JP2005223086A - 磁気記憶素子及びその駆動方法、磁気メモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】 低い電流で情報を記録することができる磁気記憶素子、及び磁気記憶素子に情報の記録や読み出しを行う磁気記憶素子の駆動方法、並びに磁気記憶素子を備えて成る磁気メモリを提供する。
【解決手段】 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層21が少なくとも2層の磁性層16,18とその間の非磁性層17から成り、記憶層21の2層の磁性層16,18のうちの一方の磁性層18が、他方の磁性層16に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子10を構成する。また、上記磁気記憶素子10に対して、記憶層21に電流を流して情報の記録を行う。さらに、上記磁気記憶素子10を備え、記憶層21に電流を流すことにより情報の記録が行われる磁気メモリを構成する。
【選択図】 図4
【解決手段】 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層21が少なくとも2層の磁性層16,18とその間の非磁性層17から成り、記憶層21の2層の磁性層16,18のうちの一方の磁性層18が、他方の磁性層16に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子10を構成する。また、上記磁気記憶素子10に対して、記憶層21に電流を流して情報の記録を行う。さらに、上記磁気記憶素子10を備え、記憶層21に電流を流すことにより情報の記録が行われる磁気メモリを構成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、磁気記憶素子及び磁気記憶素子に情報の記録や読み出しを行う磁気記憶素子の駆動方法、並びに磁気記憶素子を備えて成る磁気メモリに係わる。
コンピュータ等の情報機器では、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは直交する2種類のアドレス配線(ワード線、ビット線)にそれぞれ電流を流して、各アドレス配線から発生する電流磁場によって、アドレス配線の交点にある磁気記憶素子の磁性層の磁化を反転して情報の記録を行うものである。
しかしながら、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する磁性層(記憶層)において一定の保磁力が必要であり、一方、記録された情報を書き換えるためにはアドレス配線にある程度の電流を流さなければならない。
そして、MRAMを構成する素子の微細化に従い、アドレス配線も細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そして、MRAMを構成する素子の微細化に従い、アドレス配線も細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を利用する構成の磁気メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、少ない電流で磁化反転を実現することができる利点を有している。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、少ない電流で磁化反転を実現することができる利点を有している。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁)
特開2003−17782号公報
しかしながら、上述したスピン注入による磁化反転を利用して情報の記録を行う構成において、磁化情報の検出に強磁性トンネル効果を用いる場合、素子抵抗が高くなるため、記録の電圧により絶縁層の破壊が生じてしまい、問題となる。
また、スピン注入による磁化反転のみで自由に情報を書き換えるためには、スピン注入によって両極性の動作を行うことが必要である。
しかし、原理的に、スピン注入によって上記2つの磁性体(磁性体及び他の磁性体)の磁化を反平行にするためには、スピン注入により上記2つの磁性体の磁化を平行にするときと比較して、より大きな電流が必要である。
このことが、低い電流で自由に書き換えができる情報記憶素子を実現する上で、課題となる。
しかし、原理的に、スピン注入によって上記2つの磁性体(磁性体及び他の磁性体)の磁化を反平行にするためには、スピン注入により上記2つの磁性体の磁化を平行にするときと比較して、より大きな電流が必要である。
このことが、低い電流で自由に書き換えができる情報記憶素子を実現する上で、課題となる。
上述した問題の解決のために、本発明においては、低い電流で情報を記録することができる磁気記憶素子、及び磁気記憶素子に情報の記録や読み出しを行う磁気記憶素子の駆動方法、並びに磁気記憶素子を備えて成る磁気メモリを提供するものである。
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、この記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、2層の磁性層のうち一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さいものである。
本発明の磁気記憶素子の駆動方法は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、この記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、2層の磁性層のうち一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子に対して、記憶層に電流を流して情報の記録を行うものである。
本発明の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、この記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、2層の磁性層のうち一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子を備え、この磁気記憶素子の記憶層に電流を流すことにより、情報の記録が行われるものである。
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、この記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、2層の磁性層のうち一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さいことにより、一方の磁性層は、スピン注入では磁化の向きが変化しやすく、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しにくい性質を有し、他方の磁性層は、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しやすいが、スピン注入では磁化の向きが変化しにくい性質を有する。
