JP4381569B2 - ビニルエステル系樹脂エマルジョン - Google Patents

ビニルエステル系樹脂エマルジョン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性および放置安定性に優れ、さらに皮膜化した場合、透明性にも優れるビニルエステル系樹脂エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下、 PVAと略記することがある)はエチレン性不飽和単量体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられており、これを保護コロイドとして用いて乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマルジョンは紙用、木工用およびプラスチック用などの各種接着剤、含浸紙用および不織製品用などの各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で広く用いられている。
このような水性エマルジョンは、 PVA系重合体のけん化度を調整することにより、一般的に粘度が低く、ニュートニアン流動に近い粘性を有し、比較的耐水性の良好なものから、一般的に粘度が高く、比較的エマルジョン粘度の温度依存性が小さいものが得られることから、種々の用途に賞用されてきた。
木工用接着剤としては、より高粘度のエマルジョンが好ましく、いわゆる部分けん化PVAを保護コロイドとしたビニルエステル系水性エマルジョンが広く用いられている。部分けん化PVAを保護コロイドとしたビニルエステル系水性エマルジョンは、低温安定性に優れ、高粘度のものが得やすい反面、耐水性に劣る問題点を有している。一方、完全けん化PVAを保護コロイドとしたビニルエステル系水性エマルジョンは、耐水性に優れるものの、低温安定性に劣る問題点を有している。このような問題点を解決する目的で、特開昭63−46252号公報、特開昭64−62347号公報等において3−メチル−3−メトキシブタノールや水溶性でかつアルコール性OH基を有する化合物を含有させることが提案され、耐水性、放置安定性等が改善されているが、従来から用いられる部分けん化PVA、完全けん化PVAでは限界があるのが現状であった。
このような状況の中で、エチレン単位を含有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることが提案(特開平11−21529号公報、特開平11−21380号公報、特開平10−226774号公報等)され、耐水性と低温放置安定性が大幅に改善された。しかしながら、エチレン単位を含有するビニルアルコール系重合体は、エチレン単位の導入により、その水溶性が低下しており、該ビニルアルコール系重合体を保護コロイドとしたエマルジョンは、60〜80℃での乳化重合時に顕著な増粘がおこる問題点があった。乳化重合時に顕著な増粘がおこると、攪拌が不良となり、安定にエマルジョンを得られない場合があり、固形分を下げ、高温時にも攪拌不良とならないよう調整する必要があった。このため得られるエマルジョンは必然的に低粘度となり、木工用接着剤など高粘度を必要とする用途には適さないのが現状であった。また、得られたエマルジョンも同様に40℃以上の高温で増粘がおこり、高温での放置安定性に問題があった。
また、エチレン単位を含有するビニルアルコール系重合体を保護コロイドとするエマルジョンは低温放置安定性に優れるため、従来部分けん化PVAが用いられていた用途にも、エチレン単位を含有するビニルアルコール系重合体の完全けん化品が用いられている。しかし、完全けん化品であるが故に、界面活性は従来の部分けん化PVAに比べて低く、得られるエマルジョンの粒子径が大きくなる。粒子径が大きくなるために、エマルジョンを皮膜化した場合、その透明性に劣る問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、耐水性および放置安定性に優れ、さらに皮膜化した場合、透明性にも優れるビニルエステル系樹脂エマルジョンを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するビニルエステル系樹脂エマルジョンを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレン単位を0.5モル%以上、10モル%以下含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ビニルエステル系樹脂エマルジョンを乳化重合する際、グリコールエーテル化合物を含有させて得られることを特徴とするビニルエステル系樹脂エマルジョンが上記目的を満足するものであることを見出し本発明を完成させるに到った。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるエチレン単位を0.5モル%以上、10モル%以下含有するビニルアルコール系重合体(以下、本発明の該重合体を、低エチレン変性PVA系重合体と略記することがある)の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法によりビニルエステルとエチレンとの共重合体をけん化することにより得ることができる。
【0006】
また、ここで、ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0007】
また、該分散剤は本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、 N−ビニルホルムアミド、 N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、エチレンと酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物も用いることができる。
【0008】
本発明において分散剤として用いる低エチレン変性PVA系重合体におけるエチレン含量は0.5モル%以上、10モル%以下が必須である。エチレン含量が0.5モル%未満の場合は、水性エマルジョンの低温における放置安定性が低下する場合があり不都合であり、一方、エチレン含量が10モル%より大の場合にはポリビニルアルコール本来の特徴である水溶性が低下する恐れがあり不都合である。
また本発明に用いる低エチレン変性PVA系重合体のけん化度は、特に制限されないが、通常80モル%以上のものが用いられ、好ましくは85モル%、より好ましくは95モル%以上のものが用いられる。けん化度が80モル%未満の場合には、低エチレン変性PVA系重合体本来の性質である水溶性が低下する懸念が生じる。該低エチレン変性PVA系重合体の重合度は特に制限されないが、通常100〜8000の範囲のものが用いられ、300〜3000がより好ましく用いられる。重合度が100未満の場合には、低エチレン変性PVA系重合体の保護コロイドとしての特徴が発揮されず、8000を越える場合には、該低エチレン変性PVA系重合体の工業的な製造に問題がある。
【0009】
また低エチレン変性PVA系重合体の使用量は特に制限されないが、ビニルエステル系樹脂エマルジョンの固形分100重量部中において、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1.5〜7重量部である。低エチレン変性PVA系重合体の使用量が0.5重量部未満であると、重合安定性が低下する恐れがある。一方、15重量部を越えた場合には得られるビニルエステル系樹脂エマルジョンの耐水性が低下する懸念が生じる。
