JP2003101101A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法、磁気検出素子並びに磁気記録再生素子 - Google Patents
磁気抵抗効果素子及びその製造方法、磁気検出素子並びに磁気記録再生素子Info
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Abstract
つ制御性が良好、さらに作製容易な磁気抵抗効果素子を
提供するとともに、これを用いた高感度の磁気検出素子
素子を提供することにある。またさらに、この磁気抵抗
効果素子を用いた記録再生素子を提供することも目的と
する。 【解決手段】 基板(S)の主面上に設けられた磁性
体エレメント(1)を備え、前記磁性体エレメントは、
前記基板の主面に対して略平行な方向に流れる電流を狭
窄するくびれ部(C)と、前記くびれ部を介して接続さ
れた第1及び第2の導電領域(1A、1B)と、を有
し、前記くびれ部を介して流れる電流に対して略平行な
方向に磁場を印加した時に電気抵抗が減少することを特
徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
Description
及びその製造方法、磁気検出素子並びに磁気記録再生素
子に関し、より詳細には、高い磁気抵抗変化率を示す磁
気微小接点を有する磁気抵抗効果素子及びその製造方
法、磁気検出素子並びに磁気記録再生素子に関する。
積層構造において面内に電流を流した場合に、巨大磁気
抵抗効果(Giant Magnetoresistance effect)が発現す
ることが見出されて以来、さらに大きな磁気抵抗変化率
を持つ系が探索されてきた。これまでに、強磁性トンネ
ル接合や電流を積層構造に対して垂直方向に流すCPP
(Current Perpendicular to Plane)型MR素子が開発
され、これらは磁気センサーや磁気記録の再生素子とし
て有望視されている。
の向上により必然的に記録ビットの縮小化が進められ、
その結果として十分な信号強度を得ることが難しくなり
つつある。このため、より感度の高い磁気抵抗効果を示
す材料が求められており、上述の如く大きな磁気抵抗変
化率を示す系の必要性はますます高くなっている。
ものとして、2つの針状のニッケル(Ni)を付き合わ
せた「磁気微小接点」、あるいは2つのマグネタイトを
接触させた磁気微小接点が、それぞれ、文献 N. Garci
a, M. Munoz, and Y. -W. Zhao, Physical Review Lett
ers, vol.82, p2923 (1999) およびJ. J. Versluijs,
M. A. Bari and J. M. D. Coey, Physical Review Let
ters, vol.87, p26601-1 (2001 ) に開示された。これ
らは、大きな磁気抵抗変化率を示しているものの、その
磁気微小接点の作製方法は、いずれも2つの針状あるい
は三角形状に加工した強磁性体を角付き合わせるという
ものである。
が磁気抵抗効果を示すためには、微小接点部分が極めて
狭いことが条件であり、作製時の接点部の精密な制御は
極めて困難であった。磁気ヘッドや固体磁気メモリなど
への応用を考慮すると、制御性よく作製でき、量産可能
な微小接点の構造およびその作製方法の開発が必要であ
る。また、磁気抵抗変化は、微小接合を挟んだ両側の磁
性電極における磁化方向の差異を検出するため、磁性電
極の磁区制御がポイントである。
されたものであり、その目的は、大きな磁気抵抗変化を
示し、素子化可能でかつ制御性が良好、さらに作製容易
な磁気抵抗効果素子を提供するとともに、これを用いた
高感度の磁気検出素子を提供することにある。またさら
に、この磁気抵抗効果素子を用いた記録再生素子を提供
することも目的とする。
め、本発明の磁気抵抗効果素子は、基板の主面上に設け
られた磁性体エレメントを備え、前記磁性体エレメント
は、前記基板の主面に対して略平行な方向に流れる電流
を狭窄するくびれ部と、前記くびれ部を介して接続され
た第1及び第2の導電領域と、を有し、前記くびれ部を
介して流れる電流に対して略平行な方向に磁場を印加し
た時に電気抵抗が減少することを特徴とする。
示し、素子化可能でかつ制御性が良好、さらに作製容易
な磁気抵抗効果素子を提供することができる。
0nm以下であるものとすれば、顕著な磁気抵抗効果を
得ることができる。
れ部を形成するための高抵抗のくびれ形成領域をさらに
有し、前記くびれ形成領域は、前記くびれ部とは組成及
び結晶構造の少なくともいずれかが異なるものとすれ
