JP2006287081A - スピン注入磁区移動素子およびこれを用いた装置 - Google Patents

スピン注入磁区移動素子およびこれを用いた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁壁移動を電気抵抗で検出可能な素子を提供すると共に、高速かつ低電流での磁壁移動と記録された磁壁の熱安定性を両立可能とする。
【解決手段】 本発明のスピン注入磁区移動素子は、磁壁を有する磁壁移動層、少なくとも1層の強磁性層を有する第1磁性層グループおよび少なくとも1層の強磁性層を有する第2磁性層グループを有して構成し、第1磁性層グループと第2磁性層グループが磁壁移動層の両端に配置され、第1磁性層グループと第2磁性層グループとの間に電子を流すことにより、磁壁移動層の磁壁を移動することを特徴とする。
磁壁移動層の一部が第1磁性層グループと反強磁性結合をし、磁壁移動層の一部が第2磁性層グループと反強磁性結合または強磁性結合をしていることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気的なセンサーやメモリーを構成する基本構造素子およびこれを用いた装置に関する。より具体的には、電子スピンの注入を制御した、大容量かつ機械的な駆動部分を含まない磁気的なランダムアクセスメモリ、あるいは電子スピンの注入を検知する微弱電流センサーを構成する素子ならびに装置に関する。
図18は、従来提案されている巨大磁気抵抗(GMR、Giant Magneto−Resistance)効果を利用したGMR素子の断面構造を示したものである。例えばシリコン基板200上に第1電極201、Co等からなる第1強磁性層203(厚さ〜40nm、直径〜100nm)、非磁性金属層204(厚さ〜6nm、直径〜100nm)、Co等からなる第2強磁性層205(厚さ〜2.5nm、直径〜100nm)、第2電極206が順次形成されている。このようなGMR構造素子は、第2電極側からのスピン電流注入、即ち、第1電極側からのスピン分極した電子の注入によって強磁性層205の磁化を反転できることが知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照。)。
素子の動作原理は以下のように説明されている。はじめに素子に十分な磁界を印加し、第1強磁性層203、第2強磁性層205の磁化状態を同一方向に揃える。図19(a)は磁化が右向きに揃った場合を示したもので、図中の矢印が各磁性層の磁化の方向を表している。以下の図面においても矢印の意味は同様である。この状態を平行状態(P状態)と呼ぶことにする。この状態で、電流を第2電極側から第1電極の向きに流すと、電子は第1電極から強磁性層203に注入される。第1電極中の電子スピンの状態はアップスピンとダウンスピンの分布が一致しているが、強磁性層中では電子スピンと強磁性金属原子のスピンの間に相互作用(s−d相互作用)が働くために、電子スピンは第1強磁性層の磁化の向きに整列する。これをスピンの偏極と呼んでいる。このような偏極したスピンが非磁性金属層204を通過して第2強磁性層205に注入されると、強磁性層205の磁化は1)式で表される向きのトルクを受ける。強磁性層203も磁化は1)式で表される向きのトルクを受けるが、強磁性層203の厚さが強磁性層205に比べて十分に厚いために、強磁性層203の磁化は動かない。
j・M(強磁性層205)×M(強磁性層203)×M(強磁性層205)・・・1)
ここでjは電流(スカラー量)、M(強磁性層205)は強磁性層205の磁化の向きの単位ベクトル、M(強磁性層203)は強磁性層203の磁化の向きの単位ベクトルである。したがって、ある臨界電流を超えると、強磁性層205の磁化のみがトルクによって回転し、強磁性層205と強磁性層203の磁化はP状態から反平行状態(AP状態)に変化する。次にAP状態にある素子に第1電極から第2電極に向けて電流を流す場合を説明する。この場合は、トルクの向きを表す式の電流の符号が負となり、強磁性層205の磁化は反対向きのトルクを受ける結果、ある臨界電流を超えると強磁性層205の磁化は反転し、素子の磁化状態はAP状態からP状態へ戻る。GMR素子の両電極間の電気抵抗値は、P状態で小さくAP状態で大きく、その割合は数10%あることが知られている。このGMR効果を用いてハードディスクの読出しヘッドが作製されている。図20は、この電流注入によるGMR素子の磁化反転を用いたMRAM(Magnetic Random Access Memory)の平面構造を示したものである。図20のような構成を用いれば、横に走るワード線208の組と縦に走るビット線207の組によって、記録セル209へのビット情報の書込み(磁化の反転)と読出し(記録セルの磁化状態に対応した電気抵抗値の検知)が原理的には可能である。
図21、22は、強磁性細線中を流れる電流によって強磁性細線中に形成された磁壁が移動する現象(例えば、非特許文献2参照。)の説明図である。図21は構成を表すもので、絶縁基板220上に強磁性層221(厚さ〜10nm、長さ〜数um)を形成し、上部に第1電極222、第2電極223を形成している。強磁性層221としてはパーマロイ(Ni81Fe19)薄膜等が用いられている。金属電極としては、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)などが用いられている。図22は、第1電極222、第2電極223間に電流を流す場合の磁壁224の動作を説明するもので、磁性層の磁化の向きを前述と同様に矢印で表している。
はじめに、図22(a)に示すように、2つの電極に挟まれた強磁性層221の領域に1つの磁壁224が存在し、磁壁224の右側と左側の磁化の向きが対向している場合を考える。この状態で、第2電極223から第1電極222の向きに電流を流す場合は、磁壁224を電流が横切ることになる。このとき電子は第1電極222から強磁性層221に注入され第2電極223に流れ込むことになる。強磁性層221に注入された電子のスピンの磁化の向きは、s−d相互作用によって、強磁性層221の磁壁224の左側の領域の磁化と同じ向きに揃う(あるいは、偏極とも呼ぶ)と考えられる。この偏極した電子スピンの磁化をSl(右向きのベクトル)とする。次にスピン偏極した電子が磁壁224を通過して強磁性層221の磁壁224の右側の領域に注入されると、s−d相互作用によって今度は磁壁224通過前とは反対の磁化と同じ向きに揃うことになる。磁壁224の右側での偏極した電子スピンの磁化をSr(左向きのベクトル)とする。また、磁壁224の左側と右側における強磁性層の磁化をそれぞれMl(右向きのベクトル)およびMr(左向きのベクトル)とする。上述したとおり、Srを正の向きと考えると、磁壁224の左から右に移動する過程で電子スピンの磁化SrはSlに変化し、負の向きの電子スピンが増加することになる。今、磁壁を電子が横切る前と後で磁性体の磁化と伝導電子のスピン角運動量の総和(Ml+Sl+Mr+Sr)は保存され一定である。磁壁の左側の伝導電子が磁壁を横切る過程で、電子の全スピン運動量の総和(Sl+Sr)は、2Srだけ増加する(2Slだけ減少する)。すなわち伝導電子が磁壁を左から右に横切ることによって磁化の総和(Ml+Mr)は2Slだけ増加する。すなわち、電子が磁壁224を左から右に横切ることによって、磁壁224の磁化Mlが増加していく(磁壁224が電子の流れる向きと同じ方向に移動していく)ことになる。図22(a)と図22(b)は、電流を電極223から流す前の磁壁224の位置と、電流を電極223から流した後の磁壁224の位置の違いを示している。このように、電流の流れる向きに対して磁壁224は反対に移動することが知られている。この磁壁移動を可能とする電流密度はパーマロイ等の金属磁性体の場合で10A/cm程度、強磁性半導体で8×10A/cm程度であり、また、電流密度を上げることによって磁壁の移動速度は3m/s程度になることが報告されている(例えば、非特許文献2、3参照。)。
特開2004−207707号公報 カティン(J. A. Katine)、「Co/Cu/Co柱における電流駆動磁気反転およびスピン波励起(Current−Driven Magnetization Reversal and Spin−Wave Excitation in Co/Cu/Co Pillars)」、フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)、米国、2000年、第84巻、第14号、p.3149−3152。 山口(A.Yamaguchi)、「サブミクロン磁性細線における電流駆動による磁壁移動の実空間観測(Real−space Observation of Current−Driven Domain Wall Motion in Submicron Magnetic Wires)」、フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)、米国、2004年、第92巻、第7号、p.077205 山ノ内路彦、日本物理学会 第60回年次大会予稿集、2005年3月27日、p.27aYP−5
上述した二つの技術はいずれも電流を流すことによって磁化を反転するものである。また原理としては、スピン偏極した電子が強磁性体に注入されたときに、電子スピンによって強磁性体の磁化にトルクが加えられることによっている。このとき、注入された自由電子のスピンの磁化と強磁性体の磁化の総計が保存されるのであり、わずかな注入電子(あるいは電流)で磁化の反転を起こすためには、磁化反転される強磁性体の体積および飽和磁化の大きさを小さくすることが必要になる。
たとえば、図20のMRAMの場合、臨界電流を小さくするために体積、飽和磁化を小さくする場合は、記録ビット、即ち、記録セル209の磁化の熱安定性が低くなり、室温でも熱擾乱によって磁化の熱ゆらぎが発生し、記録セルの磁化を保持できなくなる問題が生じる。図21で示した構成においても、電流による磁壁の高速移動をわずかな電流で行なうためには、飽和磁化を下げる必要がある。しかし、飽和磁化を下げていくことにより、磁壁を構成する磁化の熱ゆらぎが大きくなり、磁壁の位置が熱擾乱によってランダムに移動するといった問題が発生することが容易に想定できる。
さらに、図21の構造では、電流によって磁化状態の変化、即ち、磁壁の移動を誘起することが可能であるが、磁化状態を検出することが困難である。なぜならば、図20の構成の場合、磁壁の位置が変わるだけで、電流の流れる磁性層の長さは変化しない。強磁性層221の右向きと左向きの磁化の領域の長さの比は変化するが、右向きと左向きの電気抵抗率は同じと考えられるため、この比の変化による電気抵抗の差は無視できるレベルであり、これだけでは、両電極間の電気抵抗が大きく変化することはない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは次の通りである。
第一には、2つの電極間に電流を流すことによって素子の磁化状態を変化させ、この2つの電極間の電気抵抗が素子の磁化状態に応じて変化する素子において、素子の磁化状態の熱安定性を向上するとともに、磁化状態を変化させるために必要な臨界電流が小さな素子を提供することにある。
さらには、磁性体の2つの電極間に電流を流すことによって磁壁が移動する素子において、磁壁が移動することによって2つの電極間の電気抵抗が変化する素子を提供することにある。
本発明のスピン注入磁区移動素子は、磁壁を有する磁壁移動層、少なくとも1層の強磁性層を有する第1磁性層グループおよび少なくとも1層の強磁性層を有する第2磁性層グループを有して構成し、該第1磁性層グループと該第2磁性層グループが該磁壁移動層の両端に配置され、該第1磁性層グループと該第2磁性層グループとの間に電子を流すことにより、前記磁壁移動層の磁壁を移動することを特徴とする。
前記磁壁移動層の内で前記第1磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第1磁性層グループと反強磁性結合をしており、前記磁壁移動層の内で前記第2磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第2磁性層グループと反強磁性結合または強磁性結合をしていることが好ましい。
また、前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の異なる面上に磁壁移動層を挟んで対向して配置されているか、または、前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の同一の面上に配置されていることが好ましい。
また、前記第1磁性層グループは、非磁性の第1交換結合制御層と第1強磁性層が積層されてなり、該第1交換結合制御層が前記磁壁移動層と接しているか、または、前記第1磁性層グループは、非磁性層と第1強磁性層が積層されてなり、該非磁性層が第1交換結合制御層と第1非磁性金属層に分割され、該第1交換結合制御層と該第1非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることが好ましい。
