JP3691898B2 - 磁気抵抗効果素子、磁気情報読み出し方法、及び記録素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気情報読み出し方法、及び記録素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気情報読み出し方法、及び記録素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗効果は、ある種の磁性体に磁界を加えることによって、電気抵抗が変化する現象であり、磁界センサや磁界ヘッドなどに利用されている。たとえば、強磁性体を用いた磁気抵抗効果素子は温度安定性に優れ、かつ使用範囲が広いという特徴を有している。
【0003】
磁気抵抗効果素子としては、従来、FeNi合金などのパーマロイ薄膜が使用されてきた。これをハードディスクなどの再生ヘッドに使用することで高密度磁気記録が達成されている。しかし、パーマロイ薄膜の磁気抵抗変化率は2−3%程度と小さいため、さらなる高密度記録を達成しようとすると十分な感度が得られないという問題があった。
【0004】
一方、近年、新しいメカニズムに基づく非常に大きな磁気抵抗効果を示す、いわゆる巨大磁気抵抗効果材料として、磁性層と非磁性層とを数nmの周期で交互に積層し、非磁性層を介して相対する磁性層の磁気モーメントを反平行状態で磁気的に結合させた積層膜、いわゆる人工格子膜が注目されている。たとえば、Fe/Crの人工格子膜(Phys.Rev.Lett.61,2472(1988)参照)や、Co/Cuの人工格子膜(J.Mag.Mag.Mater.94,L1(1991),Phys.Rev.Lett.66,2152(1991)参照)などが見いだされている。
【0005】
また、非磁性金属層を介して強磁性層を積層した強磁性層/非磁性層/強磁性層からなる金属サンドイッチ膜において、強磁性層間の交換結合がなくなる程度に非磁性金属層の膜厚を厚くし、かつ、一方の強磁性層に接してFeMnなどの反強磁性膜を配置して交換結合させることにより、その強磁性層の磁気モーメントを固定し、他方の強磁性層のスピンのみを外部磁場で容易にスイッチできるようにした、いわゆるスピンバルブ膜が知られている。この場合、2つの強磁性層間に交換結合がないため小さな磁場でスピンをスイッチできるので、上記交換結合膜に比べて感度の高い磁気抵抗効果素子を提供でき、将来の高密度磁気記録用再生ヘッドとして現在、最も期待されている。
【0006】
以上は膜面内に電流を流した場合の磁気抵抗効果であるが、膜面に垂直方向に電流を流す、いわゆる垂直磁気抵抗効果を利用すると、さらに大きな磁気抵抗効果が得られることも知られている(Phys.Rev.Lett.66,3060(1991)参照)。さらには、強磁性層/絶縁体層/強磁性層からなる3層膜において、外部磁場によって2つの強磁性層のスピンを互いに平行あるいは反平行にすることにより、膜面垂直方向のトンネル電流の大きさが互いに違うことを利用した、強磁性トンネル接合による巨大磁気抵抗効果も知られている。
【0007】
一方、巨大磁気抵抗効果を磁気ヘッドなどの磁界センサーに使用する代わりに、磁気記録素子に利用することも最近研究されている(Jpn.J.Appl.Phys.34,L415(1995))。この場合、交換結合のない上記スピンバルブ構造が利用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの上記磁気記録素子は、非磁性金属層を介した二つの金属強磁性層からなるスピンバルブ膜であり、強磁性層の一方は磁気的にハード(高保磁力)であるか、あるいは強磁性層に反強磁性層を接して設け、交換結合によって該強磁性層をハードにしており、他方の磁性層はこれより磁気的にソフトである。また、ハード層とソフト層の間には磁気的結合がないように非磁性層の膜厚を厚くしている。
【0009】
このような3層膜に別に設けたワード線にパルス電流を流して外部磁場を印加し、これによって上記ハード層あるいはソフト層のスピンを反転させ、そのスピンの向きによって0,1を記録し、読み出しは、より弱いパルス電流磁界を印加してソフト磁性層のスピンのみを反転させ、その際の磁気抵抗効果を利用して0,1を再生している。しかし、ソフト層を記録層とした場合には読み出しによって記録が破壊する、いわゆる破壊読み出しになり、またソフト層の保磁力が小さいため外部磁界に対する安定性が問題であった。一方、ハード層を記録層とした場合には非破壊読み出しが可能であるものの、ハード層の保磁力が大きいため磁化反転に大きな磁界を必要とし、そのため大きな電流を流さなければならず、素子の発熱の問題があった。また、両者に共通して再生電圧が小さいという欠点もあった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、磁気抵抗効果を用いた記録素子で磁気情報を非破壊で読み出すことができ、かつ、再生出力の大きい磁気抵抗効果素子磁気情報読み出し方法、及び記録素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁性層間に介在する第1の非磁性導電層とを有し、第1及び第2の強磁性層が各々磁化の向きが可変であり互いに反強磁性的に交換結合している磁気積層膜と;磁化の向きが固定された強磁性導電膜と;この強磁性導電膜と前記磁気積層膜との間に介在するトンネル絶縁膜とを具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【0012】
また、この磁気抵抗効果素子の磁気情報再生方法として、
印加磁界(Hr )と前記磁気積層膜の飽和磁界(Hs )と前記強磁性導電膜の保磁力(Hc )との関係がHs <Hr <Hc を満たす磁界を印加したときの前記磁気積層膜と前記強磁性導電膜との間のトンネル電流により前記強磁性導電層の磁化状態を検出することを特徴とする磁気情報再生方法を提供する。
【0013】
また本発明は、
第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁性層間に介在する第1の非磁性層とを有し、この第1の非磁性層に外部エネルギーを印加することで第1及び第2の強磁性層間に交換結合が誘起される磁気積層膜と;
強磁性導電膜と;
この強磁性導電膜と磁気積層膜との間に介在するトンネル絶縁膜とを具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【0014】
また、この磁気情報再生方法として、磁気積層膜に交換結合を誘起した際のトンネル電流により磁気積層膜の磁化状態を検出することを特徴とする磁気情報再生方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、非磁性導電層3を介して積層された第1及び第2の強磁性導電層1,2を含む磁性積層膜6と強磁性導電膜4とがトンネル絶縁膜5を介して積層された構成を基本とする(図1)。なお、各磁性膜、磁性層には弱い一軸磁気異方性が導入されていることが望ましい。磁化の2方向を安定化するためと、急しゅんな磁化反転を起こし易いためである。
【0016】
記録層としては磁性積層膜6中の第1の強磁性導電層1を用いることもできるし、磁性積層膜6に積層された強磁性導電膜4を用いることもできる。
まず、強磁性導電膜4を記録層に用いた場合について説明する。
【0017】
磁性積層膜6として第1及び第2の強磁性導電層同士が反強磁性的交換結合をしているものを用いる。この磁性積層膜の飽和磁界をHs とする。すなわち無磁場では非磁性層を介して積層された強磁性層の磁化の向きは反平行で安定しているが、Hs 以上の磁界印加で印加磁界方向に磁化の向きがそろうことになる。
【0018】
強磁性導電膜4への記録は記録磁界(Hw )の印加で行う。例えば、図2(a),(b)に示す様に、左向きを“0”、右向きを“1”とすれば良い。記録磁界(Hw )は強磁性導電膜4の保磁力(Hc )より大きいことが必要である。
【0019】
記録時のHw の印加により一時的に磁性積層膜の磁化も同方向になり得るが、Hw をとりさることにより安定である反平行状態に戻る。この場合でも強磁性導電膜4と磁性積層膜との間はトンネル絶縁膜により磁気的交換結合がなく、また、Hs <Hc とすることで強磁性膜の磁化状態は影響を受けることはない。ただし、磁性積層膜の第2の強磁性層、すなわち強磁性膜に近い方は強磁性膜の静磁結合の影響を受け、常に強磁性膜の磁化と反平行になる様に変化すると考えられる。
【0020】
次に読み出しである。読み出しの際には磁性積層膜6と強磁性導電膜4との間のトンネル電流を用いる。すなわち磁性積層膜6に読み出し磁界(Hr )を印加し、磁化を一方向にそろえる。非破壊読み出しが必要であるからHr <Hc となる。この様なHr を印加し、例えば強磁性層膜の“1”の状態と同じ向きとする(図2(c))。
【0021】
ここで強磁性導電膜4の記録状態が“1”のときは、磁性積層膜と強磁性膜との磁化の向きが同じであるため、磁性積層膜と強磁性膜との間のトンネル確率が大となる。従って磁性積層膜と強磁性膜との間にバイアス電圧を印加しておけば、トンネル電流が流れ、測定される磁性積層膜−強磁性導電膜間の電圧は小さくなる。
【0022】
これに対し、強磁性膜の記録状態が“0”のときは、磁性積層膜6と強磁性導電膜4との磁化の向きが逆であるため、磁性積層膜と強磁性膜との間のトンネル確率が小となる。従ってトンネル電流は非常に流れ難くくなる。従って測定される磁性積層膜−強磁性導電膜間の電圧は大きくなる。
【0023】
この様にトンネル電流の大小により“0”,“1”状態を読み出すことができる。前述の如く、読み出し時の印加磁界(Hr )を強磁性層の保磁力(Hc )より小とすることで非破壊の読み出しが可能となる。また、読み出し時の印加磁界(Hr )は磁性積層膜の磁化を所定方向にそろえるため、磁性積層膜の飽和磁界(Hs )より大とする。従ってHc >Hr >Hs となる。
【0024】
例えば、磁性積層膜と強磁性膜との間にバイアス電圧を印加しておき、磁性積層膜の磁化が右向き(“1”と同方向)となるような磁界(Hr )をかけると、“0”状態では磁性積層膜と強磁性膜間の抵抗が高く、“1”状態では抵抗が低くなるので、“1”のときにのみ、磁性積層膜と強磁性膜間の電圧が低くなる。
【0025】
この様なHw の印加は、図3に示す様に磁性積層膜と強磁性膜との積層体に近接配置した、例えば絶縁膜8を介して形成された導体路(ワード線)に電流を流すことで行うことができる。すなわち図3において、紙面垂直方向に電流を流す構成を採れば良い。紙面裏から表に電流を流すことでこの積層体に右向きの磁界を印加することができる。
【0026】
右向きのHr を発生する電流の向きを正として図4(a)に示す電流パルスをワード線に印加した場合の出力電圧を図4(b),(c)に示す。“1”の場合、初期値Vo (バイアス電圧)から抵抗の低下分に相当するΔVの減少が生じる。“0”の場合出力電圧の変化はない。Vo の値はトンネル確率により、理想的にはバイアス電圧と等しくなる。
【0027】
w の印加のみならず、書き込みの際にもワード線7からの電流磁界を用いることができる。図3において紙面裏から表に電流を流すことで図2(b)すなわち、“1”の状態を、逆向きの電流で図2(a)、すなわち“0”の状態を実現できる。Hw >Hr の関係が必要であるが、ワード線7に流す電流の大きさで容易に制御できる。
【0028】
磁性積層膜のかわりに磁化が固定された膜を用いても同様の読み出しができる。しかしながら、この様な磁化固定膜は外部磁場により磁化状態が変化してしまうことがあり得るが、反強磁性的交換結合を用いた上述の例は安定性が高い。たとえ外部磁界で一方向に磁化がそろったとしても外部磁化がなくなれば反平行状態にもどる。更に磁気情報を記録する強磁性膜と第2の強磁性層とは交換結合はないが磁化が反平行で安定であり、磁気記録の安定性でも優れている。
【0029】
以上の例では強磁性導電膜を記録層として用いたが、次に磁性積層膜中の強磁性層を記録層として用いた例を説明する。
磁性積層膜としてその構成層である非磁性層に光若しくは熱を印加することで非磁性層を介して積層されている強磁性層間に交換結合を誘起する積層膜を用いる。
【0030】
磁性積層膜にトンネル絶縁膜を介して積層される強磁性導電膜の磁化の向きは所定方向に固定しておき、外乱で磁化方向が変化しない程度の保磁力を有しているものとする。
【0031】
磁性積層膜中の、強磁性導電膜とは反対側の強磁性導電層(第1の強磁性導電層)に磁気導電情報を記録する。例えば、図5(a),(b)に示す様に左向きの強化状態を“0”,右向きを“1”とする。
【0032】
読み出し時には磁性積層膜を活性状態とし第1の強磁性導電層と第2の強磁性導電層間に交換結合を誘起し、第1の強磁性導電層の磁化状態を第2の強磁性導電層に伝達する。ここでは第2の強磁性導電層の保磁力を第1の強磁性導電層の保磁力より小とすることで第1の強磁性層の磁化はかわらず第2の強磁性導電層の磁化の向きが変わる。
【0033】
例えば、強磁性導電膜の磁化の向きを“1”の場合と同じ向き、例えば右向きとしておく。この強磁性導電膜と第2の強磁性導電膜との間のトンネル電流を利用する。
【0034】
光若しくは熱などの外部エネルギーの印加で交換結合が誘起される磁性積層膜としてはいくつかのタイプが考えられる。例えば、通常は強磁性的交換結合があり、励起状態では反強磁性的交換結合が誘起される場合、また、通常は交換結合がなく励起状態では強磁性的交換結合が誘起される場合などがある。前者の例としてはFe/Siの積層膜、後者の例としてはCo/Siの積層膜が挙げられる。
【0035】
まず、強磁性交換結合から反強磁性交換結合が誘起される場合について説明する。
記録時には記録磁界(Hw )の印加で第1及び第2の強磁性導電層は“1”,“0”に応じて同じ向きに磁化される。
【0036】
読み出し時にはエネルギー(光若しくは熱)を印加し活性化し、反強磁性交換結合を誘起する。非活性から活性、更に非活性と変化させる。この時の磁化の変化と出力電圧の変化を図6に示す。図6(a)は活性時を示すタイムチャート、同(b)は“0”の磁化状態、同(c)は“0”の出力電圧、同(d)は“1”の磁化状態、同(e)は“1”の出力電圧を示す。
【0037】
まず、“0”状態であるが、非活性領域では第2の強磁性導電層2と強磁性導電膜4との磁化の向きは逆であるので、この間のトンネル確率は低く、結果としてこの間の出力電圧は高い。活性領域では第2の強磁性層電層2の磁化の向きは、反強磁性的交換結合により第1の強磁性導電層1の磁化の向きと反平行になる。この時、強磁性導電膜4と第2の強磁性導電層2とは磁化の向きが平行となるので、トンネル確率が高くなり、結果として出力電圧は低くなる。また非活性領域となると強磁性的交換結合により第2の強磁性導電層2の磁化は反転し、以前の状態に戻り、出力電圧は高くなる。すなわち、活性領域に移るとき−ΔV、負側の電圧変位が得られる。
【0038】
“1”状態では、初期の出力電圧が低く、活性領域では出力電圧が高くなり、また低電圧状態に戻る。すなわち、活性領域+ΔV、正側の電圧変位が得られる。
【0039】
一般にトンネル電流は小さいので、この絶対量で“0”,“1”を判断するのはS/N比をとりにくい。しかしながらこの様な例によれば電圧の変位の符号で“0”,“1”を判断することができるので、読み出し精度、信頼性が高いものとなる。
【0040】
なお、第2の強磁性導電層と強磁性導電膜との間の出力電圧は、磁性積層膜と強磁性導電膜との間の出力電圧と実質的に等しい。なぜなら、磁性積層膜中にスピンの平行/反平行による差があっても全体として導体であり、この間の電圧降下はトンネル電流により得られる出力電圧に対しては無視できる程度のものである。
【0041】
この様に読み出し時に磁界の印加が不要であり、出力電圧の変動の符号によって、情報を判断できるという利点がある。
次に静磁結合から強磁性交換結合が誘起される場合について説明する。
【0042】
非活性領域では第1及び第2の強磁性導電層は静磁結合により磁化が反平行で安定である。従って図6とは逆の挙動を示し、図7に示す様に“0”のときは−ΔVの変位、“1”のときは+ΔVの変位を得ることができる。図7(a),(b),(c),(d),(e)は夫々図6の(a),(b),(c),(d),(e)に対応する。
【0043】
また、非活性時に支配的である結合を強磁性導電膜4と第2の強磁性導電層2との間の静磁結合とすることもできる。この場合を図8(a),(b),(c),(d),(e)として示す。夫々図6(a),(b),(c),(d),(e)に対応する。
【0044】
この場合、非活性領域では第2の強磁性導電層2及び強磁性導電膜4は静磁結合により反平行の磁化が安定となる。従って、非活性領域では出力電圧は高い状態となる。そして活性領域では“0”のときのみ−ΔVの出力電圧の減少がみられるが、“1”では変化しないことになる。
【0045】
例えば、トンネル絶縁膜を薄くして強磁性導電膜と第2の強磁性導電層間の静磁結合力を大きくし、非磁性導電層を厚くして第1及び第2の強磁性導電層間の静磁結合力を小さくすることで実現できる。
【0046】
本発明の反強磁性結合した2つの磁性膜および第3の磁性膜としては強磁性を示すFe,Co,Niおよびその合金やNiMnSbホイスラー合金などのハーフメタルなどを用いることができるハーフメタルは一方のスピンバンドにエネルギーギャップが存在するので、これを用いることより大きな磁気抵抗効果を得ることができ、結果としてはより大きな再生出力が得られる。また、各磁性膜は膜面内に一軸磁気異方性を有することが望ましい。磁性膜を好ましい膜厚は10A−100Aである。
【0047】
反強磁性結合をもたらす非磁性金属としてはCu,Au,Ag,Cr,Ru,Alなど多くの金属を用いることができる。これらの膜厚の好ましい範囲は5A−50Aである。絶縁膜としてはアルミナ、NiO、酸化シリコン、MgOなどのほか、エネルギーギャップをもつ半導体を用いることもできる。これらの膜厚の好ましい範囲は10A−1000Aである。
【0048】
スピン伝達層としてはFeSi,CoSiなどの遷移金属シリサイドなどの半導体,アモルファス半導体、不純物半導体や半金属を用いることができる。
このような磁気素子用薄膜は分子線エピタキシー(MBE)法、各種スパッタ法、蒸着法など通常の薄膜形成装置を用いて作製することができる。
なお、磁気スピンの角度でトンネル確率は変わるため、完全に平行、反平行の状態が理想ではあるが、これに限定されるものではない。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1の模式図に相当した膜をイオンビームスパッタ法を用いて作製した。まずMgO(110)基板上に反強磁性結合した3層膜として、70A(オングストローム) Fe80Ni20/10A Cu/70A Ni80Fe20を作製した。この膜の磁気抵抗効果曲線を図9に示す。この膜には[100]を磁化容易軸とする一軸磁気異方性が膜面内に導入される。飽和磁場は約60 Oeであり、零磁場の抵抗が大きいことからこの状態で反平行磁化が実現していることがわかる。
【0050】
次にこの3層膜の上にアルミニウム(Al)を100 A成膜し、一旦試料を成膜室から取り出して自然酸化させることによりアルミナ膜を形成させた。この積層膜を再度真空チャンバー内に入れ、上記NiFe膜と同じ方向に一軸磁気異方性を付与させるように磁場を印加しながら、Co膜を成長させた。Co膜の保磁力は約100Oeであった。
【0051】
このようにして作製した積層膜の最表面のCo層の上に例えばアルミナなどの絶縁層を介して書き込みワード線としての導体層(例えばCu,Alなど)を形成し、それに正の単極パルス電流を流して記録および再生実験を行った。再生出力は、膜面垂直方向のトンネル電流を利用して測定した。その結果、上記説明の通り“1”,“0”の記録状態を検出でき、100mV以上の非常に大きな再生電圧が確認された。
【0052】
(実施例2)
30A Co/16A Si/30A CoをIBS(イオンビームスパッタ)で作製しその磁気特性を調べた結果、図10に示すように、室温では磁化曲線の角型比が小さく交換結合がほとんどなく、100℃以上に加熱すると角型比がほとんど1になり強磁性的に結合することがわかった。この界面を透過型電子顕微鏡で調べた結果、Co−Si合金層が形成されており、このような交換結合の大きな温度変化の原因はこの形成にあると思われる。
【0053】
次に、図5に対応した30A Co/16A Si/40A Co/100AAl23 /50A CoPt合金をIBSで作製した。なお、Al23 層に接する側のCo層の膜厚を大きくすることで低保磁力化した。一方のCo層を記録層、CoPtを磁化固定層として図5に示したような素子を作製し、Si層に0.1mAの電流を流して記録層の読み出しを行った結果、“1”,“0”の記録状態を検出でき、100mV以上の非常に大きな再生電圧が確認された。
【0054】
(実施例3)
30A Fe/15A Si/30A FeをIBSで作製し、その磁気特性を調べた結果、図11に示すように低温で磁化曲線の角型が大きく交換結果が強磁性的であり、室温では角型比が小さく反強磁性結合することがわかった。この界面を透過電子顕微鏡で調べた結果、Fe−Si合金層が形成されており、このような交換結合の変換の原因はこの形成にあると思われる。
【0055】
次に図5に対応した30A Fe/15A Si/40A Fe/100A Al23 /50A CoPt合金をIBSで作製した。一方のFe層を記録層、CoPtを磁化固定層として図5に示したような素子を作製し、低温でSi層に0.1mAの電流を流して記録層の読み出しを行った結果、“1”,“0”の記録状態を検出でき、100mA以上の非常に大きな再生電圧が確認された。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気抵抗効果素子によれば、非破壊的に記録を読み出すことができ、しかも大きな出力電圧を得ることができる。本発明の記録素子は不揮発性の固体メモリであり、HDDのような可動部がないため信頼性が高く、またより高速に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気抵抗効果素子を示す概略図。
【図2】 本発明の磁気抵抗効果素子を示す概略図。
【図3】 本発明の磁気抵抗効果素子を示す概略図。
【図4】 本発明の動作を示す概略図。
【図5】 本発明の磁気抵抗効果素子を示す概略図。
【図6】 本発明の動作を示す概略図。
【図7】 本発明の動作を示す概略図。
【図8】 本発明の動作を示す概略図。
【図9】 本発明の磁性積層膜の特性図。
【図10】 本発明の磁性積層膜の特性図。
【図11】 本発明の磁性積層膜の特性図。
【符号の説明】
1…第1の強磁性導電層
2…第2の強磁性導電層
3…非磁性導電層
4…強磁性導電膜
5…トンネル絶縁膜
6…磁性積層膜

Claims (6)

  1. 第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁性層間に介在する第1の非磁性導電層とを有し、第1及び第2の強磁性層が各々磁化の向きが可変であり互いに反強磁性的に交換結合している磁気積層膜と;磁化の向きが固定された強磁性導電膜と;この強磁性導電膜と前記磁気積層膜との間に介在するトンネル絶縁膜とを具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁性層間に介在する第1の非磁性層とを有し、この第1の非磁性層に外部エネルギーを印加することで第1及び第2の強磁性層間に交換結合が誘起される磁気積層膜と;強磁性導電膜と;この強磁性導電膜と前記磁気積層膜との間に介在するトンネル絶縁膜とを具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 前記強磁性導電膜及び第1の強磁性導電層の磁化の向きが実質的に互いに同じかまたは逆であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁性層間に介在する第1の非磁性導電層とを有し、第1及び第2の強磁性層が反強磁性的に交換結合している磁気積層膜と;強磁性導電膜と;この強磁性導電膜と前記磁気積層膜との間に介在するトンネル絶縁膜とを備えた磁気抵抗効果素子に対して、前記磁気積層膜の飽和磁界(Hs )と前記強磁性導電膜の保磁力(Hc )との関係がHs <Hr <Hc を満たす磁界(Hr )を印加したときの前記磁気積層膜と前記強磁性導電膜との間のトンネル電流により前記強磁性導電層の磁化状態を検出することを特徴とする磁気情報読み出し方法。
  5. 請求項2記載の磁気積層膜に交換結合を誘起したときの前記磁気積層膜と前記強磁性導電膜との間のトンネル電流により前記磁気積層膜の磁化状態を検出することを特徴とする磁気情報読み出し方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の前記磁気積層膜を記録部とすることを特徴とする記録素子。
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