JP3253284B2 - 複層塗膜 - Google Patents

複層塗膜

Info

Publication number
JP3253284B2
JP3253284B2 JP37249098A JP37249098A JP3253284B2 JP 3253284 B2 JP3253284 B2 JP 3253284B2 JP 37249098 A JP37249098 A JP 37249098A JP 37249098 A JP37249098 A JP 37249098A JP 3253284 B2 JP3253284 B2 JP 3253284B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
carbon
resin
coating
paint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP37249098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000095978A (ja
Inventor
裕之 坂本
一郎 川上
孝夫 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Nippon Paint Holdings Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP37249098A priority Critical patent/JP3253284B2/ja
Priority to DE69911336T priority patent/DE69911336D1/de
Priority to AT99401829T priority patent/ATE250110T1/de
Priority to EP19990401829 priority patent/EP0980899B1/en
Priority to CA 2278256 priority patent/CA2278256A1/en
Priority to US09/358,846 priority patent/US6168864B1/en
Publication of JP2000095978A publication Critical patent/JP2000095978A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3253284B2 publication Critical patent/JP3253284B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/44Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes for electrophoretic applications
    • C09D5/4419Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes for electrophoretic applications with polymers obtained otherwise than by polymerisation reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • C09D5/443Polyepoxides
    • C09D5/4434Polyepoxides characterised by the nature of the epoxy binder
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31511Of epoxy ether
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31511Of epoxy ether
    • Y10T428/31515As intermediate layer
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31511Of epoxy ether
    • Y10T428/31515As intermediate layer
    • Y10T428/31522Next to metal
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/31504Composite [nonstructural laminate]
    • Y10T428/31511Of epoxy ether
    • Y10T428/31529Next to metal

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複層塗膜、特に自
動車用2コート塗装に適した複層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の外板塗膜は、一般に、電着塗
膜、中塗塗膜、上塗り塗膜から形成される複層構造を有
する塗膜である。この複層塗膜は、少なくとも3つの塗
装工程を必要とするのであるが、このうち、中塗塗装工
程を省いたいわゆる2コート塗装は、商用車、軽自動
車、トラック等のソリッドカラー系の上塗りを行う場合
には、経済性に優れた方法として実用化されつつある。
【0003】しかしながら、この中塗塗装工程を省いた
2コート塗装において、電着塗膜の上に直接上塗り塗膜
を形成した場合、電着塗膜と上塗り塗膜との界面におい
て剥離現象が発生するおそれのあることが指摘されてい
る。
【0004】このことは、電着塗膜、中塗塗膜、上塗り
塗膜から形成される通常の複層塗膜においては、塗膜に
進入した光線は中塗塗膜によって遮られてそれ以上の深
部には殆ど到達しないのに対して、中塗塗膜を持たない
複層塗膜においては、塗膜に進入した光線の一部が電着
塗膜にまで到達し、電着塗膜表面の光劣化が生じること
によるものであると考えられている。この現象は、光線
透過率の高いブルー系の淡色系ソリッドカラーやメタリ
ック系塗色において顕著である。
【0005】一般に、塗膜の紫外線による劣化を抑制す
るためには、紫外線吸収剤や光安定剤の添加等の手段が
とられるのであるが、これらの添加剤自体の光劣化や塗
膜からの脱離等のために経時的に紫外線劣化抑制効果が
低下するので、効果の耐久性は必ずしも充分ではない。
【0006】従って、複層塗膜、特に、中塗塗膜を持た
ない複層塗膜においては、電着塗膜を含む複層塗膜全体
の耐候性を改善することが強く要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑みて、電着塗膜の耐候性を高め、中塗塗膜を省いて
も上塗り塗膜と電着塗膜との界面剥離現象を生じること
がなく、充分な耐候性を確保することができる複層塗膜
