JP2006237329A - 磁気記憶装置及び磁気記憶装置の書き込み方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】書き込み時の反転磁界を低減し、書き込み電流値を低減する。
【解決手段】磁気記憶装置は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線W1と、第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線W2と、第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層13と記録層15と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層14とを有し、記録層は第1の強磁性層15aと第2の強磁性層15cと第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層15bとを含み、第1の強磁性層の第1の磁化と第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子10とを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】磁気記憶装置は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線W1と、第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線W2と、第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層13と記録層15と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層14とを有し、記録層は第1の強磁性層15aと第2の強磁性層15cと第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層15bとを含み、第1の強磁性層の第1の磁化と第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子10とを具備する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、磁気記憶装置及び磁気記憶装置の書き込み方法に係り、特に、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)及びその書き込み方法に関する。
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)は、不揮発性、高速性、大容量化、低電圧駆動を併せ持つ究極のメモリとして期待され開発されている。
しかし、これまでの磁気ランダムアクセスメモリは、微細化により書き込み電流値が増大すること、書き込みマージンがもともと小さいために微細化により書き込みマージンがさらに小さくなることから、大容量化を図ることが非常に困難であることが分かってきている。
そこで、書き込みマージンを拡大するため、トグルスイッチング(Toggle Switching)を用いた磁気ランダムアクセスメモリが提案されている(例えば非特許文献1参照)。このトグルスイッチング方式は、MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子の記録層として常にほぼアンチパラレル磁化配置を有するシンセティック記録層を用い、スピンフロップ現象を利用することで書き込みマージンを拡大するものである(図21のA及びB)。
しかし、このトグルスイッチング方式によると、磁性薄膜を被覆した高効率なヨーク配線を使用しても、MTJ素子の短辺長が400nmの場合では書き込み電流値が10mA程度倍増した。
微細化においては、不揮発性を確保するために、単位体積あたりの記憶エネルギーを増大させることによって、記憶セルの体積が減少することを補わなければならない。これは、MTJ素子の記録層の反転磁界の増大につながり、その結果、書込み電流値がさらに増大する。MTJ素子の短辺長が150nm程度の場合では、必要な書き込み電流値が配線のエレクトロマイグレーションの限界を超える程であるため、さらなる微細化にはブレークスルーが必要とされている。例えば、反転磁界のばらつき等が大幅に低減し、書き込み電流値を仮に4mAに低減できたとしても、書き込み配線幅がMTJ素子の微細化に伴い140nm程度に縮小された場合、電流密度は107A/cm2程度となる。これはCu配線のマイグレーション耐性である106A/cm2を超え、仮にパルス駆動したとしても許容値限定に達する(通常の配線プロセスではアスペクト比は最大2程度であるため、配線の厚さを280nmで見積もった)。一般に、MTJ素子の短辺長は書き込み配線幅と同程度に設定するので、MTJ素子の短辺長の幅も140nm程度が限界となる。
以上のように、従来の磁気ランダムアクセスメモリでは、高集積化のために、不揮発性を保ち、MTJ素子の記録層の反転磁界を低減し、書き込み電流値を低減することが最大の課題であった。
M.Durlam, et al M,. IEDM Tech.Dig., pp995-997, 2003
M.Durlam, et al M,. IEDM Tech.Dig., pp995-997, 2003
本発明は、書き込み時の反転磁界を低減し、書き込み電流値を低減することが可能な磁気記憶装置及び磁気記憶装置の書き込み方法を提供する。
本発明の第1の視点による磁気記憶装置は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層と記録層と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層とを有し、前記記録層は第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含み、前記第1の強磁性層の第1の磁化と前記第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、前記強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、前記第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子とを具備する。
本発明の第2の視点による磁気記憶装置の書き込み方法は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層と記録層と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層とを有し、前記記録層は第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含み、前記第1の強磁性層の第1の磁化と前記第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、前記強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、前記第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子とを備え、前記第1及び第2の書き込み配線に第1及び第2の電流をそれぞれ流し、前記磁気抵抗素子に前記第1及び第2の電流による磁場を印加することにより、前記第1の磁化と前記第2の磁化とを反対方向に回転させて前記第1及び第2の磁化を反転させる。
本発明によれば、書き込み時の反転磁界を低減し、書き込み電流値を低減することが可能な磁気記憶装置及び磁気記憶装置の書き込み方法を提供できる。
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
[1]基本構成の概要