従って、記憶層に電流を流してスピンを注入すれば、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい他方の磁性層の磁化の向きが変わる。さらに電流を停止することにより、他方の磁性層との静磁結合の作用により一方の磁性層の磁化の向きが変わって、記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させることができる。
そして、他方の磁性層はスピン注入で磁化の向きが変化しやすいため、比較的小さい電流量で磁化の向きを反転させることができ、また一方の磁性層は他方の磁性層との静磁結合により電流を流さない状態で磁化の向きを反転させることができることから、小さい電流量で記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことが可能になる。
さらに、一方の極性即ち同じ向きの電流のみにより、記憶層の磁性層の磁化の向きをどちらの向きにも反転させることができるため、電流を流すための駆動回路の構成を簡略化することが可能になる。
従って、記憶層に電流を流してスピンを注入すれば、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい他方の磁性層の磁化の向きが変わる。さらに電流を停止することにより、他方の磁性層との静磁結合の作用により一方の磁性層の磁化の向きが変わって、記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させることができる。
そして、他方の磁性層はスピン注入で磁化の向きが変化しやすいため、比較的小さい電流量で磁化の向きを反転させることができ、また一方の磁性層は他方の磁性層との静磁結合により電流を流さない状態で磁化の向きを反転させることができることから、小さい電流量で記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことが可能になる。
さらに、一方の極性即ち同じ向きの電流のみにより、記憶層の磁性層の磁化の向きをどちらの向きにも反転させることができるため、電流を流すための駆動回路の構成を簡略化することが可能になる。
また、本発明の磁気記憶素子は、例えば、記憶層を含む各層が同じ平面パターンで積層された積層体から成り、記憶層の2層の磁性層の膜厚等の条件を異ならせて構成することにより、微細化することが比較的容易な構成とすることができる。
上述の本発明の磁気記憶素子の駆動方法によれば、上記本発明の磁気記憶素子に対して、記憶層に電流を流して情報の記録を行うことにより、小さい電流量で記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことができると共に、同じ向きの電流のみにより、記憶層の磁性層の磁化の向きをどちらの向きにも反転させることができるため、電流を流すための駆動回路の構成を簡略化することが可能になる。
上述の本発明の磁気メモリの構成によれば、上記本発明の磁気記憶素子を備えて、記憶層に電流を流すことにより情報の記録が行われることにより、小さい電流量で記憶層の2層の磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことができると共に、同じ向きの電流のみにより、記憶層の磁性層の磁化の向きをどちらの向きにも反転させることができるため、電流を流すための駆動回路の構成を簡略化することができる。
また、上述したように磁気記憶素子を微細化することが比較的容易な構成とすることができるため、これにより、磁気メモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
また、上述したように磁気記憶素子を微細化することが比較的容易な構成とすることができるため、これにより、磁気メモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
また、上記本発明の磁気記憶素子及びその駆動方法、磁気メモリにおいて、記憶層の膜厚方向における磁気記憶素子の電流−電圧特性が、電流の向きにより非対称である構成とすることも可能である。
このような構成としたときには、さらに、記憶層の膜厚方向に電流を流して情報の記録及び情報の読み出しを行うようにすると共に、情報の記録と情報の読み出しとで流す電流の向きを逆向きとすることにより、情報の記録の際には磁気記憶素子の抵抗を低減することが可能になり、かつ情報の読み出しの際には読み出し電圧を大きくすることが可能になる。これにより、情報の記録の際には充分な電流を流し、情報の読み出しの際には情報の読み出しを容易にすることができる。
また、情報の記録と情報の読み出しとで電極を共用することができるため、さらに、電極の構成や駆動回路の構成を簡略化することができる。
このような構成としたときには、さらに、記憶層の膜厚方向に電流を流して情報の記録及び情報の読み出しを行うようにすると共に、情報の記録と情報の読み出しとで流す電流の向きを逆向きとすることにより、情報の記録の際には磁気記憶素子の抵抗を低減することが可能になり、かつ情報の読み出しの際には読み出し電圧を大きくすることが可能になる。これにより、情報の記録の際には充分な電流を流し、情報の読み出しの際には情報の読み出しを容易にすることができる。
また、情報の記録と情報の読み出しとで電極を共用することができるため、さらに、電極の構成や駆動回路の構成を簡略化することができる。
上述の本発明によれば、消費電力の少ない、高密度の不揮発性磁気メモリを実現することが可能になる。
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
本発明では、磁化の向き(磁化状態)を情報として保持する記憶層を、少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層を有する構造として、磁気記憶素子を構成する。
また、この記憶層に対して、前述したスピン注入による磁化反転を用いて、記憶層を構成する磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行う。
本発明では、磁化の向き(磁化状態)を情報として保持する記憶層を、少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層を有する構造として、磁気記憶素子を構成する。
また、この記憶層に対して、前述したスピン注入による磁化反転を用いて、記憶層を構成する磁性層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行う。
スピン注入により磁化反転を行う方法としては、磁化の向きが固定された磁性層と、記憶層との間に、偏極電子を流すことにより記憶層の磁化反転を行う方法が提案されている。
ここで、スピン注入による磁化反転現象を、図10及び図11に模式的に示す。
上層の第1の磁性層111、非磁性層112、下層の第2の磁性層113の3層が積層された構造に対して、電子101を注入する。電子101を膜厚方向に注入した場合を図10に示し、電子101を膜面方向に注入した場合を図11に示す。
ここで、スピン注入による磁化反転現象を、図10及び図11に模式的に示す。
上層の第1の磁性層111、非磁性層112、下層の第2の磁性層113の3層が積層された構造に対して、電子101を注入する。電子101を膜厚方向に注入した場合を図10に示し、電子101を膜面方向に注入した場合を図11に示す。