ば、くびれ部を確実且つ容易に形成可能とすることがで
きる。
面に対して略平行な方向に電流を流した時に、前記磁性
体エレメントの抵抗は5Ω以上50kΩ以下であり、2
0%以上の磁気抵抗変化率を示すものであることが望ま
しい。
れ部を介して接続された第1及び第2の導電領域を有
し、前記第1及び第2の導電領域の少なくともいずれか
の磁化が一方向に固着されたものとすれば、外部磁気変
化を確実且つ容易に検出できる。
ずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子を備え、磁気記録
媒体から放出される磁束の経路上に前記第1及び第2の
導電領域の少なくともいずれかを配置し、前記第1及び
第2の導電領域の磁化方向の差異を前記くびれ部を挟ん
だ磁気抵抗変化として検出可能としたことを特徴とす
る。
ちで、前記磁気記録媒体から相対的に遠くに設けられた
導電領域の磁化が一方向に固着されてなるものとすれ
ば、外部磁気を確実に検出できる。
のいずれかの磁気抵抗効果素子を備え、前記第1及び第
2の導電領域のいずれか一方の磁化は一方向に固着さ
れ、前記第1及び第2の導電領域のいずれか他方の磁化
を記録すべき情報に応じた方向に固定することにより情
報を記憶可能とし、前記くびれ部を挟んだ前記第1及び
第2の導電領域の磁化方向の差異を磁気抵抗変化として
検出することにより、記憶させた前記情報の読み出しを
可能としたことを特徴とする。
法は、磁性体エレメントの上面あるいは側面に、針状あ
るいは細線状の反応用電極を接近させ、この反応用電極
と磁性体エレメントとの間に電圧を印加して前記磁性体
エレメントの一部の組成あるいは結晶構造を変化させる
ことにより、前記磁性体エレメントの一部に電流を狭窄
するくびれ形成領域を設ける磁気抵抗効果素子の製造方
法であって、前記くびれ形成領域を挟んで前記磁性体エ
レメントを流れる電流をモニタしつつこの値が所望の値
に到達するまで前記変化を進めることを特徴とする。
気抵抗効果を示す磁気抵抗効果素子を製造することがで
きる。
化は、酸化、窒化、フッ化あるいは結晶と非晶質との間
の変化のいずれかであるものとすることができる。
率」とは、磁場の印加による磁気抵抗効果素子の電気抵
抗変化を磁場を印加した状態での電気抵抗で割った値と
定義する。
実施の形態について説明する。
抵抗効果素子の要部構造を例示する平面図である。
に直接的あるいは間接的に形成された導電性の磁性体エ
レメント1を有する。この磁性体エレメント1は、くび
れ部Cを有する。そして、電流Iが基板Sの面に対して
平行に磁性体エレメント1を流れる際に、くびれ部Cの
電気抵抗が、磁場印加により減少する点に特徴がある。
図1は、基板Sを上から見たもの、膜状のエレメント1
の中央部にくびれCが形成されている。本発明におけ
る、このくびれ部Cの幅の最大値は、20nm以下とす
ることが望ましい。
とは、くびれ部Cの断面形状が四角形あるいは多角形の
場合には対角線のうちで最も長いもの、断面形状が円形
の場合はその直径、扁平円などの非等方的な形状の場合
にはその両端間距離の最も長いものをいうものとする。
の印加により電気抵抗が減少する。このような電気抵抗
の減少が発現するサイズは、くびれ部Cの断面形状にも
よるが、本発明者の検討の結果によれば、くびれ部Cの
最大幅を概ね20nm以下とすると、電気抵抗の減少が
顕著となることが判明した。このときに、磁気抵抗変化
率が20%以上となる大きな磁気抵抗効果が発生する。
ただし、くびれ部Cの断面形状が、極端に扁平な場合な
どは、その最大幅が20nmを超えても、磁場の印加に
よる電気抵抗の減少が生ずる場合がある。このような素
子は、本発明の範囲に包含される。
る印加磁場と電気抵抗との関係を例示するグラフ図であ
る。すなわち、同図(a)は、くびれ部Cの最大幅を2
0nm以下とし、磁性体エレメント1を流れる電流Iに
対して垂直方向に磁場を印加した場合に得られる電気抵
抗の変化を表すグラフ図である。また、図2(b)は同
様に、本発明の磁気抵抗効果素子において、電流Iに対
して平行な方向に磁場を印加した場合に得られる電気抵
抗の変化を表すグラフ図である。
明の磁気抵抗効果素子の場合には、磁場の印加方向に依
らずに、電気抵抗は大きな減少を示す。
くなると、通常の異方性磁気抵抗効果(Anisotropic Ma
gnetoresistance Effect)による磁気抵抗効果を示す。
この場合には、電気抵抗の変化は、印加する磁場の方向
に応じて変化する。
磁気抵抗変化を説明する概念図である。異方性磁気抵抗
効果においては、電流Iに対して磁場を垂直に印加した
場合には、図3(a)に表したように、磁場の印加によ