また、前記第2磁性層グループは非磁性の中間交換結合制御層、中間強磁性層、非磁性の第2交換結合制御層および第2強磁性層がこの順に積層されてなり、該中間交換結合制御層が前記磁壁移動層と接しているか、または、前記第2磁性層グループは非磁性の第3交換結合制御層および第3強磁性層が積層されてなり、該第3交換結合制御層が前記磁壁移動層と接しているか、または、前記第2磁性層グループは第4強磁性層だけからなるか、または、前記第2磁性層グループは非磁性層、中間強磁性層、非磁性の第2交換結合制御層および第2強磁性層がこの順に積層されてなり、該非磁性層が中間交換結合制御層と中間非磁性金属層に分割され、該中間交換結合制御層と該中間非磁性金属層が前記磁壁移動層と接しているか、または、前記第2磁性層グループは非磁性層および第3強磁性層が積層されてなり、該非磁性層が第3交換結合制御層と第3非磁性金属層に分割され、該第3交換結合制御層と該第3非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることが好ましい。
また、中間強磁性層を設ける場合は、その膜厚がスピン緩和距離より薄いことが好ましい。
上述した複数のスピン注入磁区移動素子を、第1磁性層グループをビット線に接続し、第2磁性層グループをワード線に接続して連結して、スピン注入磁区移動装置を構成することができる。
本装置の記録、読み出しを行う際は、電気抵抗の差異を用いることが好ましい。
磁壁移動層の外部に保磁力の大きな強磁性層を配置し、この強磁性層と磁壁移動層との間に反強磁性結合もしくは強磁性結合を形成することにより、磁壁の位置を電気抵抗の変化として記録、再生することが実現可能となった。
さらには、強磁性体と磁壁移動層との間に反強磁性結合もしくは強磁性結合を形成することにより、磁壁と磁壁位置の安定化を図ることが可能となった。この結果、磁壁移動層内における磁壁移動を高速かつ低電流で行なうために磁壁移動層の体積あるいは飽和磁化を小さくしていったとしても、記録された磁壁の熱安定性を確保することが可能であり、高速、低電流化と素子の記録磁化の熱安定性を両立して実現することが可能となった。
本発明の素子を多数個集積するとともに、シリコン半導体CMOS回路を集積した基板上に組み合わせて集積する等の手段により、記録容量が大きく、機械的な駆動部分を含まない磁気的なランダムアクセスメモリが実現できる。この他、本発明の素子は、端子間に流れる電流の向きによって、内部の磁化状態が変化し、端子間の電気抵抗が変わる磁気抵抗効果を発現するため、微弱な電流センサーとしても利用が可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態を説明するための断面模式図で、基板4の上に第1電極5、第1磁性層グループ100、磁壁移動層8、第2磁性層グループ101、第2電極2がこの順に形成され、さらに第1電極5上にビット線1が形成されている。第1磁性層グループ100は第1強磁性層6、第1交換結合制御層7から構成され、第2磁性層グループ101は中間交換結合制御層9、中間強磁性層10、第2交換結合制御層11、第2強磁性層12から構成されている。
図2は、本発明の第1の実施の形態の動作原理を説明するための図で、図1の素子の各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層8は磁壁13により、第1電極側の磁壁移動層8aと第2電極側の磁壁移動層8bに分割されている。
図1の構成が素子の最小単位であり、必要な数の素子を同一基板上に配置して所望の装置を形成する。本発明の素子を駆動するための回路、駆動素子等を同一基板上に配置することも可能である。
基板4の材料は、基板上に配置する複数の素子を独立に制御するために絶縁性を有し、また、素子を保持するために充分な剛性を有する材料であれば、所望の平坦度に応じて適宜選択可能である。例えば、サファイア、酸化シリコンなどの厚さ数100umの絶縁基板や、表面を酸化し絶縁性を確保した半導体基板等が使用できる。
第1電極5は、導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから1000nm×1000nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円形状等とすることもできる。
第1強磁性層6と第1交換結合制御層7は、磁壁移動層8の一部で第1電極側の磁壁移動層8aとの間に反強磁性結合を形成し、第1電極側の磁壁移動層8aの磁化を第1強磁性層6と反対の向きに固定するためのものである。
第1強磁性層6は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第1強磁性層6の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。また、Co50Pt50等の規則合金が特に好ましい。規則合金は、磁気異方性定数Kuが1×10erg/cmを超える材料が知られており、磁化の方向を安定に保持可能なためである。
第1交換結合制御層7は、第1強磁性層6と磁壁移動層8を所定の間隙で離間し、第1強磁性層6と第1電極側の磁壁移動層8aとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層である。その材料は、Ru、V、C、Nb、Mo、Rh、Ta、W、Re、Ir、PtまたはPd等、あるいはこれらの元素のいずれかを主体とする合金が好ましい。第1交換結合制御層7の厚みにより交換結合定数は正から負の値へと変化する。従って、第1強磁性層6と第1電極側の磁壁移動層8aが反強磁性結合を行うように第1交換結合制御層7の厚みが選択されるが、厚すぎる場合には交換結合が小さくなるため0.5から3nmが好ましい。例えば、第1強磁性層6がCoPt合金、第1交換結合制御層7がRu、磁壁移動層8がCoHfTa合金の場合には、Ruの膜厚0.8nmで反強磁性結合に、Ruの膜厚1.8nmで強磁性結合とすることができる。
磁壁移動層8は層内に形成する磁壁13の位置により、図1の素子全体の電気抵抗値を変化させ、かつヒステリシスをもたらすものである。動作の詳細については後述する。その材料としては、磁壁が存在する磁性材料であればよく、磁性金属、強磁性半導体あるいは強磁性酸化物等を使用することができる。好ましくは、パーマロイ、CoFe合金、CoFeB合金、NiCoFe合金、CoCrFeAl合金、Fe、FePt合金、NiMnSb合金、CoMn系合金、SrFeMoO、Fe、CoHfTa等である。特に好ましくは、パーマロイ、Co90Fe10、CoMnAl、CoMnSi、CoMnGeである。その膜厚は、50nmから500nmが好ましい。第1強磁性層6の磁化の向きにより第1電極側の磁壁移動層8aの磁化の向きが容易に制御され、あるいは第2強磁性層12の磁化の向きにより第2電極側の磁壁移動層8bの磁化の向きが容易に制御されることが必要なため、磁壁移動層8の保磁力は10Oe以下が好ましい。
中間交換結合制御層9、中間強磁性層10、第2交換結合制御層11および第2強磁性層12は、第2強磁性層12と中間強磁性層10との間、および中間強磁性層10と第2電極側の磁壁移動層8bとの間に反強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層8bの磁化の向きを第2強磁性層12と同じ向きに固定するためのものである。さらに、中間強磁性層10の膜厚を適切に制御することにより、注入される電子スピンを制御するためのものである。
中間交換結合制御層9は、中間強磁性層10と磁壁移動層8を所定の間隙で離間し、中間強磁性層10と第2電極側の磁壁移動層8bとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層7と同様に設定される。
中間強磁性層10は、上述した反強磁性結合を形成すると共に、注入される電子のスピンを保存したまま、隣接する層に電子注入するためのものである。例えば、中間交換結合制御層9から注入された電子は、その電子スピンの偏極状態を大部分保存したまま中間強磁性層10を通過して第2交換結合制御層11に注入される。電子スピンの向きは電子の平均自由工程の数倍の距離保存されるが、やがて緩和して、通過している磁性層の磁化の向きに揃うこととなる。従って、中間強磁性層10の膜厚は電子スピンの緩和距離に比べて薄くすることが必要である。電子スピンの緩和距離は、金属では100から200nmであるため、中間強磁性層10の膜厚は50nm以下が好ましく、電子スピンの偏極状態を良好に保存するためには、5nm以上、20nm以下が特に好ましい。また、第2強磁性層12の磁化により、中間強磁性層10の磁化の向きが容易に制御されることが必要であり、中間強磁性層10の材料は第2強磁性層12と比べて保磁力の小さな材料とすることが好ましく、CoHfTa合金、CoZrNb合金、CoFe合金、FeCoN合金、FeAlN合金、Ni45Fe55合金、Ni81Fe19合金、NiFeMo合金、FeTaN合金等が好ましい。また、保磁力は20Oe以下とすることが好ましい。
第2交換結合制御層11は、中間強磁性層10と第2強磁性層12を所定の間隙で離間し、中間強磁性層10と第2強磁性層12との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層7と同様に設定される。
第2強磁性層12は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第2強磁性層12の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。また、Co50Pt50等の規則合金が特に好ましい。
第2電極2は導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから1000nm×1000nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円状等とすることもできる。
ビット線1は第1電極に所望の電圧を供給するための配線で、Al、Cu等の慣用の配線材料を使用することができる。
第1強磁性層6から第2強磁性層12までの各層の面積は、各電極面積よりも小さくすることが好ましく、50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。
第1電極5から第2電極2までの各層およびビット線1は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
この縦型の素子を図20の記録セル209の位置に配置して、ワード線208とビット線207に接続することで、集積された磁気メモリを形成することができる。
以下、図2を用いて第1の実施の形態の動作原理について説明する。
初めに、本素子に書き込みあるいは記録を行う場合の動作原理について説明する。
素子は初めに初期化を行う。図2aは、左向きで飽和磁界に相当する強い磁界を素子に印加し、第1強磁性層6、第2強磁性層12の磁化をすべて左向きにしたのちに磁界を除いた場合の磁化の状態を示している。
第1強磁性層6と第1電極側の磁壁移動層8aは反強磁性結合をしており、かつ、第1強磁性層6の保持率が磁壁移動層8の保持率よりも高いことから、第1電極側の磁壁移動層8aには第1強磁性層6の磁化の向きとは反対になる右向きの磁化が誘起される。また、第2強磁性層12と中間強磁性層10とは反強磁性結合をしており、かつ第2強磁性層12の保持率が中間強磁性層10の保持率よりも高いことから、中間強磁性層10には第2強磁性層12の磁化の向きと反対の右向きの磁化が誘起される。さらに、中間強磁性層10と第2電極側の磁壁移動層8bとは反強磁性結合をしていることから第2電極側の磁壁移動層8bには中間強磁性層10の磁化の向きと反対になる左向きの磁化が誘起される。したがって、磁壁移動層8aと8bは、必ず反対向きの磁化が誘起されることになる。磁壁移動層8の保磁力は小さいため、複数の磁壁が発生している場合もあるが、図21、22で説明した原理にしたがって第1電極から第2電極に向けて電流を流すことにより、図2aの磁壁13の位置に集約することができる。また、第1電極側の磁壁移動層8aには、第1強磁性層6との反強磁性結合によって、第1強磁性層6の磁化と反対の向きの磁化が必ず誘起されるため、第1電極から第2電極に向けて電流を流し続けた場合でも磁壁移動層8には安定な磁壁を1つ形成することができる。
図2aの状態の素子に、第2電極から第1電極に向けて電流を流し続けると、磁壁13は電流の向きと反対に移動して、図2bに示した磁壁配置となる。電流を止めると、中間強磁性層10と第2電極側の磁壁移動層8bは反強磁性結合をしているため、第2電極側の磁壁移動層8bには必ず中間強磁性層10の磁化と反対の磁化が誘起されるため、磁壁移動層8には安定な磁壁が1つ形成され消失することはない。また、充分に電流を流すことにより、第2電極側の磁壁移動層8bの厚みを電子スピンの緩和距離に比較して充分に薄くすることが可能であり、例えば、その厚みを20nm程度とすることができる。
図2bの状態の素子に第1電極から第2電極に向けて電流を流し続けると前記と逆の動作を行って図2aの状態に到達する。また、充分に電流を流すことにより、第1電極側の磁壁移動層8aの厚みを電子スピンの緩和距離に比較して充分に薄くすることが可能であり、例えば、その厚みを20nm程度とすることができる。