まず、図10に示すように、電子101を上層から下層に向かって膜厚方向に注入した場合には、電子101が上層の第1の磁性層111を通過する際に電子スピンが偏極し、非磁性層112を通過して、下層の第2の磁性層113に入るが、一部の電子101が反射され、反射されるときに電子101のスピンと第2の磁性層113との間で磁気モーメントのやりとりがあり、下層の第2の磁性層113の磁化M113に回転トルクが働き、第2の磁性層113の磁化M113の向きが膜面方向から回転する。
さらに、反射された電子101が上層の第1の磁性層111に戻り、ここで一部の電子101が反射されることによって、電子101のスピンと第1の磁性層111との間で磁気モーメントのやりとりがあり、上層の第1の磁性層111の磁化M111にも回転トルクが働き、第1の磁性層111の磁化M111の向きも膜面方向から回転する。
さらに、反射された電子101が上層の第1の磁性層111に戻り、ここで一部の電子101が反射されることによって、電子101のスピンと第1の磁性層111との間で磁気モーメントのやりとりがあり、上層の第1の磁性層111の磁化M111にも回転トルクが働き、第1の磁性層111の磁化M111の向きも膜面方向から回転する。
ここで、上層の第1の磁性層111の磁化M111の向きを固定すると、下層の第2の磁性層113の磁化M113のみが回転するため、電流を膜厚方向に流すことにより、第2の磁性層113の磁化M113の向きを回転させていって、第1の磁性層111の磁化M111と第2の磁性層113の磁化M113とを平行にすることができる。
一方、下層の磁性層113の磁化M113の向きを固定すると、磁化を反平行にすることができる。ただし、反平行にするのは効率が悪いので、平行にするより大きな電流が必要である。
第1の磁性層111及び第3の磁性層113が、いずれも磁化M111,M113の向きが固定されていない場合には、膜厚方向に電流を流すことにより、これらの磁化M111,M113の向きが平行になる力が強くなる。
一方、下層の磁性層113の磁化M113の向きを固定すると、磁化を反平行にすることができる。ただし、反平行にするのは効率が悪いので、平行にするより大きな電流が必要である。
第1の磁性層111及び第3の磁性層113が、いずれも磁化M111,M113の向きが固定されていない場合には、膜厚方向に電流を流すことにより、これらの磁化M111,M113の向きが平行になる力が強くなる。
次に、図11に示すように、電子101を面内方向に注入した場合には、注入された電子101が、非磁性層112と上層の第1の磁性層111との界面及び非磁性層112と下層の第2の磁性層113との界面で散乱されながら、上層の第1の磁性層111と下層の第2の磁性層113との間で磁気モーメントをやりとりする。
これにより、第1の磁性層111の磁化M111と第2の磁性層113の磁化M113とが平行になるように力が働く。
これにより、第1の磁性層111の磁化M111と第2の磁性層113の磁化M113とが平行になるように力が働く。
以上のように、磁性層の面内方向に電流を流したときも、磁性層の膜厚方向に電流を流したときと同様の効果が得られる。
そして、スピン注入による磁化反転を起こすために必要な電流Icは、下記の式(1)で表される(J.C.Slonzewski:Journal of Magnetism and Magnetic Materials,Volume159(1996)L1参照)。
Ic=α・e・γ・Ms・V・Heff/(g・μB) (1)
ここで、αは制動定数、eは電子の電荷、γはジャイロ定数、Msは磁化が回転する磁性層の飽和磁化、Heffは磁気異方性による異方性磁界(Ha)や外部磁場等の磁性層に働く有効磁場、Vは磁性層の体積、gはスピン注入効率、μBはボーア磁子である。
Ic=α・e・γ・Ms・V・Heff/(g・μB) (1)
ここで、αは制動定数、eは電子の電荷、γはジャイロ定数、Msは磁化が回転する磁性層の飽和磁化、Heffは磁気異方性による異方性磁界(Ha)や外部磁場等の磁性層に働く有効磁場、Vは磁性層の体積、gはスピン注入効率、μBはボーア磁子である。
この式(1)から、スピン注入により磁化反転するための電流Icは、磁性体の制動定数αと磁性層の飽和磁化Msと磁性層に働く有効磁場Heffの積に比例することがわかる。そして、磁性層の磁化量Mは、飽和磁化と磁性体の体積の積に比例するため、膜厚と平面パターンが同じであるならば飽和磁化Msに比例する。また、有効磁場Heffと磁性層の磁気異方性による異方性磁界Haとは、外部磁場や層間の磁気的な作用がなければ、ほぼ等しくなる。
従って、スピン注入により磁化反転するための電流Icは、制動定数αと磁性層の磁化量Mと異方性磁界Haとの積に比例することがわかる。
従って、スピン注入により磁化反転するための電流Icは、制動定数αと磁性層の磁化量Mと異方性磁界Haとの積に比例することがわかる。
この比例関係から、記憶層を構成する非磁性層を挟んだ2層の磁性層のうち、一方の磁性層を他方の磁性層に対して、制動定数αと磁化量M及び異方性磁界Haの大きな層として、電流を流すと、制動定数αと磁化量M及び異方性磁界Haが大きい方の磁性層の磁化が動きにくく、小さい方の磁性層の磁化が動きやすい。
また、静磁結合等の磁気的力では、制動定数αの大きさの違いによる影響はほとんどないが、磁化量Mや異方性磁界Haが大きい方の磁性層の磁化が動きにくく、小さい方の磁性層の磁化が動きやすい。
そこで、一方の磁性層を、制動定数αと磁化量M及び異方性磁界Haの積が大きく、かつ磁化量Mと異方性磁界Haの積が小さいように設定すると、スピン注入では磁化が動きにくく、静磁結合等の磁気的力では動きやすくなる。
また、静磁結合等の磁気的力では、制動定数αの大きさの違いによる影響はほとんどないが、磁化量Mや異方性磁界Haが大きい方の磁性層の磁化が動きにくく、小さい方の磁性層の磁化が動きやすい。
そこで、一方の磁性層を、制動定数αと磁化量M及び異方性磁界Haの積が大きく、かつ磁化量Mと異方性磁界Haの積が小さいように設定すると、スピン注入では磁化が動きにくく、静磁結合等の磁気的力では動きやすくなる。
ここで、図1に模式的断面図を示すように、上層の第1の磁性層1と下層の第2の磁性層2との間に非磁性層3を挟んで記憶層4が構成され、さらに、下層の第2の磁性層2の方が、上層の第1の磁性層1よりも、制動定数αと磁化量M及び異方性磁界Hの積が大きく、かつ磁化量Mと異方性磁界Hの積が小さい構成とする。定常時には、第1の磁性層1の磁化M1の向きと第2の磁性層2の磁化M2の向きとが反平行になる。
また、スピン注入では第1の磁性層1の磁化M1の方が動きやすく、静磁結合等の磁気的力では第2の磁性層2の磁化M2の方が動きやすい。
また、スピン注入では第1の磁性層1の磁化M1の方が動きやすく、静磁結合等の磁気的力では第2の磁性層2の磁化M2の方が動きやすい。
次に、このような構成の記憶層4に対して、電流を流してスピン注入による磁化反転を行ったときの動作を、模式的に図2に示す。図2は2つの磁性層1,2を磁化M1,M2の向きが分かりやすいようにずらして展開して示している。
なお、磁気異方性は、図1では左右方向であり、図2では上下方向である。
なお、磁気異方性は、図1では左右方向であり、図2では上下方向である。
