JP4081332B2 - 電線の塗装方法及び絶縁電線 - Google Patents

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    • C25D13/16Wires; Strips; Foils

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の塗装方法及び絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
アニオン電着塗料又はカチオン電着塗料を使用して電着塗装を行うことによって電線を被覆することが従来から広く行われており、これにより、絶縁皮膜が形成された絶縁電線が製造されている。
【0003】
しかしながら、従来から行われているアニオン電着塗装又はカチオン電着塗装では、塗装の際に、絶縁皮膜の析出時間が比較的長くかかるために、被塗物の電着槽への浸漬時間を長く確保する必要があった。このため、電着塗装装置のラインスピードを速くすることによって、生産効率を改善し、コスト削減を図ることが困難であった。
【0004】
また、これら従来からの電着塗装により得られる絶縁電線は、一般的によく使用されているものであるが、より広い用途に好適に適用するため、絶縁破壊電圧をより向上したものであることが望ましい。従って、浸漬時間が比較的短時間の電着塗装であっても、絶縁破壊電圧に優れる絶縁電線を得ることができる塗装方法の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、被塗物を電着槽に比較的短時間浸漬することにより、絶縁破壊電圧に優れる絶縁電線を得ることができる電線の塗装方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カチオン電着塗装工程からなる電線の塗装方法であって、上記カチオン電着塗装工程は、電子により水和官能基が直接還元され、不導体化されることによって皮膜が析出する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものであることを特徴とする電線の塗装方法である。
【0007】
上記樹脂組成物は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有するものであることが好ましい。
上記樹脂組成物は、上記樹脂組成物の固形分100gあたり、スルホニウム基を5〜400ミリモル及びプロパルギル基を10〜495ミリモル含有し、かつ、スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が500ミリモル以下であることが好ましい。
【0008】
上記樹脂組成物は、上記樹脂組成物の固形分100gあたり、スルホニウム基を5〜250ミリモル及びプロパルギル基を20〜395ミリモル含有し、かつ、スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が400ミリモル以下であることが好ましい。
【0009】
上記樹脂組成物は、エポキシ樹脂を骨格とするものであることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂又はノボラックフェノール型エポキシ樹脂であり、かつ、数平均分子量が700〜5000であることが好ましい。
【0010】
上記カチオン電着塗装工程は、電着手段と、洗浄手段と、加熱手段とを、この順に組み合わせた電線用カチオン電着塗装装置を用いて行うものであることが好ましい。
【0011】
上記電着手段は、被塗物を電着槽に0.1〜10秒間浸漬するものであることが好ましい。
上記被塗物は、エッジ部を有する電線であることが好ましい。
【0012】
上記被塗物は、真四角線の電線であることが好ましい。
本発明はまた、上記電線の塗装方法により得られることを特徴とする絶縁電線でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の電線の塗装方法は、カチオン電着塗装工程からなる電線の塗装方法であって、上記カチオン電着塗装工程は、電子により水和官能基が直接還元され、不導体化されることによって皮膜が析出する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものである。
【0014】
上記カチオン電着塗装工程における電圧の印加により引き起こされる陰極での析出機構は、下記式(I)で表されるものであり、電極上で樹脂組成物(基質;式中、「S」で表す。)が有する水和官能基に電子を供給することにより不導体化して析出する。
【0015】
【化1】
Figure 0004081332
【0016】
即ち、上記式(I)で表された反応が起こることによって、陰極上において、カチオン電着塗料中の樹脂組成物に存在する水和官能基が直接還元され、不溶化することにより析出することになる。これにより、被塗物を電着槽に短時間浸漬することによって皮膜を形成することができる。
【0017】
これに対して、例えば、カルボン酸基を有する樹脂を含んでなるアニオン電着塗料を用いて電着塗装する場合には、先ず電着塗装中に、水素イオンが陽極において発生する。この水素イオンの発生により陽極付近の水素イオン濃度が増加し、その結果、樹脂組成物中のカルボン酸基が水素イオンと反応することによって不溶化し、陽極上に皮膜が形成される。この場合は、陽極付近の水素イオン濃度の増加に時間を要するため、皮膜の析出時間も長時間を要してしまう。また、一旦形成された皮膜が再度イオン化し、溶解する場合もあるため、更に皮膜の析出時間を要してしまうこともある。また、例えば、アミノ基を有する樹脂を含んでなるカチオン電着塗料を用いて電着塗装する場合には、先ず電着塗装中に、水酸化物イオンが陰極において発生する。この水酸化物イオンの発生により陰極付近の水酸化物イオン濃度が増加し、その結果、樹脂中のアミノ基が水酸化物イオンと反応することによって不溶化し、陰極上に皮膜が形成される。この場合も、陰極付近の水酸化物イオン濃度の増加に時間を要するため、皮膜の析出時間も要してしまい、また、同様に一旦形成された皮膜が再度イオン化し、溶解する場合もあるため、更に皮膜の析出時間を要してしまうこともある。
【0018】
このように、従来から使用されている電着塗料を用いて電着塗装する場合には、電着塗装における皮膜の析出時間をある程度要するため、電着槽への浸漬時間もある程度必要となってしまう。その結果、電着塗装装置のラインスピードを上昇させることによって生産効率を改善し、絶縁電線の生産コストを削減することが困難であった。一方、本発明の電線の塗装方法は、陰極上において、カチオン電着塗料中の樹脂組成物に存在する水和官能基に直接電子が供与されることによって還元され、不溶化することにより析出するものであるため、短時間の浸漬で皮膜を形成することができ、その結果、使用する電着塗装装置のラインスピードを上昇させることができ、生産効率を向上させ、生産コストを削減することができる。
【0019】