このように、電流の向きを反転させることにより、磁壁移動層8の磁壁13の位置を、両端部に自由に位置させることができる。
次に、本素子の記録を読み出すあるいは磁化状態を検出する場合の動作原理について説明する。
本動作原理は、磁性層の厚みと電子スピンの緩和距離の相対関係により電子スピンの挙動が異なる点に基づいている。より具体的には、磁性層の厚みが電子スピンの緩和距離に比べて充分に薄い場合は、電子はそのスピンの大部分が保存されて磁性層を通過し、磁性層の厚みが電子スピンの緩和距離と同等以上となる場合には、電子はそのスピンが磁性層の磁化に偏極されて磁性層を通過する点に基づいている。
以下では、図1の素子に対して、検出電流を第2電極2から第1電極5の方向に流した場合(即ち、電子が第1電極5から第2電極2に向かって注入される場合。)を例にとって、素子の電気抵抗の差を検知する方法について説明する。
図2aでは電子は次の経路を流れる。
<電子経路1>:第1電極5−左向きの磁化状態の厚い第1強磁性層6−非磁性の第1交換結合制御層7−右向きの磁化状態が誘起された薄い磁壁移動層8a−左向きの磁化状態の厚い磁壁移動層8b−非磁性の中間交換結合制御層9−右向きの磁化状態の薄い中間強磁性層10−非磁性の第2交換結合制御層11−左向きの磁化状態の厚い第2強磁性層12−第2電極2
ここで、電子スピンの緩和距離に比べて同等以上の膜厚の場合を厚いと表現し、電子スピンの緩和距離に比べて充分薄い膜厚の場合を薄いと表現している。薄い膜厚とは、例えば20nm程度の膜厚であり、厚い膜厚とは、例えば200nm程度の膜厚である。
図2bでは電子は次の経路を流れる。厚い、薄いの表現の意味は上述と同様である。
<電子経路2>:第1電極5−左向きの磁化状態の厚い第1強磁性層6−非磁性の第1交換結合制御層7−右向きの磁化状態の厚い磁壁移動層8a−左向きの磁化状態が誘起された薄い磁壁移動層8b−非磁性の中間交換結合制御層9−右向きの磁化状態の薄い中間強磁性層10−非磁性の第2交換結合制御層11−左向きの磁化状態の厚い第2強磁性層12−第2電極2
スピン偏極した電子は、スピンの向きと異なる方向に磁化された磁性体との界面で散乱または反射を受け、電気抵抗の増加を引き起こす。また、厚い磁性層を通過する場合は、電子のスピンの向きは、磁性体の磁化の向きに偏極することになる。電子経路2と電子経路1を比較すると、電子経路2では、s−d相互作用によって第1強磁性層6中で左向きの磁化の方向のスピンに偏極された電子(ここではダウンスピンと考える)が、厚い磁壁移動層8aとの界面で大きく散乱または反射されることで電気抵抗増加をもたらす。しかし、磁壁移動層8aへ注入されたダウンスピンの電子は、s−d相互作用によって今度は厚い磁壁移動層8aの磁化の向きであるアップスピンに偏極されていく。このアップスピンの電子は、薄い磁壁移動層8bに注入されるときに界面で弱い散乱または反射されることになる。薄い磁壁移動層8bに注入されたアップスピンの電子は、磁壁移動層8bが薄いため、アップスピンに偏極したまま同じ磁化方向を持つ中間強磁性層10に到達する。この結果、中間強磁性層10との界面では大きな散乱・反射を受けない。さらに、電子はアップスピンを保持したまま薄い中間強磁性層10を通過して、厚い第2強磁性層12の界面で大きく反射・散乱されることになる。
一方、 電子経路1では、s−d相互作用によって第1強磁性層6中で左向きの磁化の方向のダウンスピンに偏極された電子が、薄い磁壁移動層8aとの界面で弱い散乱または反射を受ける。しかし、磁化の方向が異なる磁壁移動層8aが薄いためにダウンスピンは保存され、ダウンスピンを保持したまま磁壁移動層8bを通過して、磁化の向きの異なる中間強磁性層10へ到達しその界面で弱い散乱または反射を受ける。しかし、中間強磁性層10は薄いために、電子はダウンスピンを保持したまま磁化の向きが同じ第2強磁性層12まで到達する。
磁性膜に電子が注入される場合、磁性膜の磁化の方向と異なる向きのスピンを持つ電子に対して磁性膜界面にはポテンシャル障壁が存在する。したがって、電子はポテンシャル障壁によって散乱、あるいは反射される。界面のポテンシャル障壁によって電子が大きく散乱・反射され電気抵抗を大きく増加する場合とは、十分にスピン偏極した電子が電子の持つスピン角運動量の方向と異なる磁化を持つ厚い磁性体に注入される場合である。すなわち厚い磁性層同士の磁化の組み合わせが、スピン依存伝導に大きく寄与する。より具体的には、素子の電気抵抗は、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さい。
厚い磁性層同士の磁化の組み合わせだけを電子経路1と2から抜きだして比較すると以下のようになる。
<電子経路1>:左向きの磁化状態の厚い第1強磁性層6−左向きの磁化状態の厚い磁壁移動層8b−左向きの磁化状態の厚い第2強磁性層12
<電子経路2>:左向きの磁化状態の厚い第1強磁性層6−右向きの磁化状態の厚い磁壁移動層8a−左向きの磁化状態の第2強磁性層12
電子経路1と2を比較すると、電子経路2では、s−d相互作用によって厚い第1強磁性層6中で左向きに偏極した電子スピンが、右向きの磁化を持つ厚い磁壁移動層8aに注入される。さらに磁壁移動層8a中でs−d相互作用によって右向きに偏極した電子スピンが、左向きの磁化を持つ第2強磁性層12に注入されるわけで、2度にわたって異なる磁化の向きをもつ層に注入される。一方、 電子経路1では、s−d相互作用によって厚い第1強磁性層6中で左向きに偏極した電子スピンは、同じ左向きの磁化をもつ厚い磁壁移動層8b、第2強磁性層12に注入されるため、大きな散乱・反射を受けない。このため、電子経路2の電気抵抗は電子経路1の電気抵抗よりも高くなる。したがって、電極間の電気抵抗を測定することによって、容易に素子の内部磁化の状態を検知することができる。
なお、上記では、特にメモリー素子において有効となる二つの磁化状態の検出方法について説明したが、磁化状態を連続的に検出することも可能である。電子が電子スピンと異なる磁化の磁性層を通過する場合、電子スピンは磁性層の磁化に揃うまで連続的に変化する。即ち、通過する距離に応じて電子スピンの偏極の程度が異なるわけで、電子スピンの偏極の程度に応じて次に注入される磁性層での電気抵抗が変化することとなる。より具体的には、磁壁移動層8の磁壁13の位置に応じて第1電極から第2電極までの電気抵抗が連続的に変化する。磁壁13の位置は素子に流れた電流に依存するため、素子の電気抵抗を検出することにより、流れた電流を検出することが実現可能となる。
また、電気抵抗の変化を段階的に区分することにより、多値記録を行うこともできる。
図1の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、反強磁性結合を強磁性結合とすることもできる。以下、より具体的に説明する。
図3は第1の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図で、基板4の上に第1電極5、第1磁性層グループ100、磁壁移動層8、第2磁性層グループ101、第2電極2がこの順に形成され、さらに第1電極5上にビット線1が形成されている。第1磁性層グループ100は第1強磁性層6、第1交換結合制御層7から構成され、第2磁性層グループ101は第3交換結合制御層121、第3強磁性層122から構成されている。図4は、図3の構成の素子の動作原理を説明するための図で、各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層8は磁壁13により、第1電極側の磁壁移動層8aと第2電極側の磁壁移動層8bに分割されている。
基板4、第1電極5、第1強磁性層6、第1交換結合制御層7、第2電極2、ビット線1は前述した図1の素子と同様に構成する。
磁壁移動層8は、第2電極側の磁壁移動層8bの制御方法が図1の素子と異なるが、材料、膜厚、磁気特性は図1の素子と同様に構成する。
第3交換結合制御層121および第3強磁性層122は、第3強磁性層122と第2電極側の磁壁移動層8bとの間に強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層8bの磁化の向きを第3強磁性層122と同じ向きに固定するためのものである。
第3交換結合制御層121は、磁壁移動層8と第3強磁性層122を所定の間隙で離間し、第2電極側の磁壁移動層8bと第3強磁性層122との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料は第1交換結合制御層7と同様に設定され、その膜厚は第2電極側の磁壁移動層8bと第3強磁性層122とが強磁性結合を行うように設定される。
第3強磁性層122は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第3強磁性層122の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1強磁性層6から第3強磁性層122までの各層の面積は、各電極面積よりも小さくすることが好ましく、50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。
第1電極5から第2電極2までの各層およびビット線1は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
動作原理は図1の素子と同様である。書き込みの場合は、第1電極5と第2電極2の間に印加する電流の向きにより、磁壁13の位置が図4a、4b等の位置に移動することに基づいて行う。第1電極5から第2電極2に向けて充分に電流を流した場合は、図4aの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層8aの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。逆に、第2電極2から第1電極5に向けて充分に電流を流した場合は、図4bの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層8bの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。
読み込みの場合は、素子の電気抵抗が、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さいことに基づいて行う。図4aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層6、第2電極側の磁壁移動層8bおよび第3強磁性層122がすべて同じ向きに向いている。一方、図4bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層6、第1電極側の磁壁移動層8aおよび第3強磁性層122は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図4bの磁化状態の電気抵抗は、図4aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなる。
図5は、第1の実施の形態のさらに他の構成例を説明するための断面模式図で、基板4の上に第1電極5、第1磁性層グループ100、磁壁移動層8、第2磁性層グループ101、第2電極2がこの順に形成され、さらに第1電極5上にビット線1が形成されている。第1磁性層グループ100は第1強磁性層6、第1交換結合制御層7から構成され、第2磁性層グループ101は第4強磁性層142から構成されている。
図6は、図5の構成の素子の動作原理を説明するための図で、各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層8は磁壁13により、第1電極側の磁壁移動層8aと第2電極側の磁壁移動層8bに分割されている。
基板4、第1電極5、第1強磁性層6、第1交換結合制御層7、第2電極2、ビット線1は前述した図1の素子と同様に構成する。
磁壁移動層8は、第2電極側の磁壁移動層8bの制御方法が図1の素子と異なるが、材料、膜厚、磁気特性は図1の素子と同様に構成する。
第4強磁性層142と磁壁移動層8は直接接しており、第4強磁性層142と第2電極側の磁壁移動層8bとの間に強磁性結合が形成され、第2電極側の磁壁移動層8bの磁化の向きは第3強磁性層122と同じ向きに固定される。
第4強磁性層142は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第4強磁性層142の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1強磁性層6から第4強磁性層142までの各層の面積は、各電極面積よりも小さくすることが好ましく、50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。
第1電極5から第2電極2までの各層およびビット線1は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
