JP4143020B2 - 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子および磁気メモリ Download PDF

Info

Publication number
JP4143020B2
JP4143020B2 JP2003383924A JP2003383924A JP4143020B2 JP 4143020 B2 JP4143020 B2 JP 4143020B2 JP 2003383924 A JP2003383924 A JP 2003383924A JP 2003383924 A JP2003383924 A JP 2003383924A JP 4143020 B2 JP4143020 B2 JP 4143020B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetization
free layer
magnetization free
ferromagnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003383924A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005150303A (ja
Inventor
哲 喜々津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2003383924A priority Critical patent/JP4143020B2/ja
Publication of JP2005150303A publication Critical patent/JP2005150303A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4143020B2 publication Critical patent/JP4143020B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)

Description

本発明は、トンネル接合を有する磁気抵抗効果素子および磁気メモリに関し、特に記録磁界を低減する技術に関する。
近年、巨大磁気抵抗効果を示す強磁性トンネル接合素子を用いた磁気記憶装置に注目が集まっている。
強磁性トンネル接合素子は、主に第1の強磁性層/トンネル障壁層/第2の強磁性層の3層膜で構成され、トンネル障壁層を介して第1及び第2の強磁性層間にトンネル接合が形成され、第1及び第2の強磁性層間には両者への電圧印加に伴うトンネル電流が流れる。この場合、接合抵抗値は第1及び第2の強磁性層の磁化の相対角の余弦に比例して変化する。従って、抵抗値は第1及び第2の強磁性層の磁化が平行のときに極小値、反平行のときに極大値をとる。このような抵抗変化はトンネル磁気抵抗(TMR)効果と呼ばれている。例えば、最近の文献(非特許文献1)では、TMR効果による抵抗値変化は室温において49.7%にもなることが報告されている。
記憶装置に用いる強磁性トンネル接合素子では、第1または第2の強磁性層のうち、外部磁界が加わっても所定方向の磁化を保持する強磁性層を基準層(磁化固着層)とし、外部磁界が加わると磁化方向が回転する他の強磁性層を記憶層(磁化自由層)とすることができる。そして、この基準層と記憶層の磁化の方向が平行または反平行の状態をそれぞれ2進情報の“0”または“1”に対応づけることで、強磁性トンネル接合素子を、磁気情報の記憶セルとして用いることが可能となる。
磁気情報の書き込みは、この記憶セルの近傍に設けられた書き込み配線に電流を流し、発生する電流磁場によって記憶層の磁化を反転させることで達成できる。
また、書き込まれた磁気情報の読み出しは、強磁性トンネル接合素子にトンネル電流(センス電流)を流し、TMR効果による抵抗変化を検出することで行われる。このようなメモリセルを多数配置することで集積化された磁気記憶装置(MRAM)が構成される。
集積化されたMRAMは、多数並置された任意のセルを選択できるように、例えばDRAMなどと同様に、各記憶セルに強磁性トンネル接合素子と直列接続するスイッチングトランジスタを配置し、この記憶セルに接続する行方向に伸びるビット線、列方向に伸びるワード線などを配線し、さらにこれらの配線の電流/印加電圧などを制御する周辺回路を記憶セル領域の行列方向端に組み込んで構成される。また、スイッチングトランジスタに替えてダイオードと強磁性トンネル接合素子を用いて記憶セルとする例も提案されている(特許文献1または2参照)。
さて、磁気記憶装置の高集積化を考えると、強磁性トンネル接合素子の面積を小さくする必要がある。従って、素子を構成する強磁性層の平面積も必然的に小さくなるが、一般に、強磁性層の面積を小さくするとその保磁力は大きくなる。この保磁力の大きさは、記憶層の磁化を反転するために必要なスイッチング磁場の大きさに比例し、従って、平面積の減少はスイッチング磁場の増大を意味する。
また、平面積とともに磁化自由層の体積も小さくなるが、記録後の磁化の向きを一方向に保つエネルギー(磁気異方性エネルギー)がそれに比例して小さくなるので、室温の熱揺らぎエネルギーと同等になってしまう。このような状態になると、記録した情報が不安定になる、いわゆる熱揺らぎ問題が起こってくる。この熱揺らぎ問題を解決するためには、磁化自由層の磁気異方性エネルギーを大きくする必要があるが、その結果、やはり保磁力は大きくなる。
以上のように、高密度化にともない、情報を書き込む際にはより大きな電流を書き込み配線に流さなければならなくなり、消費電力の増加という好ましくない結果をもたらす。従って、磁化自由層の本質的な磁気異方性エネルギーを減らさずに、電流磁界による実効的な保磁力(書き込み磁界)を低減することは高集積化磁気記憶装置の実用化において重要な課題である。
この課題を解決するために、強磁性記憶層として、二つの強磁性層と、これらの間に介在する非磁性層を備える多層膜であって、二つの強磁性層が反強磁性結合している多層膜を用いる構造が提案されている(特許文献3参照)。この多層膜の二つの強磁性層は、その磁気モーメントまたは厚さが異なっており、反強磁性的結合により磁化が逆方向をむいている。このため、互いの磁化が実効的に相殺され、記憶層全体としては磁化容易軸方向に小さな磁化を持った強磁性体と同等と考えることができる。この記憶層のもつ小さな磁化の向きと逆向きの外部磁場が印加されると、各強磁性層の磁化は反強磁性結合を保ったまま反転する。この際、磁力線が閉じていることから反磁場の影響が小さく、記録層のスイッチング磁場は各強磁性層の保磁力により決まるため、小さなスイッチング磁場での磁化反転が可能になる。しかし、この構成では形状磁気異方性の低減に基づく保磁力の低減であるので、上述の熱揺らぎ問題に対しては解決策とはならない。
Appl. Phys. Lett. 77, 283 (2000) 米国特許第5,640,343号明細書 米国特許第5,650,958号明細書 米国特許第5,953,248号明細書
本発明の目的は、熱揺らぎ耐性が高く、かつ磁化自由層の実効的なスイッチング磁場の低い磁気抵抗効果素子および磁気メモリを提供することにある。
本発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子は、第1の強磁性層/トンネル障壁層/第2の強磁性層の3層構造を含む強磁性トンネル接合を有し、前記第1の強磁性層は前記第2の強磁性層よりも保磁力が大きく、前記2つの強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子であって、前記第1および第2の強磁性層の磁気異方性が膜面内に向き、前記第2の強磁性層の2つの端部の磁化が膜面垂直方向成分を持つ方向に固着されていることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様に係る磁気メモリは、第1の方向に延在する第1の配線と、前記第1の配線の上方において、前記第1の方向と交差する方向に延在する第2の配線と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に設けられた、上述した磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の選択手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、磁化自由層の実効的なスイッチング磁場の低い磁気抵抗効果素子および磁気メモリを提供することが可能となり、さらに、素子の高密度化にともなう熱揺らぎ問題を解決することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子および磁気メモリについてより詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は、第1の強磁性層/トンネル障壁層/第2の強磁性層の3層構造を含む強磁性トンネル接合を有する。
第1の強磁性層は所定の外部磁場下において磁化の方向が実質的に変わらない磁化固着層である。ここで、所定の外部磁場とは、第2の強磁性層(磁化自由層または記憶層)の磁化が変化する程度の外部磁場をさす。第1の強磁性層の磁化固着は、第2の強磁性層よりも保磁力の強い強磁性材料を用いることで得ることができる。また、第1の強磁性層の磁化固着は、第1の強磁性層に隣接して設置された強磁性層もしくは反強磁性層からの交換結合、または隣接する保磁力の大きい強磁性層からの漏れ磁界(静磁結合)を利用して得ることもできる。
第1および第2の強磁性層には、例えばFe、Co、Niのいずれか1種、及びこれらの層を含む積層膜、これらを含む合金からなる層などのほか、周知の強磁性材料を用いることができる。各強磁性層の好ましい膜厚は1〜10nmである。
第1の強磁性層の磁化を固着する反強磁性層の材料としては、FeMn、IrMn、PtMn、PdMn、NiMn、NiOなどを用いることができる。
トンネル障壁層としては、例えばAl−O、Si−O、Al−N、Si−Nなどの周知の非磁性誘電体材料を用いることができる。また、トンネル障壁層は、第1および/または第2の強磁性層の表面を酸化などによって改質させたものでもよい。トンネル障壁層の好ましい膜厚は0.5〜3nmである。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を構成する各種の薄膜は、分子線エピタキシー(MBE)法、各種スパッタ法、蒸着法など通常の薄膜形成方法により形成することができる。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は、第2の強磁性層(磁化自由層)の上にさらにトンネル障壁層および磁化固着層を積層した、いわゆる2重接合トンネル素子をも含む。
本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気記憶装置に適用でき、こうした磁気記録装置はさらに携帯電話などの携帯端末装置に搭載することもできる。本発明の磁気抵抗効果素子は、磁気ヘッドおよびこの磁気ヘッドを搭載した磁気記録再生装置に適用することもできる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の断面図である。図1では、第1の強磁性層(磁化固着層)11、トンネル障壁層12、および第2の強磁性層(磁化自由層)13の3層構造を含む強磁性トンネル接合を示している。第2の強磁性層(磁化自由層)13は、磁気記憶装置の記憶セルでは記憶層、磁気ヘッドではフリー層などと称される。図1において、Hxは記録を行う際の外部磁界の印加方向を示し、Iは記録情報の再生時に流すセンス電流の向きを示す。また、第1の強磁性層11および第2の強磁性層13の矢印は、磁気モーメントの向きを示す。