まず、初期状態では、図2Aに示すように、第1の磁性層1の磁化M1が上向き、第2の磁性層2の磁化M2が下向きで、互いに反平行の向きになっている。
次に、電流を流すと、図2Bに示すように、スピン注入により回転しやすい上層の第1の磁性層1の磁化M1が大きく回転し、下層の第2の磁性層2の磁化M2の回転は少ない。
次に、図2Cに示すように、ある程度の時間電流を流すと、磁化の動きが止まり、磁気トルクと磁気異方性や相互作用等による力とが均衡すると、各磁性層1,2の磁化M1,M2が一定角度を保って安定する。このとき、上層の第1の磁性層1の方が異方性磁界Hと磁化量Mの積が大きいので、上層の第1の磁性層1の磁化M1は、下層の第2の磁性層2の磁化M2よりも異方性磁界の方向(図中上下方向)に近いところで安定する。
次に、図2Dに示すように、電流を遮断すると、各磁性層1,2の磁化M1,M2が反平行である状態が安定であるため、反平行になるように磁化M1,M2が回転する。このとき、磁気的力では、上層の第1の磁性層1の磁化M1よりも下層の第2の磁性層2の磁化M2の方が回転しやすいため、下層の第2の磁性層2の磁化M2が大きく回転し、向きが反転する。
そして、最終的には、図2Eに示すように、第1の磁性層1の磁化M1が下向きに、第2の磁性層2の磁化M2が上向きに変化する。即ち、初期状態に対して、各磁性層1,2の磁化M1,M2が反転した状態に変化する。
このようにして、磁化反転動作を行うことができる。
次に、電流を流すと、図2Bに示すように、スピン注入により回転しやすい上層の第1の磁性層1の磁化M1が大きく回転し、下層の第2の磁性層2の磁化M2の回転は少ない。
次に、図2Cに示すように、ある程度の時間電流を流すと、磁化の動きが止まり、磁気トルクと磁気異方性や相互作用等による力とが均衡すると、各磁性層1,2の磁化M1,M2が一定角度を保って安定する。このとき、上層の第1の磁性層1の方が異方性磁界Hと磁化量Mの積が大きいので、上層の第1の磁性層1の磁化M1は、下層の第2の磁性層2の磁化M2よりも異方性磁界の方向(図中上下方向)に近いところで安定する。
次に、図2Dに示すように、電流を遮断すると、各磁性層1,2の磁化M1,M2が反平行である状態が安定であるため、反平行になるように磁化M1,M2が回転する。このとき、磁気的力では、上層の第1の磁性層1の磁化M1よりも下層の第2の磁性層2の磁化M2の方が回転しやすいため、下層の第2の磁性層2の磁化M2が大きく回転し、向きが反転する。
そして、最終的には、図2Eに示すように、第1の磁性層1の磁化M1が下向きに、第2の磁性層2の磁化M2が上向きに変化する。即ち、初期状態に対して、各磁性層1,2の磁化M1,M2が反転した状態に変化する。
このようにして、磁化反転動作を行うことができる。
また、図3A〜図3Eに示すように、逆方向に磁化反転させることによって、図2Eに示した磁化状態から図2Aに示した磁化状態に変化させることができる。このとき、流す電流の向きは同じ(電子のスピン極性が同じ)であり、必要な電流量は同じになる。
制動定数αを増加させる方法としては、例えば、2層の磁性層のうち制動定数αを増加させる一方の磁性層に、Ni、Pd、Ptの少なくとも1種を主成分とする合金膜を近接して配置する方法等が考えられる。
また、本発明において、磁気記憶素子としては、図1に示したような構成の記憶層4の他に、記憶層4の磁化方向検出のための磁化固定層(参照層)や、磁化固定層の磁化を固定するための反強磁性体層、さらには強磁性トンネル効果によって磁化を検出するためのトンネル絶縁層、等の各層が付加された構成が適している。
続いて、上述した本発明の構成を満足する具体的な本発明の実施の形態について説明する。
本発明の磁気記憶素子の一実施の形態の概略構成図(斜視図)を図4に示す。本実施の形態は、磁気記憶素子の記憶層の面内方向に記録電流を流すものである。
この磁気記憶素子10は、左右2つの電極11の上に跨って、円筒形状の積層体20が形成されて成る。2つの電極11は、記録電流を流すために用いられる。
また、円筒形状の積層体20は、上層から、読み出し用の電極層12、反強磁性層13、磁化固定層(参照層)14、トンネル絶縁層15、記憶層の第1の磁性層16、非磁性層17、記憶層の第2の磁性層18、下地層19が積層されて成る。
そして、記憶層の第1の磁性層16及び記憶層の第2の磁性層18の間に非磁性層17を挟んでいることにより、図1に示した記憶層4と同様の構造の記憶層21が構成されている。
この磁気記憶素子10は、左右2つの電極11の上に跨って、円筒形状の積層体20が形成されて成る。2つの電極11は、記録電流を流すために用いられる。
また、円筒形状の積層体20は、上層から、読み出し用の電極層12、反強磁性層13、磁化固定層(参照層)14、トンネル絶縁層15、記憶層の第1の磁性層16、非磁性層17、記憶層の第2の磁性層18、下地層19が積層されて成る。
そして、記憶層の第1の磁性層16及び記憶層の第2の磁性層18の間に非磁性層17を挟んでいることにより、図1に示した記憶層4と同様の構造の記憶層21が構成されている。
本実施の形態では、特に、円筒形状の積層体20の記憶層の下部にある下地層19を、記憶層21の第2の磁性層18の制動定数αを増加させる作用を有するように構成する。
例えば、下地層19として、Ni、Pd、Ptの少なくとも1種を主成分とする合金膜を用いる。
例えば、下地層19として、Ni、Pd、Ptの少なくとも1種を主成分とする合金膜を用いる。
また、記憶層の第1の磁性層16及び第2の磁性層18は、同一の磁性材料により、同一の平面パターンに形成されている。このため、これら2層の磁性層16及び18は、飽和磁化及び断面積が同一になっている。
さらに、第2の磁性層18の膜厚は、第1の磁性層16の膜厚よりも小さく(薄く)なって、かつ断面積が同一であるため、体積が小さくなっている。
即ち、第2の磁性層18は、第1の磁性層16と比較して、飽和磁化が同一で体積が小さいことにより、磁化量が小さくなっている。
一方、第2の磁性層18は、下地層19により制動定数αが増加しているため、第1の磁性層16と比較して、制動定数αが大きい。
そして、第2の磁性層18は、第1の磁性層16に対して、磁化の制動定数αと磁化量と磁気異方性の積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さくなるように形成されている。
さらに、第2の磁性層18の膜厚は、第1の磁性層16の膜厚よりも小さく(薄く)なって、かつ断面積が同一であるため、体積が小さくなっている。
即ち、第2の磁性層18は、第1の磁性層16と比較して、飽和磁化が同一で体積が小さいことにより、磁化量が小さくなっている。
一方、第2の磁性層18は、下地層19により制動定数αが増加しているため、第1の磁性層16と比較して、制動定数αが大きい。
そして、第2の磁性層18は、第1の磁性層16に対して、磁化の制動定数αと磁化量と磁気異方性の積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さくなるように形成されている。
このため、第2の磁性層18は、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しやすいが、スピン注入では磁化の向きが変化しにくい。