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂固形分1
00gあたりスルホニウム基5〜300mmol及び炭
素−炭素不飽和結合50〜2000mmolを含有し、
かつ、上記炭素−炭素不飽和結合のうち少なくとも15
%は炭素−炭素三重結合であるエポキシ系カチオン電着
塗料により形成されるカチオン電着塗膜上に、上塗り塗
膜を形成してなる複層塗膜である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の複層塗膜は、エポキシ系
カチオン電着塗料により形成されるカチオン電着塗膜上
に、上塗り塗膜を形成してなる。上記カチオン電着塗膜
は、上記エポキシ系カチオン電着塗料を電着塗装し、焼
き付け硬化して形成される塗膜である。また、上記上塗
り塗膜は、上塗り塗料を塗布し、焼き付け硬化して形成
される塗膜である。
【0010】本発明の複層塗膜の形成に用いられる塗料
であるエポキシ系カチオン電着塗料(以下、単に「上記
カチオン電着塗料」という)は、スルホニウム基及び炭
素−炭素不飽和結合を含有する。
【0011】上記スルホニウム基は、上記カチオン電着
塗料の水和官能基である。スルホニウム基は、電着塗装
過程で一定以上の電圧又は電流が与えられると、以下に
示すように電極上で電解還元反応をうけてイオン性基が
消失し、スルフィドとなって不可逆的に不導体化するこ
とができる。このため、上記カチオン電着塗料は高度の
つきまわり性を発揮することができるものと考えられ
る。
【0012】
【化1】
【0013】また、この電着塗装過程においては、電極
反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオンをスルホニ
ウム基が保持することにより電解発生塩基が電着被膜中
に発生するものと考えられる。この電解発生塩基は、電
着被膜中に存在する熱による反応性の低いプロパルギル
基を熱による反応性の高いアレン結合に変換することが
できる。
【0014】スルホニウム基の含有量は、上記カチオン
電着塗料樹脂固形分100gあたり5〜300mmol
である。5mmol/100g未満であると、充分なつ
きまわり性や硬化性を発揮することができず、また、水
和性、浴安定性が悪くなる。300mmol/100g
を超えると、被塗物表面への被膜の析出が悪くなる。好
ましくは、上記カチオン電着塗料樹脂固形分100gあ
たり10〜250mmolであり、10〜150mmo
lがより好ましい。
【0015】上記炭素−炭素不飽和結合は、炭素−炭素
間の二重結合又は三重結合である。上記炭素−炭素不飽
和結合は、上記カチオン電着塗料の基体樹脂の分子末端
に存在してもよく、又は、上記基体樹脂の骨格を形成す
る分子鎖中の一部に存在していてもよい。上記炭素−炭
素不飽和結合は、硬化官能基として機能するとともに、
耐候性を向上させることができる。その理由の詳細は必
ずしも明確ではないが、塗膜中に生じるラジカルに対し
てラジカル捕獲作用を発揮するものと考えられる。ま
た、理由は不明であるが、スルホニウム基と併存するこ
とにより、上記カチオン電着塗料のつきまわり性を一層
向上させることができる。
【0016】上記炭素−炭素不飽和結合の含有量は、上
記カチオン電着塗料樹脂固形分100gあたり50〜2
000mmolである。50mmol/100g未満で
あると、充分な耐候性、硬化性を発揮することができ
ず、つきまわり性も不充分である。2000mmol/
100gを超えると、カチオン電着塗料として使用した
場合の水和安定性に悪影響を及ぼし、被塗物表面への被
膜の析出が悪くなる。好ましくは、上記カチオン電着塗
料樹脂固形分100gあたり80〜1000mmolで
あり、80〜500mmolがより好ましい。
【0017】上記炭素−炭素不飽和結合は、数において
少なくとも15%が炭素−炭素三重結合である。上記炭
素−炭素不飽和結合のうち、炭素−炭素三重結合の数が
15%未満であると硬化性、耐候性が不充分となるの
で、上記範囲に限定される。
【0018】なお、上記炭素−炭素不飽和結合の含有量
は、例えば、長鎖不飽和脂肪酸等の分子内に複数個の炭
素−炭素二重結合をもつ分子が導入された場合であって
も、導入された、分子内に複数個の炭素−炭素二重結合
をもつ分子自体の含有量をもって表すものとする。これ
は、複数個の炭素−炭素二重結合をもつ分子が導入され
ても、ラジカル捕獲や硬化反応に関与するのは、これら
複数の炭素−炭素二重結合が同等に関与するよりもむし
ろ、実質的にそのうちの一つの炭素−炭素二重結合のみ
であると考えられるからである。
【0019】上記カチオン電着塗料は、エポキシ系のも
のである。本明細書中、エポキシ系であるとは、電着塗
料の基体樹脂がエポキシ樹脂を骨格とすることを意味す
る。上記エポキシ樹脂としては特に限定されるものでは
ないが、樹脂骨格中にスルホニウム基や上記炭素−炭素
不飽和結合を容易に導入することができるように、エポ
キシ基を1分子中に少なくとも2個有するポリエポキシ
ドが好ましい。上記ポリエポキシドとしては特に限定さ
れず、例えば、エピビスエポキシ樹脂、これをジオー
ル、ジカルボン酸、ジアミン等により鎖延長したもの;
エポキシ化ポリブタジエン;ノボラックフェノール型ポ
リエポキシ樹脂;ノボラッククレゾール型ポリエポキシ
樹脂;ポリグリシジルアクリレート;脂肪族ポリオール
又はポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテ
ル;多塩基性カルボン酸のポリグリシジルエステル等を
挙げることができる。これらのうち、多官能基化が容易
であるので、ノボラックフェノール型ポリエポキシ樹
脂、ノボラッククレゾール型ポリエポキシ樹脂、ポリグ
リシジルアクリレートが好ましい。
【0020】上記ポリエポキシドの数平均分子量は、5
00〜20000が好ましい。数平均分子量が500未
満であると、カチオン電着塗装の塗装効率が悪くなり、
20000を超えると被塗物表面で良好な被膜を形成す
ることができない。樹脂骨格に応じてより好ましい数平
均分子量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノ
ール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ
樹脂の場合には、700〜5000であることがより好
ましい。
【0021】上記エポキシ樹脂に上記スルホニウム基及
び上記炭素−炭素不飽和結合を導入するには、例えば、
エポキシ基と反応する官能基及び炭素−炭素不飽和結合
を有する化合物を、炭素−炭素不飽和結合中の炭素−炭
素三重結合の割合が上述の範囲となるように、上記エポ
キシ樹脂に反応させて、炭素−炭素不飽和結合導入した
後、更に、残存エポキシ基に、スルホニウム基を導入す
ることにより好適に実行することができる。