本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、図1に示すように、磁化自由層13の端部の磁化が磁化自由層13の磁化容易軸方向と直交する成分を持つ方向に固着されている。ここで、磁化自由層13の磁化容易軸方向は、磁化自由層13の中央部の磁化の向きで知ることができる。なお、磁化自由層13の端部とは磁化自由層13の端から見て磁化自由層13の全幅のおおよそ5〜20%の長さを持つ部分を指し、磁化自由層13の中央部とは前記端部を除く磁化自由層13の全幅のおおよそ95〜60%の長さを持つ部分を指す。
図1では、わかりやすいように、磁化自由層13の端部の磁化を膜面に垂直な方向に固着させているが、紙面に垂直な方向に固着させてもよい。また、図1では、わかりやすいように、対向する2つの端部の磁化を固着させているが、本発明に係る磁気抵抗効果素子の機能を発現するのには、磁化が固着される端部は矩形の磁化自由層のいずれか一辺(一個所)であれば充分である。なお、磁化を固着させた端部を複数設けた方が実効保磁力を低減する効果があるので好ましいが、素子構造が複雑化し、製造コストが増加する欠点がある。なお、端部における着磁方向は磁化自由層の磁気異方性の向きと完全に直交する必要はなく、直交する成分を有していればよい。
磁化自由層13の端部の磁化を固着させるには、その部分だけ異なる向きの異方性を有するように、構成元素を変える、組成を変える、物理構造(界面の粗さ、密度)などの特性を変化させる方法を用いることができる。また、図2に模式的に示すように、磁化自由層13の端部に隣接して、磁化自由層13よりも保磁力の大きな物質からなる端部ピニング層21を、交換結合を及ぼすように設置してもよい。端部ピニング層21には、保磁力の大きな物質として、磁化固着層の固着に用いられるのと同様の反強磁性体を用いることもできる。
この磁気抵抗効果素子は、基板(図示せず)の表面に層間絶縁膜(図示せず)を介して形成された下部電極(図示せず)を備える。この磁気抵抗効果素子をトランジスタやダイオードなどの半導体素子と混載して磁気記憶装置に用いる場合には、基板材料として単結晶シリコンなどの半導体基板材料を用いることができる。この磁気抵抗効果素子を磁気ヘッドなどに用いる場合は、基板材料としてアルチック基板などの非磁性絶縁性基板を用いることができる。また、下部電極の下地には、この上層に形成される強磁性層などの結晶配向性を高めるために、周知の材料を用いることができる。
記録情報の再生(読み出し)時には、トンネル障壁層12を介して磁化自由層13と磁化固着層11間にトンネル電流が流れる。このトンネル電流の値は磁化自由層および磁化固着層の磁化がなす相対角の余弦に比例し、相対角が反平行の状態でトンネル電流は最小値を、平行の状態でトンネル電流は最大値をとる。従って、この強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子に一定電圧を印加した時のトンネル電流量の変動、または一定電流を付与した時の電位変動を読むことで、この磁気抵抗効果素子の磁化自由層の磁気モーメントの向き(記録情報)に応じた抵抗変化を読み出すことができる。
所望の情報を記録(書き込み)する際には、磁化自由層13に矢印Hxで示した方向の成分を持つ磁界を印加する。この磁界はビット線とワード線が発生する漏洩磁界によるものでもよいし、磁界コイルなどの磁界発生手段を用いて発生させてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の作用を以下に説明する。MRAMなどで用いられる通常の磁気抵抗効果素子では、磁化自由層13の端部は中央部とおおむね同じ向きの磁化を持つ。したがって、情報の記録の際に磁化自由層13を磁化反転させるためには、まず局所的に磁気異方性の小さな部分に磁化反転の「核」を生成させ、そこから磁壁の移動を介して磁化自由層全体に逆向きの磁化を形成させる。一般には、反転核生成のエネルギーが磁壁の移動のエネルギーよりも大きいため、この記録過程に必要なエネルギー(外部印加磁界)は核生成のためのエネルギーとなる。
本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は、磁化自由層13の端部の磁化がその磁気異方性の方向と直交する方向に固着されている。このため、図1に示すように、磁化自由層13内部の磁化の向きは、端部から徐々に本来持っている磁気異方性の向きに変化する形態をとる。詳細な磁化反転シミュレーションの結果、この形態の磁化自由層13を磁化反転させるエネルギーは、端部の磁化が固着されていないものよりも小さいことがわかった。550nm×250nm×5nmのパーマロイからなる磁化自由層の磁化反転をマイクロマグネティクスシミュレーション(LLG方程式を時間展開で数値計算により解く方法)によって調べた。その結果、端部の磁化を固着させていない通常の磁化自由層の場合には保磁力が318Oeであったが、短辺の両端の磁化を膜面直方向に固着した磁化自由層では保磁力が137Oeに低下した。この理由ははっきりしないが、端部の磁化状態が磁化反転核形成にとって都合がよく、ほぼ磁壁移動のためのエネルギーだけで磁化反転ができるためであると思われる。
ところで、磁化自由層のサイズが小さくなる場合、例えば短辺の幅が数ミクロンからサブミクロン程度になると、反磁場の影響によって端部に磁性体(磁化自由層)の中央部とは異なる磁気構造が生じることが知られている。このような端部の磁気的構造は、エッジドメインと呼ばれている(例えば、 J. App. Phys. 81, 5471 (1997) 参照)。このような磁気構造では、磁化領域の中央部においては磁気異方性に従う方向に磁化が生じ、両端部においては中央部と異なる方向に磁化が生じる。このため、磁化反転における磁気的構造パターンの変化が複雑になり、その結果、保磁力が大きくなる。このような複雑な磁気的構造の変化が生じることをできるだけ防ぐ方法として、エッジドメインを固定することが考えられている(米国特許第5,748,524号明細書、特開2000−100153号公報)。これらの方法によれば、磁化反転の際の挙動を制御できるが、スイッチング磁場の低減は困難となる。これらの技術的思想は、不可避的に発生するエッジドメインをできる限りなくそうとするものである。しかし、本発明は、これらとは逆の技術的思想を持つものであり、実効保磁力を低下させるようにエッジドメインを制御する構造である。
本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子は、前記第1および第2の強磁性層の磁気異方性が膜面内に向き、前記第2の強磁性層の端部の磁化が膜面垂直方向成分を持っていてもよいし、膜面内方向成分を持っていてもよい。なお、第2の強磁性層の互いに対向する2つの端部の磁化が固着されている場合、2つの端部の磁化は平行になっていてもよいし、反平行になっていてもよい。
実際に、端部の磁化を種々の方向に固着させた磁化自由層を用意し、上述と同様のマイクロマグネティクスシミュレーションを行った。その結果、端部の磁化の固着方向は磁化自由層の磁気異方性の方向と直交してさえいれば、膜面内であっても膜面垂直方向であっても、平行であっても反平行であってもよいことがわかった。計算結果の一例を示す。上述したように、550nm×250nm×5nmの保磁力が318Oeであるパーマロイを基準として評価した。これに対して、このパーマロイの短辺両端部の磁化を固着する仕方に応じて保磁力は以下のようになった。すなわち、膜面垂直方向に平行に固着した場合には137Oe、膜面垂直方向に反平行に固着した場合には145Oe、膜面内方向に平行に固着した場合には118Oe、膜面内方向に反平行に固着した場合には150Oeであり、いずれの場合でも実効保磁力を低減させる効果があった。反平行固着の場合には、この磁化構造にするために余分なプロセスまたは固着部の微調整が必要であるので、コストが増加する欠点があるが、漏洩磁界が閉じるのでエネルギー的に安定である利点がある。固着方向を膜面内方向にするか膜面垂直方向にするかは、固着を行う方法、磁気抵抗効果素子の材料、またはそれを用いるシステムの要求性能によって決定される。いずれの組み合わせでも本発明の効果を期待できる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の断面図である。図3も、図1と同様に、第1の強磁性層(磁化固着層)11、トンネル障壁層12、および第2の強磁性層(磁化自由層)13の3層構造を含む強磁性トンネル接合を示しており、矢印の意味も図1と同じである。
本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、図3に示すように、磁化自由層13の両端部の磁化が、磁化自由層13の磁化容易軸方向と同じ向きで互いに反平行に固着されており、両端部の磁化の向きは常に反平行である。したがって、図3の例において、磁化自由層が右(左)向きに記録されている場合には、突合せの磁化がある幅を持って緩和される領域である磁壁31が右(左)側に形成される。この磁気抵抗効果素子の場合には、磁化自由層13は磁化反転するというよりも、磁壁31が左右に移動することで記録が行われることになる。上述したように、磁化反転核形成よりも磁壁移動の方が低いエネルギーで起こすことができるので、実効保磁力(実際には磁壁の左右の移動磁界)を低減することができる。上述と同様のマイクロマグネティクスシミュレーションを行った結果、保磁力は318Oeから112Oeへと低下した。
本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、第2の強磁性層の中央部と端部(磁化固着部分)との間に磁壁抗磁力の大きい磁壁トラップを設けてもよい。図4に、磁壁トラップを設けた第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の断面図を示す。図4に示されるように、磁化自由層13の中央部と端部との間に磁壁トラップ41が設けられている。磁壁トラップは磁壁抗磁力(磁壁を動かすのに必要な磁界の強さ)が大きい部分であれば特に限定されない。図4の素子では、磁壁の移動が磁壁トラップ41である程度制限されるため、両側からの圧力(磁化を逆向きに曲げようとする力)が磁壁トラップ41に集中し、結果として磁壁の幅が磁壁トラップ41近傍に集中して狭くなる。図4ではこのことを模式的に示すために、図3で示した磁化の向きの遷移領域を省略している。実際には、磁化の向きが距離に対して急峻に変化する領域が磁壁トラップ41近傍に存在する。また、磁化を逆向きに曲げようとする圧力の作用しない左側では、磁壁トラップ41があってもそこでは磁化構造の変化は何も起こらない。
図4の構成を有する磁気抵抗効果素子では、記録状態の読み出し(TMR再生)の効率が向上する。すなわち、磁壁が狭くなるためにTMR効果を受けるトンネル電流の通り道が広くなり、大きな抵抗変化が得られる。しかし、磁壁トラップ41を形成することから素子のコストは増加する。
