JP2002265882A - カチオン電着塗料組成物、塗膜形成方法及び塗膜を有する被塗装物 - Google Patents

カチオン電着塗料組成物、塗膜形成方法及び塗膜を有する被塗装物

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JP2002265882A
JP2002265882A JP2001074112A JP2001074112A JP2002265882A JP 2002265882 A JP2002265882 A JP 2002265882A JP 2001074112 A JP2001074112 A JP 2001074112A JP 2001074112 A JP2001074112 A JP 2001074112A JP 2002265882 A JP2002265882 A JP 2002265882A
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cationic electrodeposition
electrodeposition coating
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JP2001074112A
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Toshitaka Kawanami
俊孝 川浪
Hiroyuki Sakamoto
裕之 坂本
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜形成性樹脂としてスルホニウム基とプロ
パルギル基とを持つ樹脂組成物を用い、カチオン電着塗
装の後、光重合により塗膜硬化を行わしめる新規のカチ
オン電着塗料組成物及び塗膜形成方法を提供し、これに
より低温硬化、短時間硬化を実現することを目的とす
る。 【解決手段】 スルホニウム基とプロパルギル基とを持
つ樹脂組成物、及び、光重合開始剤を含むことを特徴と
するカチオン電着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カチオン電着塗料
組成物、これを用いる塗膜形成方法及びそれによって得
られる塗膜を有する被塗装物に関し、更に詳しくは、紫
外線による硬化が可能なカチオン電着塗料組成物、これ
を用いる塗膜形成方法及びそれによって得られる塗膜を
有する被塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の塗装工程は、一般的には、リ
ン酸塩等により予め化成処理が施された被塗装物に、カ
チオン電着塗料による下塗り塗装をした後、中塗り塗
料、次いで上塗り塗料が塗装され、得られる塗膜を加熱
硬化させることからなる。
【0003】このうち、下塗り塗装として行われるカチ
オン電着塗装は、防食、防錆等を主目的として行われる
ものであり、特開2000−38525号公報には、ス
ルホニウム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物を含
有するカチオン電着塗料が開示されている。このスルホ
ニウム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物を含有す
るカチオン電着塗料は、硬化性及びつきまわり性に優れ
ている。
【0004】一方、従来、自動車の車体や部品類に適用
される電着塗装方法には、形状が複雑であるため、光が
均一に当たらず、通常、光硬化は用いられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗膜
形成性樹脂としてスルホニウム基とプロパルギル基とを
持つ樹脂組成物を用い、カチオン電着塗装の後、光重合
により塗膜硬化を行わしめる新規のカチオン電着塗料組
成物及び塗膜形成方法を提供し、これにより低温硬化、
短時間硬化を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、スルホニウ
ム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物を含有するカ
チオン電着塗料組成物に光重合開始剤を含ませることに
より、カチオン電着塗装により得られる電着被膜に紫外
線照射等の光照射を行う場合において、電着被膜に含ま
れるスルホニウム基が光照射を受けてラジカルを発生
し、このラジカルが電着被膜によって発生したアレン結
合に作用して重合を行わしめることにより、電着被膜の
硬化が進むことを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、スルホニウム基とプロパ
ルギル基とを持つ樹脂組成物、及び、光重合開始剤を含
むことを特徴とするカチオン電着塗料組成物である。上
記光重合開始剤は、上記カチオン電着塗料組成物中の樹
脂固形分重量に対して0.2〜8重量%であることが好
ましい。上記スルホニウム基とプロパルギル基とを持つ
樹脂組成物は、上記カチオン電着塗料組成物中の樹脂固
形分100g当り、スルホニウム基を5〜400mmo
l及びプロパルギル基を10〜495mmol含有し、
スルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が50
0mmol以下であることが好ましい。上記スルホニウ
ム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物は、また、ノ
ボラックフェノール型エポキシ樹脂又はノボラッククレ
ゾール型エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からなるもので
あって、数平均分子量として700〜5000を有する