動作原理は図1の素子と同様である。書き込みの場合は、第1電極5と第2電極2の間に印加する電流の向きにより、磁壁13の位置が図6a、6b等の位置に移動することに基づいて行う。第1電極5から第2電極2に向けて充分に電流を流した場合は、図6aの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層8aの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。逆に、第2電極2から第1電極5に向けて充分に電流を流した場合は、図6bの磁化状態となり、第2電極側の磁壁移動層8bの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。
読み込みの場合は、素子の電気抵抗が、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さいことに基づいて行う。図6aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層6、第2電極側の磁壁移動層8bおよび第4強磁性層142がすべて同じ向きに向いている。一方、図6bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層6、第1電極側の磁壁移動層8aおよび第4強磁性層142は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図6bの磁化状態の電気抵抗は、図6aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなる。
第1の実施形態のさらに別の構成例としては、上述した各構成において、第1電極5から第2電極2までの各層の順序をまったく正反対にしたものも使用可能であることはいうまでもない。
(第2の実施の形態)
図7は本発明の第2の実施の形態を説明するための断面模式図で、基板20の上に磁壁移動層22が形成され、磁壁移動層22の一方の端部の上に第1磁性層グループ100、第1電極25がこの順に形成され、磁壁移動層22の他の端部の上には第2磁性層グループ101、第2電極30がこの順に形成されている。第1磁性層グループ100は第1交換結合制御層23、第1強磁性層24がこの順に形成され、第2磁性層グループ101は中間交換結合制御層26、中間強磁性層27、第2交換結合制御層28および第2強磁性層29がこの順に形成されている。
図8は、本発明の第2の実施の形態の動作原理を説明するための図で、図7の素子の各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層22は磁壁33により、第1電極側の磁壁移動層22aと第2電極側の磁壁移動層22bに分割されている。
図7の構成が素子の最小単位であり、必要な数の素子を同一基板上に配置して所望の装置を形成する。本発明の素子を駆動するための回路、駆動素子等を同一基板上に配置することも可能である。
基板20の材料は、基板上に配置する複数の素子を独立に制御するために絶縁性を有し、また、素子を保持するために充分な剛性を有する材料であれば、所望の平坦度に応じて適宜選択可能である。例えば、サファイア、酸化シリコンなどの厚さ数100umの絶縁基板や、表面を酸化し絶縁性を確保した半導体基板等が使用できる。
第1電極25は、導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円形状等とすることもできる。
第1強磁性層24と第1交換結合制御層23は、磁壁移動層22の一部で第1電極側の磁壁移動層22aとの間に反強磁性結合を形成し、第1電極側の磁壁移動層22aの磁化を第1強磁性層24と反対の向きに固定するためのものである。
第1強磁性層24は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第1強磁性層24の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1交換結合制御層23は、第1強磁性層24と磁壁移動層22を所定の間隙で離間し、第1強磁性層24と第1電極側の磁壁移動層22aとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層である。その材料は、Ru、V、C、Nb、Mo、Rh、Ta、W、Re、Ir、PtまたはPd等、あるいはこれらの元素のいずれかを主体とする合金が好ましい。第1交換結合制御層23の厚みにより交換結合定数は正から負の値へと変化する。従って、第1強磁性層24と第1電極側の磁壁移動層22aが反強磁性結合を行うように第1交換結合制御層23の厚みが選択されるが、厚すぎる場合には交換結合が小さくなるため0.5から3nmが好ましい。
磁壁移動層22は層内に形成する磁壁33の位置により、図7の素子全体の電気抵抗値を変化させ、かつヒステリシスをもたらすものである。動作の詳細については後述する。その材料としては、磁壁が存在する磁性材料であればよく、磁性金属、強磁性半導体あるいは強磁性酸化物等を使用することができる。好ましくは、パーマロイ、CoFe合金、CoFeB合金、NiCoFe合金、CoCrFeAl合金、Fe、FePt合金、NiMnSb合金、CoMn系合金、SrFeMoO、Fe、CoHfTa等である。特に好ましくは、パーマロイ、Co90Fe10、CoMnAl、CoMnSi、CoMnGeである。その膜厚は、50nmから500nmが好ましい。第1強磁性層24の磁化の向きにより第1電極側の磁壁移動層22aの磁化の向きが容易に制御され、あるいは第2強磁性層29の磁化の向きにより第2電極側の磁壁移動層22bの磁化の向きが容易に制御されることが必要なため、磁壁移動層22の保磁力は10Oe以下が好ましい。その大きさは、第1磁性層グループ100と第2磁性層グループ101とが所望の距離で離間して形成される大きさであれば良いが、複数の素子を高密度で集積するためには、幅30nmから200nm、長さ50nmから1000nmの長方形状が好ましい。
中間交換結合制御層26、中間強磁性層27、第2交換結合制御層28および第2強磁性層29は、第2強磁性層29と中間強磁性層27との間、および中間強磁性層27と第2電極側の磁壁移動層22bとの間に反強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層22bの磁化の向きを第2強磁性層29と同じ向きに固定するためのものである。さらに、中間強磁性層27の膜厚を適切に制御することにより、注入される電子スピンを制御するためのものである。
中間交換結合制御層26は、中間強磁性層27と磁壁移動層22を所定の間隙で離間し、中間強磁性層27と第2電極側の磁壁移動層22bとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層23と同様に設定される。
中間強磁性層27は、上述した反強磁性結合を形成すると共に、注入される電子のスピンを保存したまま、隣接する層に電子注入するためのものである。例えば、中間交換結合制御層26から注入された電子は、その電子スピンの偏極状態を大部分保存したまま中間強磁性層27を通過して第2交換結合制御層28に注入される。中間強磁性層27の膜厚は電子スピンの緩和距離に比べて薄くすることが必要であるため、膜厚は50nm以下が好ましく、電子スピンの偏極状態を良好に保存するためには、5nm以上、20nm以下が特に好ましい。また、第2強磁性層29の磁化により、中間強磁性層27の磁化の向きが容易に制御されることが必要であり、中間強磁性層27の材料は第2強磁性層29と比べて保磁力の小さな材料とすることが好ましく、CoHfTa合金、CoZrNb合金、CoFe合金、FeCoN合金、FeAlN合金、Ni45Fe55合金、Ni81Fe19合金、NiFeMo合金、FeTaN合金等が好ましい。また、保磁力は20Oe以下とすることが好ましい。
第2交換結合制御層28は、中間強磁性層27と第2強磁性層29を所定の間隙で離間し、中間強磁性層27と第2強磁性層29との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層23と同様に設定される。
第2強磁性層29は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第2強磁性層29の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第2電極30は導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円状等とすることもできる。
第1強磁性層24と第1交換結合制御層23の面積は第1電極25の面積と同等とすることが好ましく、中間交換結合制御層26から第2強磁性層29までの各層の面積は、第2電極30の面積と同等とすることが好ましい。
基板20上の各層は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
図9は、図7の素子を多数配置するための方法の例を示す模式図であり、素子の第1電極25が複数の水平に走るワード線32に、第2電極30が複数の縦に走るビット線31に接続されることで集積された磁気メモリを実現できる。
以下、図8を用いて第2の実施の形態の動作原理について説明する。
初めに、本素子に書き込みあるいは記録を行う場合の動作原理について説明する。
素子は初めに初期化を行う。図8aは、右向きで飽和磁界に相当する強い磁界を素子に印加し、第1強磁性層24、第2強磁性層29の磁化をすべて右向きにしたのちに磁界を除いた場合の磁化の状態を示している。
第1強磁性層24と第1電極側の磁壁移動層22aは反強磁性結合をしており、かつ、第1強磁性層24の保持率が磁壁移動層22の保持率よりも高いことから、第1電極側の磁壁移動層22aには第1強磁性層24の磁化の向きとは反対になる左向きの磁化が誘起される。また、第2強磁性層29と中間強磁性層27とは反強磁性結合をしており、かつ第2強磁性層29の保持率が中間強磁性層27の保持率よりも高いことから、中間強磁性層27には第2強磁性層29の磁化の向きと反対の左向きの磁化が誘起される。さらに、中間強磁性層27と第2電極側の磁壁移動層22bとは反強磁性結合をしていることから第2電極側の磁壁移動層22bには中間強磁性層27の磁化の向きと反対になる右向きの磁化が誘起される。したがって、磁壁移動層22aと8bは、必ず反対向きの磁化が誘起されることになる。磁壁移動層22の保磁力は小さいため、複数の磁壁が発生している場合もあるが、図21、22で説明した原理にしたがって第1電極から第2電極に向けて電流を流すことにより、図8aの磁壁33の位置に集約することができる。また、第1電極側の磁壁移動層22aには、第1強磁性層24との反強磁性結合によって、第1強磁性層24の磁化と反対の向きの磁化が必ず誘起されるため、第1電極から第2電極に向けて電流を流し続けた場合でも磁壁移動層22には安定な磁壁を1つ形成することができる。
図8aの状態の素子に、第2電極から第1電極に向けて電流を流し続けると、磁壁33は電流の向きと反対に移動して、図8bに示した磁壁配置となる。電流を止めると、中間強磁性層27と第2電極側の磁壁移動層22bは反強磁性結合をしているため、第2電極側の磁壁移動層22bには必ず中間強磁性層27の磁化と反対の磁化が誘起されるため、磁壁移動層22には安定な磁壁が1つ形成され消失することはない。また、充分に電流を流すことにより、第2電極側の磁壁移動層22bの厚みを電子スピンの緩和距離に比較して充分に薄くすることが可能であり、例えば、その厚みを20nm程度とすることができる。
図8bの状態の素子に第1電極から第2電極に向けて電流を流し続けると前記と逆の動作を行って図8aの状態に到達する。また、充分に電流を流すことにより、第1電極側の磁壁移動層22aの厚みを電子スピンの緩和距離に比較して充分に薄くすることが可能であり、例えば、その厚みを20nm程度とすることができる。
このように、電流の向きを反転させることにより、磁壁移動層22の磁壁33の位置を、両端部に自由に位置させることができる。
次に、本素子の記録を読み出すあるいは磁化状態を検出する場合の動作原理について説明する。
本動作原理は、第1の実施形態で説明したものと同様の原理であり、磁性層の厚みと電子スピンの緩和距離の相対関係により電子スピンの挙動が異なる点に基づいている。以下では、図7の素子に対して、検出電流を第2電極30から第1電極25の方向に流した場合(即ち、電子が第1電極25から第2電極30に向かって注入される場合。)を例にとって、素子の電気抵抗の差を検知する方法について説明する。また、各層が厚い、薄いの意味は、電子がその層を通過する距離が、電子スピンの緩和距離に比べて同等以上の長さの場合を厚いと表現し、電子スピンの緩和距離に比べて充分短い場合を薄いと表現している。