【0022】上記エポキシ基と反応する官能基及び炭素
−炭素不飽和結合を有する化合物としては、例えば、水
酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基
と炭素−炭素不飽和結合とをともに含有する化合物であ
ってよく、具体的には、プロパルギルアルコールやプロ
パルギル酸等の水酸基やカルボキシル基と炭素−炭素三
重結合とを有する化合物;2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロ
キシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタク
リレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシ
ブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリル
アルコール等の水酸基と炭素−炭素二重結合とを有する
化合物;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ク
ロトン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のカル
ボキシル基と炭素−炭素二重結合とを有する化合物;マ
レイン酸エチルエステル、フマル酸エチルエステル、イ
タコン酸エチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノ(メタ)ア
クリロイルオキシエチルエステル等のハーフエステル
類;オレイン酸、リシノール酸等の合成不飽和脂肪酸;
アマニ油、大豆油等の天然不飽和脂肪酸等を挙げること
ができる。
【0023】なお、炭素−炭素不飽和結合を含有するエ
ポキシ樹脂を得る方法としては、上記方法以外に、炭素
−炭素不飽和結合を分子内に有するモノマー、例えば、
グリシジルメタクリレートにプロパルギルアルコールを
付加したモノマー等を、共重合可能なその他のモノマー
と共重合することによっても行うことができる。
【0024】スルホニウム基の導入は、スルフィド/酸
混合物とエポキシ基を反応させてスルフィドの導入及び
スルホニウム化を行う方法や、スルフィドを導入した
後、更に、酸又はフッ化メチルやヨウ化メチル等のアル
キルハライド等により、導入したスルフィドのスルホニ
ウム化反応を行い、必要によりアニオン交換を行う方法
等により行うことができる。反応原料の入手容易性の観
点からは、スルフィド/酸混合物を使用する方法が好ま
しい。
【0025】上記スルフィドとしては特に限定されず、
例えば、脂肪族スルフィド、脂肪族−芳香族混合スルフ
ィド、アラルキルスルフィド、環状スルフィド等を挙げ
ることができる。具体的には、例えば、ジエチルスルフ
ィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジ
ヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフ
ェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ペンタ
メチレンスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパ
ノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチ
ルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を挙げ
ることができる。
【0026】上記酸としてはスルホニウム基の対アニオ
ンとなりうるものであれば特に限定されず、例えば、ぎ
酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ほう酸、酪酸、ジメチ
ロールプロピオン酸、塩酸、硫酸、りん酸、N−アセチ
ルグリシン、N−アセチル−β−アラニン等を挙げるこ
とができる。
【0027】上述のように、スルホニウム基の導入を、
炭素−炭素不飽和結合の導入の後に行うことにより、加
熱によるスルホニウム基の分解を防止することができ
る。
【0028】上記カチオン電着塗料には、アミン化合物
を添加してもよい。上記アミン化合物の添加により、電
着過程における電解還元によるスルホニウム基のスルフ
ィドへの変換率が増大する。上記アミン化合物としては
特に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び多官
能の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のア
ミン化合物を挙げることができる。これらのうち、水溶
性又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ト
リブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミン;モ
ノエタノールアミン、ジメタノールアミン、メチルエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、シクロヘキ
シルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリ
ジン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、イミダゾ
ール等を挙げることができる。これらは単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水分散
安定性が優れているので、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロ
キシアミンが好ましい。
【0029】上記アミン化合物は、直接、上記カチオン
電着塗料中に配合することができる。従来の中和型アミ
ン系のカチオン電着塗料では、遊離のアミンを添加する
と、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着溶液の安定
性が著しく悪化するが、上記カチオン電着塗料において
は、このような浴安定性の阻害が生じることはない。
【0030】上記アミン化合物の配合量は、上記カチオ
ン電着塗料樹脂固形分100gあたり0.3〜25mm
olが好ましい。配合量が0.3mmol/100g未
満であると化合物を添加することによる効果が発揮でき
ず、25mmol/100gを超えると配合量に応じた
効果が期待できず不経済である。より好ましくは、1〜
15mmol/100gである。
【0031】上記カチオン電着塗料においては、上述の
エポキシ系基体樹脂自体が硬化基を含有するので、硬化
剤の使用は必ずしも必要ない。しかし、硬化性の更なる
向上のために使用してもよい。このような硬化剤として
は、例えば、プロパルギル基及び不飽和二重結合のうち