り、わずかに電気抵抗が減少する。
を印加した場合には、磁場に対して磁化がなかなか飽和
せず、図3(b)に表したように、磁場勾配は小さいが
磁場の印加により電気抵抗は増加する。但し、図3
(a)及び(b)からも分かるように、通常の異方性磁
気抵抗効果を示す場合には、磁気抵抗変化率は大きくて
も高々数%どまりである。
の場合には、図2(a)及び(b)に例示したように、
磁場の印加方向に依らず電気抵抗は減少し、しかもその
磁気抵抗変化率は極めて大きいという特徴を有する。な
お、本発明の磁気抵抗効果素子の場合、磁場印加により
電気抵抗は減少するが、ヒステリシスが存在する場合に
は、図2(a)及び(b)に例示したように抵抗最大が
ゼロ磁場からわずかにシフトする場合もある。この場合
には、この抵抗の最大を越えると、さらなる磁場増加に
より素子の磁化が全て平行に揃うまで、電気抵抗は減少
する。
ような大きな磁気抵抗効果が生ずるのは、磁化方向を異
にする2つの部分の遷移領域である磁壁が、微細なくび
れ部Cに生ずるためであると考えられる。すなわち、く
びれ部Cの前後の磁性体エレメント1の部分における磁
化配置の差異により、このような大きな磁気抵抗効果が
おこると考えられる。
としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル
(Ni)などの単体、または、鉄(Fe)、コバルト
(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロ
ム(Cr)の少なくともいずれかの元素を含む合金、ま
たは、「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、ある
いは、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoT
aZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、C
oFeB系合金などの軟磁性材料、ホイスラー合金やC
rO2、Fe3O4、La1―XSrXMnO3などの
ハーフメタル磁性体を用いることができる。すなわち、
これらの材料のうちから用途に応じた磁気特性を有する
ものを適宜選択して用いればよい。
しては、いくつの方法を挙げることができる。
1の一部分を取り除くことによりくびれ部Cを形成でき
る。具体的には、リソグラフィや収束イオンビーム加工
などの微細加工技術を用いることにより、磁性体エレメ
ント1の一部を除去して微細なくびれ部Cを形成するこ
とができる。
は、磁性体エレメント1の一部を高抵抗化することによ
り、「くびれ形成領域」を設ける方法を挙げることがで
きる。
れ形成領域を有する磁気抵抗効果素子を模式的に表す平
面図及び正面図である。すなわち、磁性体エレメント1
の両側に、くびれ形成領域1Fが設けられ、これらの間
にくびれ部Cが形成されている。
いて、磁性体エレメント1を構成する元素を含みながら
その組成あるいは結晶構造を変化させることにより高抵
抗化させた「くびれ形成領域」を設ければ、それらの間
において、電気伝導的に、くびれ部Cを形成することが
できる。
1Fでは、磁性体エレメント1を構成する元素を含む
が、その組成は磁性体エレメント1にない元素も含むこ
とにより、あるいは結晶構造が変わることにより電気抵
抗が高くなっている。組成を変化させる場合には、くび
れ形成領域1Fにおいて、酸化物、窒化物あるいフッ化
物などを形成することに電気抵抗を高くすることができ
る。
例えば、くびれ形成領域1Fにおいて、構造をアモルフ
ァス(非晶質)化すると、より高い抵抗が実現できる。
ただし、必ずしもアモルファス化する必要はなく、単に
結晶構造を変える、あるいは原子配列を規則化または不
規則化させるだけでもよい。
の具体例を表す模式図である。すなわち、同図(a)は
その平面図、(b)はそのX−X線断面図、(c)及び
(d)はそのY−Y線断面図である。
薄膜状の磁性体エレメント1の中央付近において、その
上面に形成されている。そして、このくびれ形成領域1
Fにより上方を狭窄されるようにして、くびれ部Cが形
成されている。
の幅Wが狭い場合に有効である。
の具体例を表す模式図である。すなわち、同図(a)は
その平面図、(b)はそのX−X線断面図、(c)及び
(d)はそのY−Y線断面図である。
薄膜状の磁性体エレメント1の中央付近において、その
上面及びその側面に連続的に形成されている。そして、
これらのくびれ形成領域1Fに3方を取り囲まれるよう
にして、くびれ部Cが形成されている。
も、くびれ形成領域1Fは、磁性体エレメント1に他の
