JP3520192B2 - 磁気素子とそれを用いた磁気部品および電子部品 - Google Patents
磁気素子とそれを用いた磁気部品および電子部品Info
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Description
とを含む磁気素子と、それを用いた磁気へッド、磁気セ
ンサ、磁気記憶素子、ダイオード素子などの各種の磁気
部品および電子部品に関する。
を加えることにより電気抵抗が変化する現象である。こ
のような磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子(以
下、MR素子と記す)は、磁気ヘッド、磁気センサなど
に使用されており、さらには磁気抵抗効果メモリなどが
提案されている。このようなMR素子には、外部磁界に
対する感度が大きいこと、応答速度が早いことなどが要
求されている。
に優れ、使用温度範囲が広いというような特徴を有して
おり、従来からNiFe合金などの強磁性合金の薄膜が
使用されてきた。しかし、その磁気抵抗変化率は 2〜3%
程度と小さいため、これを用いた磁気ヘッドでは十分な
感度が得られないという問題があった。
数nmの周期で積層した積層膜が、スピンの方向に依存し
て巨大磁気抵抗効果を示す材料として注目されている。
例えば、Fe/Cr人工格子膜(Phys. Rev. Lett.61, 2
472(1988))、Co/Cu人工格子膜(J.Mag. Mag. Mate
r.94, L1(1991))などの強磁性層間の相互作用を反強磁
性結合させたものが見出されている。しかし、強磁性層
間の反強磁性結合を利用した金属人工格子膜は反強磁性
交換結合定数が大きいため、飽和磁界が大きく、またヒ
ステリシスも非常に大きいという問題を有している。
非磁性層/強磁性層のサンドイッチ積層膜の一方の強磁
性層に交換バイアスを及ぼして磁化を固定し、他方の強
磁性層を外部磁界により磁化反転させることによって、
2つの強磁性層の磁化方向の相対角度を変化させる、い
わゆるスピンバルブ膜が開発されている。しかし、スピ
ンバルブ膜は積層膜の抵抗が小さく出力電圧が小さいた
めに、大きな出力電圧を得るためにはセンス電流を大き
くする必要がある。このため、スピンバルブ膜を使用し
た磁気ヘッドでは、エレクトロマイグレーションなどの
問題が存在する。MR素子を用いたメモリなどを考慮し
ても、非磁性金属を中間層とした場合には大きな出力電
圧が得られないという同様の問題が存在する。
子膜)に対して電流を膜面に垂直方向に流す、いわゆる
垂直磁気抵抗効果を利用すると、非常に大きな磁気抵抗
変化率が得られることが知られている(Phys. Rev. Let
t.66, 3060(1991))。しかし、この場合には電流パスが
小さく、また各層が金属であるために抵抗が小さいこと
から、サブミクロン以下に微細加工しないと室温での磁
気抵抗効果を測定できないという問題がある。
非磁性金属マトリックス中に磁性超微粒子を分散させ
た、いわゆるグラニュラー磁性膜もスピンに依存した伝
導に基づく巨大磁気抵抗効果を示すことが見出されてい
る(Phys. Rev. Lett.68, 3745(1992))。このようなグ
ラニュラー磁性膜では、磁界を加えない状態では磁性超
微粒子の性質により、各磁性超微粒子のスピンが互いに
不規則な方向を向いているために電気抵抗が大きく、磁
界を加えて各スピンを磁界の方向に揃えると抵抗が低下
し、その結果スピンに依存した磁気抵抗効果が発現す
る。しかし、この場合の磁性超微粒子は超常磁性を示す
ため、飽和磁界が本質的に非常に大きいという問題を有
している。
にする、強磁性トンネル効果に基く巨大磁気抵抗効果が
見出されている。これは 2つの強磁性金属層の間に絶縁
層を挿入したサンドイッチ膜において、膜面に垂直に電
流を流して絶縁層のトンネル電流を利用するものであ
り、例えば保磁力の小さい強磁性金属層のスピンのみを
反転させると、 2つの強磁性金属層のスピンが互いに平
行なときと反平行なときでトンネル電流が大きく異なる
ために巨大磁気抵抗効果が得られる。
が簡単であり、また比較的大きな磁気抵抗変化率が得ら
れるものの、数μm 2 程度の微細素子に加工すると抵抗
値がMΩと大きくなり、応答速度や高周波特性などの点
で問題を有している。さらに、所望の出力電圧値を得る
ために強磁性トンネル接合素子に流す電流値を増やす
と、磁気抵抗変化率が大幅に減少するという問題を有し
ている(Phys. Rev. Lett.74,3273 (1995))。
構造の 2重トンネル接合において、スピン偏極共鳴トン
ネル効果により大きなMR変化率が得られることが理論
上予想されている(Phys. Rev. B56, 5484(1997))。しか
し、これは極低温(8K)での結果であり、室温でこのよう
な現象が起こることは予想されていないと共に、実際に
2重トンネル接合を作製した例は報告されていない。
微粒子−Al2 O3 マトリックス)/Al2 O3 構造を
磁性層で挟んだトンネル接合が報告されている(Phys. R
ev.B56, R5747 (1997))。しかし、この場合のCo微粒
子は数nmと小さく120K以上では超常磁性であり、スピン
が不規則であるため、低温でも0.5T以上と大きな磁場を