前述したように、素子の電気抵抗は、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さい。図8aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層24、第2電極側の磁壁移動層22bおよび第3強磁性層49がすべて同じ向きに向いている。一方、図8bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層24、第1電極側の磁壁移動層22aおよび第3強磁性層29は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図8bの磁化状態の電気抵抗は、図8aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなるため、両電極間の電気抵抗を測定することによって、容易に素子の内部磁化の状態を検知することができる。
また、磁化状態を連続的に検出することにより、流れた電流を検出すること、また、電気抵抗の変化を段階的に区分することにより、多値記録を行うことも第1の実施の形態で説明した方法に準じて実現できる。
図7の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、反強磁性結合を強磁性結合とすることもできる。以下、より具体的に説明する。
図10は第2の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図で、基板20の上に磁壁移動層22が形成され、磁壁移動層22の一方の端部の上に第1磁性層グループ100、第1電極25がこの順に形成され、磁壁移動層22の他の端部の上には第2磁性層グループ101、第2電極30がこの順に形成されている。第1磁性層グループ100は第1交換結合制御層23、第1強磁性層24がこの順に形成され、第2磁性層グループ101は第3交換結合制御層48、第3強磁性層49がこの順に形成されている。
図11は、図10の構成の素子の動作原理を説明するための図で、各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層22は磁壁33により、第1電極側の磁壁移動層22aと第2電極側の磁壁移動層22bに分割されている。
基板20、第1電極25、第1強磁性層24、第1交換結合制御層23、第2電極30は前述した図7の素子と同様に構成する。
磁壁移動層22は、第2電極側の磁壁移動層22bの制御方法が図7の素子と異なるが、材料、膜厚、磁気特性は図7の素子と同様に構成する。
第3交換結合制御層48および第3強磁性層49は、第3強磁性層49と第2電極側の磁壁移動層22bとの間に強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層22bの磁化の向きを第3強磁性層49と同じ向きに固定するためのものである。
第3交換結合制御層48は、磁壁移動層22と第3強磁性層49を所定の間隙で離間し、第2電極側の磁壁移動層22bと第3強磁性層49との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料は第1交換結合制御層23と同様に設定され、その膜厚は第2電極側の磁壁移動層22bと第3強磁性層49が強磁性結合を行うように設定される。
第3強磁性層49は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第3強磁性層49の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1強磁性層24と第1交換結合制御層23の面積は第1電極25の面積と同等とすることが好ましく、第3強磁性層49と第3交換結合制御層48の面積は、第2電極30の面積と同等とすることが好ましい。
基板20上の各層は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
動作原理は図7の素子と同様である。書き込みの場合は、第1電極25と第2電極30の間に印加する電流の向きにより、磁壁33の位置が図11a、11b等の位置に移動することに基づいて行う。第1電極25から第2電極30に向けて充分に電流を流した場合は、図11aの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層22aの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。逆に、第2電極30から第1電極25に向けて充分に電流を流した場合は、図11bの磁化状態となり、第2電極側の磁壁移動層22bの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。
読み込みの場合は、素子の電気抵抗が、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さいことに基づいて行う。図11aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層24、第2電極側の磁壁移動層22bおよび第3強磁性層49がすべて同じ向きに向いている。一方、図11bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層24、第1電極側の磁壁移動層22aおよび第3強磁性層49は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図11bの磁化状態の電気抵抗は、図11aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなる。
図12は、第2の実施の形態のさらに他の構成例を説明するための断面模式図で、基板20の上に磁壁移動層22が形成され、磁壁移動層22の一方の端部の上に第1磁性層グループ100、第1電極25がこの順に形成され、磁壁移動層22の他の端部の上には第2磁性層グループ101、第2電極30がこの順に形成されている。第1磁性層グループ100は第1交換結合制御層23、第1強磁性層24がこの順に形成され、第2磁性層グループは第4強磁性層109から構成されている。
図13は、図12の構成の素子の動作原理を説明するための図で、各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層22は磁壁33により、第1電極側の磁壁移動層22aと第2電極側の磁壁移動層22bに分割されている。
基板20、第1電極25、第1強磁性層24、第1交換結合制御層23、第2電極30は前述した図7の素子と同様に構成する。
磁壁移動層22は、第2電極側の磁壁移動層22bの制御方法が図7の素子と異なるが、材料、膜厚、磁気特性は図7の素子と同様に構成する。
第4強磁性層109と磁壁移動層22は直説接しており、第4強磁性層109と第2電極側の磁壁移動層22bとの間に強磁性結合が形成され、第2電極側の磁壁移動層22bの磁化の向きは第3強磁性層49と同じ向きに固定される。
第4強磁性層109は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第4強磁性層109の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1強磁性層24と第1交換結合制御層23の面積は第1電極25の面積と同等とすることが好ましく、第4強磁性層109の面積は第2電極30の面積と同等とすることが好ましい。
基板20上の各層は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
動作原理は図7の素子と同様である。書き込みの場合は、第1電極25と第2電極30の間に印加する電流の向きにより、磁壁33の位置が図13a、13b等の位置に移動することに基づいて行う。第1電極25から第2電極30に向けて充分に電流を流した場合は、図13aの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層22aの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。逆に、第2電極30から第1電極25に向けて充分に電流を流した場合は、図13bの磁化状態となり、第2電極側の磁壁移動層22bの厚みは電子スピン緩和距離よりも充分薄くして、例えば20nm程度とすることができる。
読み込みの場合は、素子の電気抵抗が、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さいことに基づいて行う。図13aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層24、第2電極側の磁壁移動層22bおよび第4強磁性層109がすべて同じ向きに向いている。一方、図13bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層24、第1電極側の磁壁移動層22aおよび第4強磁性層109は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図13bの磁化状態の電気抵抗は、図13aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなる。
第2の実施形態のさらに別の構成例としては、上述した各構成において、第1電極25から第2電極30までの各層の順序をまったく正反対にしたものも使用可能であることはいうまでもない。
(第3の実施の形態)
図14は本発明の第3の実施の形態を説明するための断面模式図で、基板60の上に磁壁移動層62が形成され、磁壁移動層62の一方の端部の上に第1磁性層グループ100、第1電極65がこの順に形成されており、磁壁移動層62の他の端部の上には第2磁性層グループ101、第2電極71がこの順に形成されている。第1磁性層グループ100は、第1交換結合制御層63と第1非磁性金属層66が隣接して形成され、両者の上に第1強磁性層64が形成されている。第2磁性層グループ101は、中間非磁性金属層67と中間交換結合制御層72が隣接して形成され、両者の上に中間強磁性層68、第2交換結合制御層69、第2強磁性層70がこの順に形成されいる。
図15は、本発明の第3の実施の形態の動作原理を説明するための図で、図14の素子の各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層62は磁壁73により、第1電極側の磁壁移動層62aと第2電極側の磁壁移動層62bに分割されている。
図14の構成が素子の最小単位であり、必要な数の素子を同一基板上に配置して所望の装置を形成する。本発明の素子を駆動するための回路、駆動素子等を同一基板上に配置することも可能である。
基板60の材料は、基板上に配置する複数の素子を独立に制御するために絶縁性を有し、また、素子を保持するために充分な剛性を有する材料であれば、所望の平坦度に応じて適宜選択可能である。例えば、サファイア、酸化シリコンなどの厚さ数100umの絶縁基板や、表面を酸化し絶縁性を確保した半導体基板等が使用できる。
第1電極65は、導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円形状等とすることもできる。
第1強磁性層64と第1交換結合制御層63は、磁壁移動層62の一部で第1電極側の磁壁移動層62aとの間に反強磁性結合を形成し、第1電極側の磁壁移動層62aの磁化を第1強磁性層64と反対の向きに固定するためのものである。
第1強磁性層64は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第1強磁性層64の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第1交換結合制御層63は、第1強磁性層64と磁壁移動層62を所定の間隙で離間し、第1強磁性層64と第1電極側の磁壁移動層62aとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層である。その材料は、Ru、V、C、Nb、Mo、Rh、Ta、W、Re、Ir、PtまたはPd等、あるいはこれらの元素のいずれかを主体とする合金が好ましい。第1交換結合制御層63の厚みにより交換結合定数は正から負の値へと変化する。従って、第1強磁性層64と第1電極側の磁壁移動層62aが反強磁性結合を行うように第1交換結合制御層63の厚みが選択されるが、厚すぎる場合には交換結合が小さくなるため0.5から3nmが好ましい。
第1非磁性金属層66は、第1強磁性層64と磁壁移動層62の間で導電性を確保するとともに、第1強磁性層64と磁壁移動層62の間の磁気的な結合を断つためのものである。ここで磁気的な結合を断つとは、磁壁移動層62の内、第1非磁性金属層66を挟んで第1強磁性層64と対向する部分については、磁化の向きが特定の関係に固定されない状態にあることを意味している。より具体的には、第1強磁性層64の磁化の向きが右向きの場合に、磁壁移動層62の内で第1非磁性金属層66に接する部分は、その磁化の向きが右向き、左向きのどちらの状態もとりうることを意味している。第1非磁性金属層66の材料は、Cu、Cr、V、Ru、およびこれらの合金等が好ましい。その厚みは第1交換結合制御層63と合わせることが好ましい。