上述のように、磁壁トラップ41は磁壁抗磁力が大きい部分であれば特に限定されない。磁壁トラップ41の幅は、素子サイズと充分なTMRを得るのに必要なトンネルジャンクション面積によって制限されるが、磁壁トラップがない場合の磁壁の幅(一般に√A/Kuで表される。Aは交換スティフネス定数、Kuは磁気異方性エネルギー密度)よりも狭く、かつ1nmよりも広ければよい。
磁壁トラップは、エッチングなどによって、磁化自由層の厚さを局所的に薄くすることで形成してもよいし、単にその部分の表面粗さを変化させることでも形成できる。磁壁トラップの部分だけ、イオン打ち込みやエッチングなどによって組成を変調させることでも形成できる。磁壁トラップの部分だけ、イオン打ち込みやエッチングなどによって欠陥を導入するか、または密度を変化させることでも形成できる。
磁壁トラップ内では、飽和磁化、磁気異方性エネルギー、密度などの物性値が一定である必要はない。磁壁抗磁力が大きくなることが目的であるからである。磁壁抗磁力の違いは、たとえばMFM、スピンSEM、ローレンツTEMなどの磁区観察手段を用いて磁区(その端部が磁壁である)を特定し、それが動く外部磁界の強さを知ることで推定できる。
磁壁抗磁力および磁壁トラップの機能は、VSMなどで測定できるヒステリシスループからも知ることができる。その例を図5に示す。図5はヒステリシスループの模式図である。通常のヒステリシスループにおけるHcに相当するところは、磁壁がトラップから外れる(de−pinningする)磁界であり、左右のトラップの違いからH=0の軸に対して対称とならない場合もある。しかし、磁壁がトラップされる位置は常に同じなので、何度測定してもHcの値や残留磁化Mrの値に変化はない。
一方、図3に示す、磁壁トラップのない磁化自由層の場合、磁壁は磁化自由層の中のわずかな磁気特性の変化に応じた場所でピン止めされることになり、ヒステリシスループは図6に示すような多段の形態になりやすい。しかも、磁壁ピン止めはポテンシャルエネルギー差がわずかであり、毎回同じ場所で起こると限らないので、多段ループの変化点の再現性は小さい。また、磁壁がステップ的にピン止めされない場合には、多段ループの極限として、磁化がなだらかに変化する場合もありうる。以上説明したヒステリシスループは磁気抵抗効果素子の磁化状態を反映したものであり、同様に素子の磁化状態を反映する磁気抵抗特性(磁界−磁気抵抗曲線)においても同様な評価を行うことができることを付記しておく。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の構造には、種々の変形例が考えられる。
例えば、図7に示す磁気抵抗効果素子のように、第2の強磁性層(磁化自由層)13の面積が第1の強磁性層(磁化固着層)11およびトンネル障壁層12の面積よりも大きく、第2の強磁性層(磁化自由層)13がはみ出している部分に端部ピニング層21を積層してもよい。端部ピニング層21を構成する材料は上述したものと同様であり、保磁力の大きな強磁性層または反強磁性層である。なお、図7では端部ピニング層21は磁化自由層13の上に設けているが、磁化自由層13の下(磁化固着層側)に設けてもよい。図7の構造では、図2の場合に比べて、磁化自由層13の端部の磁化固着が端部ピニング層21と接する界面を介して行われるために、より強い固着力が得られる。また、磁化固着層11−トンネル障壁層12のほぼ全面をトンネル接合として使うことができるので、より大きな再生出力(読み出し出力)が得られる。
膜面垂直方向に磁化を固着するための端部ピニング層材料としては、大きな垂直磁気異方性を示しやすいCo、Cr、Ptを含む強磁性合金薄膜、2nm以下のCo薄膜とPt、Pd、Rh、Ru、などの貴金属薄膜を繰り返し積層したいわゆる人工格子薄膜(反強磁性膜、フェリ磁性膜を含む)、または光磁気記録媒体に用いられている希土類=遷移金属アモルファス合金薄膜(フェリ磁性薄膜)などを用いることができる。膜面内方向に磁化を固着するための端部ピニング層材料としては、上述した反強磁性材料を用い、磁界中アニールで所望の方向に磁気異方性を向かせたものを用いることができる。
また、図8に示すように、磁化自由層13の端部をテーパ形状にして、そのテーパ部で交換結合が作用するように端部ピニング層21を積層してもよい。この構造では、膜厚方向の素子高さを低くすることが可能になる。また、端部ピニング層21と磁化自由層13との接触面積が広くなるために、より強い固着力が得られるようになる。磁化自由層13の端部のテーパはどの向きであってもよく、製造プロセスやシステム要求に応じて決定される。
本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、図9に示すように、トンネル電流を流すための電極に加えて、第2の強磁性層13の一方の端部から他方の端部へ電流を流す端子部を設けてもよい。この磁気抵抗効果素子では、磁壁31を有する磁化自由層13に対して右方向または左方向に電流を流すことができる。
近年の研究により、磁性薄膜の磁化反転をスピントルクによって起こすことができることがわかってきた。具体的には、一方向に磁化された磁性体中を電子が流れると、電子のスピンはその磁化方向に向いた成分が多い、いわゆるスピン偏極電子となる。スピン偏極電子がそれと逆向きに磁化された第2の磁性体に注入されると、第2の磁性体のスピンはそれを回転させようとするトルクを受け、トルク総量が大きい場合には磁化反転する、というものである。この現象を起こすには、注入する電子量は107A/cm2オーダの大きな値が必要である。また、この電流密度は反転しようとする磁性体の磁気異方性エネルギーにも比例すると考えられているため、熱揺らぎを受けない磁気抵抗効果素子にこの原理をそのまま適用するのは困難であると思われる。
ところで、同様のメカニズムによって、磁性細線中の磁壁が移動することも報告されている。上述したように、磁化反転核の形成が不要な分だけ磁壁移動のエネルギーは少なくてすむと思われるが、磁壁を移動させるのに必要な電流密度の定量的な見積もりは報告されていない。本発明者らは、マイクロマグネティクスシミュレーションと実験により、比較的低い電流密度で磁壁の移動が可能であることを見出し、それを磁気抵抗効果素子に効果的に応用できる構造を考案した。すなわち、磁化自由層の磁化反転を磁壁の移動に置き換えるようにし、磁壁の移動をスピン偏極した電子の注入によって行うようにする。
まず、スピン偏極した電子を生成する。そのために、図9に示すように、磁化自由層13の両端部の磁化は、磁化自由層13の磁化容易軸方向と同じ向きで互いに反平行に固着されている。こうした構造では、たとえば図9において右から左に電子を流すことによって、磁壁31に対して左に動かすトルク(圧力)を発生させることができる。電子を流す向きを逆にすると、逆向きのトルクを発生させることができる。磁化自由層13の両端部が反平行に固着されているために、電子を流す向きのみで圧力の発生方向を制御することができる。したがって、記録信号源91として、記録(書き込み)すべき情報に従って正または負のパルスを発生する回路を設ける。印加する電流密度は磁壁31が移動して磁化自由層13の反対側の端部に達する程度に設定する。
また、図4に示すように磁壁トラップ41を設けた磁気抵抗効果素子において、第2の強磁性層13の一方の端部から他方の端部へ電流を流す端子部を設けてもよい。このような素子では、より安定した書き込みと大きな再生出力を両立させることができる。さらに、図7または図8に示した端部ピニング層の積層構造をとることも可能である。
また、書き込みのために、通常のMRAMで用いられているような、電流線からの漏洩磁界と、上述したスピン偏極電子の注入とを組み合わせてもよい。この場合、消費電力を低く抑えることができるが、素子構造が複雑になって素子の製造コストが増加する。
図10は、本発明の一実施形態に係る磁気メモリ(MRAM)の記憶セルの構成を示す斜視図である。図10において、選択トランジスタ103はワードライン(WL1)102によって選択されるとソース/ドレイン配線101がONになる。この選択トランジスタ103上に、配線104を介して本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子105が設けられている。磁気抵抗効果素子105は、ワードライン(WL2)106およびそれと交差する方向に延びるビットライン(BL)107にはさまれて設置され、ビットライン107は磁気抵抗効果素子105に接続されている。
磁気抵抗効果素子105への書き込み動作は、ワードライン(WL2)106とビットライン107に書き込み電流を流して電流磁界を発生させ、両者の合成磁界により磁気抵抗効果素子105の磁化自由層の磁化を反転させることにより行われる。読み出し動作は、選択トランジスタ103をオンし、磁気抵抗効果素子105にセンス電流を流して磁気抵抗変化を測定することにより行われる。
図11は、本発明の他の実施形態に係る磁気メモリ(MRAM)の記憶セルの構成を示す斜視図である。このMRAMは、磁気抵抗効果素子の膜面垂直方向に電流を流す配線と、その配線の選択手段に加えて、磁気抵抗効果素子の第2の強磁性層の一方の端部から他方の端部へ電流を流す配線と、その配線の選択手段とを有する。ソース/ドレイン配線101、ワードライン(WL1)102、選択トランジスタ103、配線104、磁気抵抗効果素子105、ビットライン107の基本構成および動作は図10のMRAMと同様である。図11には、磁気抵抗効果素子105の磁化自由層109と磁化固着層108とを示している。本実施形態においては、この構成に加えて、磁気抵抗効果素子105の磁化自由層109の一方の端部に、第2の選択トランジスタ112を介して電流パルスを導入するワードライン(WL2)110が接続されており、磁化自由層109の他方の端部に向かって矢印111の方向に電流が流れるようになっている。第2の選択トランジスタ112にはビットライン107が接続されている。
磁気抵抗効果素子105への書き込み動作は、ビットライン107により第2の選択トランジスタ112をONにし、ワードライン(WL2)110に印加されているパルス電流を磁気抵抗効果素子105の磁化自由層109に矢印111の向きに導入することにより行われる。パルス電流の磁化自由層109が磁化反転する強度に設定される。読み出し動作は、図10の場合と同様に、選択トランジスタ103をONし、磁気抵抗効果素子105にセンス電流を流して磁気抵抗変化を測定することにより行われる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1に示す構造の強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。マグネトロンスパッタ装置を用いて、熱酸化Si基板上に、下地層として10nmのTaと10nmのNiFeを順次堆積した。その上に、12nmのIrMnからなる反強磁性層と3nmのCo9Feからなる第1の強磁性層11(あわせて磁化固着層として機能する)を順次積層した。その上に、1.5nmのAl−Oからなるトンネル障壁層12を積層した。さらにその上に、5nmのCo9Feからなる第2の強磁性層13(磁化自由層)を順次積層した。