かけなければグラニュラー層がスピンスイッチしない。
このため、電圧を印加してもスピン偏極共鳴トンネル効
果は観測されていない。
ン依存散乱を利用した磁気抵抗効果素子において、反強
磁性結合を利用した金属人工格子膜は、飽和磁界やヒス
テリシスが非常に大きいという問題を有している。ま
た、スピンバルプ膜では大きな出力電圧が大きなセンス
電流を流さないと得られず、エレクトロマイグレーショ
ンが発生しやすいというような問題がある。さらに、グ
ラニュラー磁性膜は磁性超微粒子が超常磁性を示すた
め、飽和磁界が本質的に大きいという問題を有してい
る。
比較的大きな磁気抵抗変化率が得られ、また飽和磁界が
小さいというような特徴を有する反面、微細素子に加工
した際に抵抗が MΩと大きくなり、これにより応答速度
や高周波特性などの点で問題があると共に、所望の出力
電圧値を得るために素子に流す電流値を増やすと磁気抵
抗変化率が大幅に減少するという問題を有している。
なされたものであり、大きな磁気抵抗変化率および小さ
い飽和磁界を有し、かつ微細素子形状に加工しても抵抗
値が小さく、また素子に流す電流(または電圧)値を増
やしても磁気抵抗変化率の減少が少なく、大きな出力電
圧(または出力電流)が得られる磁気素子、およびそれ
を用いた磁気部品、電子部品を提供することを目的とし
ている。
気素子は、請求項1に記載したように、厚さが 10nm 以下
の少なくとも1層の強磁性層と、前記強磁性層を挟持す
るように配置された誘電体層と、前記誘電体層を介して
前記強磁性層と積層配置され、少なくとも一方が強磁性
体からなる第1および第2の金属層とを有する多重強磁
性トンネル接合膜を具備し、前記強磁性層にはその厚さ
に基づいて離散準位が形成されており、かつ前記第1お
よび第2の金属層間に電圧を印加して前記多重強磁性ト
ンネル接合膜にトンネル電流を流すと共に、前記第1の
金属層から第2の金属層に流れるトンネル電流に対し
て、前記強磁性層に形成された離散準位に基づくスピン
偏極トンネル効果により磁気抵抗効果を発現させること
を特徴としている。
うに、強磁性体が誘電体で分断され、かつ超常磁性を示
さず有限の保磁力を持つ強磁性層と、前記強磁性層を挟
持するように配置された誘電体層と、前記誘電体層を介
して前記強磁性層と積層配置され、少なくとも一方が強
磁性体からなる第1および第2の金属層とを有する多重
強磁性トンネル接合膜を具備し、前記強磁性層には前記
強磁性体が誘電体で分断された構造に基づいて離散準位
が形成されており、かつ前記第1および第2の金属層間
に電圧を印加して前記多重強磁性トンネル接合膜にトン
ネル電流を流すと共に、前記第1の金属層から第2の金
属層に流れるトンネル電流に対して、前記強磁性層に形
成された離散準位に基づくスピン偏極トンネル効果によ
り磁気抵抗効果を発現させることを特徴としている。
された強磁性層を、誘電体層で挟持して作製した 2重以
上の多重強磁性トンネル接合において、これらの強磁性
層に離散準位が形成されると、この離散準位を介してス
ピン偏極トンネル効果が得られる。そして、このスピン
偏極トンネル効果により大きな磁気抵抗変化率(MR変
化率)を得ることができる。このように、本発明者らは
実際に多重強磁性トンネル接合を作製した結果、室温で
強磁性層または、強磁性体が誘電体で分断された強磁性
層に形成された離散準位を介したスピン偏極トンネル効
果によって、大きなMR変化率が得られることを見出し
た。
おけるエネルギーポテンシャル図を示す。図1(a)は
第1の強磁性層(第1の金属層)1/誘電体層2/第2
の強磁性層3/誘電体層4/第3の強磁性層(第2の金
属層)5からなる 2重強磁性トンネル接合を、また図1
(b)は第1の強磁性層1(第1の金属層)/誘電体層
2/第2の強磁性層3/誘電体層4/金属層(第2の金
属層)6からなる 2重強磁性トンネル接合を示してい
る。なお、第2の金属層は強磁性体および非磁性体のい
ずれであってもよい。
て、第2の強磁性層3が十分に薄い場合には、量子効果
により第2の強磁性層3にスピンに依存した離散的なエ
ネルギー準位(離散準位)が形成される。すなわち、第
2の強磁性層3の離散的なエネルギー準位は交換相互作
用のためにスピン分裂しており、上向きスピン(↑)と
下向きスピン(↓)ではエネルギーが交換エネルギーγ
の分だけ異なっている。 ここで、第1の強磁性層1と
第2の強磁性層3のスピンの向きが同じ(図1では上向
きスピン(↑))であるとき、 2重強磁性トンネル接合
にある値以上の電圧を印加すると、第2の強磁性層3に
形成された離散準位を介したスピン偏極トンネル効果に
より抵抗が小さくなる。この状態から一方の強磁性層
(例えば第2の強磁性層3)のスピンの向きを反転させ
ると、スピン偏極したスピン電流の透過率が減少して抵
抗値が大きくなる。多重強磁性トンネル接合において、
このような強磁性層3に形成された離散準位を介して得
られるスピン偏極トンネル効果を利用することによっ
て、例えば室温で 30%を超すような大きなMR変化率を
得ることができる。
磁気抵抗効果において、素子抵抗は多重強磁性トンネル
接合に印加する電圧がある電圧(しきい電圧)を超える
と減少する。これはスピン依存共鳴トンネル効果に基づ
くものであると考えられる。すなわち、多重強磁性トン
ネル接合に電圧を印加すると、第1の強磁性層1から第
3の強磁性層5または金属層6にトンネル電流が流れ
る。そして、この電圧がある値を超えると、第2の強磁
性層3内の離散準位のうちの 1つ(図1では↑スピン)
が第1の強磁性層1の伝導電子のエネルギーと同じレベ
ル(共鳴状態)になる。この共鳴状態にある離散準位の
スピンと同じ向きのスピンを持つ第1の強磁性層1中の
伝導電子は、誘電体層2、4により反射されることなく
第1の強磁性層1から第3の強磁性層5または金属層6
にトンネル伝導する。これがスピン依存共鳴トンネル効
果である。このように、第2の強磁性層3内の離散準位
を制御することによって、スピン依存共鳴トンネル効果
に基づく非常に大きな磁気抵抗効果が得られる。
重強磁性トンネル接合においても、同様な離散準位を介
してスピン偏極トンネル効果が得られる。すなわち、誘
電体体で分断された強磁性層の膜厚は十分に薄く、また
周囲を誘電体マトリックスによって囲まれているため、
強磁性体のエネルギー準位は量子化されて離散的にな
り、しかもスピン分裂している。このような強磁性層に
形成された離散準位を介してスピン偏極トンネル効果が
得られ、このスピン偏極トンネル効果に基づいて室温で
30%を超すような大きなMR変化率が得られる。
30%以上の磁気抵抗変化率を示すものである。また、本
発明の磁気素子は、強磁性層または、強磁性体が誘電体
で分断された強磁性層と、前記強磁性層を挟持するよう
に配置された誘電体層と、前記誘電体層を介して前記強
磁性層と積層配置された第1および第2の電極とを有す
る積層膜を具備し、前記第1および第2の電極間に電圧
を印加して前記積層膜にトンネル電流を流す磁気素子で
あって、室温下で前記第1および第2の電極間に印加す
る電圧に基づいて増加する磁気抵抗変化率を有すること
を特徴としている。
に室温下で 30%以上というような大きなMR変化率が得
られ、また素子抵抗自体も低く、さらに素子に流す電流
(または電圧)値を増やしてもMR変化率の減少がな
く、よって大きな出力電圧(または出力電流)を得るこ
とが可能となる。
明の磁気素子を具備することを特徴としている。また、
本発明の電子部品は、上述したような本発明の磁気素子
を具備することを特徴としている
態について説明する。
膜構造(基本構成)を示す図である。図2に示す磁気素
子は、第1の金属層11/誘電体層12/強磁性層13
/誘電体層14/第2の金属層15からなる積層膜を有
している。このような積層膜において、第1の金属層1
1は強磁性体からなる。一方、第2の金属層15は強磁
性体および非磁性体のいずれであってもよい。なお、第
1および第2の金属層11、15は電極層である。
14、すなわち 2つのトンネル層によって挟まれてお
り、各誘電体層12、14を介して第1の金属層(強磁
性体)11と強磁性層13との間および強磁性層13と
第2の金属層(強磁性体または非磁性金属)15との間
にそれぞれトンネル電流が流れるように構成されてい
る。すなわち、誘電体層12、14を介して、第1の金
属層11、強磁性層13および第2の金属層15の間
に、 2重の多重強磁性トンネル接合が形成されている。
このような積層膜において、強磁性層13が十分に薄
い場合には、図1に示したように、量子効果により強磁
性層13にスピンに依存した離散準位が形成される。そ
して、前述したように、強磁性体からなる第1の金属層
11と第2の金属層15との間に適当な電圧を印加し、
強磁性層13に形成された離散準位を制御(シフト)す
ることによって、スピン偏極トンネル効果を生じさせる
ことができる。また、図24に示すように、強磁性層1
3に形成された離散準位を制御(シフト)する電極(ゲ
ート電極)Gを設けてもよい。この際の強磁性層13
は、後述する誘電体で分断された強磁性層であってもよ
い。この際に、第1の金属層11および強磁性層13の
一方のスピンの方向を変化させることによって、スピン
偏極トンネル効果、さらにはスピン偏極共鳴トンネル効
果に基づく非常に大きなMR変化率を得ることができ
る。
て、離散準位を形成する強磁性層13は 1層に限られる
ものではなく、強磁性層13を複数層とすると共に、こ
れら複数の強磁性層を誘電体層と交互に積層配置して、
3重以上の多重強磁性トンネル接合を有する構成とする
こともできる。すなわち、第1の金属層11/誘電体層
12/(強磁性層13/誘電体層14)N /第2の金属
層15構造の積層膜(N≧ 1:積層数)を使用すること
ができる。このような多重強磁性トンネル接合において
も、誘電体層12、14に挟まれた強磁性層13に上向
きスピン(↑)と下向きスピン(↓)とでエネルギーが
異なる量子準位を形成することによって、スピン偏極ト
ンネル効果に基づく大きなMR変化率が得られる。
13および強磁性体からなる第1の金属層11(第2の
金属層15に強磁性体を用いる場合を含む)の構成材料
は、特に限定されるものではなく、パーマロイに代表さ
れるFe−Ni合金、強磁性を示すFe、Co、Niお
よびそれらを含む合金、NiMnSb、PtMnSbの
ようなホイスラー合金などのハーフメタル、CrO2 、
マグネタイト、Mnペロブスカイトなどの酸化物系のハ
ーフメタル、アモルファス合金などの種々の軟磁性材料
から、Co−Pt合金、Fe−Pt合金、遷移金属−希
士類合金などの硬磁性材料まで、種々の強磁性材料を使
用することができる。
3のうち、一方のスピンの方向のみを変化させるために
は、例えば強磁性体の保磁力の差を利用してもよいし、
また反強磁性膜を積層配置して交換結合により強磁性層
の磁化を固定するようにしてもよい。強磁性層13の厚
さは、上述したように量子効果によりスピンに依存した
離散的なエネルギー準位が形成されるような厚さ、具体
的には10nm以下程度とする。より好ましくは 5nm以下で
ある。第1および第2の金属層11、15の厚さは特に
限定されるものではなく、例えば 0.1〜 100mm程度とす
ることが好ましい。
との 2重以上の多重トンネル接合を有する磁気素子につ
いて説明したが、誘電体で分断された強磁性層を用いた
場合においても、同様なスピン偏極トンネル効果(さら
にはスピン偏極共鳴トンネル効果)を室温で得ることが
できる。これが本発明の第2の磁気素子である。
金属層(強磁性体)11/誘電体層12/誘電体で分断
された強磁性層16/誘電体層14/第2の金属層(強
磁性体または非磁性金属)15からなる積層膜を有して
いる。このような積層膜において、誘電体で分断された
強磁性層16は強磁性体18が誘電体17で分散された
ものであり、この誘電体で分断された強磁性層16は超
常磁性を示さず、有限の保磁力を持つ強磁性体である。
誘電体で分断された強磁性層16は多少ばらつきがあっ
てもよく、誘電体12、14で分断されていればよい。
で、第1の電極層11と第2の電極層13とが近接配置
されており、第1の電極層11と誘電体で分断された強
磁性層12および誘電体で分断された強磁性層12と第
2の電極層13との間に、それぞれトンネル電流が流れ
るように構成されている。すなわち、誘電体で分断され
た強磁性層12と電極層11、13との間には 2重トン
ネル接合が形成されている。
の薄い誘電体層12、14、すなわち 2つのトンネル層
によって挟まれており、各誘電体層12、14を介して
第1の金属層(強磁性体)11と誘電体で分断された強
磁性層16との間および誘電体で分断された強磁性層1
6と第2の金属層(強磁性体または非磁性金属)15と
の間にそれぞれトンネル電流が流れるように構成されて
いる。すなわち、誘電体層12、14を介して、第1の
金属層11、誘電体で分断された強磁性層16および第
2の金属層15の間に、 2重の多重強磁性トンネル接合
が形成されている。
された強磁性層16中の強磁性体18の厚さは十分に薄
いため、強磁性体18のエネルギー準位は量子化されて
離散的になり、しかもスピン分裂している。従って、前
述した第1の実施形態と同様に、強磁性体からなる第1
の金属層11と第2の金属層15との間に適当な電圧を
印加し、誘電体で分断された強磁性層16に形成された
離散準位を制御(シフト)することによって、スピン偏
極トンネル効果を生じさせることができる。この際に、
第1の金属層11および誘電体で分断された強磁性層1
6の一方のスピンの方向を変化させることによって、ス
ピン偏極トンネル効果、さらにはスピン偏極共鳴トンネ
ル効果に基づく非常に大きなMR変化率、例えば室温で
30%以上というような大きなMR変化率を得ることがで
きる。
て、誘電体で分断された強磁性層16は 1層に限られる
ものではなく、例えば図4に示すように、複数の誘電体
で分断された強磁性層16a、16b、16cと誘電体
層14a、14b、14cとを交互に積層配置して、 3
重以上の多重強磁性トンネル接合を有する構成とするこ
ともできる。すなわち、第1の金属層11/誘電体層1
2/(誘電体で分断された強磁性層16/誘電体層1
4)N /第2の金属層15構造の積層膜(N≧ 1:積層
数)を使用することができる。このような構成において
も、誘電体で分断された強磁性層の離散準位を制御する
こととよって、スピン偏極トンネル効果に基づく大きな
MR変化率が得られる。
ー型の素子であり、誘電体で分断された強磁性層16
a、16bと誘電体層14a、14b、14cとを交互
に積層した積層膜上に、第1の金属層(強磁性体)11
と第2の金属層(強磁性体または非磁性金属)15とが
分離された状態で配置されている。このようなプラーナ
ー型磁気素子は微細加工技術を用いて容易に作製するこ
とができる。
電体で分断された強磁性層16は上述したように誘電体
17で強磁性体18を分断したものである。この誘電体
で分断された強磁性層16のスピンは超常磁性を示さ
ず、有限の保磁力を持つ強磁性体であり、理想的にはそ
のスピンは一方向に揃っていることが望ましい。この場
合、誘電体で分断された強磁性層16に量子準位が形成
される。
することができる。例えば、誘電体で分断された強磁性
層16を磁化固定層とする場合には、磁気異方性の大き
いCo、Co−Pt合金、Fe−Pt合金、遷移金属−
希土類合金などを用いることが好ましい。誘電体で分断
された強磁性層16を軟磁性層として用いる場合、特に
磁性微粒子18の構成材料は限定されるものではなく、
Fe、Co、Niおよびそれらを含む合金、スピン分極
率の大きいマグネタイト、CrO2 、RXMnO
3-y (Rは希土類金属、XはCa、BaおよびSrから
選ばれる少なくとも 1種の元素、 yは 0に近い値)など
の酸化物系磁性材料、NiMnSb、PtMnSbなど
のホイスラー合金などを使用することができる。
磁化固定層とする場合においても、例えば誘電体で分断
された強磁性層16に接してFeMn、PtMn、Ir
Mn、PtCrMn、NiMn、NiOなどの反強磁性
膜を配置して、誘電体で分断された強磁性層16のスピ
ンを一方向に固着すれば、種々の強磁性材料を強磁性体
18に適用することができる。さらに、誘電体で分断さ
れた強磁性層16の両端部に一対の硬磁性膜を隣接配置
し、この硬磁性膜から誘電体で分断された強磁性層16
にバイアス磁界を印加することによってスピンを固定す
るようにしてもよい。
としては、Al2 O3 、SiO2 、MgO、AlN、B
i2 O3 、MgF2 、CaF2 などの種々の誘電体材料
を使用することができ、このような誘電体17で強磁性
体18を分断することで強磁性層16が得られる。な
お、上記した酸化膜、窒化膜、フッ化膜などでは、それ
ぞれの元素の欠損が一般的に存在するが、そのような誘
電体膜であっても何等問題はない。
(第2の金属層15に強磁性体を用いる場合を含む)の
構成材料については、前述した実施形態で示したよう
に、種々の強磁性材料を使用することができる。また、
強磁性材料はAg、Cu、Au、Ta、B、C、Pd、
Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nbなどの非磁性元素を
多少含んでいても、強磁性を失わない限り特に問題はな
い。
する場合、第1の金属層11と第2の金属層15とは必
ずしも同じ材料で構成する必要はない。また、これら強
磁性層は単層構造に限らず、非磁性層を介して配置した
2つの強磁性層を有し、これら強磁性層の磁化を互いに
反平行となるように結合させた積層膜で、強磁性膜14
を構成することもできる。このような反平行に結合させ
た積層膜によれば、強磁性膜14から磁束が外部に漏れ
ることを防ぐことができる。
層した積層膜を、第1の金属層11として用いることも
できる。この場合には、熱や光照射によりスピンを反転
させることができるため、磁界が不要になるという特徴
がある。このような積層膜に用いる半導体としては、B
20構造のFeSi合金などが挙げられる。
および強磁性層(少なくとも第1の金属層11)は、そ
れぞれ膜面内に一軸磁気異方性を有することが望まし
い。これによって、急峻な磁化反転を起こすことができ
ると共に、磁化状態を安定して保持することができる。
第1の金属11および第2の金属層15の膜厚は特に限
定されるものではないが、例えば 0.1〜 200nmの範囲と
することが好ましい。このうち、誘電体で分断された強
磁性層16の膜厚はできるだけ薄い方が好ましいが、作
製上均一な膜厚を維持することができ、またトンネル電
流に対して悪影響を及ぼさない膜厚であればよく、例え
ば10nm以下とすることが好ましい。誘電体層12、14
の厚さは 1nm〜数nmというように薄いほうが好ましい
が、特に制限はない。なお、作製上10nm以下とすること
が好ましい。
には薄膜状であり、分子線エピタキシー(ΜBE)法、
各種スパッタ法、蒸着法などの通常の薄膜形成方法を適
用して作製することができる。また、上述した積層膜を
作製する基板は特に限定されるものではなく、結晶質お
よび非晶質、または磁性体および非磁性体の区別なく、
種々の基板を使用することができる。例えば、Si、S
iO2 、Al2 O3 、スピネル、MgO、AlNなどの
各種基板を使用することができる。
室温下で印加電圧に基づいてMR変化率が増加し、例え
ば室温下で 30%以上というような大きなMR変化率を得
ることができる。このような本発明の磁気素子は、磁気
抵抗効果型磁気ヘッド、磁気センサ、磁気記憶素子など
の磁気抵抗効果を利用した磁気部品などに適用すること
ができる。さらに、本発明の磁気素子に生じる電流−電
圧特性の負性抵抗を利用して、スピンダイオード素子な
どを作製することもできる。また、半導体トランジスタ
などの従来の半導体素子と組み合わせて使用することも
可能である。
用する場合の素子構造について説明する。図6〜図8は
本発明の磁気素子を磁気ヘッドとして使用する場合の膜
構造例を示す断面図である。これらの図において、21
は離散準位が形成される強磁性層または誘電体で分断さ
れた強磁性層(誘電体との多層積層膜を含む)、22は
強磁性層(第1の金属層)、23は強磁性層(第2の金
属層)、24は誘電体層である。なお、図8において、
25は強磁性層または誘電体で分断された強磁性層と誘
電体との多層積層膜を示す。
子を磁気ヘッドとして使用する場合には、強磁性層2
2、23や離散準位が形成される強磁性層または誘電体
で分断された強磁性層21、25に接して、FeMn、
PtMn、IrMn、PtCrMn、NiMn、Ni
O、Fe2 O3 などの反強磁性膜26を配置し、この反
強磁性膜26からバイアス磁界を印加することによっ
て、磁性層のスピンを一方向に固着することが好まし
い。
構造において、各層の磁気特性(軟磁性および硬磁性)
を組合せることで良好な磁気ヘッドを構成することがで
きる。例えば、図6において離散準位が形成される強磁
性層または誘電体で分断された強磁性層21は軟磁性
層、強磁性層22、23は硬磁性層である。図7におい
て、強磁性層22は軟磁性層、離散準位が形成される強
磁性層または誘電体で分断された強磁性層21と強磁性
層23は硬磁性層である。図8において、強磁性層22
は軟磁性層、離散準位が形成される強磁性層または誘電
体で分断された強磁性層と誘電体との多層積層膜25は
硬磁性層である。
膜、磁場中熱処理により隣り合う磁性層のスピンを略直
交させることによって、HDDの記録媒体からの漏れ磁
束に対して良好な線形応答性が得られる。このような構
造はいかなる磁気ヘッド構造においても使用することが
できる。
適用する場合の素子構造について説明する。図9〜図1
2は本発明の磁気素子を磁気記憶素子として使用する場
合の膜構造例を示す断面図である。
場合の磁気記憶素子の素子構造である。この場合には、
強磁性層22、23や離散準位が形成される強磁性層ま
たは誘電体で分断された強磁性層21、25に接して、
FeMn、PtMn、IrMn、PtCrMn、NiM
n、NiOなどの反強磁性膜26を配置し、この反強磁
性膜26からバイアス磁界を印加することによって、磁
性層のスピンを一方向に固着することが好ましい。図9
において、強磁性層22は軟磁性層、離散準位が形成さ
れる強磁性層または誘電体で分断された強磁性層21と
強磁性層23は硬磁性層である。図10において、強磁
性層22は軟磁性層、離散準位が形成される強磁性層ま
たは誘電体で分断された強磁性層と誘電体との多層積層
膜25は硬磁性層である。
を想定した場合の磁気記憶素子の素子構造であり、軟磁
性層と硬磁性層とを適当に組合せることによって、読み
出し層および書き込み層を設け、電流磁界で軟磁性層の
磁化を反転させることにより、書き込み層の情報を非破
壊で読み出すことができる。図11において、強磁性層
22は軟磁性層、離散準位が形成される強磁性層または
誘電体で分断された強磁性層21と強磁性層23は硬磁
性層である。図12において、強磁性層22は軟磁性
層、離散準位が形成される強磁性層または誘電体で分断
された強磁性層21は硬磁性層であり、第2の金属層は
非磁性金属層27である。
うに、層間の相互作用が反強磁性的に結合した磁性体2
8/非磁性体29/磁性体30構造の積層膜を用いても
よい。非磁性体29として半導体を用いた場合には、光
によりスピンスイッチさせることができる。
うな本発明の磁気素子31をトランジスタ31、書き込
みライン32、読み出しライン33、ビットライン34
などと共にセル状に基板上に微細加工することによっ
て、磁気記録装置を作製することができる。
は磁気ヘッドや磁気記憶素子などの磁気部品に限らず、
本発明の磁気素子に生じる電流−電圧特性の負性抵抗を
利用して、スピンダイオード素子などの電子部品を作製
することもできる。
る。
00μm と比較的大きな接合面積で試料を作製したため、
電極の抵抗を小さくするために強磁性電極の下地とオー
バーレイヤーとして厚さ 200nmのAu層を設けている。
しかし、実際に使用する際には数μm と小さいため、特
にAu層は必要ない。
lをターゲットとしてArガス圧 1×10-3Torrで磁場中
成膜(一軸異方性の付与)を実施した。まず、Si/A
l2 O3 基板上にメタルマスクを用いてAu(200nm) /
Fe(50nm)/Co−Fe−Pt(0.5nm)電極を積層し、
真空中でメタルマスクを交換した後にAlを 1nm成膜
し、Al膜をプラズマ酸化した。
e−Ptを 2nmを成膜し、さらにAlを 1nm成膜してプ
ラズマ酸化した後、ネガレジストを層間絶縁層として用
い、その上にCo9 Fe(40nm)/Au(200nm) 電極を成
膜した。このようにして、Fe/Co−Fe−Pt/A
l2 O3 /Co−Fe−Pt/Al2 O3 /Co9 Fe
構造(図2に示した構造)の 100μm 2 角の 2重トンネ
ル接合を作製した。
測定した結果、保磁力か大きいCo−Fe−Ptと保磁
力が比較的小さいFe/Co−Fe−Pt、Co9 Fe
のヒステリシス曲線の足し合わせである、保磁力差が存
在する 2段のヒステリシス曲線が観測された。
印加電圧依存性の測定結果を図15に示す。素子に印加
する電圧値を増やしていくと、あるしきい電圧値以上で
素子抵抗が急激に減少して磁気抵抗効果が増大してい
る。これはCo−Fe−Ptに形成された量子力学的離
散準位を介したスピン依存トンネル効果に基づくもので
ある。このことは素子に印加する電圧または素子に流す
電流を適当に選ぶことによって、MR値が大きく低抵抗
の素子が実現できることを示している。
を見ると、FeおよびCo9 Feは約10Oe という小さ
な磁場で急峻に磁気抵抗効果が変化し、磁気抵抗効果型
へッド、磁気センサ、磁気記憶素子として良好な特性が
得られていることが分かる。なお、誘電体層としてSi
O2 、AlN、MgO、Bi2 O3 、MgF2 、CaF
2 を用いた場合においても、同様の傾向を示した。
中成膜(一軸異方性の付与)を行った。まず、熱酸化S
i基板上にメタルマスクを用いてAu(200nm)/Fe(40
nm)を成膜した後、Co8 Pt2 膜を10nm成膜した。次
いで、メタルマスクを交換した後にCo8 Pt2 とSi
O2 をターゲットとして、Co8 Pt2とSiO2 の体
積比が 1:1になるように交互スパッタを行った。その
際、基板バイアスを400Wかけながら成膜を行って、(S
iO2 で分断されたCo8 Pt2 層/SiO2 )の層状
積層膜を作製した。
ルマスクを交換してCo8 Pt2 (20.5nm)/Co9 Fe
(40nm)/Au(200nm) を形成した。このようにして、F
e/Co8 Pt2 /SiO2 /(SiO2 で分断された
Co8 Pt2 /SiO2 )/Co8 Pt2 /Co9 Fe
構造の 100μm 2 角の 2重トンネル接合(図3に示した
構造)、Fe/Co8 Pt2 /SiO2 /(SiO2 で
分断されたCo8 Pt2 /SiO2 )2 /Co8 Pt2
/Co9 Fe構造の 100μm 2 角の 3重トンネル接合を
作製した。
を測定した結果、保磁力が大きいSiO2 で分断された
Co8 Pt2 層と保磁力が比較的小さいFe/Co8 P
t2、Co8 Pt2 /Co9 Feのヒステリシス曲線の
足し合わせである、保磁力差が存在する 2段のヒステリ
シス曲線が観測された。
子電圧の印加電圧依存性の測定結果を図17に示す。図
17から素子に印加する電圧値を増やしていくとあるし
きい電圧値以上で素子抵抗が減少し、磁気抵抗効果が増
大するCo8 Pt2 に形成された離散準位を介したスピ
ン依存トンネル効果が得られていることが分かる。さら
に、図18に示すように、印加電圧に対してスピンが平
行、反平行の場合の差△Rは増大している。このことは
素子に印加する電圧または素子に流す電流を適当に選ぶ
ことによって、図19に示すようにMR値が大きく低抵
抗の素子が実現できることを示している。さらに、磁気
抵抗効果型ヘッド、磁気センサ、磁気記憶素子として良
好な特性を示した。
gO、Bi2 O3 、MgF2 、CaF2 を用いた場合に
も同様の傾向を示した。
フによる微細パターンを利用して、熱酸化Si基板上に
図5に示した素子構造を作製した。まず、Co8 Pt2
とSiO2 をターゲットとして、Co8 Pt2 とSiO
2 の体積比が1:1になるように交互スパッタを行った。
その際、基板にメタルマスクをかぶせると共に、基板バ
イアスを400wかけながら成膜を行った。その後、SiO
2 を1nm成膜して、 100μm 2 角のSiO2 /(SiO
2 で分断されたCo8 Pt2/SiO2 )2 構造の積層
膜を作製した。その際のArガス圧は 1×10-3Torrとし
た。
ストをパターニングした後、上部強磁性層としてCo8
Fe2 /Ni8 Fe2 を成膜し、リフトオフにより20μ
m 2角のパターンを作製した。このようにして、図5に
示した構造を有するトンネル接合を作製した。その後、
各試料を 200℃で磁場中熱処理して一軸異方性を付与し
た。
化率、素子電圧の印加電圧依存性を測定した。その結果
を図20に示す。図20から素子に印加する電圧値を増
やしていくとあるしきい電圧値以上で素子抵抗が減少し
て、磁気抵抗効果が増大するスピン依存共鳴トンネル効
果が得られていることが分かる。このことは素子に印加
する電圧または素子に流す電流を適当に選ぶことによっ
て、MR値が大きく低抵抗の素子が実現できることを示
している。
ると、Co8 Fe2 /Ni8 Fe2層は約 6Oe という
小さな磁場で急峻に磁気抵抗効果が変化し、磁気抵抗効
果型へッド、磁気センサ、磁気記憶素子として良好な特
性が得られていることが分かる。
N、MgO、Bi2 O3 、MgF2 、CaF2 を用いた
場合においても同様の傾向を示した。
Si基板上にAu(200nm) /Ir−Mn(15nm)/Co9
Fe(20nm)をArガス圧 1×10-3Torrで成膜した。次い
で、Co8 Pd2 とAl2 O3 をターゲットとして、C
o8 Pd2 とAl2 O3 の体積比が 1:1になるようにA
rガス圧で 1×10-3Torr、O2 ガス圧 1×10-5Torrで交
互スパッタを行った。その際、基板バイアスを300Wかけ
ながら成膜を行った。
することによって、Al2 O3 /(Al2 O3 で分断さ
れたCo8 Pd2 /Al2 O3 )構造の層状積層膜、A
l2O3 /(Al2 O3 で分断されたCo8 Pd2 /A
l2 O3 )2 構造の層状積層膜を作製した。次に、Al
2 O3 を層間絶縁膜として用いた後、その上に、Arガ
ス圧 1×10-3TorrでスパッタしてCo8 Pd2 (0.8nm)
/Co9 Fe(10nm)/NiFe(30nm)/Au(200nm) を
形成した。このようにして、図7に示した構造の 100μ
m 2 角の 2重トンネル接合および 3重トンネル接合を作
製した。その後、試料を 300℃にて磁場中熱処理して一
軸異方性を付与した。
化率、素子電圧の印加電圧依存性を測定した。その結果
を図22に示す。図22から素子に印加する電圧値を増
やしていくとあるしきい電圧値以上で素子抵抗が減少し
て、磁気抵抗効果が増大するスピン依存トンネル効果が
得られていることが分かる。このことは素子に印加する
電圧または素子に流す電流を適当に選ぶことによって、
MR値が大きく低抵抗の素子が実現できることを示して
いる。
ると、Co9 Fe/NiFe層は約5Oe という小さな
磁場で急峻に磁気抵抗効果が変化し、磁気抵抗効果型ヘ
ッド、磁気センサ、磁気記憶素子として良好な特性を有
していることが分かる。
MgO、Bi2 O3 、MgF2 、CaF2 を用いた場合
においても、同様の傾向を示した。
基板上に表1に示す構造を有する 100μm 2 角の多重ト
ンネル接合を作製した。作製方法は実施例1〜実施例5
と同様とした。
電圧依存性を測定したところ、素子に印加する電圧値を
増やしていくとあるしきい電圧値以上で素子抵抗が減少
して、磁気抵抗が増大する強磁性層に形成された量子力
学的離散準位を介したスピン依存トンネル効果が得られ
た。これら各試料の抵抗値最小の電流を印加したときの
磁気抵抗変化率および素子抵抗を表1に併せて示す。こ
れらは素子に印加する電圧または素子に流す電流を適当
に選ぶことによって、MR値が大きく低抵抗の素子が実
現できることを示している。また、磁気抵抗効果型ヘッ
ド、磁気センサ、磁気記憶素子として良好な特性が得ら
れた。
は多重強磁性トンネル接合のスピン偏極トンネル効果に
基づいて、室温下で印加電圧に応じて磁気抵抗変化率が
増加し、例えば室温下で 30%以上というような大きな磁
気抵抗変化率が得られる。従って、このような本発明の
磁気素子によれば、大きな出力電圧を得ることが可能と
なり、磁気抵抗効果型ヘッド、磁気センサ、磁気記憶素
子などの特性向上に大きく寄与するものである。
ポテンシャルを示す図である。
膜構造を示す断面図である。
膜構造を示す断面図である。
ある。
本膜構造を示す断面図である。
の膜構造の一実施形態を示す断面図である。
の膜構造の他の実施形態を示す断面図である。
の膜構造のさらに他の実施形態を示す断面図である。
際の膜構造の一実施形態を示す断面図である。
る際の膜構造の他の実施形態を示す断面図である。
る際の膜構造のさらに他の実施形態を示す断面図であ
る。
る際の膜構造のさらに他の実施形態を示す断面図であ
る。
図である。
のセル構造の一例を示す図である。
抗変化率および素子電流の印加電圧依存性を示す図であ
る。
抗効果曲線を示す図である。
抗変化率および素子電流の印加電圧依存性を示す図であ
る。
が平行、反平行の場合の差△Rの印加電圧依存性を示す
図である。
抗効果曲線を示す図である。
抗変化率および素子電流の印加電圧依存性を示す図であ
る。
抗効果曲線を示す図である。
抗変化率および素子電流の印加電圧依存性を示す図であ
る。
抗効果曲線を示す図である。
の素子概略構造を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 厚さが 10nm 以下の少なくとも1層の強磁
性層と、前記強磁性層を挟持するように配置された誘電
体層と、前記誘電体層を介して前記強磁性層と積層配置
され、少なくとも一方が強磁性体からなる第1および第
2の金属層とを有する多重強磁性トンネル接合膜を具備
し、前記強磁性層にはその厚さに基づいて離散準位が形成さ
れており、かつ前記第1および第2の金属層間に電圧を
印加して前記多重強磁性トンネル接合膜にトンネル電流
を流すと共に、前記第1の金属層から第2の金属層に流
れるトンネル電流に対して、 前記強磁性層に形成された
離散準位に基づくスピン偏極トンネル効果により磁気抵
抗効果を発現させることを特徴とする磁気素子。 - 【請求項2】 強磁性体が誘電体で分断され、かつ超常
磁性を示さず有限の保磁力を持つ強磁性層と、前記強磁
性層を挟持するように配置された誘電体層と、前記誘電
体層を介して前記強磁性層と積層配置され、少なくとも
一方が強磁性体からなる第1および第2の金属層とを有
する多重強磁性トンネル接合膜を具備し、前記強磁性層には前記強磁性体が誘電体で分断された構
造に基づいて離散準位が形成されており、かつ前記第1
および第2の金属層間に電圧を印加して前記多重強磁性
トンネル接合膜にトンネル電流を流すと共に、前記第1
の金属層から第2の金属層に流れるトンネル電流に対し
て、 前記強磁性層に形成された離散準位に基づくスピン
偏極トンネル効果により磁気抵抗効果を発現させること
を特徴とする磁気素子。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の磁気素子
において、 前記多重強磁性トンネル接合膜はスピン偏極共鳴トンネ
ル効果を示すことを特徴とする磁気素子。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の磁気素子
において、 前記強磁性層と前記強磁性体からなる金属層のうち、一
方のスピンの方向を変化させることにより磁気抵抗効果
を発現させることを特徴とする磁気素子。 - 【請求項5】 強磁性層または、強磁性体が誘電体で分
断された強磁性層と、前記強磁性層を挟持するように配
置された誘電体層と、前記誘電体層を介して前記強磁性
層と積層配置された第1および第2の電極とを有する積
層膜を具備し、前記第1および第2の電極間に電圧を印
加して前記積層膜にトンネル電流を流す磁気素子であっ
て、 室温下で前記第1および第2の電極間に印加する電圧に
基づいて増加する磁気抵抗変化率を有することを特徴と
する磁気素子。 - 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
記載の磁気素子を具備することを特徴とする磁気部品。 - 【請求項7】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
記載の磁気素子を具備することを特徴とする電子部品。
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