第1交換結合制御層63と第1非磁性金属層66との面積の比率は、素子全体の所望の大きさ、電気抵抗値により適宜設定されるが、0.1:1から1:0.1が好ましく、特に0.5:1から1:0.5が好ましい。第1非磁性金属層66の配置は、後述する動作原理を考慮して第1交換結合制御層よりも第2磁性層グループに近く設定する。
磁壁移動層62は層内に形成する磁壁73の位置により、図14の素子全体の電気抵抗値を変化させ、かつヒステリシスをもたらすものである。動作の詳細については後述する。その材料としては、磁壁が存在する磁性材料であればよく、磁性金属、強磁性半導体あるいは強磁性酸化物等を使用することができる。好ましくは、パーマロイ、CoFe合金、CoFeB合金、NiCoFe合金、CoCrFeAl合金、Fe、FePt合金、NiMnSb合金、CoMn系合金、SrFeMoO、Fe、CoHfTa等である。特に好ましくは、パーマロイ、Co90Fe10、CoMnAl、CoMnSi、CoMnGeである。その膜厚は、50nmから500nmが好ましい。第1強磁性層64の磁化の向きにより第1電極側の磁壁移動層62aの磁化の向きが容易に制御され、あるいは第2強磁性層70の磁化の向きにより第2電極側の磁壁移動層62bの磁化の向きが容易に制御されることが必要なため、磁壁移動層62の保磁力は10Oe以下が好ましい。その大きさは、第1磁性層グループ100と第2磁性層グループ101とが所望の距離で離間して形成される大きさであれば良いが、複数の素子を高密度で集積するためには、幅30nmから200nm、長さ50nmから1000nmの長方形状が好ましい。
中間交換結合制御層72、中間強磁性層68、第2交換結合制御層69および第2強磁性層70は、第2強磁性層70と中間強磁性層68との間、および中間強磁性層68と第2電極側の磁壁移動層62bとの間に反強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層62bの磁化の向きを第2強磁性層70と同じ向きに固定するためのものである。さらに、中間強磁性層68の膜厚を適切に制御することにより、注入される電子スピンを制御するためのものである。
中間交換結合制御層72は、中間強磁性層68と磁壁移動層62を所定の間隙で離間し、中間強磁性層68と第2電極側の磁壁移動層62bとの間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層63と同様に設定される。
中間非磁性金属層67は、中間強磁性層68と磁壁移動層62の間で導電性を確保するとともに、中間強磁性層68と磁壁移動層62の間の磁気的な結合を断つためのものである。磁気的な結合を断つことの意味は前述の通りである。中間非磁性金属層67の材料は、Cu、Cr、V、Ru、およびこれらの合金等が好ましい。その厚みは中間交換結合制御層72と合わせることが好ましい。
中間交換結合制御層72と中間非磁性金属層67との面積の比率は、素子全体の所望の大きさ、電気抵抗値により適宜設定されるが、0.1:1から1:0.1が好ましく、特に0.5:1から1:0.5が好ましい。中間非磁性金属層67の配置は、後述する動作原理を考慮して中間交換結合制御層72よりも第1磁性層グループに近く設定する。
中間強磁性層68は、上述した反強磁性結合を形成すると共に、注入される電子のスピンを保存したまま、隣接する層に電子注入するためのものである。例えば、中間非磁性金属層67から注入された電子は、その電子スピンの偏極状態を大部分保存したまま中間強磁性層68を通過して第2交換結合制御層69に注入される。中間強磁性層68の膜厚は電子スピンの緩和距離に比べて薄くすることが必要であるため、膜厚は50nm以下が好ましく、電子スピンの偏極状態を良好に保存するためには、5nm以上、20nm以下が特に好ましい。また、第2強磁性層70の磁化により、中間強磁性層68の磁化の向きが容易に制御されることが必要であり、中間強磁性層68の材料は第2強磁性層70と比べて保磁力の小さな材料とすることが好ましく、CoHfTa合金、CoZrNb合金、CoFe合金、FeCoN合金、FeAlN合金、Ni45Fe55合金、Ni81Fe19合金、NiFeMo合金、FeTaN合金等が好ましい。また、保磁力は20Oe以下とすることが好ましい。
第2交換結合制御層69は、中間強磁性層68と第2強磁性層70を所定の間隙で離間し、中間強磁性層68と第2強磁性層70との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料、膜厚は、第1交換結合制御層63と同様に設定される。
第2強磁性層70は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第2強磁性層70の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第2電極71は導電性の材料であれば適宜選択可能であり、その厚さは数十nmから数百nm、面積は50nm×50nmから300nm×300nmの範囲が好ましい。その形状は四角形状が好ましいが、所望により丸型、楕円状等とすることもできる。
第1交換結合制御層63と第1非磁性金属層66を合わせた面積および第1強磁性層64の面積は第1電極65の面積と同等とすることが好ましく、中間交換結合制御層72と中間非磁性金属層67を合わせた面積、中間強磁性層68から第2強磁性層70までの各層の面積は、第2電極71の面積と同等とすることが好ましい。
基板60上の各層は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
図14の素子においても図9の配置を用いて、素子の第1電極65が複数の水平に走るワード線32に、第2電極71が複数の縦に走るビット線31に接続されることで集積された磁気メモリを実現できる。
以下、図15を用いて第3の実施の形態の動作原理について説明する。
初めに、本素子に書き込みあるいは記録を行う場合の動作原理について説明する。
素子は初めに初期化を行う。図15aは、右向きで飽和磁界に相当する強い磁界を素子に印加し、第1強磁性層64、第2強磁性層70の磁化をすべて右向きにしたのちに磁界を除いた場合の磁化の状態を示している。
磁壁移動層62の内で第1交換結合制御層63と接する部分と第1強磁性層64との磁化の関係は図7の素子と同様である。また、磁壁移動層62の内で中間交換結合制御層72と接する部分、中間強磁性層68、第2強磁性層70との間の磁化の関係も図7の素子と同様である。磁壁移動層62の内で第1非磁性金属層66と接する部分、および磁壁移動層62の内で中間非磁性金属層67と接する部分は前述のごとく磁化は固定されない。従って、例えば図15aにおいては第2電極側の磁壁移動層62bが第1強磁性層の下まで延伸する。この場合、電子は第1強磁性層64、第1非磁性金属層66、第2電極側の磁壁移動層62bの経路で移動することが可能である。なお、磁壁移動層62の膜厚が厚い場合には、第1電極側の磁壁移動層62aは図8aのごとく第1交換結合制御層63の近傍に局在することになる。
図15aの状態の素子に、第2電極から第1電極に向けて電流を流し続けると、磁壁73は電流の向きと反対に移動して、図15bに示した磁壁配置となる。電流を止めると、中間強磁性層68と第2電極側の磁壁移動層62bは反強磁性結合をしているため、第2電極側の磁壁移動層62bには必ず中間強磁性層68の磁化と反対の磁化が誘起されるため、磁壁移動層62には安定な磁壁が1つ形成され消失することはない。
図15bの状態の素子に第1電極から第2電極に向けて電流を流し続けると前記と逆の動作を行って図15aの状態に到達する。第1強磁性層64と第1電極側の磁壁移動層62aは反強磁性結合をしているため、第1電極側の磁壁移動層62aには必ず第1強磁性層64の磁化と反対の磁化が誘起されるため、磁壁移動層62には安定な磁壁が1つ形成され消失することはない。
このように、電流の向きを反転させることにより、磁壁移動層62の磁壁73の位置を、両端部に自由に位置させることができる。
次に、本素子の記録を読み出すあるいは磁化状態を検出する場合の動作原理について説明する。
本動作原理は、第1の実施形態で説明したものと同様の原理であり、磁性層の厚みと電子スピンの緩和距離の相対関係により電子スピンの挙動が異なる点に基づいている。以下では、図14の素子に対して、検出電流を第2電極71から第1電極65の方向に流した場合(即ち、電子が第1電極65から第2電極71に向かって注入される場合。)を例にとって、素子の電気抵抗の差を検知する方法について説明する。また、各層が厚い、薄いの意味は、電子がその層を通過する距離が、電子スピンの緩和距離に比べて同等以上の長さの場合を厚いと表現し、電子スピンの緩和距離に比べて充分短い場合を薄いと表現している。
前述したように、素子の電気抵抗は、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さい。図15aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層64、第2電極側の磁壁移動層62bおよび第2強磁性層70がすべて同じ向きに向いている。一方、図15bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層64、第1電極側の磁壁移動層62aおよび第2強磁性層70は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図15bの磁化状態の電気抵抗は、図15aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなるため、両電極間の電気抵抗を測定することによって、容易に素子の内部磁化の状態を検知することができる。
また、磁化状態を連続的に検出することにより、流れた電流を検出すること、また、電気抵抗の変化を段階的に区分することにより、多値記録を行うことも第1の実施の形態で説明した方法に準じて実現できる。
図14の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、反強磁性結合を強磁性結合とすることもできる。以下、より具体的に説明する。
図16は第3の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図で、基板60の上に磁壁移動層62が形成され、磁壁移動層62の一方の端部の上に第1磁性層グループ100、第1電極65がこの順に形成され、磁壁移動層62の他の端部の上には第2磁性層グループ101、第2電極71がこの順に形成されいる。第1磁性層グループ100は、第1交換結合制御層63と第1非磁性金属層66が隣接して形成され、両者の上に第1強磁性層64が形成されている。第2磁性層グループ101は、第3非磁性金属層87と第3交換結合制御層90が隣接して形成され、両者の上に第3強磁性層88が形成されいる。
図17は、図16の構成の素子の動作原理を説明するための図で、各磁性層について、その磁化の向きを矢印で示している。磁壁移動層62は磁壁73により、第1電極側の磁壁移動層62aと第2電極側の磁壁移動層62bに分割されている。
基板60、第1電極65、第1強磁性層64、第1交換結合制御層63、第1非磁性金属層66、第2電極71は前述した図14の素子と同様に構成する。
磁壁移動層62は、第2電極側の磁壁移動層62bの制御方法が図14の素子と異なるが、材料、膜厚、磁気特性は図14の素子と同様に構成する。
第3交換結合制御層90および第3強磁性層88は、第3強磁性層88と第2電極側の磁壁移動層62bとの間に強磁性結合を形成して、第2電極側の磁壁移動層62bの磁化の向きを第3強磁性層88と同じ向きに固定するためのものである。
第3交換結合制御層90は、磁壁移動層62と第3強磁性層88を所定の間隙で離間し、第2電極側の磁壁移動層62bと第3強磁性層88との間の交換結合定数を制御するための非磁性層で、その材料は第1交換結合制御層63と同様に設定され、その膜厚は第2電極側の磁壁移動層62bと第3強磁性層88が強磁性結合を行うように設定される。
第3非磁性金属層87は、第3強磁性層88と磁壁移動層62の間で導電性を確保するとともに、第3強磁性層88と磁壁移動層62の間の磁気的な結合を断つためのものである。磁気的な結合を断つことの意味は前述の通りである。第3非磁性金属層87の材料は、Cu、Cr、V、Ru、およびこれらの合金等が好ましい。その厚みは第3交換結合制御層90と合わせることが好ましい。
第3交換結合制御層90と第3非磁性金属層87との面積の比率は、素子全体の所望の大きさ、電気抵抗値により適宜設定されるが、0.1:1から1:0.1が好ましく、特に0.5:1から1:0.5が好ましい。第3非磁性金属87の配置は、その動作原理を考慮して第3交換結合制御層90よりも第1磁性層グループに近く設定する。
第3強磁性層88は、強磁性を有する材料の内から適宜選択可能であり、例えば、Co合金、CoPt合金、CoPtCr合金、CoCr合金等が使用できる。素子の動作中は、第3強磁性層88の磁化は一方向に固定していることが好ましい。このため、高い保磁力と厚い膜厚を有することが好ましく、保磁力は2000から4000Oe、厚みは50nmから200nmが好ましい。
第3交換結合制御層90と第3非磁性金属層87を合わせた面積、第3強磁性層88の面積は第2電極71の面積と同等とすることが好ましい。