本発明の電線の塗装方法において、上記樹脂組成物は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有するものであることが好ましい。このような樹脂組成物を使用してカチオン電着塗装を行う場合には、同じ電着塗装装置を用いて、アミノ基を有する樹脂組成物を含んでなるカチオン電着塗料で電着塗装を行う場合に比べて、皮膜析出速度が速いために、大幅にラインスピードを上昇させることができ、生産コストを低減することができる。また、スルホニウム基とプロパルギル基とを有する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて得られた絶縁電線は、絶縁破壊電圧に優れるものである。
【0020】
上記樹脂組成物を構成する樹脂は、一分子中にスルホニウム基及びプロパルギル基の両者を有していてもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば、一分子中にスルホニウム基又はプロパルギル基のいずれか一方だけを有していてもよい。この後者の場合には、樹脂組成物全体として、これら2種の硬化性官能基の全てを有している。即ち、上記樹脂組成物は、スルホニウム基及びプロパルギル基を有する樹脂からなるか、スルホニウム基だけを有する樹脂及びプロパルギル基だけを有する樹脂の混合物からなるか、又は、これらすべての混合物からなるものであってもよい。上記樹脂組成物は、上述の意味においてスルホニウム基及びプロパルギル基を有する。
【0021】
上記スルホニウム基は、上記樹脂組成物の水和官能基である。スルホニウム基は、電着工程で一定以上の電圧又は電流を与えられると、電極上で電解還元反応をうけてイオン性基が消失し、不可逆的に不導体化することができる。
【0022】
また、この電着工程においては、電極反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオンをスルホニウム基が保持することにより電解発生塩基が電着被膜中に発生するものと考えられる。この電解発生塩基は、電着被膜中に存在する加熱による反応性の低いプロパルギル基を、加熱による反応性の高いアレン結合に変換することができる。
【0023】
上記樹脂組成物の骨格となる樹脂としては特に限定されないが、エポキシ樹脂が好適に用いられる。
上記エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するものが好適に用いられ、例えば、エピビスエポキシ樹脂、これをジオール、ジカルボン酸、ジアミン等により鎖延長したもの;エポキシ化ポリブタジエン;ノボラックフェノール型ポリエポキシ樹脂;ノボラッククレゾール型ポリエポキシ樹脂;ポリグリシジルアクリレート;脂肪族ポリオール又はポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;多塩基性カルボン酸のポリグリシジルエステル等のポリエポキシ樹脂を挙げることができる。なかでも、硬化性を高めるための多官能基化が容易であるので、ノボラックフェノール型ポリエポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型ポリエポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレートが好ましい。なお、上記エポキシ樹脂の一部は、モノエポキシ樹脂であってもかまわない。
【0024】
上記樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からなり、数平均分子量は、下限500、上限20000であることが好ましい。500未満であると、電着工程の塗装効率が悪くなり、20000を超えると、基板表面で良好な被膜を形成することができない。上記数平均分子量は樹脂骨格に応じてより好ましい分子量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、下限700、上限5000であることが好ましい。
【0025】
上記樹脂組成物中のスルホニウム基の含有量は、後述するスルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を充たした上で、上記樹脂組成物の固形分100gあたり、下限5ミリモル、上限400ミリモルであることが好ましい。5ミリモル/100g未満であると、充分な硬化性を発揮することができず、また、水和性、浴安定性が悪くなる。400ミリモル/100gを超えると、基板表面への被膜の析出が悪くなる。上記スルホニウム基の含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物の固形分100gあたり、上記下限は、5ミリモルであることがより好ましく、10ミリモルであることが更に好ましい。また、上記上限は、250ミリモルであることが好ましく、150ミリモルであることが更に好ましい。
【0026】
上記樹脂組成物の有するプロパルギル基は、上記カチオン電着塗料において、硬化官能基として作用する。
上記樹脂組成物の有するプロパルギル基の含有量は、後述するスルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を充たした上で、上記樹脂組成物の固形分100gあたり、下限10ミリモル、上限495ミリモルであることが好ましい。10ミリモル/100g未満であると、充分な硬化性を発揮することができず、495ミリモル/100gを超えると、電着塗料として使用した場合の水和安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。上記プロパルギル基の含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物の固形分100gあたり、上記下限は、20ミリモルであることがより好ましく、上記上限は、395ミリモルであることがより好ましい。
【0027】
上記樹脂組成物の有するスルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり、500ミリモル以下であることが好ましい。500ミリモル/100gを超えると、樹脂が実際には得られなかったり、目的とする性能が得られないことがある。上記樹脂組成物の有するスルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、400ミリモル以下であることがより好ましい。
【0028】
上記樹脂組成物中のプロパルギル基の一部は、アセチリド化されていてもよい。アセチリドは、塩類似の金属アセチレン化物である。上記樹脂組成物中のアセチリド化されるプロパルギル基の含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり、下限0.1ミリモル、上限40ミリモルであることが好ましい。0.1ミリモル未満であると、アセチリド化による効果が充分発揮されず、40ミリモルを超えると、アセチリド化が困難である。この含有量は、使用する金属に応じてより好ましい範囲を設定することが可態である。
【0029】