全ての膜は真空を破ることなく形成した。トンネル障壁層を構成するAl−Oは、Al金属をスパッタした後、プラズマ酸化することにより形成した。TEM(透過電子顕微鏡)による観察では、膜質はnmオーダでは均質ではなく、化学量論組成となっているかどうか不明であったため、Al−Oという表記を用いている。なお、下地層、反強磁性層および第1の強磁性層は100μm幅の下部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。トンネル障壁層に変換されるAlは接合部形状の開口を有するマスクを通して成膜した。トンネル障壁層より上部の各層は下部配線に直交する方向に延びる100μm幅の上部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。これらのマスクは工程の途中で真空チャンバー内において交換した。別のマスクを用いて、トンネル接合部を接合面積1×1μm2のサイズにまで小さくした。また、成膜時に100Oeの磁界を印加して、膜面内に一軸異方性を導入した。
磁化自由層の成膜後に、真空中でFIB(Focused Ion Beam)法を用いて、磁化自由層の対向する2つの端部にGaイオンを照射した。FIB処理によりイオンが照射された部分で磁気特性が変化し、弱い垂直磁気異方性を示すようになった。この試料に対して、試料振動型磁力計(VSM)を用いて磁化曲線を測定したところ、膜面内方向、膜面垂直方向ともに残留磁化が観察されたことから、このことが確認された。
このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。その結果、約22Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。FIB処理していないときのスイッチング磁界が約25Oeであるのと比べ、磁化自由層の実効的な保磁力が減少していることがわかる。
(実施例2)
(実施例1)と同様の構造を有するが、FIB照射領域を1つの端部のみとした素子10個について磁気抵抗評価を行った。その結果、スイッチング磁界は約24Oeと、わずかではあるが実効保磁力の低減効果が得られることがわかった。FIB処理を1個所だけ行えばよいので製造コストを下げることができる反面、実効保磁力の低減効果は小さい。
(実施例3)
磁化自由層の固着をより強固にすることを目的として、図2に示す構造の強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。(実施例1)と同様の製造工程を採用し、磁化自由層の形成後に、磁化自由層の端部に隣接する部分のみに開口を有するマスクを用いて、[Pt 0.6nm/Co 0.3nm]5からなる人工格子薄膜を端部ピニング層21として積層した。[Pt 0.6nm/Co 0.3nm]5とは、Pt 0.6nm/Co 0.3nmの組を5回繰り返して積層したものである。VSM測定の結果、端部ピニング層21から生じると推定される量より多い垂直方向の残留磁化が確認され、磁化自由層13が隣接する端部ピニング層21と交換結合しており、端部が垂直方向に固着されていることがわかった。また、垂直方向の保磁力は1000Oeであり、磁化自由層13の保磁力よりもはるかに大きい。
磁気抵抗を調べる前に膜面垂直方向に10kOeの磁界を印加し、両端部の端部ピニング層21を平行な向きに着磁した。このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。図12に、この素子の印加磁界−磁気抵抗比の変化を模式的に示す。約17Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力が約8Oe減少したことがわかった。また、角形比が向上しており、再生出力信号の安定性も向上した。
(実施例4)
(実施例3)の素子から磁化自由層の対向する2つの端部を膜面垂直方向で互いに反平行に着磁させた磁気抵抗効果素子を作製した。(実施例3)の素子に対し、磁化自由層の両端に隣接する端部ピニング層の一方のみにさらに弱いエネルギーのGaイオン照射(FIB処理)を行った。このFIB処理を行った端部ピニング層は垂直磁気異方性が減少し、左右の端部ピニング層で保磁力に差が生じた。膜面垂直方向のヒステリシスループをVSMで調べたところ、図13のようになった。二段ループとなっているのは、両端の端部ピニング層の保磁力の違いが現れたためである。Hc1、Hc2がそれぞれの端部ピニング層の保磁力である。このようにして作製した10個の素子についてそれぞれの端部ピニング層の保磁力を見積もった。その結果、すべての素子について、800Oe以上の印加磁界で一方の端部ピニング層のみが磁化反転し、1500Oe以上の印加磁界で両方の端部ピニング層が磁化反転することがわかった。そこで、まず膜面垂直方向に10kOeの磁界を印加して両方の端部ピニング層を垂直方向に着磁した後、逆向きに1000Oeの磁界を印加して一方の端部ピニング層のみを逆方向に磁化反転させ、隣接する2つの端部ピニング層の磁化が反平行に向く状態にした。このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。印加磁界−磁気抵抗比曲線は図12のようになり、約19Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力が約6Oe減少したことがわかった。
(実施例5)
磁化自由層に隣接する端部ピニング層として面内磁化のPtMnを用いたこと以外は(実施例3)と同様にして磁気抵抗効果素子を作製した。磁化固着層11の磁化を固着するIrMn反強磁性層と、磁化自由層13の端部の磁化を固着するPtMn反強磁性端部ピニング層とのブロッキング温度の違いを利用し、IrMnの磁気異方性の軸とPtMnの磁気異方性の軸とが、膜面内方向でそれぞれ直交するように磁場中アニール処理を施した。図14に磁化自由層13とPtMn反強磁性端部ピニング層21の着磁状態を模式的に示す。この図は素子の上部から見た平面図であり、説明のために磁化固着層とそれに隣接する端部ピニング層のみを抜き出して示しており、矢印は各層の磁気異方性の軸の向きである。
このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。その結果、図12と同様の角形のよい印加磁界−磁気抵抗比曲線が得られ、約20Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力が約5Oe減少したことがわかった。
(実施例6)
(実施例5)の素子から磁化自由層の対向する2つの端部を膜面内方向で互いに反平行に着磁させた磁気抵抗効果素子を作製した。(実施例5)の素子に対し、磁化自由層に隣接する端部ピニング層の一方のみに弱いエネルギーのGaイオン照射(FIB処理)を行った。(実施例4)と同様の評価により、作製した10個の素子すべてについて、100Oe以上の印加磁界で一方の端部ピニング層のみが磁化反転し、500Oe以上の印加磁界で両方の端部ピニング層が磁化反転することがわかった。そこで、まず膜面内の一方向に1kOeの磁界を印加して、両方の端部ピニング層を着磁した後、逆向きに200Oeの磁界を印加し、一方の端部ピニング層のみを逆方向に磁化反転させ、磁化自由層に隣接する2つの端部ピニング層の磁化が反平行に向く状態にした。このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。印加磁界−磁気抵抗比曲線は図12のようになり、約22Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力が約3Oe減少したことがわかった。
(実施例7)
図3に示す構造の強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。マグネトロンスパッタ装置を用いて、熱酸化Si基板上に、Ta 10nm/NiFe 10nmからなる下地層、12nmのIrMnからなる反強磁性層、3nmのCo9Feからなる第1の強磁性層(磁化固着層)、1.5nmのAl−Si−Oからなるトンネル障壁層、2nmのCo9Feからなる第2の強磁性層(磁化自由層)を順次積層した。
全ての膜は真空を破ることなく形成した。トンネル障壁層を構成するAl―Si−Oは、SiAl合金(混合物)をスパッタ成膜した後、プラズマ酸化することにより形成した。TEM(透過電子顕微鏡)による観察では、膜質はnmオーダでは均質ではなく、化学量論組成となっているかどうか不明であったため、Al−Si−Oという表記を用いている。なお、下地層、反強磁性層および第1の強磁性層は100μm幅の下部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。トンネル障壁層に変換されるSiAlは接合部形状の開口を有するマスクを通して成膜した。トンネル障壁層より上部の各層は下部配線に直交する方向に延びる100μm幅の上部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。これらのマスクは工程の途中で真空チャンバー内において交換した。別のマスクを用いて、トンネル接合部を接合面積1×1μm2のサイズにまで小さくした。また、成膜時に100Oeの磁界を印加して、膜面内に一軸異方性を導入した。
磁化自由層の成膜後に、真空中でFIB(Focused Ion Beam)法を用いて、磁化自由層の対向する2つの端部にCsイオンを照射した。FIB処理によりイオンが照射された部分では磁気異方性の向きは変わらないが保磁力が増加した。詳細な理由は不明であるが、欠陥が導入されたことによって磁化反転しにくくなったものと推察される。このとき、磁化自由層の両端部で異なるエネルギーのCsイオンを照射することで、両端部の保磁力を異なるものにすることができた。磁化自由層の各部分の保磁力は、中央部で25Oe、一方の端部で50Oe、他方の端部で120Oeとなった。素子作製後に、図3の右方向に相当する向きに1kOeの外部磁界を印加し、その後、左方向に相当する向きに70Oeの磁界を印加したところ、図3に示すような磁化状態を実現できた。磁気力顕微鏡(MFM)で確認したところ、図3に示したように、磁化自由層の右側と左側とで向きが異なる磁化状態ができていることが確認でき、その間に磁壁が存在することが推定された。
このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。その結果、約10Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力が約15Oe減少したことがわかった。
上記の動作をMFM観察によって調べた。上部電極がない状態の素子を作製し、磁界中でMFM観察ができる装置に設置し、磁化自由層の磁気異方性の軸の方向に磁界を印加して磁化自由層の磁化状態を観察した。磁界印加の前は図15に模式的に示す像が得られた。図において異なるハッチングはMFM観察で見られる磁気コントラストであり、上向きまたは下向きの漏洩磁界の存在を意味する。この観察で得られた結果から推定される磁化自由層内の磁化の向き図中に矢印で示した。図の151の位置に磁壁が存在している。この素子に図15において右方向に相当する向きに磁界を30Oeまで印加したところ、図16に模式的に示す像が得られた。この磁界でスイッチングが起こったものと思われる。この素子は上部電極がなく、また磁界印加を均一な外部磁界で行っているので、素子動作のときとは磁界強度がずれている。この実験より、スイッチング動作は磁壁の移動によって行われ、核生成などの磁化反転モードは起こっていないことが確認された。スイッチング磁界の低減は、この磁壁移動モード主体のスイッチング動作のためであると思われる。