基板60上の各層は周知の成膜方法で形成することが可能であり、例えば、スパッター法、CVD法、蒸着法等を使用できる。
動作原理は図14の素子と同様である。書き込みの場合は、第1電極65と第2電極71の間に印加する電流の向きにより、磁壁73の位置が図17a、17b等の位置に移動することに基づいて行う。第1電極65から第2電極71に向けて充分に電流を流した場合は、図17aの磁化状態となり、第2電極側の磁壁移動層62bが第1強磁性層64の下に延伸する。逆に、第2電極71から第1電極65に向けて充分に電流を流した場合は、図17bの磁化状態となり、第1電極側の磁壁移動層62aが第3強磁性層88の下に延伸する。
読み込みの場合は、素子の電気抵抗が、厚い磁性層同士の磁化が反平行な状態にあるか、あるいは平行な状態にあるかによって大きく変わり、厚い磁性層同士の間にある薄い磁性層の磁化からの影響は小さいことに基づいて行う。図17aの磁化状態の場合は、厚い磁性層である第1強磁性層64、第2電極側の磁壁移動層62bおよび第3強磁性層88がすべて同じ向きに向いている。一方、図17bの磁化状態では、厚い磁性層である第1強磁性層64、第1電極側の磁壁移動層62aおよび第3強磁性層88は隣接する磁性層同士の磁化が逆の向きとなっている。従って、図17bの磁化状態の電気抵抗は、図17aの磁化状態の電気抵抗よりも大きくなる。
第3の実施形態のさらに別の構成例としては、上述した各構成において、第1電極65から第2電極71までの各層の順序をまったく正反対にしたものも使用可能であることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例に付き、より詳細に説明する。
本実施例は、図1の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板4として厚さ500μmの石英を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Cuからなる第1電極5を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層6を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層7を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ni80Fe20からなる磁壁移動層8を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる中間交換結合制御層9を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoHfTaからなる中間強磁性層10を厚さ15nm、面積100nm×100nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第2交換結合制御層11を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第2強磁性層12を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極2を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、最後にAlからなるビット線1を形成して実施例1とした。
この素子を用いて、次の手順で評価を行った。初めに、5000Oeの磁界を印加して図2aの状態に初期化した。続いて、手順1として第2電極から第1電極に向けて10mA(電流密度で1×10A/cm)の駆動電流を流して図2bの状態とし、この時の第1電極5と第2電極2の間の電気抵抗を検出電流300μAにて測定した。次に、手順2として第1電極から第2電極に向けて10mA(電流密度で1×10A/cm)の駆動電流を流して図2aの状態とし、この時の第1電極5と第2電極2の間の電気抵抗を検出電流300μAにて測定した。電流の向きを交互に逆転して手順1と手順2をそれぞれ10回行い、各電気抵抗値の平均を得た。図2aの状態の電気抵抗値の平均は1.4Ωであり、図2bの状態の電気抵抗値の平均は1.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図3の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板4として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Cuからなる第1電極5を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層6を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層7を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ni80Fe20からなる磁壁移動層8を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第3交換結合制御層121を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第3強磁性層122を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極2を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、最後にAlからなるビット線1を形成して実施例2とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図4aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図4bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図5の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板4として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Cuからなる第1電極5を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、引き続き、CoPtからなる第1強磁性層6を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる交換結合制御層7を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ni80Fe20からなる磁壁移動層8を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第4強磁性層142を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極2を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成し、最後にビット線1を形成して実施例3とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図6aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図6bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図7の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板20として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Ni80Fe20からなる磁壁移動層22を厚さ100nm、幅200nm、長さ1000nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層23を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層24を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第1電極25を厚さ200nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ruからなる中間交換結合制御層26を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoHfTaからなる中間強磁性層27を厚さ15nm、面積100nm×100nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第2交換結合制御層28を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第2強磁性層29を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極30を厚さ200nm、面積500nm×500nmにて形成して実施例4とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図8aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図8bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図10の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板20として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Ni80Fe20からなる磁壁移動層22を厚さ100nm、幅200nm、長さ1000nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層23を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層24を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第1電極25を厚さ200nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ruからなる第3交換結合制御層48を厚さ1.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第3強磁性層49を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極30を厚さ200nm、面積100nm×100nm似て形成し、実施例5とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図11aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図11bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図12の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板20として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Ni80Fe20からなる磁壁移動層22を厚さ100nm、幅200nm、長さ1000nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層23を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層24を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第1電極25を厚さ200nm、面積100nm×100nm似て形成し、引き続き、CoPt合金からなる第4強磁性層109を厚さ200nm、面積100nm×100nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極30を厚さ200nm、面積100nm×100nmにて形成し、実施例6とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図13aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図13bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図14の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板60として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Ni80Fe20からなる磁壁移動層62を厚さ100nm、幅200nm、長さ1000nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層63を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Cuからなる第1非磁性金属層66を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層64を厚さ200nm、面積100nm×200nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第1電極65を厚さ200nm、面積100nm×200nmにて形成し、引き続き、Cuからなる中間非磁性金属層67を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ruからなる中間交換結合制御層72を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoHfTaからなる中間強磁性層68を厚さ15nm、面積100nm×200nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第2交換結合制御層69を厚さ0.8nm、面積100nm×200nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第2強磁性層70を厚さ200nm、面積100nm×200nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極71を厚さ200nm、面積100nm×200nmにて形成して実施例7とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図15aの状態の電気抵抗値の平均は3.4Ωであり、図15bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本実施例は、図16の構成の素子を製作し、動作させたものである。