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)のセルの基本構成の概略的な一部平面図を示す。図2は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのセルの基本構成の概略的な一部断面図を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの基本構成の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)のセルの基本構成の概略的な一部平面図を示す。図2は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのセルの基本構成の概略的な一部断面図を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの基本構成の概要について説明する。
図1に示すように、第1の書き込み配線(例えばワード線)W1がx軸方向に延在され、第2の書き込み配線(例えばビット線)W2がy軸方向(例えばx軸方向に対して垂直方向)に延在され、これら第1及び第2の書き込み配線W1,W2の交点の第1及び第2の書き込み配線W1,W2間に磁気抵抗素子であるMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子10が配置されている。そして、MTJ素子10の磁化容易軸の方向は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めとなる。
図2に示すように、MTJ素子10は、シード電極層11、磁化固着層12、磁化固定層13、トンネルバリア層14、記録層15、キャップ層16を含んで構成される。
ここで、記録層15は、第1の強磁性層15aと、第2の強磁性層15cと、第1及び第2の強磁性層15a,15c間に挟まれた非磁性層15bとを有する。そして、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化は、非磁性層15bを介して、弱い強磁性結合(フェロ結合)をしている。従って、印加磁界がゼロの状態(無選択状態)では、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化方向はほぼ平行方向(同じ方向)である。このように、記録層15は、印加磁界がゼロの状態でパラレル磁化配置となるシンセティック構造となっている。
そして、書き込み時、印加磁界に対する第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化が互いに反対方向に回転して磁化反転するように、第1及び第2の強磁性層15a,15cの異方性磁界Hk1,Hk2を互いに異ならせ、所定の書き込み電流を流して書き込みシーケンスを実行する。
以上のような基本構成の詳細について、以下に具体的に説明する。
[2]書き込み方法
[2−1]書き込みシーケンス
図3(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの概略的な書き込みシーケンスについて説明する。
[2−1]書き込みシーケンス
図3(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法を示す。以下に、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの概略的な書き込みシーケンスについて説明する。
まず、図3(a)に示すように、初期状態は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の両方に書き込み電流I1,I2が流れていない印加磁界がゼロの状態である。この場合、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化は、互いに右向きに平行方向である。この状態を「右パラレル磁化配置」と称す。
次に、図3(b)に示すように、第1サイクルでは、第1及び第2の書き込み配線W1,W2のうち一方の書き込み配線W1に書き込み電流I1を流す(オンにする)。これにより、書き込み電流I1により発生した印加磁界Hyが記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化に作用する。この際、書き込み電流I1の電流値を適切に設定することで、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化がオンにした第1の書き込み配線W1(x軸)を挟むようになる。この状態を「シザーズ磁化配置」と称す。
次に、図3(c)に示すように、第2サイクルでは、第1及び第2の書き込み配線W1,W2のうち他方の書き込み配線W2にも書き込み電流I2を流す(オンにする)。これにより、書き込み電流I1,I2によりそれぞれ発生した印加磁界Hy,Hxによる合成磁界が記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化に作用する。その結果、第1の強磁性層15aの磁化は時計回りに回転し、第2の強磁性層15cの磁化は反時計回りに回転する。このように、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化は、互いに反対方向に回転し、ほぼ反平行となる(反対方向を向く)。この状態を「アンチパラレル磁化配置」と称す。
そして、図3(d)に示すように、第3サイクルでは、第1及び第2の書き込み配線W1,W2に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。これにより、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化は、強磁性結合による作用によって安定な状態(平行状態)に戻ろうとする。その結果、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化は、互いに平行方向で、かつ初期状態とは反対の左向きとなる。この状態を「左パラレル磁化配置」と称す。
以上のような書き込みシーケンスにより、記録層15の磁化を右パラレル磁化配置から左パラレル磁化配置に反転させることができる。ここで、右パラレル磁化配置及び左パラレル磁化配置をそれぞれ“1”,“0”データと規定することで、2値のデータの書き込みが可能となる。以降、このようなシーケンスの書き込み方法を、アンチパラレルスウィッチングと呼ぶ(図21のC)。
尚、上述する書き込み方法では、選択セルのデータは、“1”→“0”→“1”→“0”と順に状態が遷移する。換言すると、書き込みにより、MTJ素子10の記録層(固定層側に面した側の強磁性層)と固定層(固定層が非磁性層に分断された複数の強磁性層からなっていた場合、記録層側に面した側の強磁性層)の相対的な磁化方向が、平行状態のときは反平行状態に変化し、反平行状態のときは平行状態に変化する。従って、任意のデータを書き込む前に、選択セルに書き込まれているデータをまず読み出す必要がある。その結果、任意のデータが既に書き込まれていた場合は書き込みを行わず、任意のデータと異なるデータが書き込まれていた場合はデータを書き換えるために書き込みを行う。
[2−2]アンチパラレルスウィッチングによる効果
上述するアンチパラレルスウィッチングでは、磁化反転過程において、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化がアンチパラレル状態となり(図3(c))、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化が打ち消し合うので、静磁エネルギーが増大しない。よって、反転磁界を非常に小さくできる。但し、このアンチパラレルスウィチングを実現するには、適切に磁界を印加することが要求される。
上述するアンチパラレルスウィッチングでは、磁化反転過程において、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化がアンチパラレル状態となり(図3(c))、第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化が打ち消し合うので、静磁エネルギーが増大しない。よって、反転磁界を非常に小さくできる。但し、このアンチパラレルスウィチングを実現するには、適切に磁界を印加することが要求される。
通常、熱エネルギー等のランダムな励起ではフェロ結合をしている第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化はパラレル状態のまま応答するため、不揮発性の指標となる記憶エネルギーはパラレル状態を保ったままの反転に必要なエネルギーである。このパラレル状態での磁化反転過程では、大きな静磁エネルギーが発生するため、非常に大きな記憶エネルギーとなる。すなわち、上述するアンチパラレルスウィッチングによれば、記憶エネルギーを大きく保持し、かつ小さな反転磁界を提供できる。
アンチパラレルスウィッチングがこのような利点を有することは、HDD(Hard Disk Drive)分野等で知られている。HDDでは、書き込みヘッドを書き込みたい場所に近づけてその部分のみ書き換えることができるので、何の工夫もなくアンチパラレルスウィッチングを利用できるからである。
しかし、磁気ランダムアクセスメモリで単純に利用しようとすると、オンにしたビット線とワード線の交点の選択セルもオンにした一方のみの配線上の半選択セルも同様な磁化過程となる。このため、特性がばらついた場合に誤書き込み等の問題を回避することが困難であった。よって、アンチパラレルスウィッチングは、磁気ランダムアクセスメモリに適用できないと考えられていた(“Magnetic diagram of two identical coupled nanomagnets“, Applied Physics Letters, D.C.Worledge et al, Volume85, No.15, 12 April, 2004)。
上述する本発明の一実施形態に係る書き込み方法は、オンとなった第1及び第2の書き込み配線W1,W2の交点の選択セルのみの反転磁界を小さくし、一方のみの書き込み配線W1又はW2上の半選択セルは反転磁界の減少が小さくなること、すなわち選択セルと半選択セルの磁化過程を異ならせることを可能としている。その結果、MTJ素子10の記録層15の反転磁界を大幅に低減することが可能となり、書き込み電流を低減できるだけでなく、誤書き込みも解消できる。
また、反転磁界閾値曲線(アステロイド曲線)は、後述する図4に示すように、書き込み点で原点に近くなる理想的な形となる。これにより、実際の閾値曲線が数%ばらついても十分な書き込みマージンを提供する。
また、さらに開発を進めた結果、半選択状態のセルでは、フェロ結合をしている第1及び第2の強磁性層15a,15cの磁化はパラレル状態のまま反転し、熱励起による反転を行うためには大きなエネルギーが必要であることが判明した。よって、本発明の一実施形態に係る書き込み方法は、半選択状態のセルの不揮発性も十分に確保できる。
また、これまで提案されている電流磁界による全ての書き込み方式は、微細化により、書き込み電流値が急増し、書き込みマージンが減少していた。これに対し、本発明の一実施形態に係る書き込み方法は、MTJ素子10を微細化しても、アンチパラレル磁化過程ではほとんど静磁エネルギーは増加しないため、反転磁界の急激な増大がないことが明らかとなった。よって、本発明の一実施形態では、微細化に際して基本的な書き込み電流値の急激な増加要因はなく、また書き込みマージンも増大することで高集積化が実現できる。
また、MTJ素子10の記録層15は、2層以上の強磁性層で構成する。従って、記録層15の体積が大きくなり、記憶のエネルギーも大きくできるため、微細化においても不揮発性を確保できる。
[2−3]アンチパラレルスウィッチングのメカニズム
図4は、本発明の一実施形態に係るアンチパラレルスウィッチングのメカニズムを説明するための図を示す。以下、アンチパラレルスウィッチングのメカニズムの詳細について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るアンチパラレルスウィッチングのメカニズムを説明するための図を示す。以下、アンチパラレルスウィッチングのメカニズムの詳細について説明する。
図4に示すように、アンチパラレル磁化反転は、HswxとHswy以上の磁界を印加することにより実現可能である。従って、HswxとHswy以下の磁界を印加した場合、又は一方のみの磁界を印加した場合では、パラレル状態での反転しか起きない。よって、選択セルと半選択セルの磁化過程を異ならせ、選択セルの選択性を向上し、誤書き込みを解消している。
図4のアステロイド曲線の第1象限におけるアンチパラレルスウィッチングの反転過程は、次の通りである。x軸方向の磁界を最初に印加し、次にy軸方向の磁界を印加する場合は、同図のAで示す反転過程をとる。逆に、y軸方向の磁界を最初に印加し、次にx軸方向の磁界を印加する場合は、同図のBで示す反転過程をとる。ここで、x軸方向又はy軸方向の磁界は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2に流す書き込み電流I1,I2によって発生させる。尚、図4では、左パラレル磁化配置から右パラレル磁化配置へ反転させる例を示したが、その逆の右パラレル磁化配置から左パラレル磁化配置へ反転させる場合は、反対方向の書き込み電流I1,I2を同様のシーケンスで流せばよい。
以下、具体的な実施例に基づき、アンチパラレルスウィッチングのメカニズムについてさらに説明する。
この実施例では、例えば、MTJ素子10の短辺長が150nm程度の場合における具体的なアステロイド曲線を考える。そして、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの材料としてNiFe合金を使用し、アスペクト比は2〜3、記録層15の単層の厚さが3nm程度の場合、フェロ結合した第1及び第2の強磁性層15a,15cは、以下の式(1)及び(2)の関係を満たす。
Hc≒Hk≒Heffdemag≒400〜600[Oe]…(1)
Hswx≒Hswy≒Hexfr…(2)
ここで、Hcはx軸方向の反転磁界、Hkはy軸方向の反転磁界、Heffdemagは実効的な短辺方向の反磁界、Hexfrはフェロ結合磁界である。尚、Hc≒Hk≒Heffdemag>200[Oe]が望ましい。
Hswx≒Hswy≒Hexfr…(2)
ここで、Hcはx軸方向の反転磁界、Hkはy軸方向の反転磁界、Heffdemagは実効的な短辺方向の反磁界、Hexfrはフェロ結合磁界である。尚、Hc≒Hk≒Heffdemag>200[Oe]が望ましい。
理想的なアステロイド曲線とするために、Hexfr≒50[Oe]程度となるように記録層15の非磁性層15bの材料と膜厚を設定するとよい。Hswx,Hswyに対してHc,Hkは4倍程度となり、非常に広い書き込みマージンが提供できる。これにより、実際の閾値曲線が数%ばらついても十分な書き込みマージンが提供できる。
さらに、MTJ素子10を微細化すると、Heffdemagは、MTJ素子10の短辺長に反比例して増大する。一方、Hexfrは独立に設定できるので、Hexfrを例えば50[Oe]程度にすると、微細化すればするほど書き込みマージンは増大する。アンチパラレル磁化過程では静磁エネルギーはほとんど増加しないため、反転磁界の増大はない。よって、磁化反転させるための書き込み電流値も増加しないのである。一方、不揮発性のための記憶エネルギーは、図4のHcやHkに比例するが、微細化とともに増大する。よって、微細化を図っても基本的な書き込み電流値の増加要因はなく、高集積化を実現できる。
[2−4]書き込み方法例
図5(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係る書き込み方法例1〜3を示す。以下に、書き込み方法例1〜3について説明する。
図5(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係る書き込み方法例1〜3を示す。以下に、書き込み方法例1〜3について説明する。
図5(a)に示すように、書き込み方法例1は、上述する図3の書き込みシーケンスと同様のものである。すなわち、第1サイクルで、第1の書き込み配線W1のみに書き込み電流I1を流し、シザーズ磁化配置とする(図3(b)参照)。次に、第2サイクルで、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の両方に書き込み電流I1,I2を流し、アンチパラレル磁化配置とする(図3(c)参照)。最後に、第3サイクルで、第1及び第2の書き込み配線W1,W2に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。
図5(b)に示すように、書き込み方法例2は、書き込み方法例1のように順番に書き込み配線W1,W2をオンにしない。すなわち、第1サイクルで、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の両方を同時にオンにし、初めから両方に書き込み電流I1,I2を流す。これにより、シザーズ磁化配置を介して、アンチパラレル磁化配置となる(図3(b)及び(c)参照)。そして、第2サイクルで、第1及び第2の書き込み配線W1,W2に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。このように両方の書き込み配線W1,W2を同時にオンにする場合も、両方の書き込み電流値を適切に設定すれば、書き込み方法例1と同様のスウィッチングを実現できる。
図5(c)に示すように、書き込み方法例3は、いわゆるトグル書き込みと同様で、書き込み配線W1,W2を順にオンにして順にオフにする。すなわち、第1サイクルで、第1の書き込み配線W1のみに書き込み電流I1を流し、第2サイクルで、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の両方に書き込み電流I1,I2を流す。次に、第3サイクルで、先にオンした第1の書き込み配線W1をオフにし、書き込み電流I1を流すのを止める。そして、第4サイクルで、後にオンした第2の書き込み配線W2をオフにし、書き込み電流I2を流すのを止める。
[3]弱いフェロ結合
上述する書き込み方法では、磁化反転過程においてアンチパラレル磁化配置をとるように、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの層間結合は弱めのフェロ結合であることが望ましい。従って、フェロ結合定数は、0.0001erg/cm2以上で0.2erg/cm2以下であることが望ましい。これは、次の理由からである。0.0001erg/cm2未満の場合は、半選択時にもアンチパラレル磁化反転を起こす場合が観測された。一方、0.2erg/cm2を超える場合は、半選択時のシザーズ磁化配置の間の角度が非常に小さくなり、その後に続く選択時にパラレル状態での磁化反転が起きる場合が観測された。尚、このような範囲のフェロ結合定数となるように、例えば非磁性層15bの膜厚等を設定するとよい。
上述する書き込み方法では、磁化反転過程においてアンチパラレル磁化配置をとるように、記録層15の第1及び第2の強磁性層15a,15cの層間結合は弱めのフェロ結合であることが望ましい。従って、フェロ結合定数は、0.0001erg/cm2以上で0.2erg/cm2以下であることが望ましい。これは、次の理由からである。0.0001erg/cm2未満の場合は、半選択時にもアンチパラレル磁化反転を起こす場合が観測された。一方、0.2erg/cm2を超える場合は、半選択時のシザーズ磁化配置の間の角度が非常に小さくなり、その後に続く選択時にパラレル状態での磁化反転が起きる場合が観測された。尚、このような範囲のフェロ結合定数となるように、例えば非磁性層15bの膜厚等を設定するとよい。
[4]フェロ結合強磁性層の異方性磁界を異ならせる手段
図6は、本発明の一実施形態に係る記録層におけるフェロ結合した2つの強磁性層の異方性磁界を異ならせる手段の例を示す。以下、フェロ結合した2つの強磁性層の実効的な異方性磁界Hk1,Hk2を互いに異ならせるための3つの例について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る記録層におけるフェロ結合した2つの強磁性層の異方性磁界を異ならせる手段の例を示す。以下、フェロ結合した2つの強磁性層の実効的な異方性磁界Hk1,Hk2を互いに異ならせるための3つの例について説明する。
(ケース1)
ケース1は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの本質的な磁気異方性による異方性磁界Hkint1,Hkint2を互いに異ならせた例である。例えば、CoFe/Cu/NiFeからなる記録層15を用いた場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性定数(誘導磁気異方性定数)を1×105dyn/cm3と1×104dyn/cm3にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界をHkint1≒20[Oe]程度とHkint2≒5[Oe]程度にする。
ケース1は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの本質的な磁気異方性による異方性磁界Hkint1,Hkint2を互いに異ならせた例である。例えば、CoFe/Cu/NiFeからなる記録層15を用いた場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性定数(誘導磁気異方性定数)を1×105dyn/cm3と1×104dyn/cm3にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界をHkint1≒20[Oe]程度とHkint2≒5[Oe]程度にする。
(ケース2)
ケース2は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの飽和磁化定数M1,M2を互いに異ならせた例である。例えば、Ni60Fe40/Cu/Ni80Fe20(数字は原子濃度比の%表示)からなる記録層15を用い、MTJ素子10の短辺長は140nm程度で、強磁性層15a,15cの各膜厚t1,t2は2nm程度の場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの飽和磁化定数を4πM1≒14000Gaussと4πM2≒9500Gauss程度にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界Hk1,Hk2を100〜200[Oe]程度と50〜100[Oe]程度にする。
ケース2は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの飽和磁化定数M1,M2を互いに異ならせた例である。例えば、Ni60Fe40/Cu/Ni80Fe20(数字は原子濃度比の%表示)からなる記録層15を用い、MTJ素子10の短辺長は140nm程度で、強磁性層15a,15cの各膜厚t1,t2は2nm程度の場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの飽和磁化定数を4πM1≒14000Gaussと4πM2≒9500Gauss程度にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界Hk1,Hk2を100〜200[Oe]程度と50〜100[Oe]程度にする。
(ケース3)
ケース3は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの膜厚t1,t2を互いに異ならせた例である。例えば、NiFe/Cu/NiFeからなる記録層15を用い、MTJ素子10の短辺長は140nm程度で、強磁性層15a,15cのそれぞれの飽和磁化(4πM1,4πM2)は9500Gauss程度の場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの膜厚をt1≒3nmとt2≒1.5nm程度にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界Hk1,Hk2を100〜200[Oe]程度と50〜100[Oe]程度にする。尚、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの膜厚t1,t2は、2倍程度異なる厚さにするのが望ましい。
ケース3は、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの膜厚t1,t2を互いに異ならせた例である。例えば、NiFe/Cu/NiFeからなる記録層15を用い、MTJ素子10の短辺長は140nm程度で、強磁性層15a,15cのそれぞれの飽和磁化(4πM1,4πM2)は9500Gauss程度の場合、強磁性層15a,15cのそれぞれの膜厚をt1≒3nmとt2≒1.5nm程度にする。これにより、強磁性層15a,15cのそれぞれの異方性磁界Hk1,Hk2を100〜200[Oe]程度と50〜100[Oe]程度にする。尚、フェロ結合した2つの強磁性層15a,15cの膜厚t1,t2は、2倍程度異なる厚さにするのが望ましい。
上述するケース1〜3によれば、強磁性層15a,15cの実効的な異方性磁界Hk1,Hk2を互いに異ならせることができる。このため、適切な書き込み電流値を設定することにより、一方の書き込み配線による磁界印加の際、図6に示すように、x軸を挟んだシザーズ磁化配置とすることができる。
尚、強磁性層15a,15cの材料を互いに異ならせたり、形状を異ならせたりすることで、異方性磁界Hk1,Hk2を互いに異ならせてもよい。
[5]MTJ素子の斜め配置
[5−1]斜め配置の角度
図7は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の角度θを説明するための図を示す。以下、MTJ素子の斜め配置の角度について説明する。
[5−1]斜め配置の角度
図7は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の角度θを説明するための図を示す。以下、MTJ素子の斜め配置の角度について説明する。
図7に示すように、印加磁場がゼロの状態におけるMTJ素子10の磁化容易軸の方向は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めとなる。ここでは、MTJ素子10の磁化容易軸の方向と第1の書き込み配線W1の延在方向(x軸方向)とのなす角度をθと規定し、この角度θの例について以下に説明する。尚、角度θは、MTJ素子10の磁化容易軸の方向と第2の書き込み配線W2の延在方向(y軸方向)とのなす角度であっても勿論よい。
(第1の角度例)
第1の角度例は、0<θ≦30度と規定することで、書き込み電流値をさらに低減するものである。
第1の角度例は、0<θ≦30度と規定することで、書き込み電流値をさらに低減するものである。
図8(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の第1の角度例による効果を説明するための図である。
図8(a)に示すように、第1の角度例では、MTJ素子10の磁化容易軸の方向と第1の書き込み配線W1の延在方向(x軸方向)とのなす角度θを0度より大きくかつ30度以下(0<θ≦30度)にする。ここで、θを30度以下とするのは、θが30度を超えると、書き込みドライバーが急激に大きくなり、コスト高になるからである。
この場合、図8(b)に示すように、最初にオンにする書き込み配線の書き込み電流値(磁界換算ではHswx’又はHswy’)を半減できるだけでなく、次にオンにするもう一方の書き込み配線の書き込み電流値(磁界換算ではHswy’又はHswx’)も半減できる。例えば、θを30度以下とすることで、実用的な書き込み電流値7mAとすることができる。また、磁気特性のばらつきにも対応可能となり、角度θが30度を境に書き込めないセルを解消できる。
(第2の角度例)
第2の角度例は、5≦θ≦30と規定することで、アステロイド曲線のばらつきに対して書き込みマージンの最適化を図るものである。
第2の角度例は、5≦θ≦30と規定することで、アステロイド曲線のばらつきに対して書き込みマージンの最適化を図るものである。
図9(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の第2の角度例による効果を説明するための図である。
図9(a)に示すように、第2の角度例では、MTJ素子10の磁化容易軸の方向と第1の書き込み配線W1の延在方向(x軸方向)とのなす角度θを5度以上かつ30度以下(5≦θ≦30度)にする。ここで、θを5度以上とするのは、θが5度未満の場合、半選択時(同図でHxのみ印加された半選択時)にアンチパラレル磁化反転するものが観測されたからである。
この場合、図9(b)に示すように、アステロイド曲線の典型的な3%程度のばらつきに対しても対応可能となり、書き込みマージンを確保できる。すなわち、磁界換算では反転磁界がHswx”とHswy”になり、アステロイド曲線がx軸及びy軸から適切な距離D1,D2だけ離すことができる。
(第3の角度例)
第3の角度例は、θ≦10度と規定することで、理想的なアステロイド曲線を実現するものである。このようにθ≦10度とすることで、3mA程度の小さな書き込み電流値でかつ第一象限のほぼ中心にアステロイド曲線をもってくることができる。
第3の角度例は、θ≦10度と規定することで、理想的なアステロイド曲線を実現するものである。このようにθ≦10度とすることで、3mA程度の小さな書き込み電流値でかつ第一象限のほぼ中心にアステロイド曲線をもってくることができる。
図10(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の第3の角度例を説明するための図である。図11(a)乃至(d)は、図12の第3の角度例における書き込み動作時の印加磁界と角度の関係を示す。
図10(a)に示すように、第3の角度例では、MTJ素子10の磁化容易軸の方向と第1の書き込み配線W1の延在方向(x軸方向)とのなす角度θを10度以下(θ≦10度)にする。尚、第3の角度例における角度θの下限値としては、0<θでも5≦θでもよい。
この第3の角度例における書き込み動作は次のようになる。ここで、記録層15の実効的な異方性定数を1×105dyn/cm3、1.7×104dyn/cm3(異方性磁界換算でHkint1≒100[Oe],Hkint2≒17[Oe])、4πM1≒4πM2≒10700Gauss、t1≒t2≒3nm、θ1≒θ2≒10度とする。
まず、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の一方の第1の書き込み配線W1のみに書き込み電流I1を流し、y軸のマイナス方向に磁界Hyを印加する。このときの記録層15の応答を図11(a)に示す。
図11(a)に示すように、磁界印加なしではともにθ1=θ2=10度の方向をとる(図11(b)参照)。そして、磁界印加とともにシザーズ磁化配置に近づき、10[Oe]の磁界印加によりx軸を挟んだシザーズ磁化配置になり始める(図11(c)参照)。この状態は磁界130〜140[Oe]程度まで維持できる(図11(d)参照)。この状態で、マイナスx方向に磁界Hxを印加すると約20[Oe]程度で磁化反転する。このような場合のアステロイド曲線は、図10(b)に示すような理想的な曲線となる。
[5−2]斜め配置の手段
図12(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の手段を示す。以下に、MTJ素子を斜めに配置するための手段について説明する。
図12(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の斜め配置の手段を示す。以下に、MTJ素子を斜めに配置するための手段について説明する。
図12(a)乃至(c)に示すように、第1の書き込み配線W1がx軸方向に延在され、第2の書き込み配線W2がy軸方向に延在され、これら第1及び第2の書き込み配線W1,W2の交点の第1及び第2の書き込み配線W1,W2間にMTJ素子10が配置されている。そして、MTJ素子10の磁化容易軸の方向は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めとなる。
ここで、図12(a)は、MTJ素子10自体を斜めに配置させた例である。すなわち、MTJ素子10の磁化容易軸方向となる長辺を、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めにしている。
図12(b)は、MTJ素子10の形状異方性を利用して磁化容易軸を斜め方向に付与した例である。すなわち、MTJ素子10の平面形状を、一方の対角線d1が他方の対角線d2よりも長い平行四辺形とすることで、長い対角線d1の方向に磁化容易軸が付与されている。これにより、図12(a)と同様にMTJ素子10の磁化容易軸を斜めにすることができる。
図12(c)は、図12(b)と同様にMTJ素子10の形状異方性を利用して磁化容易軸を斜め方向に付与した例であり、さらに、平行四辺形の側面から突出する突出部を備えた、いわゆる十字形状である。
[6]MTJ素子の記録層の積層例
図13は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の記録層の積層例を示す。以下に、MTJ素子の記録層の積層例について説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の記録層の積層例を示す。以下に、MTJ素子の記録層の積層例について説明する。
図13に示すように、MTJ素子10の記録層15は、第1の強磁性層15a/第1の非磁性層15b/第2の強磁性層15c/第2の非磁性層15d/第3の強磁性層15e/第3の非磁性層15f/第4の強磁性層15gで構成される。すなわち、本例の記録層15は、4つの強磁性層15a,15c,15e,15gを有する。ここで、記録層15の各層は、例えば、NiFe/Ru/NiFe/Cu/NiFe/Ru/NiFe等からなる。
そして、第1及び第2の強磁性層15a,15cは強いフェリ結合をしており、第2及び第3の強磁性層15c,15eは弱いフェロ結合をしており、第3及び第4の強磁性層15e,15gは強いフェリ結合をしている。ここで、弱いフェロ結合とは、フェロ結合定数が例えば0.0001〜0.2erg/cm2程度であり、強いフェリ結合とは、フェリ結合定数が例えば0.4erg/cm2程度以上である。
上記のようにMTJ素子10の記録層15を積層構造にすることで、記録層15の体積の増加により記録層15の記憶エネルギーをさらに向上できるため、さらなる微細化を図ることができる。
[7]MTJ素子の磁化固定層の積層例
図14は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の磁化固定層の積層例を示す。以下に、MTJ素子の磁化固定層の積層例について説明する。
図14は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の磁化固定層の積層例を示す。以下に、MTJ素子の磁化固定層の積層例について説明する。
磁化固定層13は、図2のような単層で形成されてもよいが、複数層で形成されてもよい。例えば、図14に示すように、磁化固定層13は、第1の強磁性層13aと、第2の強磁性層13cと、第1及び第2の強磁性層13a,13c間に挟まれた非磁性層13bとで形成されてもよい。そして、第1及び第2の強磁性層13a,13cは、非磁性層13bを介して、反強磁性結合をしている。従って、印加磁界がゼロの状態では、第1及び第2の強磁性層13a,13cの磁化方向はほぼ反平行である。このように、固定層13は、印加磁界がゼロの状態でアンチパラレル磁化配置となるシンセティック構造となっていてもよい。尚、第1及び第2の強磁性層13a,13cは、強磁性結合をしていてもよい。
[8]MTJ素子の平面形状
図15(a)乃至(i)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の平面形状の例を示す。以下に、MTJ素子の平面形状の例について説明する。
図15(a)乃至(i)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の平面形状の例を示す。以下に、MTJ素子の平面形状の例について説明する。
図15(a)乃至(i)に示すように、MTJ素子10の平面形状は、正方形、長方形、六角形、楕円、菱型、平行四辺形、円、十字型、ビーンズ型(凹型)等種々変更可能である。尚、図示する形状の角張った部分は、丸まっていても勿論よい。
[9]MTJ素子の断面形状
図16(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の断面形状の例を示す。以下に、MTJ素子の断面形状の例について説明する。
図16(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るMTJ素子の断面形状の例を示す。以下に、MTJ素子の断面形状の例について説明する。
図16(a)に示すように、MTJ素子10の全ての層が同時に加工され、全ての層の側面が一致していてもよい。
図16(b)に示すように、記録層15及びキャップ層16の膜面水平方向のサイズが、シード電極層11、磁化固着層12、磁化固定層13及びトンネルバリア層14の膜面水平方向のサイズよりも小さく、MTJ素子10の断面形状が凸型になっていてもよい。ここで、記録層15及びキャップ層16の幅はWに加工され、この幅Wが上述するMTJ素子10の短辺長となる。MTJ素子10の長辺は紙面奥行き方向に伸びており、MTJ素子10の長辺長は、幅Wの約2〜3倍となる。
図16(c)に示すように、シード電極層11、磁化固着層12、磁化固定層13及びトンネルバリア層14は長方形状にし、図12(b)のように磁化容易軸を斜め方向に付与するために記録層15及びキャップ層16は平行四辺形等にしてもよい。
[10]材料
MTJ素子10は、シード電極層11、磁化固着層12、第1の強磁性層13a/非磁性層13b/第2の強磁性層13cからなる磁化固定層13、トンネルバリア層14、第1の強磁性層15a/非磁性層15b/第2の強磁性層15cからなる記録層15、キャップ層16を含んで構成される。このようなMTJ素子10の各層及び書き込み配線W1,W2は、以下のような材料で形成されている。
MTJ素子10は、シード電極層11、磁化固着層12、第1の強磁性層13a/非磁性層13b/第2の強磁性層13cからなる磁化固定層13、トンネルバリア層14、第1の強磁性層15a/非磁性層15b/第2の強磁性層15cからなる記録層15、キャップ層16を含んで構成される。このようなMTJ素子10の各層及び書き込み配線W1,W2は、以下のような材料で形成されている。
記録層15の第1の強磁性層15a/非磁性層15b/第2の強磁性層15bの材料としては、例えば、NiFe/Ru/NiFe、CoFe/Ru/CoFe、CoFe/Cu/NiFe、NiFe/Cu/NiFe、CoFe/Cu/CoFe、CoFe/Cu/NiFe等が用いられる。
キャップ層16の材料としては、記録層15との相互拡散のないTaN等の導電材料を用いるのが望ましい。
トンネルバリア層14の材料としては、AlOx(例えばAl2O3),MgOx,SiO2,AlN,Bi2O3,MgF2,CaF2,SrTiO2,AlLaO3等の様々な誘電体を使用することができる。これらの誘電体には、酸素、窒素、フッ素欠損が存在していてもかまわない。あるいは、層14は、トンネルバリアではなくとも導電性金属、反金属、半導体などの磁気抵抗効果を発現する磁気抵抗層であればよい。
磁化固定層13の第1の強磁性層13a/非磁性層13b/第2の強磁性層13bの材料としては、CoFe/Ru/CoFe等があげられる。
磁化固着層12の材料としては、PtMn,IrMn等があげられる。
シード電極層11の材料としては、抵抗値低減と磁化固着層の結晶成長を促進するために、Ta,NiFeCr等、又はそれらの積層膜を用いるとよい。
第1及び第2の書き込み配線W1,W2の材料としては、磁性体を被覆したCu又はAlを用いるとよい。但し、エンベデッド用のメモリとしては、本実施形態による電流低減効果を最大限利用して、磁性体を被覆しない書き込み配線W1,W2を使用すると、大幅な工程削減が可能となる。
尚、磁化固定層13及び記録層15の強磁性層13a,13c,15a,15cの材料には、次のような材料も考えられる。例えば、Fe,Co,Ni、それらの積層膜、又はそれらの合金、スピン分極率の大きいマグネタイト、CrO2,RXMnO3−Y(R;希土類、X;Ca,Ba,Sr)等の酸化物の他、NiMnSb,PtMnSb等のホイスラー合金等を用いることが好ましい。また、これら磁性体には、強磁性を失わないかぎり、Ag,Cu,Au,Al,Mg,Si,Bi,Ta,B,C,O,N,Pd,Pt,Zr,Ir,W,Mo,Nb等の非磁性元素が多少含まれていてもよい。
[11]磁気ランダムアクセスメモリ
ここでは、図1のセルを用いた磁気ランダムアクセスメモリにおける選択トランジスタ型、選択ダイオード型、クロスポイント型のセルについて述べる。
ここでは、図1のセルを用いた磁気ランダムアクセスメモリにおける選択トランジスタ型、選択ダイオード型、クロスポイント型のセルについて述べる。
[11−1]選択トランジスタ型
図17(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの選択トランジスタ型のメモリセルを示す。以下に、選択トランジスタ型におけるセル構造について説明する。
図17(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの選択トランジスタ型のメモリセルを示す。以下に、選択トランジスタ型におけるセル構造について説明する。
図17(a)及び(b)に示すように、選択トランジスタ型の1セルMCは、1つのMTJ素子10と、このMTJ素子10につながるトランジスタ(例えばMOSトランジスタ)Trと、書き込みワード線(第1の書き込み配線W1)WWLと、ビット線(第2の書き込み配線W2)BLとを含んで構成されている。ここで、MTJ素子10は弱いフェロ結合した強磁性層15a,15cからなる記録層15を備え、磁化容易軸は書き込みワード線WWL及びビット線BLの延在方向に対して斜めを向いている。そして、このメモリセルMCをアレイ状に複数個配置することで、メモリセルアレイMCAを構成する。
具体的には、MTJ素子10の一端は、ベース金属層5c、コンタクト4a,4b,4c及び配線5a,5bを介して、トランジスタTrの電流経路の一端(ドレイン拡散層)3aに接続されている。一方、MTJ素子10の他端は、ビット線BLに接続されている。MTJ素子10の下方には、MTJ素子10と電気的に分離された書き込みワード線WWLが設けられている。トランジスタTrの電流経路の他端(ソース拡散層)3bは、コンタクト4d及び配線5dを介して、例えばグランドに接続されている。トランジスタTrのゲート電極2は、読み出しワード線RWLとして機能する。
上記のような選択トランジスタ型のメモリセルにおいて、データの書き込み/読み出しは、以下のように行われる。
まず、書き込み動作は、上述するアンチパラレルスウィッチングが行われる。複数のMTJ素子10のうち選択されたMTJ素子10に対応する書き込みワード線WWLに書き込み電流I1を流すと、この書き込み電流I1によって発生した磁界がMTJ素子10に印加される。これにより、MTJ素子10の記録層15の強磁性層15a,15cの磁化がシザーズ磁化配置となる(図3(b)参照)。次に、選択されたMTJ素子10に対応するビット線BLにも書き込み電流I2を流す。これにより、書き込み電流I1,I2によって発生した磁界の合成磁界がMTJ素子10に印加される。その結果、MTJ素子10の記録層15の強磁性層15a,15cの磁化がアンチパラレル磁化配置となる(図3(c)参照)。その後、書き込み電流I1,I2を流すのを止めると、記録層15の磁化は、書き込み前と反対方向に反転した状態となる。ここで、磁化固定層13及び記録層15の磁化方向が平行となる状態を“1”状態、反平行となる状態を“0”状態と規定することで、2値のデータの書き込みが実現する。
次に、読み出し動作は、読み出し用スイッチング素子として機能するトランジスタTrを利用して、次のように行われる。選択されたMTJ素子10に対応するビット線BL及び読み出しワード線RWLを選択し、MTJ素子10の膜面垂直方向に読み出し電流Irを流す。ここで、磁化固定層13の磁化(磁化固定層13が多層の場合は、記録層15に最も近い強磁性層の磁化)と記録層15の磁化とがほぼ平行状態(例えば“1”状態)の場合は低抵抗となり、ほぼ反平行状態(例えば“0”状態)の場合は高抵抗となる。このようなトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto Resistive)効果による抵抗値を測定し、別途設けられた参照セルの抵抗値と比較し、MTJ素子10の“1”、“0”状態を判別する。
[11−2]選択ダイオード型
図18(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの選択ダイオード型のメモリセルを示す。以下に、選択ダイオード型におけるセル構造について説明する。
図18(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの選択ダイオード型のメモリセルを示す。以下に、選択ダイオード型におけるセル構造について説明する。
図18(a)及び(b)に示すように、選択ダイオード型の1セルMCは、1つのMTJ素子10と、このMTJ素子10につながるダイオードDと、ビット線BLと、ワード線WLとを含んで構成されている。ここで、MTJ素子10は弱いフェロ結合した強磁性層15a,15cからなる記録層15を備え、磁化容易軸はワード線WL及びビット線BLの延在方向に対して斜めを向いている。そして、このメモリセルMCをアレイ状に複数個配置することで、メモリセルアレイMCAを構成する。
ここで、ダイオードDは、例えばPN接合ダイオードであり、P型半導体層とN型半導体層とで構成されている。このダイオードDの一端(例えばP型半導体層)は、MTJ素子10に接続されている。一方、ダイオードDの他端(例えばN型半導体層)は、ワード線WLに接続されている。そして、図示する構造では、ビット線BLからワード線WLへ電流が流れるようになっている。
尚、ダイオードDの配置箇所や向きは、種々に変更することが可能である。例えば、ダイオードDは、ワード線WLからビット線BLへ電流が流れる向きに配置してもよい。また、ダイオードDは、半導体基板1内に形成することも可能である。また、ダイオードDは、半導体層と金属層とからなるショットキー接合ダイオードにすることも可能である。
上記のような選択ダイオード型のメモリセルにおいて、データの書き込み動作は、上記選択トランジスタ型と同様で、アンチパラレルスウィッチングが行われる。
一方、データの読み出し動作も、上記選択トランジスタ型とほぼ同じであるが、選択ダイオード型の場合、ダイオードDを読み出し用スイッチング素子として利用する。すなわち、ダイオードDの整流性を利用し、非選択のMTJ素子は逆バイアスとなるようにビット線BL及びワード線WLのバイアスを制御し、選択したMTJ素子10にのみ読み出し電流Irが流れるようにする。
[11−3]クロスポイント型
図19(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのクロスポイント型のメモリセルを示す。以下に、クロスポイント型におけるセル構造について説明する。
図19(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリのクロスポイント型のメモリセルを示す。以下に、クロスポイント型におけるセル構造について説明する。
図19(a)及び(b)に示すように、クロスポイント型の1セルMCは、1つのMTJ素子10と、ビット線BLと、ワード線WLとを含んで構成されている。ここで、MTJ素子10は弱いフェロ結合した強磁性層15a,15cからなる記録層15を備え、磁化容易軸はワード線WL及びビット線BLの延在方向に対して斜めを向いている。そして、このメモリセルMCをアレイ状に複数個配置することで、メモリセルアレイMCAを構成する。
具体的には、MTJ素子10は、ビット線BL及びワード線WLの交点付近に配置され、MTJ素子10の一端はワード線WLに接続され、MTJ素子10の他端はビット線BLに接続されている。
上記のようなクロスポイント型のメモリセルにおいて、データの書き込み動作は、上記選択トランジスタ型と同様で、アンチパラレルスウィッチングが行われる。一方、データの読み出し動作は、選択されたMTJ素子10に接続するビット線BL及びワード線WLに読み出し電流Irを流すことで、MTJ素子10のデータを読み出す。
[12]アストロイド曲線
図20(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るアストロイド曲線の具体例を示す。
図20(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るアストロイド曲線の具体例を示す。
本発明者らが最も興味のあるパラメータの範囲において、そのアストロイド曲線は、図20(b)に示すようになる。すなわち、実際の書き込みポイントは、Hx≒Hexfr、Hy≒{(Hk1+Hk2)×α}/2となる。ここで、αの単位はradianである。αを0.17radian(10度)、Hk1、Hk2をそれぞれ100[Oe]、250[Oe]、Hexfrを25[Oe]に設定すると、書き込みポイントは、Hx≒25[Oe]、Hy≒30[Oe]となり、書き込み電流値はそれぞれ4mA以下とできる。
Hx方向の書き込みマージンは325[Oe]と非常に広い。Hy≒{(Hk1+Hk2)×α}を超えると書き込みが不安定となるため、Hy方向の実際の書き込みマージンは30[Oe]となり、十分設計可能な範囲である。
[13]効果
本発明の一実施形態によれば、MTJ素子10は弱いフェロ結合した強磁性層15a,15cからなる記録層15を用いて、MTJ素子10の磁化容易軸を第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めにし、印加磁界に対して強磁性層15a,15cの磁化が互いに反対方向に回転して磁化反転するアンチパラレルスウィッチング書き込みを行う。このため、磁化反転過程において、強磁性層15a,15cの磁化がアンチパラレル状態となり(図3(c)参照)、2つの強磁性層15a,15cの磁化が打ち消し合うので、静磁エネルギーが増大しない。このため、書き換えに際するMTJ素子10の反転磁界を大幅に低減することができるため、書き込み電流値を低減できる。
本発明の一実施形態によれば、MTJ素子10は弱いフェロ結合した強磁性層15a,15cからなる記録層15を用いて、MTJ素子10の磁化容易軸を第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向(x軸方向,y軸方向)に対して斜めにし、印加磁界に対して強磁性層15a,15cの磁化が互いに反対方向に回転して磁化反転するアンチパラレルスウィッチング書き込みを行う。このため、磁化反転過程において、強磁性層15a,15cの磁化がアンチパラレル状態となり(図3(c)参照)、2つの強磁性層15a,15cの磁化が打ち消し合うので、静磁エネルギーが増大しない。このため、書き換えに際するMTJ素子10の反転磁界を大幅に低減することができるため、書き込み電流値を低減できる。
従来は、MTJ素子10の短辺長を140nm程度に微細化すると反転磁界が極度に大きくなり、実用的な書き込み電流値(電流密度換算で107A/cm2)以下にすることができなかったのに対し、本発明の一実施形態によれば、MTJ素子10の短辺長を数10nmまで大幅に縮小しても実用的な書き込み電流値の範囲で、磁気ランダムアクセスメモリの高集積化が実現できる。
その他、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…半導体基板、2…ゲート電極、3a…ドレイン拡散層、3b…ソース拡散層、4a,4b,4c,4d…コンタクト、5a,5b,5d…配線、5c…ベース金属層、10…MTJ素子、11…シード電極層、12…磁化固着層、13…磁化固定層、13a,13c,15a,15c,15e,15g…強磁性層、13b,15b,15d,15f…非磁性層、14…トンネルバリア層、15…記録層、16…キャップ層、W1…第1の書き込み配線、W2…第2の書き込み配線、BL…ビット線、WL…ワード線、WWL…書き込みワード線、RWL…読み出しワード線、Tr…トランジスタ、D…ダイオード。
Claims (5)
- 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
前記第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線と、
前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層と記録層と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層とを有し、前記記録層は第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含み、前記第1の強磁性層の第1の磁化と前記第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、前記強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、前記第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置。 - 前記第1及び第2の強磁性層の異方性磁界は、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
- 前記磁化容易軸の方向が前記第1又は第2の方向に対してなす角度θは、0<θ≦30度であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
- 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
前記第1の方向と異なる第2の方向に延在された第2の書き込み配線と、
前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、固定層と記録層と前記固定層及び前記記録層間に挟まれた磁気抵抗層とを有し、前記記録層は第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層間に挟まれた第1の非磁性層とを含み、前記第1の強磁性層の第1の磁化と前記第2の強磁性層の第2の磁化とは強磁性結合し、前記強磁性結合のフェロ結合定数は0.0001erg/cm2以上かつ0.2erg/cm2以下に設定され、前記第1及び第2の方向に対して斜め方向を向く磁化容易軸を有する磁気抵抗素子と
を備え、
前記第1及び第2の書き込み配線に第1及び第2の電流をそれぞれ流し、前記磁気抵抗素子に前記第1及び第2の電流による磁場を印加することにより、前記第1の磁化と前記第2の磁化とを反対方向に回転させて前記第1及び第2の磁化を反転させる
ことを特徴とする磁気記憶装置の書き込み方法。 - 前記第1の書き込み配線のみに前記第1の電流を流した際、前記第1の方向による軸を前記第1及び第2の磁化が挟む磁化配置となることを特徴とする請求項4に記載の磁気記憶装置の書き込み方法。
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