【0010】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンの分散質を構成するビニルエステル系単量体として、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0011】
また、本発明では、ビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンとするのも好ましい態様の一つである。その場合、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンのエチレン含有量は特に制限されないが、通常、3〜35重量%のものが用いられる。好ましくは、5〜30重量%である。エチレン含有量が3重量%未満の場合、その導入効果が少ないため、エマルジョンの造膜性に劣る場合がある。また、エチレン含有量が35重量%をこえる場合、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンの製造が困難になる懸念が生じる。
【0012】
また、上記分散質は、本発明の効果を損なわない範囲で共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体またはジエン系単量体を共重合しても構わない。エチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体単位としては、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、 N,N'−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸およびナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、その他N−ビニルピロリドンなど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体、さらに、ジビニルベンゼン、テトラアリロキシエタン、N,N'−メチレンビス−アクリルアミド、2,2'−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、 1,3−ブチレングリコールジアクリレート、 1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アリルメタクリレート、 1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メタクリル酸アルミニウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸マグネシウム、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、エチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート等の多官能性単量体が挙げられ、これらは単独あるいは二種以上混合して用いられる。
【0013】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンに用いるグリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルが挙げられる。さらに、エチレングリコールの縮合体であるジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも水酸基を有するグリコールエーテル化合物が好ましく、特に3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが好ましく用いられ、市販品としては(株)クラレ製ソルフィットが挙げられる。また、これらは単独でもよく、2種類以上を選び併用してもよい。
【0014】
グリコールエーテル化合物の添加量は特に制限されないが、ビニルエステル系樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。添加量が0.5重量部未満では、得られるエマルジョンの粒子径が大きくなり、透明な皮膜が得られなくなる恐れがある。一方、20重量部を越えた場合、重合安定性が低下する懸念がある。
【0015】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンの平均粒子径は特に制限されないが、通常、動的光散乱法による測定値が1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。平均粒子径が1μmをこえた場合、該エマルジョンから得られる皮膜の透明性が低下する懸念が生じる。動的光散乱法による測定は、例えば、大塚電子(株)製のレーザーゼータ電位計ELS-8000等により行うことができる。
【0016】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンの固形分は特に制限されないが、通常、30〜70重量%、好ましくは50〜65重量%のものが用いられる。固形分が30重量%未満の場合、エマルジョンの放置安定性が低下し、2相に分離する恐れがある。70重量%をこえる場合、ビニルエステル系樹脂エマルジョンの製造が困難になる懸念が生じる。
【0017】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンの製法は特に制限されないが、反応容器中で、低エチレン変性PVA系重合体の水溶液を分散剤に用い、グリコールエーテル化合物の存在下、ビニルエステル系単量体を一時又は連続的に添加し、アゾ系重合開始剤、過酸化水素、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウム等の過酸化物系重合開始剤等の重合開始剤を添加し、乳化重合する従来の方法が挙げられる。また、エチレン−ビニルエステル系樹脂エマルジョンの場合は、オートクレーブ中で低エチレン変性PVA系重合体の水溶液を分散剤に用い、エチレン加圧し、グリコールエーテル化合物の存在下、乳化重合する方法が挙げられる。前記重合開始剤は還元剤と併用し、レドックス系で用いられる場合もある。その場合、通常、過酸化水素は酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどとともに用いられる。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムは亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどとともに用いられる。