基板60として、厚さ500nmの酸化膜を形成した厚さ500μmのシリコン基板を用い、スパッター法を用いて基板上に以下の各層を形成した。Ni80Fe20からなる磁壁移動層62を厚さ100nm、幅200nm、長さ1000nm、保磁力5Oeにて形成し、引き続き、Ruからなる第1交換結合制御層63を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Cuからなる第1非磁性金属層66を厚さ0.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第1強磁性層64を厚さ200nm、面積100nm×200nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第1電極65を厚さ200nm、面積100nm×200nmにて形成し、引き続き、Cuからなる第3非磁性金属層87を厚さ1.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、Ruからなる第3交換結合制御層90を厚さ1.8nm、面積100nm×100nmにて形成し、引き続き、CoPt合金からなる第3強磁性層88を厚さ200nm、面積100nm×200nm、保磁力2500Oeにて形成し、引き続き、Auからなる第2電極71を厚さ200nm、面積100nm×200nmにて形成して実施例8とした。
この素子を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。初期化の磁界は5000Oe、駆動電流は電流密度で1×10A/cm、検出電流は300μAにて各10回測定した。図17aの状態の電気抵抗値の平均は3.2Ωであり、図17bの状態の電気抵抗値の平均は3.6Ωであった。それぞれ安定した測定値が得られており、メモリー動作が確認できた。
本発明のスピン注入磁区移動素子の第1の実施の形態の基本構成例を説明するための断面模式図である。 図1の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第1の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図である。 図3の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第1の実施の形態のさらに他の構成例を説明するための断面模式図である。 図5の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第2の実施の形態の基本構成例を説明するための断面模式図である。 図7の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第2、第3の実施の形態の素子を複数連結する方法を説明するための模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第2の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図である。 図10の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第2の実施の形態のさらに他の構成例を説明するための断面模式図である。 図12の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第3の実施の形態の基本構成例を説明するための断面模式図である。 図14の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 本発明のスピン注入磁区移動素子の第3の実施の形態の他の構成例を説明するための断面模式図である。 図16の構成例の動作原理を説明するための断面模式図である。 従来技術のGMR素子の構成例を説明するための断面模式図である。 図18の素子の動作原理を説明するための断面模式図である。 図18の素子を複数連結する方法を説明するための模式図である。 従来技術の磁壁移動素子を説明するための断面模式図である。 磁壁が移動する原理を説明するための断面模式図である
符号の説明
1 ビット線
2、30、71 第2電極
4、20、60 基板
5、25、65 第1電極
6、24、64 第1強磁性層
7、23、63 第1交換結合制御層
8、22、62 磁壁移動層
9、26、72 中間交換結合制御層
10、27、68 中間強磁性層
11、28、69 第2交換結合制御層
12、29、70 第2強磁性層
13、33、73 磁壁
66 第1非磁性金属層
67 中間非磁性金属層
87 第3非磁性金属層
100 第1磁性層グループ
101 第2磁性層グループ
48、88、121 第3交換結合制御層
49、90、122 第3強磁性層
109、142 第4強磁性層
31、207 ビット線
32、208 ワード線
209 記録セル
200、220 基板
201、222 第1電極
203 第1強磁性層
204 非磁性金属層
205 第2強磁性層
206、223 第2電極
221 強磁性層
224 磁壁

Claims (19)

  1. 磁壁を有する磁壁移動層、少なくとも1層の強磁性層を有する第1磁性層グループおよび少なくとも1層の強磁性層を有する第2磁性層グループを有し、
    該第1磁性層グループと該第2磁性層グループが該磁壁移動層の両端に配置され、
    該第1磁性層グループと該第2磁性層グループとの間に電子を流すことにより、前記磁壁移動層の磁壁を移動することを特徴とするスピン注入磁区移動素子。
  2. 前記磁壁移動層の内で前記第1磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第1磁性層グループと反強磁性結合をしており、前記磁壁移動層の内で前記第2磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第2磁性層グループと反強磁性結合をしていることを特徴とする請求項1に記載のスピン注入磁区移動素子。
  3. 前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の異なる面上に、前記磁壁移動層を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項2に記載のスピン注入磁区移動素子。
  4. 前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の同一の面上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のスピン注入磁区移動素子。
  5. 前記第1磁性層グループは非磁性の第1交換結合制御層と第1強磁性層が積層されてなり、該第1交換結合制御層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項3または4に記載のスピン注入磁区移動素子。
  6. 前記第2磁性層グループは非磁性の中間交換結合制御層、中間強磁性層、非磁性の第2交換結合制御層および第2強磁性層がこの順に積層されてなり、該中間交換結合制御層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のスピン注入磁区移動素子。
  7. 前記中間強磁性層の膜厚がスピン緩和距離より薄いことを特徴とする請求項6に記載のスピン注入磁区移動素子。
  8. 前記第1磁性層グループは非磁性層と第1強磁性層が積層されてなり、該非磁性層が第1交換結合制御層と第1非磁性金属層に分割され、該第1交換結合制御層と該第1非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項4に記載のスピン注入磁区移動素子。
  9. 前記第2磁性層グループは非磁性層、中間強磁性層、非磁性の第2交換結合制御層および第2強磁性層がこの順に積層されてなり、
    該非磁性層が中間交換結合制御層と中間非磁性金属層に分割され、
    、該中間交換結合制御層と該中間非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項4または8のいずれかに記載のスピン注入磁区移動素子。
  10. 前記磁壁移動層の内で前記第1磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第1磁性層グループと反強磁性結合をしており、前記磁壁移動層の内で前記第2磁性層グループと接する部分の少なくとも一部が前記第2磁性層グループと強磁性結合をしていることを特徴とする請求項1に記載のスピン注入磁区移動素子。
  11. 前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の異なる面上に、前記磁壁移動層を挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項10に記載のスピン注入磁区移動素子。
  12. 前記第1磁性層グループと前記第2磁性層グループが前記磁壁移動層の同一の面上に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のスピン注入磁区移動素子。
  13. 前記第1磁性層グループは非磁性の第1交換結合制御層と第1強磁性層が積層されてなり、該第1交換結合制御層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項11または12に記載のスピン注入磁区移動素子。
  14. 前記第2磁性層グループは非磁性の第3交換結合制御層および第3強磁性層が積層されてなり、
    、該第3交換結合制御層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のスピン注入磁区移動素子。
  15. 前記第2磁性層グループは第4強磁性層からなることを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のスピン注入磁区移動素子。
  16. 前記第1磁性層グループは非磁性層と第1強磁性層が積層されてなり、該非磁性層が第1交換結合制御層と第1非磁性金属層に分割され、該第1交換結合制御層と該第1非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項12に記載のスピン注入磁区移動素子。
  17. 前記第2磁性層グループは非磁性層および第3強磁性層が積層されてなり、
    該非磁性層が第3交換結合制御層と第3非磁性金属層に分割され、
    、該第3交換結合制御層と該第3非磁性金属層が前記磁壁移動層と接していることを特徴とする請求項12または16のいずれかに記載のスピン注入磁区移動素子。
  18. 請求項1ないし17のいずれかに記載の複数のスピン注入磁区移動素子を、第1磁性層グループをビット線に接続し、第2磁性層グループをワード線に接続して連結したことを特徴とするスピン注入磁区移動装置。
  19. 電気抵抗の差異を用いて記録、読み出しを行うことを特徴とする請求項18に記載のスピン注入磁区移動装置。
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