジョン重合,分散重合により得られ
た水性分散液をそのまま用いる方法、あるいはこれらの
水性分散液をスラリー状でけん化する方法が可能であ
る。また、一旦PVES系重合体あるいは部分けん化P
VES系重合体として単離した後、ジェットミル粉砕な
どで機械的に粉砕する方法、あるいはイオン系,ノニオ
ン系界面活性剤、または一般公知のポリビニルアルコー
ル(以下、PVAと略記する)などを、本発明の性能を
低下させない程度添加して、分散質の平均粒子径が10
0μm以下の水性分散液を得る方法などが可能である。
また、上述のPVES系重合体を一旦単離し、一般公知
の分散安定剤とともに溶剤に溶解し、攪拌下に水に投入
することにより水性分散液を得る方法も可能である。ま
た、水性分散液の濃度に関しては特に制限はない。
【0011】次に、本発明のビニル系化合物の懸濁重合
用分散安定剤(C)について説明する。本発明の分散安
定剤(C)は、上記の分散助剤(A)および重合度50
0以上の水溶性高分子(B)からなり、固形分換算の配
合割合が成分(A)5〜70重量%および成分(B)3
0〜95重量%であるものである。ここで、水溶性高分
子(B)としては、重合度が500以上であれば特に制
限はないが、従来公知のビニル系化合物の懸濁重合用の
分散剤(あるいは分散安定剤)が好ましく、なかでも、
けん化度が60モル%より大きく90モル%以下であっ
て平均重合度が500以上のPVA系重合体が特に好ま
しい。また、従来公知のヒドロキシプロピルセルロー
ス,メチルセルロース等のセルロース誘導体の使用も可
能である。これらの水溶性高分子(B)は主分散剤とし
て機能する。本発明の分散安定剤(C)において、上記
分散助剤(A)の配合割合は5重量%未満では、その添
加効果が小さく、また70重量%を超えると、重合安定
性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0012】本発明の分散安定剤(C)のさらに好まし
い態様として、固形分換算で上記の分散安定剤(C)1
00重量部に対して、けん化度60モル%以下および平
均重合度1000以下のPVES系重合体(D)を5〜
100重量部含有する分散安定剤(E)が挙げられる。
PVES系重合体(D)のけん化度は、60モル%以下
であり、15〜55モル%が好ましく、25〜45モル
%がより好ましい。PVES系重合体の平均重合度は、
1000以下であり、600以下が好ましく、150〜
550がより好ましい。このPVES系重合体(D)
は、カルボン酸基,スルホン酸基,アミノ基またはそれ
らの塩、あるいは各種イオン基で変性されたものでもよ
い。
【0013】次に、本発明によるビニル系重合体の製造
方法について説明する。本発明の方法は、本発明の分散
安定剤(C)を用いてビニル系化合物を懸濁重合するこ
とを特徴とするものである。本発明の分散安定剤(C)
を用いてビニル系化合物を懸濁重合(例えば塩化ビニル
を単独またはこれを主体とし、これと共重合しうるモノ
マーとの混合物を懸濁重合)する際には、通常、水媒体
に分散安定剤を添加し、塩化ビニルまたはこれと共重合
しうるモノマーとの混合物を分散させ、油溶性触媒の存
在下で行われる。分散安定剤は、上記の分散助剤(A)
と水溶性高分子(B)を別々に加えてもよいし、両者を
混合した後加えてもよい。また、本発明の分散安定剤
(C)を用いると、昇温時間を短縮する目的で40℃以
上の加熱水媒体を重合反応系へ仕込む場合であっても、
フィッシュアイが少なく、可塑剤吸収性,脱モノマー性
の良好な高品質のビニル系重合体を得ることができる。
【0014】本発明の分散安定剤(C)は、重合原料で
あるビニル系化合物に対して、通常は固形分換算で0.0
05〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲
で使用される。懸濁重合に際して用いられる触媒は、油
溶性の触媒であればいずれでもよく、例えばベンゾイル
パーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド,ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート,2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル,2,2’−アゾビス−2,4−ジ
メチルバレロニトリルあるいはこれらの混合物が使用さ
れる。また、重合温度は、一般には30〜70℃程度の
範囲から選択される。本発明の分散安定剤(C)を用い
てビニル系化合物を懸濁重合する際には、カチオン性,
ノニオン性の各種界面活性剤を1種又は2種以上併用し
てもよい。また、添加剤として、ポリメタクリル酸メチ
ル,ポリスチレンなどを少量添加することもできる。
【0015】本発明の方法で重合されるビニル系化合物
としては、塩化ビニル単独のほか、塩化ビニルを主体と
する単量体混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含
され、この塩化ビニルと共重合されるコモノマーとして
は、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニルなどのビニルエス
テル、アクリル酸メチル,アクリル酸エチルなどのアク
リル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレ
ン,プロピレンなどのオレフィン、無水マレイン酸,ア
クリロニトリル,イタコン酸,スチレン,塩化ビニリデ
ン,ビニルエーテル、その他塩化ビニルと共重合可能な
単量体が例示される。さらには、塩化ビニルを含まない
上記ビニル化合物の単独重合や共重合にあたっても、本
発明の方法を適用することは可能である。以上主として
塩化ビニルの重合について説明したが、本発明の分散助
剤(A)および分散安定剤(C)は必ずしも塩化ビニル
の懸濁重合用に限定されるものではなく、スチレン,メ
タクリレートなどのビニル系化合物の懸濁重合用にも用
いられる。
【0016】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の分散助剤および分散安定剤はこれ
らの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施
例において、「部」は「重量部」を示す。 実施例1〜11および比較例1〜5 第1表に示す分散助剤(A)(ポリ酢酸ビニル)および
主分散剤(B)(PVA)よりなる分散安定剤(C)を
使用して塩化ビニルの懸濁重合を下記方法で実施した。
成分(A)の水性分散液の調整方法は、成分(B)の水
への溶解時に攪拌下で成分(A)の粉末を添加して分散
させた(以下の実施例および比較例において同じ)。す
なわち、30リットルのグラスライニングオートクレー
ブに脱イオン水50部,第1表に示す主分散剤(B)
(PVA)の2重量%水溶液の所定量,分散助剤(A)
(ポリ酢酸ビニル)の2重量%水性分散液の所定量およ
びジイソプロピルパーオキシジカーボネートの50重量
%トルエン溶液0.009部を仕込み、オートクレーブ内
を50mmHgとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩
化ビニルモノマーを30部仕込み、攪拌下に57℃に昇
温して重合を行った。重合開始時、オートクレーブ内の
圧力は8.5kg/cm2 Gであったが、重合開始7時間
後に4.5kg/cm2 Gとなったので、この時点で重合
を停止し、未反応塩化ビニルモノマーをパージし、内容
物を取り出し脱水乾燥した。得られた塩化ビニル樹脂の
重合収率は88%であり、平均重合度は1050であっ
た。分散安定剤の物性と使用量および得られた塩化ビニ
ル樹脂の性能を第1表に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】実施例12〜20および比較例6 第2表に示す主分散剤(B)および分散助剤(A)を使
用して塩化ビニルの懸濁重合を下記方法で実施した。す
なわち、30リットルのグラスライニングオートクレー
ブに第2表に示す主分散剤(B)(PVA)の2重量%
水溶液の所定量,分散助剤(A)(ポリ酢酸ビニル)の
2重量%水性分散液の所定量およびジイソプロピルパー
オキシジカーボネートの50重量%トルエン溶液0.00
9部を仕込み、オートクレーブ内を50mmHgとなる
まで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニル単量体30部
および63℃に加熱した脱イオン水45部を仕込み、攪
拌下に重合を行った。仕込み後の内温は57℃であっ
た。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は8.5kg/
cm2 Gであったが、重合開始7時間後に4.5kg/c
2 Gとなったので、この時点で重合を停止し、未反応
塩化ビニル単量体をパージし、内容物を取り出し脱水乾
燥した。得られた塩化ビニル樹脂の重合収率は88%で
あり、平均重合度は1050であった。この塩化ビニル
樹脂の性能を第2表に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】実施例21〜25および比較例7〜8 第3表に示す主分散剤(A)(PVA)および分散助剤
(A)(ポリ酢酸ビニル)を使用した以外は、実施例1
〜11と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。得
られた塩化ビニル樹脂の性能を第3表に示す。
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】なお、第1,2および3表における結果
は、下記の方法により測定したものである。 (1)平均粒子径 タイラーメッシュ基準の金網を使用して乾式篩分析によ
り測定した。 (2)充填比重 JIS K6721−1959に準拠して測定した。 (3)可塑剤吸収性 プラストグラフに接続させたプラネタリーミキサーを用
い、80℃に保った容器内に塩化ビニル樹脂100部,
ジオクチルフタレート50部を投入し、攪拌しながら各
時間毎の混練トルクを記録し、混練トルクが低下した点
における混練時間で表示する。 (4)残留塩化ビニルモノマー ヘッドスペースガスクロマトグラフにより塩化ビニル樹
脂中の塩化ビニルモノマー含有量を定量した。 (5)分散助剤の平均粒子径の測定は、大塚電子(株)
製:ELS−800(1μm未満の場合)または堀場
(株)製:CAPA−700(1〜30μmの場合)ま
たはセイシン企業(株)製:SKC−2000S(30
μmより大の場合)を用いた。 (6)フィッシュアイ測定法 重合により得られた塩化ビニル樹脂100重量部,三塩
基性硫酸鉛1重量部,ステアリン酸鉛1.5重量部,二酸
化チタン0.2重量部,カーボンブラック0.1重量部,ジ
オクチルフタレート50重量部を混合した組成物25g
を145℃のロールで5分間混練し、0.2mm厚のシー
トとして分取し、このシート100cm2 の透明粒子の
数をもって示した。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなとおり、本発明
の分散助剤からなる分散安定剤は、従来の分散助剤およ
び分散安定剤に比べて、得られるビニル系重合体粒子を
多孔性にする能力が非常に高く、可塑吸収速度が高く、
残留塩化ビニルモノマーの除去が容易であり、かつ充填
比重が高いことなどのすぐれた性能を有する。また、得
られるビニル系重合体粒子は、粒子径が大きくその分布
がシャープで、取扱い時の粉の飛散が少なく、かつ成型
機などへのくい込み性が良いことなど、様々な点におい
てすぐれたものである。得られた塩化ビニル重合体粒子
中の残留塩化ビニルモノマー(発癌性物質)が少ないこ
とは、塩化ビニル重合体粒子を取り扱う作業者の塩化ビ
ニルモノマー被曝量が低下し、作業環境,作業衛生の観
点から重要である。また、得られた塩化ビニル重合体粒
子の可塑剤吸収速度が早いことは、成形時の可塑剤との
混練時間が短くても良いことを意味しており、塩化ビニ
ル樹脂の成形効率の観点から重要である。さらに、得ら
れた塩化ビニル重合体粒子の充填比重が高いことは、成
形機への仕込み効率が高くなることを意味し、塩化ビニ
ル樹脂の成形効率の観点から重要である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 和俊 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けん化度60モル%以下および平均重合
    度4000以上であり、かつ平均粒子径が100μm以
    下のポリビニルエステル系重合体を分散質とする水性分
    散液からなるビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  2. 【請求項2】 けん化度が0モル%である請求項1記載
    のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の分散助剤(A)
    および重合度500以上の水溶性高分子(B)からな
    り、固形分換算の配合割合が成分(A)5〜70重量%
    および成分(B)30〜95重量%であるビニル系化合
    物の懸濁重合用分散安定剤(C)。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の分散安定剤(C)並びに
    けん化度60モル%以下および平均重合度1000以下
    のポリビニルエステル系重合体(D)からなり、固形分
    換算の配合割合が成分(C)100重量部に対して成分
    (D)5〜100重量部であるビニル系化合物の懸濁重
    合用分散安定剤。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の分散安定剤(C)を用い
    てビニル系化合物を懸濁重合することを特徴とするビニ
    ル系重合体の製造方法。
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