JP4438806B2 - メモリ - Google Patents
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Description
特に、不揮発性メモリは、機器の高機能化に必要不可欠な部品と考えられている。
それぞれの磁気メモリ素子は、情報を強磁性体の磁化の向きとして記録させる記憶層を有して構成される。
そして、記憶素子に情報の記録(書き込み)を行う方法には、アステロイド特性を利用した方法(例えば、特許文献1参照)とスイッチング特性を利用した方法(例えば、特許文献2参照)がある。
一方、記録された情報の読み出しは、トランジスタ等の素子を用いてメモリセルの選択を行い、磁気メモリ素子のトンネル磁気抵抗効果を利用して、記憶層の磁化の向きの違いを電圧信号の差として検出することにより、記録された情報を検知することができる。
さらに、素子の微細化に従って、アドレス配線も細くなり、充分な電流を流すことが難しくなる問題や、保磁力が大きくなるため必要となる電流磁界が増大して、消費電力が増えてしまう問題等を、生じることになる。
従って、素子の微細化が困難であった。
スピントランスファによる磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである(例えば、特許文献4参照)。
即ち、磁化の向きが固定された磁性層(磁化固定層)を通過したスピン偏極電子が、磁化の向きが固定されない他の磁性層(磁化自由層)に進入する際に、この磁性層の磁化にトルクを与えるという現象である。そして、ある閾値以上の電流を流せば、磁性層(磁化自由層)の磁化の向きを反転させることができる。
記録された情報の読み出しは、磁化固定層と磁化自由層(記憶層)との間にトンネル絶縁層を設けた構成とすることにより、MRAMと同様にトンネル磁気抵抗効果を利用することができる。
磁化反転のために記憶素子に流す電流の絶対値は、例えば0.1μm程度のスケールの記憶素子で1mA以下であり、しかも記憶素子の体積に比例して減少するため、スケーリング上有利である。
メモリセルに記録された情報を読み出すために、メモリセルを電気的に選択するためには、ダイオードまたはMOSトランジスタ等を用いることができるが、図5に示すメモリセルはMOSトランジスタを用いている。
強磁性層112及び強磁性層114は、非磁性層113を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。さらに、下層側の強磁性層112は、反強磁性層111と接して配置されており、これらの層間に働く交換相互作用によって、強い一方向の磁気異方性を有する。そして、これら4層111,112,113,114により磁化固定層102が構成される。即ち、磁化固定層102は、2層の強磁性層112,114を有している。
強磁性層116は、その磁化M1の向きが比較的容易に回転するように構成されており、この強磁性層116によって記憶層(磁化自由層)103が構成される。
磁化固定層102の強磁性層114と強磁性層116との間、即ち磁化固定層102と記憶層(磁化自由層)103との間には、トンネル絶縁層115が形成されている。このトンネル絶縁層115は、上下の磁性層116及び114の磁気的結合を切ると共に、トンネル電流を流す役割を担う。これにより、磁性層の磁化の向きが固定された磁化固定層102と、トンネル絶縁層115と、磁化の向きを変化させることが可能な記憶層(磁化自由層)103とにより、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子が構成されている。
そして、上述の各層111〜116と、下地膜110及びトップコート層117により、TMR素子から成る記憶素子101が構成されている。
記憶素子101のトップコート層117は、その上のビット線(BL)105に接続されている。
通常、強磁性層112と強磁性層114とは、飽和磁化膜厚積が等しい構成とされるため、磁極磁界の漏洩成分は無視できるくらい小さい。
なお、磁化固定層102のうち記憶層103側の強磁性層114は、記録した情報を読み出す際に、記憶層103の磁化M1の向きの基準となり参照される強磁性層であるため、参照層とも称される。
メモリセルの情報を書き換えたり、メモリセルに記録した情報を読み出したりするためには、スピン注入電流Izを流す必要がある。このスピン注入電流Izは、記憶素子101及び拡散層123及びビット線105を通過する。
これにより、記憶素子101の記憶層103の磁化M1の向きを変化させて、メモリセルの情報を書き換えることができる。
具体的には、例えば図5に示す構成において、ビット線105を通じて記憶素子101にスピン注入電流Izを流すと共に、ビット線105を流れる電流(スピン注入電流Izに等しい)により発生したバイアス電流磁界Hx(図示せず)を、記憶素子101の記憶層103に印加する。
これにより、記憶層103の磁化M1の向きを、効率良く変化させることが可能になる。
初期状態では、記憶層(磁化自由層)103の磁化Mfreeと参照層(強磁性層)114の磁化Mrefとが平行状態又は反平行状態にあるので、最初に作用するスピントルクは非常に小さい。
このようにスピントルクが小さいため、磁化反転電流が大きくなる。
また、磁化固定層の両端部の近傍に設けられた、2本の金属配線に同方向の電流を流すことにより、磁化固定層を構成する強磁性層の両端部に積層方向の磁化成分が発生するため、記憶層に対して向きの異なる2つのスピントルクを作用させることができ、少ない電流量で情報の記録を行うことができる。
これにより、情報の記録に要する電力を低減して、消費電力の少ないメモリを実現することができる。
スピントランスファを使用するメモリ(SpRAM)では、記憶層(磁化自由層)の磁化が熱揺らぎに対して安定になるように、充分に大きな異方性が設けられる。
Δは、Δ=KuV/kBT(Ku:異方性エネルギー、V:記憶層の体積、kB:ボルツマン定数、T:絶対温度)で与えられる。
このとき、電流磁界を作用させることにより、磁化固定層の強磁性層の両端部において、それぞれ互いに向きの異なる積層方向の磁化成分を発生させ、この積層方向の磁化成分を記憶層の磁化に作用させることが有効である。
金属配線は、磁化固定層の強磁性層の磁化方向に直交するように配置されることが好ましい。また、金属配線は、磁化固定層に平行な面内に配置されることが好ましい。
これら2つのスピントルクにより、記憶層の磁化の向きを容易に反転させることが可能になるため、少ない電流量で記憶層の磁化の向きを反転することができる。
本発明の一実施の形態として、記憶素子の概略構成図(断面図)を、図1に示す。
この記憶素子1は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子から構成されている。
強磁性層12及び強磁性層14が、非磁性層13を介して配置されていることにより、反強磁性結合している。さらに、強磁性層12は、反強磁性層11と接して配置されており、これらの層間に働く交換相互作用によって、強い一方向の磁気異方性を有する。そして、これら4層11,12,13,14により磁化固定層2が構成される。即ち、磁化固定層2は、2層の強磁性層12,14を有している。
強磁性層16は、その磁化M1の向きが比較的容易に回転するように構成されており、この強磁性層16によって記憶層(磁化自由層)3が構成される。
強磁性層14と強磁性層16との間、即ち磁化固定層2と記憶層(磁化自由層)3との間には、トンネル絶縁層15が形成されている。このトンネル絶縁層15は、上下の磁性層16及び14の磁気的結合を切ると共に、トンネル電流を流す役割を担う。これにより、磁性層の磁化の向きが固定された磁化固定層2と、トンネル絶縁層15と、磁化の向きを変化させることが可能な記憶層(磁化自由層)3とにより、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子が構成されている。
そして、上述の各層11〜16と、下地膜10及びトップコート層17により、TMR素子から成る記憶素子1が構成されている。
そして、トンネル絶縁層15を挟む、記憶層3の強磁性層16の磁化M1の向きと、磁化固定層2の強磁性層14の磁化M12の向きとが、平行状態にあるか反平行状態にあるかによって、これらの層14,15,16から成るTMR素子の抵抗値が変化する。2つの磁化M1,M12が平行状態では抵抗値が低くなり、反平行状態では抵抗値が高くなる。TMR素子(14,15,16)の抵抗値が変化すると、記憶素子1全体の抵抗値も変化する。このことを利用して、情報を記録することや、記録した情報を読み出すことができる。即ち、例えば、抵抗値が低い状態を「0」情報に割り当て、抵抗値が高い状態を「1」情報に割り当てることにより、2値(1ビット)の情報を記録することができる。
なお、磁化固定層2のうち最も記憶層3に近い強磁性層14は、記録した情報を読み出す際に、記憶層3の磁化M1の向きの基準となり参照される強磁性層であるため、参照層とも称される。
このスピン注入電流Izの極性を変えることにより、記憶素子1を流れるスピン注入電流Izを、上向きから下向きに、或いは下向きから上向きに、変えることができる。
これにより、記憶素子1の記憶層3の磁化M1の向きを変化させて、メモリセルの情報を書き換えることができる。
また、配線に記憶素子1を接続して、この配線を通じて記憶素子1の積層方向にスピン注入電流Izを流す構成とすることができる。
この金属配線20,21は、記憶素子1の近傍において、同一方向の電流が流れる構成である。
また、金属配線20,21は、記憶素子1の両端部の近傍であって、磁化固定層2に接しない位置であり、かつ、金属配線20,21で発生する電流磁界が磁化固定層2に積層方向の磁化成分を発生させることができる位置に、配置することができる。例えば、記憶素子1の磁化固定層2の両端部の近傍であって、磁化固定層2の磁化方向に対して直交する方向や、磁化方向に対して平行な方向に、延びる金属配線を配置することができる。また、記憶素子1の磁化固定層2に平行な面内に金属配線を配置することができる。
初期状態では、記憶層3の磁化Mfreeと参照層14の磁化Mrefとが平行もしくは反平行状態にあるので、最初に作用するスピントルクは非常に小さい。このような場合には、磁化反転電流が大きくなる。
金属配線20,21が磁化固定層2に平行な面内に配置されていることにより、また、金属配線20,21と磁化固定層2の磁化方向とが直交していることにより、金属配線20,21の周囲に発生する電流磁界が、磁化固定層2の強磁性層12,14に対して作用しやすくなる。このため、積層方向の磁化成分が発生しやすく、また、発生する積層方向の磁化成分が強くなるため、記憶層3の磁化に作用するスピントルクを大きくすることができる。そして、磁化反転電流を小さくすることができる。
図2に示すように、2本の金属配線20,21に、図面の表側から裏側へ平行な電流Ia、Ibを流した場合、金属配線20,21の周りに、図2において破線で示すように時計周りの電流磁界20a,21aがそれぞれ発生する。
このとき、磁化固定層2の内部における電流磁界20a,21aは、2本の金属配線20,21のそれぞれによって発生する2つの電流磁界20a,21aの合成磁界となる。
一方、磁化固定層2の中央付近においては、2つの電流磁界20a,21aの大きさがほぼ同じであり、かつ向きが反対であるために、2つの電流磁界20a,21aが相殺される。
すなわち、磁化固定層2の2つの強磁性層12の磁化M11及び強磁性層14の磁化M12の両端部において、上向の磁化成分M11a,M12a、又は、下向きの磁化成分M11b,M12bが発生する。この上向又は下向きの磁化成分M11a,11b,M12a,M12bは、磁化M11及び磁化M12の磁化の方向から積層方向までの角度を有している。
また、磁化固定層2の中央付近においては、2つの電流磁界20a,21aが相殺されるため、積層方向の磁化成分が生じない。
従って、記憶層3の磁化M1の、強磁性層14の積層方向の磁化成分の直上にある極めて狭い領域に対して、非常に大きいスピントルクが加わる。
図3に示すように、積層方向の磁化成分が発生した、M11,M12から記憶層3の磁化M1に対して、互いに逆向きのスピントルクTa,Tbが作用する。
そのため、記憶層3の磁化M1を一斉回転させるのに都合がよい。
これにより、記憶層3の磁化M1の向きを、容易に反転させることができる。
それぞれのパルスの持続時間は、スピン注入電流Izはt3−t1、電流Ia,Ibはt4−t2である。スピン注入電流Izはt1以前ではオフ状態であり、t1においてオン状態となり、t3においてオフ状態となる。
この角度は、図3のような180度近傍ではなくても、記憶層3の磁化M1に異なる向きのスピントルクを作用させて、記憶層3の磁化M1の向きを容易に反転させることができる。
反強磁性層11の材料としては、例えばPtMnを用いることができる。
磁化固定層2の強磁性層12,14の材料としては、CoFe等の強磁性材料を用いることができる。
非磁性層13の材料としては、例えば、Ru,Ta,Cr,Cu等を用いることができる。
トンネル絶縁層15の材料としては、例えばMgOを用いることができる。
記憶層3の強磁性層16の材料としては、CoFeB等の強磁性材料を用いることができる。
例えば、上述の実施の形態の記憶素子において、磁化固定層を構成する強磁性層の数を2層以外とした場合においても、少なくとも磁化固定層の最も記憶層3側に配置された強磁性層に金属配線から電流磁界を作用させて積層方向の磁化成分を発生させることにより、記憶層の磁化に対して大きいスピントルクを作用させることができる。これにより、記憶層3の磁化M1の向きを容易に反転させることができるため、少ない電流量のスピン注入電流Izで記憶層3の磁化M1の向きを反転することができる。
従って、情報の記録に要するスピン注入電流Izを低減して、消費電力を低減することができる。
また、例えば、3層以上の複数の強磁性層によって、磁化固定層を構成することもできる。磁化固定層が複数の強磁性層によって構成される場合においても、少なくとも磁化固定層の最も記憶層3側に配置された強磁性層に金属配線から電流磁界を作用させて積層方向の磁化成分を発生させることにより、記憶層の磁化に対してスピントルクを作用させることができる。
さらに、積層方向の磁化成分を発生させる強磁性層は、最も記憶層3側に配置された強磁性層だけでなく、磁化固定層を構成するその他の強磁性層に対しても積層方向の磁化成分を発生させてもよい。複数の強磁性層において積層方向の磁化成分を発生させることにより、記憶層の磁化に対して大きいスピントルクを作用させることができる。これにより、記憶層3の磁化M1の向きを容易に反転させることができるため、少ない電流量のスピン注入電流Izで記憶層3の磁化M1の向きを反転することができる。
これにより、情報の記録に要するスピン注入電流Izを低減して、消費電力を低減することができる。
Claims (1)
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、前記記憶層に対して非磁性層を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層とを有し、積層方向に電流を流すことにより、前記記憶層の磁化の向きが変化して、前記記憶層に対して情報の記録が行われる記憶素子を備え、
前記記憶素子は、前記磁化固定層の両端部の近傍に、2本の金属配線が設けられている構成であり、
前記2本の金属配線に、同方向の電流を流すことにより、前記磁化固定層を構成する複数層の強磁性層のうち少なくとも最も前記記憶層側に配置された前記強磁性層の両端部において、それぞれ前記積層方向の磁化成分であり、かつ向きが互いに異なる磁化成分である、磁化領域が形成される
ことを特徴とするメモリ。
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