元素を導入したり、窒化、酸化あるいはフッ化させた
り、あるいは、結晶構造を変化させるなどの方法により
形成することができる。
気抵抗効果素子においては、磁性体エレメント1の側面
にくびれ形成領域1Fが形成され、一方、図5において
は上面にくびれ形成領域1Fが形成されている点が異な
る。ただし、実際にはこれらの中間的な構造が形成され
ることも多いと考えられる。すなわち、図6のように磁
性体エレメント1の側面にくびれ形成領域1Fを形成す
るに際して、その上面にもある程度のくびれ形成領域1
Fが形成される場合も多いと考えられる。
上の大きな磁気抵抗変化率を得るためには、図1乃至図
6に関して前述した構造において、くびれ部Cの前後の
両電極間の抵抗を50kΩ〜5Ωの範囲内とすることが
望ましい。
めには、磁気異方性を磁性体エレメント1に導入するこ
とが効果的である。この場合の磁気異方性としては、磁
性体エレメント1を細長く形成することにより導入され
る「形状磁気異方性」、あるいは結晶方位が揃すことに
より発生する「結晶磁気異方性」、あるいは磁場中での
熱処理で導入される磁気異方性などを用いることができ
る。
直接的あるいは間接的に形成された薄膜状のエレメント
である場合には、磁場中でスパッタ蒸着などの薄膜形成
を行うことによっても磁気異方性を導入することができ
る。
とを積層させることで発生させた異方性バイアスを磁気
異方性として用いることもできる。
2つの領域1Aと1Bにおいて、それらの磁気異方性の
向きはお互いに平行あるいは反平行の時が最も大きな磁
気抵抗効果を発生する。しかし、領域1Aと1Bの磁気
異方性の方向が直角の関係を持つ場合も、用途によって
はこの方が好ましい場合があり、デバイスへ適応するこ
とが可能である。また、このような異方性バイアスを含
む磁気異方性は、くびれ部Cを挟んだ領域1Aあるいは
1Bのいずれか一方のみ導入してもよい。
な微細加工技術を用いた方法の他に、次のような作製方
法で作製することができる。
性体エレメント1の形状は細線状でもよく、あるいは長
方形、多角形、楕円形などの平面形状を有する薄膜など
でもよい。
を設けようとする箇所を挟んだ2つの磁性金属部分に電
極を設け、形成される予定のくびれ部Cを通過して電流
の抵抗変化をモニタできるようにしておく。
細線状の「反応用電極」を接近させる。
た状態を表す概念図である。
極22を接近させた状態を表す概念図である。ここで、
図8は基板Sの側面から眺めた図であり、図9は基板S
の主面上から眺めた図である。
応用電極20、22と磁性体エレメント1との間に、パ
ルス状あるいは一定の反応用バイアス電圧を印加する。
すると、反応用電極20、22により発生させられた電
場により、反応用電極の近くの磁性体エレメント1は状
態が変化させられる。
においてこのプロセスを行った場合、大気中の水が電場
により分解し、その中の酸素によって磁性体エレメント
1の一部を酸化することにより、酸化物のくびれ領域形
成部1Fを形成することができる。また、窒素あるいは
他のガス中でこれを行うことで、窒化物あるいは他の化
合物からなるくびれ領域形成部1Fを形成することがで
きる。
ることにより、反応用電極20、22の近くの磁性体エ
レメント1は瞬時に温度が上がり、そのあと急冷され、
その結果、アモルファス状のくびれ形成領域1Fを形成
することも可能である。
0、22の近傍の磁性体エレメント1を高抵抗化させ、
その結果としてその部分をくびれ形成領域1Fとして、
電気伝導的にくびれ部Cを形成することができる。
モニタ用電源30を接続し、くびれ部Cの両端の抵抗値
を電圧計または電流計32でモニタしながら、所定の値
に到達するまで反応を続けることにより、制御性の極め
て優れたくびれ部Cを形成することができる。
図9に例示した如く磁性体エレメント1とは独立して設
けてもよいし、さらに、図10に平面構成を例示した如
く、磁性体エレメント1と同一の基板S上に予め設けて
おいてもよい。
電極20、22の形状は長方形であるが、かならずしも
この形状に限定されず、反応用電極20、22の先端部
に電界集中が起こればよい。図10に表したように、基
板Sの上で、磁性体エレメント1の横方向から加工用電
極20、22を作用させた場合、図11に平面構成とし
て表したような形状のくびれ形成領域1Fが形成され
る。
て行なう場合、図12(a)および(b)に表したよう
に、ひとつの反応用電極22を用いて複数の磁性体エレ
メント1に対して同時に、くびれ部形成領域1Fを形成
することも可能となる。すなわち、基板Sの上に複数の
細線状の磁性体エレメント1を形成しておき、上方から
細線状の反応用電極22を接触させることにより、これ
ら複数の磁性体エレメント1に対して同時にくびれ形成
領域1Fを形成することができる。
状あるいは細線状の反応用電極20、22の材料として
は、耐酸化性や耐熱性などに優れたものが望ましい。こ
のような材料としては、例えば、白金(Pt)、レニウ
ム(Re)、あるいはこれらの合金などを挙げることが
できる。
印加する電圧は、雰囲気が大気の場合には、1ボルトか
ら100ボルトの範囲の電圧を用いることかできる。く
びれ部Cの作製時には、磁性体エレメント1の両端の抵
抗をモニタし、結果としてくびれ部Cを介した抵抗が5
0kΩから5Ωの範囲内の所定の値になるまで、反応用
電極と磁性体エレメントとの間の電流と時間とを調整す
ればよい。
が容易な構造であるため、各種の用とにおいて用いるこ
とができる。
気記録再生システムにおける磁気検出素子として適応し
た具体例を表す模式図である。同図には、いわゆるパタ
ーンド(patterned)媒体の再生のための再生ヘッドを
例示したが、従来型の連続的な磁気記録媒体の再生に用
いることももちろん可能である。
子として用いる場合、磁性体エレメント1のくびれ部C
の前後片側(領域1A)あるいは両側(領域1Aと1
B)を、磁気記録媒体200の表面から放出される磁束
を捕らえるための磁極として用いる。
例示した磁気抵抗効果素子をひとつ搭載した磁気再生ヘ
ッドを有する。この場合、磁気抵抗効果素子のくびれ部
Cを通過する電流Iの方向が、磁気記録媒体200の表
面から放出される磁束の方向と略平行とする。このよう
にすれば、磁束を捕らえた磁極(領域1A)の磁化方向
を、くびれ部Cに電流を流すことにより、磁気抵抗効果
を利用して検出することができる。
した領域1Aあるいは領域1Bの磁化方向を、領域1A
と領域1Bの互いの磁化方向の相対的角度として検出す
る。この場合、領域1B、あるいは領域1Aと1Bと
に、磁区制御を施すとよい。磁区制御の方法としては、
次の2つの方法がある。
上向きあるいは下向きに固定するように領域1Bに接し
て反強磁性膜を形成する。または、非磁性層/強磁性層
/反強磁性層からなる積層膜を形成する。この場合に
は、領域1Aの磁束による磁化方向変化(上向きあるい
は下向き)を検出する。
斜め上向き(図13において)の磁気異方性を設け、ま
た、領域1Bには左斜め上向きの磁気異方性を設ける方
法である。
0の側には、マンガン亜鉛(MnZn)フェライトに代
表されるフェライトなどの絶縁性軟磁性体をつけると、
磁気検出素子が磁気記録媒体200に接触した場合にも
ノイズの発生を押さえることができる。
て、くびれ部Cの片側の領域1Aあるいは1Bの磁化を
固着させ、もう一方の領域1Bあるいは1Aの磁化方向
を記録情報とすることができる。この場合、この記録情
報を担う磁化方向は、くびれ部Cを利用した磁気抵抗効
果により読み込むことができる。つまり、磁気記録再生
素子として利用できる。この場合、記録情報としての磁
化は、別途に設けられた導線からの電流磁界効果によ
り、あるいはその磁気抵抗効果素子に流す電流により発
生する電流磁界効果により書き込みが可能である。
に記録再生できる固体メモリ用記録再生素子に本発明を
適応した例を示す。本発明による1Aと1Bを含むエレ
メントにさらにもう一つのくびれと領域1Cが接続され
ている。ここで、2つのくびれ部Cで区切られた磁性体
エレメント1の3つの領域のうちで、外側の2つの領域
(領域1Aおよび1C)は、互いに磁化配置が反平行と
なるように磁化固着されている。そして、中間の領域1
Bの磁化の向きを記録情報とすると、この記録情報すな
わち領域1Bの磁化の向きをくびれ部Cを利用した1A
間での磁気抵抗効果により読み取ることが可能となる。
に流す電流の向き(領域1Aから流すか、あるいは領域
1Cから流すか)、および大きさで変化させることによ
って所定の情報を記録させることができる。
Bの磁化配置の違いによる磁気抵抗を読み込むことによ
り行う。領域1Aと領域1Bの間で磁化が平行ならば抵
抗は小さく、反平行なら抵抗は大きい。このときの電流
Iは、記録電流よりも弱い電流にして抵抗値を測定する
ことより、領域1Bの磁化方向を変化させずに記録させ
た状態を認識することができる。
制御して固着するためには、領域1Aおよび1Cに接す
るように、反強磁性層を積層すればよい。あるいは、非
磁性層と強磁性層、あるいは非磁性層と強磁性層と反強
磁性層との積層膜を積層させればよい。
層との積層膜を積層させた構造を例示する断面図であ
る。
構成においては、領域1Aと1Cとに、それぞれ非磁性
層2と強磁性層4と反強磁性層6がこの順に積層されて
いる。そして、領域1Aと1Cの磁化の向きは、図15
(a)〜(c)に例示したように3通りがある。すなわ
ち、同図(a)においては、領域1Aと1Cの磁化M
は、面内で互いに向かい合う方向である。また、図15
(b)においては、面内で互いに反平行である。さら
に、図15(c)においては、面に対して垂直で互いに
反平行である。
は、選択した磁性体エレメント1の磁気特性により異な
る。磁化固着のための磁区制御材料としては、まず、非
磁性層2の材料としては、銅(Cu)、金(Au)、銀
(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ル
テニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、パラジウム
(Pd)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、ア
ルミニウム(Al)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)
などを用いることができる。
コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、または、鉄(F
e)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン
(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された
少なくともいずれかの元素を含む合金、酸化物、窒化物
あるいはホイスラー合金であるものとすれば、良好な特
性が容易に得られる。
(FeMn)、白金イリジウム・マンガン(PtIrM
n)、イリジウム・マンガン(IrMn)、パラジウム
・マンガン(PdMn)、パラジウム白金マンガン(P
dPtMn)などを用いることができる。
態についてさらに具体的に説明する。
施例として、ニッケル(Ni)を用いた磁性体エレメン
トにくびれ部Cを形成した磁気抵抗効果素子について説
明する。
により実施した。
膜1をスパッタリング法にて形成した。そのニッケル膜
1を、フォトリソグラフィ微細加工の手法によりパター
ニングして、20nm×500nmの長方形の磁性体エ
レメント1を形成した。このエレメント1の長手方向の
両端に電極を設けた。
ト1と交差するように白金(Pt)細線からなる反応用
電極22を設置した。この電極22は、ピエゾ素子にマ
ウントされており、磁性体エレメント1との間の距離を
精密かつ微小に調節することが可能である。
エレメント1と白金からなる反応用電極22とを接近さ
せ、エレメント1と反応用電極22間に3ボルトのバイ
アス電圧を印加した状態で1nAの電流が得られるまで
近づけた。この条件において、エレメント1の部分酸化
を行った。エレメント1と反応用電極22との間でモニ
タされる電流が1nAを維持するように、必要に応じ
て、エレメント1と反応用電極22の間の距離は調節し
た。
けた電極によりエレメント1の抵抗を時間とともに測定
したところ、急激な上昇が確認された。そして、最終的
にエレメント抵抗が3kΩになったところで反応用電極
22を遠ざけて酸化を終了させた。
エレメント1の中央部に、酸化物としてのくびれ形成領
域1Fを形成することにより、くびれ部Cを設けること
ができた。エレメント1の磁気抵抗をエレメント両端に
設けた電極間に電流を流すことにより測定した結果、図
16に表したような磁気抵抗特性が得られた。
場を印加したところ、120%という極めて大きな磁気
抵抗変化率が得られた。
施例として、パーマロイの細線を用いて形成した磁気抵
抗効果素子について説明する。
てパーマロイを用い、厚さ10nm、線幅20nmの細
線を形成した。細線の一部には、交換バイアスを付与す
るために、まずコバルト(Co)を積層した後、非磁性
層としてルテニウム(Ru)、強磁性層としてコバルト
(Co)、反強磁性層として白金イリジウム・マンガン
(PtIrMn)からなる積層膜を積層した。これらは
長手方向が交換バイアス方向になるように磁場中成膜に
より形成した。
領域になるように位置決めして、反応用電極20とし
て、白金(Pt)針を用いてくびれ部形成領域1Fを形
成した。くびれ部形成領域1Fを形成する箇所は、あら
かじめ二次電子顕微鏡を用いて確認した。白金(Pt)
針20を細線の側面に近づけてくびれ部形成領域1Fを
形成した。そして、最終的に細線の両端の抵抗が2kΩ
となるようにした。
に対して、その交換バイアス方向に対して平行な方向の
磁場を印加して磁気抵抗変化を調べたところ、図17に
表したような磁気抵抗特性が得られた。すなわち、交換
バイアス方向と同じ方向に磁場を印加した場合には、素
子抵抗はゼロ磁場時と同じく2.1kΩであったのに対
し、逆方向に磁場を印加した時には抵抗値は1.2kΩ
と大きな変化が得られた。
施例として、本発明の磁気抵抗効果素子を複数、並列配
置して磁気検出素子として用いた磁気再生ヘッドを製作
した。
式図である。すなわち、基板Sの上に本発明の磁気抵抗
効果素子を複数、並列に配置してある。それぞれの磁気
抵抗効果素子は、図5に例示したものと同様の構造を有
し、磁性体エレメント1の上面からくびれ形成領域1F
を設けてある。
2に関して前述したように、基板Sの上に複数の細線状
の磁性体エレメント1を並列状に形成しておき、これら
磁性体エレメント1のそれぞれの両端に電極12を形成
しておく。それらの上から細線状の反応用電極22を直
交するように接触させて、くびれ形成領域1Fを形成し
た。このようにすれば、複数の磁性体エレメント1につ
いて同時にくびれ形成領域1Fを設けることができる。
気抵抗効果素子を並列に配置することにより、例えば、
図18に例示したような「パターンド磁気記録媒体」2
00に形成されている記録ビットからの磁束Mを並列に
読み取ることが可能である。
施例として、本発明の磁気抵抗効果素子を用いた磁気記
録再生素子を製作した。
は、図15(a)に表したものと同様の構造を有する。
すなわち、基板Sの上に、コバルト(Co)からなるサ
イズ20nm×300nmの磁性体エレメント1を形成
した。そして、このエレメント1の2箇所に抵抗3kΩ
と50Ωの2つのくびれ部Cを形成して磁気抵抗効果素
子とした。
それぞれルテニウム(Ru)/コバルト(Co)/白金
イリジウム・マンガン(PtIrMn)からなる積層膜
を堆積させた。この時、領域1Aと1Cとではルテニウ
ム(Ru)の厚さを変えることにより、最終的に領域1
Aと1Cの磁化Mの方向が、図15(a)に表したよう
に反平行に磁区制御した。
Aから領域1Cへと流すことで領域1Bの磁化方向は右
向きとなり(状態a)、これとは逆方向に流すことで領
域1Bの磁化は、左向きとなった(状態b)。つまり、
電流を流す方向に応じて領域1Bの磁化の方向を変化さ
せることにより、2値情報を記録することができた。こ
こで、記録のための電流値としては10μAでは十分で
はなく、500μAでは十分であった。
き込み以下の電流値を用いることで可能となり、状態a
と状態bとでは前者の方が素子抵抗が小さいことから、
領域1Bがどちらの状態であるか判断することができ
た。
施例として、前述した第4実施例の磁気記録再生素子を
アレイ状に並列させた磁気メモリを製作した。
平面構成を表す模式図である。但し、同図においては、
製造工程において反応用電極22を接触させている状態
を表した。
モリの作成途中の状態を表すX−X線断面図である。同
図に表したように、作製時には、もうひとつの基板S2
上に形成された複数の反応用電極22を磁性体エレメン
ト1に直交するように接触させて、くびれ形成領域1F
を同時に形成した。各素子の両側には、それぞれセル用
配線101とセル用配線102をマトリクス状に接続し
た。これらセル用配線101とセル用配線102の番地
を選ぶことにより、アレイ状に形成された記録再生素子
のうちの目的の素子(セル)を選択することができる。
このようにして、電流駆動の記録再生機能をもつ不揮発
性の高密度固体メモリが得られた。
の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの
具体例に限定されるものではない。例えば、磁気抵抗効
果膜を構成する各要素の具体的な寸法関係や材料、その
他、電極、バイアス印加膜、絶縁構造などの形状や材質
に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択すること
により本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることが
できる限り、本発明の範囲に包含される。
レメント、反強磁性層、強磁性層、非磁性中間層、絶縁
層などの構成要素は、それぞれ単層として形成してもよ
く、あるいは2以上の層を積層した構造としてもよい。
磁気ヘッドに適用する際に、これと隣接して書き込み用
の磁気ヘッドを設けることにより、記録再生一体型の磁
気ヘッドが得られる。
た磁気ヘッド及び磁気記憶再生装置を基にして、当業者
が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気抵抗効果素
子、磁気ヘッド及び磁気記憶再生装置も同様に本発明の
範囲に属する。
極めて高い磁気抵抗効果を有し、素子化が容易でかつ制
御性が良好な磁気抵抗効果素子を提供するとともに、こ
れを用いた高感度の再生ヘッド用素子を提供することが
できる。
た記録再生機能をもつ磁気記録再生素子を提供すること
もでき産業上のメリットは多大である。
の要部構造を例示する平面図である。
電気抵抗との関係を例示するグラフ図である。
を説明する概念図である。
式的に表す平面図及び正面図である。
す模式図である。
す模式図である。
概念図である。
す概念図である。
す概念図である。
設けておく場合を例示する模式図である。
模式図である。
体エレメント1に対して同時にくびれ部形成領域1Fを
形成する状態を表す模式図である。
ステムにおける磁気検出素子として適応した具体例を表
す模式図である。
きる固体メモリ用記録再生素子を表す概念図である。
を積層させた構造を例示する断面図である。
特性を表すグラフ図である。
特性を表すグラフ図である。
図である。
を表す模式図である。
12)
Claims (10)
- 【請求項1】基板の主面上に設けられた磁性体エレメン
トを備え、 前記磁性体エレメントは、前記基板の主面に対して略平
行な方向に流れる電流を狭窄するくびれ部と、前記くび
れ部を介して接続された第1及び第2の導電領域と、を
有し、 前記くびれ部を介して流れる電流に対して略平行な方向
に磁場を印加した時に電気抵抗が減少することを特徴と
する磁気抵抗効果素子。 - 【請求項2】前記くびれ部の幅の最大値は、20nm以
下であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果
素子。 - 【請求項3】前記磁性体エレメントは、前記くびれ部を
形成するための高抵抗のくびれ形成領域をさらに有し、 前記くびれ形成領域は、前記くびれ部とは組成及び結晶
構造の少なくともいずれかが異なることを特徴とする請
求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項4】前記くびれ部を介して前記基板の主面に対
して略平行な方向に電流を流した時に、前記磁性体エレ
メントの抵抗は5Ω以上50kΩ以下であり、20%以
上の磁気抵抗変化率を示すことを特徴とする請求項1〜
3のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項5】前記磁性体エレメントは、前記くびれ部を
介して接続された第1及び第2の導電領域を有し、 前記第1及び第2の導電領域の少なくともいずれかの磁
化が一方向に固着されたことを特徴とする請求項1〜4
のいずれか1つに記載の磁気抵抗効果素子。 - 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気
抵抗効果素子を備え、 磁気記録媒体から放出される磁束の経路上に前記第1及
び第2の導電領域の少なくともいずれかを配置し、前記
第1及び第2の導電領域の磁化方向の差異を前記くびれ
部を挟んだ磁気抵抗変化として検出可能としたことを特
徴とする磁気検出素子。 - 【請求項7】前記第1及び第2の導電領域のうちで、前
記磁気記録媒体から相対的に遠くに設けられた導電領域
の磁化が一方向に固着されてなることを特徴とする請求
項6記載の磁気検出素子。 - 【請求項8】請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気
抵抗効果素子を備え、 前記第1及び第2の導電領域のいずれか一方の磁化は一
方向に固着され、 前記第1及び第2の導電領域のいずれか他方の磁化を記
録すべき情報に応じた方向に固定することにより情報を
記憶可能とし、 前記くびれ部を挟んだ前記第1及び第2の導電領域の磁
化方向の差異を磁気抵抗変化として検出することによ
り、記憶させた前記情報の読み出しを可能としたことを
特徴とする磁気記録再生素子。 - 【請求項9】磁性体エレメントの上面あるいは側面に、
針状あるいは細線状の反応用電極を接近させ、この反応
用電極と磁性体エレメントとの間に電圧を印加して前記
磁性体エレメントの一部の組成あるいは結晶構造を変化
させることにより、前記磁性体エレメントの一部に電流
を狭窄するくびれ形成領域を設ける磁気抵抗効果素子の
製造方法であって、 前記くびれ形成領域を挟んで前記磁性体エレメントを流
れる電流をモニタしつつこの値が所望の値に到達するま
で前記変化を進めることを特徴とする磁気抵抗効果素子
の製造方法。 - 【請求項10】前記磁性体エレメントの一部の変化は、
酸化、窒化、フッ化あるいは結晶と非晶質との間の変化
のいずれかであることを特徴とする請求項9記載の磁気
抵抗効果素子の製造方法。
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