JP2007227699A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を容易に歩留まり高く製造できる方法と、大きな磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子とを得る。
【解決手段】第1の磁性領域2と、第2の磁性領域3と、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3とを接続していると共に、基板表面に平行な一方向と直交する方向に関する長さが第1の磁性領域2及び第2の磁性領域3よりも短い微小くびれ部4とで構成される連続体を形成する。微小くびれ部4は、RFスパッタエッチングによって狭小化された30nm以下の幅のものである。第1の磁性領域2及び第2の磁性領域3における微小くびれ部4近傍の区域の外形線は、それぞれ、微小くびれ部4を頂点として90°以下の角度をなすように形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、外部磁場を電気抵抗変化によって計測する磁気抵抗効果素子およびその製造方法に関する。
近年、数百%以上の大きな磁気抵抗比率を得る新しい磁気抵抗素子として、弾道磁気抵抗(BMR)を利用した素子が提案されている。このようなBMR素子は、磁化方向が外部磁場によらず一定である第1の磁性領域(磁化固定層)と、磁化方向が外部磁場に合わせて変化する第2の磁性領域(磁化自由層)が、微小接点を介して接する構造を有する。そして微小接点が微小(幅が狭い)であればあるほど、電子は不純物原子からの散乱を受けずに第1の磁性領域から第2の磁性領域に(弾道的に)伝導できるため、スピン依存散乱効果が純粋に現れ、磁気抵抗は大きく発現する。このような弾道磁気抵抗に関しては、例えば非特許文献1にまとめられている。そしてBMR素子の形成方法として、例えば非特許文献2、3によれば、第1の磁性領域と第2の磁性領域をあらかじめ別々に形成し、めっき法、または機械的に接合する方法がある。このような方法では、数nmの微小な接点を形成することができるが、再現性、信頼性の問題があり、大量生産には適しない。また、他の方法として、例えば非特許文献4、5に公開されるよう、電子ビームリソグラフィーやFIB(Field Ion Beam)加工装置などを用い、第1の磁性領域と第2の磁性領域とを微小くびれ部を介した連続体として形成する方法がある。このように微小くびれ部は、最初から第1の磁性領域及び第2の磁性領域と連続した状態で形成されるので、非特許文献2、3のような接合した微小接点の形成時のように気体に触れるということがないものである。このような非特許文献4、5の形成方法によれば、非特許文献2、3の方法ほどの幅が微小な部分を形成することは困難であるが、再現性、信頼性が高く、大量生産に適している。
応用磁気学会誌Vol.27、No.7,2003 N.Garcia. et al., Phys. Rev. Lett., Vol.82, p2923 (1999). N.Garcia. et al., Appl. Phys. Lett., Vol.80, p1785 (2002). K.Miyake. et. al., Jour. Appl. Phys., Vol.91, p3468 (2002). S.Khizroev. et. al., Appl. Phys. Lett., Vol.86, p042502 (2005).
BMR素子の工業化を考慮する場合、上述した非特許文献4、5のように、電子ビームリソグラフィーやFIB加工装置を用いてBMR素子を形成することが望ましいが、近年では、前述の微小くびれ部の幅としては30nm以下といった非常に微細な構造が要求されている。高再現性、信頼性に加え、高分解能を有する電子ビームリソグラフィーやFIBをもってしても、通常30nm以下の微小くびれ部を歩留まり高く形成することは非常に困難である。
そこで、本発明の目的は、30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を容易に歩留まり高く製造できる方法と、大きな磁気抵抗効果を有する磁気抵抗効果素子とを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明は、第1の磁性領域と第2の磁性領域とが微小くびれ部を介した連続体として形成された磁気抵抗効果素子の製造方法であって、絶縁性の基体の表面上に、前記第1の磁性領域、前記表面上において前記第1の磁性領域とは異なる位置にある前記第2の磁性領域、及び、前記第1の磁性領域と前記第2の磁性領域とを接続していると共に前記表面内において前記表面に平行な一方向と直交する方向に関する長さが前記第1の磁性領域及び前記第2の磁性領域よりも短い前記微小くびれ部を有する導電性の磁性体層を形成する磁性体層形成工程と、前記第1の磁性領域と前記第2の磁性領域とが前記微小くびれ部において分断されることがないように、前記磁性体層にRFスパッタエッチングを施すスパッタエッチング工程とを備えている。
上記構成によれば、RFスパッタエッチングによって、絶縁性の基体表面上に形成された連続体の選択エッチングができるとともに、微小くびれ部の幅の制御を正確に行うことができる。したがって、容易に微小くびれ部を狭小化できる。また、電子線リソグラフィーなどによってパターニングした基体上に、スパッタリング法によって形成した磁性体をリフトオフして上記連続体を形成した際、磁性体のバリが上記連続体の縁に残留することがある。本製造方法によれば、連続体から上述の残留したバリを除去又は分離できるので、幅が30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を高い制御性及び再現性で製造でき、大量生産に適している。したがって、従来に比べ、30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を容易に歩留まり高く製造することができる。
本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法においては、前記磁性体層形成工程が、前記基体の前記表面上に、前記第1の磁性領域、前記第2の磁性領域及び前記微小くびれ部を有する前記磁性体層とは逆パターンのレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層から露出した前記表面上に前記磁性体層を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程とを有していることが好ましい。
上記構成によれば、確実に、30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を容易に歩留まり高く製造できる。
本発明は、絶縁性の基体の表面上に、第1の磁性領域と第2の磁性領域とが微小くびれ部を介した連続体として形成された磁気抵抗効果素子であって、前記表面に直交する平面視において、前記第1の磁性領域及び前記第2の磁性領域における前記微小くびれ部近傍の区域の外形線が、それぞれ、前記微小くびれ部を頂点として90°以下の角度をなしている。
上記構成によれば、第1の磁性領域と第2の磁性領域との(形状)異方性の向きが同じ(第1の磁性領域、微小くびれ部、第2の磁性領域の中心を結ぶ直線に平行方向)であるため、容易磁化方向が同じとなる(前記直線に対して垂直方向には磁化しない)。これは、磁性体が反磁界によるエネルギー損を最小化する性質によるもので、つまり磁性体の長手方向が容易磁化方向となるからである。その結果として、微小くびれ部にて形成される磁壁が180°磁壁であり、スピン依存散乱が大きくなることから、大きな磁気抵抗効果を得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態に係るBMR素子について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るBMR素子を示す模式平面図である。
図1に示すBMR素子1においては、基体としての基板(図示せず)の表面上に形成された、台形状の第1の磁性領域2と、後述するアスペクト比が第1の磁性領域2より高い台形状の第2の磁性領域3と、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3とを接続していると共に、基板表面に平行な一方向と直交する方向に関する長さが第1の磁性領域2及び第2の磁性領域3よりも短い微小くびれ形状部4とで構成される。これら、第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ形状部4は、便宜上分割して説明するが、実際は連続体として一体形成されているものである。
基板としては、表面が平坦なもの(平均粗さとして0.5nm以下)が望ましい。例えば、表面熱酸化処理を施したSi(シリコン)基板、ガラス基板等が好適である。
第1の磁性領域2、第2の磁性領域3は、形状異方性の大きさが違うように設計してある。ここで言う形状異方性の大きさとは、横方向(第1の磁性領域2、微小くびれ部4、第2の磁性領域3の中心を結ぶ直線に垂直な方向)の長さと縦方向(横方向に垂直な方向)の長さとの比(アスペクト比)であり、図1に示すように、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3とはアスペクト比が異なる。また、微小くびれ部4を頂点として、第1の磁性領域2のなす角θ1および第2の磁性領域3のなす角θ2がともに90°以下であって、θ1>θ2(θ1=53°、θ2=33°のものが一例として挙げられる。)である。そのため、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3との(形状)異方性の向きは同じであるため、容易磁化方向が同じとなる。したがって、微小くびれ部4にて形成される磁壁は180°磁化の方向が変わる180°磁壁であり、スピン依存散乱が大きいため、大きな磁気抵抗を得ることができる。
微小くびれ部4は、この微小くびれ部4近傍に対し幅狭であり、そのため磁壁が形成されやすい領域となっている。また、電気的には導通するが、磁気的な結合は弱い領域と考えることもできる。微小くびれ部4の幅は、好ましくは30nm以下である。更に好ましくは、前記幅は10nm以下である。このように狭くなればなるほど、磁壁は小さくかつ安定して微小くびれ部4に形成されやすくなる。このような磁壁においては、原子スピンの方向が急峻に変化するため、そこを通過するスピン電流にとっては、上述したように純粋なスピン依存散乱を受ける。よって、磁壁幅が狭いほど大きな磁気抵抗を得ることができる。
次に、BMR素子1の製造方法について説明する。BMR素子1は、電子線リソグラフィーによるパターニングした基板上に、スパッタリング法によるNiを含む磁性体を積層し、リフトオフ法を行った後、RFスパッタエッチングにより微小くびれ部4となる部分の狭小化を行って製造した。以下にこれらの工程を詳述する。
基板を有機溶剤によって洗浄した後、表面上にスピナーを用いて、レジスト膜厚を適宜調整してレジスト塗布を行う。レジストにはZEP(日本ゼオン(株)製)をシンナーで希釈したものを用いている。電子ビームによる露光後、専用の薬液により現像を行って、第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ形状部4からなるBMR素子1(連続体)の前駆体形成用のレジストパターンを形成する。
そして、上記レジストパターンが表面に形成された基板上に、スパッタリング法によって磁性体を積層する。これにより、BMR素子1の前駆体は、スパッタリング成膜により連続体として一体形成される。なお、基板として熱酸化シリコンを用いたが、基板とNiとの密着性を向上させるためそれらの間に、Ti(チタン)など、酸化物との親和性が高い金属を密着層として形成してもよい。
次に、専用の薬液を用いリフトオフを行う。なお、リフトオフにより、図1のように第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ形状部4のみが残ることが望ましいが、後述するように、レジストパターンの側面に付着したNiが除去されきれずに、バリとして、図1における第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ形状部4の縁に残留することがある。
そこで、RFスパッタエッチングを行って、第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ形状部4に残留しているバリを除去又は分離するとともに、微小くびれ形状部4を狭小化する。このとき、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3とが微小くびれ部4において分断されることがないように注意する。
ここで、RFスパッタエッチングとは、RF(Radio Frequency)高周波電圧によりプラズマを発生させ、対象物(ターゲット)をスパッタする方法であり、特に絶縁物のスパッタに用いられる方法である。このようなRFスパッタを用いて微小くびれ部をエッチングすることにより、微小くびれ部を狭小化することが可能である。また、RFスパッタエッチングを行うためのAr(アルゴン)イオンは主に上述の連続体の層厚方向(基板の法線に平行な方向)に照射されているにもかかわらず、基板表面に沿った方向(基板の法線に垂直な方向)のエッチング速度が層厚方向のそれよりも速いことが判明した。それにより、再現性良く、狭幅の微小くびれ部を形成することができる。また、エッチングの程度はエッチング時間に比例して制御できるため、任意の厚みをエッチングすることが可能であるとともに制御性にも優れる。上述の各工程を経ることで、BMR素子1は完成する。
次に、BMR素子1の動作について説明する。ここでは、第1の磁性領域2を、保磁力が第2の磁性領域より小さく、外部磁場に対して容易に磁化方向が回転できる、いわゆる磁化自由層とする。また、第2の磁性領域3を、保磁力が第1の磁性領域2に比べ大きく、外部磁場に対して磁化方向が回転しない、いわゆる磁化固定層の役割を果たすものとする。このような保磁力の違いは、例えば、第1の磁性領域の幅を第2の磁性領域の幅よりも大きくすることにより調節することができる。
第1の磁性領域2と第2の磁性領域3との磁化方向が互いに反平行の場合、磁壁は狭小部に存在しやすいため、微小くびれ部4において磁壁が形成される。このように形成された磁壁の幅(図1において示したもの)は、微小くびれ部4の大きさに比例し小さく限定されている。ここで、磁壁とは、磁化の向きが徐々に(連続して)変化(回転)する領域のことをいい、本実施形態においては、上述したように180°磁壁を用いている。なお、磁気抵抗効果素子において磁壁の大きさが非常に小さい場合、大きな磁気抵抗を発現することが、例えば応用磁気学会誌Vol.27、No.7(2003年)に掲載されている。
さらに、第1の磁性領域2及び第2の磁性領域3はNiからなるものであり、このNiは交換スティフネス係数の小さい磁性体であるため、微小くびれ部4における磁壁の幅は非常に小さくなる。そしてこのような微小な磁壁は大きな電気抵抗を生じる。ここで、上述の交換スティフネス係数とは、強磁性体において隣接原子のスピンが互いに平行に並ぶように及ぼす力の程度のことを表しており、A=Jex/a(A:交換スティフネス係数、Jex:交換積分、S:断面積、a:格子定数)と定義されるものである。よって交換スティフネス係数Aが小さいということは、磁壁のようにスピンが連続的に回転している(平行からずれる)領域において平行になろうとする力が小さいので、より回転角度を大きくとることができ、磁壁幅が小さくなることになる。逆に、交換スティフネス係数Aが大きい場合は、回転角が大きくとれず、180°回転するのに長い距離が必要となるため、磁壁幅は長くなることになる。交換スティフネス係数Aの例としては、Fe:2.0、Co:1.3、Ni:0.8、NiFe:0.7(単位:10−11J/m)が挙げられる。
一方、第1の磁性領域2と第2の磁性領域3との磁化方向が互いに平行の場合、上述したような磁壁は形成されないため抵抗は小さい。すなわち、第2の磁性領域3の磁化方向により微小な磁壁が生成、消滅することにより、BMR素子1は大きな磁気抵抗比を発現する。また、微小くびれ部4の大きさが非常に小さく、そこに形成される磁壁がフェルミ波長程度に小さい場合は、伝導電子は弾道的に磁壁を通過するため、非常に大きな磁気抵抗を示す。
本実施形態のBMR素子1の製造方法によれば、30nm以下の微小くびれ部を有する磁気抵抗効果素子を容易に歩留まり高く製造できる。また、本製造方法にて製造されたBMR素子1は、微小くびれ部4にて形成される磁壁が180°磁壁であり、スピン依存散乱が大きくなることから、大きな磁気抵抗効果を奏するものである。
次に、上記実施形態と同構成のBMR素子について、実施例を用いて説明する。まず、本実施例に係るBMR素子の製造方法について説明した後、RFスパッタエッチングによる微小くびれ部の狭小化についての検証を行う。ここで、図2(a)において、右図に基板21表面にレジストパターン22を形成した後を示す平面図、左図に上記右図の矢視断面一部拡大図を示す。図2(b)〜図2(f)は、図2(a)の工程後にスパッタリングした工程からスパッタエッチング工程までの各製造工程を示す微小くびれ部4部分の模式断面一部拡大図である。なお、図2(b)〜図2(f)における模式断面図は、図2(a)の右図と同様の位置のものである。
まず、熱酸化シリコン基板21上に所定形状の露出部分を有するように、電子ビームリソグラフィーによってレジスト部22を形成する(図2(a)参照)。微小くびれ部4に相当する部分のパターンは数十nmの幅と、100nmの高さを備えている。
次に、レジスト部22側から基板21の露出表面にNiからなる磁性体層23を成膜する(図2(b)参照)。図2(b)のように、微小くびれ部4の断面は略長方形であるが、角から基板にかけてはある角度にて丸まっている、もしくは傾いている。
そして、専用の薬液を用いて、基板21表面から、レジスト21とレジスト21の表面に積層された磁性体とを除去するリフトオフを行う(図2(c)参照)。この際、レジスト21の内側側面に付着していたNiはリフトオフされきれずに、バリ24として残留することがある。リフトオフ後の微小くびれ部4の断面も略長方形であるが、角から基板にかけてはある角度にて丸まっている、もしくは傾いている。
次に、上記各工程を経て形成された連続体(本実施例に係るBMR素子の前駆体)を有する基板21を真空チャンバーに導入し、RFスパッタエッチングを行う(図2(d)参照)。なお、RFスパッタエッチングには、アネルバ(株)製C−3102スパッタ装置を用いた。RFスパッタエッチングの条件は、スパッタ電源をRF176W、スパッタガスをAr(アルゴン)0.085Pa、エッチング時間を30分とした。図2(d)においては、電源25からRF高周波電圧を基板に印加した直後の様子を示しており、Ar原子は、Arイオン26と電子27とに分離されている。ここで、電子27はRF高周波電圧25により激しく移動させられ、その大部分はチャンバー壁に衝突、吸収されるが、一部は基板21表面に移動する。この際、熱酸化シリコン(表面部は500マイクロメートル厚の酸化シリコンからなる)である基板21は絶縁体であることに対し、Niからなる磁性体層23は金属であるため、電子27は磁性体層23に集中して集まる(磁性体層23に電界集中が発生する。)。
その直後、Arイオン26は、電子27をチャージした磁性体層23に加速しながら引き寄せられ(図2(e)参照)、磁性体層23への衝突及びスパッタリングを行う。この際、磁性体層23付近においては、磁性体層23内が最も電子27の濃度が高いため、磁性体層23は選択的にエッチングされる(磁性体層23付近の基板21には少数のArイオンしか到達しないため、ほとんどエッチングされない。)。
そして、側面(角や傾斜部分を要する部分)は、電界集中が起こりやすく(電荷は突出部など狭部に集中しやすい)、また、上記連続体の層厚も薄くなっているため、基板表面に沿った方向のエッチングが特に起こりやすい(図2(e)参照)。特に幅が小さい(100nm以下)部分の場合は、全体の体積に比べて、側面の占める割合が大きいため、より基板表面に沿った方向のエッチングが顕著に現れる。また、バリ24と上記連続体との間は上述のように側面にあたるため、上述と同じ理由でエッチングが進みやすい。このような選択エッチングが進むに従い、バリ24と上記連続体との間隙は大きくなっていると考えられる。そして、バリ24においても上述の理由で電界集中が発生し、選択的にエッチングされる。このとき、第1の磁性領域と第2の磁性領域とが微小くびれ部において分断されることがないようにする。このようにして、狭小化された微小くびれ部と、第1の磁性領域及び第2の磁性領域とを有する本実施例のBMR素子が完成する。
次に、上記RFスパッタエッチングによって、狭小化された本実施例のBMR素子に係る微小くびれ部について検証する。微小くびれ部の狭小化は、SEM(Scanning Electron Microscopy)観察を行うことにより確認した。図3は、本実施例に係るBMR素子の前駆体についての微小くびれ部付近を撮影したSEM写真(RFスパッタエッチング前のもの)であり、図4は、本実施例に係るBMR素子についての微小くびれ部付近を撮影したSEM写真(RFスパッタエッチング後のもの)である。
図2及び図3のエッチング前後を比較することにより、このようなRFスパッタエッチングには、次の特徴があることが判明した。第1の特徴として、微小くびれ部4の幅を狭小化するといった効果が挙げられる。すなわちエッチング前は、70nmの幅を有した微小くびれ部4が、エッチング後には20nmと減少した。よって、微小くびれ部4の幅が30nm以下であるBMR素子1を上記製造方法により形成することができることがわかる。また、層厚について、AFM(Atomic Force Microscopy)にて測定したところ、エッチング前は40nmあった膜厚が、エッチング後に37nmとなり約3nmのみ減少していることが分かった。後述するように、Niが選択的にエッチングされること(第2の特徴)と考え合わせ、微小くびれ部においては、層厚方向より、基板表面に沿った方向のエッチングの方が速く進むことが判明した。
下記表1は、合計3試料について同様にエッチング前後における上記連続体の層厚方向と基板表面に沿った方向との長さの変化量をまとめた結果である。基板表面に沿った方向は48〜60nmのエッチング(平均56nm)が進んでいるに関わらず、上記連続体の層厚方向では、3nmとあまりエッチングされないことが分かる。また、基板表面に沿った方向のエッチング速度として、約1.9nm毎分と算出できた。このようにエッチング速度が分かっていると、微小くびれ部の幅の制御が正確にできるため、BMR素子の歩留まりが上がる。
次に第3の特徴として、リフトオフ後に残留した磁性体のバリの除去、分離が挙げられる。エッチング前において、バリは、BMR素子(第1の磁性領域2、第2の磁性領域3、微小くびれ部4の縁)に接しているが、エッチング後にはバリとBMR素子1との間に空隙が形成されており、分離できることが分かった。更に、図2に存在する比較的小さなバリが、図3に見られないことから、大きなバリは除去されるには至らなかったものの、小さなバリについては除去されることが判明した。バリは、BMR素子には不要の構造物であり、このように除去、分離できることは非常に有益である。
以上をまとめるとRFスパッタエッチングの特徴として次の3点を挙げることができる。すなわち、(1)横方向のエッチングが可能であること、(2)Ni(絶縁体上の導電体構造物)の選択エッチングが可能であること、(3)バリの除去、分離が可能であること、である。このようにして形成したBMR素子は、微小くびれ部の幅を30nm以下とした狭小な構造にできるとともに、制御性、再現性高く形成できるため、大量生産に適する。
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態や実施例におけるBMR素子の材料、層厚などは適宜変更可能である。
また、上記実施形態においては、基体として基板21を用いたが絶縁性を有するものであればよく、例えば基板上に形成された絶縁層を基体としてもよい。
さらに、上記実施形態においては、BMR素子1を連続体として形成したが、第1の磁性領域2、微小くびれ部4、第2の磁性領域3がそれぞれ別々に形成された後に連結された連結体でもよい。
また、本発明のBMR素子を製造するには、様々なリソグラフィープロセスを適用することもできる。
また、本発明のBMR素子の製造方法以外でも、本発明のBMR素子(上記実施形態においてθ1、θ2≦90°のもの)を製造できるし、本発明の製造方法は、θ1、θ2>90°のBMR素子を製造するのにも適用できる。
本発明の実施形態に係るBMR素子の模式平面図である。 図1に示すBMR素子の製造工程を順に説明するための模式図である。 本実施例に係るBMR素子の前駆体についての微小くびれ部付近を撮影したSEM写真である。 本実施例に係るBMR素子についての微小くびれ部付近を撮影したSEM写真である。
符号の説明
1 BMR素子
2 第1の磁性領域
3 第2の磁性領域
4 微小くびれ部
21 基板
22 レジスト部
23 磁性体層
24 バリ
25 電源
26 Arイオン
27 電子

Claims (3)

  1. 第1の磁性領域と第2の磁性領域とが微小くびれ部を介した連続体として形成された磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    絶縁性の基体の表面上に、前記第1の磁性領域、前記表面上において前記第1の磁性領域とは異なる位置にある前記第2の磁性領域、及び、前記第1の磁性領域と前記第2の磁性領域とを接続していると共に前記表面内において前記表面に平行な一方向と直交する方向に関する長さが前記第1の磁性領域及び前記第2の磁性領域よりも短い前記微小くびれ部を有する導電性の磁性体層を形成する磁性体層形成工程と、
    前記第1の磁性領域と前記第2の磁性領域とが前記微小くびれ部において分断されることがないように、前記磁性体層にRFスパッタエッチングを施すスパッタエッチング工程とを備えていることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  2. 前記磁性体層形成工程が、
    前記基体の前記表面上に、前記第1の磁性領域、前記第2の磁性領域及び前記微小くびれ部を有する前記磁性体層とは逆パターンのレジスト層を形成する工程と、
    前記レジスト層から露出した前記表面上に前記磁性体層を形成する工程と、
    前記レジスト層を除去する工程とを有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. 絶縁性の基体の表面上に、第1の磁性領域と第2の磁性領域とが微小くびれ部を介した連続体として形成された磁気抵抗効果素子であって、
    前記表面に直交する平面視において、前記第1の磁性領域及び前記第2の磁性領域における前記微小くびれ部近傍の区域の外形線が、それぞれ、前記微小くびれ部を頂点として90°以下の角度をなしていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
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