上記アセチリド化されたプロパルギル基に含まれる金属としては、触媒作用を発揮する金属であれば特に限定されず、例えば、銅、銀、バリウム等の遷移金属を挙げることができる。これらのうち、環境適合性を考慮するならば、銅、銀が好ましく、入手容易性から、銅がより好ましい。銅を使用する場合、上記樹脂組成物中のアセチリド化されるプロパルギル基の含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり0.1〜20ミリモルであることがより好ましい。
【0030】
上記樹脂組成物中のプロパルギル基の一部をアセチリド化することにより、硬化触媒を樹脂中に導入することができる。このようにすれば、一般に、有機溶媒や水に溶解又は分散しにくい有機遷移金属錯体を使用する必要がなく、遷移金属であっても容易にアセチリド化して導入可能であるので、難溶性の遷移金属化合物であっても自由に塗料組成物に使用可能である。また、遷移金属有機酸塩を使用する場合のように、有機酸塩がアニオンとして電着浴中に存在することを回避でき、更に、金属イオンが限外ろ過によって除去されることはなく、浴管理や電着塗料の設計が容易となる。
【0031】
上記樹脂組成物には、所望により、炭素−炭素二重結合を含有させてもよい。上記炭素−炭素二重結合は、反応性が高いので硬化性を一層向上させることができる。
【0032】
上記炭素−炭素二重結合の含有量は、後述するプロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の含有量の条件を充たした上で、樹脂組成物の固形分100gあたり、下限10ミリモル、上限485ミリモルが好ましい。10ミリモル/100g未満であると、添加により充分な硬化性を発揮することができず、485ミリモル/100gを超えると、電着塗料として使用した場合の水和安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。上記炭素−炭素二重結合の含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物の固形分100gあたり、下限20ミリモル、上限375ミリモルであることが好ましい。
【0033】
上記炭素−炭素二重結合を含有する場合、上記プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり、下限80ミリモル、上限450ミリモルの範囲内であることが好ましい。80ミリモル/100g未満であると硬化性が不充分となるおそれがあり、450ミリモル/100gを超えるとスルホニウム基の含有量が少なくなり、絶縁破壊電圧が不充分となるおそれがある。上記プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物の固形分100gあたり、下限100ミリモル、上限395ミリモルであることがより好ましい。
【0034】
また、上記炭素−炭素二重結合を含有する場合、上記スルホニウム基、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり、500ミリモル以下であることが好ましい。500ミリモル/100gを超えると、樹脂が実際には得られなかったり、目的とする性能が得られないことがある。上記スルホニウム基、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、用いられる樹脂骨格に応じて、より好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物の固形分100gあたり、400ミリモル以下であることがより好ましい。
【0035】
上記樹脂組成物は、例えば、一分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に、エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基を有する化合物を反応させて、プロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物を得る工程(i)、工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物中の残存エポキシ基に、スルフィド/酸混合物を反応させて、スルホニウム基を導入する工程(ii)により好適に製造することができる。
【0036】
上記エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基を有する化合物(以下、「化合物(A)」と称する)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基とプロパルギル基とをともに含有する化合物であってよく、具体的には、プロパルギルアルコール、プロパルギル酸等を挙げることができる。これらのうち、入手の容易性及び反応の容易性から、プロパルギルアルコールが好ましい。
【0037】
上記樹脂組成物に、必要に応じて、炭素−炭素二重結合を持たせる場合には、上記工程(i)において、エポキシ基と反応する官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「化合物(B)」と称する)を、上記化合物(A)と併用すればよい。上記化合物(B)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基と炭素−炭素二重結合とをともに含有する化合物であってよい。具体的には、エポキシ基と反応する基が水酸基である場合、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリルアルコール等を挙げることができる。エポキシ基と反応する基がカルボキシル基である場合、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸;マレイン酸エチルエステル、フマル酸エチルエステル、イタコン酸エチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等のハーフエステル類;オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の合成不飽和脂肪酸;アマニ油、大豆油等の天然不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
【0038】
上記工程(i)においては、上記一分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に上記化合物(A)を反応させて、プロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物を得るか、又は、上記化合物(A)と、必要に応じて、上記化合物(B)とを反応させてプロパルギル基及び炭素−炭素二重結合を有するエポキシ樹脂組成物を得る。この後者の場合、工程(i)においては、上記化合物(A)と上記化合物(B)とは、両者を予め混合してから反応に用いてもよく、又は、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを別々に反応に用いてもよい。なお、上記化合物(A)が有するエポキシ基と反応する官能基と、上記化合物(B)が有するエポキシ基と反応する官能基とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
上記工程(i)において、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを反応させる場合の両者の配合比率は、所望の官能基含有量となるように設定すればよく、例えば、上述したプロパルギル基と炭素−炭素二重結合の含有量となるように設定すればよい。
【0040】
上記工程(i)の反応条件は、通常、室温又は80〜140℃にて数時間である。また、必要に応じて触媒や溶媒等の反応を進行させるために必要な公知の成分を使用することができる。反応の終了は、エポキシ当量の測定により確認することができ、得られた樹脂組成物の不揮発分測定や機器分析により、導入された官能基を確認することができる。このようにして得られる反応生成物は、一般には、プロパルギル基を一つ又は複数有するエポキシ樹脂の混合物であるか、又は、プロパルギル基と炭素−炭素二重結合とを一つ又は複数有するエポキシ樹脂の混合物である。この意味で、上記工程(i)によりプロパルギル基、又は、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合を有する樹脂組成物が得られる。
【0041】
工程(ii)においては、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物中の残存エポキシ基に、スルフィド/酸混合物を反応させて、スルホニウム基を導入する。スルホニウム基の導入は、スルフィド/酸混合物とエポキシ基を反応させてスルフィドの導入及びスルホニウム化を行う方法や、スルフィドを導入した後、更に、酸又はフッ化メチル、塩化メチル、臭化メチル等のアルキルハライド等により、導入したスルフィドのスルホニウム化反応を行い、必要によりアニオン交換を行う方法等により行うことができる。反応原料の入手容易性の観点からは、スルフィド/酸混合物を使用する方法が好ましい。
【0042】
上記スルフィドとしては特に限定されず、例えば、脂肪族スルフィド、脂肪族一芳香族混合スルフィド、アラルキルスルフィド、環状スルフィド等を挙げることができる。具体的には、例えば、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を挙げることができる。
【0043】
上記酸としては特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ホウ酸、酪酸、ジメチロールプロピオン酸、塩酸、硫酸、リン酸、N−アセチルグリシン、N−アセチル−β−アラニン等を挙げることができる。
【0044】
上記スルフィド/酸混合物における上記スルフィドと上記酸との混合比率は、通常、モル比率でスルフィド/酸=100/40〜100/100程度が好ましい。
【0045】
上記工程(ii)の反応は、例えば、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物と、例えば、上述のスルホニウム基含有量になるように設定された所定量の上記スルフィド及び上記酸との混合物とを、使用するスルフィドの5〜10倍モルの水と混合し、通常、50〜90℃で数時間攪拌して行うことができる。反応の終了点は、残存酸価が5以下となることを目安とすればよい。得られた樹脂組成物中のスルホニウム基導入の確認は、電位差滴定法により行うことができる。
【0046】
スルフィドの導入後にスルホニウム化反応を行う場合も、上記に準じて行うことができる。上述のように、スルホニウム基の導入を、プロパルギル基の導入の後に行うことにより、加熱によるスルホニウム基の分解を防止することができる。
【0047】
上記樹脂組成物の有するプロパルギル基の一部をアセチリド化する場合は、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂組成物に、金属化合物を反応させて、上記エポキシ樹脂組成物中の一部のプロパルギル基をアセチリド化する工程によって行うことができる。上記金属化合物としては、アセチリド化が可能な遷移金属化合物であることが好ましく、例えば、銅、銀又はバリウム等の遷移金属の錯体又は塩を挙げることができる。具体的には、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸銅、アセチルアセトン銀、酢酸銀、硝酸銀、アセチルアセトンバリウム、酢酸バリウム等を挙げることができる。これらのうち、環境適合性の観点から、銅又は銀の化合物が好ましく、入手容易性の観点から、銅の化合物がより好ましく、例えば、アセチルアセトン銅が、浴管理の容易性に鑑み、好適である。
【0048】
プロパルギル基の一部をアセチリド化する反応条件としては、通常、40〜70℃にて数時間である。反応の進行は、得られた樹脂組成物が着色することや、核磁気共鳴スペクトルによるメチンプロトンの消失等により確認することができる。かくして、樹脂組成物中のプロパルギル基が所望の割合でアセチリド化する反応時点を確認して、反応を終了させる。得られる反応生成物は、一般には、プロパルギル基の一つ又は複数がアセチリド化されたエポキシ樹脂の混合物である。このようにして得られたプロパルギル基の一部をアセチリド化したエポキシ樹脂組成物に対して、上記工程(ii)によってスルホニウム基を導入することができる。
【0049】
なお、エポキシ樹脂組成物の有するプロパルギル基の一部をアセチリド化する工程と上記工程(ii)とは、反応条件を共通に設定可能であるので、両工程を同時に行うことも可能である。両工程を同時に行う方法は、製造プロセスを簡素化することができるので有利である。
【0050】
このようにして、プロパルギル基及びスルホニウム基、必要に応じて、炭素−炭素二重結合、プロパルギル基の一部がアセチリド化したものを有する樹脂組成物を、スルホニウム基の分解を抑制しつつ、製造することができる。なお、アセチリドは、乾燥状態で爆発性を有するが、水性媒体中で実施され、水性組成物として目的物質を得ることができるので、安全上の問題は発生しない。
【0051】
上記カチオン電着塗料は、上述の樹脂組成物を含有しており、樹脂組成物自体が硬化性を有するので、上記カチオン電着塗料中において、硬化剤の使用は必ずしも必要ない。しかし、硬化性のさらなる向上のために使用してもよい。このような硬化剤としては、例えば、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合のうち少なくとも1種を複数個有する化合物、例えば、ノボラックフェノール等のポリエポキシドやペンタエリスリットテトラグリシジルエーテル等に、プロパルギルアルコール等のプロパルギル基を有する化合物やアクリル酸等の炭素−炭素二重結合を有する化合物を付加反応させて得た化合物等を挙げることができる。
【0052】
また、上記カチオン電着塗料には、酸化触媒を必ずしも使用する必要はない。しかし、硬化反応条件により、更に硬化性を向上させる必要がある場合には、必要に応じて、通常用いられる遷移金属化合物等を適宜添加してもよい。このような化合物としては特に限定されず、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、パラジウム、ロジウム等の遷移金属に対して、シクロペンタジエンやアセチルアセトン等の配位子や酢酸等のカルボン酸等が結合したもの等を挙げることができる。上記硬化触媒の配合量は、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、下限0.1、上限20ミリモルであることが好ましい。
【0053】
上記カチオン電着塗料には、アミンを配合することができる。上記アミンの配合により、電着過程における電解還元によるスルホニウム基のスルフィドへの変換率が増大する。上記アミンとしては特に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び多官能の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物を挙げることができる。これらのうち、水溶性又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジメタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、イミダゾール等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水分散安定性が優れているので、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロキシアミンが好ましい。
【0054】
上記アミンは、直接、上記カチオン電着塗料中に配合することができる。従来の中和型アミン系の電着塗料では、遊離のアミンを添加すると、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着溶液の安定性が著しく悪化するが、本発明においては、このような浴安定性の阻害が生じることはない。
【0055】
上記アミンの配合量は、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、下限0.3meq、上限25meqが好ましい。0.3meq/100g未満であると、膜厚保持性が不充分になるおそれがあり、25meq/100gを超えると、添加量に応じた効果を得ることができず不経済である。上記下限は、1meq/100gであることがより好ましく、上記上限は、15meq/100gであることがより好ましい。
【0056】
上記カチオン電着塗料には、脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物を配合することもできる。上記脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物の配合により、得られる塗膜の耐衝撃性が向上する。上記脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物としては、樹脂組成物の固形分100gあたりスルホニウム基5〜400ミリモル、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基80〜135ミリモル及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基のうち少なくとも1種10〜315ミリモルを含有し、かつ、スルホニウム基、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基の合計含有量が樹脂組成物の固形分100gあたり500ミリモル以下であるものを挙げることができる。
【0057】
上記カチオン電着塗料に対して、脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物を配合する場合、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、スルホニウム基5〜400ミリモル、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基10〜300ミリモル及びプロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計10〜485ミリモルを含有し、かつ、スルホニウム基、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基及びプロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計含有量が、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、500ミリモル以下であり、上記炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基の含有割合が、電着塗料中の樹脂固形分の3〜30質量%であることが好ましい。
【0058】
上記カチオン電着塗料に対して、脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物を配合する場合、スルホニウム基が5ミリモル/100g未満であると、充分な硬化性を発揮することができず、また、水和性、浴安定性が悪くなる。400ミリモル/100gを超えると、基板表面への被膜の析出が悪くなる。また、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基が80ミリモル/100g未満であると、耐衝撃性の改善が不充分であり、350ミリモル/100gを超えると、樹脂組成物の取扱性が困難となる。プロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計が10ミリモル/100g未満であると、他の樹脂や硬化剤と組み合わせて使用する場合であっても、充分な硬化性を発揮することができず、315ミリモル/100gを超えると、耐衝撃性の改善が不充分となる。スルホニウム基、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基及びプロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計含有量は、樹脂組成物の固形分100gあたり500ミリモル以下である。500ミリモルを超えると、樹脂が実際には得られなかったり、目的とする性能が得られないことがある。
【0059】
上記カチオン電着塗料は、更に、必要に応じて、通常のカチオン電着塗料に用いられるその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては特に限定されず、例えば、顔料、防錆剤、顔料分散樹脂、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。ただし含有には絶縁破壊電圧の保持に留意する必要がある。