ものであり、上記樹脂組成物の固形分100g当り、ス
ルホニウム基を5〜250mmol及びプロパルギル基
を20〜395mmol含有し、スルホニウム基及びプ
ロパルギル基の合計含有量が400mmol以下である
ことが好ましい。
【0008】本発明は、また、被塗装物に上記カチオン
電着塗料組成物を電着塗装し、得られる被膜に紫外線を
照射する工程を含むことを特徴とするカチオン電着塗装
方法である。上記カチオン電着塗装方法は、更に、得ら
れる被膜を加熱する工程を含むものであることが好まし
く、上記紫外線照射を行う時間の全部又は一部は、同時
に加熱を行うものであることがより好ましい。本発明
は、更に、上記カチオン電着塗装方法によって得られる
被膜を有することを特徴とする被塗装物である。以下、
本発明を詳細に説明する。
【0009】カチオン電着塗料組成物 本発明のカチオン電着塗料組成物は、光重合開始剤を含
むものである。上記光重合開始剤としては特に限定され
ず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエー
テル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン
類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミ
ノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)等のベンゾフ
ェノン類;キサントン、チオキサントン等のキサントン
類;2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、
α,α−ジクロロ−4−フェノキシ−アセトフェノン、
1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒド
ロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメ
トキシ−2−フェニルアセトフェノン(ベンジルジメチ
ルケタール)等のアセトフェノン類;その他、4−ジメ
チルアミノ安息香酸エチル、4,4’−ジアジドスチル
ベンゼン−2,2’−ジスルホン酸、1−フェニル−
1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニ
ル)オキシム等を挙げることができる。なかでも、ベン
ジルジメチルケタールが好ましい。これらは、1種又は
2種以上を用いることができる。上記光重合開始剤は、
公知の方法によって調製することができ、例えば、市販
品を用いることもできる。
【0010】上記光重合開始剤は、本発明のカチオン電
着塗料組成物中の樹脂固形分重量に対して0.2〜8重
量%であることが好ましい。0.2重量%未満である
と、光重合が不充分となることがあり、8重量%を超え
ると、硬化の程度にむらを生じやすく、塗膜物性に劣る
場合がある。好ましくは、1〜5重量%である。
【0011】本発明のカチオン電着塗料組成物は、更
に、スルホニウム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成
物を含むものである。このような樹脂組成物を含むこと
により、本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチオン
電着塗装において優れたつきまわり性が得られ、特に、
得られる未硬化の電着塗膜の上に中塗り塗料を塗装した
後、得られる両未硬化塗膜を同時に加熱する複層塗膜形
成方法にも好適に用いることができる。
【0012】上記樹脂組成物を構成する樹脂は、一分子
中にスルホニウム基及びプロパルギル基の両者を持って
いてもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば、一分
子中にスルホニウム基又はプロパルギル基の何れか一方
だけを持っていてもよい。この後者の場合には、樹脂組
成物全体として、これら2種の硬化性官能基の全てを持
っている。すなわち、上記樹脂組成物は、スルホニウム
基及びプロパルギル基を持つ樹脂からなるか、スルホニ
ウム基だけを持つ樹脂及びプロパルギル基だけを持つ樹
脂の混合物からなるか、又は、これらすべての混合物か
らなるものであってもよい。本発明のカチオン電着塗料
組成物に含まれる樹脂組成物は、上述の意味においてス
ルホニウム基及びプロパルギル基を持つ。
【0013】上記スルホニウム基は、上記樹脂組成物の
水和官能基である。スルホニウム基は、電着塗装過程で
一定以上の電圧又は電流を与えられると、電極上で電解
還元反応をうけてイオン性基が消失し、不可逆的に不導
体化することができる。本発明のカチオン電着塗料組成
物は、このことにより高度のつきまわり性を発揮するこ
とができるものと考えられる。
【0014】本発明のカチオン電着塗料組成物が使用さ
れる電着塗装過程においては、電極反応が引き起こさ
れ、生じた水酸化物イオンをスルホニウム基が保持する
ことにより電解発生塩基が電着被膜中に発生するものと
考えられる。この電解発生塩基は、電着被膜中に存在す
る加熱による反応性の低いプロパルギル基を、加熱によ
る反応性の高いアレン結合に変換することができる。
【0015】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物の骨格となる樹脂としては、特に限定され
るものではないが、エポキシ樹脂が好適に用いられる。
エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つ以上
のエポキシ基を有するものが好適に用いられ、具体的に
は、例えば、エピビスエポキシ樹脂、これをジオール、
ジカルボン酸、ジアミン等により鎖延長したもの;エポ
キシ化ポリブタジエン;ノボラックフェノール型ポリエ
ポキシ樹脂;ノボラッククレゾール型ポリエポキシ樹
脂;ポリグリシジルアクリレート;脂肪族ポリオール又
はポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル;
多塩基性カルボン酸のポリグリシジルエステル等のポリ
エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのうち、硬
化性を高めるための多官能基化が容易であるので、ノボ
ラックフェノール型ポリエポキシ樹脂、ノボラッククレ
ゾール型ポリエポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレー
トが好ましい。なお、上記エポキシ樹脂の一部は、モノ
エポキシ樹脂であってもかまわない。
【0016】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂を骨格とする樹脂か
らなり、数平均分子量は、500〜20000である。
数平均分子量が500未満であると、カチオン電着塗装
の塗装効率が悪くなり、20000を超えると被塗物表
面で良好な被膜を形成することができない。上記数平均
分子量は樹脂骨格に応じてより好ましい分子量を設定可
能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹
脂又はノボラッククレゾール型エポキシ樹脂を骨格とす
る場合には、700〜5000であることがより好まし
い。
【0017】本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂
組成物におけるスルホニウム基の含有量は、後述するス
ルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を充た
した上で、上記カチオン電着塗料組成物中の樹脂固形分
100gあたり5〜400mmolである。5mmol
/100g未満であると、十分なつきまわり性や硬化性
を発揮することができず、また、水和性、浴安定性が悪
くなる。400mmol/100gを超えると、被塗物
表面への被膜の析出が悪くなる。上記スルホニウム基の
含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい含
有量を設定可能であり、例えば、上記樹脂組成物がノボ
ラックフェノール型エポキシ樹脂又はノボラッククレゾ
ール型エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からなる場合に
は、本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂固形分1
00gあたり5〜250mmolであることがより好ま
しく、10〜150mmolが更に好ましい。
【0018】本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂
組成物におけるプロパルギル基は、上記カチオン電着塗
料において、硬化官能基として作用するのみならず、理
由は不明であるが、スルホニウム基と併存することによ
り、上記カチオン電着塗料組成物のつきまわり性を一層
向上させることができる。
【0019】本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂
組成物におけるプロパルギル基の含有量は、後述するス
ルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を充た
した上で、上記カチオン電着塗料組成物中の樹脂固形分
100gあたり10〜495mmolである。10mm
ol/100g未満であると、十分なつきまわり性や硬
化性を発揮することができず、495mmol/100
gを超えると、カチオン電着塗料として使用した場合の
水和安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。上記プロパ
ルギル基の含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより
好ましい含有量を設定可能であり、例えば、上記樹脂組
成物がノボラックフェノール型エポキシ樹脂又はノボラ
ッククレゾール型エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からな
る場合には、本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂
固形分100gあたり20〜395mmolであること
がより好ましい。
【0020】また、本発明のカチオン電着塗料組成物に
含まれる樹脂組成物中のスルホニウム基及びプロパルギ
ル基の合計含有量は、上記カチオン電着塗料組成物中の
樹脂固形分100gあたり500mmol以下である。
500mmolを超えると、樹脂が実際には得られなか
ったり、目的とする性能が得られないことがある。上記
樹脂組成物中のスルホニウム基及びプロパルギル基の合
計含有量は、用いられる樹脂骨格に応じてより好ましい
含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフェノー
ル型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹
脂の場合には、400mmol以下であることがより好
ましい。
【0021】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物中のプロパルギル基の一部は、アセチリド
化されていてもよい。アセチリドは、塩類似の金属アセ
チレン化物である。上記樹脂組成物中のアセチリド化さ
れるプロパルギル基の含有量は、樹脂組成物固形分10
0gあたり0.1〜40mmolであることが好まし
い。0.1mmol未満であると、アセチリド化による
効果が十分発揮されず、40mmolを超えると、アセ
チリド化が困難である。この含有量は、使用する金属に
応じてより好ましい範囲を設定することが可能である。
【0022】上記アセチリド化されたプロパルギル基に
含まれる金属としては、触媒作用を発揮する金属であれ
ば特に限定されず、例えば、銅、銀、バリウム等の遷移
金属を挙げることができる。これらのうち、環境適合性
を考慮するならば、銅、銀が好ましく、入手容易性か
ら、銅がより好ましい。銅を使用する場合、上記樹脂組
成物中のアセチリド化されるプロパルギル基の含有量
は、本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂固形分1
00gあたり0.1〜20mmolであることがより好
ましい。
【0023】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物中のプロパルギル基の一部をアセチリド化
することにより、硬化触媒を樹脂中に導入することがで
きる。このようにすれば、一般に、有機溶媒や水に溶解
又は分散しにくい有機遷移金属錯体を使用する必要がな
く、遷移金属であっても容易にアセチリド化して導入可
能であるので、難溶性の遷移金属化合物であっても自由
に塗料組成物に使用可能である。また、遷移金属有機酸
塩を使用する場合のように、有機酸塩がアニオンとして
電着浴中に存在することを回避でき、更に、金属イオン
が限外ろ過によって除去されることはなく、浴管理やカ
チオン電着塗料の設計が容易となる。
【0024】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物には、所望により、炭素−炭素二重結合を
含有させてもよい。上記炭素−炭素二重結合は、反応性
が高いので硬化性を一層向上させることができる。
【0025】上記炭素−炭素二重結合の含有量は、後述
するプロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の含有量の
条件を充たした上で、本発明のカチオン電着塗料組成物
中の樹脂固形分100gあたり10〜485mmolが
好ましい。10mmol/100g未満であると、添加
により十分な硬化性を発揮することができず、485m
mol/100gを超えると、カチオン電着塗料として
使用した場合の水和安定性に悪影響を及ぼすおそれがあ
る。上記炭素−炭素二重結合の含有量は、用いられる樹
脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、
例えば、上記樹脂組成物がノボラックフェノール型エポ
キシ樹脂又はノボラッククレゾール型エポキシ樹脂を骨
格とする樹脂からなる場合には、20〜375mmol
であることがより好ましい。
【0026】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物が上記炭素−炭素二重結合を含有する場
合、上記プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計
含有量は、本発明のカチオン電着塗料組成物中の樹脂固
形分100gあたり80〜450mmolの範囲内であ
ることが好ましい。80mmol未満であると硬化性が
不十分となるおそれがあり、450mmolを超えると
スルホニウム基の含有量が少なくなり、つきまわり性が
不十分となるおそれがある。上記プロパルギル基及び炭
素−炭素二重結合の合計含有量は、用いられる樹脂骨格
に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例え
ば、上記カチオン電着塗料組成物に含まれる樹脂組成物
がノボラックフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック
クレゾール型エポキシ樹脂を骨格とする樹脂からなる場
合には、100〜395mmolであることがより好ま
しい。
【0027】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物が上記炭素−炭素二重結合を含有する場
合、上記スルホニウム基、プロパルギル基及び炭素−炭
素二重結合の合計含有量は、上記カチオン電着塗料組成
物中の樹脂固形分100gあたり500mmol以下で
あることが好ましい。500mmolを超えると、樹脂
が実際には得られなかったり、目的とする性能が得られ
ないことがある。上記スルホニウム基、プロパルギル基
及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、用いられる樹
脂骨格に応じて、より好ましい含有量を設定可能であ
り、例えば、上記樹脂組成物がノボラックフェノール型
エポキシ樹脂又はノボラッククレゾール型エポキシ樹脂
を骨格とする樹脂からなる場合には、400mmol以
下であることがより好ましい。
【0028】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物は、例えば、一分子中に少なくとも2つの
エポキシ基を有するエポキシ樹脂に、エポキシ基と反応
する官能基及びプロパルギル基を有する化合物(A)を
反応させて、プロパルギル基を持つエポキシ樹脂組成物
を得る工程(i)、及び、工程(i)で得られたプロパ
ルギル基を持つエポキシ樹脂組成物中の残存エポキシ基
に、スルフィド/酸混合物を反応させて、スルホニウム
基を導入する工程(ii)により好適に製造することが
できる。
【0029】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物に、必要に応じて炭素−炭素二重結合を持
たせる場合には、上記工程(i)において、エポキシ基
と反応する官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合
物(B)を、上記化合物(A)と併用すればよい。
【0030】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る樹脂組成物が有するプロパルギル基の一部をアセチリ
ド化する場合は、上記工程(i)で得られたプロパルギ
ル基を持つエポキシ樹脂組成物に、例えば銅、銀又はバ
リウム等の遷移金属の錯体又は塩等の金属化合物を反応
させて、上記エポキシ樹脂組成物中の一部のプロパルギ
ル基をアセチリド化する工程を施すことができる。上記
本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれる樹脂組成物
は、特開2000−189891号公報等に記載の製造
方法に従って得ることができる。
【0031】本発明のカチオン電着塗料組成物において
は、上述のようにスルホニウム基とプロパルギル基とを
持つ樹脂組成物が含まれており、上記樹脂組成物自体が
硬化性を有するので、硬化剤の使用は必ずしも必要な
い。しかし、硬化性を更に向上させるために使用しても
よい。このような硬化剤としては、例えば、プロパルギ
ル基及び炭素−炭素二重結合のうち少なくとも1種を複
数個有する化合物、例えば、ノボラックフェノール等の
ポリエポキシドやペンタエリスリットテトラグリシジル
エーテル等に、プロパルギルアルコール等のプロパルギ
ル基を有する化合物やアクリル酸等の炭素−炭素二重結
合を有する化合物を付加反応させて得た化合物等を挙げ
ることができる。
【0032】本発明のカチオン電着塗料組成物には、硬
化触媒を必ずしも使用する必要はない。しかし、硬化反
応条件により、更に硬化性を向上させる必要がある場合
には、必要に応じて、通常用いられる遷移金属化合物等
を適宜添加してもよい。このような化合物としては特に
限定されず、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、
パラジウム、ロジウム等の遷移金属に対して、シクロペ
ンタジエンやアセチルアセトン等の配位子や酢酸等のカ
ルボン酸等が結合したもの等を挙げることができる。上
記硬化触媒の配合量は、上記カチオン電着塗料組成物中
の樹脂固形分重量に対して、0.1〜20重量%である
ことが好ましい。
【0033】本発明のカチオン電着塗料組成物には、ア
ミンを配合することができる。上記アミンの配合によ
り、電着過程における電解還元によるスルホニウム基の
スルフィドへの変換率が増大する。上記アミンとしては
特に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び多官
能の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のア
ミン化合物を挙げることができる。これらのうち、水溶
性又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ト
リブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミン;モ
ノエタノールアミン、ジメタノールアミン、メチルエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、シクロヘキ
シルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリ
ジン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、イミダゾ
ール等を挙げることができる。これらは単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水分散
安定性が優れているので、モノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロ
キシアミンが好ましい。
【0034】上記アミンは、直接、本発明のカチオン電
着塗料組成物中に配合することができる。従来の中和型
アミン系のカチオン電着塗料では、遊離のアミンを添加
すると、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着溶液の
安定性が著しく悪化するが、本発明においては、このよ
うな浴安定性の阻害が生じることはない。
【0035】上記アミンの配合量は、本発明のカチオン
電着塗料組成物中の樹脂固形分100gあたり、0.3
〜25meqが好ましい。0.3meq/100g未満
であると、つきまわり性に対して十分な効果を得ること
ができず、25meq/100gを超えると、添加量に
応じた効果を得ることができず不経済である。より好ま
しくは、1〜15meq/100gである。
【0036】本発明のカチオン電着塗料組成物は、更
に、必要に応じて、通常のカチオン電着塗料に用いられ
るその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分
としては特に限定されず、例えば、顔料、防錆剤、顔料
分散樹脂、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の
塗料用添加剤等を挙げることができる。
【0037】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着
色顔料;塩基性けい酸鉛、リンモリブデン酸アルミニウ
ム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔
料等の一般にカチオン電着塗料に使用されるもの等を挙
げることができる。上記防錆剤としては、具体的には、
亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛カルシウム、カルシ
ウム担持シリカ、カルシウム担持ゼオライト等を挙げる
ことができる。上記顔料と防錆剤との合計配合量は、本
発明のカチオン電着塗料組成物中の固形分として0〜5
0重量%であることが好ましい。
【0038】上記顔料分散樹脂は、上記顔料をカチオン
電着塗料中に安定して分散させるために用いられる。顔
料分散樹脂としては、特に限定されるものではなく、一
般に使用されている顔料分散樹脂を使用することができ
る。また、樹脂中にスルホニウム基と不飽和結合とを含
有する顔料分散樹脂を使用してもよい。このようなスル
ホニウム基と不飽和結合とを含有する顔料分散樹脂は、
例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とハーフブロッ
ク化イソシアネートとを反応させて得られる疎水性エポ
キシ樹脂に、スルフィド化合物を反応させるか、又は、
上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含有二塩基酸の存在下
でスルフィド化合物を反応させる方法等により得ること
ができる。上記非重金属防錆剤についても上記顔料分散
樹脂によってカチオン電着塗料中に安定して分散させる
ことができる。
【0039】本発明のカチオン電着塗料組成物は、これ
に含まれる上記樹脂組成物に、必要に応じて、上述の各
成分を混合し、水に溶解又は分散すること等により得る
ことができる。上述の光重合開始剤は、上記カチオン電
着塗料組成物を調製するに先立って上記樹脂組成物に分
散させることにより配合してもよいし、上述の顔料分散
樹脂に加えてペースト化した後、得られるペーストを上
記塗料組成物の製造時又は製造後に添加することによ
り、配合してもよい。上記カチオン電着塗料組成物は、
これに含まれる樹脂組成物中のプロパルギル基、炭素−
炭素二重結合及びスルホニウム基の含有量が上述の範囲
を逸脱しないように調整することが好ましい。カチオン
電着塗装に用いる際には、上記カチオン電着塗料組成物
は、不揮発分が10〜30%の浴液となるように調製さ
れることが好ましい。
【0040】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法は、被塗装物に上述のカチオン電
着塗料組成物を電着塗装し、得られる被膜に光照射を行
う工程を含むものである。本発明の塗膜形成方法は、更
に、電着塗装により得られる被膜を加熱する工程を含む
ものであってもよい。本発明の塗膜形成方法に用いられ
る被塗装物としては、特に限定されるものではなく、カ
チオン電着することにより変質しないものであれば特に
限定されず、加熱する場合には、更に、加熱により変質
しないものであることが好ましい。このような被塗装物
としては、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム等の平
板、成型物及びそれらを表面処理したもの等を挙げるこ
とができる。
【0041】上記電着塗装は、被塗装物を陰極とし、陽
極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行
う。印加電圧が50V未満であると電着が不十分とな
り、450Vを超えると、消費電力が大きくなり、不経
済である。上述のカチオン電着塗料組成物を使用して上
記範囲内で電圧を印加すると、電着過程における急激な
膜厚の上昇を生じることなく、被塗物全体に均一な被膜
を形成することができる。上記電圧を印加する場合の上
記カチオン電着塗料組成物の浴液温度は、通常、10〜
45℃が好ましい。
【0042】上記電着塗装は、上記カチオン電着塗料組
成物に被塗装物を浸漬する過程、上記被塗装物を陰極と
して陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過
程、析出させた上記被膜に、電圧を更に印加することに
より、上記被膜の単位体積あたりの電気抵抗値を増加さ
せる過程、から構成されることが好ましい。上記電圧印
加時間は、電着条件によって異なるが、一般には、2〜
4分とすることができる。このようにして得られるカチ
オン電着未硬化被膜は、電着過程の終了後、そのまま又
は水洗した後、セッティングされる。
【0043】上記電着未硬化被膜は、次いで、光照射に
より重合を開始し、硬化される。上記光照射としては、
硬化性、汎用性の点から、紫外線照射が好ましい。照射
量は、一般的に多いほど硬化は進むが、200〜500
0mJ・cm-2が好ましい。200mJ・cm-2未満で
あると、硬化不充分となる場合があり、5000mJ・
cm-2を超えると、照射量の割りに硬化度が高まらず、
不経済となる場合がある。より好ましくは、300〜3
000mJ・cm-2である。
【0044】上記照射量は、一般的に次式により表され
る。 〔照射量(mJ・cm-2)〕=〔照射強度(mJ・cm
-2・s-1)〕×〔照射時間(s)) 従って、上記照射量は、照射強度と照射時間を適宜選択
することにより決定することができ、例えば、照射強度
30〜1200mJ・cm-2・s-1で0.2〜30分間
照射する場合が挙げられる。
【0045】上記光照射の方法としては特に限定され
ず、例えば、従来公知の方法を用いることができる。上
記光照射が紫外線照射である場合には、照射強度、照射
時間等の硬化条件に応じ、例えば高圧水銀灯、ケミカル
ランプ等を適宜選択することができる。例えば、高圧水
銀灯を用いる場合には、通常、ピーク波長が200〜4
50nmであり、照射強度が200〜1000mJ・c
-2・s-1であるので、照射時間は0.2〜10分間が
好ましく、また、ケミカルランプを用いる場合には、通
常、照射強度が1.0〜20mJ・cm-2・s-1である
ので、照射時間は1〜30分間が好ましい。
【0046】上記電着塗装により得られる電着未硬化被
膜には、上記光照射のみならず、加熱する工程を施して
もよい。加熱条件としては、例えば、130〜240℃
に設定された乾燥炉に、得られた被塗装物を投入し、5
〜60分間加熱することが挙げられる。本発明において
は、カチオン電着塗料組成物に光重合開始剤が含有され
ており、光重合による硬化が行われるので、従来の電着
被膜の加熱硬化よりも低温、短時間で硬化させることが
でき、例えば、好ましくは130〜210℃で10〜4
5分間加熱することで足り、より好ましくは130〜1
60℃で10〜30分間加熱することで足りる。
【0047】本発明の塗膜形成方法において被膜を加熱
する場合には、上記加熱温度は上述のカチオン電着塗料
組成物の硬化温度より1〜15℃高い温度に設定するこ
とが好ましく、上記カチオン電着塗料組成物の硬化温度
は130〜220℃に設定されていることが好ましい。
硬化温度が130℃より低温である場合は、得られる塗
膜の平滑性が低下する恐れがある。硬化温度が220℃
より高温である場合は、得られる塗膜の物性が低下した
り、それに上塗り塗料等を塗装する場合に得られる多層
塗膜の外観が低下するおそれがある。上記硬化温度の設
定は、硬化官能基、硬化剤及び触媒の種類や量等の調整
といった当業者に公知の方法で行うことができる。
【0048】本発明における硬化温度とは、25分間の
加熱でゲル分率85%の塗膜を得るための温度のことを
いう。上記ゲル分率の測定は、試験塗板をアセトンに浸
漬し5時間還流させた時の、試験前後における試験塗板
の重量差から算出する方法により行われる。
【0049】本発明の塗膜形成方法において上記電着未
硬化被膜を加熱する場合には、上記加熱は上述の電着未
硬化被膜の光照射と別々に行ってもよい。この場合に
は、本発明においては上述の光重合開始剤を用いるの
で、これを効果的に機能させるため、上記光照射を行っ
た後に上記加熱を行うことが好ましい。
【0050】本発明の塗膜形成方法は、上記電着未硬化
被膜に対し、上記加熱と上記光照射とを同時に行う工程
を含むことが好ましい。上記加熱と上記光照射とを同時
に行う工程が含まれる場合には、上記光照射を行う時間
の全部又は一部において同時に上記加熱を行うことがで
き、例えば、上記加熱と上記光照射とを同時に行う工程
の他に、上記加熱のみを行う工程、及び/又は、上記光
照射のみを行う工程を含むものであってもよいが、硬化
性の点から、上記光照射を行う時間の全部において同時
に上記加熱を行うことが好ましい。上記光照射を行う時
間の調整は、例えば、上述のように光照射の強度を適宜
調整することによって行うことができる。
【0051】本発明のカチオン電着塗装方法において
は、カチオン電着塗装により得られる電着被膜の上に、
必要に応じ、下地隠蔽性や耐チッピング性を付与するた
め中塗り塗料を塗布してもよく、更に、着色、外観向上
等のため上塗り塗料を重ね塗りしてもよい。本発明にお
いて上記電着被膜は、少なくとも光照射による硬化を行
わしめるものであるので、中塗り塗料の塗布前に硬化さ
せることが好ましい。
【0052】本発明のカチオン電着塗料組成物は、スル
ホニウム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物を含む
ものであるので、つきまわり性に優れた電着塗膜が得ら
れる。本発明のカチオン電着塗料組成物は、また、上述
の光重合開始剤を含むものであるので、電着塗装により
得られる未硬化電着被膜に対して光照射を行うと、スル
ホニウム基によりラジカルが発生し、上記ラジカルがプ
ロパルギル基及び場合により含まれる不飽和二重結合に
作用して重合反応が進行するので、従来の自動車車体・
部品用電着塗料にはなかった光重合による被膜硬化が実
現される。これにより、従来の加熱硬化に比べて低温か
つ短時間での硬化が可能となり、省エネルギー化、短時
間化によるコスト削減のみならず、得られる硬化被膜の
耐候性向上のほか、光重合硬化系、低耐熱性基材、低温
硬化を採用し得る等の電着塗装・硬化条件の選択幅の拡
大等の有利な効果が得られる。上記硬化は、光照射と加
熱とを同時に行うことにより、更に向上し、硬化の低温
化や短時間化を一層図ることができる。従って、本発明
のカチオン電着塗料組成物、上記カチオン電着塗料組成
物を用いる塗膜形成方法及び上記塗膜形成方法により得
られる被膜を有する被塗装物は、特に自動車の車体や部
品等の電着塗装に好適に用いられる。
【0053】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるもの
ではない。製造例1 スルホニウム基とプロパルギル基とを持つエ
ポキシ樹脂組成物の製造 エポキシ当量200.4のo−クレゾールノボラック型
エポキシ樹脂(エポトートYDCN−701、東都化成
社製)100.0gにプロパルギルアルコール30.6
g、ジメチルベンジルアミン0.3gを、攪拌機、温度
計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたフラスコに加
え、125℃に昇温し、3時間反応させ、エポキシ当量
1600のプロパルギル基を有する樹脂を得た。更にこ
の反応物109.0gを攪拌機、温度計、窒素導入管及
び還流冷却管を備えたフラスコに取り分け、1−(2−
ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール
9.9g、氷酢酸3.9g、脱イオン水6.4gを入
れ、75℃に昇温し、6時間反応させた。残存酸価が5
よりも小さいことを確認し、更に脱イオン水28.9g
を加え、目的の樹脂溶液を得た。固形分濃度は、70.
0重量%であり、数平均分子量は3100であった。
【0054】実施例1 (カチオン電着塗料組成物の製造)製造例1で得られた
樹脂溶液に脱イオン水を徐々に加えてディスパーで充分
に攪拌しながら、一旦固形分濃度が50%の水性塗料液
を調製した。これに、光重合開始剤としてベンジルジメ
チルケタール(イルガキュアー IR#651、チバガ
イギー社製)を樹脂固形分重量に対して3重量%、及
び、純水を添加し、固形分濃度が15%のカチオン電着
塗料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物の硬化
温度を測定したところ、180℃であった。
【0055】(カチオン電着塗装方法)得られたカチオ
ン電着塗料組成物をステンレス容器に移して電着浴と
し、ここに被塗装物として、リン酸亜鉛処理した冷間圧
延鋼板(JIS G3141 SPCC−SD、日本ペ
イント社製のリン酸亜鉛処理剤サーフダインSD−50
00で処理)が陰極となるようにして、乾燥膜厚15μ
mとなるように電着塗装を行った。電着塗装後、ステン
レス容器内の電着浴から引き上げた被塗装物を液面上に
上げた状態のまま、30秒間自然乾燥させた後水洗し、
高圧水銀灯(ピーク波長365nm、照射強度500m
J・cm-2・s-1、オーク社製)を用いて紫外線照射を
1分間行った後、150℃、160℃、170℃、18
0℃、190℃及び200℃の何れかの温度で25分間
加熱することにより、塗板を作成した。
【0056】(硬化性の評価)このようにして作成した
塗装板をソックスレー抽出器に入れ、アセトン/メタノ
ール=1/1の混合液を用いて還流条件下6時間抽出
し、硬化塗装膜のゲル分率を次式に従い算出した。 ゲル分率(%)=抽出後重量(g)/抽出前重量(g)
×100 結果を表1に示した。
【0057】実施例2 紫外線照射をケミカルランプ(JE−A2、照射強度
5.6mW、日本電子精機社製)を用いて25分間行
い、これと同時に加熱を25分間行うことのほかは、実
施例1と同様にして塗板を作成し、評価した。尚、実施
例1と紫外線照射量は同じである。結果を表1に示す。参考例 紫外線照射を行うことなく、加熱を25分間行うことの
ほかは、実施例1と同様にして塗板を作成し、評価し
た。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1から、紫外線照射を行わない参考例で
は、ゲル分率が低いので、硬化性に劣るが、紫外線照射
を加熱と別に行う実施例1では、硬化性が向上し、紫外
線照射を加熱と同時に行う実施例2では、硬化性は更に
優れることが判った。
【0060】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上
述の構成よりなることから、カチオン電着塗装の後、光
重合により塗膜硬化を行わしめることができ、低温硬
化、短時間硬化が実現される。本発明の塗膜形成方法
は、光照射を行うので低温硬化が可能となり、また、加
熱を併用してもよく、加熱は光照射と同時に行うことに
より硬化性が向上し、低温硬化、短時間硬化が一層促進
される。従って、本発明のカチオン電着塗料組成物、塗
膜形成方法及び上記方法により得られる被膜を有する被
塗装物は、自動車の車体や部品類等の塗装に好適に用い
られる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホニウム基とプロパルギル基とを持
    つ樹脂組成物、及び、光重合開始剤を含むことを特徴と
    するカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 光重合開始剤は、カチオン電着塗料組成
    物中の樹脂固形分重量に対して0.2〜8重量%である
    請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 スルホニウム基とプロパルギル基とを持
    つ樹脂組成物は、カチオン電着塗料組成物中の樹脂固形
    分100g当り、スルホニウム基を5〜400mmol
    及びプロパルギル基を10〜495mmol含有し、ス
    ルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が500
    mmol以下である請求項1又は2記載のカチオン電着
    塗料組成物。
  4. 【請求項4】 スルホニウム基とプロパルギル基とを持
    つ樹脂組成物は、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂
    又はノボラッククレゾール型エポキシ樹脂を骨格とする
    樹脂からなるものであって、数平均分子量として700
    〜5000を有するものであり、前記樹脂組成物の固形
    分100g当り、スルホニウム基を5〜250mmol
    及びプロパルギル基を20〜395mmol含有し、ス
    ルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量が400
    mmol以下である請求項1、2又は3記載のカチオン
    電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 被塗装物に請求項1、2、3又は4記載
    のカチオン電着塗料組成物を電着塗装し、得られる被膜
    に紫外線を照射する工程を含むことを特徴とする塗膜形
    成方法。
  6. 【請求項6】 更に、得られる被膜を加熱する工程を含
    む請求項5記載の塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 紫外線照射を行う時間の全部又は一部
    は、同時に加熱を行うものである請求項6記載の塗膜形
    成方法。
  8. 【請求項8】 請求項5、6又は7記載の塗膜形成方法
    によって得られる塗膜を有することを特徴とする被塗装
    物。
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