(実施例8)
(実施例7)の構成の磁気抵抗効果素子に磁壁トラップを導入することを試みた。(実施例7)の素子に対し、両方の端から100nmまでの部分の磁化を固着する処理を行った後、端から150nm〜200nmまでの範囲の部分をごく弱いエネルギーでGaイオン照射(FIB処理)した。このエネルギーは磁化自由層を削り取るほどの強さではなく、断面TEM観察で表面(界面)に若干の乱れが確認される程度の変化を誘起するものであった。このようにして作製した磁化自由層の模式図を図17に示す。図中171は表面を荒らすFIB処理をした部分であり、この部分が磁壁トラップとなることが推定される。この素子を上記と同様の手法で図3のような磁化構造にし、磁化状態のMFM観察を行った。その結果、図18に模式的に示す磁化コントラストが得られた。磁壁トラップ作製部に磁壁151が集中していることが推測される。
このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。その結果、約13Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。通常の素子における約25Oeのスイッチング磁界との対比から、磁化自由層13の実効的な保磁力は約12Oe減少したことがわかった。図19にこの素子の印加磁界−磁気抵抗比の変化を模式的に示す。磁壁トラップの導入によりスイッチング磁界は若干増加したものの、角形がよくなり、素子としての動作安定性が向上した。
(実施例9)
(実施例8)と同様の製造工程を採用したが、Gaイオン照射時間を長くして磁化自由層が約0.5nmエッチングされる条件のFIB処理を行うように変更して磁気抵抗効果素子を作製した。図20に磁化自由層13の断面を模式的に示す。FIB処理によって磁化自由層13に形成されたくぼみ201が磁壁1トラップになる。この素子では、約15Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。ヒステリシスの角形比は図19と同様に1に近いものであった。ゼロ磁界下での磁化状態を(実施例8)と同様の手法で観察したところ、図18と同様に、磁壁トラップの位置に磁壁が集中した状態になっていることが確認された。
(実施例10)
(実施例8)と同様の製造工程を採用したが、分圧比でGa:O2=10:1の混合ガスをイオン化して照射するように変更して磁気抵抗効果素子を作製した。酸素イオンが打ち込まれることで、磁化自由層内に、Fe−Oが形成されて、Coリッチ磁性体に対応する磁気特性を示す組成変調部分が形成される。この組成変調部分が磁壁トラップとなる。この素子では、約12Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。ヒステリシスの角形比は図19と同様に1に近いものであった。ゼロ磁界下での磁化状態を(実施例8)と同様の手法で観察したところ、図18と同様に、磁壁トラップの位置に磁壁が集中した状態になっていることが確認された。
(実施例11)
(実施例8)と同様の製造工程を採用したが、Xeイオンを照射するように変更して磁気抵抗効果素子を作製した。磁化自由層では、Xeイオンにより若干のCo原子とFe原子がスパッタされるとともに、Xe原子が膜中に入り込んでCo原子やFe原子を押しのける、いわゆるカスケード現象が起こる。このことにより、磁化自由層内で欠陥密度の増えた部分が形成され、そこが磁壁トラップとなる。断面TEMによる観察で、コントラストで白く見える(電子が透過する)欠陥が確認された。欠陥密度に関しては、Xeイオンを打ち込んだ部分は磁化自由層中央部よりも4倍以上の高密度であった。この素子は、約13Oeのスイッチング磁界で40%の磁気抵抗変化が観測された。ヒステリシスの角形比は図19と同様に1に近いものであった。ゼロ磁界下での磁化状態を(実施例8)と同様の手法で観察したところ、図18と同様に、磁壁トラップの位置に磁壁が集中した状態になっていることが確認された。
(実施例12)
図7に示す構造の強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。マグネトロンスパッタ装置を用いて、熱酸化Si基板上に、Ta 10nm/NiFe 10nmからなる下地層、12nmのIrMnからなる反強磁性層、3nmのCo9Feからなる第1の強磁性層(磁化固着層)、1.5nmのAl−Oからなるトンネル障壁層、2nmのCo9Feからなる第2の強磁性層(磁化自由層)を順次積層した。
全ての膜は真空を破ることなく形成した。トンネル障壁層を構成するAl−Oは、Alをスパッタ成膜した後、プラズマ酸化することにより形成した。TEM(透過電子顕微鏡)による観察では、膜質はnmオーダでは均質ではなく、化学量論組成となっているかどうか不明であったため、Al−Oという表記を用いている。なお、下地層、反強磁性層および第1の強磁性層は100μm幅の下部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。トンネル障壁層に変換されるAlは接合部形状の開口を有するマスクを通して成膜した。その後、別のマスクを用いて、トンネル接合部として第1の強磁性層およびトンネル障壁層を1×1μm2のサイズに加工した。トンネル障壁層より上部の各層は下部配線に直交する方向に延びる100μm幅の上部配線形状の開口を有するマスクを通して成膜した。その後、別のマスクを用いて、第2の強磁性層(磁化自由層)をトンネル接合部とほぼ同じ形状の1×1μm2のサイズに加工した。ただし、上部配線の幅方向に沿って磁化自由層をトンネル接合部よりも200nm広くなる(磁化自由層の両端部がそれぞれ100nmずつ広くなる)ように加工した。図21にこの時点での加工形状を模式的に示す。211は下部配線、212は磁化固着層およびトンネル障壁層、213は磁化自由層、214は上部配線である。これらの工程において、マスクはすべて真空チャンバー内で交換した。また、成膜時に100Oeの磁界を印加して、膜面内に一軸異方性を導入してある。
上部配線を形成する前に、図7に示すように、磁化自由層13のはみ出している部分に端部ピニング層21を積層した。端部ピニング層21は、(実施例3)と同じ[Pt 0.6nm/Co 0.3nm]5からなる人工格子薄膜である。VSM測定の結果、端部ピニング層21から生じると推定される量より多い垂直方向の残留磁化が確認され、磁化自由層13が端部ピニング層21と交換結合しており、磁化自由層13の両端部が垂直方向に固着されていることがわかった。垂直方向の保磁力は1500Oeであり、磁化自由層13の保磁力よりもはるかに大きい。
(実施例3)と同様に、磁気抵抗を調べる前に膜面垂直方向に10kOeの磁界を印加し、両端部の端部ピニング層21を平行な向きに着磁した。このようにして作製した磁気抵抗効果素子10個について、4端子法を用いて磁気抵抗を測定し、平均的な特性を調べた。また、(実施例4)と同様の処理によって、反平行着磁の素子を10個作製した。
一方、(実施例5)または(実施例6)のように面内磁化の端部ピニング層を用い、両端部の端部ピニング層を平行または反平行に着磁した素子をそれぞれ10個作製した。
また、上述した垂直磁化の端部ピニング層の代わりに、磁化自由層と同じ組成の合金からなる端部ピニング層を積層した。図21からわかるように、端部ピニング層は図の上下方向に長い矩形となっているので上下方向に形状磁気異方性が発生する。そこで、磁化固着層の磁気異方性の方向を図21の左右方向とすれば、図14に示したような面内直交関係を得ることができる。さらに、垂直磁化の端部ピニング層と同様の処理を施すことで左右の端部ピニング層の保磁力を変えて、反平行磁化状態の素子も作れる。このようにして、それぞれ10個の磁気抵抗効果素子を作製した。
以上の6種類の磁気抵抗効果素子について、40%の磁気抵抗変化が観測されたスイッチング磁界の強さを以下に示す。なお、角形は飽和領域とゼロ磁界下での磁気抵抗の比である。
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
垂直 平行 約11 0.95
垂直 反平行 約12 0.95
面内(反強磁性体) 平行 約13 0.88
面内(反強磁性体) 反平行 約14 0.86
面内(Co9Fe) 平行 約10 0.96
面内(Co9Fe) 反平行 約9 0.96
いずれの構成においても磁化自由層の実効保磁力低減の効果が得られることがわかった。図2のように端部ピニング層が磁化自由層に隣接している場合よりも低減効果が大きいのは、図7では端部ピニング層と磁化自由層との接触面積が増えたために、交換磁界が大きく作用し、磁化自由層の両端部の磁化固着がより強く行われたためであると推定される。
(実施例13)
(実施例9)で説明した磁壁トラップを設けた磁気抵抗効果素子に対して、磁化自由層の両端部に端部ピニング層を積層して効果を調べた。平面構成は図21と同様のものとし、(実施例12)と同じ6種類の端部ピニング層の試料を作製した。図22に、これらの素子における磁壁トラップ201、磁化自由層13のはみ出し部分、および端部ピニング層21の位置関係を示す。磁壁トラップ構造の場合、端部ピニング層21は磁化自由層13と同じ方向で反平行の磁化を持つ必要がある。このような端部ピニング層21を実現する材料として、(実施例5)および(実施例6)で用いたのと同様の反強磁性体を用いることができる。また、(実施例5)および(実施例6)で用いたのと同様の反強磁性体または磁化固着層を固着するのに用いたのと同様の反強磁性体によって磁化固着されたCo9Feを用いることができる。端部ピニング層21にCo9Feを用いると、磁化自由層13と同種材料であるため、より強い磁化固着効果が得られる。ただし、Co9Feの上に反強磁性体をなどからなる別のピニング層を積層する必要がある。PtMnを端部ピニング層としたもの、PtMnで磁化固着されたCo9Feを端部ピニング層としたものについて、それぞれ10個の磁気抵抗効果素子を作製し、40%の磁気抵抗変化が観測されたスイッチング磁界を調べた。結果を以下に示す。
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
PtMn 反平行 約12 0.96
PtMn/Co9Fe 反平行 約10 0.97
(実施例9)に比べて端部の磁化固着が強いために実効保磁力がより低減された。
(実施例14)
端部ピニング層を磁化自由層の両端部の下(基板側)に設けた磁気抵抗効果素子を作製した。磁化固着層、トンネル障壁層、磁化自由層の構成は(実施例12)と同じである。ただし、トンネル障壁層の形成後に、磁化自由層がはみ出す予定の部分に開口のあるマスクを用いて、端部ピニング層を作製した。
膜面垂直磁化の端部ピニング層としては、Pt8nm/[Pt 0.6nm/Co 0.3nm]8からなる人工格子薄膜を用いた。IrMn反強磁性層の部分までエッチングしているので、Pt下地を用いることができ、人工格子の積層数も多くできる。こうした人工格子薄膜を用いることにより、端部ピニング層自体の磁気異方性エネルギーが向上し、より強い磁化固着が期待できる。膜面内磁化の端部ピニング層となるPtMn反強磁性層については、PtMn単層を17nmの厚さで積層した。膜面内磁化の端部ピニング層となるCo9Feについては、単層を14nmの厚さで積層した。
図23および図24に本実施例における強磁性トンネル接合の断面形状を模式的に示す。これらの図に示されるように、端部ピニング層21とトンネル障壁層12との高さが一致していないために、磁化自由層13は端部ピニング層のところで湾曲部241を持つ構造となる。このような構造でも、本発明に係る磁気抵抗効果素子の作用効果を発揮することができる。
また、(実施例13)と同様に磁化自由層に磁壁トラップを形成した素子を作製した。磁壁トラップは磁化自由層の湾曲部241をわずかにエッチングすることによって形成した。
以上のようにして、(実施例12)と同様の6種類および(実施例13)と同様の2種類の端部ピニング層を作製し、40%の磁気抵抗変化が観測されたスイッチング磁界を調べた。その結果を以下に示す。
[磁壁トラップなし構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
垂直 平行 約9 0.95
垂直 反平行 約10 0.95
面内(反強磁性体) 平行 約11 0.88
面内(反強磁性体) 反平行 約11 0.86
面内(Co9Fe) 平行 約9 0.96
面内(Co9Fe) 反平行 約10 0.96
[磁壁トラップ構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
PtMn 反平行 約11 0.96
PtMn/Co9Fe 反平行 約10 0.97
いずれの構成でも、端部ピニング層を磁化自由層の下(基板側)に設置したことで磁化固着の効果が大きくなり、磁化自由層の実効保磁力の低減が達成できた。角形に関しては、磁壁トラップ構造の有無による依存性が大きいためか、基板側に端部ピニング層を導入したことによる差は見られなかった。
(実施例15)
図8に示す構造の強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。基本的な素子構成、製造工程は(実施例12)と同様であるが、磁化自由層の両端部をそれぞれ100nmずつ広い形状となるように加工した後に、両端部にテーパをつける加工を施した。
図25(a)〜(d)を参照して本実施例の素子の製造工程を説明する。図25では、磁化自由層の一方の端部のみを示している。図25(a)に示すように、磁化固着層11、トンネル障壁層12、およびこれらより幅の広い磁化自由層13を加工する。その後、磁化自由層13上に、磁化自由層13の端部に対応する開口を持つレジスト251を形成する。図25(b)に示すように、レジスト251をアニールして、レジスト251の端部形状をなだらかな形状にする。この状態で、図25(c)のように磁化自由層13のエッチングを行うと、レジストマスクの薄い部分ほどエッチングされやすいので、磁化自由層13の端部にテーパをつけることができる。図25(d)のようにレジストを除去することによってテーパ加工された磁化自由層13を得ることができる。
上記の製造工程は磁気記録ヘッドのハード膜を固着する方法に用いられているのと同様のものである。ただし、これ以外の手法を用いてテーパ形状を形成してもよい。
磁化自由層13のテーパ加工された端部上に端部ピニング層を積層し、図8に示す構造を有する磁気抵抗効果素子を作製した。図8では端部ピニング層21の上部と磁化自由層13の上部とが揃っているように図示しているが、実際には図26または図27に示すように端部ピニング層21の上部と磁化自由層13の上部とが揃っている必要はない。
また、(実施例14)と同様に、磁化自由層の下に端部ピニング層を設けた構成の素子も作製した。(実施例14)と同様な製造工程を採用したが、端部ピニング層を形成した後にその上部を図25(a)〜(d)と同様な方法でテーパ形状に加工し、その上に磁化自由層を積層するように変更した。
さらに、磁化自由層の上部または下部に端部ピニング層を設けた構成のそれぞれについて、(実施例14)と同様に、磁壁トラップを設けた構成の磁気抵抗効果素子も作製した。
磁化自由層の上部または下部に端部ピニング層を設ける構成で、それぞれ(実施例12)と同様の6種類および(実施例13)と同様の2種類の端部ピニング層を作製し、40%の磁気抵抗変化が観測されたスイッチング磁界の強さを調べた。その結果を以下に示す。
[上側端部ピニング層+磁壁トラップなし構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
垂直 平行 約10 0.95
垂直 反平行 約10 0.95
面内(反強磁性体) 平行 約12 0.88
面内(反強磁性体) 反平行 約13 0.86
面内(Co9Fe) 平行 約8 0.96
面内(Co9Fe) 反平行 約9 0.96
[上側端部ピニング層+磁壁トラップ構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
PtMn 反平行 約10 0.96
PtMn/Co9Fe 反平行 約9 0.97
[下側端部ピニング層+磁壁トラップなし構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
垂直 平行 約8 0.95
垂直 反平行 約8 0.95
面内(反強磁性体) 平行 約9 0.88
面内(反強磁性体) 反平行 約10 0.86
面内(Co9Fe) 平行 約7 0.96
面内(Co9Fe) 反平行 約8 0.96
[下側端部ピニング層+磁壁トラップ構造]
端部ピニング層 磁化構成 スイッチング磁界(Oe) 角形
PtMn 反平行 約9 0.96
PtMn/Co9Fe 反平行 約8 0.97
磁化自由層へのテーパ導入により磁化固着がより強くなり、磁化自由層の実効保磁力をさらに低減できる効果が得られた。また、端部ピニング層を磁化自由層の下(基板側)に設置すると磁化固着の効果が大きくなり、磁化自由層の実効保磁力の低減が達成できた。角形に関しては、磁壁トラップ構造の有無による依存性が大きいためか、端部ピニング層の導入位置による差は見られない。
(実施例16)
図9に示す構造を有する強磁性トンネル接合を含む磁気抵抗効果素子を作製した。基本的な素子構成、製造工程は(実施例14)に記載したように、PtMn/Co9Feからなる端部ピニング層の上に磁化自由層を形成し、磁化自由層の湾曲部241のFIB処理で溝型の磁壁トラップを形成する構成とした。さらに、磁化自由層に、磁化自由層の一方の端部から他方の端部へパルス電流を流すための端子を接続した。磁化自由層には5×107A/cm2の電流密度で100ns幅のパルスが流せるように外部回路を組んだ。また、パルス電流を流す際には、トンネル障壁層を通って磁気抵抗検出回路へ電流が流れないように、磁化固着層を常に磁化自由層と同電位にするための電位補償回路も設けている。端部ピニング層を反平行に着磁した後の磁化状態をMFMで確認したところ、図18に示したようになり、磁壁の存在が確認された。
上記の回路に正負の電流パルスをそれぞれ3回印加し、パルス回路をオープンとしたときの磁気抵抗を調べた。その結果、正/負のパルスに応じて磁気抵抗比が40%変化することがわかった。この変化は図12の外部磁界による変化に対応しており、電流パルス印加によって磁化自由層の磁化反転が起こり、磁気抵抗が変化したためと思われる。上部電極がない試料に同様な正負の電流パルスを印加して、その後の磁化自由層の磁化状態をMFMで観察したところ、図15と図16との間で変化していることがわかった。このことからも、電流パルス印加によって磁化自由層の実質的な磁化反転(磁壁の移動)が起こり、磁気抵抗が変化したものと思われる。以上のことより、ワード線、ビット線への電流印加による漏洩磁界発生によるスイッチングとは異なる機構でスイッチングが可能な磁気抵抗効果素子を実現できることが実証された。
同様な動作は、溝以外の磁壁トラップの場合、磁壁トラップがない場合、端部ピニング層を上部に積層した場合、端部ピニング層が反強磁性体のみの場合、および磁化自由層に隣接する端部ピニング層を用いた場合についても確認された。すなわち、磁化自由層内に磁壁が形成されているという構成であれば、上記の動作を実現できるが確認された。
なお、磁壁トラップがない場合には、磁気抵抗の変化のばらつきが大きく、磁壁の位置が毎回同じにはなっていないことが推定される。この構成では、再生出力の安定性では劣るが、素子の製造の容易さで優っている。したがって、この構成を選択するかどうかは、システムが要求する素子コストと素子性能に応じて決定される。
本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の一例を示す断面図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の一例を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図。 本発明に係る、磁化自由層に磁壁トラップを有する磁気抵抗効果素子のヒステリシスループを模式的に示す図。 本発明に係る、磁化自由層に磁壁トラップのない磁気抵抗効果素子のヒステリシスループを模式的に示す図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の変形例を示す断面図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の変形例を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の回路構成を示す図。 本発明の一実施形態に係る磁気メモリの記憶セルの構成を示す斜視図。 本発明の他の実施形態に係る磁気メモリの記憶セルの構成を示す斜視図。 実施例3における磁気抵抗効果素子の印加磁界−磁気抵抗比の変化を模式的に示す図。 実施例4における磁気抵抗効果素子の膜面垂直方向のヒステリシスループを模式的に示す図。 実施例5における磁気抵抗効果素子の磁化自由層と端部ピニング層の着磁状態を模式的に示す図。 実施例7における磁気抵抗効果素子の磁化自由層の磁化状態を模式的に示す図。 実施例7における磁気抵抗効果素子の磁化自由層の磁化状態を模式的に示す図。 実施例8における磁気抵抗効果素子の磁壁トラップを有する磁化自由層を模式的に示す図。 実施例8における磁気抵抗効果素子の磁壁トラップを有する磁化自由層を磁化状態を模式的に示す図。 実施例8における磁気抵抗効果素子の印加磁界−磁気抵抗比の変化を模式的に示す図。 実施例9における磁気抵抗効果素子の磁化自由層の断面図。 実施例12における磁気抵抗効果素子の加工形状を示す平面図。 実施例13における磁気抵抗効果素子の磁壁トラップ、磁化自由層のはみ出し部分、端部ピニング層の位置関係を示す断面図。 実施例14における磁気抵抗効果素子の断面図。 実施例14における磁気抵抗効果素子の断面図。 実施例15における磁気抵抗効果素子の製造工程を示す断面図。 実施例15の変形例の磁気抵抗効果素子を示す断面図。 実施例15の変形例の磁気抵抗効果素子を示す断面図。
符号の説明
11…第1の強磁性層(磁化固着層)、12…トンネル障壁層、13…第2の強磁性層(磁化自由層)、21…端部ピニング層、31…磁壁、41…磁壁トラップ、91…記録信号源、151…磁壁、171…磁壁トラップ、201…磁壁トラップ、211…下部配線、212…磁化固着層およびトンネル障壁層、213…磁化自由層、214…上部配線、241…湾曲部、251…レジスト。

Claims (4)

  1. 第1の強磁性層/トンネル障壁層/第2の強磁性層の3層構造を含む強磁性トンネル接合を有し、前記第1の強磁性層は前記第2の強磁性層よりも保磁力が大きく、前記2つの強磁性層の磁化の相対的角度によりトンネルコンダクタンスが変化する磁気抵抗効果素子であって、前記第1および第2の強磁性層の磁気異方性が膜面内に向き、前記第2の強磁性層の2つの端部の磁化が膜面垂直方向成分を持つ方向に固着されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第2の強磁性層の端部と交換結合してその磁化を固着させる、保磁力の大きな強磁性材料または反強磁性材料で形成された端部ピニング層を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 第1の方向に延在する第1の配線と、
    前記第1の配線の上方において、前記第1の方向と交差する方向に延在する第2の配線と、
    前記第1の配線と前記第2の配線との間に設けられた請求項1に記載の磁気抵抗効果素子と、
    前記磁気抵抗効果素子の選択手段と
    を有することを特徴とする磁気メモリ。
  4. 前記磁気抵抗効果素子の膜面垂直方向に電流を流す配線と、その配線の選択手段と、前記磁気抵抗効果素子の第2の強磁性層の一方の端部から他方の端部へ電流を流す配線と、その配線の選択手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の磁気メモリ。
JP2003383924A 2003-11-13 2003-11-13 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ Expired - Fee Related JP4143020B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003383924A JP4143020B2 (ja) 2003-11-13 2003-11-13 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003383924A JP4143020B2 (ja) 2003-11-13 2003-11-13 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005150303A JP2005150303A (ja) 2005-06-09
JP4143020B2 true JP4143020B2 (ja) 2008-09-03

Family

ID=34692504

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003383924A Expired - Fee Related JP4143020B2 (ja) 2003-11-13 2003-11-13 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4143020B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10431279B2 (en) 2017-02-07 2019-10-01 Samsung Electronics Co., Ltd. Magnetoresistive memory device

Families Citing this family (58)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006287081A (ja) * 2005-04-04 2006-10-19 Fuji Electric Holdings Co Ltd スピン注入磁区移動素子およびこれを用いた装置
US7929342B2 (en) 2005-08-15 2011-04-19 Nec Corporation Magnetic memory cell, magnetic random access memory, and data read/write method for magnetic random access memory
JP5193419B2 (ja) * 2005-10-28 2013-05-08 株式会社東芝 スピン注入磁気ランダムアクセスメモリとその書き込み方法
WO2007099874A1 (ja) * 2006-02-27 2007-09-07 Nec Corporation 磁気抵抗素子及び磁気ランダムアクセスメモリ
US7848137B2 (en) 2006-03-24 2010-12-07 Nec Corporation MRAM and data read/write method for MRAM
JP2007273495A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Fujitsu Ltd 磁気メモリ装置及びその駆動方法
JP2007281247A (ja) * 2006-04-07 2007-10-25 Toshiba Corp スピンメモリ
JP5099368B2 (ja) 2006-04-11 2012-12-19 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ
JP2007324172A (ja) * 2006-05-30 2007-12-13 Fujitsu Ltd 磁気メモリ装置及びその製造方法
JP2007324171A (ja) * 2006-05-30 2007-12-13 Fujitsu Ltd 磁気メモリ装置及びその製造方法
JP2007324269A (ja) * 2006-05-31 2007-12-13 Fujitsu Ltd 磁気記憶装置とその製造方法
US7535069B2 (en) * 2006-06-14 2009-05-19 International Business Machines Corporation Magnetic tunnel junction with enhanced magnetic switching characteristics
KR100790885B1 (ko) * 2006-09-15 2008-01-02 삼성전자주식회사 자구 벽 이동을 이용한 정보 저장 장치
JP5206414B2 (ja) 2006-10-16 2013-06-12 日本電気株式会社 磁気メモリセルおよび磁気ランダムアクセスメモリ
KR100829569B1 (ko) * 2006-10-18 2008-05-14 삼성전자주식회사 자구벽 이동을 이용한 반도체 장치 및 그의 제조방법
JP5146836B2 (ja) * 2006-12-06 2013-02-20 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ及びその製造方法
WO2008072421A1 (ja) * 2006-12-12 2008-06-19 Nec Corporation 磁気抵抗効果素子及びmram
KR100846510B1 (ko) * 2006-12-22 2008-07-17 삼성전자주식회사 자구벽 이동을 이용한 정보 저장 장치 및 그 제조방법
JP4380707B2 (ja) 2007-01-19 2009-12-09 ソニー株式会社 記憶素子
WO2008090696A1 (ja) * 2007-01-22 2008-07-31 Nec Corporation 磁気抵抗素子及び磁気記憶装置
JPWO2008102498A1 (ja) 2007-02-23 2010-05-27 日本電気株式会社 磁性体装置及び磁気記憶装置
JP5201538B2 (ja) 2007-03-07 2013-06-05 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ
JP5201539B2 (ja) 2007-03-29 2013-06-05 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ
US8599605B2 (en) 2007-05-28 2013-12-03 Nec Corporation Magnetic storage device
CN101689600B (zh) * 2007-06-25 2012-12-26 日本电气株式会社 磁阻效应元件及磁性随机存取存储器
JP5338666B2 (ja) 2007-08-03 2013-11-13 日本電気株式会社 磁壁ランダムアクセスメモリ
WO2009019949A1 (ja) 2007-08-03 2009-02-12 Nec Corporation 磁気ランダムアクセスメモリ及びその製造方法
JP5445133B2 (ja) * 2007-09-19 2014-03-19 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ、その書き込み方法、及び磁気抵抗効果素子
KR20090036312A (ko) * 2007-10-09 2009-04-14 고려대학교 산학협력단 강자성 물질의 도메인 구조 및 다중 상태를 이용한 자기기억 소자
JP5370773B2 (ja) * 2007-11-02 2013-12-18 日本電気株式会社 磁気抵抗効果素子、及び磁気ランダムアクセスメモリ、及びその初期化方法
WO2009060749A1 (ja) 2007-11-05 2009-05-14 Nec Corporation 磁気抵抗効果素子、及び磁気ランダムアクセスメモリ
WO2009078244A1 (ja) * 2007-12-18 2009-06-25 Nec Corporation 磁気ランダムアクセスメモリ、及び、磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法
WO2009101827A1 (ja) * 2008-02-13 2009-08-20 Nec Corporation 磁壁移動素子及び磁気ランダムアクセスメモリ
US8149615B2 (en) 2008-02-19 2012-04-03 Nec Corporation Magnetic random access memory
US8159872B2 (en) 2008-02-19 2012-04-17 Nec Corporation Magnetic random access memory
WO2009122992A1 (ja) * 2008-04-03 2009-10-08 日本電気株式会社 磁気抵抗記憶装置
WO2010004881A1 (ja) * 2008-07-10 2010-01-14 日本電気株式会社 磁気ランダムアクセスメモリ、並びに磁気ランダムアクセスメモリの初期化方法及び書き込み方法
WO2010013566A1 (ja) * 2008-07-31 2010-02-04 日本電気株式会社 磁気抵抗効果素子、及び磁気ランダムアクセスメモリ及びその初期化方法
JP5472820B2 (ja) * 2008-10-20 2014-04-16 日本電気株式会社 磁気抵抗素子、mram及び磁気抵抗素子の初期化方法
JP5472830B2 (ja) * 2009-03-31 2014-04-16 日本電気株式会社 強磁性ランダムアクセスメモリ
WO2011118395A1 (ja) * 2010-03-23 2011-09-29 日本電気株式会社 磁気メモリ素子、磁気メモリ、及びその製造方法
US8541247B2 (en) * 2010-12-20 2013-09-24 Seagate Technology Llc Non-volatile memory cell with lateral pinning
US8592927B2 (en) 2011-05-04 2013-11-26 Magic Technologies, Inc. Multilayers having reduced perpendicular demagnetizing field using moment dilution for spintronic applications
JP5571142B2 (ja) * 2012-09-25 2014-08-13 株式会社東芝 磁気メモリ
US9715915B2 (en) 2014-10-30 2017-07-25 Samsung Electronics Co., Ltd. Magneto-resistive devices including a free layer having different magnetic properties during operations
JP2017084891A (ja) 2015-10-26 2017-05-18 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 磁気トンネル接合素子
US9966529B1 (en) 2017-03-17 2018-05-08 Headway Technologies, Inc. MgO insertion into free layer for magnetic memory applications
JP2019096815A (ja) 2017-11-27 2019-06-20 株式会社サムスン日本研究所 磁気トンネル接合素子及び磁気抵抗メモリ装置
US10665773B2 (en) 2018-01-26 2020-05-26 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd. Nitride capping layer for spin torque transfer (STT)-magnetoresistive random access memory (MRAM)
US10879451B2 (en) 2018-08-14 2020-12-29 Samsung Electronics Co., Ltd. Magnetic tunnel junction device and magnetic resistance memory device
JP2020072239A (ja) 2018-11-02 2020-05-07 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 磁気トンネル接合素子及び磁気抵抗メモリ装置
US10950782B2 (en) 2019-02-14 2021-03-16 Headway Technologies, Inc. Nitride diffusion barrier structure for spintronic applications
US11264560B2 (en) 2019-06-21 2022-03-01 Headway Technologies, Inc. Minimal thickness, low switching voltage magnetic free layers using an oxidation control layer and magnetic moment tuning layer for spintronic applications
US11264566B2 (en) 2019-06-21 2022-03-01 Headway Technologies, Inc. Magnetic element with perpendicular magnetic anisotropy (PMA) and improved coercivity field (Hc)/switching current ratio
JP7470599B2 (ja) * 2020-08-19 2024-04-18 Tdk株式会社 配線層、磁壁移動素子および磁気アレイ
JP2022059919A (ja) 2020-10-02 2022-04-14 Tdk株式会社 集積装置及びニューロモーフィックデバイス
JP7215645B2 (ja) * 2020-10-23 2023-01-31 Tdk株式会社 ニューロモーフィックデバイス
WO2023012896A1 (ja) * 2021-08-03 2023-02-09 Tdk株式会社 磁壁移動素子および磁気アレイ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10431279B2 (en) 2017-02-07 2019-10-01 Samsung Electronics Co., Ltd. Magnetoresistive memory device
US10679686B2 (en) 2017-02-07 2020-06-09 Samsung Electronics Co., Ltd. Apparatus including magnetoresistive memory device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005150303A (ja) 2005-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4143020B2 (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ
US7682840B2 (en) Magnetic device and method of making the same
US7018725B2 (en) Magneto-resistance effect element magneto-resistance effect memory cell, MRAM, and method for performing information write to or read from the magneto-resistance effect memory cell
US6707711B2 (en) Magnetic memory with reduced write current
KR100875383B1 (ko) 보텍스 자기 랜덤 액세스 메모리
JP4371781B2 (ja) 磁気セル及び磁気メモリ
JP2005109263A (ja) 磁性体素子及磁気メモリ
KR20060046496A (ko) 결합된 인접 연자성 층을 갖는 자기 랜덤 액세스 메모리어레이
JP5318191B2 (ja) 磁気メモリ
JP2007287923A (ja) 記憶素子及びメモリ
KR20120024469A (ko) 기억 소자 및 메모리 장치
JP3977576B2 (ja) 磁気メモリ装置
JP5034317B2 (ja) 記憶素子及びメモリ
US20070133264A1 (en) Storage element and memory
US8679653B2 (en) Spin-valve recording element and storage device
US6898115B2 (en) Magnetoresistive element, and magnetic memory using the same
JP2007281334A (ja) スピン注入磁化反転素子、その製造方法、およびそれを用いた磁気記録装置
Matsuyama et al. Low current magnetic-RAM memory operation with a high sensitive spin valve material
JP3872962B2 (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気記憶装置
JP4136028B2 (ja) 磁性薄膜メモリ素子、それを用いた磁性薄膜メモリ及びその記録再生方法
JP2004023015A (ja) 磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メモリ装置
JP2008060583A (ja) 電流誘導スイッチングを利用した磁気メモリ素子
JP2002280642A (ja) 磁気抵抗効果素子、磁気記憶装置、携帯端末装置、磁気抵抗効果ヘッド、磁気再生装置
Meng Spin transfer in nano-magnetic devices with new structures
EP1418590A1 (en) Magnetic device

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080610

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080613

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120620

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120620

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130620

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees