JP2003115623A - 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ - Google Patents

磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ

Info

Publication number
JP2003115623A
JP2003115623A JP2002163252A JP2002163252A JP2003115623A JP 2003115623 A JP2003115623 A JP 2003115623A JP 2002163252 A JP2002163252 A JP 2002163252A JP 2002163252 A JP2002163252 A JP 2002163252A JP 2003115623 A JP2003115623 A JP 2003115623A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferromagnetic layer
layer
magnetic
electric conductor
ferromagnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002163252A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Odakawa
明弘 小田川
Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Nozomi Matsukawa
望 松川
Masahiro Deguchi
正洋 出口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002163252A priority Critical patent/JP2003115623A/ja
Publication of JP2003115623A publication Critical patent/JP2003115623A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細パタ−ン化された磁気抵抗素子および磁
気抵抗記憶素子および磁気メモリにおけるMR値、接合
抵抗値等の磁気抵抗特性のばらつきを抑制する。 【解決手段】 磁気抵抗素子は、非磁性層と、第1強磁
性層および第2強磁性層と、第1電気伝導体と、第2電
気伝導体と、絶縁体とを具備し、前記磁気抵抗素子は、
前記第1電気伝導体から前記第1強磁性層、前記非磁性
層および前記第2強磁性層を通って前記第2電気伝導体
へ電流が流れることによって動作するようになってお
り、前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前
記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層
を通って前記電流が流れることによって電気的接触を保
つ以外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されてお
り、前記絶縁体は、前記第1強磁性層の前記表面におけ
る周縁を被覆するように形成されていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な形状の磁気
抵抗素子および微細な形状の磁気抵抗記憶素子および磁
気メモリを可能とし、これらを行列状に配置した高密度
磁気抵抗効果型記憶デバイスを実現するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果(MR)膜を用いた固体磁
気メモリデバイス(MRAM)は、L.J.Schwe
eの、Proc.INTERMAG Conf.IEE
E Trans.on Magn.Kyoto(197
2)405.によって提案され、記録磁界発生用の電流
線であるワード線とMR膜を用いた読み出し用のセンス
線とより成る構成の様々なタイプのMRAMが研究され
ている。
【0003】このような研究の例として、A.V.Po
hmらの、IEEE Trans.on Magn.2
8(1992)2356.が挙げられる。これらのメモ
リデバイスには、一般的にMR変化率が2%程度の異方
性MR効果(AMR)を示すNiFe膜等が使用され、
出力される信号値の向上が課題であった。
【0004】非磁性膜を挟んで交換結合した2つの磁性
膜より成る人工格子膜が、巨大磁気抵抗効果(GMR)
を示すことが、M.N.Baibichら、Phys.
Rev.Lett.61(1988)2472.に記述
されている。また、このようなGMR膜を用いたMRA
Mの提案が、K.T.M.Ranmuthuら、IEE
E Trans.on Magn.29(1993)2
593.によってなされている。しかしながら、このよ
うな反強磁性交換結合をした磁性膜より成るGMR膜
は、大きなMR変化率を示すものの、前述したAMR膜
に比べ大きな印加磁界を必要とし、大きな情報記録およ
び読み出し電流を必要とする問題点がある。
【0005】上記の交換結合型GMR膜に対して、非交
換結合型GMR膜としてはスピンバルブ膜があり、反強
磁性膜を用いたものが、B.Dienyら、J.Mag
n.Magn.Mater.93(1991)101.
に記述されている。また、(半)硬質磁性膜を用いた非
交換結合型GMR膜(スピンバルブ膜)が、H.Sak
akimaら、Jpn.J.Appl.Phys.33
(1994)L1668.に記述されている。これらの
非交換結合型GMR膜(スピンバルブ膜)は、AMR膜
と同様の低磁界で、かつAMR膜よりも大きなMR変化
率を示す。また、反強磁性膜あるいは硬質磁性膜を用い
たスピンバルブ膜を用いたMRAMにおいて、記憶素子
が非破壊読み出し特性(NDRO)を有することを示す
ものが、Y.Irieら、Jpn.J.Appl.Ph
ys.34(1995)L415.に記述され、本発明
はこの技術に関連する。
【0006】上記の非交換結合型GMR膜の非磁性膜は
Cu等の導体膜であるが、非磁性膜にAl23やMgO
等の酸化物絶縁膜を用いたトンネル型GMR膜(TMR
膜)の研究も盛んとなり、このTMR膜を用いたMRA
Mも提案されている。
【0007】非交換結合型GMR膜においては、膜面に
垂直に電流を流した場合のMR効果(CPPMR)の方
が膜面に平行に電流を流した場合のMR効果(CIPM
R)より大きいことが知られている。また、更にTMR
膜はインピ−ダンスが高いので、TMR膜を用いること
により大きな出力が期待される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなス
ピンバルブ膜によって構成される磁気抵抗素子あるいは
磁気抵抗記憶素子を利用した磁気メモリや磁気ヘッドを
実際に作製する場合には、素子間および加工ウェハー間
での素子の磁気抵抗特性のばらつきを最小限に抑制する
ことが重要になる。なかでも、MR値(MR値は(Ra
p−Rp)/Rpで定義する。ここでRpは非磁性層を
挟んだ2つの強磁性層の磁化方向が互いに平行な際の抵
抗値を表しており、Rapは2つの強磁性層の磁化方向
が互いに非平行な際の抵抗を表している。MR値が最も
大きくなるのはRapとして2つの強磁性層の磁化方向
が互いに反平行な際の抵抗値を示すときである。)のば
らつき、接合抵抗値(一般にRp×Aで表される。Aは
素子の接合面積を表す。)のばらつき、およびMR値と
接合抵抗値との間のバイアス依存性のばらつきを抑制す
ることが重要である。
【0009】素子を微細化した結果、素子のサイズがサ
ブミクロンオーダーになってくると、接合抵抗値のばら
つきが顕著になる。この原因は、素子の接合面積の低下
に伴い、素子と電極材との間の電気コンタクトが実質上
容易ではなくなり、接合面における電気コンタクトの状
態の分布が不均一になるためであると考えられる。
【0010】本発明は、上記のような課題を鑑みて、微
細パタ−ン化された磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素
子および磁気メモリにおけるMR値、接合抵抗値等の磁
気抵抗特性のばらつきを抑制することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気抵抗素
子は、非磁性層と、前記非磁性層を挟み込むようにそれ
ぞれ形成された第1強磁性層および第2強磁性層と、前
記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面における
略中央に接触するように形成された第1電気伝導体と、
前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
するように形成された第2電気伝導体と、少なくとも前
記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を覆うように形
成された絶縁体とを具備する磁気抵抗素子であって、前
記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも一
方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平行
な方向に沿って磁化されており、前記第1強磁性層と前
記第2強磁性層とのうちの一方は外部から印加される磁
界に対して容易に磁化反転を起こしやすく、他方は前記
外部から印加される磁界に対して磁化反転を起こしにく
くなっており、前記磁気抵抗素子は、前記第1電気伝導
体から前記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2
強磁性層を通って前記第2電気伝導体へ電流が流れるこ
とによって動作するようになっており、前記第1電気伝
導体と前記第2電気伝導体とは、前記第1強磁性層、前
記非磁性層および前記第2強磁性層を通って前記電流が
流れることによって電気的接触を保つ以外は、前記絶縁
体によって電気的に絶縁されており、前記絶縁体は、前
記第1強磁性層の前記表面における周縁を覆うように形
成されていることを特徴とする。
【0012】本発明に係る磁気抵抗記憶素子は、非磁性
層と、前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成され
た第1強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強磁性
層の前記非磁性層と反対側の表面における略中央に接触
するように形成された第1電気伝導体と、前記第2強磁
性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触するように形
成された第2電気伝導体と、少なくとも前記第1強磁性
層と前記非磁性層との側面を覆うように形成された絶縁
体とを具備する磁気抵抗記憶素子であって、前記第1強
磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも一方は、前
記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平行な方向に
沿って磁化されており、前記第1強磁性層と前記第2強
磁性層とのうちの一方は外部から印加される磁界に対し
て容易に磁化反転を起こしやすく、他方は前記外部から
印加される磁界に対して磁化反転を起こしにくくなって
おり、前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体か
ら前記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁
性層を通って前記第2電気伝導体へ電流が流れることに
よって動作するようになっており、前記磁気抵抗記憶素
子は、前記第1強磁性層の磁化方向と前記第2強磁性層
の磁化方向とが互いに平行あるいは非平行である少なく
とも2つ以上の磁化安定状態を有することによって少な
くとも2つ以上の記憶状態を有しており、前記第1電気
伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第1強磁性層、
前記非磁性層および前記第2強磁性層を通って前記電流
が流れることによって電気的接触を保つ以外は、前記絶
縁体によって電気的に絶縁されており、前記絶縁体は、
前記第1強磁性層の前記表面における周縁を被覆するよ
うに形成されていることを特徴とする。
【0013】本発明に係る磁気メモリは、非磁性層と、
前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強磁性層の前
記非磁性層と反対側の表面における略中央に接触するよ
うに形成された第1電気伝導体と、前記第2強磁性層の
前記非磁性層と反対側の表面に接触するように形成され
た第2電気伝導体と、少なくとも前記第1強磁性層と前
記非磁性層との側面を覆うように形成された絶縁体と、
前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記第1強磁性
層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転させるため
に設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前
記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体と電気的に
接触しない位置に配置された非磁性導電層とを具備する
磁気メモリであって、前記第1強磁性層および前記第2
強磁性層の少なくとも一方は、前記第1強磁性層および
前記第2強磁性層に平行な方向に沿って磁化されてお
り、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一
方は外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を
起こしやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対
して磁化反転を起こしにくくなっており、前記磁気メモ
リは、前記第1電気伝導体から前記第1強磁性層、前記
非磁性層および前記第2強磁性層を通って前記第2電気
伝導体へ電流が流れることによって動作するようになっ
ており、前記磁気メモリは、前記第1強磁性層の磁化方
向と前記第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるい
は非平行である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有
することによって少なくとも2つ以上の記憶状態を有し
ており、前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体と
は、前記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強
磁性層を通って前記電流が流れることによって電気的接
触を保つ以外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁され
ており、前記絶縁体は、前記第1強磁性層の前記表面に
おける周縁を被覆するように形成されていることを特徴
とする。
【0014】本発明に係る他の磁気抵抗素子は、非磁性
層と、前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成され
た第1強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強磁性
層の前記非磁性層と反対側の表面における略中央に接触
するように形成された第1電気伝導体と、前記第2強磁
性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触するように形
成された第2電気伝導体と、少なくとも前記第1強磁性
層と前記非磁性層との側面を覆うように形成された絶縁
体とを具備する磁気抵抗素子であって、前記第1強磁性
層および前記第2強磁性層の少なくとも一方は、前記第
1強磁性層および前記第2強磁性層に平行な方向に沿っ
て磁化されており、前記第1強磁性層と前記第2強磁性
層とのうちの一方は外部から印加される磁界に対して容
易に磁化反転を起こしやすく、他方は前記外部から印加
される磁界に対して磁化反転を起こしにくくなってお
り、前記磁気抵抗素子は、前記第1電気伝導体から前記
第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を
通って前記第2電気伝導体へ電流が流れることによって
動作するようになっており、前記第1電気伝導体と前記
第2電気伝導体とは、前記第1強磁性層、前記非磁性層
および前記第2強磁性層を通って前記電流が流れること
によって電気的接触を保つ以外は、前記絶縁体によって
電気的に絶縁されており、少なくとも1×105アンペ
ア/cm2以上の電流が前記第1電気伝導体から前記第
1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
って前記第2電気伝導体へ流れることによって前記磁気
抵抗素子が動作するように、前記第1強磁性層の前記表
面における周縁を前記絶縁体が被覆していることを特徴
とする。
【0015】本発明に係る他の磁気抵抗記憶素子は、非
磁性層と、前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成
された第1強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強
磁性層の前記非磁性層と反対側の表面における略中央に
接触するように形成された第1電気伝導体と、前記第2
強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触するよう
に形成された第2電気伝導体と、少なくとも前記第1強
磁性層と前記非磁性層との側面を覆うように形成された
絶縁体と、前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記
第1強磁性層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転
させるために設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強
磁性層、前記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体
と電気的に接触しない位置に配置された非磁性導電層と
を具備する磁気抵抗記憶素子であって、前記第1強磁性
層および前記第2強磁性層の少なくとも一方は、前記第
1強磁性層および前記第2強磁性層に平行な方向に沿っ
て磁化されており、前記第1強磁性層と前記第2強磁性
層とのうちの一方は外部から印加される磁界に対して容
易に磁化反転を起こしやすく、他方は前記外部から印加
される磁界に対して磁化反転を起こしにくくなってお
り、前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1強磁性層の磁化
方向と前記第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行ある
いは非平行である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を
有することによって少なくとも2つ以上の記憶状態を有
しており、前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体と
は、前記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強
磁性層を通って前記電流が流れることによって電気的接
触を保つ以外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁され
ており、前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体
から前記第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強
磁性層を通って前記第2電気伝導体へ第1電流を流して
磁気抵抗変化を検出することによって記憶状態を読み出
し、前記非磁性導電層に第2電流を流すことによって発
生する磁界によって記憶状態を書き込み、またあるい
は、前記非磁性導電層に第2電流を流し、それと同期し
て、前記第1伝導体または前記第2伝導体に第3電流を
流して発生する合成磁界により、記憶状態を書き込み、
少なくとも1×105アンペア/cm2以上の前記第1電
流が前記第1電気伝導体から前記第1強磁性層、前記非
磁性層および前記第2強磁性層を通って前記第2電気伝
導体へ流れることによって前記記憶状態を読み出すよう
に、前記第1強磁性層の前記表面における周縁を前記絶
縁体が被覆していることを特徴とする。
【0016】本発明に係る他の磁気メモリは、非磁性層
と、前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された
第1強磁性層および第2強磁性層と、前記第1強磁性層
の前記非磁性層と反対側の表面における略中央に接触す
るように形成された第1電気伝導体と、前記第2強磁性
層の前記非磁性層と反対側の表面に接触するように形成
された第2電気伝導体と、少なくとも前記第1強磁性層
と前記非磁性層との側面を覆うように形成された絶縁体
と、前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記第1強
磁性層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転させる
ために設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強磁性
層、前記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体と電
気的に接触しない位置に配置された非磁性導電層とを具
備する磁気メモリであって、前記第1強磁性層および前
記第2強磁性層の少なくとも一方は、前記第1強磁性層
および前記第2強磁性層に平行な方向に沿って磁化され
ており、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち
の一方は外部から印加される磁界に対して容易に磁化反
転を起こしやすく、他方は前記外部から印加される磁界
に対して磁化反転を起こしにくくなっており、前記磁気
抵抗記憶素子は、前記第1強磁性層の磁化方向と前記第
2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるいは非平行で
ある少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有することに
よって少なくとも2つ以上の記憶状態を有しており、前
記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第1
強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通っ
て前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以外
は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、前記
磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体から前記第1
強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通っ
て前記第2電気伝導体へ第1電流を流して磁気抵抗変化
を検出することによって記憶状態を読み出し、前記非磁
性導電層に第2電流を流すことによって発生する磁界に
よって記憶状態を書き込み、またあるいは、前記非磁性
導電層に第2電流を流し、それと同期して、前記第1伝
導体または前記第2伝導体に第3電流を流して発生する
合成磁界により、記憶状態を書き込むようになっている
磁気抵抗記憶素子が2次元状あるいは3次元状に整列配
置された記憶素子アレイと、前記記憶素子アレイに記憶
された情報を選択的に読み出すために、前記第1電気伝
導体または第2電気伝導体に接続された第1トランジス
タと、前記磁気抵抗記憶素子の磁気抵抗変化を出力する
ビット線に接続された感度増幅器と、前記記憶素子アレ
イに記憶させる情報を選択的に書き込むために、前記非
磁性導電体に接続された第2トランジスタと、前記非磁
性導電体に接続された電流源とを具備することを特徴と
する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る磁気抵抗素子におい
ては、第2強磁性層とともに非磁性層を挟み込むように
形成された第1強磁性層の非磁性層と反対側の表面にお
ける略中央に接触するように第1電気伝導体が形成され
ており、少なくとも第1強磁性層と非磁性層との側面を
覆うように形成された絶縁体は、第1強磁性層の表面に
おける周縁を被覆するように形成されている。このた
め、第1電気伝導体から第1強磁性層、非磁性層および
第2強磁性層の側面に沿って第2電気伝導体へ漏れ電流
が流れることを防止することができるので、第1電気伝
導体から第1強磁性層、非磁性層および第2強磁性層を
通って第2電気伝導体へバイアス電流が均一に流れる。
その結果、磁気抵抗素子におけるMR値、接合抵抗値等
の磁気抵抗特性のばらつきを抑制することができる。
【0018】前記絶縁体によって被覆される前記第1強
磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性層の
前記表面の全体の面積の5%以上60%以下になってい
ることが好ましい。磁気抵抗素子におけるMR値および
接合抵抗値のばらつきをより顕著に抑制することができ
るからである。絶縁体によって被覆される第1強磁性層
の表面の面積の割合が5%よりも小さいと、第1強磁性
層の表面から第1強磁性層、非磁性層および第2強磁性
層の側面に沿って漏れ電流が流れるために、第1強磁性
層、非磁性層および第2強磁性層を通って流れるバイア
ス電流が不均一になる結果、MR値および接合抵抗値に
ばらつきが生じる。絶縁体によって被覆される第1強磁
性層の表面の面積の割合が60%よりも大きいと、5%
以上60%以下の場合程にはMR値および接合抵抗値の
ばらつきの抑制に顕著な効果が見られない。
【0019】前記第1強磁性層の前記表面における前記
周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
は、前記第1強磁性層の前記表面に対して5度以上90
度未満の角度を有するスロープが形成されていることが
好ましい。磁気抵抗素子におけるMR値および接合抵抗
値のばらつきをより顕著に抑制するためである。特に3
0度以上80度未満の角度においては、より一層顕著に
ばらつきを抑制することができる。
【0020】前記第1強磁性層の前記表面における前記
周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部は、
前記第1強磁性層の前記表面に対して少なくとも1nm
以上の厚みを有していることが好ましい。第1強磁性層
の表面を通って漏れ電流が流れることを防止するためで
ある。
【0021】前記第1強磁性層の前記表面における前記
周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
は、曲率半径5nm以上を有する曲面が形成されている
ことが好ましい。第1強磁性層の表面における周縁を被
覆する絶縁体を容易に形成することができるからであ
る。
【0022】前記第1電気伝導体と接触する前記第1強
磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性層の
前記表面の全体の面積の40%よりも大きく95%より
も小さくなっていることが好ましい。磁気抵抗素子にお
けるMR値および接合抵抗値のばらつきをより顕著に抑
制することができるからである。第1電気伝導体と接触
する第1強磁性層の表面の面積の割合が95%以上であ
ると、第1強磁性層の表面から第1強磁性層、非磁性層
および第2強磁性層の側面に沿って漏れ電流が流れるた
めに、第1強磁性層、非磁性層および第2強磁性層を通
って流れるバイアス電流が不均一になる結果、MR値お
よび接合抵抗値にばらつきが生じる。第1電気伝導体と
接触する第1強磁性層の表面の面積の割合が40%以下
であると、40%よりも大きく95%よりも小さくなっ
ている場合程にはMR値および接合抵抗値のばらつきの
抑制に顕著な効果が見られない。
【0023】前記第1強磁性層の前記表面における前記
周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
は、前記第1強磁性層の前記表面に対して90度以上1
80度未満の角度を有するスロープが形成されているこ
とが好ましい。磁気抵抗素子におけるMR値および接合
抵抗値のばらつきをより顕著に抑制するためである。特
に90度以上140度未満の角度においてより一層顕著
にばらつきを抑制することができる。
【0024】本発明に係る磁気抵抗記憶素子において
は、第2強磁性層とともに非磁性層を挟み込むように形
成された第1強磁性層の非磁性層と反対側の表面におけ
る略中央に接触するように第1電気伝導体が形成されて
おり、少なくとも第1強磁性層と非磁性層との側面を覆
うように形成された絶縁体は、第1強磁性層の表面にお
ける周縁を被覆するように形成されている。このため、
第1電気伝導体から第1強磁性層、非磁性層および第2
強磁性層の側面に沿って第2電気伝導体へ漏れ電流が流
れることを防止することができるので、第1電気伝導体
から第1強磁性層、非磁性層および第2強磁性層を通っ
て第2電気伝導体へバイアス電流が均一に流れる。その
結果、磁気抵抗記憶素子におけるMR値、接合抵抗値等
の磁気抵抗特性のばらつきを抑制することができる。
【0025】本発明に係る磁気メモリにおいては、第2
強磁性層とともに非磁性層を挟み込むように形成された
第1強磁性層の非磁性層と反対側の表面における略中央
に接触するように第1電気伝導体が形成されており、少
なくとも第1強磁性層と非磁性層との側面を覆うように
形成された絶縁体は、第1強磁性層の表面における周縁
を被覆するように形成されている。このため、第1電気
伝導体から第1強磁性層、非磁性層および第2強磁性層
の側面に沿って第2電気伝導体へ漏れ電流が流れること
を防止することができるので、第1電気伝導体から第1
強磁性層、非磁性層および第2強磁性層を通って第2電
気伝導体へバイアス電流が均一に流れる。その結果、磁
気メモリにおけるMR値、接合抵抗値等の磁気抵抗特性
のばらつきを抑制することができる。
【0026】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。
【0027】(実施の形態1)図1Aおよび図1Bに本
発明の実施の形態1における磁気抵抗素子500の断面
図を示す。
【0028】磁気抵抗素子500は、硬質磁性膜を用い
たスピンバルブ型(以下ではHMスピンバルブ型と呼
ぶ)磁気抵抗素子である。
【0029】HMスピンバルブ型磁気抵抗素子500に
おいては、硬質磁性膜110(第1強磁性層)と、非磁
性絶縁膜120と、軟磁性膜130(第2強磁性層)と
によりMR素子部100が形成される。軟磁性膜130
は硬質磁性膜110よりも外部磁界に対して磁化回転し
易い。MR素子部100は、センス線およびビット線を
それぞれ構成する導電膜140および150に接続され
る。また、ワード線を構成する導電膜170が絶縁膜1
60を介してMR素子部100の上部に設けられてい
る。
【0030】本発明の説明において、図示される各磁性
膜中に示される矢印は、各磁性膜のそれぞれの磁化方向
の一例を示している。ただし、各磁性膜の磁化方向は、
図示される方向に限定されず、様々な実施の形態におい
て変化し得るものである。
【0031】また、磁気抵抗素子として書き込み動作お
よび読み出し動作を行う際にも様々な実施の形態におい
て変化し得る。
【0032】HMスピンバルブ型磁気抵抗素子500を
利用した磁気抵抗記憶素子1000においては、導電膜
170(ワード線)を流れる電流によって発生する磁界
により、硬質磁性膜110を磁化反転させ情報を書き込
む。情報の読み出しは、硬質磁性膜110の磁化反転を
起こさずに、軟磁性膜130のみを磁化反転させること
により行う。また、導電膜170のみでなく、導電膜1
40または150(センス線)にも電流を流して磁界を
発生させても良い。この場合には、導電膜170と14
0(150)とにより構成されるそれぞれの配線は、互
いに直交する関係にあることが好ましい。
【0033】このような書き込みおよび読み出し動作を
行うことにより、磁気抵抗記憶素子1000は、非破壊
読み取り(NDRO)が可能となる。また、この場合、
磁化反転させるための磁界のしきい値として、硬質磁性
膜110および軟磁性膜130のそれぞれの保磁力に対
応する記録用しきい値Hhと読み出し用しきい値Hsの
2つが必要となる。
【0034】図2Aおよび図2Bに、HMスピンバルブ
型磁気抵抗素子500を利用した磁気抵抗記憶素子10
00の動作原理を示す。磁気抵抗記憶素子1000への
信号の記録は、図2Aに示すように、導電膜170に正
のパルス電流501または負のパルス電流502を流
し、硬質磁性膜110の記録用しきい値Hhを越える磁
界を硬質磁性膜110に印加し、硬質磁性膜110を磁
化反転させ、硬質磁性膜110の磁化方向により”1”
または”0”の信号を記録することにより行われる。
【0035】記録された信号の読み出しは、導電膜14
0および150(図1A、図1B)に定電流を流した状
態で、導電膜170に弱電流パルスを流し、軟磁性膜1
30の読み出し用用しきい値Hs以上、硬質磁性膜11
0の記録用しきい値Hh以下の磁界を発生させ、軟磁性
膜130が磁化反転するか否かを判別することにより行
われる。この場合、導電膜140および150を通じて
モニターされたMR素子部100の抵抗値の変化によ
り、”1”または”0”の記憶状態が識別される。
【0036】例えば、図2Aに示される”1”および”
0”の記憶状態において、正のパルス電流501と同様
のパルス電流を導電膜170に流した場合は、記憶状
態”1”の磁気抵抗記憶素子1000に対しては抵抗値
の変化はなく、また、記憶状態”0”の磁気抵抗記憶素
子1000に対しては抵抗値が増加する。そして、反対
に、負のパルス電流502と同様のパルス電流を導電膜
170に流した場合は、抵抗値の変化は上記と逆にな
る。
【0037】更に、図2Bに示すように正→負のパルス
を組み合わせたパルス電流503(ただし、パルス電流
503の大きさは、硬質磁性膜110の磁化反転を起こ
さず、軟磁性膜130のみを磁化反転させ得る大きさで
ある)を流した場合、記憶状態が”1”の磁気抵抗記憶
素子1000に対しては、抵抗変化は零→正となるの
で、変化率(ΔR1/Δt)は正となり、反対に記憶状
態が”0”の磁気抵抗記憶素子1000に対しては、抵
抗の変化率(ΔR1/Δt)は負になる。
【0038】上記のような動作原理で、磁気抵抗記憶素
子1000から信号の読み出しが可能となる。磁気抵抗
記憶素子1000のようなHMスピンバルブ型記憶素子
において特徴的なことは、硬質磁性膜110の磁化状態
は読み出し中は不変であるので、NDROが可能となる
ことである。
【0039】なお、硬質磁性膜110の代わりに半硬質
磁性膜が用いられても良い。
【0040】また、硬質磁性膜110および軟磁性膜1
30とが逆に配置されていてもよい。特に、導電膜17
0を用いての磁界印加を効率的に行うためには、自由層
として用いる軟質磁性膜130は、導電膜170に、よ
り近接して配置するのが好ましい。
【0041】また、本実施の形態では、定電流印加の下
での抵抗値変化を電圧変化として検出する、いわゆる定
電流モードの例を示しているが、定電圧印加の下での抵
抗値変化を電流変化として検出する、いわゆる定電圧モ
ードによる記録情報の検出を用いても良い。
【0042】また、磁気抵抗記憶素子1000の構成
は、磁気抵抗効果素子としても用いることができる。こ
の場合は、磁気抵抗記憶素子1000の構成からなる磁
気抵抗効果素子は磁気ヘッドとして用いられ得、記録媒
体等から印加される磁界はMR素子部100によって感
知される。また、磁気ヘッドとして用いられる場合は、
導電膜170は設けられていなくても良い。
【0043】(実施の形態2)図3Aおよび図3Bに本
発明の実施の形態2における磁気抵抗素子1500およ
び磁気抵抗記憶素子2000の断面図を示す。実施の形
態1で示した磁気抵抗素子500および磁気抵抗記憶素
子1000と同一の構成要素については同一の参照符号
で表し、これらについての詳細な説明は省略する。
【0044】磁気抵抗素子1500は反強磁性膜を用い
たスピンバルブ型(以下ではAFスピンバルブ型と呼
ぶ)磁気抵抗素子であり、および磁気抵抗素子1500
を利用した磁気抵抗記憶素子2000は、AFスピンバ
ルブ型磁気抵抗記憶素子である。
【0045】磁気抵抗記憶素子2000においては、反
強磁性膜180と交換結合した強磁性膜190(第1強
磁性層)と、非磁性絶縁膜120と、軟磁性膜130
(第2強磁性層)とによりMR素子部101が形成さ
れ、センス線およびビット線をそれぞれ構成する導電膜
141および150がMR素子部101に接続されてい
る。軟磁性膜130は強磁性膜190よりも外部磁界に
対して磁化回転し易い。
【0046】強磁性膜190は、導電膜170(ワード
線)を流れる電流によって発生する磁界では磁化反転せ
ず、非磁性絶縁膜120を介して強磁性膜190と磁気
的に分離された軟磁性膜130のみが磁化反転する。従
って情報の書き込みと読み出しは軟磁性膜130の磁化
反転によってのみ行われ、NDROは困難であるとされ
るが、磁化反転させるための磁界のしきい値は一つであ
るため、実施の形態1において前述した磁気抵抗記憶素
子100よりも動作原理がシンプルである。
【0047】図4Aおよび図4Bに、AFスピンバルブ
型記憶素子である磁気抵抗記憶素子2000の動作原理
を示す。
【0048】磁気抵抗記憶素子2000において、強磁
性膜190は、反強磁性膜180と交換結合しているた
め、強磁性膜190の磁化は一方向にピン止めされてい
る。
【0049】磁気抵抗記憶素子2000への信号の記録
は、図4Aに示すように、導電膜170に正のパルス電
流511または負のパルス電流512を流し、軟磁性膜
130のHs以上の磁界を軟磁性膜130に印加し、軟
磁性膜130を磁化反転させ、 軟磁性膜130の磁化
方向により”1”または”0”の信号を記録することに
より行われる。
【0050】記録された信号の読み出しは、導電膜14
1および150(図3A、図3B)に定電流を流した状
態で、導電膜170に正または負の弱電流パルスを流し
て軟磁性膜130の読み出し用しきい値Hs以上の磁界
を発生させ、軟磁性膜130が磁化反転するか否かを判
定することにより行われる。この場合、導電膜141お
よび150を通じてモニターされたMR素子部101の
抵抗値の変化により、”1”または”0”の記憶状態が
識別される。
【0051】例えば、図4Bに示される”1”および”
0”の記憶状態において、正のパルス電流513(ただ
し、パルス電流513の大きさは、強磁性膜190の磁
化反転を起こさず、軟磁性膜130のみを磁化反転させ
得る大きさである)を導電膜170に流した場合は、記
憶状態”1” の磁気抵抗記憶素子2000に対しては
抵抗値の変化はない(ΔR=0)。また、正のパルス電
流513を導電膜170に流した場合、記憶状態”0”
の磁気抵抗記憶素子2000に対しては抵抗値が変化
する(ΔR≠0)。そして、反対に負のパルス電流(図
示せず)を導電膜170に流した場合は、抵抗値の変化
は上記と逆になる。
【0052】上記のような動作原理で、磁気抵抗記憶素
子2000からの信号の読み出しが可能となる。前述の
ように磁気抵抗記憶素子2000のようなAFスピンバ
ルブ型記憶素子においては、信号の読み出し時に記録さ
れた信号が破壊されるので、NDROは困難であるとさ
れている。
【0053】しかし、磁気抵抗記憶素子2000のよう
なAFスピンバルブ型記憶素子においてもNDROは可
能である。具体的には、図4Cに示すように、MR素子
部101の抵抗値とNDROの対象であるMR素子部1
01とは異なる参照抵抗R1との抵抗値の差ΔR3を検出
する方法により信号を読み出せば、導電膜170にパル
ス電流を流すことなく、記憶状態”1”または”0”を
読み出すことができる。この場合は、信号の読み出し時
に記録された信号が破壊されないので、NDROが可能
である。このとき用いる参照抵抗R1の抵抗値は、比較
するMR素子部101の抵抗値変化の範囲内の値である
ことが好ましく、磁気抵抗記憶素子2000が集積され
る場合は、磁気抵抗記憶素子2000の一つを参照抵抗
1として用いることが好ましい。
【0054】また、強磁性膜190および軟磁性膜13
0とが逆に配置されていてもよい。
【0055】また、実施の形態1と同様に、磁気抵抗記
憶素子2000の構成は、磁気抵抗効果素子としても用
いることができる。
【0056】実施の形態1および本実施の形態でそれぞ
れ示された硬質磁性膜110および強磁性膜190は、
磁気抵抗効果素子の固定層にあたる。硬質磁性膜110
および強磁性膜190として用いられる金属磁性膜とし
ては、CoまたはCo−Fe、Ni−Fe、Ni−Fe
−Co合金等の材料が優れている。特に、CoまたはC
o−Fe合金が大きなMR比を得るのに良いので非磁性
膜120との間の界面にはCo−richの金属磁性膜
を用いることが望ましい。
【0057】また、更に、Mn系ホイスラー合金やペロ
ブスカイト型Mn酸化物(層状ペロブスカイトMn酸化
物を含む)、Sr−Fe−Mo系ダブルペロブスカイト
型酸化物、CrO2、Fe34などのハーフメタル材料
は、高い磁性分極率を有するため、MR素子を構成した
際、大きなMR比が得られる。
【0058】硬質磁性膜110および強磁性膜190と
して用いられる酸化物磁性膜としては、MFe24(M
はFe、Co、Niから選ばれる1種もしくは2種以上
の元素)が好ましい。これらは比較的高温まで強磁性を
示し、Fe−richのものに比べCo、Ni−ric
hのものは極めて抵抗値が高い。また、Co−rich
のものは磁気異方性が大きいという特性があるので、こ
れらの組成比の調整により所望の特性の硬質磁性膜11
0および強磁性膜190が得られる。
【0059】なお、硬質磁性膜110および強磁性膜1
90の全体の膜厚は1nm以上10nm以下が好まし
い。
【0060】更に、強磁性膜190に接する反強磁性膜
180として用いられる磁化回転抑制層としては、金属
層として不規則合金系のIr−Mn、Rh−Mn、Ru
−Mn、Cr−Pt−Mn等があり、磁界中で成膜する
ことにより強磁性膜190と交換結合させることがで
き、工程が簡便となる利点がある。一方、規則合金系の
Ni−Mn、Pt−(Pd)−Mn等は規則化のための
熱処理が必要であるが、熱的安定性に優れており、特に
Pt−Mnが好ましい。
【0061】実施の形態1および本実施の形態で示され
た軟質磁性膜130は、磁気抵抗効果素子の自由層にあ
たる。軟質磁性膜130として、CoまたはCo−F
e、Ni−Fe、Ni−Fe−Co合金等の材料が優れ
ている。また、軟質磁性膜130として、Ni−Fe−
Co膜を用いる場合には、 NixFeyCoz 0.6≦x≦0.9 0≦y≦0.3 0≦z≦0.4 の原子組成比のNi−richの軟磁性膜、もしくは、 Nix'Fey'Coz' 0≦x’≦0.4 0≦y’≦0.5 0.2≦z’≦0.95 のCo−richの膜を用いるのが望ましい。
【0062】これらの組成膜はセンサーやMRヘッド用
として要求される低磁歪特性(1×10-5)を有する。
【0063】(実施の形態3)図5A〜図5Eには実施
の形態3における磁気抵抗素子の強磁性層801および
電極として用いる電気伝導体802および層間絶縁体1
60の配置の様子を示す。以下に示す実施の形態3によ
れば、電極として用いる電気伝導体802と強磁性層8
01との間の電気接触の方法が、MR値のばらつき、接
合抵抗値のばらつき、あるいはそれらの値のバイアス依
存性のばらつきを抑制の度合いに大きく影響し、本発明
の構成を有することによってこれらのばらつきを効果的
に抑制することを示す。
【0064】図5Aは実施の形態3に係る磁気抵抗素子
の構成を示す断面図である。ここでの強磁性層801
は、実施の形態1において前述した硬質強磁性膜110
に相当し、あるいは実施の形態2において前述した反強
磁性膜180と強磁性膜190とを組み合わせた層に相
当する。反強磁性膜180として酸化物を選んだ場合に
は、電気伝導体802は強磁性層190と電気的接触が
保たれるように配置する。ここでの電気伝導体802
は、実施の形態1および実施の形態2において前述した
電極体140および141に相当する。
【0065】なお、ここでの強磁性層801とは、強磁
性層上に付与された保護膜も含めている。
【0066】例えば、 Si/SiO2/Ta(5)/Cu(50)/Ta
(5)/PtMn(20)/CoFe(3)/Ru
(0.9)/CoFe(1)/FePt(2)/Al−
O(1.0)/FePt(2)/NiFe(1)/Ru
(0.7)/NiFe(2)/Pt(10) と素子部を構成したとき、Ta(5)/Cu(50)/
Ta(5)の部分が、図5Aでの導電膜150を表して
おり、PtMn(20)/CoFe(3)/Ru(0.
9)/CoFe(1)/FePt(2)が強磁性層13
0を表しており、Al−O(1.0)が非磁性層120
を表しており、FePt(2)/NiFe(1)/Ru
(0.7)/NiFe(2)/Pt(10)が強磁性層
801を表している。
【0067】図5B〜図5Dは図5Aの強磁性層801
および電極として用いる電気伝導体802および層間絶
縁体160の詳しい配置の様子を破線で囲まれた領域8
03として示している。図5Bでは、強磁性層801の
上面に対する層間絶縁体160の端部のなす角度804
が5度以上から90度未満のスロープを有するようにし
て素子部を加工し、素子特性への影響を調べた。またこ
の際、微細加工を施した強磁性層801の上面に対する
層間絶縁層160の被覆率を変えて、素子特性への影響
を調べた。
【0068】図6は図5Bにて示した強磁性層801お
よび層間絶縁体160との詳しい配置の様子を示す上面
図である。本図は強磁性層801の上面に電気接触用の
窓を層間絶縁体160にて形成した直後の様子を示して
いる。ここでは811は813よりも外側に位置してい
るが、被覆率や層間絶縁体160の端部の角度の変化に
よっては内側になる場合もある。微細加工する素子部分
の大きさは0.06ミクロンから10ミクロンまでの大
きさを変えて、典型的な大きさである6インチウェハー
基板上に作製した。作製した素子の形状は図7A〜図7
Xに示した。図7A〜図7Xは第1強磁性層801と第
2強磁性層130とを、便宜上位置をずらしてそれぞれ
示している。図7M〜図7Xに示したような形状異方性
を有した素子形状の方が、図7A〜図7Lに示す素子の
形状よりも磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ用に相応
しく、磁気抵抗変化が急峻に起こり、かつ、記憶の安定
性に優れていて好ましい。さらに素子形状の縦横比は、
1.5以上が更に好ましいことが評価結果から分かっ
た。図8は図7Bに示す形状と図7Nに示す形状にて素
子を形成した場合のMR変化の様子を示す。素子形状の
縦横比はそれぞれ1(曲線2701)、1.5(曲線2
702)、5(曲線2703)である。
【0069】また図7B、図7D、図7F、図7H、図
7I、図7K、図7L、図7N、図7P、図7R、図7
T、図7U、図7Wおよび図7Xは周辺部が丸くしてあ
るため、磁化回転の際に有利であり、好ましい。図7Y
に示すように磁界Hxと磁界Hyの2軸磁場印加にて磁
化回転を行う場合には、図7C、図7D、図7E、図7
F、図7G、図7H、図7I、図7J、図7K、図7
L、図7O、図7P、図7Q、図7R、図7S、図7
T、図7U、図7V、図7Wおよび図7Xのように周辺
部に、磁界Hxの方向および磁界Hyの方向と平行でな
い辺を有した形状にて素子を実現した方が、磁化回転の
急峻さに優れ、好ましい。磁界Hxと磁界Hyが直交の
関係にある場合には、図9A〜図9Dに示すように、磁
界Hxとなす角度2501が、20度≦|角度2501
|≦70度であるのが好ましい。
【0070】また、図10A〜図10Cに示すような種
々の形状を有する素子に作用する磁化方向の、磁界Hx
に対する角度2601は、50度≦|角度2601|も
しくは(90度−|角度2601|)≦85度であるの
が好ましい。素子形状の縦横比(L/W)が1.5以上
から3以下の場合に図10Aに示す素子形状において特
に好ましい角度2601は、50度以上から75度以下
(ただし、角度2602は50度以上から85度以
下)、図10Bに示す素子形状において特に好ましい角
度2601は、55度以上から80度以下(ただし、角
度2602は25度以上から80度以下)、図10Cに
示す素子形状において特に好ましい角度2601は、6
0度以上から85度以下(ただし、角度2602および
角度2603は25度以上から80度以下)であった。
【0071】なお、実施の形態2における素子の作製に
はレジストマスクやメタルマスクあるいはその両方など
を用い、電子あるいはエキシマレーザーあるいはUVな
どの光源を利用しての露光を行い、反応性イオンエッテ
ィング(RIE)あるいはイオンミリングあるいはレー
ザーパターニングなどを用いて加工を行った。素子部に
おける微細なパターンの加工には、場合によりリフトオ
フ用のキノコ型レジストを用いて加工を行った。
【0072】図11A〜図11Eは被覆率を変化させた
場合の典型的な素子の構成を示す断面図を示している。
【0073】図11Aでは被覆率は0%の場合で、原理
的には最も理想的な状態であるといえる。しかし、強磁
性層801の端部の形状によっては、図11Bに示す様
に層間絶縁体160の端部の形状がスムーズでなくなる
場合がある。このような場合、素子にかかるバイアス電
流に不均一が生じ、その結果、素子間の特性にばらつき
が生じることが分かった。あるいは図11Eのように層
間絶縁体160の端部の形状がスムーズでない場合に
も、バイアス電流のリークや不均一が生じ、結果的に素
子間の特性にばらつきが生じることが分かった。図11
Cは被覆率が5%以上から60%以下の場合を示してい
る。この場合、6インチウェハー内での素子のMR値お
よび接合抵抗RA値のばらつきは、被覆率が5%未満の
場合に比べて共に抑制されることが確認された。このこ
とは、素子の接合部分を流れるバイアス電流の均一性が
向上したことに起因していると考えられる。また、この
ときの層間絶縁体160の端部の角度に関して、約5度
以上約90度未満のスロープ形状に対して、ばらつき抑
制効果が確認された。特に30度以上から80度未満の
範囲において抑制効果のより一層の向上が確認された。
6インチウェハー内で確認された最も良い状態でのばら
つきの度合いは、一例としてMR値〜35%、RA値〜
1.6kΩ・μm2に対するσ値を求めて、被覆率が5
%未満の場合と比べると、σ(被覆率5%以上から被覆
率60%以下)/σ(被覆率5%未満)〜0.1(MR
値)、0.12(接合抵抗RA値)となり、少なくとも
約8倍以上のばらつき抑制効果が得られたことが分かっ
た。ここでσは標準偏差値を示している。
【0074】図11Dは被覆率が60%よりも大きい場
合を示している。この場合、6インチウェハー内での素
子のMR値および接合抵抗RA値のばらつきは、被覆率
が5%未満の場合に比べて共に抑制されるものの、被覆
率が5%以上から60%以下の場合と比べ、ばらつき抑
制に顕著な効果が見られないことが分かった。
【0075】さらに、MR値、接合抵抗RA値に関し
て、素子にかかるバイアス依存性を0から2Vまで評価
したところ、0Vから1Vの範囲においてバイアス依存
性におけるばらつきは、被覆率が5%以上から60%以
下の場合に最も抑制されることが分かった。耐電圧特性
においても約5Vまでの素子耐圧を示すことがわかっ
た。
【0076】すなわち、被覆率が5%以上から60%以
下の場合に、MR値や接合抵抗RA値、両値のバイアス
依存性まで含めた磁気抵抗特性における素子間のばらつ
き度合いが改善され、本発明が効果的であることが分か
った。
【0077】以上のように実施の形態2によれば、軟磁
性膜130(第2強磁性層)とともに非磁性絶縁膜12
0(非磁性層)を挟み込むように形成された強磁性層8
01(第1強磁性層)の非磁性絶縁膜120と反対側の
表面における略中央に接触するように電気伝導体802
(第1電気伝導体)が形成されており、少なくとも強磁
性層801と非磁性絶縁膜120との側面を覆うように
形成された層間絶縁体160は、強磁性層801の表面
における周縁を被覆するように形成されている。このた
め、電気伝導体802から強磁性層801、非磁性絶縁
膜120および軟磁性膜130の側面に沿って導電膜1
50へ漏れ電流が流れることを防止することができるの
で、電気伝導体802から強磁性層801、非磁性絶縁
膜120および軟磁性膜130を通って導電膜150へ
バイアス電流が均一に流れる。その結果、磁気抵抗素子
におけるMR値、接合抵抗値等の磁気抵抗特性のばらつ
きを抑制することができる。
【0078】層間絶縁体160によって被覆される強磁
性層801の表面の面積の割合は、強磁性層801の表
面の全体の面積の5%以上60%以下になっていること
が好ましい。磁気抵抗素子におけるMR値および接合抵
抗値のばらつきをより顕著に抑制することができるから
である。
【0079】さらに、このときの層間絶縁体160の端
部の角度に関して、約5度以上から90度未満のスロー
プ形状に対して、ばらつきが抑制され、特に好ましくは
30度以上から80度未満の範囲においてより一層の抑
制効果があることが分かった。
【0080】図5Cでは、膜厚1nm以上の絶縁体層に
て強磁性層801の上面の一部を被覆し、さらに強磁性
層801の上面に対して層間絶縁体160の端部のなす
角度805が5度以上から90度未満のスロープを有す
るようにして素子部を加工した場合の断面の様子を示し
ている。このような素子は、最初に膜厚1nm以上の絶
縁体層にて強磁性層801の上面の一部を被覆するよう
にし、その上に、強磁性層801の上面に対して層間絶
縁体160の端部のなす角度805が5度以上から90
度未満のスロープを有するように層間絶縁体160を配
置して作製することができる。あるいは強磁性層801
の上面に対して層間絶縁体160にて電気接触用の窓を
あける際において、エッティングマスクとして用いるレ
ジストの上部と下部とで被エッティング率の異なる材料
を用いることなどにより、一度のエッティング処理にて
図5Cの形状を得ることも可能である。図5Cの構成に
よれば、強磁性層801の上面に対する層間絶縁体16
0の端部のなす角度805が40度以上から90度未満
のスロープを有するようにして素子部を加工した際に、
作製した素子特性のばらつきが、40度未満の条件に比
べてより一層抑制され、特に好ましい配置であることが
分かった。
【0081】図5Dでは、強磁性層801の上面の一部
を被覆する際に、層間絶縁体160の端部が曲率半径8
07が5nm以上の裾を引くようにして加工した場合の
断面の様子を示している。このような素子は、強磁性層
801の上面に対して層間絶縁体160にて電気接触用
の窓をあける際においてエッティングマスクとして用い
るレジストの上部と下部とで被エッティング率の異なる
材料を用いることなどにより、一度のエッティング処理
にて図5Dの形状を得ることが可能である。層間絶縁体
160の端部の形状は曲率半径807が5nm以上であ
ることが重要で、単一の曲率半径にて本構造が実現され
なくても良い。すなわち、曲率半径807が5nm以上
のいくつかの形状の足し合わせによって実現される図5
Eの様な形状でももちろん良い。図5Eでは曲率半径8
07aから807dの円弧形状を足し合わせた曲線を有
する層間絶縁体160の端部を実現した場合の断面図を
示している。このような形状の加工には、リフトオフ用
のキノコ型レジストを用い、層間絶縁膜160の堆積角
度を、強磁性層801の上面に対し鉛直方向を0度とし
たとき、0度から45度の範囲にて堆積を行うことによ
り実現することが容易となる。図5Dの構成によれば、
強磁性層801に対して被覆率を5%以上から60%以
下に作製すると、もっとも容易に実現する。すなわち、
MR値、接合抵抗RA値、両値のバイアス依存性まで含
めた磁気抵抗特性における素子間のばらつき度合いを改
善するためには、本構成が大変好ましいということが分
かった。
【0082】この場合も強磁性層801の上面に対する
層間絶縁体160の端部のなす角度806が5度以上か
ら90度未満のスロープを有するようにして素子部を加
工した際に、作製した素子の磁気抵抗特性のばらつき
が、40度未満の場合に比べてより一層抑制され、特に
好ましい配置であることが分かった。
【0083】曲率半径807が5nm未満にて層間絶縁
体160の端部を形成した場合には、層間絶縁体160
自身の形状自体がばらついてしまい、そのため素子の特
性もばらついてしまい、その効果を確認するに至らなか
った。
【0084】図5A〜図5Dのような素子断面形状を有
し、図7A〜図7Xの様に成形した磁気抵抗素子につい
て、磁気抵抗変化率(MR)、接合抵抗(RA)値、両
値のバイアス依存性、さらに臨界電流容量を評価し、ウ
ェハー内でのばらつきの度合いを評価した。評価結果は
図12にまとめた。
【0085】各試料番号によって表される試料の母集団
の数は、ほぼ1500〜2500個/1ウェハーであ
る。形状の欄に示されたA、BおよびCは図13A、図
13Bおよび図13Cにてそれぞれ示した素子の断面形
状に対応している。図12の評価結果からは、ウェハー
内での磁気抵抗特性のばらつきの度合いと臨界電流容量
値(電流密度)との間には相関があることが読みとれ
る。すなわち、臨界電流容量値(電流密度)が大きい素
子をウェハー内に作製した場合には、総じてばらつき度
は抑制されているといえる。また素子の臨界電流容量値
(電流密度)が1×105A/cm2以上の試料に着目す
ると、素子は図13Bに示すような断面形状にて実現し
た方が、磁気抵抗特性のばらつきを抑制するのに効果的
であることが分かった。
【0086】さらに、MR値、接合抵抗RA値に関し
て、素子に流れるバイアス電流のバイアス依存性を0か
ら2Vまで評価したところ、0Vから1Vの範囲におい
てバイアス依存性に関しても、臨界電流容量値の高い、
すなわち1×105A/cm2以上を示す場合に、ばらつ
きの抑制度が高いことが分かった。このような素子は直
流の耐電圧特性においても約5Vまでと、高耐圧特性を
示すことがわかった。
【0087】そこで、臨界電流容量値の高い、すなわち
1×105A/cm2以上を示す場合の、素子の断面につ
いて更に詳しく図14A〜図14Cに示した。図14A
あるいは図14Bにて示した断面構造を実現することに
より、ほぼ定常的に高い臨界電流容量値を有する素子を
実現できる。さらに、図14Cの端部804にて示すよ
うに、層間絶縁体160の端部804において、まず膜
厚1nm以上の層間絶縁体で、強磁性層801の上面の
周縁を広く被覆しておいて、さらにその上に、層間絶縁
体160を形成することによっても同様の効果が得られ
ることが分かった。
【0088】(実施の形態4)図15A〜図15Dには
実施の形態4における磁気抵抗素子の強磁性層801お
よび電極として用いる電気伝導体902および層間絶縁
体160の配置の様子を示す。以下に示す実施の形態4
によれば、電極として用いる電気伝導体902と強磁性
層801との間の電気接触の方法が、MR値のばらつ
き、接合抵抗値のばらつき、あるいはそれらの値のバイ
アス依存性のばらつきを抑制の度合いに大きく影響し、
本発明の構成を有することによって、これらのばらつき
を効果的に抑制することを示す。
【0089】図15Aは実施の形態4に係る磁気抵抗素
子の構成を示す断面図である。ここでの強磁性層801
は、実施の形態1において前述した硬質強磁性膜110
に相当し、あるいは実施の形態2において前述した反強
磁性膜180と強磁性膜190とを組み合わせた層に相
当する。反強磁性膜180として酸化物を選んだ場合に
は、電気伝導体902は強磁性層190と電気的接触が
保たれるように配置する。ここでの電気伝導体902
は、実施の形態1および実施の形態2において前述した
電極体140および141にそれぞれ相当する。
【0090】図15B〜図15Dは図15Aの強磁性層
801および電極として用いる電気伝導体902および
層間絶縁体160の詳しい配置の様子を破線で囲まれた
領域903として示している。図15Bでは、強磁性層
801の上面に対する層間絶縁体160の端部のなす角
度904が90度以上から180度未満のスロープを有
するようにして素子部を加工し、素子特性への影響を調
べた。またこの際、微細加工を施した強磁性層801の
上面に対する層間絶縁層160の被覆率あるいは強磁性
層801の上面に対する電気伝導体902の接触面積率
を変えて、素子特性への影響を調べた。図15Bおよび
図15Dに示す例では、電気伝導体902と層間絶縁体
160と間に空隙907が形成されている。
【0091】微細加工する素子の大きさは0.06ミク
ロンから10ミクロンまでの大きさを変えて、典型的な
大きさである6インチウェハー基板上に作製した。
【0092】なお、本実施例にての素子の作製にはレジ
ストマスクやメタルマスクあるいはその両方などを用
い、電子あるいはエキシマレーザーあるいはUVなどの
光源を利用しての露光を行い、反応性イオンエッティン
グ(RIE)あるいはイオンミリングあるいはレーザー
パターニング、化学的湿式エッティング法などを用いて
加工を行った。素子部のように微細なパターンの加工に
は、場合によりリフトオフ用のキノコ型レジストを用い
て加工を行った。
【0093】図15Bの構成にて、強磁性層801の上
面に対する電気伝導体902の接触面積率が40%より
も大きく95%よりも小さい場合に関して、素子特性へ
の影響を調べた。ここでの接触面積率とは、被覆率が5
%以上から60%以下の場合と対応している。また電気
伝導体902は、その堆積方法により、図15B〜図1
5Dのようないくつかの場合があり得、求める接触面積
率の実現に際し、その形態を使い分けるのが好ましい。
6インチウェハー内での素子のMR値および接合抵抗R
A値のばらつきを調べたところ、接触面積率が95%以
上および接触面積率40%以下の場合に比べて共に抑制
されることが確認された。このことは、素子の接合部分
を流れるバイアス電流の均一性が向上したことに起因し
ていると考えられる。また、このときの層間絶縁体16
0の端部の角度904に関して、約90度以上から15
0度未満のスロープ形状に対して、本実施例によれば、
ばらつき抑制効果が確認されたが、特に90度以上から
140度未満の範囲において抑制効果のより一層の向上
が確認された。
【0094】さらに、MR値、接合抵抗RA値に関し
て、素子にかかるバイアス依存性を0から2Vまで評価
したところ、0Vから1Vの範囲においてバイアス依存
性におけるばらつきは、接触面積率が40%よりも大き
く95%よりも小さい場合に最も抑制されることが分か
った。耐電圧特性においても約5Vまでの素子耐圧を示
すことがわかった。さらに素子部分の微細加工の大きさ
は0.06ミクロンから10ミクロンまでの大きさに
て、図15A〜図15Dで示した本発明の構成が好まし
いことが確認されたが、約1ミクロン以下の大きさの素
子に関しては、図11A〜図11Eに示した構成に比べ
てばらつき抑制効果が大きいことが認められた。
【0095】すなわち、接触面積率が40%よりも大き
く95%よりも小さい場合に、MR値や接合抵抗RA
値、両値のバイアス依存性まで含めた磁気抵抗特性にお
ける素子間のばらつき度合いが改善され、本発明が効果
的であることが分かった。さらに、このときの層間絶縁
体160の端部の角度に関して、約90度以上から15
0度未満のスロープ形状に対して、ばらつきが抑制さ
れ、特に好ましくは90度以上から140度未満の範囲
においてより一層の抑制効果があることが分かった。
【0096】図16A〜図16Gでは、強磁性層801
の上面に対して層間絶縁体160の端部のなす角度10
04が90度以上から180度未満のスロープあるいは
図16Dや図16Fのような曲線を有する層間絶縁体1
60の端部を有するようにして素子部を加工した場合の
断面の様子を示している。図16B〜図16Gに示す例
では、電気伝導体1002と層間絶縁体160との間に
空隙1007が形成されている。また電気伝導体100
2は、その堆積方法により、図16D、図16E、図1
6F、図16Gのようないくつかの場合があり得、求め
る接触面積率の実現に際し、その形態を使い分けるのが
好ましい。図16B、図16Cのような素子は、最初に
強磁性層801の上面に対して層間絶縁体160の端部
のなす角度1004、角度1005が90度以上から1
50度未満のスロープを有するように作製し、その上に
さらに層間絶縁体160を配置して作製することができ
る。あるいは強磁性層801の上面にあらかじめレジス
トマスクを堆積し、その上に層間絶縁体160を堆積し
た後、リフトオフ工程を行うことにより実現することも
できる。また化学的湿式エッティングにて電気接触用の
窓をあける際には、一度のエッティング処理にて図16
B〜図16Gまで種々の形状を得ることも可能である。
【0097】図16F、図16Gでは、実施の形態3で
示した図5Dのように強磁性層801の上面の一部を被
覆する際に、層間絶縁体160の端部が裾を引くように
して加工・配置した場合の断面の様子を示している。こ
のような素子は、強磁性層801の上面に対して層間絶
縁体160にて電気接触用の窓をあける際のエッティン
グマスクとして用いるレジストの上部と下部とで被エッ
ティング率の異なる材料を用いることなどにより、一度
のエッティング処理にて図16F、図16Gに示す形状
を得ることが可能で、層間絶縁体160の端部の形状は
曲率半径が5nm以上であることが重要で、単一の曲率
半径にて本構造が実現されなくても良い。すなわち、曲
率半径が5nm以上のいくつかの形状の足し合わせによ
って実現されてももちろん良い。図16Gの構成によれ
ば、強磁性層801に対して被覆率を5%以上から60
%以下に作製することがもっとも容易に実現する。すな
わち、MR値や接合抵抗RA値、両値のバイアス依存性
まで含めた磁気抵抗特性における素子間のばらつき度合
いを改善するためには、好ましい構成であるということ
が分かった。
【0098】本実施例における素子の強磁性層801お
よび電極および層間絶縁体160の端部加工した際の断
面配置の様子を図17A〜図17Fに示す。
【0099】図17A、図17B、図17C、図17
D、図17Eおよび図17Fにて示すような接合部の断
面形状においても、強磁性層801の上面における層間
絶縁体160の端部構造が図13A〜図13Cおよび図
14A〜図14Cに示すようであれば、やはりほぼ定常
的に高い臨界電流容量値を有する素子を実現できる。
【0100】図17A〜図17Fに示した種々の素子形
状は、図18A〜図18Cに示す方法によって実現でき
る。図18Aにおいては、ホトレジスト805にて形状
を指定し、アルゴンイオンミリングなどの直進性の高い
物理的なエッティング法を用いて、パターンに対して斜
め入射を行うことにより図17Aに示す構造と同じ構造
を実現できる。
【0101】図18Bにおいては、あらかじめ形状を指
定したホトレジスト805を堆積し、その上に層間絶縁
体160を堆積させ、リフトオフ洗浄の工程を経ること
で、レジスト上部の絶縁体を剥離し、図17Bに示す構
造を実現できる。図18Aおよび図18Bに示した方法
では、物理的エッティングあるいは反応性ガスイオンエ
ッティングを用いるために、層間絶縁体160の材料に
あまり依存せずに本構造を実現できる。
【0102】図18Cにおいては、層間絶縁体160の
うえに後の工程にて用いるエッティング剤に対して層間
絶縁体160よりも耐性のある絶縁体807を堆積し、
その上に形状を指定するためのホトレジスト805を堆
積する。アルゴンイオンエッチングのような、絶縁体8
07をエッティングできる手段にて、807のみをエッ
ティングする。その後、そのまま湿式による化学エッテ
ィングの手段にて、層間絶縁体160の一部をエッティ
ングする。エッティングされる材料160とエッティン
グ剤との組み合わせによって、図18Cに示す4種類の
構造を実現できる。一例には、層間絶縁体160として
SiO2を、絶縁体807としてSiNxを、エッティン
グ剤として弗酸を用いることにより、図17Cおよび図
17Dに示す形状と同じ形状が実現できる。
【0103】すなわち、強磁性層801の上面を一部被
覆するように形成した本実施例によれば、電極として用
いる電気伝導体802と強磁性層801との電気接触の
度合いを決める層間絶縁体160の端部形状を、MR値
や接合抵抗値あるいはそれらの値のバイアス依存性のば
らつきを抑制できるように構成できる上で本発明の目的
を達成できる。
【0104】(実施の形態5)図19Aおよび図19B
に本発明の実施の形態5におけるMRAMデバイス30
00を示す。図19Aは、MRAMデバイス3000の
上面図であり、図19Bは、MRAMデバイス3000
の一部分を示す斜視図である。実施の形態1および2で
示した磁気抵抗記憶素子1000および2000と同一
の構成要素については同一の参照符号で表し、これらに
ついての詳細な説明は省略する。ここでは、MR素子部
100(101)は、角柱形状にて表しているが、実施
の形態に応じて円柱状(または楕円柱状)、円すい台形
状または角すい台形状にて実現され得る。またMR素子
部100(101)における面内形状は、形状異方性を
つける上で、平面方向の幅をW1、長さをL1として表す
と、L1>W1にて実現されることが好ましい。またこの
場合に電極体140は実施の形態3および実施の形態4
にて示した構成にてMR素子部100(101)と接触
が図られている。
【0105】また、導電膜170によるMR素子部10
0(101)への効率的な磁界印加を実現させるため
の、より好ましい導電膜170の断面形状を図19Cに
示す。図19Cにおける角度hおよびh’(導電膜17
0の角型形状の内の少なくとも1つの角における角度を
表す)が鋭角であることが好ましい。導電膜170の断
面形状において、角度hおよびh’は、MR素子部10
0(101)と対向する一辺と成される内角である。
【0106】導電膜170の断面形状を図19Cに示さ
れるような形状とすることは、導電膜170を一様に流
れる電流において、MR素子部100(101)に近接
する部分に流れる電流分を実効的に増加させることがで
きるので、効果的にMR素子部100(101)に磁界
印加が行える上で好ましい。このような形状は、MRA
Mデバイス3000の微細化に伴って、導電膜170の
断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が低下する際には
特に好ましい。
【0107】この様に磁界印加を効率良く行う場合に
は、MR素子部100(101)内の自由層は、導電膜
170に、より近接するように配置するのが好ましい。
この様な配置にすることにより、直交して配置された導
電膜170とセンス線150にての合成磁界を用いる際
にも、MRAMデバイスとしてのMR素子選択の動作マ
ージンが取りやすく好ましい。このことは、導電膜17
0にて発生させる磁界とセンス線150にて発生させる
磁界とが動作点にて1対1(つまり図20におけるθ=
45°の場合)となることが最も磁化回転のための磁界
が少なくて済むことに依っている。
【0108】MRAMデバイス3000は、実施の形態
1および2で示した磁気抵抗記憶素子1000または2
000を行列状に配置することにより構成される。磁気
抵抗記憶素子1000および2000は共に、上述のC
PPMR素子である。
【0109】図19Aおよび図19Bに示すように、C
PPMR素子を用いたMRAMにおいては、各磁気抵抗
記憶素子は互いに並列につながれるため、磁気抵抗記憶
素子の個数Nが増加してもS/N比はほとんど低下しな
い。
【0110】図21Aに、本発明の実施の形態の他の局
面として、磁気抵抗記憶素子1001の断面図を示す。
【0111】磁気抵抗記憶素子1001においては、硬
質磁性膜111と、非磁性導電膜121と、軟磁性膜1
31とによりMR素子部102が形成されている。MR
素子部102は、センス線およびビット線を構成する導
電膜142および143に接合される。また、ワード線
を構成する導電膜171が絶縁膜161を介してMR素
子部102上部に設けられている。このような図21A
に示される構成の磁気抵抗記憶素子1001は、CIP
MR素子である。
【0112】図21Bに示すように、CIPMR素子型
の磁気抵抗記憶素子1001を行列状に配置してMRA
Mデバイス3001が構成される。このとき、各磁気抵
抗記憶素子は互いに直列につながれることとなる。この
ように、各磁気抵抗記憶素子が互いに直列につながれた
場合、磁気抵抗記憶素子の個数Nが多くなると、一個の
素子が示すMR比は同じでも、MRAM全体としてのS
/N比は低下すると考えられる。
【0113】なお、図示される本発明の実施の形態全体
の大部分において、MR素子部がセンス線およびワード
線等の配線部よりも大きく表記されている。図19A〜
図19Cおよび図21A〜図21Bにおいてもそのよう
に表記されている。しかし、これは本発明の実施の形態
を分かり易く説明するためのもので、MR素子部と配線
部との大小関係は、上記に限定されない。また、MR素
子部に効率的な磁界印加を行うには、配線部がMR素子
部を覆うような大小関係であることが好ましい。
【0114】上述のMRAMデバイス3000および3
001は磁気を活用する記憶素子であるので、電荷の蓄
積を活用する半導体記憶素子のDRAMとは異なり不揮
発性である。また、半導体のフラッシュ型記憶素子とは
異なり、書き込み/読み出し回数が原理的には無制限で
あり、且つ、書き込み/消去時間もナノ秒(ns)のオ
ーダーで早いのが特徴である。
【0115】1つの磁気抵抗記憶素子についての動作原
理については、実施の形態1および2で既に述べたとお
りである。ところで、実際にMRAMデバイスを構成す
る場合は、図19A、図19Bおよび図19Cに示した
ように、これら磁気抵抗記憶素子を行列状に配置する必
要がある。その場合は、ワード線が行列状に配置され、
各ワード線の交差点に隣接してMR素子部が設けられ
る。なお、図19A、図19Bおよび図21Bに示され
るワード線(導電膜170または171)は、図1、図
3および図21Aとの対比のため、行または列の一方向
にしか記載されていない。行列状に配置されたワード線
については、後述の実施の形態において更に詳しく述べ
る。
【0116】このとき選択された(N、M)番地のMR
素子部に隣接して交差する2本のワード線によって発生
した磁界が、そのMR素子部に印加される。また、この
とき、2本のワード線の内の1本をセンス線で代用させ
てもよい。
【0117】図1に示される磁気抵抗記憶素子1000
を用いてMRAMデバイスを構成する場合は、上記2本
のワード線による合成磁界が、硬質磁性膜のアステロイ
ド型曲線にて表されるスウィッチング磁界の値を越えれ
ば情報の書き込みがなされる。図20は、直交する2軸
方向を有する磁界が合成される際の合成磁界の大きさと
方向を示したもので、アステロイド曲線と呼ばれるもの
である。θはHwとHsで合成された磁界方向を示して
おり、HRはその大きさを示している。また、その磁界
の値(Hh)を越えずに、軟磁性膜のスウィッチング磁
界の値(Hs)を越えれば情報の非破壊読み出しが所望
の記憶素子について行われる。つまり、印加磁界H
Rが、Hh>HR>Hs、のとき、非破壊読出しが行え
る。
【0118】また、図2に示される磁気抵抗記憶素子2
000の場合も、合成磁界で軟磁性膜を磁化反転させて
情報を書き込む点では基本的には同様である。また、こ
れらの記憶素子の情報の読み出しに関しては、(N、
M)番地の素子に隣接する2本のワード線(あるいはワ
ード線とセンス線)に電流パルスを流し、同じく(N、
M)番地の素子に接続されたセンス線およびビット線を
通じてモニターされた抵抗変化により、(N、M)番地
の素子部の情報を読み出すことが可能である。
【0119】また、実施の形態2の図4Cで説明したよ
うに、MR素子部の抵抗値と参照抵抗との比較を行え
ば、(N、M)番地のMR素子部の情報の読み出しをN
DROとすることが可能である。この場合には、印加磁
界が、HR<Hs(軟磁性膜の磁化反転磁界)のとき、
情報読み出しを行うことができ、HR>Hsのとき、情
報の書き込みを行える。
【0120】さらに、ワード線群とセンス線群に、トラ
ンジスタのようなスウィッチング素子をそれぞれ配置
し、番地指定の信号により、N行とM列のワード線とN
行M列のセンス線(ビット線)とを選択して、(N、
M)番地の記憶素子を選択することができる。この際、
特に他の経路を介した信号パルスの流入や信号パルスの
高速化に伴う高調波成分の反射を防止し、信号パルスを
効率よく伝送するために、各記憶素子にダイオードある
いはトランジスタを配することが望ましい。なかでも高
速なパルス応答に対応するために、これらのトランジス
タとしてMOS型トランジスタを用いることが好まし
い。
【0121】また、記憶素子の高密度化に伴って、ワー
ド線によって発生させる磁界の、選択するMR素子部以
外の場所への漏れ磁界の問題が大きくなってくる。これ
ら漏れ磁界による選択されたMR素子部以外への干渉効
果を低減させるために、(N、M)番地に対して磁界を
発生する1組のワード線のみに電流パルスを流すだけで
なく、その両端あるいは隣り合う少なくとも1本あるい
は1組以上のワード線にも電流パルスを流し、発生する
漏れ磁界を打ち消して、その影響を低減させることが好
ましい。
【0122】(実施の形態6)図22A〜図22Dに、
本発明の実施の形態6における磁気抵抗記憶素子400
0の断面図を示す。
【0123】磁気抵抗記憶素子4000においては、M
R素子部200が、硬質磁性膜112、113および1
14と、軟磁性膜132、133および134と、非磁
性絶縁膜122、123および124と、非磁性膜22
2および223とにより形成される。また、ワード線を
構成する導電膜172が絶縁膜162を介してMR素子
部200上部に設けられている。
【0124】MR素子部200は、軟磁性膜/非磁性絶
縁膜/硬質磁性膜というパターンからなる構造を非磁性
膜を介して複数回積層した構造となっている。磁気抵抗
記憶素子4000においては、積層数は3回となってい
る。なお、積層数は任意の回数が設定される。
【0125】本実施の形態では、硬質磁性膜112、1
13および114として保磁力がそれぞれ異なるものを
用い、その結果、記録時の磁界のしきい値が複数個存在
するので、1つの磁気抵抗記憶素子4000に多値記憶
をさせることが可能である。各硬質磁性膜112、11
3および114の保磁力を変化させるには、それぞれの
組成を変化させても良いし、それぞれの膜厚を変えても
良い。この場合、図22Aに示すように、MR素子部2
00の抵抗値と参照抵抗R2の抵抗値との差ΔR4を検出
する方法を用いて信号を読み出すことにより、多値記憶
されたそれぞれの信号(例えば”0”、”1”、”2”
および”3”等)を読み出すことができる。
【0126】磁気抵抗記憶素子4000の積層数は3回
であり、図22A〜図22Dに示されるように、MR素
子部200の磁化方向パターンは4パターンあるので、
1つの磁気抵抗記憶素子4000に4つの値(”
0”、”1”、”2”および”3”)を記憶させること
ができる。
【0127】磁気抵抗記憶素子4000においては、導
電膜172を流れるパルス電流521、522および5
23によって発生する磁界により、硬質磁性膜112、
113および114を磁化反転させ、信号を書き込む。
本実施の形態では、硬質磁性膜112の保磁力が一番小
さく、硬質磁性膜114の保磁力が一番大きい。このと
き、導電膜172を流れるパルス電流の大きさを調整す
ることにより、硬質磁性膜112、113および114
の内の磁化反転させる硬質磁性膜を選択することができ
る。図22A〜図22Dに示される本実施の形態では、
図22Aから、図22B、図22Cおよび図22Dに移
るに連れて、導電膜172を流れるパルス電流の値が順
に大きくなっている。図22Aにおいて導電膜172を
流れるパルス電流の値は、図22Bにおけるパルス電流
521の値よりも更に小さい。図22Aでは何れの硬質
磁性膜112、113および114も磁化反転せず、図
22Dでは全ての硬質磁性膜112、113および11
4が磁化反転している。
【0128】読み出しは、上述のように、MR素子部2
00の抵抗値と参照抵抗R2との差ΔR4を検出する方法
を用いて信号を読み出す。
【0129】また、読み出しにおいては、導電膜172
に電流を流し、MR素子部200の抵抗値の変化を読み
出すことにより行っても良い。この場合、MR素子部2
00の抵抗値の変化は、例えば参照抵抗R2の抵抗値と
の比較により検出され得る。
【0130】また、軟磁性膜132、133および13
4においても保磁力がそれぞれ異なるものを用いても良
い。この場合、導電膜172を流れるパルス電流の大き
さを更に精密に調整し、軟磁性膜132、133および
134の内で、磁化反転する軟磁性膜と磁化反転しない
軟磁性膜とを設定することにより、1つの磁気抵抗記憶
素子4000に更に多くの信号を記憶させることができ
る。また、この場合の信号の読み出しは、上述のよう
に、MR素子部200の抵抗値と参照抵抗R2の抵抗値
との差ΔR4を検出する方法を用いて信号を読み出すの
が好ましい。
【0131】また、全ての硬質磁性膜の磁化方向を固定
し、本発明の実施の形態2で示したように、軟磁性膜の
みを磁化反転させて信号を記憶させても良い。
【0132】(実施の形態7)本発明の実施の形態7と
して、実施の形態1で示したMR素子部100(図1)
についてより詳細に述べる。図23A〜図23Gは、本
発明の実施の形態7におけるMR素子部100の断面図
および斜視図である。
【0133】図23Aに示されるMR素子部100にお
いては、MR比を大きくするために、自由層である軟質
磁性膜130は、非磁性絶縁膜120との界面に設けら
れる界面磁性膜220と、非晶質磁性膜210とを備え
ている。自由層は軟磁気特性が必要なため、Ni−ri
chである材料が用いられても良いが、本実施の形態で
は、界面磁性膜220としてCo−richである材料
が用いられ、非晶質磁性膜210としてCoFeBまた
はCoMnB等が用いられる。このような構成とするこ
とにより、軟質磁性膜130の膜厚が2nm以下であっ
ても、軟磁性特性を損なうことなく高MR比を得ること
が可能である。なお、本実施の形態に示されるような自
由層を用いた磁気抵抗記憶素子は、熱的安定性にも優れ
ている。
【0134】界面磁性膜220として、Ni、Co、F
eの内の少なくとも1種の原子を主成分とする合金材料
が好ましく、また、Ni−Co−Feを主成分とする合
金材料を用いる場合は、界面磁性膜220の原子組成比
が、NixCoyFezにおいて、xが0〜0.4、yが
0.2〜0.95、zが0〜0.5であることが望まし
い。
【0135】本実施の形態に示されるように、軟質磁性
膜130(自由層)として界面磁性膜220と非晶質磁
性膜210とを用いることで、磁性的な実効の厚みが2
nm以下である自由層を有する磁気抵抗記憶素子が実現
される。
【0136】このとき、界面磁性膜220の膜厚が厚い
と軟磁性特性が劣化し、MR比が低下するので、界面磁
性膜220の膜厚は2nm以下、望ましくは1.2nm
以下とする必要がある。またこの界面磁性膜220が有
効に働くためには、少なくとも0.2nm以上の膜厚は
必要であり、望ましくは0.8nm以上の膜厚がよい。
界面磁性膜220の材料としては、CoまたはCo高濃
度のCo−Fe合金が優れている。
【0137】図23Bに、軟質磁性膜130(自由層)
として、交換結合型フェリ磁性膜を用いた場合のMR素
子部100を示す。軟質磁性膜130に含まれる2つの
強磁性膜230および250は、非磁性膜240を介し
て磁気的に交換結合している。このとき、非磁性膜24
0の膜厚を適当な値(例えば、Ruを用いた場合、膜厚
は0.6nm以上0.8nm以下)とすることにより、
この交換結合を反強磁性的とすることが可能である。図
23Bに示されるMR素子部100においては、非磁性
膜240(例えばRu)を介して反強磁性的に交換結合
した強磁性膜230および250の膜厚を互いに異なる
ようにする、あるいは飽和磁化の大きさを互いに異なる
ようにすることが特徴である。
【0138】また、図23Bに示される交換結合型フェ
リ磁性膜構造の軟質磁性膜130の非磁性膜240とし
ては、磁性膜間の交換結合を生じやすい非磁性金属膜が
望ましく、Cu、Ag、Auが用いられる。また、界面
の熱的安定性を考慮すると、Ru、Rh、Ir、Re等
のほうがより望ましく、特にRuが優れている。さら
に、交換結合型フェリ磁性膜に用いる金属磁性膜として
は、Ni、Co、Feの内いづれか1種もしくは2種以
上の元素を主成分とする金属磁性膜が望ましい。
【0139】強磁性体の飽和磁化の大きさは、磁化を決
定する材料固有の磁気モーメントの大きさに、その強磁
性体の体積(強磁性体内に含まれる磁気モーメントの数
に相当)を掛け合わせて決定される。図23Bに示され
る構成の場合には、交換結合型フェリ磁性膜に含まれる
2つの強磁性膜230および250の平面方向のサイズ
は同程度である。従って、2つの強磁性膜230および
250のそれぞれの平面方向の飽和磁化の大きさは、互
いの材料固有の磁気モーメントの強さと、膜厚によって
決定される。このような交換結合型フェリ磁性膜で構成
される自由層(軟質磁性膜130)においては、その自
由層としての役割を果たす磁性的な実効の膜厚が、実質
的に2つの強磁性膜230および250の膜厚(磁化)
の差となる。磁性的な実効の膜厚を薄くすることは、デ
バイスの高感度化に効果がある。
【0140】図23Bに示されるようなMR素子部10
0の構成での実施において、強磁性膜の厚みによって磁
化の大きさに差を付ける場合には特に、2つの強磁性膜
230および250の膜厚の差異は2nm以下が好まし
い。このとき、上記のような意味では、磁性的な実効の
厚みが2nm以下である自由層を有する磁気抵抗素子を
実現することができる。
【0141】2つの強磁性膜の厚みの差異が2nm以上
の自由層にて磁化反転動作を行う場合には、反磁界成分
の上昇に伴い、より強い外部磁界が必要となる。MRA
Mを構成する場合、外部磁界はワード線(あるいはセン
ス線)を用いて発生させ、MR素子部に印加される。こ
のワード線に低抵抗の銅(Cu)を用いた場合において
も、ワード線に最大50MA/cm2程度までしか電流
を流すことができないとすると、デバイスの安定動作を
鑑みて動作マージンを考慮した場合、発生し得る外部磁
界から見積もられる強磁性膜の厚みの差異は、数nmオ
ーダー以下が好ましい。図23Bに示されるような本発
明の構成の実施によれば、強磁性膜230および250
の厚みの差異は2nm以下が最も好ましいことが分かっ
た。また、自由層としての実効的な厚みが0.2nm以
下では、自由層としてのソフト性が劣化するため、実効
的な厚みは0.2nm以上が好ましい。
【0142】また、軟磁性膜130の磁化回転応答は、
2つの強磁性膜230および250が外部磁界の印加に
対して互いの磁化方向を反平行に保ったまま、2つの強
磁性膜の磁化の差によって生じる実効的な磁化の回転と
して行われるようにすることが好ましい。これは、磁界
印加により2つの強磁性膜の磁化の反平行状態を崩す磁
化回転は、2つの強磁性膜230および250間の交換
結合に打ち勝つ必要があるため、上記の反平行状態を保
ったままの磁化回転に比べてより高い外部磁場が必要と
なり、好ましくないからである。本実施の形態におい
て、図23Dに示すように外部磁界に対して、2つの強
磁性膜230および250の磁化ベクトルが互いに反平
行を保ったまま磁化回転するようにすれば、磁気抵抗効
果素子の低磁界動作に効果的である。
【0143】図23Dは、外部磁界H1からH2に磁界印
加方向が変わった際の強磁性膜230および250の磁
化方向の変化の様子を示している。図23E〜図23G
は、図23Dにおいて、外部磁界H1からH2に磁界印加
方向が変わった際の強磁性膜230および250の磁化
方向の変化の様子を斜視図として模式的に示している。
なお、図23E〜図23Gにおいては、強磁性膜230
および250以外の構成要素は、説明を容易にするため
に省略されている。外部磁界H1からH2に磁界印加方向
が変わったとき、強磁性膜230および250の磁化方
向は、図23Eから図23Gに示されるように変化す
る。図23Fは、強磁性膜230および250の磁化方
向の変化の途中の様子を示している。軟質磁性膜130
の磁化回転応答は、強磁性膜230および250の2つ
の磁化方向が反平行の関係を保った状態で2つの磁化の
差によって生じた実効的な磁化の回転として行われる。
【0144】また、MRAMデバイスのように、磁気抵
抗効果素子を用いるRAMにおいては、サブミクロンオ
ーダーでの微細化に伴って、加工精度の低下や、加工素
子自体が磁性膜内の一つ一つの粒の影響を受けやすい状
態となり、素子の磁性層の単磁区化はより困難となって
くる。本発明のように、自由層を上記のような交換結合
型フェリ磁性構造にて構成することは、自由層の単磁区
化にも効果がある。
【0145】更に、単磁区化が図られるという利点と、
反強磁性的交換結合エネルギーにより2つの強磁性層が
磁気的に結合しているという特性が合わされることによ
り、本発明の磁気抵抗効果素子は熱安定性にも優れた特
性となる。
【0146】また、上記のような自由層に用いられる交
換結合型フェリ磁性膜の構成は、固定層である硬質強磁
性膜110に用いられても良い。この場合、図23Cに
示すような、非磁性膜270には、上述の通り、強磁性
膜260および280間の交換結合を生じやすい非磁性
金属膜が望ましく、Cu、Ag、Auが用いられる。ま
た、界面の熱的安定性を考慮すれば、Ru、Rh、I
r、Re等がより望ましい。特にRuが優れている。
【0147】また、交換結合型フェリ磁性膜に用いる金
属磁性膜としても、上述の通り、Ni、Co、Feの内
いづれか1種もしくは2種以上の元素を主成分とする金
属磁性膜が望ましい。この場合にも、非磁性膜270の
膜厚が適当な厚み(0.4〜1nm)の時に、これに接
した強磁性体に反強磁性的な交換結合が生じる。特に、
非磁性膜270としてRuを用いる場合には、非磁性膜
270の膜厚は0.6〜0.8nmが好ましい。さら
に、図3に示した反強磁性膜(磁化回転抑制層)180
を強磁性膜260および280に隣接させることによ
り、ピンニング効果を高める効果が得られる。
【0148】本実施の形態で示したようなMR素子部1
00の構成は、実施の形態2および3で示したMR素子
部101(図3)および102(図21)についても適
用される。
【0149】非磁性絶縁膜120としては、Al23
MgOといった酸化物や、あるいは炭化物、窒化物が優
れている。あるいは、エネルギーギャップ値が2eV〜
6eVの値を有するワイドギャップ半導体も好ましい。
【0150】また、特に、非磁性膜121(図21A)
として金属を用いる場合には、Cu、Ag、Au、Ru
などがあるが、特にCuが優れている。
【0151】非磁性膜121の膜厚としては、磁性膜間
の相互作用を弱くするために少なくとも0.9nm以上
は必要である。また、非磁性膜121が厚くなるとMR
比が低下してしまうので膜厚は10nm以下、望ましく
は3nm以下とするべきである。また、膜厚が3nm以
下の場合は、各層の平坦性は重要となり、平坦性が悪い
と、非磁性膜で磁気的に分離されているはずの2つの強
磁性膜間に磁気的結合が生じてMR比の劣化と感度の低
下が生ずる。従って、強磁性膜と非磁性膜との界面の凹
凸は0.5nm以下であることが望ましい。
【0152】非磁性絶縁膜120の膜厚としては、絶縁
性を確保するために、少なくとも0.3nm以上は必要
である。また、非磁性絶縁膜120の膜厚が厚くなりす
ぎるとトンネル電流が流れなくなるため、膜厚は3nm
以下にすることが望ましい。この場合においても、各層
の平坦性が重要で、平坦性が劣化すると、非磁性絶縁膜
120が破れて、トンネルリークが起こる。あるいは、
2つの強磁性膜(硬質磁性膜110および軟磁性膜13
0)間に、磁気的結合が生じて、MR素子部100のM
R比の劣化と感度の低下が生じる。従って、各強磁性膜
と非磁性絶縁膜との界面の凹凸は0.5nm以下、さら
に好ましくは0.3nm以下が良い。
【0153】本実施の形態において示されたMR素子部
100、101および102は、実施の形態1および2
と同様に、磁気抵抗効果素子として用いられても良い。
【0154】(実施の形態8)本発明の実施の形態8と
して、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素子1000
の作製方法を示す。
【0155】図1を参照して、スパッタリングのターゲ
ットとしてNi0.68Co0.2Fe0.1 2(軟質磁性膜13
0用)、Al(非磁性絶縁膜120用)、Al23(非
磁性絶縁膜120用)、Co0.75Pt0.25(硬質磁性膜
110用)を用い(組成は全て原子比)、多元スパッタ
装置により基板(図示せず)上に、図1に示されたよう
なサンドイッチタイプのMR素子部100を作製した。
MR素子部100の基本構成は、NiCoFe(15)
/Al23(1.5)/CoPt(10)である(この
ような構成要素の説明において、カッコ内は厚さ(n
m)を表し、”/”は、各構成物質同士の組み合わせを
表す)。なお各膜厚はシャッターで制御した。
【0156】Al23(非磁性絶縁膜120)の製膜方
法としては、Alを製膜したうえで酸化工程を経て作製
する方法(方法A)と、Al23をそのままスパッタし
て作製する方法(方法B)とを行い、それぞれの非磁性
絶縁膜120について検討した。上記Alの酸化工程と
しては、真空漕内での自然酸化によるもの、真空漕内で
の加温下での自然酸化によるもの、あるいは真空漕内で
のプラズマ中においての酸化によるものそれぞれについ
て行った。そして、何れの工程に対しても良好な非磁性
絶縁膜が得られた。
【0157】MR素子部100の作製後、硬質磁性膜1
10のCoPtを着磁し、MR素子部100のMR特性
を室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR
比は上述の方法Aおよび方法Bにおいて、それぞれ30
%、18%であった。MRが生じる磁界幅はそれぞれ5
Oe、10 Oeであった。このときの接合面積は、
およそ0.25平方マイクロメートルであった。このう
ち、MR比の高かった方法Aを用いて、図1に示したよ
うな磁気抵抗記憶素子1000を作製した。センス線お
よびビット線用の導電膜140および150にはPtま
たはAuを用い、ワード線用の導電膜170にはAl、
AuCr、Ti/Au、Ta/Pt、Cr/Cu/Pt
/TaまたはTiWなどを用いた。MR素子部100と
導電膜170との絶縁にはCaF2またはSiO2を用
い、また、Si34も用いられる。
【0158】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を以下のように確認した。
【0159】まず、図24Aに示すようなパルス電流5
31を導電膜170(ワード線)に流して硬質磁性膜1
10を一方向に磁化した。次に、やはり導電膜170
に、図24B上側のグラフに示すようなパルス電流53
2を流し、導電膜140および150(センス線および
ビット線)を通じて測定した記憶素子の電圧変化(ΔR
5/Δt)をモニターした。電圧変化(ΔR5/Δt)の
結果は、図24Bの下側のグラフに示すように記憶情報
に応じたパルス533が検出され、非磁性膜に絶縁体を
用いた所望の磁気抵抗記憶素子1000が実現できたこ
とが分かった。
【0160】(実施の形態9)本発明の実施の形態9と
して、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子2000
の作製方法を示す。
【0161】上述の実施の形態8と同様の方法で、図3
Bに示すような磁気抵抗記憶素子2000を作製した。
【0162】ターゲットにCo0.9Fe0.1(軟質磁性膜
130用)、Al(非磁性絶縁膜120用)、Ni0.2
Fe2.84(強磁性膜190用)、IrMn(反強磁性
膜180としての磁化回転抑制層用)を用い、Co0.9
Fe0.1(7)/Al23(1.8)/Ni0.2Fe2.8
4(10)/IrMn(15)の基本構成を持つMR
素子部101を作製した。なお、Al23は、上述の方
法Aの方法で作製した。
【0163】MR素子部101のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比はおよそ2
6%であった。このときの接合面積は、およそ0.7平
方マイクロメートルであった。
【0164】導電膜141および150にはAuを用
い、導電膜170にはAuCrを用いた。MR素子部1
01と導電膜170との絶縁にはSiO2を用いてい
る。なお、本実施の形態では絶縁にSiO2を用いた
が、CaF2またはAl23も用いられ得、あるいはS
34が用いられても良い。
【0165】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を以下のように確認した。
【0166】まず、図25Aに示すようなパルス電流5
41を導電膜170に流して軟質磁性膜130を一方向
に磁化した。次に、やはり導電膜170に、図25Bに
おける上側のグラフに示すようなパルス電流542を流
し、導電膜141および150を通じて測定した記憶素
子の電圧変化(ΔV1)をモニターした。電圧変化(Δ
1)の結果は、図25Bにおける下側のグラフに示す
ように、記憶情報に応じた電圧変化543として検出で
き、所望の磁気抵抗記憶素子2000が実現できたこと
が分かった。
【0167】(実施の形態10)本発明の実施の形態1
0として、実施の形態7で示したMR素子部100の作
製方法を示す。
【0168】上述の実施の形態8と同様の方法で、図2
3Aに示すようなMR素子部100を作製した。
【0169】ターゲットにCo0.9Fe0.1(界面磁性膜
220用)、Co(界面磁性膜220および硬質磁性膜
110用)、Al(非磁性絶縁膜120用)、CoMn
B(非晶質磁性膜210)を用い、MR素子部100と
して、CoMnB(1)/Co(1)/Al23(1.
5)/Co(2)の構成を成すMR素子部と、CoFe
B(1)/Co0.9Fe0.1(1)/Al23(1.5)
/Co(2)の構成を成すMR素子部とを作製した。な
お、両者ともAl23は、上述の方法Aの方法で作製し
た。
【0170】MR素子部100が設けられる基板(図示
せず)としては、表面を熱酸化処理したSi基板、ある
いはAl23・TiCなどを用いた。基板上に下地層と
してTaやCu、NiFe、Ptなどの単層膜あるいは
積層膜を目的に応じて作製し、その上に上述のMR素子
部100を作製した。更に、上部のキャップ層としてT
aやCu、NiFe、Ptなどの単層膜あるいは積層膜
を目的に応じて作製した。
【0171】作製されたMR素子部100のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR比
はおよそ32%および29%であった。このときの接合
面積は、およそ0.25平方マイクロメートルであっ
た。
【0172】更に、上記のように作製されたMR素子部
100を用いて、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000を構成した。導電膜140および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部100と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0173】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を、実施の形態8における図24
に示した方法と同様の方法で確認した。その結果、上述
の2種類のそれぞれのMR素子部100を備えた磁気抵
抗記憶素子1000は両者とも、図24Bに示されるよ
うな記憶情報に応じたパルスが検出され、本発明の磁気
抵抗記憶素子1000が実現できたことが分かった。
【0174】(実施の形態11)本発明の実施の形態1
1として、実施の形態6で示した磁気抵抗記憶素子40
00の作製方法を示す。
【0175】上述の実施の形態8と同様の方法で、図2
2A〜図22Dに示すような磁気抵抗記憶素子4000
を作製した。ターゲットとして、軟質磁性膜132、1
33および134用にNi0.68Co0.2Fe0.12、非磁
性絶縁膜122、123および124用にAl、また、
それぞれ保磁力の違う硬質磁性膜112、113および
114用にCo0.9Fe0.1、CoおよびCo0.5Fe0.5
を用い、MR素子部200を作製した。硬質磁性膜の保
磁力の大きさは、Co0.9Fe0.1>Co>Co 0.5Fe
0.5の順になっている。
【0176】作製したMR素子部200は、Ni0.68
0.2Fe0.12(10)/Al23(1.5)/Co0.9
Fe0.1(15)/Cu(15)/Ni0.68Co0.2Fe
0.1 2(10)/Al23(1.5)/Co(15)/C
u(15)/Ni0.68Co0 .2Fe0.12(10)/Al2
3(1.5)/Co0.5Fe0.5(15)の構成で、3
接合アレイを形成している。なお、Al23は上述の方
法Aの方法で作製した。MR素子部200のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、アレイ
としてのMR比はおよそ28%であった。このときの接
合面積は、およそ0.25平方マイクロメートルであっ
た。
【0177】センス線およびビット線として用いられる
導電膜(実施の形態1の導電膜140および150と同
様の導電膜、図22A〜図22Dにおいて図示せず)に
はAuを用い、ワード線として用いられる導電膜172
にはAuCrを用いた。MR素子部200と導電膜17
2との絶縁にはSiO2を用いている。なお、本実施の
形態では絶縁にSiO2を用いたが、CaF2、Al23
あるいはSi34を用いても良い。
【0178】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を以下のように確認した。
【0179】まず、図26Aに示すように、導電膜17
2にパルス電流551を流して硬質磁性膜112、11
3および114を一方向に磁化した。次に、図26Bに
示すような立ち上がり方に傾斜の有るパルス電流552
によって、それぞれの硬質磁性膜112、113および
114の磁化方向を順番に反転させ、センス線およびビ
ット線を通じて電圧変化ΔV2をモニターした。その結
果、記憶情報に応じた電圧変化553が検出され、磁気
抵抗記憶素子4000に多値が記録・読み出しがなされ
たことが確認された。
【0180】本発明の磁気抵抗記憶素子4000におい
ては、適当なバイアスを印加することによる多値記録を
行うことが出来る。また、定バイアス下における電圧変
化ΔV2に応じて記録情報を検出することが出来る。
【0181】なお本実施例ではMR素子部200とし
て、Ni0.68Co0.2Fe0.12(10)/Al2
3(1.0)/Co0.9Fe0.1(15)/Al2
3(1.5)/Ni 0.68Co0.2Fe0.12(10)/Al
23(1.0)/Co(15)/Al23(1.5)/
Ni0.68Co0.2Fe0.12(10)/Al23(1.
0)/Co0.5Fe0.5(15)の構成でも、3接合アレ
イを形成して実証を行い、多値の記録・読み出しが可能
であることが確認された。
【0182】(実施の形態12)本発明の実施の形態1
2として、実施の形態5で示したMR素子部100の作
製方法を示す。
【0183】上述の実施の形態6と同様の方法で、図2
3Bに示すようなMR素子部100を作製した。
【0184】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてCo
0.9Fe0.1またはNi0.81Fe0.19、金属の非磁性膜2
40用としてRu、非磁性絶縁膜120用としてAl、
硬質磁性膜110用にCo0.9Fe0.1を用いた。
【0185】MR素子部100として、Co0.9Fe0.1
(1.9)/Ru(0.7)/Co 0.9Fe0.1(2.
9)/Al23(1.2)/Co0.9Fe0.1(20)の
構成から成るMR素子部と、Ni0.81Fe0.19(3)/
Ru(0.7)/Ni0.81Fe 0.19(2)/Al2
3(1.2)/Co0.9Fe0.1(20)の構成から成る
MR素子部とを作製した。なお、Al23は、上述の方
法Aの方法で作製した。作製されたMR素子部100の
MR特性を室温、印加磁界100 Oeで測定したとこ
ろ、両者ともMR比はおよそ25%程度であった。この
ときの接合面積は、およそ0.05平方マイクロメート
ルであった。
【0186】本実施の形態のMR素子部100は、Co
0.9Fe0.1(4.8)/Al23(1.2)/Co0.9
Fe0.1(20)またはNi0.81Fe0.19(5)/Al2
3(1.2)/Co0.9Fe0.1(20)の基本構成を
持つようなMR素子部に比べて、抗磁力が小さいことが
分かった。このことは、図23Bの様な構造をとること
により、反磁界の影響が低減したことによるものであ
る。
【0187】更に、上記のように作製されたMR素子部
100を用いて、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000を構成した。導電膜140および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部100と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0188】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を、実施の形態8における図24
Aおよび図24Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、上述の2種類のそれぞれのMR素子部1
00を備えた磁気抵抗記憶素子1000は両者とも、図
24Bに示されるような記憶情報に応じたパルスが検出
され、本発明の磁気抵抗記憶素子1000が実現できた
ことが分かった。
【0189】(実施の形態13)本発明の実施の形態1
3として、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子20
00の作製方法を示す。本実施の形態における磁気抵抗
記憶素子2000は、実施の形態7の図23Bで示した
軟質磁性膜130を備える。
【0190】上述の実施の形態6と同様の方法で、実施
の形態7の図23Bで示した軟質磁性膜130を備えた
MR素子部101(図3)を作製した。
【0191】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてCo
0.9Fe0.1またはNi0.81Fe0.19、金属の非磁性膜2
40用としてRu、非磁性絶縁膜120用としてAl、
強磁性膜190用にCo0.5Fe0.5および反強磁性膜1
80としての磁化回転抑制層用にIrMnを用いた。
【0192】MR素子部101として、Co0.9Fe0.1
(1.9)/Ru(0.7)/Co 0.9Fe0.1(2.
9)/Al23(1.2)/Co0.5Fe0.5(20)/
IrMn(30)の構成から成るMR素子部と、Ni
0.81Fe0.19(3)/Ru(0.7)/Ni0.81Fe
0.19(2)/Al23(1.2)/Co0.5Fe0.5(2
0)/IrMn(30)の構成から成るMR素子部とを
作製した。なお、Al23は、上述の方法Aの方法で作
製した。
【0193】作製されたMR素子部101のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、両者と
もMR比はおよそ30%程度であった。このときの接合
面積は、およそ0.05平方マイクロメートルであっ
た。
【0194】本実施例のMR素子部101は、Co0.9
Fe0.1(4.8)/Al23(1.2)/Co0.5Fe
0.5(20)/IrMn(30)、Ni0.81Fe
0.19(5)/Al23(1.2)/Co0.5Fe0.5(2
0)/IrMn(30)の基本構成を持つようなMR素
子部に比べて、抗磁力が小さいことが分かった。このこ
とは、図23Bに示す軟質磁性膜130を含む構造をと
ることにより、反磁界の影響が低減したことによるもの
である。
【0195】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000を構成した。導電膜141および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0196】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を、実施の形態9における図25
Aおよび図25Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。
【0197】その結果、上述の2種類のそれぞれのMR
素子部101を備えた磁気抵抗記憶素子2000は両者
とも、図25Bに示されるような記憶情報に応じた電圧
変化が検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子2000が
実現できたことが分かった。
【0198】なお、磁化回転抑制層としてIrMnを用
いたが、PtMn、a−Fe23、NiOを用いても良
い。また、磁化回転抑制層としてYFeO3あるいはS
mFeO3などのペロブスカイト型酸化物を用いても良
い。
【0199】(実施の形態14)本発明の実施の形態1
4として、実施の形態7の図23Bで示した軟質磁性膜
130を備えた、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000の作製方法を示す。
【0200】上述の実施の形態8と同様の方法で、図2
3Bに示すような実施の形態7で示した軟質磁性膜13
0を備えたMR素子部100を作製した。また、本実施
の形態においては、非磁性絶縁膜120の替わりに非磁
性導電膜121(図21A)を用いている。即ち、本実
施の形態における磁気抵抗記憶素子1000は、GMR
素子である。
【0201】ターゲットに、強磁性膜230および25
0用としてNi0.68Co0.2Fe0.1 2、非磁性導電膜1
21用としてCu、硬質強磁性膜110用としてCo
0.9Fe 0.1を用いた。
【0202】MR素子部100として、Co0.9Fe0.1
(20)/Cu(3)/Ni0.68Co0.2Fe
0.12(2)/Ru(0.7)/Ni0.68Co0.2Fe
0.12(3)から成るCPP構造のMR素子部を作製し
た。
【0203】作製されたMR素子部100のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR比
はおよそ16%であった。このときの接合面積は、およ
そ0.05平方マイクロメートルであった。
【0204】更に、上記のように作製されたMR素子部
100を用いて、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000を構成した。導電膜140および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部100と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0205】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を、実施の形態8における図24
Aおよび図24Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図24Bに示されるような記憶情報に応
じたパルスが検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子10
00が実現できたことが分かった。
【0206】(実施の形態15)本発明の実施の形態1
5として、実施の形態2の図3で示した磁気抵抗記憶素
子2000の作製方法を示す。本実施の形態における磁
気抵抗記憶素子2000は、実施の形態7の図23Bで
示した軟質磁性膜130を備える。
【0207】上述の実施の形態8と同様の方法で、実施
の形態7の図23Bで示した軟質磁性膜130を備えた
MR素子部101(図3)を作製した。また、本実施の
形態においては、非磁性絶縁膜120の替わりに非磁性
導電膜121(図21A)を用いている。即ち、本実施
の形態における磁気抵抗記憶素子2000は、GMR素
子である。
【0208】ターゲットに、強磁性膜230および25
0用としてNi0.68Co0.2Fe0.1 2、非磁性導電膜1
21用としてCu、強磁性膜190用としてCo0.9
0.1、反強磁性膜180としての磁化回転抑制層用と
してPtMnを用いた。
【0209】MR素子部101として、PtMn(3
0)/Co0.9Fe0.1 (20)/Cu(3)/Ni
0.68Co0.2Fe0.12(2)/Ru(0.7)/Ni
0.68Co0.2Fe0.12(3)から成るCPP構造のMR
素子部を作製した。
【0210】作製されたMR素子部101のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR比
はおよそ19%であった。このときの接合面積は、およ
そ0.05平方マイクロメートルであった。
【0211】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000を構成した。導電膜141および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0212】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を、実施の形態9における図25
Aおよび図25Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。
【0213】その結果、上述の2種類のそれぞれのMR
素子部101を備えた磁気抵抗記憶素子2000は両者
とも、図25Bに示されるような記憶情報に応じた電圧
変化が検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子2000が
実現できたことが分かった。
【0214】(実施の形態16)図27A〜図27F
に、本発明の実施の形態16におけるMRAMデバイス
5000を示す。図27A〜図27Eは、MRAMデバ
イス5000およびその一部を示す斜視図である。図2
7Fは、MRAMデバイス5000の上面図である。実
施の形態1、2、5で示した磁気抵抗記憶素子1000
および2000と同一の構成要素については同一の参照
符号で表し、これらについての詳細な説明は省略する。
【0215】MRAMデバイス5000は、複数の磁気
抵抗記憶素子1010を、256×256の行列状に配
したMRAMデバイスである。なお、磁気抵抗記憶素子
1010は任意の数が配置され得る。
【0216】図27Bに示すように、磁気抵抗記憶素子
1010は、実施の形態5の図5(b)で示した磁気抵
抗記憶素子1000または2000の構成に、更にワー
ド線173を加えた構造となっている。ワード線170
および173は、好ましくは図27Bに示すようにMR
素子部100(または101)の上下部に沿って配置さ
れるが、磁界がMR素子部100(または101)に効
果的に印加可能であれば、図27Bに示される配置に限
定されるものではない。図27C〜図27Eは、ワード
線170および173の他の実施の形態を示している。
またこの場合に電極体140は実施の形態3および実施
の形態4にて示した構成にてMR素子部100(10
1)と接触が図られている。
【0217】図27Cは、MR素子部100(または1
01)に対して効率的に磁界印加が可能な様にワード線
170および173の配置を互いに一定角ずらして配置
したものを示している。また、図27Dは、ワード線1
70をセンス線140にて代用させたものを示してい
る。図27Eは、ワード線170および173をMR素
子部100(101)の横側に配置したものを示してい
る。図27Eは、両ワード線170および173に同方
向に電流を流して、発生する合成磁界と直交するセンス
線140(141)との合成磁界を用いてMR素子部1
00(101)に記録を行うものである。
【0218】まず、磁気抵抗記憶素子1010が、磁気
抵抗記憶素子1000の構成にワード線173を備えた
構成である場合について説明する。
【0219】この場合、作製された磁気抵抗記憶素子1
010が備えるMR素子部100は、実施の形態10で
示したNi0.81Fe0.19(3)/Ru(0.7)/Ni
0.81Fe0.19(2)/Al23(1.2)/Co0.9
0.1(20)の構成から成っている。また、MR素子
部100がNi0.81Fe0.19(2)/Ru(0.7)/
Ni0.81Fe0.19(3)/Al23(1.2)/Co
0.9Fe0.1(20)の構成から成るものについても作製
した。
【0220】導電膜140および150にはAu、Cu
あるいはAlを用い、導電膜170および173にはC
uを用いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁
にはSiO2を用いている。なお、本実施の形態では絶
縁にSiO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはS
34を用いても良い。
【0221】導電膜140および150(センス線およ
びビット線)、導電膜170および173(ワード線)
は、図27Aに示すように行列状に配置されている。ま
た、アドレス指定用のスイッチ部301および311
と、信号検出部302および312が、図27Fに示す
ように配置されている。なお、図27Fにおいて、説明
の簡便のため導電膜173は省略されている。スイッチ
部301および311により任意の導電膜140および
150、導電膜170および173が選択される。ま
た、信号検出部302および312によって、各導電膜
の電流値または電圧値が検出される。
【0222】MR素子部100への記憶の書き込みにつ
いては、電流パルスを行要素と列要素の導電膜170お
よび173にそれぞれに流し、発生する合成の磁界によ
って、特定のMR素子部100に対してのみ磁化状態を
変化させることにより行われる。
【0223】MRAMデバイス5000の情報の書き込
みおよび読み出し動作は、基本的には実施の形態8の図
24Aおよび図24Bに示される動作と同様である。任
意の記憶状態にあるMRAMデバイス5000に対する
読み出し動作を以下のように確認した。
【0224】スイッチ部301および311により、特
定の導電膜140および150、導電膜170および1
73が選択される。そして、選択された各導電膜に対応
するMR素子100の抵抗値をモニターしながら、軟質
磁性膜130(図1)を磁化反転させるための磁場を選
択されたMR素子部100に印加した。このとき、図2
4Bに示されるような記憶情報に応じたパルスが、信号
検出部302または312を通じて検出された。なお、
このとき、記憶状態は保存されていることから、読み出
し動作がNDRO動作であることが確認された。これら
の結果により、本発明のMRAMデバイス5000が実
現できたことが分かった。
【0225】次に、磁気抵抗記憶素子1010が、実施
の形態13で示した磁気抵抗記憶素子2000の構成に
ワード線173を備えた構成である場合について説明す
る。
【0226】この場合、作製された磁気抵抗記憶素子1
010が備えるMR素子部101は、実施の形態13で
示したNi0.81Fe0.19(3)/Ru(0.7)/Ni
0.81Fe0.19(2)/Al23(1.2)/Co0.5
0.5(20)/IrMn(30)の構成から成ってい
る。また、MR素子部101がNi0.81Fe0.19(2)
/Ru(0.7)/Ni0.81Fe0.19(3)/Al23
(1.2)/Co0.5Fe0.5(20)/IrMn(3
0)の構成から成るものについても作製した。
【0227】導電膜141および150にはAuおよび
Cuを用い、導電膜170および173にはAuCrを
用いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁には
SiO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁に
SiO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi3
4を用いても良い。
【0228】導電膜141および150(センス線およ
びビット線)、導電膜170および173(ワード線)
は、図27Aに示すように行列状に配置されている。
MR素子部101への記憶の書き込みについては、上記
と同様に電流パルスを行要素と列要素の導電膜170お
よび173にそれぞれに流し、発生する合成の磁界によ
って、特定のMR素子部101に対してのみ磁化状態を
変化させることにより行われる。
【0229】この場合のMRAMデバイス5000の情
報の書き込みおよび読み出し動作は、基本的には実施の
形態9の図25A〜図25Bに示される動作と同様であ
る。任意の記憶状態にあるMRAMデバイス5000に
対する読み出し動作を以下のように確認した。
【0230】スイッチ部301および311により、特
定の導電膜141および150、導電膜170および1
73が選択される。そして、選択された各導電膜に対応
するMR素子100の抵抗値をモニターしながら、軟質
磁性膜130(図23B)のみを磁化反転させるための
磁場を選択されたMR素子部101に印加した。この場
合の軟質磁性膜130の磁化方向は、実効的に働く2つ
の強磁性膜230および250(図23B)のもつ磁化
の差分の指す方向を意味している。モニターの結果、図
25Bに示されるような記憶情報に応じた電圧変化が、
信号検出部302または312を通じて検出された。
【0231】これらの結果により、本発明のMRAMデ
バイス5000が実現できたことが分かった。
【0232】この場合にも、実施の形態3および実施の
形態4にて示した構成にてMR素子部100(101)
と接触を図ることにより、256×256にて構成した
MRAMデバイスの正常動作可能なチップのスループッ
トは6インチウェハー内で向上した。すなわち、被覆率
が5%以上から60%以下の場合に、MR値や接合抵抗
RA値、両値のバイアス依存性まで含めた特性における
素子間のばらつき度合いが改善され、これらの特性を利
用して動作するMRAMデバイスの動作安定性が向上し
たことが確認された上で、本発明が効果的であることが
分かった。
【0233】(実施の形態17)本発明の実施の形態1
7として、実施の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜
130を備えた実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子
2000の作製方法を示す。
【0234】上述の実施の形態8と同様の方法で、実施
の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜130を備えた
MR素子部101を作製した。
【0235】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてNi
0.81Fe0.19、金属の非磁性膜240用としてRu、非
磁性絶縁膜120用としてAl、もう一方の交換結合型
フェリ磁性膜における金属の強磁性膜260、280用
にCo0.7Fe0.3および反強磁性膜180としての磁化
回転抑制層用にPtMnを用いた。
【0236】MR素子部101として、Ni0.81Fe
0.19 (3)/Ru(0.7)/Ni0 .81Fe
0.19(2)/Al23(1.2)/Co0.7Fe
0.3(2)/Ru(0.7)/Co0.7Fe0.3(2)/
PtMn(20)の構成から成るMR素子部を作製し
た。なお、Al23は、上述の方法Aの方法で作製し
た。
【0237】MR素子部101のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比はおよそ3
6%であった。このときの接合面積は、およそ0.1平
方マイクロメートルであった。
【0238】本実施例のMR素子部101は、Ni0.81
Fe0.19(5)/Al23(1.2)/Co0.7Fe0.3
(2)/Ru(0.7)/Co0.7Fe0.3(2)/Pt
Mn(20)の基本構成を持つようなMR素子部に比べ
て、抗磁力が小さいことが分かった。このことは、図2
3Cの様な構造をとることにより、反磁界の影響が低減
したことによるものである。
【0239】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000を構成した。導電膜141および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0240】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を、実施の形態7における図25
Aおよび図25Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図25Bに示されるような記憶情報に応
じた電圧変化が検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子2
000が実現できたことが分かった。
【0241】(実施の形態18)本発明の実施の形態1
8として、実施の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜
130を備えた実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子
2000の他の作製方法を示す。
【0242】上述の実施の形態8と同様の方法で、実施
の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜130を備えた
MR素子部101を作製した。
【0243】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてNi
0.81Fe0.19、金属の非磁性膜240用としてRu、非
磁性絶縁膜120用としてAl、もう一方の交換結合型
フェリ磁性膜における金属の強磁性膜260、280用
にCo0.9Fe0.1および反強磁性膜180としての磁化
回転抑制層用にIrMnを用いた。また、非磁性絶縁膜
120と強磁性膜250との間の界面に新たな強磁性層
(図示せず)を配したMR素子部101も作製し、この
新たな強磁性層にはCo0.9Fe0.1を用いた。
【0244】MR素子部101として、Ni0.81Fe
0.19(3)/Ru(0.7)/Ni0. 81Fe0.19(2)
/Al23(1.2)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru
(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/IrMn(20)
の構成から成るMR素子部と、Ni0.81Fe0.19(3)
/Ru(0.7)/Ni0.81Fe0.19(2)/Co0.9
Fe0.1(0.5)/Al23(1.2)/Co0.9Fe
0.1(2)/Ru(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/
IrMn(20)の構成から成るMR素子部とを作製し
た。なお、Al23は、上述の方法Aの方法で作製し
た。
【0245】前者のMR素子部101および新たな強磁
性層を配した後者のMR素子部101のMR特性を室
温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR比は
それぞれ、前者は約35%、後者は約37%であった。
このときの接合面積は、両方のMR素子部ともおよそ
0.1平方マイクロメートル程度であった。
【0246】さらに、両方のMR素子部に対して熱処理
を加えたところ、約280度の熱処理に対して後者のM
R比は約41%に上昇した。このことは、軟質磁性膜1
30(自由層)に含まれるCo0.9Fe0.1によって構成
された新たな強磁性層が、Ni0.81Fe0.19とAl23
におけるNiとAlとの相互拡散を抑え、安定な界面が
実現されていることを示唆するものである。なお、この
Co0.9Fe0.1層は1nm程度以下の膜厚で配するのが
望ましい。
【0247】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000を構成した。導電膜141および150には
AuおよびCuを用い、導電膜170にはAuCrを用
いた。MR素子部101と導電膜170との絶縁にはS
iO2を用いている。なお、本実施の形態では絶縁にS
iO2を用いたが、CaF2、Al23あるいはSi34
を用いても良い。
【0248】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を、実施の形態9における図25
Aおよび図25Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図25Bに示されるような記憶情報に応
じた電圧変化が検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子2
000が実現できたことが分かった。
【0249】(実施の形態19)本発明の実施の形態1
9として、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素子10
00の作製方法を示す。
【0250】上述の実施の形態8と同様の方法で、図1
に示すような磁気抵抗記憶素子1000を作製した。
【0251】ターゲットにNi0.8Fe0.2(軟質磁性膜
130用)、Al(非磁性絶縁膜120用)、NiMn
Sb(硬質磁性膜110用)を用い、サファイアc面基
板上に、Ni0.8Fe0.2(15)/Al23(1.2)
/NiMnSb(50)により構成されるMR素子部1
00を作製した。なお、Al23は、上述の方法Aの方
法で作製した。
【0252】MR素子部100のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比は約40%
であった。このときの接合面積は、約0.25平方マイ
クロメートルであった。
【0253】なお、本実施の形態ではサファイア基板を
用いる例を示したが、酸化マグネシウム(100)基板
を用いても良質なNiMnSb膜を作製することができ
る。
【0254】更に、高い磁気分極率を示す材料として、
NiMnSbを用いた例を示したが、PtMnSbやP
dMnSbを用いた場合でも、ほぼ同様に高いMR特性
を示し、良好な磁気抵抗素子を作製することができる。
【0255】更に、上記のように作製されたMR素子部
100を用いて、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000をサファイアc面基板上に作製した。導電膜
140および150にはAuおよびCuを用い、導電膜
170にはAuCrを用いた。MR素子部100と導電
膜170との絶縁にはSiO2を用いている。なお、本
実施の形態では絶縁にSiO2を用いたが、CaF2、A
23あるいはSi34を用いても良い。
【0256】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を、実施の形態8における図24
Aおよび図24Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図24Bに示されるような記憶情報に応
じたパルスが検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子10
00が実現できたことが分かった。
【0257】(実施の形態20)本発明の実施の形態2
0として、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素子10
00の他の作製方法を示す。
【0258】上述の実施の形態8と同様の方法で、図1
に示すような磁気抵抗記憶素子1000を作製した。
【0259】ターゲットにNi0.8Fe0.2(軟質磁性膜
130用)、Al(非磁性絶縁膜120用)、PtMn
Sb(硬質磁性膜110用)を用いた。
【0260】サファイアc面基板上に、Ni0.8Fe0.2
(15)/Al23(1.2)/PtMnSb(50)
により構成されるMR素子部100を作製した。なお、
Al 23は、上述の方法Aの方法で作製した。
【0261】まず、サファイアc面基板上に、製膜温度
がおよそ500度の条件で、PtMnSbをエピタキシ
ャル成長させた。サファイアc面基板との格子整合性よ
り、PtMnSbは(111)面配向を示した。この
後、Al膜を堆積し、上述の方法Aの方法でAl23
作製した。その上にNi0.8Fe0.2を堆積して、Ni0.
8Fe0.2(15)/Al23(1.2)/PtMnSb
(50)により構成されるMR素子部100を作製し
た。
【0262】MR素子部100のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比は約40%
であった。このときの接合面積は、およそ0.25平方
マイクロメートル程度であった。
【0263】なお、本実施の形態ではサファイア基板を
用いる例を示したが、酸化マグネシウム(100)基板
を用いても良質なPtMnSb膜を作製することができ
る。また、この場合、格子整合性より(100)面に配
向したPtMnSbを作製できることが分かった。
【0264】本実施の形態では、高い磁気分極率を示す
材料として、PtMnSbを用いる例を示したが、Ni
MnSbやPdMnSbを用いた場合でも、ほぼ同様な
特性を示し、良好なMR特性を示すMR素子部100を
作製できることが分かった。
【0265】更に、上記のように作製されたMR素子部
100を用いて、実施の形態1で示した磁気抵抗記憶素
子1000をサファイアc面基板上に作製した。導電膜
140および150にはAuおよびCuを用い、導電膜
170にはAuCrを用いた。MR素子部100と導電
膜170との絶縁にはSiO2を用いている。なお、本
実施の形態では絶縁にSiO2を用いたが、CaF2、A
23あるいはSi34を用いても良い。
【0266】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子1000の動作を、実施の形態8における図24
Aおよび図24Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図24Bに示されるような記憶情報に応
じたパルスが検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子10
00が実現できたことが分かった。
【0267】(実施の形態21)本発明の実施の形態2
1として、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子20
00の作製方法を示す。
【0268】上述の実施の形態8と同様の方法で、図3
に示すような磁気抵抗記憶素子2000を作製した。
【0269】ターゲットに軟質磁性膜130用としてN
0.8Fe0.2、非磁性絶縁膜120用としてAl、強磁
性膜190用にPtMnSb、および反強磁性膜180
としての磁化回転抑制層用にα−Fe23を用いた。
【0270】作製においては、サファイアc面基板上に
α−Fe23を成長させ、Ni0.8Fe0.2(15)/A
23(1.2)/PtMnSb(25)/α−Fe2
3(40)により構成されるMR素子部101を作製
した。なお、Al23は、上述の方法Aの方法で作製し
た。
【0271】MR素子部101のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比は約40%
であった。このときの接合面積は、最小で約0.25平
方マイクロメートルであった。
【0272】本実施の形態では、高い磁気分極率を示す
材料として、PtMnSbを用いたが、NiMnSbや
CuMnSbもほぼ同様な特性を示し、良好なMR特性
を示す磁気抵抗素子を作製することができる。
【0273】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000をサファイアc面基板上に作製した。導電膜
141および150にはAuおよびCuを用い、導電膜
170にはAuCrを用いた。MR素子部101と導電
膜170との絶縁にはSiO2を用いている。なお、本
実施の形態では絶縁にSiO2を用いたが、CaF2、A
23あるいはSi34を用いても良い。
【0274】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の動作を、実施の形態9における図25
Aおよび図25Bに示した方法と同様の方法で確認し
た。その結果、図25Bに示されるような記憶情報に応
じた電圧変化が検出され、本発明の磁気抵抗記憶素子2
000が実現できたことが分かった。
【0275】(実施の形態22)本発明の実施の形態2
2として、実施の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜
130を備えた実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素子
2000の作製方法を示す。
【0276】上述の実施の形態8と同様の方法で、実施
の形態7の図23Cで示した軟質磁性膜130を備えた
MR素子部101を作製した。
【0277】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてNi
0.81Fe0.19、金属の非磁性膜240用としてRu、非
磁性絶縁膜120用としてAl、もう一方の交換結合型
フェリ磁性膜における金属の強磁性膜260、280用
にCo0.9Fe0.1および反強磁性膜180としての磁化
回転抑制層用にIrMnを用いた。
【0278】MR素子部101として、Ni0.81Fe
0.19(3)/Ru(0.7)/Ni0. 81Fe0.19(2)
/Al23(1.2)/Co0.9Fe0.1(2)/Ru
(0.7)/Co0.9Fe0.1(2)/IrMn(20)
の構成からなるMR素子部を作製した。なお、Al23
は、上述の方法Aの方法で作製した。
【0279】MR素子部101のMR特性を室温、印加
磁界100 Oeで測定したところ、MR比は約35%
であった。このときの接合面積は、およそ0.05平方
マイクロメートルであった。
【0280】更に、上記のように作製されたMR素子部
101を用いて、実施の形態2で示した磁気抵抗記憶素
子2000を構成した。またこの場合に電極体141は
実施の形態3および実施の形態4にて示した構成にてM
R素子部100(101)と接触が図られている。導電
膜141および150にはCuを用い、導電膜170に
もCuを用いた。MR素子部101と導電膜170との
絶縁にはSiO2を用いている。なお、本実施の形態で
は絶縁にSiO2を用いたが、CaF2、Al23あるい
はSi34を用いても良い。
【0281】上記のような方法で作製された磁気抵抗記
憶素子2000の高速動作を確認するべく、ワード線で
ある導電膜170と、センス線として設定した導電膜1
50とのそれぞれに、図28における上部および中央に
示すグラフのような電流パルス561および562を流
して、MR素子部101の電圧変化ΔV3をモニターし
た。その結果、図28における下側に示すグラフのよう
な記憶情報に応じた電圧変化563が検出された。
【0282】本実施の形態では、一例として、センス線
への電流印加による磁界発生方向は磁化困難軸方向を向
いており、ワード線への電流印加による磁界発生方向は
磁化容易軸方向をそれぞれ向いている構成をとってい
る。つまり、MR素子部101は、センス線から発生す
る磁界の方向よりもワード線から発生する磁界の方向へ
磁化し易い構成となっている。
【0283】このとき、センス線とワード線とに印加し
たパルス電流のトリガータイミングを変化させること
で、出力電圧の差が現れることが分かった。印加電流パ
ルスの大きさは、ワード線への印加電流がセンス線への
印加電流よりも大きくなるようにした。センス線への印
加電流のパルス幅tsは最低0.1ns以上、ワード線
への印加電流のパルス幅twは0.1ns以上、センス
線への印加電流のパルスに対するワード線への印加電流
のパルスのタイミング差tdは約0.1ns以上50n
s以下の範囲にあることがそれぞれ好ましい。このよう
なトリガータイミングを変化させる操作を行うことで、
高いMR比が確保され、高い出力電圧が得られることが
分かった。
【0284】また、このような出力特性は、磁化方向を
180度回転させる際に、磁化容易軸方向(あるいは磁
化困難軸方向)にのみに磁界印加を行うだけでなく、磁
化容易軸方向への磁界印加に先だって、磁界困難軸方向
に磁界を印加することが、高い出力電圧を得る上で効果
的であることを示している。この操作により、磁化容易
軸方向への磁化反転に対する磁気トルクがかかりやすく
なると考えられる。
【0285】本実施の形態の場合、センス線を用いて磁
界困難軸方向へ磁界を発生させ、ワード線を用いて磁界
容易軸方向へ磁界を発生させる構成を用いたが、逆の配
置で用いても良い。
【0286】また、ほぼ直交するセンス線とワード線の
共用による磁界印加では、図20に示すようなアステロ
イド型の磁界曲線1401によりセンス線による磁界の
大きさHSとワード線による磁界の大きさHWとが決定さ
れる。従って、直交するセンス線とワード線(あるいは
直交する2本のワード線)を共用して磁界印加すること
は、記憶素子のアドレス選択のみでなく、磁界発生のた
めにセンス線およびワード線に流す電流値を低減させる
ことができる。
【0287】次に、図29Aに示すように、上記のよう
な磁気抵抗記憶素子2000の複数個を512×512
の行列状に配置したMRAMデバイス6000を構成し
た。なお、磁気抵抗記憶素子2000は任意の数が配置
され得る。図29Bに示すようにアドレス指定用のスイ
ッチ部401および411と、信号検出部402および
412とが配置される。スイッチ部401および411
により任意の導電膜141、150および170が選択
される。また、信号検出部402および412によっ
て、各導電膜の電流値または電圧値が検出される。
【0288】ワード線170は、好ましくは図29Bに
示すようにMR素子部101の上部に沿って配置される
が、磁界がMR素子部101に効果的に印加可能であれ
ば、この配置に限定されるものではない。
【0289】導電膜141および150(ビット線およ
びセンス線)、導電膜170(ワード線)は、図27A
に示すように行列状に配置されている。また、アドレス
指定用のスイッチ部401および411と、信号検出部
402および412が、図27Bに示すように配置され
ている。スイッチ部401および411により任意の導
電膜141、150および170が選択される。また、
信号検出部402および412によって、各導電膜の電
流値または電圧値が検出される。
【0290】MR素子部101への記憶の書き込みにつ
いては、電流パルスを行要素と列要素の導電膜150お
よび170にそれぞれに流し、発生する合成の磁界によ
って、特定のMR素子部101に対してのみ磁化状態を
変化させることにより行われる。本実施の形態では、導
電膜150(センス線)を、実施の形態16で示した導
電膜173(ワード線)の代わりとして用いている。
【0291】任意の記憶状態にあるMRAMデバイス6
000に対する読み出し動作を以下のように確認した。
【0292】スイッチ部401および411により、特
定の導電膜141、150および170が選択される。
そして、選択された各導電膜に対応するMR素子101
の抵抗値をモニターした。そして、実施の形態2で示し
た読み出し方法と同様に、モニターされた上記対応する
MR素子101の抵抗値と参照抵抗との差分値を差分回
路(図示せず、好ましくは信号検出部402および41
2に内蔵される)を通じてモニターし、差分値に応じて
記憶状態を読み出すことができた。これらの結果によっ
て、本発明のMRAMデバイス6000が実現できたこ
とが分かった。この場合にも、実施の形態3および実施
の形態4にて示した構成にてMR素子部100(10
1)と接触することにより、512×512にて構成し
たMRAMデバイスの正常動作可能なチップのスループ
ットは6インチウェハー内で向上した。すなわち、被覆
率が5%以上から60%以下の場合に、MR値や接合抵
抗RA値、両値のバイアス依存性まで含めた特性におけ
る素子間のばらつき度合いが改善され、これらの特性を
利用して動作するMRAMデバイスの動作安定性が向上
したことが確認された上で、本発明が効果的であること
が分かった。
【0293】(実施の形態23)本発明の実施の形態2
3として、図30Aおよび図30Bに、実施の形態2
(図3)で示したMR素子部101を備えた、磁気抵抗
効果ヘッド7000を示す。図30Aは磁気抵抗効果ヘ
ッド7000の斜視図、図30Bは磁気抵抗効果ヘッド
7000の断面図である。磁気抵抗効果ヘッド7000
のMR素子部101は、実施の形態7(図23B)で示
した軟質磁性膜130を備える。実施の形態2および5
で示した磁気抵抗記憶素子2000と同一の構成要素に
ついては同一の参照符号で表し、これらについての詳細
な説明は省略する。
【0294】上述の実施の形態8と同様の方法で、MR
素子部101を作製した。
【0295】ターゲットに交換結合型フェリ磁性膜にお
ける金属の強磁性膜230および250用としてCo
0.9Fe0.1またはNi0.81Fe0.19、金属の非磁性膜2
40用としてRu、非磁性絶縁膜120用としてAl、
強磁性膜190用にCo0.9Fe0.1、および反強磁性膜
180としての磁化回転抑制層用にIrMnを用いた。
【0296】MR素子部101として、Ni0.81Fe
0.19(3)/Ru(0.7)/Ni0. 81Fe0.19(2)
/Al23(1.2)/Co0.9Fe0.1(20)/Ir
Mn(30)、の構成から成るMR素子部を作製した。
なお、Al23は上記の方法Aの方法で作製した。
【0297】作製されたMR素子部101のMR特性を
室温、印加磁界100 Oeで測定したところ、MR比
は約30%であった。このときの接合面積は、およそ
0.25平方マイクロメートルであった。
【0298】このようなトンネル接合型のMR素子部1
01を磁気抵抗効果ヘッド7000は備えている。
【0299】磁気抵抗効果ヘッド7000は、Al23
・TiCを主成分とする焼結体から成るスライダ用の基
板601と、シールド層602および603と、NiF
e合金から成る記録磁極605および606と、Cuか
ら成るコイル607と、Al 23から成る各構成要素間
のギャップ層608とを備える。シールド層602およ
び603の膜厚はそれぞれ1μmである。また、記録磁
極605、606の膜厚はそれぞれ3μmである。ギャ
ップ層608の膜厚は、シールド層602および603
とMR素子部101との間で0.1μmであり、記録磁
極605および606間では0.2μmである。導電膜
150と記録磁極605の間隔は約4μmである。コイ
ル607の膜厚は3μmである。
【0300】MR素子部101はシールド層602およ
び603の間に配置されており、ヘッド表面604に直
接露出しない構成となっている。
【0301】バイアス電流は導電膜141および150
を通じてMR素子部101に印加される。軟質磁性膜1
30および強磁性膜190は、互いの磁化方向が直交す
る方向にそれぞれ磁化方向が向くように設定されてお
り、再生信号に応じた磁化方向の変位を感度良く読みと
ることができた。
【0302】また、図31Aおよび図31Bに示すよう
に、上記の磁気抵抗効果ヘッド7000を備えた磁気デ
ィスク装置8000を作製した。図31Aは、磁気ディ
スク装置8000の上面図を、図31Bは磁気ディスク
装置8000の断面図を示している。
【0303】磁気記録媒体701はCo−Ni−Pt−
Ta系合金から成る。磁気抵抗効果ヘッド7000は、
磁気ヘッド支持部702により支持され、磁気ヘッド駆
動部703により駆動される。磁気抵抗効果ヘッド70
00のトラック幅は5μmとした。上記のような構成を
磁気ディスク装置8000は、図31Bに示すように複
数個備える。
【0304】本発明の磁気抵抗効果ヘッド7000は、
従来のCIPMR素子であるGMR型磁気抵抗効果ヘッ
ドよりも抵抗変化率が高い。従って、磁気抵抗効果ヘッ
ド7000は再生出力が高く、再生用磁気ヘッドとして
大変有効である。作製した磁気ディスク装置8000か
ら、磁気記録媒体701に記録された情報に応じた電圧
変化が良好に検出でき、本発明の磁気抵抗効果ヘッド7
000が実現できたことが分かった。
【0305】なお、本発明の全ての実施の形態で示した
MR素子部100、101、102および200は、本
実施の形態と同様に、磁気抵抗効果ヘッドとして用いる
ことが出来る。これらすべての場合にも、実施の形態3
および実施の形態4にて示した構成にてMR素子部10
0(101、102、200)と接触することにより、
デバイスの正常動作可能なチップのスループットは6イ
ンチウェハー内で向上することが確認された。すなわ
ち、被覆率が5%以上から60%以下の場合に、MR値
や接合抵抗RA値、両値のバイアス依存性まで含めた磁
気抵抗特性における素子間のばらつき度合いが改善さ
れ、これらの特性を利用して動作するデバイスの動作安
定性が向上したことが確認された上で、本発明が効果的
であることが分かった。
【0306】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、微細パタ
−ン化された磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子およ
び磁気メモリにおけるMR値、接合抵抗値等の磁気抵抗
特性のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明の実施の形態1における磁気抵抗記憶
素子の断面図である。
【図1B】本発明の実施の形態1における磁気抵抗記憶
素子の断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態1における磁気抵抗記憶
素子の動作原理を示す図である。
【図2B】本発明の実施の形態1における磁気抵抗記憶
素子の動作原理を示す図である。
【図3A】本発明の実施の形態2における磁気抵抗記憶
素子の断面図である。
【図3B】本発明の実施の形態2における磁気抵抗記憶
素子の断面図である。
【図4A】本発明の実施の形態2における磁気抵抗記憶
素子の動作原理を示す図である。
【図4B】本発明の実施の形態2における磁気抵抗記憶
素子の動作原理を示す図である。
【図4C】本発明の実施の形態2における磁気抵抗記憶
素子の動作原理を示す図である。
【図5A】本発明の実施の形態3における素子の断面図
である。
【図5B】本発明の実施の形態3における素子の断面図
である。
【図5C】本発明の実施の形態3における素子の断面図
である。
【図5D】本発明の実施の形態3における素子の断面図
である。
【図5E】本発明の実施の形態3における素子の断面図
である。
【図6】本発明の実施の形態3における素子の上面図で
ある。
【図7A】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7B】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7C】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7D】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7E】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7F】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7G】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7H】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7I】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7J】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7K】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7L】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7M】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7N】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7O】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7P】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7Q】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7R】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7S】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7T】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7U】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7V】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7W】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7X】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図7Y】本発明の実施の形態3における素子形状にお
ける座標を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3における磁場変化に対す
る磁気抵抗変化率特性を示す図である。
【図9A】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図9B】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図9C】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図9D】本発明の実施の形態3における素子形状を示
す上面図である。
【図10A】本発明の実施の形態3における素子形状を
示す上面図である。
【図10B】本発明の実施の形態3における素子形状を
示す上面図である。
【図10C】本発明の実施の形態3における素子形状を
示す上面図である。
【図11A】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図11B】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図11C】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図11D】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図11E】本発明の実施の形態3における素子の上面
図である。
【図12】本発明の実施の形態3における磁気抵抗素子
の評価結果を示す図である。
【図13A】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図13B】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図13C】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図14A】本発明の実施の形態3における素子の断面
図である。
【図14B】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図14C】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図15A】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図15B】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図15C】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図15D】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16A】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16B】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16C】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16D】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16E】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16F】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図16G】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17A】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17B】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17C】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17D】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17E】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図17F】本発明の実施の形態4における素子の断面
図である。
【図18A】本発明の実施の形態4における素子形状を
作製する工程図である。
【図18B】本発明の実施の形態4における素子形状を
作製する工程図である。
【図18C】本発明の実施の形態4における素子形状を
作製する工程図である。
【図19A】本発明の実施の形態5におけるMRAMデ
バイスを示す上面図である。
【図19B】本発明の実施の形態5におけるMRAMデ
バイスの一部を示す斜視図である。
【図19C】本発明の実施の形態5におけるMRAMデ
バイスの一部を示す断面図である。
【図20】本発明の磁気抵抗記憶素子におけるアステロ
イド型の磁界曲線を示す図である。
【図21A】本発明の実施の形態5における磁気抵抗記
憶素子を示す断面図である。
【図21B】本発明の実施の形態5におけるMRAMデ
バイスの一部を示す斜視図である。
【図22A】本発明の実施の形態6における磁気抵抗記
憶素子の断面図である。
【図22B】本発明の実施の形態6における磁気抵抗記
憶素子の断面図である。
【図22C】本発明の実施の形態6における磁気抵抗記
憶素子の断面図である。
【図22D】本発明の実施の形態6における磁気抵抗記
憶素子の断面図である。
【図23A】本発明の実施の形態7におけるMR素子部
を示す断面図である。
【図23B】本発明の実施の形態7におけるMR素子部
を示す断面図である。
【図23C】本発明の実施の形態7におけるMR素子部
を示す断面図である。
【図23D】本発明の実施の形態7におけるMR素子部
を示す断面図である。
【図23E】本発明の実施の形態7における強磁性膜を
示す斜視図である。
【図23F】本発明の実施の形態7における強磁性膜を
示す斜視図である。
【図23G】本発明の実施の形態7における強磁性膜を
示す斜視図である。
【図24A】本発明の実施の形態8における磁気抵抗記
憶素子の動作を示す図である。
【図24B】本発明の実施の形態8における磁気抵抗記
憶素子の動作を示す図である。
【図25A】本発明の実施の形態9における磁気抵抗記
憶素子の動作を示す図である。
【図25B】本発明の実施の形態9における磁気抵抗記
憶素子の動作を示す図である。
【図26A】本発明の実施の形態11における磁気抵抗
記憶素子の動作を示す図である。
【図26B】本発明の実施の形態11における磁気抵抗
記憶素子の動作を示す図である。
【図27A】本発明の実施の形態16におけるMRAM
デバイスを示す斜視図である。
【図27B】本発明の実施の形態16におけるMRAM
デバイスの一部を示す斜視図である。
【図27C】本発明の実施の形態16の変形例における
MRAMデバイスの一部を示す斜視図である。
【図27D】本発明の実施の形態16の変形例における
MRAMデバイスの一部を示す斜視図である。
【図27E】本発明の実施の形態16の変形例における
MRAMデバイスの一部を示す斜視図である。
【図27F】本発明の実施の形態16におけるMRAM
デバイスを示す上面図である。
【図28】本発明の実施の形態22における磁気抵抗記
憶素子の動作を示す図である。
【図29A】本発明の実施の形態22におけるMRAM
デバイスを示す斜視図である。
【図29B】本発明の実施の形態22におけるMRAM
デバイスを示す上面図である。
【図30A】本発明の実施の形態23における磁気抵抗
効果ヘッドを示す斜視図である。
【図30B】本発明の実施の形態23における磁気抵抗
効果ヘッドを示す断面図である。
【図31A】本発明の実施の形態23における磁気ディ
スク装置を示す上面図である。
【図31B】本発明の実施の形態23における磁気ディ
スク装置を示す断面図である。
【符号の説明】
120 非磁性絶縁膜 130 強磁性層 150 導電膜 160 層間絶縁体 170 導電膜 500、1500 磁気抵抗素子 801 強磁性層 802 電気伝導体 1000、1001、1010、2000、4000
磁気抵抗記憶素子 3000、3001、5000、6000 MRAMデ
バイス
フロントページの続き (72)発明者 松川 望 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 出口 正洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F083 FZ10 JA36 JA37 PR04 PR05 PR22

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体とを具備する磁気抵抗素子
    であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気抵抗素子は、前記第1電気伝導体から前記第1
    強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通っ
    て前記第2電気伝導体へ電流が流れることによって動作
    するようになっており、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 前記絶縁体は、前記第1強磁性層の前記表面における周
    縁を被覆するように形成されていることを特徴とする磁
    気抵抗素子。
  2. 【請求項2】 前記絶縁体によって被覆される前記第1
    強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性層
    の前記表面の全体の面積の5%以上60%以下になって
    いる、請求項1記載の磁気抵抗素子。
  3. 【請求項3】 前記第1強磁性層の前記表面における前
    記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
    は、前記第1強磁性層の前記表面に対して5度以上90
    度未満の角度を有するスロープが形成されている、請求
    項1記載の磁気抵抗素子。
  4. 【請求項4】 前記第1強磁性層の前記表面における前
    記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    は、前記第1強磁性層の前記表面に対して少なくとも1
    nm以上の厚みを有している、請求項1記載の磁気抵抗
    素子。
  5. 【請求項5】 前記第1強磁性層の前記表面における前
    記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
    は、曲率半径5nm以上を有する曲面が形成されてい
    る、請求項1記載の磁気抵抗素子。
  6. 【請求項6】 前記第1電気伝導体と接触する前記第1
    強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性層
    の前記表面の全体の面積の40%よりも大きく95%よ
    りも小さくなっている、請求項1記載の磁気抵抗素子。
  7. 【請求項7】 前記第1強磁性層の前記表面における前
    記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部に
    は、前記第1強磁性層の前記表面に対して90度以上1
    80度未満の角度を有するスロープが形成されている、
    請求項1記載の磁気抵抗素子。
  8. 【請求項8】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体とを具備する磁気抵抗記憶
    素子であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体から前記
    第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を
    通って前記第2電気伝導体へ電流が流れることによって
    動作するようになっており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1強磁性層の磁化方向
    と前記第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるいは
    非平行である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有す
    ることによって少なくとも2つ以上の記憶状態を有して
    おり、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 前記絶縁体は、前記第1強磁性層の前記表面における周
    縁を被覆するように形成されていることを特徴とする磁
    気抵抗記憶素子。
  9. 【請求項9】 前記絶縁体によって被覆される前記第1
    強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性層
    の前記表面の全体の面積の5%以上60%以下になって
    いる、請求項8記載の磁気抵抗記憶素子。
  10. 【請求項10】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、前記第1強磁性層の前記表面に対して5度以上9
    0度未満の角度を有するスロープが形成されている、請
    求項8記載の磁気抵抗記憶素子。
  11. 【請求項11】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    は、前記第1強磁性層の前記表面に対して少なくとも1
    nm以上の厚みを有している、請求項8記載の磁気抵抗
    記憶素子。
  12. 【請求項12】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、曲率半径5nm以上を有する曲面が形成されてい
    る、請求項8記載の磁気抵抗記憶素子。
  13. 【請求項13】 前記第1電気伝導体と接触する前記第
    1強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性
    層の前記表面の全体の面積の40%よりも大きく95%
    よりも小さくなっている、請求項8記載の磁気抵抗記憶
    素子。
  14. 【請求項14】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、前記第1強磁性層の前記表面に対して90度以上
    180度未満の角度を有するスロープが形成されてい
    る、請求項8記載の磁気抵抗記憶素子。
  15. 【請求項15】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体と、 前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記第1強磁性
    層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転させるため
    に設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前
    記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体と電気的に
    接触しない位置に配置された非磁性導電層とを具備する
    磁気メモリであって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気メモリは、前記第1電気伝導体から前記第1強
    磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通って
    前記第2電気伝導体へ電流が流れることによって動作す
    るようになっており、 前記磁気メモリは、前記第1強磁性層の磁化方向と前記
    第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるいは非平行
    である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有すること
    によって少なくとも2つ以上の記憶状態を有しており、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 前記絶縁体は、前記第1強磁性層の前記表面における周
    縁を被覆するように形成されていることを特徴とする磁
    気メモリ。
  16. 【請求項16】 前記絶縁体によって被覆される前記第
    1強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性
    層の前記表面の全体の面積の5%以上60%以下になっ
    ている、請求項15記載の磁気メモリ。
  17. 【請求項17】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、前記第1強磁性層の前記表面に対して5度以上9
    0度未満の角度を有するスロープが形成されている、請
    求項15記載の磁気メモリ。
  18. 【請求項18】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    は、前記第1強磁性層の前記表面に対して少なくとも1
    nm以上の厚みを有している、請求項15記載の磁気メ
    モリ。
  19. 【請求項19】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、曲率半径5nm以上を有する曲面が形成されてい
    る、請求項15記載の磁気メモリ。
  20. 【請求項20】 前記第1電気伝導体と接触する前記第
    1強磁性層の前記表面の面積の割合は、前記第1強磁性
    層の前記表面の全体の面積の40%よりも大きく95%
    よりも小さくなっている、請求項15記載の磁気メモ
    リ。
  21. 【請求項21】 前記第1強磁性層の前記表面における
    前記周縁を被覆するように形成された前記絶縁体の端部
    には、前記第1強磁性層の前記表面に対して90度以上
    180度未満の角度を有するスロープが形成されてい
    る、請求項15記載の磁気メモリ。
  22. 【請求項22】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体とを具備する磁気抵抗素子
    であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気抵抗素子は、前記第1電気伝導体から前記第1
    強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通っ
    て前記第2電気伝導体へ電流が流れることによって動作
    するようになっており、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 少なくとも1×105アンペア/cm2以上の電流が前記
    第1電気伝導体から前記第1強磁性層、前記非磁性層お
    よび前記第2強磁性層を通って前記第2電気伝導体へ流
    れることによって前記磁気抵抗素子が動作するように、
    前記第1強磁性層の前記表面における周縁を前記絶縁体
    が被覆していることを特徴とする磁気抵抗素子。
  23. 【請求項23】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体と、 前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記第1強磁性
    層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転させるため
    に設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前
    記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体と電気的に
    接触しない位置に配置された非磁性導電層とを具備する
    磁気抵抗記憶素子であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1強磁性層の磁化方向
    と前記第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるいは
    非平行である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有す
    ることによって少なくとも2つ以上の記憶状態を有して
    おり、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体から前記
    第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を
    通って前記第2電気伝導体へ第1電流を流して磁気抵抗
    変化を検出することによって記憶状態を読み出し、前記
    非磁性導電層に第2電流を流すことによって発生する磁
    界によって記憶状態を書き込み、またあるいは、前記非
    磁性導電層に第2電流を流し、それと同期して、前記第
    1伝導体または前記第2伝導体に第3電流を流して発生
    する合成磁界により、記憶状態を書き込み、 少なくとも1×105アンペア/cm2以上の前記第1電
    流が前記第1電気伝導体から前記第1強磁性層、前記非
    磁性層および前記第2強磁性層を通って前記第2電気伝
    導体へ流れることによって前記記憶状態を読み出すよう
    に、前記第1強磁性層の前記表面における周縁を前記絶
    縁体が被覆していることを特徴とする磁気抵抗記憶素
    子。
  24. 【請求項24】 非磁性層と、 前記非磁性層を挟み込むようにそれぞれ形成された第1
    強磁性層および第2強磁性層と、 前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面におけ
    る略中央に接触するように形成された第1電気伝導体
    と、 前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側の表面に接触
    するように形成された第2電気伝導体と、 少なくとも前記第1強磁性層と前記非磁性層との側面を
    覆うように形成された絶縁体と、 前記第1強磁性層のみの磁化、あるいは前記第1強磁性
    層と前記第2強磁性層との双方の磁化を反転させるため
    に設けられ、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前
    記第1電気伝導体および前記第2電気伝導体と電気的に
    接触しない位置に配置された非磁性導電層とを具備する
    磁気抵抗記憶素子であって、 前記第1強磁性層および前記第2強磁性層の少なくとも
    一方は、前記第1強磁性層および前記第2強磁性層に平
    行な方向に沿って磁化されており、 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうちの一方は
    外部から印加される磁界に対して容易に磁化反転を起こ
    しやすく、他方は前記外部から印加される磁界に対して
    磁化反転を起こしにくくなっており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1強磁性層の磁化方向
    と前記第2強磁性層の磁化方向とが互いに平行あるいは
    非平行である少なくとも2つ以上の磁化安定状態を有す
    ることによって少なくとも2つ以上の記憶状態を有して
    おり、 前記第1電気伝導体と前記第2電気伝導体とは、前記第
    1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通
    って前記電流が流れることによって電気的接触を保つ以
    外は、前記絶縁体によって電気的に絶縁されており、 前記磁気抵抗記憶素子は、前記第1電気伝導体から前記
    第1強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を
    通って前記第2電気伝導体へ第1電流を流して磁気抵抗
    変化を検出することによって記憶状態を読み出し、前記
    非磁性導電層に第2電流を流すことによって発生する磁
    界によって記憶状態を書き込み、またあるいは、前記非
    磁性導電層に第2電流を流し、それと同期して、前記第
    1伝導体または前記第2伝導体に第3電流を流して発生
    する合成磁界により、記憶状態を書き込むようになって
    おり、いる磁気抵抗記憶素子が2次元状あるいは3次元
    状に整列配置された記憶素子アレイと、 前記記憶素子アレイに記憶された情報を選択的に読み出
    すために、前記第1電気伝導体または第2電気伝導体に
    接続された第1トランジスタと、 前記磁気抵抗記憶素子の磁気抵抗変化を出力するビット
    線に接続された感度増幅器と、 前記記憶素子アレイに記憶させる情報を選択的に書き込
    むために、前記非磁性導電体に接続された第2トランジ
    スタと、 前記非磁性導電体に接続された電流源とを具備すること
    を特徴とする磁気メモリ。
  25. 【請求項25】 少なくとも1×105アンペア/cm2
    以上の前記第1電流が前記第1電気伝導体から前記第1
    強磁性層、前記非磁性層および前記第2強磁性層を通っ
    て前記第2電気伝導体へ流れることによって前記記憶状
    態を読み出すように、前記第1強磁性層の前記表面にお
    ける周縁を前記絶縁体が被覆している、請求項24記載
    の磁気メモリ。
JP2002163252A 2001-06-04 2002-06-04 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ Pending JP2003115623A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002163252A JP2003115623A (ja) 2001-06-04 2002-06-04 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-167973 2001-06-04
JP2001167973 2001-06-04
JP2001-167971 2001-06-04
JP2001167971 2001-06-04
JP2002163252A JP2003115623A (ja) 2001-06-04 2002-06-04 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003115623A true JP2003115623A (ja) 2003-04-18

Family

ID=27346868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002163252A Pending JP2003115623A (ja) 2001-06-04 2002-06-04 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003115623A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007027424A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子及び磁気ランダムアクセスメモリ
US7267998B2 (en) 2003-08-20 2007-09-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic memory device having a plurality of magneto-resistance effect elements arranged in a matrix form and method for manufacturing the same
JP2008293556A (ja) * 2007-05-22 2008-12-04 Univ Of Tsukuba 反強磁性的層間結合磁性膜を用いた磁気記録媒体及び磁気記憶装置
JP2009054724A (ja) * 2007-08-24 2009-03-12 Toshiba Corp ホイスラー合金を有する積層体、この積層体を用いたスピンmos電界効果トランジスタ及びトンネル磁気抵抗効果素子

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7267998B2 (en) 2003-08-20 2007-09-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic memory device having a plurality of magneto-resistance effect elements arranged in a matrix form and method for manufacturing the same
JP2007027424A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子及び磁気ランダムアクセスメモリ
JP4630747B2 (ja) * 2005-07-15 2011-02-09 株式会社東芝 磁気抵抗効果素子及び磁気ランダムアクセスメモリ
JP2008293556A (ja) * 2007-05-22 2008-12-04 Univ Of Tsukuba 反強磁性的層間結合磁性膜を用いた磁気記録媒体及び磁気記憶装置
JP2009054724A (ja) * 2007-08-24 2009-03-12 Toshiba Corp ホイスラー合金を有する積層体、この積層体を用いたスピンmos電界効果トランジスタ及びトンネル磁気抵抗効果素子
JP4580966B2 (ja) * 2007-08-24 2010-11-17 株式会社東芝 ホイスラー合金を有する積層体、この積層体を用いたスピンmos電界効果トランジスタ及びトンネル磁気抵抗効果素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3589346B2 (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果記憶素子
US6956766B2 (en) Magnetic cell and magnetic memory
JP4371781B2 (ja) 磁気セル及び磁気メモリ
KR100421408B1 (ko) 자기 저항 효과 소자 및 자기 메모리 장치
KR100344030B1 (ko) 자기 소자, 자기 메모리 디바이스, 자기저항 효과 헤드 및 자기 저장 시스템.
US7005691B2 (en) Magnetoresistance element and magnetoresistance storage element and magnetic memory
KR100320008B1 (ko) 스핀 의존 전도 소자
US7042762B2 (en) Magnetic element and magnetic element array
US6831314B2 (en) Magnetoresistive effect element and magnetic memory device
WO2004064073A2 (en) Spin-transfer multilayer stack containing magnetic layers with resettable magnetization
JP2004179183A (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ
JP2005294376A (ja) 磁気記録素子及び磁気メモリ
JP2009027177A (ja) Stt−mtj−mramセルおよびその製造方法
JP3693247B2 (ja) 磁気抵抗効果記憶素子およびその製造方法
JP3697369B2 (ja) 磁気素子、磁気メモリ装置、磁気抵抗効果ヘッド、磁気ヘッドジンバルアッセンブリ、及び磁気記録システム
JP3977576B2 (ja) 磁気メモリ装置
JP3520192B2 (ja) 磁気素子とそれを用いた磁気部品および電子部品
JP2004165441A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
JP2004022599A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置の製造方法
JP4575101B2 (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ
JP2003115623A (ja) 磁気抵抗素子および磁気抵抗記憶素子および磁気メモリ
JP4660512B2 (ja) 磁気記録素子への書き込み方法および磁気記録素子
JP3592244B2 (ja) 磁気抵抗素子および磁気抵抗効果型記憶素子
JP3813920B2 (ja) 磁気デバイス及び磁気メモリ
JP2009218611A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置、磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040708

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041110