【0018】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンは、上記の方法で得られる該エマルジョンをそのまま用いることができるが、必要があれば、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョンを添加して用いることができる。また、本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンには、通常使用される添加剤を添加することができる。この添加剤の例としては、有機溶剤類(トルエン、キシレン等の芳香族類、アルコール類、ケトン類、エステル類、含ハロゲン系溶剤類等)、可塑剤、沈殿防止剤、増粘剤、流動性改良剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、充填剤、湿潤剤、着色剤等が挙げられる。
【0019】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンは、耐水性および放置安定性に優れ、さらに皮膜化した場合、透明性にも優れているため、木工用接着剤、紙工用接着剤、合板/塩ビ用接着剤等の各種接着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工、コーティング剤などの分野で好適に用いられる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
【0021】
実施例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水279.2部、PVA−1(重合度1000、けん化度99.2モル%、エチレン単位含有量7モル%)19.5部を仕込み、95℃で完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却後、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製ソルフィット)20.8部を添加した。窒素置換を行い、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液を4.4部および5%過酸化水素水3部をショット添加後、酢酸ビニル26部を仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了を確認した。酒石酸の10%水溶液を0.9部および5%過酸化水素水3部をショット添加後、酢酸ビニル234部を2時間にわたって連続的に添加し、重合を完結させた後、冷却した。その後、60メッシュのステンレス製金網を用いてろ過した。以上の結果、固形分濃度48%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。得られたエマルジョンを0.2%の濃度に希釈し、平均粒子径の測定を行った(大塚電子(株)製;レーザーゼータ電位計ELS-8000)。次に、このエマルジョンの100重量部に対してジブチルフタレート5部を添加混合した。このエマルジョンの物性を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
(1)耐水性;エマルジョンを20℃でキャスト製膜し、得られた皮膜の20℃水中における吸水率、溶出率を測定した。
溶出率(%)=[1−(浸漬後の皮膜絶乾重量)/(浸漬前の皮膜絶乾重量)]X100
吸水率(%)=[(浸漬後の皮膜吸水重量)/(浸漬前の皮膜絶乾重量)]X 100
ここで;
*浸漬前の皮膜絶乾重量;浸漬前の含水皮膜重量−(浸漬前の含水皮膜重量X 皮膜含水率(%)/100)
*皮膜含水率;皮膜(20℃水に浸漬するサンプルとは別のサンプル)を、105℃で絶乾し、皮膜の含水率をあらかじめもとめる。
*浸漬後の皮膜絶乾重量;浸漬後の皮膜を105℃で絶乾した重量。
*浸漬後の皮膜吸水重量;浸漬後の皮膜を水から引き上げた後、皮膜についた水をガーゼで拭き取り秤量。
(2)放置安定性;エマルジョンを60℃で1月間放置し、放置後の状態を観察した。評価結果を、○ 放置後も変化なし、△やや増粘が見られる、× ゲル化、で示す。
さらに、エマルジョンの粘度を30℃および80℃で測定した。
(3)皮膜透明性;エマルジョンを20℃でキャスト製膜して得た厚さ500μmの皮膜を観察し、その透明性を評価した。評価結果を、○ほぼ透明、△やや白濁、×完全に白濁、で示す。
【0022】
比較例1
実施例1で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度47.8%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0023】
実施例2
実施例1で用いたイオン交換水279.2部を207.9部とした他は実施例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度55%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0024】
比較例2
実施例2で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他は、実施例2と同様にして乳化重合を行ったが、重合途中で系がブロック化し、安定に重合を終了することができなかった。
【0025】
実施例3
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水251.8部、PVA−2(重合度1700、けん化度98モル%、エチレン単位含有量4モル%)15.6部を仕込み、95℃で完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却後、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製ソルフィット)2.6部を添加した。窒素置換を行い、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液を4.4部および5%過酸化水素水3部をショット添加後、酢酸ビニル26部を仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了を確認した。酒石酸の10%水溶液を0.9部および5%過酸化水素水3部をショット添加後、酢酸ビニル234部を2時間にわたって連続的に添加し、重合を完結させた後、冷却した。その後、60メッシュのステンレス製金網を用いてろ過した。以上の結果、固形分濃度52%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0026】
比較例3
実施例3で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他は、実施例3と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度51.8%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0027】
比較例4
実施例3で用いたPVA−2を用いる代わりにPVA−3(重合度1700、けん化度98.5モル%;(株)クラレ製PVA−117)を用いた他は、実施例3と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度52.1%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0028】
実施例4
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにPVA−1の5.5%水溶液72.7部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製ソルフィット)4部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを40kg/cm2まで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2部および2%ロンガリット水溶液0.3部を圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧力20kg/cm2とし、3%過酸化水素水溶液0.3部を圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度55%、エチレン含量20重量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0029】
比較例5
実施例4で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他は、実施例4と同様にして乳化重合を行ったが、重合途中で系がブロック化し、安定に重合を終了することができなかった。
【0030】
実施例5
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにPVA−2の5%水溶液76部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製ソルフィット)0.8部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを30kg/cm2まで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2部および2%ロンガリット水溶液0.3部を圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレン放出し、エチレン圧力20kg/cm2とし、3%過酸化水素水溶液0.3部を圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度53.1%、エチレン含量15重量%のエチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0031】
比較例6
実施例5で用いた3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いる代わりに同量のイオン交換水を用いた他は、実施例5と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度52.8%、エチレン含量15重量%のエチレン-酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0032】
実施例6
実施例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−4(重合度1000、けん化度99モル%、エチレン単位含有量0.5モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度48.5%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0033】
実施例7
実施例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−5(重合度500、けん化度99モル%、エチレン単位含有量10モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度48.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0034】
比較例7
実施例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−6(重合度1000、けん化度99.1モル%、エチレン単位含有量0.2モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を行い、固形分濃度48.3%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を実施例1と同様にして行った。結果を併せて表1に示す。
【0035】
比較例8
実施例1で用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−7(重合度1000、けん化度99.1モル%、エチレン単位含有量17モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして乳化重合を試みた。しかし、本例ではPVA−7の水溶液を調整した際に白濁が見られ、エチレン変性により水溶性が低下していることが観察された。さらに乳化重合を行ったところ、重合途中でゲル化がおこり、安定なエマルジョンを得ることができなかった。
【0036】
【表1】
Figure 0004381569
【0037】
PVA−1;重合度1000、けん化度99.2モル%、エチレン単位含有量7モル%
PVA−2;重合度1700、けん化度98モル%、エチレン単位含有量4モル%
PVA−3;重合度1700、けん化度98.5モル%((株)クラレ製PVA−117)
PVA−4;重合度1000、けん化度99モル%、エチレン単位含有量0.5モル%
PVA−5;重合度500、けん化度99モル%、エチレン単位含有量10モル%
PVA−6;重合度1000、けん化度99.1モル%、エチレン単位含有量0.2モル%
PVA−7;重合度1000、けん化度99.1モル%、エチレン単位含有量17モル%
【0038】
【発明の効果】
本発明のビニルエステル系樹脂エマルジョンは、耐水性、放置安定性に優れ、さらに皮膜化した場合、透明性にも優れているため、各種接着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で好適に用いられる。

Claims (5)

  1. エチレン単位を0.5モル%以上、10モル%以下含有するビニルアルコール系重合体を分散剤とし、ビニルエステル系樹脂エマルジョンを乳化重合する際、グリコールエーテル化合物を含有させて得られることを特徴とするビニルエステル系樹脂エマルジョン。
  2. ビニルエステル系樹脂エマルジョンが、ビニルエステル系単量体とエチレンを共重合したものである請求項1記載のビニルエステル系樹脂エマルジョン。
  3. ビニルエステル系樹脂エマルジョンの動的光散乱法による平均粒子径が1μm以下である請求項1または2のいずれかに記載のビニルエステル系樹脂エマルジョン。
  4. ビニルエステル系樹脂エマルジョンの固形分が50重量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のビニルエステル系樹脂エマルジョン。
  5. グリコールエーテル化合物が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである請求項1〜4のいずれかに記載のビニルエステル系樹脂エマルジョン。
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