【0060】
上記顔料としては特に限定されず、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;塩基性ケイ酸鉛、リンモリブデン酸アルミニウム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔料等を挙げることができる。上記防錆剤としては、具体的には、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、カルシウム担持シリカ、カルシウム担持ゼオライト等を挙げることができる。上記顔料と防錆剤との合計配合量は、カチオン電着塗料中、固形分として、下限0質量%、上限50質量%であることが好ましい。
【0061】
上記顔料分散樹脂は上記顔料をカチオン電着塗料中に安定して分散させるために用いられる。顔料分散樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般に使用されている顔料分散樹脂を使用することができる。また、樹脂中にスルホニウム基と不飽和結合とを含有する顔料分散樹脂を使用してもよい。このようなスルホニウム基と不飽和結合とを含有する顔料分散樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とハーフブロック化イソシアネートとを反応させて得られる疎水性エポキシ樹脂に、スルフィド化合物を反応させるか、又は、上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含有二塩基酸の存在下でスルフィド化合物を反応させる方法等により得ることができる。上記非重金属防錆剤についても上記顔料分散樹脂によってカチオン電着塗料中に安定して分散させることができる。
【0062】
上記カチオン電着塗料は、例えば、上記樹脂組成物に、必要に応じて、上述の各成分を混合し、水に溶解又は分散すること等により得ることができる。電着工程に使用する際には、不揮発分が下限5質量%、上限40質量%の浴液となるように調製されることが好ましい。また、電着塗料中のプロパルギル基、炭素−炭素二重結合及びスルホニウム基の含有量が、上述の樹脂組成物のところで示した範囲を逸脱しないように調製されることが好ましい。
【0063】
本発明の電線の塗装方法において、上記カチオン電着塗装工程は、通常のカチオン電着塗装を行うことができる電着塗装装置を使用して行うことができ、例えば、電着手段と、洗浄手段と、加熱手段とを、この順に組み合わせた電線用カチオン電着塗装装置を用いて行うことができる。これにより、絶縁破壊電圧に優れた絶縁電線を効率的に得ることができる。なお、使用することができる電着塗装装置としては、被塗物である電線を水平に引きながら電着塗装を行う横型電着塗装装置、電着槽の底部から被塗物である電線を導入し、電着槽の上部へ引き出す縦型電着塗装装置を挙げることができる。
【0064】
上記電着手段は、カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装工程を行い、被塗物である電線の表面に皮膜を形成することを目的とするものである。上記電着手段としては、カチオン電着塗装を行うことができるものであれば特に限定されるものではない。
【0065】
上記電着手段は、被塗物を電着槽に0.1〜10秒間浸漬するものであることが好ましい。本発明の電線の塗装方法は、電子により水和官能基が直接還元され、不導体化される樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものであることから、短時間の電着槽への浸漬時間で電線の表面に絶縁破壊電圧に優れた皮膜を形成することができるものである。従って、上記範囲のような比較的短い浸漬時間でも性能に優れた絶縁電線を得ることができる。0.1秒未満であると、形成される皮膜量が充分でないため、絶縁破壊電圧に劣るおそれがある。10秒を超えても、絶縁破壊電圧の大幅な向上は望めず、経済的でない。
【0066】
上記電着手段は、例えば、上記カチオン電着塗料中に電線を浸漬して陰極とし、陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う方法を例示することができる。上記印加電圧が50V未満である場合、絶縁破壊電圧が低下するおそれがあり、電着が不充分となり、450Vを超える場合、消費電力が大きくなり、経済的でない。上記カチオン電着塗料を使用して上述の範囲内で電圧を印加すると、電着過程における急激な膜厚の上昇を生じることなく、素材の表面全体に均一な皮膜を形成することができる。上記電圧を印加する場合の上記カチオン電着塗料の浴液温度は、通常、10〜45℃が好ましい。
【0067】
上記洗浄手段は、カチオン電着塗料が付着した電線を洗浄し、電着液を除去することを目的とするものである。上記洗浄手段としては特に限定されず、通常の洗浄装置を使用することができ、例えば、電着液の限外濾過によって得られたろ液を洗浄液とし、電着被覆された電線を洗浄する装置を挙げることができる。また、上記加熱手段としては、具体的には、熱風乾燥炉、近赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、誘導加熱炉等を挙げることができる。
【0068】
以下、本発明において使用する電線用カチオン電着塗装装置を図面に基づいて説明する。図1は、電線用カチオン電着塗装装置の概略断面図である。この電線用カチオン電着塗装装置は、電着手段1と、洗浄手段2と、加熱手段3とを、この順に組み合わせたものである。この電線用カチオン電着塗装装置には、必要に応じて前処理手段4を含めることができる。
【0069】
本発明における電線用カチオン電着塗装装置の中心を占める電着手段1は、電着槽5及び陽極12を備えたもので、電着槽5中に電着液6を貯めたものである。上記陽極12は、被塗物である電線7を対極としてカチオン電着塗装を行うためのものである。電線7を電着槽5中の電着液6に浸漬することによって電着塗装し、電線に皮膜を形成し、次いで、皮膜が形成された電線7が洗浄手段2に送られる構成となっている。
【0070】
電着塗装後の電線7が洗浄手段2に送られ、電線7に付着した電着液が除去される。洗浄後の電線7が加熱手段3に送られ、加熱することによって電着表面に電着被覆(絶縁皮膜)を完成させる。上記洗浄手段は、洗浄槽8からなるものである。上記加熱手段3で使用する加熱炉9としては特に限定されず、例えば、近赤外線と遠赤外線とを併用すれば、電着塗膜表面と内面とを均一に加熱できるため、表面張力が抑制されて柔軟性に富む絶縁皮膜を形成することができる。そのためには加熱炉9に(1)常温乾燥炉(必須ではない)、(2)近赤外線ゾーン(近赤外線ランプ使用)及び(3)遠赤外線ゾーン(遠赤外線ヒーター使用)の3つのゾーンを設けることが好ましい。各ゾーンの長さは適宜決めることができるが、特に(3)の遠赤外線ゾーンは、他のゾーンよりも長くとることが皮膜内部まで完全に硬化させる点から好ましい。
【0071】
上記前処理手段4は必須ではないが、電線7の製造時に付着した潤滑油や金属屑等を除去するものである。上記前処理手段4は、脱脂槽10と水洗槽11とから構成される。脱脂槽10では、電線7に付着した潤滑油や金属屑がスプレーから噴射される脱脂液によって除去され、水洗槽11では、脱脂液が水洗浄される。水洗槽11では水道水等による水洗後、純水で最終水洗することが好ましい。
【0072】
本発明の電線の塗装方法を適用することができる被塗物としては、カチオン電着塗装工程を行うことが可能な導電性を示す電線であれば特に限定されないが、例えば、鉄、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、チタン、タングステン等及びこれらの金属を含む合金等からなる電線を挙げることができる。なかでも、銅、金、アルミニウム、鉄又はこれらを主体とする合金からなる電線が好ましい。
【0073】
本発明の電線の塗装方法に適用することができる被塗物の形状としては特に限定されないが、エッジ部を有する電線にも好適に適用することができる。上記エッジ部を有する電線は、上記エッジ部に曲率を持たないものであるが、例えば、エッジ部の曲率が最短辺に対して1/5以下であるものも含む。このような電線としては、例えば、三角線、四角線、多角線、異形状線等を挙げることができる。従来から広く用いられている電着塗料を用いる場合、被塗物がエッジ部を有するものであると、エッジ部における絶縁皮膜の被覆が充分でなく、結果として絶縁破壊電圧に劣る絶縁電線が得られるが、本発明において、特に、スルホニウム基とプロパルギル基とを有する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものである場合には、平坦部だけでなくエッジ部に対しても絶縁破壊電圧に優れた皮膜を均一に形成することができる。このため、エッジ部を有する電線に被覆した場合にも、絶縁破壊電圧に優れた絶縁電線を得ることができる。従って、被塗物が真四角線の電線である場合にも、絶縁破壊電圧に優れた絶縁電線を得ることができる。
【0074】
上記電線の塗装方法により得られる絶縁電線は、電線表面に絶縁皮膜が均一に形成されたものであり、絶縁破壊電圧に優れたものである。これにより、広範な用途に好適に使用することができるものである。このような絶縁電線も本発明の1つである。
【0075】
本発明の電線の塗装方法は、カチオン電着塗装工程からなる電線の塗装方法であって、上記カチオン電着塗装工程は、電子により水和官能基が直接還元され、不導体化されることによって皮膜が析出する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものであることから、電着槽の浸漬時間が短時間であっても、効率的に絶縁皮膜が形成された絶縁電線を得ることができるものである。特に、上記樹脂組成物がスルホニウム基とプロパルギル基とを有するものである場合には、より絶縁破壊電圧に優れた絶縁皮膜が形成された絶縁電線を効率的に製造することができる。また、被塗物である電線がエッジ部を有するものである場合、例えば、真四角線である場合にも、電線表面に均一に絶縁皮膜を形成することができる。従って、上記電線の塗装方法は、任意の形状の電線に好適に適用することができ、得られる絶縁電線は、絶縁破壊電圧に優れているため、広範な用途に用いることができるものである。
【0076】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0077】
製造例1 スルホニウム基とプロパルギル基とを有するエポキシ樹脂組成物の製造
エポキシ当量200.4のエポトートYDCN−701(東都化成社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)100.0質量部にプロパルギルアルコール23.6質量部、ジメチルベンジルアミン0.3質量部を攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに加え、105℃に昇温し、3時間反応させてエポキシ当量が1580のプロパルギル基を含有する樹脂組成物を得た。このものに銅アセチルアセトナート2.5質量部を加え50℃で1.5時間反応させた。プロトン(1H)NMRで付加プロパルギル基末端水素の一部が消失していることを確認した(14ミリモル/100g樹脂固形分相当量のアセチリド化されたプロパルギル基を含有)。このものに、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6質量部、氷酢酸4.7質量部、脱イオン水7.0質量部を入れ75℃で保温しつつ6時間反応させ、残存酸価が5以下であることを確認した後、脱イオン水43.8質量部を加え、目的の樹脂組成物溶液を得た。このものの固形分濃度は70.0質量%、スルホニウム価は28.0ミリモル/100gワニスであった。数平均分子量(ポリスチレン換算GPC)は2443であった。
【0078】
製造例2 カチオン電着塗料の製造
製造例1で得られたエポキシ樹脂組成物142.9質量部、脱イオン水157.1質量部を加え、高速回転ミキサーで1時間攪拌後、更に脱イオン水373.3質量部を加え、固形分濃度が15質量%となるように水溶液を調製し、カチオン電着塗料を得た。
【0079】
製造例3 ポリイミドアニオン電着塗料の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管及び分離水分受容器付還流導入管を備えた反応容器に、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物64.44質量部、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.26質量部、バレロラクトン3.00質量部、1−メチル−2−ピロリドン400.00質量部、及び、トルエン60.00質量部を投入し、窒素気流中で30℃にて30分間、混合攪拌した。次いで、反応容器を昇温し、180℃にて1時間攪拌反応させた。
反応後、トルエン−水留出分30mlを分離除去させた後、180℃にて逐次的に発生する留出分を同様にして系外に分離除去させながら、2.5時間反応を継続し、所望の固形分20質量%のポリイミド樹脂を得た。
上記ポリイミド樹脂を100.00質量部、1−メチル−2−ピロリドン37.50質量部、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド112.50質量部、ベンジルアルコール75.00質量部、メチルモルホリン5.00質量部及び純水30.00質量部を攪拌混合し、ポリイミドアニオン電着塗料を調製した。
【0080】
実施例1
エッジ部のない銅製の丸電線(0.2mmφ)に、下記に示した前処理手段、電着手段、洗浄手段及び加熱手段を行うことによって、絶縁電線を得た。
〔前処理手段〕
(1)電線に対して、サーフパワー(日本ペイント社製)を用いて、処理温度45℃、処理時間60秒で、脱脂処理を行った。
(2)脱脂処理後の電線に対して、スプレーにより30秒間水洗した。
〔電着手段〕
製造例2で得られたカチオン電着塗料を電着液として貯められた電着槽に、水洗後の電線を、浴温度30℃、印加電圧100Vにおいて表1に示す浸漬時間でそれぞれ浸漬し、カチオン電着塗装した(電線が陰極、対極が陽極で行った)。
〔洗浄手段〕
各浸漬時間により得られたカチオン電着塗装後の電線に対して、スプレーにより30秒間水洗することによって、電線に付着したカチオン電着塗料を除去した。〔加熱手段〕
それぞれの洗浄後の電線に対して、熱風乾燥炉を用いて、190℃で25分間加熱することによって絶縁皮膜が形成されたそれぞれの絶縁電線を得た。
【0081】
実施例2
被塗物としてエッジ部を有する銅製の真四角線(1辺1mm、エッジ部の曲率R50μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれの絶縁電線を得た。
【0082】
比較例1
エッジ部のない銅製の丸電線(0.2mmφ)に、下記に示した前処理手段、電着手段、洗浄手段及び加熱手段を行うことによって、絶縁電線を得た。
〔前処理手段〕
実施例1における前処理手段と同様にして行った。
〔電着手段〕
製造例3で得られたポリイミドアニオン電着塗料を電着液として貯められた電着槽に、水洗後の電線を、浴温度30℃、印加電圧100Vにおいて表1に示す浸漬時間でそれぞれ浸漬し、アニオン電着塗装を行った(電線が陽極、対極が陰極
で行った)。
〔洗浄手段〕
実施例1における洗浄手段と同様にして行った。
〔加熱手段〕
それぞれの洗浄後の電線に対して、熱風乾燥炉を用いて、120℃で30分間加熱した後、200℃で30分間再度加熱することによって絶縁皮膜が形成されたそれぞれの絶縁電線を得た。
【0083】
比較例2
被塗物としてエッジ部を有する銅製の真四角線(1辺1mm、エッジ部の曲率R50μm)を用いた以外は、比較例1と同様にして、それぞれの絶縁電線を得た。
【0084】
比較例3
製造例2で得られたカチオン電着塗料の代わりに、パワートップU−30(日本ペイント社製ブロックイソシアネート硬化型エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を使用した以外は、実施例1と同様にして、それぞれの絶縁電線を得た。
【0085】
比較例4
製造例2で得られたカチオン電着塗料の代わりに、パワートップU−30(日本ペイント社製ブロックイソシアネート硬化型エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を使用した以外は、実施例2と同様にして、それぞれの絶縁電線を得た。
【0086】
〔評価〕
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた絶縁電線の絶縁破壊電圧を耐電圧絶縁試験器MODEL8525(鶴賀電機社製)を用いて、JIS C 3003の金属はく法に準拠して評価した。結果を表1に示した。
また、実施例1、2及び比較例1〜4で絶縁電線を製造する際の、装置のラインスピードをそれぞれ測定し、結果を表1に示した。
【0087】
【表1】
Figure 0004081332
【0088】
表1から、実施例1、2により絶縁電線を製造する場合には、比較例1〜4により製造する場合に比べて、皮膜の析出時間が短いため、電着槽への浸漬時間を短縮させることができ、結果として、装置のラインスピードを速くすることができた。また、実施例1、2により得られた絶縁電線は、比較例1〜4で得られたものに比べて、絶縁破壊電圧に優れるものであった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の電線の塗装方法は、上述した構成よりなるので、被塗物を電着槽に比較的短時間浸漬することにより、絶縁破壊電圧に優れる絶縁電線を得ることができるものである。また、エッジ部を有する電線に対しても好適に適用することができるものである。更に、得られる絶縁電線は、絶縁破壊電圧に優れるものであるため、広範な用途に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電線用カチオン電着塗装装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 電着手段
2 洗浄手段
3 加熱手段
4 前処理手段
5 電着槽
6 電着液
7 電線
8 洗浄槽
9 加熱炉
10 脱脂槽
11 水洗槽
12 陽極

Claims (11)

  1. カチオン電着塗装工程からなる電線の塗装方法であって、
    前記カチオン電着塗装工程は、電子により水和官能基が直接還元され、不導体化されることによって皮膜が析出する樹脂組成物からなるカチオン電着塗料を用いて行うものである
    ことを特徴とする電線の塗装方法。
  2. 樹脂組成物は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有するものである請求項1記載の電線の塗装方法。
  3. 樹脂組成物は、前記樹脂組成物の固形分100gあたり、スルホニウム基を5〜400ミリモル及びプロパルギル基を10〜495ミリモル含有し、かつ、スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が500ミリモル以下である請求項1又は2記載の電線の塗装方法。
  4. 樹脂組成物は、前記樹脂組成物の固形分100gあたり、スルホニウム基を5〜250ミリモル及びプロパルギル基を20〜395ミリモル含有し、かつ、スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が400ミリモル以下である請求項1、2又は3記載の電線の塗装方法。
  5. 樹脂組成物は、エポキシ樹脂を骨格とするものである請求項1、2、3又は4記載の電線の塗装方法。
  6. エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂又はノボラックフェノール型エポキシ樹脂であり、かつ、数平均分子量が700〜5000である請求項5記載の電線の塗装方法。
  7. カチオン電着塗装工程は、電着手段と、洗浄手段と、加熱手段とを、この順に組み合わせた電線用カチオン電着塗装装置を用いて行うものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の電線の塗装方法。
  8. 電着手段は、被塗物を電着槽に0.1〜10秒間浸漬するものである請求項7記載の電線の塗装方法。
  9. 被塗物は、エッジ部を有する電線である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電線の塗装方法。
  10. 被塗物は、真四角線の電線である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の電線の塗装方法。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の電線の塗装方法により得られることを特徴とする絶縁電線。
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