少なくとも1種を複数個有する化合物、例えば、ノボラ
ックフェノール等のポリエポキシドやペンタエリトリッ
トテトラグリシジルエーテル等に、プロパルギルアルコ
ール等のプロパルギル基を有する化合物や(メタ)アク
リル酸やアリルアルコール等の不飽和二重結合を有する
化合物を付加反応させて得た化合物等を挙げることがで
きる。
【0032】上記硬化剤の使用量は、上記カチオン電着
塗料中、樹脂固形分として80重量%以下であることが
好ましい。上記硬化剤を使用する場合、硬化剤中の不飽
和結合の量及びスルホニウム基の量は、上述の上記カチ
オン電着塗料における含有量の範囲内であるように調節
して使用されることが好ましい。
【0033】上記カチオン電着塗料には、不飽和結合間
の硬化反応を進行させるために、硬化触媒を使用するこ
とができる。このような硬化触媒としては特に限定され
ず、例えば、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、パラ
ジウム、ロジウム等の遷移金属に対して、シクロペンタ
ジエンやアセチルアセトン等の配位子や酢酸等のカルボ
ン酸等が結合したもの等を挙げることができる。これら
のうち、銅のアセチルアセトン錯体、酢酸銅が好まし
い。上記硬化触媒の配合量は、上記カチオン電着塗料不
揮発分100gあたり0.1〜20mmolであること
が好ましい。
【0034】上記カチオン電着塗料は、必要に応じて、
カチオン電着塗料に通常用いられるその他の成分を含ん
でいてもよい。上記その他の成分としては特に限定され
ず、例えば、顔料、顔料分散樹脂、界面活性剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤等の塗料用添加剤等を挙げることが
できる。
【0035】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着
色顔料;塩基性けい酸鉛、りんモリブデン酸アルミニウ
ム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔
料等の一般にカチオン電着塗料組成物に使用されるもの
等を挙げることができる。上記顔料の配合量は、上記カ
チオン電着塗料中、固形分として0〜50重量%である
ことが好ましい。
【0036】上記顔料分散樹脂としては特に限定され
ず、一般に使用されている顔料分散樹脂を使用すること
ができる。また、樹脂中にスルホニウム基と炭素−炭素
不飽和結合とを含有する顔料分散樹脂を使用してもよ
い。このようなスルホニウム基と不飽和結合とを含有す
る顔料分散樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ
樹脂とハーフブロック化イソシアネートとを反応させて
得られる疎水性エポキシ樹脂に、スルフィド化合物を反
応させるか、又は、上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含
有二塩基酸の存在下でスルフィド化合物を反応させる方
法等により得ることができる。
【0037】上記カチオン電着塗料は、上述のエポキシ
系基体樹脂に、必要に応じてアミン化合物等の上述の各
成分を混合し、水に溶解又は分散すること等により得る
ことができる。カチオン電着塗装に用いる場合には、不
揮発分が10〜30%の浴液となるように調製されるこ
とが好ましい。また、カチオン電着塗料中の炭素−炭素
不飽和結合及びスルホニウム基の含有量が、上述の範囲
を逸脱しないように調製されることが好ましい。
【0038】本発明の複層塗膜の形成に用いられるもう
一つの塗料である上塗り塗料としては特に限定されず、
通常、自動車用上塗り塗料として、水性又は溶剤型であ
って1コートソリッドとして用いられるソリッドカラー
塗料や、2コート1ベーク塗装法によって塗装すること
ができるベース塗料及びクリア塗料であってよい。
【0039】上記水性ソリッドカラー塗料としては特に
限定されず、例えば、水に可溶であるか水に分散可能で
ある高分子化合物、例えば、水酸基とカルボキシル基と
を含有するアクリル樹脂をアミン等で中和したアクリル
樹脂水溶液と、この高分子化合物と反応可能な樹脂、例
えば、水に可溶であるか水に分散可能であるアミノ樹脂
やブロックイソシアネート樹脂等とを組み合わせてなる
もの等であってよい。
【0040】上記溶剤型ソリッドカラー塗料としては特
に限定されず、例えば、種々の有機溶剤に、これに可溶
な高分子化合物、例えば、水酸基を有するアクリル樹脂
と、この高分子化合物と反応可能な化合物、例えば、ア
ミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネー
ト等とを組み合わせてなるもの等であってよい。
【0041】上記ソリッドカラー塗料には、カーボンブ
ラック、フタロシアニンブルー、二酸化チタン等の周知
の無機又は有機の着色顔料が含まれている。この他に、
体質顔料、硬化促進剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、
光安定剤等の添加剤が配合されていてもよい。
【0042】上記ベース塗料としては特に限定されず、
例えば、上記ソリッドカラー塗料に使用される樹脂成分
と着色顔料の他に、硬化剤、体質顔料、硬化触媒、レベ
リング剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合し
てなる水性又は溶剤型のものであってよい。また、上記
ベース塗料は、アルミフレーク、マイカフレーク等の周
知の光輝材を配合したメタリックベース塗料であっても
よい。
【0043】上記ソリッドカラー塗料及びベース塗料と
しては、環境保全の観点から、水性のものであることが
好ましい。
【0044】上記クリア塗料としては特に限定されず、
例えば、溶剤型や水性のものであっても、粉体のもので
あってもよいが、環境保全の観点から、水性又は粉体ク
リア塗料が好ましい。上記溶剤型クリア塗料としては、
例えば、種々の有機溶剤に、これに可溶な高分子化合
物、例えば、水酸基を有するアクリル樹脂やポリエステ
ル樹脂と、この高分子化合物と反応可能な化合物、例え
ば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックイソシ
アネート等とを組み合わせたもの、ハーフエステル化さ
れて開環している酸無水物基を有するアクリル樹脂と、
水酸基とエポキシ基とを有する化合物とを組み合わせて
なるもの等であってよい。なお、これらを水性化したも
のも使用することができる。
【0045】また、上記粉体クリア塗料としては、例え
ば、水酸基を有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂
と、この高分子化合物と反応可能な化合物、例えば、ア
ミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネー
ト等とを組み合わせたもの、エポキシ基を有するアクリ
ル樹脂と多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物等とを
組み合わせたもの等であって、実質的に水や有機溶剤を
含有しないものであってよい。なお、上記クリア塗料に
は、透明性を損なわない程度に上述した着色顔料や光輝
材を配合することができ、更に、硬化促進剤、レベリン
グ剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を使用するこ
とができる。
【0046】本発明の複層塗膜の形成は、被塗物として
導電性のあるもの、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム
板及びこれらを表面処理したもの、これらを用いてなる
成型物等を使用し、上記カチオン電着塗料を使用してま
ず電着塗装を行う。上記電着塗装は、被塗物を陰極とし
て陽極との間に、通常、50〜500V、好ましくは5
0〜350Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V
未満であると電着が不充分となり、500Vを超える
と、消費電力が大きくなり、不経済である。上記カチオ
ン電着塗料を使用して上述の範囲内で電圧を印加する
と、電着過程における急激な膜厚の上昇を生じることな
く、被塗物全体に均一な被膜を形成することができる。
【0047】電着過程は、(i)上記カチオン電着塗料
に被塗物を浸漬する過程、(ii)上記被塗物を陰極し
て、陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過
程、(iii)析出させた上記被膜に、電圧を更に印加
することにより、上記被膜の単位体積あたりの電気抵抗
値を増加させる過程、から構成されることが好ましい。
また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なる
が、一般には、2〜4分とすることができる。
【0048】上述の電着過程の終了後、被塗物をそのま
ま又は水洗した後、100〜200℃、好ましくは14
0〜180℃で、10〜30分間焼き付けることにより
硬化させて、カチオン電着塗膜を得る。
【0049】上記カチオン電着塗膜の膜厚は10〜25
μmが好ましい。10μm未満であると、防錆性が不充
分であり、25μmを超えると、塗料の浪費につなが
る。上記カチオン電着塗料においては、上述の電解還元
反応により、電着によって被塗物表面に析出した被膜が
不導体化し、結果として、つきまわり性が飛躍的に向上
することになる。従って、塗膜の膜厚が上述の範囲であ
っても、被塗物全体に均一な塗膜を形成することができ
るので、充分な防錆性を発揮することができる。
【0050】次に、このようにして得られるカチオン電
着塗膜の上に、上記上塗り塗料を塗布し、焼き付け硬化
させて上塗り塗膜を形成し、上記複層塗膜を完成する。
上記上塗り塗膜の形成においては、上塗り塗料が上記ソ
リッドカラー塗料である場合、乾燥膜厚が30〜100
μmとなるようにスプレー塗装を行うことが好ましい。
また、2ステージで塗装する等、複数回の塗り重ねも可
能である。上記スプレー塗装は、エアスプレー塗装機、
エアレススプレー塗装機、エア霧化式又は回転霧化式静
電塗装機等を使用して行うことがてきる。上記焼き付け
硬化は、90〜250℃、好ましくは100〜200
℃、更に好ましくは120〜180℃で、焼き付け温度
に応じた時間をかけて行えばよい。
【0051】上記上塗り塗料がベース塗料及びクリア塗
料である場合は、先ず、乾燥膜厚が好ましくは10〜2
0μmになるようにベース塗料を、上記塗装機等を使用
してスプレー塗装する。この塗装は、2ステージで塗装
する等、複数回の塗り重ねも可能である。ベース塗料の
塗装後に、ただし、水性ベース塗料を塗装した場合に
は、60〜120℃で2〜10分間予備乾燥した後に、
2〜5分間セッティングする。次に、その上に、クリア
塗料を、乾燥膜厚が好ましくは40〜100μmとなる
ように塗装する。上記塗装は、粉体塗料にあっては、静
電粉体塗装法を利用した塗装機を好適に使用して行うこ
とができる。その後、ベース塗膜とクリア塗膜の両者
を、90〜250℃、好ましくは100〜200℃、よ
り好ましくは120〜180℃で、焼き付け温度に応じ
た時間をかけて焼き付け硬化することにより、上塗り塗
膜を形成することができる。
【0052】なお、得られた電着被膜を硬化させずにそ
の上に、上塗り塗料を塗装する、いわゆるウェット・オ
ン・ウェットによって、上塗り未硬化塗膜を形成し、両
未硬化塗膜を同時に加熱することにより複層塗膜を得る
2コート1ベーク方式を行うことも可能である。
【0053】かくして形成された上塗り塗膜は、波長3
00〜420nmにおける光線透過率が0.5%以上で
ある。0.5%未満では、本発明の効果を得ることがで
きない。上記光線透過率の上限は特に規定されるべきも
のではない。しかし、一般的に、上塗り塗膜は、意匠性
を有しており、素地を隠蔽する必要があることから、そ
の光線透過率は、3%以下である。このことを考慮する
と、上記光線透過率の上限は、3%以下が好ましい。な
お、上塗り塗料としてベース塗料とクリア塗料とを用い
た場合には、ベース塗膜とクリア塗膜とを一つの上塗り
塗膜とみなし、その光線透過率を決定する必要がある。
【0054】かくして形成された本発明の複層塗膜は、
上記カチオン電着塗膜及び上記上塗り塗膜からなり、カ
チオン電着塗膜が上記カチオン電着塗料を使用して形成
されたものであるので、経時的に、カチオン電着塗膜と
上塗り塗膜との界面における塗膜の剥離現象が生じるこ
とがない。
【0055】この剥離現象は、塗膜が劣化によりチョー
キングを生じ、その部分から水分が浸透してその結果、
界面における密着性が低下するものと考えられている。
本発明の複層塗膜において、剥離現象が生じない理由は
必ずしも判然とするところではないが、塗膜中に存在す
る炭素−炭素不飽和結合又はスルホニウム基及びそれが
不導体化したものが、光照射によって発生するラジカル
や活性酸素を捕捉する結果であると考えられる。
【0056】このため、電着塗膜自体の耐候性が向上
し、しかも、塗膜中に発生するラジカルに対する捕捉作
用によって、塗膜全体の光劣化の抑制にも寄与すること
が可能になり、耐候性に優れた複層塗膜を形成すること
ができる。
【0057】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0058】製造例1 スルホニウム基及びプロパルギ
ル基を含有するビスフェノールエポキシ系カチオン電着
塗料用樹脂の製造 エポキシ当量450のビスフェノール型エポキシ樹脂
(エピコート1001(商品名)、油化シェルエポキシ
社製)900.0gにプロパルギルアルコール448.
0g、ジメチルベンジルアミン3.0gを攪拌機、温度
計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラ
スコに加え、120℃に昇温し反応させた。塩酸−ジオ
キサン法によるエポキシ当量の測定を行い、エポキシ基
が消失するまで反応させた。その後、未反応のプロパル
ギルアルコールを真空ポンプを用いて完全に留去した。
次いで、エピクロルヒドリン1480.0g、テトラメ
チルアンモニウムクロライド8.0gを加え、50℃に
昇温し、50%水酸化ナトリウム水溶液172.0gを
2時間かけて滴下し、減圧下、水をエピクロルヒドリン
との共沸混合物として連続的に除去しながら、更に、5
時間反応させた。過剰のエピクロルヒドリンを減圧留去
し、反応物にトルエンを加え、反応により生成した塩化
ナトリウムを水/トルエンにより完全に分液除去した。
その後、トルエンを減圧留去し、エポキシ当量570
(理論値562)の目的樹脂を得た。収率88.0%。
【0059】更に、攪拌機、温度計、窒素導入管及び還
流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、上述により得
た樹脂1140g、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)
−2−プロパノール272.0g、50%乳酸水溶液3
60.0g、脱イオン水108.0gを入れ、75℃に
昇温し、6時間反応させた。酸価が5以下であることを
確認した後、脱イオン水137.2gを加え、目的の樹
脂水溶液を得た。このものの固形分濃度は、70.2重
量%、スルホニウム価は、71.0mmol/100g
ワニスであった。
【0060】製造例2 スルホニウム基及びプロパルギ
ル基を含有するノボラックエポキシ系カチオン電着塗料
用樹脂の製造 エポキシ当量200.4のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(エポトートYDCN−701(商品名)、東
都化成社製)1663.5gにプロパルギルアルコール
510.5g、ジメチルベンジルアミン5.0gを攪拌
機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラ
ブルフラスコに加え、125℃に昇温し、3時間反応さ
せ、エポキシ当量が1580のプロパルギル基を含有す
る樹脂を得た。更に、攪拌機、温度計、窒素導入管及び
還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、上述により
得た樹脂1089.5g、1−(2−ヒドロキシエチル
チオ)−2,3−プロパンジオール99.0g、氷酢酸
39.0g、脱イオン水93.5gを加え、75℃に昇
温し、6時間反応させた。残存酸価が5以下であること
を確認した後、脱イオン水289.0gを加え、目的の
樹脂溶液を得た。このものの固形分濃度は、70重量
%、スルホニウム価は30.0mmol/100gワニ
スであった。
【0061】製造例3 スルホニウム基及びプロパルギ
ル基を含有するポリブタジエン系カチオン電着塗料用樹
脂の製造 攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセ
パラブルフラスコに、エポキシ当量200のエポキシ化
ポリブタジエン(ニッセキポリブタジエンE−1000
−8(商品名)、日本石油化学社製)1000.0g、
プロパルギル酸240.0gを加え、135℃に昇温
し、3時間反応させて、酸価が0になったことを確認し
た後、冷却し、75℃でチオジエタノール219.6
g、ぎ酸82.8g、脱イオン水259.2gを加え、
7時間反応させた。酸価が5以下であることを確認した
後、脱イオン水268.1gを加え、目的の樹脂溶液を
得た。このものの固形分濃度は、69.8重量%、スル
ホニウム価は56.9mmol/100gワニスであっ
た。
【0062】製造例4 プロパルギル基を含有する脂肪
族系硬化剤の製造 攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセ
パラブルフラスコに、エポキシ当量213のペンタエリ
トリトールテトラグリシジルエーテル(デナコールEX
411N(商品名)、長瀬化成社製)655.0g、プ
ロパルギル酸315.5g、ジメチルベンジルアミン
1.0gを加え、130℃に昇温して反応させた。塩酸
−ジオキサン法によるエポキシ当量の測定を行い、エポ
キシ基が消失するまで反応させ、目的物を得た。このも
のの固形分濃度は、89.0重量%であった。
【0063】比較製造例1 比較検討用エマルションの
製造 攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセ
パラブルフラスコに、ビスフェノールAとエピクロルヒ
ドリンをアルカリ触媒下で反応させて得たエポキシ当量
950のビスフェノール型エポキシ樹脂(エピコート1
004(商品名)、油化シェルエポキシ社製)190
0.0gを入れ、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル993gに溶解した後、反応系を90℃に保温しなが
らジエタノールアミン210gを滴下した。滴下終了
後、110℃に昇温し、1時間30分間反応させて樹脂
固形分68%の樹脂溶液を得た。次いで、ジフェニルメ
タンジイソシアネートをエチレングリコールモノ2−エ
チルヘキシルエーテルでブロックした硬化剤を、上述に
より得られた樹脂溶液との固形分重量比が(樹脂溶液)
/(硬化剤)=75/25となるように混合し、これに
3重量%のジブチル錫オキサイドを配合した。この樹脂
組成物1383g(固形分75%)を、予め用意した脱
イオン水672gと氷酢酸21gとの混合水溶液に添加
し、高速回転攪拌機で1時間攪拌した後、更に、脱イオ
ン水1381.5gを加え、固形分濃度が30重量%と
なるように水溶液を調製して比較検討用エマルションと
した。
【0064】実施例1 基体樹脂として、製造例1で得られたスルホニウム基及
びプロパルギル基を含有するビスフェノールエポキシ系
カチオン電着塗料用樹脂742.8gを使用しこれに製
造例4で得たプロパルギル基を含有する脂肪族系硬化剤
308.5g、ニッケルアセチルアセトナート4.0
g、脱イオン水120.3gを加え、高速回転ミキサー
で1時間攪拌後、更に、脱イオン水2824.4gを加
え、固形分濃度が20重量%となるように水溶液を調製
して電着塗料とした。
【0065】実施例2 基体樹脂として、製造例2で得られたスルホニウム基及
びプロパルギル基を含有するノボラックエポキシ系カチ
オン電着塗料用樹脂1131.4gを使用し、これにニ
ッケルアセチルアセトナート8.0g、脱イオン水11
5.6gを加え、高速回転ミキサーで1時間攪拌後、更
に、脱イオン水2700.0gを加え、攪拌下にN−メ
チルエタノールアミンの10%水溶液45.0gを添加
し、固形分濃度が20重量%となるように水溶液を調製
して電着塗料とした。
【0066】実施例3 基体樹脂として、製造例3で得られたスルホニウム基及
びプロパルギル基を含有するポリブタジエン系カチオン
電着塗料用樹脂742.8gを使用し、これにニッケル
アセチルアセトナート4.0g、製造例4で得たプロパ
ルギル基を含有する脂肪族系硬化剤310.1g、脱イ
オン水154.7gを加え、高速回転ミキサーで1時間
攪拌後、更に、脱イオン水2788.4gを加え、固形