一方、第1の磁性層16は、スピン注入では磁化の向きが変化しやすいが、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しにくい。
一方、第1の磁性層16は、スピン注入では磁化の向きが変化しやすいが、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しにくい。
また、本実施の形態においては、記憶層21に情報を記録する際に、2つの電極11間に電流を流して、磁気記憶素子10に、記憶層21の面内方向の記録電流を流す。
トンネル絶縁層15は、他の層に比べ比抵抗が大きいので、記録電流のほとんどが記憶層21を形成する各層16,17,18,19を図中Iwriteで示すように流れる。
この記録電流により、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい第1の磁性層16の磁化の向きが変わり、例えば図2Cに示した2層16,18の磁化の向きが平行に近い状態になり、さらに記録電流を停止することにより、静磁結合の作用により第2の磁性層18の磁化の向きが変わって、最初の2層16,18の磁化の向きから反転させることができ、これにより情報の記録が行われる。
トンネル絶縁層15は、他の層に比べ比抵抗が大きいので、記録電流のほとんどが記憶層21を形成する各層16,17,18,19を図中Iwriteで示すように流れる。
この記録電流により、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい第1の磁性層16の磁化の向きが変わり、例えば図2Cに示した2層16,18の磁化の向きが平行に近い状態になり、さらに記録電流を停止することにより、静磁結合の作用により第2の磁性層18の磁化の向きが変わって、最初の2層16,18の磁化の向きから反転させることができ、これにより情報の記録が行われる。
一方、記憶層21に記録された情報を読み出す際には、磁気記憶素子10に記憶層21の膜厚方向、即ち積層体20の積層方向に、電流Ireadを流して抵抗値を検出する。
記憶層21の第1の磁性層16の磁化の向きと、磁化固定層(参照層)14の磁化の向きとが、平行であるときには抵抗値が低く、反平行であるときには抵抗値が高くなるため、抵抗値の検出により、記憶層21の第1の磁性層16の磁化の向きを判別して、情報の内容を検知することができる。
記憶層21の第1の磁性層16の磁化の向きと、磁化固定層(参照層)14の磁化の向きとが、平行であるときには抵抗値が低く、反平行であるときには抵抗値が高くなるため、抵抗値の検出により、記憶層21の第1の磁性層16の磁化の向きを判別して、情報の内容を検知することができる。
そして、本実施の形態の磁気記憶素子10によりメモリセルを構成し、このメモリセルを多数マトリクス状に配置して、MRAM等の磁気メモリを構成することができる。
このような磁気メモリにおいては、各メモリセルの磁気記憶素子10に対して、電流を流したり、電圧を印加したりするために、電極に配線等を接続する。そして、情報の記録や読み出しを行う際には、駆動回路から配線等を通して対象となるメモリセルの磁気記憶素子10に電流や電圧を供給する。
このような磁気メモリにおいては、各メモリセルの磁気記憶素子10に対して、電流を流したり、電圧を印加したりするために、電極に配線等を接続する。そして、情報の記録や読み出しを行う際には、駆動回路から配線等を通して対象となるメモリセルの磁気記憶素子10に電流や電圧を供給する。
上述の本実施の形態の磁気記憶素子10の構成によれば、記憶層21が少なくとも2層の磁性層16,18とその間の非磁性層17からなり、制動定数αを増加させる作用を有する下地層19が第2の磁性層18の下に配置されていることにより、第2の磁性層18の制動定数αが第1の磁性層16の制動定数αよりも大きくなっている。また、第2の磁性層18の方が、第1の磁性層16よりも膜厚が小さく(薄く)なっており、第1の磁性層16及び第2の磁性層18は材料と平面パターンが同一なので、第2の磁性層18の方が第1の磁性層16よりも磁化量が小さくなっている。
そして、第2の磁性層18は、第1の磁性層16に対して、磁化の制動定数αと磁化量と磁気異方性の積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さくなるように形成されている。
そして、第2の磁性層18は、第1の磁性層16に対して、磁化の制動定数αと磁化量と磁気異方性の積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さくなるように形成されている。
これにより、第1の磁性層16は、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しやすいが、スピン注入では磁化の向きが変化しにくい性質を有する。また、第2の磁性層18は、スピン注入では磁化の向きが変化しやすく、静磁結合等の磁気的力では磁化の向きが変化しにくい性質を有する。
従って、記憶層21に電流を流すことにより、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい第1の磁性層16の磁化の向きが変わる。さらに記録電流を停止することにより、第1の磁性層16との静磁結合の作用により第2の磁性層18の磁化の向きが変わって、最初の2層16,18の磁化の向きから反転させることができる。
従って、記憶層21に電流を流すことにより、スピン注入で磁化の向きが変化しやすい第1の磁性層16の磁化の向きが変わる。さらに記録電流を停止することにより、第1の磁性層16との静磁結合の作用により第2の磁性層18の磁化の向きが変わって、最初の2層16,18の磁化の向きから反転させることができる。
そして、この構成の記憶層21に対して、その面内方向の記録電流Iwriteを流して情報の記録を行うことにより、図2及び図3に示したと同様にして、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことができる。
このとき、第1の磁性層16はスピン注入で磁化の向きが変化しやすいため、比較的小さい電流量で磁化の向きを反転させることができ、また第2の磁性層18は第1の磁性層16との静磁結合により電流を流さない状態で磁化の向きを反転させることができる。
このとき、第1の磁性層16はスピン注入で磁化の向きが変化しやすいため、比較的小さい電流量で磁化の向きを反転させることができ、また第2の磁性層18は第1の磁性層16との静磁結合により電流を流さない状態で磁化の向きを反転させることができる。
これにより、電流量の小さい記録電流Iwriteによっても、記憶層21の2層の磁性層16,18の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことが可能になる。
さらに、一方の極性即ち同じ向きの記録電流Iwriteのみにより、図2及び図3に示したと同様に、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きをどちらの向きにも反転させることができるため、記録電流Iwriteを流すための駆動回路の構成を簡略化することができる。
また、本実施の形態の磁気記憶素子10は、記憶層21を含む各層が同じ平面パターンで積層された積層体20から成り、微細化することが比較的容易である。
このため、磁気記憶素子10によりメモリセルを構成した磁気メモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
このため、磁気記憶素子10によりメモリセルを構成した磁気メモリを小型化したり、高密度化して記憶容量を大きくしたりすることが容易に可能になる。
従って、本実施の形態の磁気記憶素子10を備えて磁気メモリを構成すれば、消費電力の少ない、高密度の磁気メモリを実現することが可能になる。
次に、本発明の磁気記憶素子の他の実施の形態の概略構成図を図5に示す。本実施の形態は、磁気記憶素子の記憶層の膜厚方向に電流を流す場合である。
この磁気記憶素子30は、電極31上に、円筒形状の積層体32が形成されて成る。
円筒形状の積層体32は、図4の円筒形状の積層体20と同様の各層から構成されているため、各層の符号は図4と同じにしている。
なお、積層体32の各層12〜19の好ましい構成(膜厚や材料)は、図4の場合と必ずしも同じではない。
この磁気記憶素子30は、電極31上に、円筒形状の積層体32が形成されて成る。
円筒形状の積層体32は、図4の円筒形状の積層体20と同様の各層から構成されているため、各層の符号は図4と同じにしている。
なお、積層体32の各層12〜19の好ましい構成(膜厚や材料)は、図4の場合と必ずしも同じではない。
記憶層の膜厚方向に電流を流して記録する場合は、磁気記憶素子の抵抗を下げなければならないが、抵抗を下げると読み出し時の電圧が低下するので、同一の素子特性では、これらの両立が困難である。
本実施の形態では、この問題を解決するために、さらに、トンネル絶縁層15の両側にある磁化固定層14及び記憶層の第1の磁性層16とを、それぞれフェルミレベルの異なる材料を用いて構成し、これらの層14,16の膜厚方向の電流に対する抵抗を非対称にする。
即ち、磁気記憶素子30に、擬似的にダイオード特性を持たせる。
即ち、磁気記憶素子30に、擬似的にダイオード特性を持たせる。
このように構成したことにより、抵抗の低い方に電流を流して記録を行い、抵抗の高い方に電流を流して読み出せば、記録時の磁気記憶素子の抵抗を低減することができると共に、読み出し時の電圧を高くすることができる。
例えば、第1の磁性層16の抵抗を磁化固定層14の抵抗より低くしたときには、情報の記録を行う際に、図5の下向きの電流I1を流し、情報の読み出しを行う際に、図5の上向きの電流I2を流せばよい。
例えば、第1の磁性層16の抵抗を磁化固定層14の抵抗より低くしたときには、情報の記録を行う際に、図5の下向きの電流I1を流し、情報の読み出しを行う際に、図5の上向きの電流I2を流せばよい。
上述の本実施の形態の磁気記憶素子30の構成によれば、記憶層21が先の実施の形態の磁気記憶素子10と同様の構成になっているため、先の実施の形態と同様に、電流量の小さい記録電流によっても、記憶層21の2層の磁性層16,18の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことが可能になる。
そして、一方の極性の記録電流のみで、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きをどちらの方向にも反転させることができるため、磁気記憶素子30の駆動回路の構成を簡略化することができる。
また、磁気記憶素子30を微細化することが比較的容易である。
従って、本実施の形態の磁気記憶素子30を備えて磁気メモリを構成すれば、消費電力の少ない、高密度の磁気メモリを実現することが可能になる。
そして、一方の極性の記録電流のみで、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きをどちらの方向にも反転させることができるため、磁気記憶素子30の駆動回路の構成を簡略化することができる。
また、磁気記憶素子30を微細化することが比較的容易である。
従って、本実施の形態の磁気記憶素子30を備えて磁気メモリを構成すれば、消費電力の少ない、高密度の磁気メモリを実現することが可能になる。
また、本実施の形態の磁気記憶素子30の構成によれば、トンネル絶縁層15の両側にある磁化固定層14及び記憶層の第1の磁性層16とを、それぞれフェルミレベルの異なる材料を用いて構成し、これらの層14,16の膜厚方向の電流に対する抵抗を非対称にしたことにより、抵抗の低い方に電流を流して記録を行い、抵抗の高い方に電流を流して読み出せば、記録時の磁気記憶素子の抵抗を低減することができると共に、読み出し時の電圧を高くすることができる。
これにより、磁気記憶素子30の各層の膜厚方向(積層体32の各層の積層方向)に記録電流を流す構成であり、かつ記録電流の電流量を低減することができる。
この場合、磁気記憶素子30の各層の膜厚方向に記録電流を流すため、読み出し電流と電極を共用することが可能になることから、記憶層の面内方向に記録電流を流す場合と比較して、電極の構成や磁気記憶素子30の駆動回路の構成を、さらに簡略化することができる。
この場合、磁気記憶素子30の各層の膜厚方向に記録電流を流すため、読み出し電流と電極を共用することが可能になることから、記憶層の面内方向に記録電流を流す場合と比較して、電極の構成や磁気記憶素子30の駆動回路の構成を、さらに簡略化することができる。
(実施例)
ここで、本発明の磁気記憶素子の構成において、具体的に記憶層の寸法や磁化量等を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
ここで、本発明の磁気記憶素子の構成において、具体的に記憶層の寸法や磁化量等を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
まず、本発明の磁気記憶素子の実施例の構成として、図6に断面図を示すように、積層体の各層の構成を図4や図5の実施の形態と同様として、積層体から成る磁気記憶素子40を構成した。図6の場合は、図4や図5の磁化固定層14を、磁性層22・非磁性層23・磁性層24を積層させた積層フェリ構造としている。この場合、磁化固定層14の下層の磁性層24が参照層となる。
そして、各層の材料及び膜厚を、次のように設定して、磁気記憶素子40を作製した。
即ち、膜厚10nmのNiCr膜から成る下地層(記憶層21の第2の磁性層18の制動定数を増加させる作用を有する)19の上に、膜厚3nmのNiFe膜から成る記憶層の第2の磁性層(低磁気異方性)18、膜厚5nmのCu膜から成る非磁性層17、膜厚5nmのCoNiCr膜から成る記憶層の第1の磁性層(高磁気異方性)16、膜厚1nmのAl−O(酸化アルミニウム)膜から成るトンネル絶縁層15、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)24、膜厚0.8nmのRu膜から成る非磁性層(相互作用媒介層)23、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層22、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層13、並びに膜厚20nmのTi膜から成る電極層12が積層形成されている構成とした。
記憶層21の第2の磁性層18のNiFe膜は、低い磁気異方性を有し、第1の磁性層16のCoNiCr膜は高い磁気異方性を有している。
また、第1の磁性層16及び第2の磁性層18の磁化量Msがほぼ等しくなるように膜厚を設定している。そして、第2の磁性層18はその下の下地層19の作用により制動定数αが増加していることから、制動定数αと磁化量Msと磁気異方性Heffとの積は第2の磁性層18の方が大きく、磁化量Msと磁気異方性Heffとの積は第1の磁性層16の方が大きくなっている。
また、図示しないが、磁気記憶素子40の平面形状を、直径約200nmの円形として、間隔150nmの2つの記録用電極(図4の電極11と同様のもの)と磁気記憶素子40とが導通するように形成した。
即ち、膜厚10nmのNiCr膜から成る下地層(記憶層21の第2の磁性層18の制動定数を増加させる作用を有する)19の上に、膜厚3nmのNiFe膜から成る記憶層の第2の磁性層(低磁気異方性)18、膜厚5nmのCu膜から成る非磁性層17、膜厚5nmのCoNiCr膜から成る記憶層の第1の磁性層(高磁気異方性)16、膜厚1nmのAl−O(酸化アルミニウム)膜から成るトンネル絶縁層15、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)24、膜厚0.8nmのRu膜から成る非磁性層(相互作用媒介層)23、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層22、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層13、並びに膜厚20nmのTi膜から成る電極層12が積層形成されている構成とした。
記憶層21の第2の磁性層18のNiFe膜は、低い磁気異方性を有し、第1の磁性層16のCoNiCr膜は高い磁気異方性を有している。
また、第1の磁性層16及び第2の磁性層18の磁化量Msがほぼ等しくなるように膜厚を設定している。そして、第2の磁性層18はその下の下地層19の作用により制動定数αが増加していることから、制動定数αと磁化量Msと磁気異方性Heffとの積は第2の磁性層18の方が大きく、磁化量Msと磁気異方性Heffとの積は第1の磁性層16の方が大きくなっている。
また、図示しないが、磁気記憶素子40の平面形状を、直径約200nmの円形として、間隔150nmの2つの記録用電極(図4の電極11と同様のもの)と磁気記憶素子40とが導通するように形成した。
この構成の磁気記憶素子40に対して、2つの記録用電極間に、記録電流として100ナノ秒のパルス電流を流した後に、磁気記憶素子40の上下の電極間の抵抗(読み出し抵抗)を測定し、パルス電流の電流値を徐々に上げながら抵抗の測定を繰り返して、パルス電流の電流値による抵抗(読み出し抵抗)の変化を調べた。
測定結果を図7に示す。
測定結果を図7に示す。
図7より、記録電流をある程度以上に上げると、パルス記録電流によって記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きが反転するため、抵抗(読み出し抵抗)に振動がみられるようになることがわかる。
従って、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きを繰り返し反転させて、情報の記録を行うことが可能であり、記憶素子として好適であることがわかる。
また、7mA程度の比較的低い記録電流量で、情報の記録を行うことが可能であることもわかる。
従って、記憶層21の磁性層16,18の磁化の向きを繰り返し反転させて、情報の記録を行うことが可能であり、記憶素子として好適であることがわかる。
また、7mA程度の比較的低い記録電流量で、情報の記録を行うことが可能であることもわかる。
(比較例)
一方、比較対照として、記憶層が1層の磁性層のみである構成の磁気メモリ(磁気記憶素子)の特性を調べた。
一方、比較対照として、記憶層が1層の磁性層のみである構成の磁気メモリ(磁気記憶素子)の特性を調べた。
磁気記憶素子50の各層を、図8に断面図を示すように構成した。
磁気記憶素子50を構成する積層体は、上層から、保護層を兼ねる電極層51、反強磁性層52、磁性層53、非磁性層54、磁性層55、トンネル絶縁層56、記憶層57、下地層58が積層されて成る。また、磁性層53・非磁性層54・磁性層55により、積層フェリ構造の磁化固定層61が構成されている。この場合、磁化固定層61の下層の磁性層55が参照層となる。
即ち、この磁気記憶素子50は、1層の磁性層57により記憶層が構成されている。
磁気記憶素子50を構成する積層体は、上層から、保護層を兼ねる電極層51、反強磁性層52、磁性層53、非磁性層54、磁性層55、トンネル絶縁層56、記憶層57、下地層58が積層されて成る。また、磁性層53・非磁性層54・磁性層55により、積層フェリ構造の磁化固定層61が構成されている。この場合、磁化固定層61の下層の磁性層55が参照層となる。
即ち、この磁気記憶素子50は、1層の磁性層57により記憶層が構成されている。
そして、各層の材料及び膜厚を、次のように設定して、磁気記憶素子50を作製した。
即ち、膜厚10nmのTa膜から成る下地層58の上に、膜厚3nmのNiFe膜から成る記憶層57、膜厚1nmのAl−O(酸化アルミニウム)膜から成るトンネル絶縁層56、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)55、膜厚0.8nmのRu膜から成る非磁性層54、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層53、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層52、並びに膜厚20nmのTi膜から成る電極層51が積層形成されている構成とした。
また、図示しないが、磁気記憶素子50の平面形状を、直径約200nmの円形とした。
即ち、膜厚10nmのTa膜から成る下地層58の上に、膜厚3nmのNiFe膜から成る記憶層57、膜厚1nmのAl−O(酸化アルミニウム)膜から成るトンネル絶縁層56、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)55、膜厚0.8nmのRu膜から成る非磁性層54、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層53、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層52、並びに膜厚20nmのTi膜から成る電極層51が積層形成されている構成とした。
また、図示しないが、磁気記憶素子50の平面形状を、直径約200nmの円形とした。
この構成の磁気記憶素子50に対して、先の磁気記憶素子40のときと同様に、磁気記憶素子50の膜厚方向(図8中上下方向)に、幅100ナノ秒のパルス電流を流した後に磁気記憶素子50の上下の電極間の抵抗(読み出し抵抗)を測定し、パルス電流の電流値を徐々に上げながら抵抗の測定を繰り返し、パルス電流の電流値による抵抗(読み出し抵抗)の変化を調べた。
測定結果を図9に示す。
測定結果を図9に示す。
図9より、0.075mA程度の低い電流値でトンネル絶縁層が絶縁破壊され、読み出し抵抗が急落することがわかる。
従って、図8に示した磁気記憶素子50は、記憶素子として使用することが困難であることがわかる。
従って、図8に示した磁気記憶素子50は、記憶素子として使用することが困難であることがわかる。
上述の各実施の形態では、記憶層21にトンネル絶縁層15を介して、磁化の向きが固定された磁化固定層(参照層)14を積層した磁気トンネル接合素子(MTJ)の構成であったが、その他の構成にも本発明を適用することができる。
磁気記憶素子の記憶層の磁化状態の検出(読み出し)を行うための構成としては、磁化固定層の他にも、例えば巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)やホール素子等を用いることが考えられる。
磁気記憶素子の記憶層の磁化状態の検出(読み出し)を行うための構成としては、磁化固定層の他にも、例えば巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)やホール素子等を用いることが考えられる。
上述の各実施の形態では、記憶層21の第2の磁性層18の下に直接下地層19を配置しているが、本発明においては、制動定数αを増大させる層は、記憶層の磁性層に対して近接していればよく、直接接している構成に限定されるものではない。例えば、間に他の層を介していてもよい。
また、磁気記憶素子を構成する積層体の積層順序が、上述した各実施の形態とは逆に、磁化固定層側が下層であっても構わない。この場合、記憶層の一方の磁性層の制動定数αを増大させる層は、その一方の磁性層より上層になる。
さらに、本発明では、2層の磁性層の磁化量と異方性磁界の積が異なるようにするための構成としては、上述した各実施の形態のように膜厚を異ならせた構成に限定されるものではなく、その他の構成も可能である。
例えば、使用する磁性材料や磁性材料の組成を異ならせたことにより飽和磁化に大小を有する構成や、平面パターンを異ならせたことにより体積に大小を有する構成でも、磁化量の大小を有する。また異方性磁界を異ならせることも考えられる。
例えば、使用する磁性材料や磁性材料の組成を異ならせたことにより飽和磁化に大小を有する構成や、平面パターンを異ならせたことにより体積に大小を有する構成でも、磁化量の大小を有する。また異方性磁界を異ならせることも考えられる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
1,16 第1の磁性層、2,18 第2の磁性層、3,17 非磁性層、4,21 記憶層、11,31 電極、10,30,40 磁気記憶素子、13 反強磁性層、14 磁化固定層、15 トンネル絶縁層、19 下地層、20,32 積層体
Claims (13)
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、
前記記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、
前記2層の磁性層のうち、一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい
ことを特徴とする磁気記憶素子。 - 前記一方の磁性層に、Ni、Pd、Ptの少なくとも1種を主成分とする合金膜が、近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
- 前記記憶層に対して、トンネル絶縁層を介して磁化固定層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
- 前記記憶層の膜厚方向における磁気記憶素子の電流−電圧特性が、電流の向きにより非対称であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
- 前記記憶層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層と、前記磁化固定層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層とが、フェルミレベルの異なる磁性材料から成ることを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶素子。
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、
前記記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、
前記2層の磁性層のうち、一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子に対して、
前記記憶層に電流を流して、情報の記録を行う
ことを特徴とする磁気記憶素子の駆動方法。 - 前記記憶層の面内方向に電流を流して情報の記録を行い、前記記憶層の膜厚方向に電流を流して情報の読み出しを行うことを特徴とする請求項6に記載の磁気記憶素子の駆動方法。
- 前記記憶層の膜厚方向における前記磁気記憶素子の電流−電圧特性が、電流の向きにより非対称であり、前記記憶層の膜厚方向に電流を流して、情報の記録及び情報の読み出しを行い、情報の記録と情報の読み出しとで流す電流の向きを逆向きとすることを特徴とする請求項6に記載の磁気記憶素子の駆動方法。
- 前記磁気記憶素子は、前記記憶層に対して、トンネル絶縁層を介して磁化固定層が配置され、前記記憶層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層と、前記磁化固定層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層とが、フェルミレベルの異なる磁性材料から成ることを特徴とする請求項8に記載の磁気記憶素子の駆動方法。
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を少なくとも有し、
前記記憶層が少なくとも2層の磁性層とその間の非磁性層から成り、
前記2層の磁性層のうち、一方の磁性層が、他方の磁性層に対して、磁化の制動定数と磁化量と磁気異方性との積が大きく、かつ磁化量と磁気異方性の積が小さい磁気記憶素子を備え、
前記磁気記憶素子の前記記憶層に電流を流すことにより、情報の記録が行われる
ことを特徴とする磁気メモリ。 - 前記記憶層の面内方向に電流を流すことにより情報の記録が行われ、前記記憶層の膜厚方向に電流を流すことにより情報の読み出しが行われることを特徴とする請求項10に記載の磁気メモリ。
- 前記記憶層の膜厚方向における前記磁気記憶素子の電流−電圧特性が、電流の向きにより非対称であり、前記記憶層の膜厚方向に電流を流すことにより、情報の記録及び情報の読み出しが行われ、情報の記録と情報の読み出しとで前記磁気記憶素子に逆向きの電流が流れることを特徴とする請求項10に記載の磁気メモリ。
- 前記磁気記憶素子は、前記記憶層に対して、トンネル絶縁層を介して磁化固定層が配置され、前記記憶層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層と、前記磁化固定層のうちの前記トンネル絶縁層に接する磁性層とが、フェルミレベルの異なる磁性材料から成ることを特徴とする請求項12に記載の磁気メモリ。
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