JP4390992B2 - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents

ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤に関し、更に詳しくはポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビニル系化合物(特に塩化ビニル)の懸濁重合用分散助剤としてポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルエステル系重合体のケン化物等)を用いることが知られており、例えば、▲1▼特開平3−134003号公報には、側鎖にアミノ基またはアンモニウム基を0.01〜10モル%含有し、重合度が100以上でケン化度が40〜80モル%のビニルエステル系重合体が、▲2▼特開平4−93301号公報には、ケン化度が55モル%以下で重合度が1000〜3500のポリビニルエステル系重合体が、▲3▼特開平4−117402号公報には、ビバリン酸ビニル単位を有するケン化度が50モル%未満のポリビニルエステル系重合体が、▲4▼特開平4−154810号公報には、側鎖にアミノ基、アンモニウム基、カルボキシル基またはスルホン基を0.1〜10モル%有してケン化度70モル%以下のポリビニルエステル系重合体を分散質とする水性分散液が、▲5▼特開平5−247106号公報には、末端にイオン性基を有するケン化度60モル%以下のポリビニルエステル系重合体からなる分散助剤をビニル系単量体の懸濁重合に用いることが、▲6▼特開平9−77807号公報には、ヒドロキシアルキルを側鎖に有したケン化度65モル%未満のビニルエステル系重合体が、▲7▼特開平10−168128号公報には、片末端にイオン性基を有するケン化度10〜85モル%、重合度50〜3000のポリビニルアルコール系重合体が、それぞれ開示され、本出願人にも、1)オキシアルキレン基の含有量が0.5〜10モル%でケン化度が70モル%以下のビニルエステル系樹脂を10〜50重量%含有する水性液(特開平9−100301号)、2)水性分散液とした場合のpHが4.0〜7.0で、側鎖又は末端にイオン性基を10モル%以下含有し、ケン化度が60モル%以下のビニルエステル系重合体(特開平10−152508号)、3)側鎖又は末端にスルホン酸基を0.01〜0.3モル%及びカルボキシル基を0.05〜1.0モル%有し、且つスルホン酸基とカルボキシル基のモル比が0.1〜0.5で、ケン化度が60モル%以下のポリビニルエステル重合体(特開平9−183805号)をそれぞれ提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼、▲5▼、▲7▼の開示技術では、塩化ビニルの懸濁重合の際に、pH調整剤として緩衝剤を使用するような場合では、水溶液中での分散助剤(ビニルエステル系重合体)の分散状態が安定せず、実用上満足できる自己乳化性が得られなかったり、該分散助剤を使用して得られる塩化ビニルの品質(粒径や嵩密度等)が安定しなかったり、又、該分散助剤は製造時、特に乾燥工程等において着色し、更に熱安定性に劣り、該分散助剤を用いて得られたビニル系化合物のフィッシュアイが多くなる等の問題があり、▲2▼の開示技術では、得られるビニルエステル系重合体のケン化度が55モル%以下であるため水に不溶で作業性に問題があり、▲3▼の開示技術では、ビバリン酸ビニルが高価で工業的に不利で、また、ケン化度が50モル%未満では水に不溶で作業性に問題があり、▲4▼の開示技術では、重合時の緩衝剤の使用量、緩衝剤の投入時期等により重合系のpH値が変化するためか、助剤の性能(ポロシティアップ、ポロシティ分布の均一性、脱モノマー性や可塑剤吸収性の向上等)を十分に発揮できない場合があり、更には、重合安定性が低下したり、スケールの付着が著しくなる等の恐れもあり、▲7▼の開示技術でも得られるビニルエステル系重合体のケン化度が65モル%以下であるため水に不溶で作業性に問題がある。
【0004】
また、本出願人が提案した1)の分散助剤においては、塩化ビニルの懸濁重合時に塩化ビニルモノマーに溶解する成分量が不十分なためか、フィッシュアイの低減速度の改善効果については未だ改善の余地があることが判明し、2)の分散助剤においては、分散助剤を水溶液にした場合に溶液濃度を高濃度化することができない等の問題が残り、3)の分散助剤においても得られる塩化ビニルの粒子形状については球形度が高くなるものの、塩化ビニルモノマーへ溶解する成分量が一部スルホン酸変性されているために減少し、塩化ビニルのフィッシュアイ減衰速度の改善効果や塩化ビニル懸濁重合の安定性に問題が残り改善の余地が残るものであった。
また、これらの分散助剤については、その主成分であるビニルエステル系重合体(ポリビニルアルコール系樹脂)の生産性や取扱性についても改善の余地が残るものである。
【0005】
このような背景下において、本発明では懸濁重合時の懸濁重合安定性が良好で、かつ嵩密度が高く、アジピン酸エステル系やトリメリック酸エステル系のような嵩高い可塑剤に対しても可塑剤吸収性に優れ、かつ懸濁重合終了後の未反応のビニルモノマーの脱モノマー性に優れ、フィッシュアイの低減や重合時のスケール防止等の性能にも優れ、中でも特に嵩密度が高く可塑剤吸収性に優れたビニル系重合体を得ることができ、更には生産性や取扱性にも優れるビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤(以下、単に分散助剤と称することがある)を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、末端に炭素数5以上のアルキルメルカプト基を有し、かつオキシアルキレン基を含有する、ケン化度が70モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂を用いた分散助剤が、上記の目的に合致することを見いだして本発明を完成するに至った。
【0007】
また、本発明においては、かかるアルキルメルカプト基の炭素数の上限が12である時、更にはかかるポリビニルアルコール系樹脂を濃度が50重量%以下の水性液として用いるときに本発明の作用効果を顕著に得ることができ、また、本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤は、下記(1)式の条件を満足するポリビニルアルコール系樹脂の懸濁重合用主分散剤(以下、単に主分散剤と称することがある)と共に用いることも好ましい。
0.0300≦(3−Y)/X≦0.0330 ・・・(1)
【0008】
ここで、Xはケン化度(モル%)、Yはヨード呈色度を表し、かかるヨード呈色度とは、0.1重量%に調製した試料(ポリビニルアルコール系樹脂)溶液5ml、純水11ml、1/1000[N]ヨード溶液4mlを混合し、25℃に調節して20分間静置させた後、波長490nm、スリット幅1mmにて吸光度を測定した値である。
尚、上記のオキシアルキレン基とは下記一般式(2)で表されるものである。
【0009】
Figure 0004390992
【0010】
但し、上記において、R1、R2は水素又はアルキル基、Xは水素、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基等のいずれかの有機残基、n(オキシアルキレンの付加モル数)は正の整数を示す。
【0011】
尚、Xは通常は水素又はアルキル基で、nの数は特に限定されないが、1〜100(更には3〜20、特には4〜19、殊には5〜18)が好ましく、かかるnの数が3未満ではビニルエステル系重合体を水性液にした場合に水性液の分散安定性が低下し、逆に20を越えると懸濁重合で得られるビニル系重合体のポロシティ分布の均一性、ポロシティ向上効果、脱モノマー性等が低下して好ましくない。また、上記のオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が効果的であるが、水性液の分散安定性点で、ポリオキシエチレン基がより効果的である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤は、末端に炭素数5以上のアルキルメルカプト基を有し、かつオキシアルキレン基を含有するポリビニルアルコール系樹脂からなるもので、かかるポリビニルアルコール系樹脂について説明する。
【0013】
かかるポリビニルアルコール系樹脂を得る方法としては、特に限定はされないが、炭素数5以上のアルキルメルカプト基を有する化合物を連鎖移動剤として用いてオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステル系化合物を共重合し、得られたビニルエステル系共重合体をケン化する方法等を挙げることができ、以下、この方法について更に説明する。
【0014】
炭素数5以上のアルキルメルカプト基を有する化合物としては、n−ペンチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ラウリルメルカプタン等を挙げることができ、かかる炭素数の上限は12とすることが好ましく、かかる炭素数が12を越えると(塩化)ビニル系モノマーへの溶解性が大きくなりすぎたり、また、分散助剤の水性液の粘度が高くなりすぎたりして好ましくない。また、該炭素数が5未満では(塩化)ビニル系モノマーへの溶解性が小さくなったり、(塩化)ビニル系モノマーへの吸着速度が遅くなったりして本発明の目的を達成することが困難となる。
【0015】
オキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては次の様なものが例示されるが、本発明ではこれらのみに限定されるものではない。
[(メタ)アクリル酸エステル型]
【0016】
Figure 0004390992
【0017】
上記一般式(3)で示される (但し、Rは水素又はメチル基、R1,R2はそれぞれ水素又はアルキル基、R3は水素又はアルキル基又はアルキルアミド基、Aはアルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基のいずれか、mは0又は1以上の整数、nは1〜100の整数)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[(メタ)アクリル酸アミド型]
【0018】
Figure 0004390992
【0019】
上記一般式(4)で示される(但し、R4は水素又はアルキル基又は下記一般式(5)で示されるもの、A,R,R1,R2,R3,m,nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル等が挙げられる。
【0020】
Figure 0004390992
【0021】
〔但しR1、R2,R3は上記と同様、nは1〜300の整数を示す〕
[(メタ)アリルアルコール型]
【0022】
Figure 0004390992
【0023】
上記一般式(6)で示される(R,R1,R2,R3,nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
[ビニルエーテル型]
【0024】
Figure 0004390992
【0025】
上記一般式(7)で示される(A,R1,R2,m,nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。
上記のオキシアルキレン基を有する不飽和単量体の中で(メタ)アリルアルコール型のものが好適に使用される。
【0026】
また、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン等のポリオキシアルキレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレンビニルアミン等を用いることも可能である。
【0027】
ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが実用上は酢酸ビニルが好適である。
【0028】
上記の如きアルキルメルカプト基を有する化合物を連鎖移動剤として用いて、オキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステル系化合物(酢酸ビニル)を共重合するにあたっては、下記の関係式(8)に従って、目的とする重合度に応じたアルキルメルカプト基を有する連鎖移動剤(例えばラウリルメルカプタン)の初期仕込量を決めて重合を開始して、その後、連鎖移動剤の消費速度に合わせて下記の関係式(9)に従って連鎖移動剤を追加仕込みするようにすればよい。
【0029】
1/P=Cm+Cs([S]/[M])+Cx([X]/[M])・・・(8)
追加仕込量=Cx([X]/[M])×Rp ・・・(9)
ここで、Pは目的とする重合度、Cmはモノマーに対する連鎖移動定数[酢酸ビニル=4.8×10-3×e(-1096/T)]、Csは溶媒に対する連鎖移動定数[メタノール=2.0×10-4(60℃)]、Cxは連鎖移動剤の連鎖移動定数、[S]は溶媒濃度(モル/リットル)、[M]はモノマー濃度(モル/リットル)、[X]は連鎖移動剤の初期添加濃度(モル/リットル)、Rpは重合速度(モル/リットル/秒)である。尚、Tは重合温度(K)を示す。
【0030】
上記の共重合を行うに当たっては、特に制限はなく公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合も可能である。かかる溶液重合において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステル系化合物の全量と前記のオキシアルキレン基を有する不飽和単量体の一部を仕込み、重合を開始し、残りの不飽和単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、前者を一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。共重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われる。又反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0031】
尚、本発明においては、かかる重合の際に前述した如きアルキルメルカプト基を有する化合物、オキシアルキレン基を有する不飽和単量体、ビニルエステル系化合物以外の他の一般の単量体を本発明の目的を阻害しない範囲で少量存在せしめて重合を行なっても良く、これらの単量体を次に例示する。
【0032】
[エチレン性不飽和カルボン酸及びそのアルキルエステル等]
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、オレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
【0033】
[飽和カルボン酸のアリルエステル]
ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等。
[α−オレフィン]
エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等。
【0034】
[エチレン性不飽和カルボン酸]
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ならびにこれられのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等。
[アルキルビニルエーテル]
プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等。
【0035】
[アルキルアリルエーテル]
プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等。
その他、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等の使用も可能である。
【0036】
かくして得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化に当たっては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用できるが、工業的には該共重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下に行なわれる。該アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。また、必要に応じて、0.3〜10重量%程度の水を加えても良く、更には、ケン化時の溶媒の誘電率制御の目的で酢酸メチル等の各種エステル類やベンゼン、ヘキサン、DMSO等の各種溶剤類を添加しても良い。
【0037】
ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を具体的に挙げることができ、かかる触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。
【0038】
かくして分散助剤に用いるポリビニルアルコール系樹脂が得られるわけであるが、本発明においては、かかるポリビニルアルコール系樹脂中の炭素数5以上のアルキルメルカプト基の含有量を1分子当たり0.2個以上とすることが好ましく、かかる含有量が0.2個未満では(塩化)ビニルモノマーへの溶解速度が小さくなって好ましくない。
【0039】
また、同様にオキシアルキレン基の含有量は0.5〜6.0モル%とすることが好ましく、かかる含有量が0.5モル%未満ではポリビニルアルコール系樹脂を水性液にしたときに水性液の放置安定性が低下し、逆に6.0モル%を越えると懸濁重合して得られる(塩化)ビニル系重合体のポロシティ分布の均一性、ポロシティ向上効果、脱モノマー性等が低下して好ましくない。尚、かかる含有量の更に好ましい下限は0.7モル%で特には1.0モル%であり、更に好ましい上限は4.0モル%で特には2.5モル%である。
【0040】
更に、かかるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は70モル%以下であり、かかるケン化度が70モル%を越えると得られるビニル系化合物の可塑剤吸収性が低下して好ましくない。尚、かかるケン化度の更に好ましい上限は60モル%で特には50モル%であり、下限については制限はないが、懸濁重合時の安定性(ビニル系重合体の粗粒が少ない、ビニル系重合体の粒径分布が広くならない)の観点より敢えて言及すれば、10モル%を下限とすることが好ましく、更には20モル%で特には30モル%である。
【0041】
かかるポリビニルアルコール系樹脂の4%粘度(ポリビニルアルコール系樹脂を完全ケン化したときの4重量%水溶液の20℃における粘度)についても特に限定されないが、0.5〜10.0mPa・sが好ましく、かかる粘度が0.5mPa・s未満では、懸濁重合終了後の脱モノマー工程で発泡の原因となり、逆に10.0mPa・sを越えると、分散助剤水性液の樹脂濃度が上げられず、敢えて樹脂濃度を上げると水性液の流動性が低下したりゲル状となったり、また懸濁重合時の界面活性能が低下したりして好ましくない。尚、かかる粘度の更に好ましい下限は1.5mPa・sで特には1.8mPa・sであり、更に好ましい上限は7.0mPa・sで特には3.0mPa・sである。
【0042】
かくして得られたポリビニルアルコール系樹脂は、分散助剤として用いられるのであるが、かかる分散助剤は、かかるポリビニルアルコール系樹脂を分散質として、水中に10〜50重量%の割合で分散又は溶解させた水性液とすることも好ましく、該樹脂の割合が10重量%未満では、該水性液の放置安定性が低下し、逆に50重量%を越えると該水性液の流動性が著しく低下したり或いはゲル状となったりするため、水性液としての使用形態が好ましくなくなる。尚、分散助剤として、反応缶に添加するとき、添加する直前に1重量%程度に希釈して使用することも可能である。
【0043】
かかる水性液を得る方法としては、特に限定されず、ケン化時のアルコールをスチーム等の吹き込みにより水に置換する方法、撹拌下で水中へポリ酢酸ビニル系重合体を投入し、引き続き撹拌する方法、更に加熱を併用する方法、また溶剤(アルコール)を反応缶外に溜出させた後に水を加える方法等が挙げられる。
【0044】
本発明の水性液からなる分散助剤は、樹脂分10〜50重量%で、分散剤や乳化剤を使用しなくても1年以上の良好な放置安定性が得られる。
また、本発明の分散助剤には、本発明の効果を阻害しない範囲においてカチオン系、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤等を加えてもよい。
【0045】
次に、本発明の分散助剤を用いた場合のビニル系化合物の懸濁重合について説明する。
ビニル系化合物としては塩化ビニルモノマー単独のほか、塩化ビニルモノマーを主体とするモノマー混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化ビニルモノマーと共重合されるコモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンその他塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーが例示される。
【0046】
また、本発明の分散助剤は必ずしも塩化ビニルモノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イソブテン、ブタジエンなどのα−オレフィン及びエチレンなどの群からなる1種又は2種以上の成分を含有するビニル化合物の懸濁重合にも用いられるが、塩化ビニルモノマーの懸濁重合を主体に以下具体的に説明する。
【0047】
該重合を実施するに当たっての各成分の仕込み割合、重合温度等は従来塩化ビニルの懸濁重合で採用されている条件に準じて定めればよく、特に限定する理由は存在しないが、主分散剤と共に本発明の分散助剤を用いて、塩化ビニルモノマーを懸濁重合する際には通常、水媒体に分散安定剤(主分散剤と分散助剤)を添加し、塩化ビニルモノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合が行われる。本発明の分散助剤を分散質とする水性分散液は、上述の水性液を用いればよい。
【0048】
かかる方法において、分散助剤は主分散剤と共に粉末のまま或いは溶液状にして加えられる。メタノール溶液や水溶液として使用することができ、好ましくは水溶液として加えられる。該分散助剤は塩化ビニルモノマーに対して0.01〜0.15重量%、好ましくは0.01〜0.06重量%、特に好ましくは0.01〜0.04重量%で使用される。該分散助剤が0.15重量%を越えると塩化ビニルの懸濁重合が不安定となり、粗粒子が生成し、逆に0.01重量%未満では重合時の油滴の合一・再分散が不十分となり、残存する塩ビモノマーの除去性が低く、或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない傾向がある。
【0049】
また、主分散剤としては特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が用いられるが、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂が用いられる。
【0050】
かかるポリビニルアルコール系樹脂のケン化度65〜95モル%(更には69〜85モル%)が好ましく、重合度は200〜3500(更には500〜2500)が好ましい。また、かかるポリビニルアルコール系樹脂としてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセトアセチル基、エチレン、α−オレフィン、ジアセトンアクリルアミド等を10モル%以下の少量含有するものや分子内にカルボニル基を有するポリビニルアルコールや共役二重結合を含有するポリビニルアルコールも使用することができる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂の中でも、下記(1)式を満足するものが好ましく、更に好ましくは下記(1’)式を満足するものであり、特に好ましくは下記(1”)式を満足するものである。
【0051】
0.0300≦(3−Y)/X≦0.0330 ・・・(1)
0.0300≦(3−Y)/X≦0.0320 ・・・(1’)
0.0310≦(3−Y)/X≦0.0320 ・・・(1”)
ここで、Xはケン化度(モル%)、Yはヨード呈色度を表し、かかるヨード呈色度とは、0.1重量%に調製した試料(ポリビニルアルコール系樹脂)溶液5ml、純水11ml、1/1000[N]ヨード溶液4mlを混合し、25℃に調節して20分間静置させた後、波長490nm、スリット幅1mmにて吸光度を測定した値である。
尚、ポリビニルアルコール系樹脂に変性基が含まれる場合には、ケン化度には変性基は含まれず、ビニルエステル基とビニルアルコール基のみから求められる。
【0052】
上記(1)式において、(3−Y)/Xが0.0300未満となるポリビニルアルコール系樹脂の生産は工業的でなく、又、0.0300未満又は0.0330を越えると塩化ビニル重合体粒子や塩化ビニルモノマーへのポリビニルアルコール系樹脂の吸着速度が低下したり、吸着量が低下して得られる塩化ビニル樹脂のフィッシュアイの減衰速度が遅くなって好ましくない。
【0053】
上記(1)式を満足するポリビニルアルコール系樹脂を得る方法としては特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール系樹脂の製造方法において、ケン化溶媒の誘電率をコントロールする方法等により製造することができる。
【0054】
即ち、ケン化時の溶媒の誘電率が32c.g.s.e.s.u.以下となるような溶媒を用いればよく、かかる誘電率が32c.g.s.e.s.u.以下の溶媒としては、例えばメタノール(31.2c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=1/3(重量比)の混合溶媒(27.1c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=1/1(重量比)の混合溶媒(21.0c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル/メタノール=3/1(重量比)の混合溶媒(13.9c.g.s.e.s.u.)、酢酸メチル(7.03c.g.s.e.s.u.)、イソプロピルアセテート(6.3c.g.s.e.s.u.)、トリクロロエチレン(3.42c.g.s.e.s.u.)、キシレン(2.37c.g.s.e.s.u.)、トルエン(2.38c.g.s.e.s.u.)、ベンゼン(2.28c.g.s.e.s.u.)、アセトン(21.4c.g.s.e.s.u.)等が挙げられる。
【0055】
主分散剤の添加量は、塩化ビニルモノマー100重量部に対して一般的には0.01〜0.5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.1重量部で、特に好ましくは0.05〜0.09重量部である。
【0056】
本発明の分散助剤と主分散剤の重量比は、分散助剤/主分散剤=10/90〜70/30、更に好ましくは分散助剤/主分散剤=20/80〜40/60であり、この重量比が10/90より小さい場合には、粒子のポロシティ分布が一定にならず、脱モノマー性、ゲル化性等が低下し、フィッシュアイも増加する傾向にあり、逆に重量比が70/30より大きい場合には重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があり、塩化ビニル重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、フィッシュアイの減衰速度も低下して好ましくない。
更に、上記の分散助剤及び主分散剤以外の公知の分散剤(アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタンエステル系、ポリエーテル系混合物等)を必要に応じて1種又は2種以上併用することも可能である。
【0057】
一方、重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を単独又は組合わせて使用することができる。かかる重合開始剤を反応系に仕込むタイミングは、RC稼働前に仕込んでも、RC稼働直後に仕込んでも良い。
更に、その他の添加剤として、例えば重合度調整剤、加工性改良剤、帯電防止剤、pH調整剤、酸化防止剤、スケール防止剤、連鎖移動剤、ゲル防止剤等を1種又は2種以上使用できる。
【0058】
また、スケーリング防止のため、適当量のチオシアン酸アンモニウムや亜硝酸塩等の水溶性の重合禁止剤を添加してもよい。又、「NOXOL WSW」、「NOXOL ETH」(以上CIRS社製)等の公知のスケーリング防止剤が反応缶内壁に塗布されていてもよい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお,実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0060】
下記の如く分散助剤及び主分散剤に用いるポリビニルアルコール系樹脂を製造した。
[分散助剤用のPVAの製造]
【0061】
〔pva−1〕
先ず、予備実験として、ラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)存在下での酢酸ビニルとポリオキシエチレンアリルエーテル(n=8)の共重合を行いラウリルメルカプタンの連鎖移動定数を決定した。
【0062】
更に、別の予備実験から以下に述べる重合条件での初期重合速度(Rpo)を求めた。
酢酸ビニル964.6部、メタノール289.3部、ポリオキシエチレンアリルエーテル(n=8)112.1部を反応缶に仕込み、内部を十分に窒素置換した後、ジャケット温度を70℃にした。反応液の還流が始まった後、重合度目標を165として計算量の初期ラウリルメルカプタンを反応缶内部に加えた。続いて、重合開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)6部を反応液に加えて重合反応を開始した。
【0063】
AIBNを仕込んだ3分後に、前述の式(9)で求められる追加仕込量のラウリルメルカプタンを重合反応終了まで連続滴下した。尚、メルカプタンは酸化されやすいので滴下ロート内の雰囲気は窒素雰囲気とした。反応開始の3時間目にAIBN2部を追加した。重合開始10時間後に150部のメタノールと0.05部のパラベンゾキノンを加えて重合を停止した。重合停止後の重合率は90%であった。続いて、残存モノマーを追い出した後、残存モノマー追い出し後のペースト100部(樹脂分45%)に対して3.4%の水酸化ナトリウムの水/メタノール溶液(水/メタノール=2.7/2.9重量比)を加えてケン化化反応を行った後、十分に乾燥を行てポリビニルアルコールを得て、ニーダーで40%水溶液に調製した。
【0064】
得られたポリビニルアルコールのケン化度は45モル%、オキシアルキレン基の含有量は2.1モル%(1H−NMRにより測定)、アルキルメルカプト基の含有量は1分子あたり1個(同上)、完全ケン化化後の4%粘度は2.0mPa・sであった。
【0065】
〔pva−2〕
上記のpva−1において、酢酸ビニルを931.6部、メタノールを279.5部とし、ラウリルメルカプタンをn−ドデシルメルカプタンに変更し、更にオキシアルキレン基含有モノマーとしてポリオキシエチレンアリルエーテル(n=15)162.4部を用いて、重合度目標を220とした以外は同様に行って、ケン化度45モル%、オキシアルキレン基の含有量は1.7モル%(1H−NMRにより測定)、アルキルメルカプト基の含有量は1分子あたり1個(同上)、完全ケン化化後の4%粘度は2.7mPa・sであった。
【0066】
〔pva−3〕
上記のpva−1において、酢酸ビニルを895.0部、メタノールを268.5部とし、ラウリルメルカプタンをn−オクチルメルカプタンに変更し、更にオキシアルキレン基含有モノマーとしてポリオキシエチレンアリルエーテル(n=30)218.4部を用いて、重合度目標を190とし、3.0部のアクリル酸をメタノールで希釈して30容とし、初期、2時間目、4時間目、6時間目、8時間目に6容ずつ加えた以外は同様に行って、ケン化度40モル%、オキシアルキレン基の含有量は1.2モル%(1H−NMRにより測定)、アルキルメルカプト基の含有量は1分子あたり1個(同上)、完全ケン化後の4%粘度は2.4mPa・sであった。
【0067】
〔pva−4〕
上記のpva−1において、酢酸ビニルを961.0部、メタノールを288.3部とし、ラウリルメルカプタンをn−ヘキシルメルカプタンに変更し、更にオキシアルキレン基含有モノマーとしてポリオキシエチレンビニルエーテル(n=8)117.4部を用いて、重合度目標を230とし、2.7部のマレイン酸をメタノールで希釈して30容とし、初期、2時間目、4時間目、6時間目、8時間目に6容ずつ加えた以外は同様に行って、ケン化度40モル%、オキシアルキレン基の含有量は2.1モル%(1H−NMRにより測定)、アルキルメルカプト基の含有量は1分子あたり1個(同上)、完全ケン化後の4%粘度は2.8mPa・sであった。
【0068】
〔pva−A〕
上記のpva−1において、酢酸ビニルを964.6部、メタノールを289.3部とし、ラウリルメルカプタンをn−プロピルメルカプタンに変更した以外は同様に行って、ケン化度45モル%、オキシアルキレン基の含有量は2.1モル%(1H−NMRにより測定)、アルキルメルカプト基の含有量は1分子あたり1個(同上)、完全ケン化後の4%粘度は2.0mPa・sのポリビニルアルコール系樹脂を得た。
【0069】
〔pva−B〕
上記のpva−1において、ラウリルメルカプタンを使用せず、酢酸ビニルを534.5部、メタノールを695.4部、オキシエチレン含有モノマーとしてポリオキシエチレンモノアリルエーテル(n=8)を62.1部、初期AIBN6部、追加AIBN2部(3時間目)とした以外は同様に行ってケン化度45モル%、オキシアルキレン基含有量2.1モル%(1H−NMRにより測定)、完全ケン化後の4%粘度は4.0mPa・sのポリビニルアルコール系樹脂を得た。
【0070】
[主分散剤用のPVAの製造]
〔PVA−1〕
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100部、メタノール16.4部及びアゾビスイソブチロニトリル0.008モル%を仕込み窒素気流下で撹拌しながら、沸点下で5.8時間重合を行った(重合率は74%)。次いで、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、重合体のメタノール溶液(樹脂分41%)を得た。続いて、該溶液を酢酸メチル(誘電率7.03c.g.s.e.s.u.)で希釈して濃度29.5%(ケン化溶媒の誘電率23.7c.g.s.e.s.u.)に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対して5ミリモル加えてケン化し、析出物をろ別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂(PVA−1)を得た。得られたポリビニルアルコール系樹脂(PVA−1)のケン化度は78.5モル%、重合度2200、ヨード呈色度0.50であった[(3−Y)/Xは0.0318であり、(1)式を満足するものである]。
【0071】
実施例1
RCを装備した1.5m3の反応缶とRC内部を共に脱気した後、脱気したイオン交換水、塩化ビニルモノマー及び分散剤として、表1に記載の如く分散助剤及び分散主剤を仕込んだ。尚、塩化ビニルモノマー/水(重量比)=1/1(水と塩化ビニルモノマーの合計量1200Kg)であった。反応缶内温度を57℃に昇温した後、重合開始剤としてジー2ーエチルヘキシル−オキシジカーボネート及びt−ブチルパーオキシネオカーボネートを各々塩化ビニルモノマー100重量部に対して0.03重量部仕込み、これと同時にRCを稼働させて、4時間重合を行った。重合中は、RCの冷却水温度及び反応缶ジャケット温度を制御し、重合反応熱をRCと反応缶ジャケットで除熱した。尚、RC除熱量及び反応缶ジャケット除熱量は各々50%であった。
【0072】
得られた塩化ビニル樹脂の嵩密度、可塑剤吸収性、残存モノマー量、フィッシュアイ、スケール付着性について、以下の要領で評価した。
(嵩密度)
JIS K−6721に準じて評価した。
【0073】
(可塑剤吸収性)
塩化ビニル樹脂100部とフタル酸ジ−2−エチルヘキシル50部の混合物の乾燥点までの時間をブラベンダーにて測定して、以下の如く評価した。
A・・・乾燥点までの時間が3分未満
B・・・ 〃 3〜5分未満
C・・・ 〃 5分以上
【0074】
(残存モノマー量)
塩化ビニル樹脂(粒子)の一定量をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させて、ガスクロマトグラフにより、残存する塩化ビニルモノマーを定量した。
【0075】
(フィッシュアイ)
塩化ビニル樹脂100部、トリメリック酸トリイソオクチル50部及び鉛系粉末安定剤3部を混合したものを155℃のロールで4分間混練した後、0.3mm厚みのシートの成形して、250mm×250mm当たりのフィッシュアイの個数を目視で観察して、以下の如く評価した。
A・・・149個以下
B・・・150〜499個
C・・・500個以上
【0076】
(スケール付着性)
重合槽内のスケールの付着状態を観察することで評価した。評価基準は下記の通りである。
A・・・スケールの付着が見られなかった。
B・・・スケールの付着が少量見られた。
C・・・スケールの付着が多量に見られた。
【0077】
また、上記の分散助剤について、生産性及び取扱性の評価を下記の通り行った。
(生産性)
上記の[分散助剤用のPVAの製造]において、2000リットルの重合缶を使用して、充填率を75%として、重合反応を実施し、1バッチ当たりの40%水性液の取れ高を下記の式により算出して、生産性を以下の如く評価した。
取れ高(kg)={(酢酸ビニルの仕込量(kg)×重合率(%)/100)+オキシアルキレン基含有モノマーの仕込量(kg)}×(ポリビニルアルコール系樹脂の繰り返し単位当たりの平均分子量/ポリ酢酸ビニルの繰り返し単位当たりの分子量)/0.04
A・・・1800kg以上
B・・・1500kg以上で1800kg未満
C・・・1500kg未満
【0078】
(取扱性)
上記で得られた40%水性液の粘度を25℃雰囲気中でB型粘度計で測定して、以下の如く評価した。
A・・・3000mPa・s以下(流動性優)
B・・・3000mPa・sを越えて10000mPa・s未満(流動性良)
C・・・10000mPa・sを越える(流動性不良)
【0079】
実施例2〜6、比較例1〜2
表1に示される如く分散剤(分散助剤及び分散主剤)を用いて、実施例1と同様に塩化ビニル樹脂の懸濁重合を行って、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表2及び3に示す。
【0080】
Figure 0004390992
【0081】
Figure 0004390992
【0082】
Figure 0004390992
【0083】
【発明の効果】
本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤は、特定の官能基を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いているため、かかる分散助剤を用いてビニル系樹脂の懸濁重合を行うと、嵩密度や可塑剤吸収性に優れ、特にアジピン酸エステル系やトリメリック酸エステル系のような嵩高い可塑剤に対しても可塑剤吸収性に優れたビニル系重合体が得られ、残存モノマーが少なく、フィッシュアイも少なく、重合時のスケール防止効果もあり、特に塩化ビニルの懸濁重合に有用であり、更にかかる分散助剤は生産性や取扱性にも優れるものである。

Claims (4)

  1. 末端に炭素数5以上のアルキルメルカプト基を有し、かつオキシアルキレン基を含有する、ケン化度が70モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂からなることを特徴とするビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  2. アルキルメルカプト基の炭素数の上限が12であることを特徴とする請求項1記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂の濃度が50重量%以下の水性液であることを特徴とする請求項1または2記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助
    剤。
  4. 下記(1)式の条件を満足するポリビニルアルコール系樹脂の懸濁重合用主分散剤と共に用いることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
    0.0300≦(3−Y)/X≦0.0330・・・(1)
    (但し、Xはケン化度(モル%)、Yはヨード呈色度を表す)
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