分濃度が20重量%となるように水溶液を調製して電着
塗料とした。
【0067】比較例1 比較製造例1で得られた比較検討用エマルション266
7gに、攪拌条件下、脱イオン水1333gを加え固形
分濃度が20重量%となるように水溶液を調製して電着
塗料とした。
【0068】評価 (1)塗膜の作製 実施例及び比較例で調製された各電着塗料を使用して、
浴温度25℃に設定し、それぞれりん酸亜鉛処理した冷
間圧延鋼板(JIS G 3141 SPCC−SD、
サーフダインSD−5000(商品名)処理、日本ペイ
ント社製)を陰極、ステンレス容器を陽極として250
Vにて3分間電着塗装を行った。被塗物を電着浴から引
き上げ、水洗し、175℃×20分間焼き付け、電着塗
膜を被塗物に形成した。
【0069】このようにして得た被塗物を、室温になる
まで空冷した後、更に、得られた上述の電着塗膜上に、
シルバー塗色の溶剤型メタリック塗料(メラミン硬化型
アクリル樹脂系メタリック塗料)を、23℃でエアスプ
レーによって、乾燥膜厚が15μmになるように塗装し
た。その後、溶剤型クリア塗料(メラミン硬化型アクリ
ル樹脂系クリア塗料)を静電スプレー塗装法にて乾燥膜
厚40μmとなるように塗装した。得られた被塗物を1
40℃に設定した焼き付け乾燥炉に投入し、30分間焼
き付け処理し、鋼板上に複層塗膜を得た。得られた上塗
り塗膜の波長300〜420nmにおける光線透過率
は、1.0%であった。
【0070】光線透過率は、以下の方法で測定した。波
長幅を6nm以下、測定範囲を300〜420nmに設
定した分光光度計U−3200(日立製作所社製)に、
試験片から塗膜のみを取り出したフリーフィルムを、受
光部との間隔を3mm以内に調整したホルダーにセット
し、測定した。得られた透過率曲線から、求める波長域
における光線透過率を、以下の式によって求めた。 光線透過率(%)=〔求める波長域での透過率曲線の積
分値/求める波長域での透過率100%の透過曲線の積
分値〕×100
【0071】(2)複層塗膜の層間密着性の評価 各実施例及び比較例の電着塗料を使用して上述により得
られた複層塗膜が形成された鋼板の裏面と端部に防錆シ
ールを施した試験片を、温度60℃に設定したサンシャ
インウェザーメーター(スガ試験機社製)にて光照射を
300時間行った後、温度50℃、湿度95%RH以上
に設定した恒温恒湿槽に20時間投入することを1サイ
クルとする試験を5サイクル行った。試験の終了後に層
間密着性の評価を以下の方法により行った。
【0072】すなわち、カッターナイフを用いて2mm
間隔で11本の平行線を縦横に引いて100個のます目
を描き、その上にセロハンテープをしっかりと貼り付
け、45°手前上方に急激に引き剥がした。その時の塗
膜の表面状態と剥離状態を調べ、以下の基準で評価し、
○を合格とした。結果を表1に示した。 ○:塗膜に異常や剥離なし ×:塗膜に異常、剥離あり
【0073】(3)電着塗膜の光沢保持率の測定 各実施例及び比較例の電着塗料を使用して上述により得
られた電着塗膜が形成された鋼板の60°グロスを初期
グロスとし、光沢計(スガ試験機社製)にて測定した。
更に、この塗膜上に上塗り塗膜を形成せずに、サンシャ
インウェザーメーター(スガ試験機社製)にて光照射を
1800時間行い、電着塗膜の促進暴露を行った。その
後、促進暴露した塗膜の60°グロスを劣化後グロスと
して、同様に測定し、下記の式によって光沢保持率を算
出した。保持率90%以上を合格しとた。結果を表1に
示した。 光沢保持率(%)=(劣化後グロス/初期グロス)×1
00
【0074】
【表1】
【0075】実施例から、本発明の複層塗膜において
は、波長300〜420nmにおける光線透過率が1.
0%である上塗り塗膜を使用した場合にも、充分な耐候
性を発揮することができることが判明した。
【0076】
【発明の効果】本発明の複層塗膜は、上述の構成よりな
るため電着塗膜の耐候性が高く、自動車の外板塗膜にお
いて中塗塗膜を省いても上塗り塗膜と電着塗膜との界面
剥離現象を生じることがなく、充分な耐候性を確保する
ことができる。特に、塗膜の光劣化が甚だしくて中塗塗
膜を省くことができなかった、上塗り塗膜がブルー系の
着色顔料を用いたソリッドカラー塗膜である場合や、シ
ルバーメタリック系の着色顔料を用いたメタリック塗膜
とクリア塗膜との組み合わせである場合に効果が高い。
従って、従来、耐候性の問題からごく一部の車種、塗色
でのみ実施されていた中塗塗装工程を省いた経済性の高
い、いわゆる2コート塗装を、メタリック塗色を含む広
い塗色を使用して行うことが可能となる。更にこのこと
が、幅広い車種に適用することを可能にするので、工業
上極めて有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/44

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂固形分100gあたり スルホニウム基5〜300mmol及び 炭素−炭素不飽和結合50〜2000mmol を含有し、かつ、前記炭素−炭素不飽和結合のうち少な
    くとも15%は炭素−炭素三重結合であるエポキシ系カ
    チオン電着塗料により形成されるカチオン電着塗膜上
    に、上塗り塗膜を形成してなる中塗塗膜を持たない複層
    塗膜であって、 前記上塗り塗膜は、波長300〜420nmにおける光
    線透過率が、0.5%以上のものである ことを特徴とす
    る複層塗膜。
  2. 【請求項2】 上塗り塗膜は、ソリッドカラー塗膜であ
    る請求項記載の複層塗膜。
  3. 【請求項3】 上塗り塗膜は、ベース塗膜とクリア塗膜
    とからなるものである請求項記載の複層塗膜。
  4. 【請求項4】 ベース塗膜は、メタリックベース塗膜で
    ある請求項記載の複層塗膜。
JP37249098A 1998-07-22 1998-12-28 複層塗膜 Expired - Fee Related JP3253284B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37249098A JP3253284B2 (ja) 1998-07-22 1998-12-28 複層塗膜
DE69911336T DE69911336D1 (de) 1998-07-22 1999-07-20 Mehrschichtiger Beschichtungsfilm
AT99401829T ATE250110T1 (de) 1998-07-22 1999-07-20 Mehrschichtiger beschichtungsfilm
EP19990401829 EP0980899B1 (en) 1998-07-22 1999-07-20 Multilayer coating film
CA 2278256 CA2278256A1 (en) 1998-07-22 1999-07-21 Multilayer coating film
US09/358,846 US6168864B1 (en) 1998-07-22 1999-07-22 Multilayer coating film

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-206521 1998-07-22
JP20652198 1998-07-22
JP37249098A JP3253284B2 (ja) 1998-07-22 1998-12-28 複層塗膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000095978A JP2000095978A (ja) 2000-04-04
JP3253284B2 true JP3253284B2 (ja) 2002-02-04

Family

ID=26515690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37249098A Expired - Fee Related JP3253284B2 (ja) 1998-07-22 1998-12-28 複層塗膜

Country Status (6)

Country Link
US (1) US6168864B1 (ja)
EP (1) EP0980899B1 (ja)
JP (1) JP3253284B2 (ja)
AT (1) ATE250110T1 (ja)
CA (1) CA2278256A1 (ja)
DE (1) DE69911336D1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002161126A (ja) * 2000-11-27 2002-06-04 Nippon Paint Co Ltd 樹脂組成物及びカチオン電着塗料組成物
JP2002265882A (ja) * 2001-03-15 2002-09-18 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物、塗膜形成方法及び塗膜を有する被塗装物
US20030102217A1 (en) * 2001-08-31 2003-06-05 Kansai Paint Co., Ltd Method for forming multilayer coating film
DE10220414B4 (de) * 2002-05-08 2005-09-22 Basf Coatings Ag Verfahren zum Überlackieren farb- und/oder effektgebender Mehrschichtlackierungen
JP4081332B2 (ja) * 2002-09-13 2008-04-23 日本ペイント株式会社 電線の塗装方法及び絶縁電線
JP5227881B2 (ja) * 2009-04-24 2013-07-03 マツダ株式会社 積層塗膜構造
JP5351127B2 (ja) * 2009-12-07 2013-11-27 ダウ・ヨーロッパ・ゲーエムベーハー 架橋性ラテックス
CN111440510B (zh) * 2020-06-04 2021-11-16 陈世祥 一种汽车修补用快干水性双组份中涂漆及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3959106A (en) * 1974-03-27 1976-05-25 Ppg Industries, Inc. Method of electrodepositing quaternary sulfonium group-containing resins
JPS5884871A (ja) 1981-11-16 1983-05-21 Nippon Paint Co Ltd 陰極析出型電着塗料組成物およびその製造法
DE4207653A1 (de) * 1992-03-11 1993-09-16 Basf Lacke & Farben Kunstharze

Also Published As

Publication number Publication date
EP0980899B1 (en) 2003-09-17
DE69911336D1 (de) 2003-10-23
ATE250110T1 (de) 2003-10-15
EP0980899A2 (en) 2000-02-23
EP0980899A3 (en) 2000-04-05
JP2000095978A (ja) 2000-04-04
CA2278256A1 (en) 2000-01-22
US6168864B1 (en) 2001-01-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060131173A1 (en) Method of coating an electric wire and insulated wire
US6362255B2 (en) Cationic electrodeposition coating composition
JP3253284B2 (ja) 複層塗膜
US6387987B2 (en) Acetylide-form propargyl-containing resin composition for cationic electrocoating
US20020188070A1 (en) Resin composition and cationic electrodeposition coating composition
JP2002167696A (ja) 塗膜形成方法及び被塗物
JP3213586B2 (ja) カチオン電着塗料用樹脂組成物、その製造方法及びカチオン電着塗料組成物
US6440286B1 (en) Method for forming double-layer coatings, method for forming multilayer coatings, and multilayer coatings
JP2000191958A (ja) カチオン電着塗料組成物、複層塗膜形成方法および複層塗膜
US6268409B1 (en) Aqueous dispersion of binding agents, method for the production thereof and cathodic electrodeposition paints
US20020175082A1 (en) Method of cationic electrodeposition coating and coated article obtained thereby
JP2000191959A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP3207806B2 (ja) アセチリド化されたプロパルギル基を含有するカチオン電着塗料用樹脂組成物
JP2002275688A (ja) カチオン電着塗装方法およびそれから得られる塗装物
JP3310621B2 (ja) カチオン電着塗装方法
JP3112749B2 (ja) 塗膜形成方法
JP2002275689A (ja) カチオン電着塗装方法およびそれから得られる塗装物
JP2002265880A (ja) カチオン電着塗料組成物およびそれを用いたカチオン電着塗装方法、ならびに、それから得られる塗装物
JP2004137364A (ja) カチオン電着塗料及び電着塗膜の光沢値制御方法
JPH04168164A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2004137366A (ja) 低光沢塗料、低光沢塗膜の形成方法、低光沢塗膜及び塗膜の光沢値制御方法
JP2002265881A (ja) アニオン電着塗料組成物およびそれを用いたアニオン電着塗装方法、並びにそれから得られる塗装物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees