JP2002167696A - 塗膜形成方法及び被塗物 - Google Patents

塗膜形成方法及び被塗物

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Hiroyuki Sakamoto
裕之 坂本
Shosuke Tsuboniwa
章介 坪庭
Motoki Fujii
基樹 藤井
Kazuo Morichika
和生 森近
Ichiro Kawakami
一郎 川上
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車等の被塗物外板部は優れた耐候性、耐
光劣化性、平滑性等を有し、被塗物内板部(袋構造部
分)は優れた防錆性を有し、その境界面についても防錆
性及び仕上がり性が良好であって、省資源化及び塗装コ
ストの低減が期待できる塗膜形成方法を提供する。 【解決手段】 被塗物に、電着塗料〔1〕を塗装し、次
に電着塗料〔2〕を塗装した後、焼き付けを行うことか
らなる塗膜形成方法であって、上記電着塗料〔1〕は、
スルホニウム基を含有する樹脂を含むものであり、4面
ボックス法において、樹脂固形分20重量%の塗料中、
100V、40℃にて、立ち上げ5秒/維持120秒間
電着塗装し、A面に膜厚20〜30μmを付与した場
合、B面の膜厚は上記A面の膜厚の1/10以下である
ものであって、上記電着塗料〔2〕は、定電流条件下で
の電着の過程において、析出皮膜の単位体積当たりの電
気抵抗値が増加する時点を有するものである塗膜形成方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の複雑な
形状を有する被塗物に好適に使用することができる塗膜
形成方法に関し、更に詳しくは、電着塗料〔1〕を塗装
し、次に電着塗料〔2〕を塗装した後、焼き付けを行う
ことからなる塗膜形成方法であって、中塗り塗料を塗装
せずに上塗り塗料を塗装することができる塗膜形成方
法、及び、それにより得られる塗膜を有する被塗物に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の塗装工程は、一般的には、カ
チオン電着塗料による下塗り塗装が行われ、焼き付け硬
化が行われた後、中塗り塗料が塗装され、中塗り塗膜が
焼き付け硬化され、更に、上塗り塗料としてベース塗料
及びクリヤー塗料が塗装され、これらの両塗膜を同時に
硬化させる、いわゆる3コート3ベーク法により行われ
ている。
【0003】このうち、下塗り塗装として使用されるカ
チオン電着塗装は、防食等を主目的として行われるもの
であり、複雑な構造を有する自動車等の被塗物であって
も、すべての部分、特に袋状構造である内板部位にま
で、充分な防食性を確保する必要がある。しかし、袋状
構造である内板部位まで充分な膜厚を形成するために印
加電圧を大きくすると、外板部の塗膜が大きくなりすぎ
て、塗料使用量が必要以上に増大したり、かえって仕上
がり外観が低下するという問題が生じていた。この問題
を回避するために、充分なつきまわり性の確保が求めら
れる。本明細書においては、被塗物の未被着部位に皮膜
が順次形成されることをつきまわり性という。
【0004】つきまわり性に優れたカチオン電着塗料と
しては、例えば、WO98/03701号公報には、分
子内にエチニル基やニトリル基等の三重結合を含有する
基体樹脂からなるものが開示されている。また、特開2
000−38527号公報には、つきまわり性及び塗膜
の耐衝撃性に優れたカチオン電着塗料として、エポキシ
樹脂を骨格とし、スルホニウム基、不飽和二重結合を鎖
中に含んでいてもよい炭素数8〜24の脂肪族炭化水素
基及びプロパルギル基を有するものが開示されている。
【0005】一方、中塗り塗料は、通常、溶液型の塗料
であり、スプレー塗装されるが、良好な塗膜外観が要求
されるため、中塗り塗料の粘度の調整が厳密に行われ、
更に、空調・温度調節等が高度に管理された中塗り塗装
ブースにおいてスプレー塗装されなければならず、管理
に多大な費用と労力がかけられていた。
【0006】これら下塗り塗膜及び中塗り塗膜について
は、中塗り塗膜には更に優れた耐候性、耐光劣化性、平
滑性等が要求され、一方、下塗り塗膜には袋構造部位ま
で高い防食性、防錆性が要求されるとともに、環境保護
の観点から、省資源化や塗装コストの低減が望まれてい
る。
【0007】特開平9−125286号公報には、被塗
物に熱硬化性エポキシポリエステル樹脂粉体塗料を塗装
し、焼き付けを行い未硬化塗膜を形成した後、粉体未塗
着塗装部分に熱硬化性ポリエステル変性エポキシ樹脂カ
チオン電着塗料を塗装し、その後、粉体塗膜及び電着塗
膜とを同時に硬化させる塗装方法が開示されている。こ
の方法は、熱硬化性エポキシポリエステル樹脂粉体塗料
を通常の中塗り塗料の代わりに使用し、その後、被塗物
の袋構造部分等の粉体未塗着塗装部分に熱硬化性ポリエ
ステル変性エポキシ樹脂カチオン電着塗料が塗装される
ものであるが、中塗り塗装ブースは依然として必要であ
り、塗装コストの低減の面から満足できるものではなか
った。更に、被塗物の外板部位と袋構造部位との境界付
近においては、熱硬化性エポキシポリエステル樹脂粉体
塗料が飛散した状態で塗装され、膜自体が連続層とはな
っていないため、その後に熱硬化性ポリエステル変性エ
ポキシ樹脂カチオン電着塗料を塗装しても、境界付近の
防錆性及び仕上がり性が悪いという問題点があった。
【0008】特開平8−120494号公報には、水酸
基含有カチオン電着性ビニル系共重合体を主成分とする
カチオン電着塗料を塗装して加熱硬化した後、カチオン
電着性エポキシ樹脂を主成分とするカチオン電着塗料を
塗装して加熱硬化し、水性ベースコート及びトップコー
トを塗装する塗装方法が開示されている。特開平10−
8291号公報には、耐チッピング性に優れた塗膜を形
成できるカチオン電着塗料を塗装した後、目的膜厚に達
しない部分を40〜80℃、目的膜厚を有する部分は目
的膜厚に達しない部分より20〜70℃高い温度でプレ
ヒートを行い、次いで、エポキシ樹脂を主成分とするカ
チオン電着塗料を塗装して、目的膜厚に達しない部分に
塗膜を形成させることからなる塗装方法が開示されてい
る。
【0009】これらは、2種類のカチオン電着塗料を塗
装することによって通常の中塗り塗料の塗装工程を省略
し、また、1段階目のカチオン電着塗料を塗装した後、
加熱硬化又はプレヒートを行うことによって、2段階目
のカチオン電着塗膜を外板部には析出させずに、袋構造
部分へのつきまわり性を向上させるものである。しか
し、1段階目のカチオン電着塗料を塗装した後に行われ
る加熱硬化又はプレヒートは、温度の管理が煩雑であ
り、省資源化や塗装コストの低減の面から満足できるも
のではなかった。更に、被塗物の外板部位と袋構造部位
との境界付近においては、1段階目のカチオン電着塗料
の塗装後、非常に薄い塗膜となっていたり、膜自体が連
続層とはなっていないため、その後に2段階目のカチオ
ン電着塗料を塗装しても、境界付近の防錆性は劣るとい
う問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑みて、自動車等の被塗物外板部は優れた耐候性、耐
光劣化性、平滑性等を有し、被塗物内板部(袋構造部
分)は優れた防錆性を有し、その境界面についても防錆
性及び仕上がり性が良好であって、省資源化及び塗装コ
ストの低減が期待できる塗膜形成方法を提供することを
目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(1)従
来使用されている中塗り塗料に要求される性能、即ち、
耐候性、耐光劣化性、平滑性、耐チッピング性、防錆性
(乾湿試験)、素材密着性等を付与することができる塗
料を1段階目のカチオン電着塗料として使用することに
よって、通常行われる中塗り塗装及びその焼き付け工程
を省略することができ、その空調、温度調節等の管理に
要する工程費用の削減、外板部の薄膜化により、省資源
化及び塗装コストの低減を達成することができること、
(2)デジタル電着性を有する電着塗料を1段階目のカ
チオン電着塗料として使用することによって、被塗物外
板部と内板部(袋構造部分)との境界面においても防錆
性及び仕上がり性が良好となること、(3)スルホニウ
ム基を含有する樹脂を1段階目のカチオン電着塗料中に
使用することによって、1段階目のカチオン電着塗装と
2段階目のカチオン電着塗装との間の加熱硬化工程及び
プレヒート工程を省略することができること、並びに、
(4)つきまわり性の高い電着塗料を2段階目のカチオ
ン電着塗料として使用することによって、被塗物内板部
(袋構造部分)においても高い防食性、防錆性を確保す
ることができ、更に、被塗物内板部(袋構造部分)にの
み2段階目のカチオン電着塗料を塗装することとなるの
で、つきまわり性を更に向上することができること、を
見いだし、本発明を完成した。
【0012】即ち、本発明は、被塗物に、電着塗料
〔1〕を塗装し、次に電着塗料〔2〕を塗装した後、焼
き付けを行うことからなる塗膜形成方法であって、上記
電着塗料〔1〕は、スルホニウム基を含有する樹脂を含
むものであり、4面ボックス法において、樹脂固形分2
0重量%の塗料中、100V、40℃にて、立ち上げ5
秒/維持120秒間電着塗装し、A面に膜厚20〜30
μmを付与した場合、B面の膜厚は上記A面の膜厚の1
/10以下であるものであって、上記電着塗料〔2〕
は、定電流条件下での電着の過程において、析出皮膜の
単位体積当たりの電気抵抗値が増加する時点を有するも
のであることを特徴とする塗膜形成方法である。本発明
は、また、上記の塗膜形成方法によって形成されてなる
塗膜を有する被塗物でもある。以下、本発明を詳述す
る。
【0013】本発明の塗膜形成方法は、被塗物に、電着
塗料〔1〕を塗装し、次に電着塗料〔2〕を塗装した
後、焼き付けを行うことからなる。電着塗料〔1〕 上記電着塗料〔1〕は、スルホニウム基を含有する樹脂
を含むものである。上記スルホニウム基は、上記電着塗
料〔1〕の水和官能基である。スルホニウム基は、電着
塗装過程で一定以上の電圧又は電流が与えられると、以
下に示すように電極上で電解還元反応をうけてイオン性
基が消失し、不可逆的に不導体化することができる。
【0014】
【化1】
【0015】従って、電着の過程において、既に形成さ
れた皮膜は絶縁性を有するものとなるので、電着塗料
〔1〕を塗装した後、焼き付け硬化やプレヒート等を行
う必要なしに、電着塗料〔2〕を塗装することができ
る。
【0016】更に、スルホニウム基は、上記のように不
可逆的に不導体化するため、電着時間を延長した場合で
も、自動車等の外板部位について過度の膜厚の増大に至
ることなく、袋構造(内板)部分等の未被着部位にまで
充分な皮膜を形成することができる。即ち、スルホニウ
ム基を含有する樹脂を含まない従来の電着塗料では、袋
構造(内板)部分等にまで充分な皮膜を形成することが
できるほど電着時間を延長した場合、自動車等の外板部
位も膜厚が過度に増大するが、スルホニウム基を含有す
る樹脂を含む電着塗料では、電着時間を延長していく
と、膜厚については過度に増大することなく、形成され
る皮膜の面積が増大する。
【0017】これは、電着塗装を行う時間を制御すれ
ば、自動車等の外板部位についてのみ電着塗膜を形成す
ることができることを意味するものであり、本発明にお
いて使用する電着塗料〔1〕は、この知見を利用するも
のである。従って、被塗物外板部と内板部(袋構造部
分)との境界面において塗料が飛散して不連続部分を形
成することがなく、この部分についても防錆性及び仕上
がり性が良好となる。本明細書において、塗料が飛散し
たり非常に薄い膜厚となるような不連続部分を形成する
ことなく、目的とする部分にのみ皮膜を形成することが
できることをデジタル電着性という。
【0018】本発明において、電着塗料〔1〕が必要と
するデジタル電着性は、4面ボックス法において、樹脂
固形分20重量%の塗料中、100V、40℃にて、立
ち上げ5秒/維持120秒間電着塗装し、A面に膜厚2
0〜30μmを付与した場合、B面の膜厚は上記A面の
膜厚の1/10以下であるものである。上記A面の膜厚
及びB面の膜厚とは、電着塗装を行った後、水洗し、1
80℃25分間焼き付け硬化を行った場合の平均膜厚を
意味するものである。
【0019】上記4面ボックス法は、図1に示すような
4枚の鋼板を用いて対極方向のみ穴をあけた箱状構造の
テスト板を作り、一定条件で塗装し、A面からG面の膜
厚比率で、つきまわり性を評価するものである。本発明
においては、樹脂固形分20重量%の塗料を用い、浴温
を40℃に調節し、印加開始から5秒間で100Vまで
昇圧し、その後120秒間100Vを維持する条件下で
行う。
【0020】かかる条件下において、上記電着塗料
〔1〕について、A面に膜厚20〜30μmを付与した
場合に、上記A面の膜厚に対するB面の膜厚が1/10
を超えると、デジタル電着性が不充分であり、被塗物の
外板部位と内板部位との境界付近において、第1段階目
のカチオン電着塗料の塗装後の塗膜が薄く存在したり、
点在することとなるので、その後その上に第2段階目の
カチオン電着塗料〔2〕の塗装をして得られる塗膜と上
記第1段階目の塗膜との間に不連続層が広く存在する結
果、かかる不連続層から錆びや劣化が進行しやすい等防
錆性に欠けたり、塗膜外観が低下する。B/Aの膜厚比
率は、好ましくは1/12以下であり、より好ましくは
1/15である。
【0021】本発明において、上記スルホニウム基の含
有量は、上記電着塗料〔1〕樹脂固形分100gあたり
5〜400mmolである。5mmol/100g未満
であると、充分な硬化性と所望のデジタル電着性が得ら
れないため、防錆性及び塗膜外観が低下したり、また、
水和性、浴安定性が悪くなる。400mmol/100
gを超えると、被塗物表面への皮膜の析出が悪くなる。
樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であ
り、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノ
ボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組
成物固形分100gあたり5〜250mmolであるこ
とが好ましく、10〜150mmolが更に好ましい。
【0022】上記スルホニウム基を含有する樹脂の数平
均分子量は、500〜20000であることが好まし
い。数平均分子量が500未満であると、カチオン電着
塗装の塗装効率が悪くなり、20000を超えると被塗
物表面で良好な皮膜を形成することができない。樹脂骨
格に応じてより好ましい数平均分子量を設定可能であ
り、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノ
ボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、700
〜5000であることがより好ましい。
【0023】上記スルホニウム基を含有する樹脂の水酸
基価としては、2〜120mgKOH/gであることが
好ましい。この値が下限未満であると、充分な硬化性を
発揮することができず、上限を超えると、カチオン電着
塗料として使用した場合に、得られる塗膜の防食性等の
塗膜物性に劣ったり、貯蔵安定性に劣る。より好ましく
は2〜110mgKOH/gであり、更に好ましくは2
〜95mgKOH/gである。
【0024】上記スルホニウム基を含有する樹脂は、ガ
ラス転移温度が−80〜150℃であることが好まし
い。上記ガラス転移温度が、−80℃未満であるものは
実際には調製が困難であり、150℃を超えると、得ら
れる塗膜の柔軟性が低くなりすぎ、耐チッピング性に欠
ける。より好ましくは−70〜100℃であり、更に好
ましくは−50〜80℃である。
【0025】ただし、電着塗料〔1〕が後述する数平均
分子量1000〜30000の樹脂(C1)を含有しな
いものである場合には、−80〜80℃であることが好
ましい。
【0026】本発明において、電着塗料〔1〕の有する
上記デジタル電着性は、上記のスルホニウム基が寄与す
るところが大きいが、例えば析出調整剤等の添加剤を添
加したり、また、その添加量を調整したり、後述する電
着塗装時の時間、電圧等の条件によって調整することが
可能である。上記析出調整剤の添加量としては、電着塗
料〔1〕の固形分に対して、0.1〜10重量%を挙げ
ることができる。
【0027】上記スルホニウム基を含有する樹脂は、基
体樹脂が有している官能基を利用して、スルホニウム基
を導入することにより得ることができ、例えば、基体樹
脂の分子中に存在するか又は後から導入したエポキシ基
に対してスルホニウム基を導入する方法、及び、基体樹
脂の分子中に存在するか又は後から導入したイソシアナ
ート基にスルホニウム基を導入する方法等を挙げること
ができる。
【0028】上記エポキシ基にスルホニウム基を導入す
る方法としては、例えば、スルフィド/酸混合物とエポ
キシ基を反応させてスルフィドの導入及びスルホニウム
化を行う方法や、スルフィドを導入した後、更に、酸又
はアルキルハライド等により、導入したスルフィドのス
ルホニウム化反応を行い、必要によりアニオン交換を行
う方法等を挙げることができる。反応原料の入手容易性
の観点からは、スルフィド/酸混合物を使用する方法が
好ましい。上記イソシアナート基にスルホニウム基を導
入する方法としては、例えば、モノヒドロキシスルフィ
ド等を反応させることによりスルフィドを導入した後、
中和させるか、又は、モノエポキシドを反応させること
によって、スルホニウム基を導入する方法を挙げること
ができる。
【0029】上記スルフィドとしては特に限定されず、
例えば、脂肪族スルフィド、脂肪族−芳香族混合スルフ
ィド、アラルキルスルフィド、環状スルフィド等を挙げ
ることができる。具体的には、例えば、ジエチルスルフ
ィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジ
ヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフ
ェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ペンタ
メチレンスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパ
ノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチ
ルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエ
チルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を挙げ
ることができる。
【0030】上記酸としては特に限定されず、例えば、
ぎ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ほう酸、酪酸、ジメ
チロールプロピオン酸、塩酸、硫酸、りん酸、N−アセ
チルグリシン、N−アセチル−β−アラニン等を挙げる
ことができる。
【0031】上記スルフィド/酸混合物における上記ス
ルフィドと上記酸との混合比率は、通常、モル比率でス
ルフィド/酸=100/60〜100/100程度が好
ましい。
【0032】上記アルキルハライドとしては特に限定さ
れず、例えば、フッ化メチル、塩化メチル、臭化メチ
ル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨ
ウ化イフプロピル等を挙げることができる。
【0033】上記スルホニウム基の導入の反応は、例え
ば、基体樹脂の分子中にエポキシ基を導入したものを、
上述のスルホニウム基含量になるように設定された所定
量の上記スルフィド及び上記酸との混合物とを、使用す
るスルフィドの5〜10倍モルの水と混合し、通常、5
0〜90℃で数時間攪拌して行うことができる。反応の
終了点は、残存酸価が5以下となることを目安とすれば
よい。得られた樹脂組成物中のスルホニウム基導入の確
認は、電位差滴定法により行うことができる。スルフィ
ドの導入後にスルホニウム化反応を行う場合も、上記に
準じて行うことができる。
【0034】樹脂(A) 上記電着塗料〔1〕中のスルホニウム基を含有する樹脂
は、プロパルギル基、カルボキシル基、エポキシ基、ブ
ロック化されたイソシアナート基及び水酸基からなる群
から選択される少なくとも1つの官能基、並びに/又
は、不飽和二重結合を有する樹脂(A)であることが好
ましい。上記樹脂(A)を含有する電着塗料〔1〕は、
スルホニウム基に由来するデジタル電着性を発揮すると
ともに、プロパルギル基、カルボキシル基、エポキシ
基、ブロック化されたイソシアナート基、水酸基及び/
又は不飽和二重結合に由来する反応性及び硬化性を優れ
たものとし、得られる塗膜の強度等の塗膜物性を優れた
ものとすることができる。
【0035】上記樹脂(A)は、スルホニウム基、並び
に、プロパルギル基、カルボキシル基、エポキシ基、ブ
ロック化されたイソシアナート基及び水酸基からなる群
から選択される少なくとも1つの官能基並びに/又は不
飽和二重結合を、一分子中に全て含有していてもよい
が、必ずしもその必要はなく、例えば、一分子中にスル
ホニウム基及び上記少なくとも1つの官能基又は不飽和
二重結合の何れか1つ若しくは2つを含有していてもよ
い。この後者の場合にあっては、樹脂組成物を構成する
樹脂分子全体として、これらスルホニウム基及び上記少
なくとも1つの官能基又は不飽和二重結合を含有する。
すなわち、上記樹脂(A)は、一般には、スルホニウム
基並びに上記少なくとも1つの官能基及び/又は不飽和
二重結合のうちのいずれか1つ、2つ若しくは3つ以上
を有する複数の樹脂分子からなるものであってよい。本
明細書中、上記樹脂(A)は、上述の意味においてスル
ホニウム基並びに上記少なくとも1つの官能基及び/又
は不飽和二重結合を含有する。
【0036】従って、上記樹脂(A)は、その一部が、
プロパルギル基、カルボキシル基、エポキシ基、ブロッ
ク化されたイソシアナート基及び水酸基からなる群から
選択される少なくとも1つの官能基並びに/又は不飽和
二重結合を、1分子中に少なくとも1つ有するものであ
ってよいが、硬化性の観点から、1分子中に少なくとも
2つ有する樹脂であることが好ましい。
【0037】上記樹脂(A)において、プロパルギル
基、カルボキシル基、エポキシ基、ブロック化されたイ
ソシアナート基及び水酸基からなる群から選択される少
なくとも1つの官能基並びに/又は不飽和二重結合の合
計量は、上記樹脂(A)の樹脂固形分100gあたり8
0〜450mmolであることが好ましい。80mmo
l/100g未満であると、充分な硬化性を発揮するこ
とができず、450mmol/100gを超えると、カ
チオン電着塗料として使用した場合に、得られる塗膜の
防食性等の塗膜物性に劣ったり、貯蔵安定性に劣る。樹
脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、
例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラ
ッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂組成物
固形分100gあたり100〜395mmolであるこ
とがより好ましい。
【0038】上記樹脂(A)は、プロパルギル基、カル
ボキシル基、エポキシ基、ブロック化されたイソシアナ
ート基及び水酸基からなる群から選択される少なくとも
1つの官能基並びに/又は不飽和二重結合を有する共重
合性単量体を使用して、かかる共重合性単量体を含む単
量体成分を共重合することにより得ることもできるし、
従来の方法に従って、基体樹脂に後から反応により導入
することもできる。
【0039】樹脂(A1)及び樹脂(C1)を含有する
もの 本発明において、上記樹脂(A)として、スルホニウム
基、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい炭素数8
〜24の脂肪族炭化水素基、及び、プロパルギル基を有
する樹脂(A1)が好ましい。この場合には、耐チッピ
ング性や柔軟性等の従来中塗り塗膜に要求されてきた性
能を電着塗料〔1〕が持つようにするために、数平均分
子量1000〜30000の樹脂(C1)を併用するこ
とができる。ここで、樹脂(C1)は、ポリエステル樹
脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこ
れらの変性物からなる群より選択される少なくとも1つ
である。
【0040】上記の場合において、樹脂(C1)はコア
を形成し、樹脂(A1)はコア部の周囲を取り巻くよう
にシェル部を形成する。上記(C1)は、構造的に柔軟
であるので、耐衝撃性及び耐チッピング性に優れた塗膜
を得ることができ、疎水的な構造を有することから、樹
脂(A1)とコア/シェル構造を形成して、安定なエマ
ルションとすることができる。
【0041】上記樹脂(A1)は、デジタル電着性を発
揮するとともに、更に、プロパルギル基及び所望により
含まれる不飽和二重結合に由来する反応性及び硬化性、
並びに、炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基に由来する
塗膜の耐衝撃性を優れたものとすることができる。従っ
て、上記樹脂(A1)及び上記樹脂(C1)を含有する
ものは、従来の中塗り塗膜に必要とされる特性を有する
塗膜が得られるので、従来の中塗り塗装を不要とするこ
とができる。
【0042】上記樹脂(A1)は、分子中に、スルホニ
ウム基、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい炭素
数8〜24の脂肪族炭化水素基、及び、プロパルギル基
を有する。上記樹脂(A1)は、更にエポキシ樹脂を骨
格とするものであることが好ましい。上記樹脂(A1)
の骨格をエポキシ樹脂とすることにより、塗膜の強度及
び耐食性が向上する。上記エポキシ樹脂としては特に限
定されず、例えば、エピビスエポキシ樹脂、これをジオ
ール、ジカルボン酸、ジアミン等により鎖延長したも
の;エポキシ化ポリブタジエン;ノボラックフェノール
型ポリエポキシ樹脂;ノボラッククレゾール型ポリエポ
キシ樹脂;ポリグリシジルアクリレート;脂肪族ポリオ
ール又はポリエーテルポリオールのポリグリシジルエー
テル;多塩基性カルボン酸のポリグリシジルエステル等
を挙げることができる。これらのうち、硬化性を高める
ための多官能基化が容易であるので、ノボラックフェノ
ール型ポリエポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型ポリ
エポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレートが好まし
い。なお、上記エポキシ樹脂の一部は、モノエポキシ樹
脂であってもかまわない。
【0043】上記樹脂(A1)においては、上記エポキ
シ樹脂を骨格とする樹脂には、上記骨格を形成するエポ
キシ樹脂のエポキシ基を介してスルホニウム基、プロパ
ルギル基、不飽和二重結合が導入されている。上記エポ
キシ樹脂は、その一部が、1分子中に少なくとも1つの
エポキシ基を有するものであってよいが、硬化性の観点
から、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する
ポリエポキシ樹脂であることが好ましい。このようなも
のとしては、上に例示したポリエポキシ樹脂等を好適に
使用することができる。
【0044】上記スルホニウム基は、電着塗装過程で上
述したような電解還元反応をうけてイオン性基が消失
し、不可逆的に不導体化するが、この電着塗装過程にお
いては、電極反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオ
ンをスルホニウム基が保持することにより電解発生塩基
が電着皮膜中に発生するものと考えられる。この電解発
生塩基は、電着皮膜中に存在する加熱による反応性の低
いプロパルギル基を、加熱による反応性の高いアレン結
合に変換することができる。これによって、プロパルギ
ル基は、アレン結合に変換されることにより反応性を向
上させ、硬化系を構成することができる。また、理由は
不明であるが、スルホニウム基と併存することにより、
樹脂組成物のつきまわり性を一層向上させることができ
る。
【0045】上記プロパルギル基の含有量は、上記樹脂
(A1)樹脂固形分100gあたり10〜485mmo
lである。10mmol/100g未満であると、充分
なつきまわり性や硬化性を発揮することができず、48
5mmol/100gを超えると、カチオン電着塗料と
して使用した場合の水和安定性に悪影響を及ぼすおそれ
がある。樹脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可
能であり、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、
樹脂組成物固形分100gあたり20〜375mmol
であることが好ましい。
【0046】上記不飽和二重結合は、本明細書中、炭素
−炭素二重結合を意味する。不飽和二重結合は、反応性
が高いので硬化性を一層向上させることができる。上記
不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい炭素数8〜2
4の脂肪族炭化水素基としては特に限定されず、芳香族
炭化水素基以外の直鎖状、分岐状、環状等の炭化水素基
であって、不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよいも
のである。好ましくは、直鎖状、分岐状の炭化水素基で
あって、不飽和二重結合を鎖中に含むものである。この
ような基は、これらの基を含む対応する脂肪族炭化水素
化合物から導入することができる。
【0047】不飽和二重結合の含有量は、上記樹脂(A
1)樹脂固形分100gあたり10〜485mmolで
ある。10mmol/100g未満であると、充分な硬
化性を発揮することができず、485mmol/100
gを超えると、カチオン電着塗料として使用した場合の
水和安定性に悪影響を及ぼすおそれがある。樹脂骨格に
応じてより好ましい含有量を設定可能であり、例えば、
ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレ
ゾール型エポキシ樹脂の場合には、樹脂固形分100g
あたり20〜375mmolであることが好ましい。
【0048】なお、本明細書中、不飽和二重結合の含有
量は、不飽和二重結合が導入されたエポキシ基の含有量
に該当する量によって表す。すなわち、例えば、長鎖不
飽和脂肪酸等の分子内に複数個の不飽和二重結合をもつ
分子がエポキシ基に導入された場合であっても、不飽和
二重結合の含有量は、上記複数個の不飽和二重結合をも
つ分子が導入されたエポキシ基の含有量をもって表すも
のとする。これは、一つのエポキシ基に複数個の不飽和
二重結合を分子内にもつ分子が導入されても、硬化反応
に関与するのは、実質的にそのうちの一つの不飽和二重
結合のみであると考えられるからである。
【0049】また、上記スルホニウム基、プロパルギル
基及び不飽和二重結合の合計含有量は、樹脂固形分10
0gあたり500mmol以下である。500mmol
を超えると、樹脂が実際には得られなかったり、目的と
する性能が得られないことがある。樹脂骨格に応じてよ
り好ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラッ
クフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型
エポキシ樹脂の場合には、400mmol以下であるこ
とが好ましい。
【0050】更に、プロパルギル基及び不飽和二重結合
の合計含有量は、樹脂固形分100gあたり80〜45
0mmolの範囲内であることが好ましい。80mmo
l未満であると硬化性が不充分となるおそれがあり、4
50mmolを超えるとスルホニウム基の含有量が少な
くなり、つきまわり性が不充分となるおそれがある。樹
脂骨格に応じてより好ましい含有量を設定可能であり、
例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ノボラ
ッククレゾール型エポキシ樹脂の場合には、100〜3
95mmolであることがより好ましい。
【0051】上記樹脂(A1)には、硬化触媒が導入さ
れていてもよく、例えば、硬化触媒がプロパルギル基と
アセチリドを形成しうるものを使用するならば、プロパ
ルギル基の一部がアセチリド化されることにより硬化触
媒を樹脂中に導入することが可能である。
【0052】上記樹脂(A1)は、例えば、一分子中に
少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に、
エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基を有す
る化合物、並びに、エポキシ基と反応する官能基及び不
飽和二重結合を有する化合物を反応させて、プロパルギ
ル基及び不飽和二重結合を含有するエポキシ樹脂組成物
を得る工程(1)、並びに、工程(1)で得られたプロ
パルギル基及び不飽和二重結合を含有するエポキシ樹脂
組成物中の残存エポキシ基に、スルホニウム基を導入す
る工程(2)により好適に製造することができる。上記
樹脂(A1)を得るために用いられる原料及び反応条件
等は、特開平2000−38525号公報及び特開平2
000−38527号公報に記載したものを用いること
ができ、スルホニウム基の導入方法としては、上述の方
法を挙げることができる。
【0053】上記樹脂(C1)は、ポリエステル樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこれら
の変性物からなる群より選択される少なくとも1つであ
る。上記ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹
脂及びアクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、
一般的に用いられている共重合性モノマーを用いて共重
合させることにより製造することができ、市販されてい
るものを利用することもできる。1種のみならず、2種
以上を使用することもできる。
【0054】上記変性物としては、上記ポリエステル樹
脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリオレフィン樹脂及び/又はアクリル樹
脂を変性することにより得られるものであれば特に限定
されない。この変性の方法としては、例えば、分子中に
イソシアナート基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸
基等の官能基を有する化合物やカーボネート等と反応さ
せる方法を挙げることができる。
【0055】本発明において、上記樹脂(C1)として
は、樹脂(A)と有効な反応をし得る官能基を有するも
のを使用することが好ましい。上記官能基によって、樹
脂(A)との反応性及び硬化性を向上することができ、
強固な塗膜を形成することができ、また、防食性も向上
することができる。上記官能基としては、不飽和官能
基、及び、イソシアナート基、カルボキシル基、エポキ
シ基、水酸基、カーボネート基を挙げることができる。
【0056】上記官能基としては、不飽和官能基が好ま
しい。上記樹脂(C1)が不飽和官能基を有するもので
ある場合には、得られる樹脂組成物の硬化性、防食性を
更に向上することができる。上記不飽和官能基の導入源
としては特に限定されず、例えば、不飽和官能基を有す
る化合物を樹脂(C1)の原料である単量体として使用
することによって得ることができるが、好ましくは、ポ
リジエン誘導体及び/又は不飽和三重結合を有する化合
物を用いる。
【0057】上記ポリジエン誘導体としては、特に限定
されないが、上記のように樹脂組成物の硬化性、防食性
を一層向上することができるので、ポリブタジエン誘導
体が、より好ましい。上記不飽和三重結合を有する化合
物としては、炭素−炭素三重結合を有するものであれば
特に限定されないが、特に主樹脂との反応性、相溶性が
良好であり、得られる樹脂組成物の硬化性を一層向上す
ることができるので、プロパルギルアルコール、2−ブ
チン−1,4−ジオールがより好ましい。
【0058】上記不飽和三重結合を有する化合物は、得
られる樹脂(C1)の固形分重量中に1〜50重量%で
用いることができる。得られる樹脂(C1)の固形分重
量に対する上記不飽和官能基の導入源の含有量が、1重
量%未満であると、これらを導入することによる効果が
充分に得られず、50重量%を超えると、樹脂(C1)
の親水性が高くなりすぎ、得られる塗膜の水遮断性を下
げ、防食性に欠ける場合がある。好ましくは、5〜50
重量%である。
【0059】上記樹脂(C1)は、数平均分子量100
0〜35000である。上記樹脂(C1)の数平均分子
量が1000未満であると、カチオン電着塗装の塗装効
率が悪くなり、35000を超えると、被塗物表面で良
好な皮膜を形成することが困難となる。
【0060】上記樹脂(C1)は、ガラス転移温度が−
80〜150℃であることが好ましい。上記ガラス転移
温度が、−80℃未満であるものは実際には調製が困難
であり、150℃を超えると、柔軟性が低くなりすぎ、
耐チッピング性に欠ける。より好ましくは−70〜10
0℃であり、更に好ましくは−50〜80℃である。
【0061】上記樹脂(C1)は、水酸基価が2〜12
0mgKOH/gであることが好ましい。上記水酸基が
2mgKOH/g未満であると、樹脂(A1)との相溶
性に欠け、硬化性が低下する場合がある。120mgK
OH/gを超えると、親水性が高くなりすぎて樹脂(A
1)と混合した場合にコア/シェル構造を形成しにくく
なり、塗膜の水遮断性を低下させ、防食性、防錆性が充
分ではない場合がある。より好ましくは2〜110mg
KOH/gであり、更に好ましくは2〜95mgKOH
/gである。
【0062】上記樹脂(C1)の含有量は、上記樹脂
(C1)及び上記樹脂(A1)の樹脂固形分総量の5〜
80重量%であることが好ましい。上記樹脂(C1)の
含有量が上記樹脂固形分総量に対して5重量%未満であ
ると、耐インパクト性や耐チッピング性等の本発明の樹
脂組成物の効果を充分に発揮することができない場合が
あり、80重量%を超えると、上記樹脂(C1)と樹脂
(A1)との相分離が起こり、得られる塗料エマルショ
ンが不安定となる場合がある。上記樹脂(C1)の上記
樹脂固形分総量に対する含有量は、より好ましくは、1
0〜40重量%である。
【0063】本発明において、上記樹脂(C1)は、下
記(C1−1)並びに(C1−2): (C1−1)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタン
ポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポ
リマー (C1−2)上記(C1−1)と、分子中に、イソシア
ナート基、カルボキシル基及びエポキシ基からなる群よ
り選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物、
ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、モノアル
コール、又は、これらの混合物との反応によって得られ
るポリマー からなる群より選択される少なくとも1つであることが
好ましい。
【0064】上記ポリエステルポリオールとしては、例
えば、ポリカルボン酸又はその酸無水物とポリオールと
を反応させて得られるものが挙げられる。
【0065】上記ポリカルボン酸又はその酸無水物とし
ては、2個以上のカルボキシル基を持つもの又はその酸
無水物であれば特に限定されず、例えば、コハク酸、ア
ジピン酸、セバチン酸、グルタル酸、アゼライン酸、ド
デカンジカルボン酸、ブタントリカルボン酸等の飽和低
分子脂肪族ポリカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸等の不飽和低分子脂肪族ポリカルボン酸;ポリ
ブタジエンジカルボン酸、IPU22(岡村製油社製)
等の飽和又は不飽和の長鎖ポリカルボン酸;イソフタル
酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等
の芳香族ポリカルボン酸;これらの酸無水物等を挙げる
ことができる。
【0066】これらのうち、硬化性や疎水性に優れるの
で、ポリブタジエンジカルボン酸が好ましく、例えば、
NISSO−PB C1000(日本曹達社製)、HY
CARCTB、HYCAR CTBN(以上、宇部興産
社製)を使用することができる。上記ポリカルボン酸
は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0067】上記ポリカルボン酸以外の酸成分として、
酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイ
ン酸、リノール酸、アマニ油、大豆油等の低分子又は高
分子の飽和若しくは不飽和モノカルボン酸を含むことが
できる。
【0068】上記ポリオールとしては、2個以上の水酸
基を持つものであれば特に限定されず、例えば、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−ペ
ンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シ
クロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA等
の飽和低分子ポリオール;2−ブチン−1,4−ジオー
ル、2−ブテン−1,4−ジオール、水添ビスフェノー
ルA等の不飽和低分子ポリオール;ポリブタジエングリ
コール、ポリイソプレングリコール等の不飽和高分子ポ
リオール等を挙げることができる。
【0069】これらのうち、硬化性や疎水性に優れるの
で、不飽和基を含有するポリブタジエングリコール及び
2−ブチン−1,4−ジオールが好ましい。
【0070】上記ポリブタジエングリコールとしては、
例えば、Poly bd R−45HT、Poly b
d R−45M(以上、出光石油化学社製)、NISS
O−PB G1000、NISSO−PB G2000
(以上、日本曹達社製)を挙げることができる。上記ポ
リオールは、1種又は2種以上を使用することができ
る。
【0071】上記ポリエステルポリオールとしてはま
た、ポリカルボン酸とポリエポキシ化合物との反応物を
使用することもできる。上記ポリカルボン酸としては、
上述のものを挙げることができる。上記ポリエポキシ化
合物としては、エポキシ基を2以上有するものであれば
特に限定されず、例えば、エピビスエポキシ樹脂;上記
エピビスエポキシ樹脂をジオール、ジチオール、ジカル
ボン酸、ジアミン等で鎖延長したもの、例えば、ビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル、フレップ(東レチオ
コール社製)等;上記エピビスエポキシ樹脂又は上記鎖
延長したものの水素添加物;デナレックスR−45EP
T(出光石油化学社製)等の末端水酸基ポリブタジエン
ジグリシジルエーテル等の末端水酸基含有飽和又は不飽
和脂肪族ポリグリシジルエーテル;IPU22G、SB
−20G(岡村製油社製)等の高級飽和又は不飽和ポリ
グリシジルエステル等を挙げることができる。上記カル
ボン酸、上記エポキシ化合物及び/又はこれらの反応物
は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができ
る。
【0072】上記ポリエーテルポリオールは、例えば、
アルキレンオキシド又は複素環式エーテルの開環重合に
より得られるものを挙げることができる。上記アルキレ
ンオキシドとしては特に限定されず、例えば、エチレン
オキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等を
挙げることができる。上記複素環式エーテルとしては特
に限定されず、例えば、1,3−ジオキソラン等の環状
アセタール等を挙げることができる。上記アルキレンオ
キシド及び/又は上記複素環式エーテルは、それぞれ1
種又は2種以上を使用することができる。このようなポ
リエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン
プロピレンランダムグリコール、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール等を挙げることができ、これらは、1
種又は2種以上を使用することができる。上記ポリエー
テルポリオールはまた、ポリオールとポリエポキシ化合
物との反応物を使用することもできる。上記ポリオール
及び上記ポリエポキシ化合物としては、上述のものを挙
げることができる。
【0073】上記ポリカーボネートポリオールは、例え
ば、ポリオールとアルキレンジカーボネート等のポリカ
ーボネートとの反応により得られるものが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールは、耐加水分解性に優
れ、通常のエステルに比べて耐水性に優れるので、得ら
れる樹脂組成物の防食性を更に向上することができる。
【0074】上記ポリカーボネートポリオールとしては
特に限定されず、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネ
ートジオール、ポリエチレンカーボネートジオール等を
挙げることができる。上記ポリカーボネートポリオール
は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0075】上記ポリウレタンポリオールは、例えば、
ポリオールとポリイソシアナート化合物とを反応させる
ことにより得られるものが挙げられる。上記ポリオール
としては上述のものを挙げることができる。上記ポリウ
レタンポリオールは、凝集力が高く、ウレタン官能基が
耐加水分解性に優れるので、得られる樹脂組成物の加工
性や密着性を更に向上することができる。
【0076】上記ポリイソシアナート化合物としては特
に限定されず、例えば、トリレンジイソシアナート(T
DI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MD
I)、p−フェニレンジイソシアナート、ナフタレンジ
イソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(H
DI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、
及び、これらのウレタン化物、カルボジイミド、ウレオ
チン、2量体、3量体等の変性物を挙げることができ
る。上記ポリオール及び/又はポリイソシアナート化合
物は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0077】上記ポリオレフィンポリオールは、例え
ば、上記ポリオール中で例示したポリブタジエングリコ
ール、ポリイソプレングリコール等の不飽和高分子ポリ
オール等を挙げることができる。上記ポリオレフィンポ
リオールは、反応性、疎水性に優れ、得られる樹脂組成
物の硬化性、防食性を更に向上することができるほか、
低SP性を有するので、得られる樹脂組成物の耐油ハジ
キ性を更に向上することができる。
【0078】上記ポリオレフィンポリオールとしては、
特に反応性や疎水性に優れ、得られる樹脂組成物が非常
に優れた硬化性、防食性を有するので、ポリブタジエン
誘導体を有するものが特に好ましい。上記ポリブタジエ
ン誘導体を有するものとしては特に限定されないが、例
えば、上記ポリブタジエングリコールを挙げることがで
きる。
【0079】上記アクリルポリマーは、例えば、(メ
タ)アクリル酸及びこれらのエステル等を共重合するこ
とにより、得られるものである。上記アクリルポリマー
としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸メチル等のホモポリマー及びコ
ポリマーを挙げることができる。これらは、1種又は2
種以上を使用することができる。上記(C1−1)の製
造方法としては、従来から行われている方法に従って行
うことができ、上述した各市販品を使用することも可能
である。上記(C1−1)は、1種又は2種以上を使用
することができる。
【0080】上記(C1−2)は、上記(C1−1)
と、分子中に、イソシアナート基、カルボキシル基及び
エポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの
官能基を有する化合物、ジアルキルカーボネート、環状
カーボネート、モノアルコール、並びに、これらの混合
物との反応によって得られるポリマーである。
【0081】上記イソシアナート基を有する化合物とし
ては特に限定されず、例えば、上記ポリイソシアナート
化合物の他、例えば、ヘキシルイソシアナート、フェニ
ルイソシアナート等のモノイソシアナート化合物等を挙
げることができる。上記カルボキシル基を有する化合物
としては特に限定されず、例えば、上記飽和又は不飽和
のモノ又はポリカルボン酸を挙げることができる。
【0082】上記エポキシ基を有する化合物としては特
に限定されず、例えば、上記ポリエポキシ化合物の他、
例えば、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタ
クリレート等のモノエポキシ化合物を挙げることができ
る。上記ジアルキルカーボネートとしては特に限定され
ず、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート
等を挙げることができる。
【0083】上記環状カーボネートとしては特に限定さ
れず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート等を挙げることができる。上記モノアルコール
としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノ
ール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール等の
飽和又は不飽和アルコールを挙げることができる。
【0084】上記化合物又はこれらの混合物と上記(C
1−1)との反応としては特に限定されず、例えば、上
記化合物及び上記(C1−1)の双方を溶解することが
できる溶剤にこれらを溶かし、必要に応じて加熱下で、
触媒やその他の添加剤を混合して攪拌しながら反応させ
る方法等をとることができる。上記(C1−2)につい
ては、その原料である(C1−1)の全てを反応させず
に(C1−1)が一部残っている状態であっても、本発
明の樹脂(C1)として使用することができる。
【0085】上記樹脂(C1)は、不飽和結合を有する
こと等に起因して、硬化性、防食性等に優れた樹脂組成
物を得ることができるので、ポリオレフィンポリオー
ル、ポリオレフィンジカルボン酸を用いて得られるポリ
エステルポリオール、及び/又は、ポリウレタンポリオ
ールであることが特に好ましく、また、2−ブチン−
1,4−ジオールを単量体として使用するものも特に好
ましい。
【0086】上記樹脂(A1)及び樹脂(C1)を含有
する電着塗料〔1〕の調製方法としては特に限定され
ず、例えば、上記樹脂(A1)及び上記樹脂(C1)
を、室温〜100℃、好ましくは30〜80℃、より好
ましくは40〜60℃で、30分間〜3.5時間混合
し、その後、必要に応じて添加剤を加えて高速回転ミキ
サーで乳化する方法をとることができる。
【0087】上記樹脂(A1)及び樹脂(C1)を含有
する電着塗料〔1〕には、上述の樹脂組成物自体が硬化
性を有するので、硬化剤の使用は必ずしも必要ない。し
かし、硬化性の更なる向上のために使用してもよい。こ
のような硬化剤としては、例えば、プロパルギル基及び
不飽和二重結合のうち少なくとも1種を複数個有する化
合物、例えば、ノボラックフェノール等のポリエポキシ
ドやペンタエリトリットテトラグリシジルエーテル等
に、プロパルギルアルコール等のプロパルギル基を有す
る化合物やアクリル酸等の不飽和二重結合を有する化合
物を付加反応させて得た化合物等を挙げることができ
る。
【0088】樹脂(A2)を含有するもの 本発明において、上記樹脂(A)として、ポリエステル
樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及び
これらの変性物からなる群より選択される少なくとも1
つの樹脂(A2)も好ましい。上記樹脂(A2)がプロ
パルギル基を有するものではない場合、このものは硬化
性を有していないので、メラミン又はブロックイソシア
ナートからなる硬化剤(B)を含有する必要がある。
【0089】これらのポリエステル樹脂、ポリエーテル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
オレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこれらの変性物とし
ては、上記樹脂(C1)で例示したものを挙げることが
でき、これらの樹脂が分子中にスルホニウム基を有する
ものであるためには、必要に応じてこれらの樹脂にスル
ホニウム基を導入することができる。上記スルホニウム
基の導入方法としては、上述の方法を挙げることができ
る。
【0090】上記樹脂(A2)は、構造的に柔軟であ
り、耐衝撃性及び耐チッピング性に優れた塗膜を得るこ
とができるので、従来の中塗り塗装を不要とすることが
できる。また、樹脂(A2)は、スルホニウム基を含有
することから、デジタル電着性を発揮するとともに、形
成された皮膜は絶縁性を有するものとなるので、電着塗
料〔1〕を塗装した後、焼き付け硬化やプレヒート等を
行う必要なしに、電着塗料〔2〕を塗装することができ
る。
【0091】上記樹脂(A2)を含有する電着塗料
〔1〕には、所望によりメラミン又はブロックイソシア
ナートからなる硬化剤(B)を含有する。上記メラミン
又はブロックイソシアナートからなる硬化剤(B)は疎
水性が高いので、樹脂(A2)をシェル、硬化剤(B)
をコアとするコア/シェル構造を形成する。
【0092】上記メラミン又はブロックイソシアナート
からなる硬化剤(B)としては特に限定されず、例え
ば、メラミン系硬化剤又はブロックポリイソシアナート
化合物等を挙げることができる。上記メラミン系硬化剤
としては特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、尿素樹脂等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。これらの中でも、メラミン樹脂及び
ベンゾグアナミン樹脂が一般的である。
【0093】上記メラミン樹脂は、アルキルエーテル化
してアルキルエーテル化メラミン樹脂とすることがで
き、このうちメトキシ基及び/又はブトキシ基で置換さ
れたメラミン樹脂が好ましい。
【0094】上記メトキシ基及び/又はブトキシ基で置
換されたメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有
するものとしては、サイメル325、サイメル327、
サイメル370、メトキシ基とブトキシ基との混合タイ
プとしては、サイメル202、サイメル204、サイメ
ル232、サイメル235、サイメル236、サイメル
238、サイメル254、サイメル266、サイメル2
67(いずれも商品名、三井サイテック社製)、ブトキ
シ基を単独で有するものとしては、マイコート506
(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N6
0、ユーバン20SE(いずれも商品名、三井化学社
製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。また、上記ベンゾグアナミン
樹脂についても同様に置換されたものが使用できる。
【0095】上記ブロックポリイソシアナート化合物
は、ポリイソシアナート化合物をブロック剤でブロック
したものである。上記ポリイソシアナート化合物は、1
分子中に少なくと2個のイソシアナート基をもつ化合物
であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイ
ソシアナート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアナート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアナ
ート類;イソホロンジイソシアナート(IPDI)等の
脂環族ジイソシアナート類;キシリレンジイソシアナー
ト(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアナート類;ト
リレンジイソシアナート(TDI)、4,4−ジフェニ
ルメタンジイソシアナート(MDI)等の芳香族ジイソ
シアナート類;ダイマー酸ジイソシアナート(DD
I)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化された
XDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12M
DI)等の水添ジイソシアナート類;これらのジイソシ
アナート化合物の2量体、3量体、更に高分子量のポリ
イソシアナート類;トリメチロールプロパン等の多価ア
ルコール若しくは水、又は、低分子量ポリエステル樹脂
との付加物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0096】上記ブロック剤としては特に限定されず、
例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シ
クロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベ
ンゾフェノンオキシム等のオキシム類;m−クレゾー
ル、キシレノール等のフェノール類;メタノール、エタ
ノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロ
ヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル
等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム
類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケト
ン類;チオフェノール等のメルカプタン類;チオ尿素等
の尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0097】上記ポリイソシアナート化合物を上記ブロ
ック剤でブロックする方法としては特に限定されず、例
えば、通常の方法により、フリーのイソシアナート基が
なくなるまで反応させる方法等が挙げられる。
【0098】上記ブロックポリイソシアナート化合物と
しては、市販品を用いることができ、例えば、デスモジ
ュールシリーズ(商品名、住友バイエルウレタン社
製)、バーノックDシリーズ(商品名、大日本インキ化
学工業社製)、タケネートBシリーズ(商品名、武田薬
品工業社製)、コロネート2500シリーズ(商品名、
日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。これらの
中でも、オキシム、ラクタム又はジケトンでブロックし
たものが好ましい。
【0099】上記硬化剤は、上記樹脂(A2)の水酸基
価に対して、上記水酸基価の当量以上のイソシアナート
基が含まれるように配合するのが好ましい。具体的に、
上記メラミン系硬化剤の配合は、上記樹脂(A2)の合
計と上記メラミン系硬化剤との重量比を8/2〜5/
5、好ましくは7/3〜6/4とするのが好ましい。ポ
リイソシアナート化合物の場合、上記水酸基価の当量の
0.8〜1.5倍の範囲の配合であれば差し支えない。
上記水酸基価の当量の0.8倍未満であると、塗料の硬
化性が充分でなく、軟弱な塗膜しか得られず、硬度のみ
ならず塗膜の耐薬品性及び耐汚染性も低下し、1.5倍
を超えると、ポリイソシアナート化合物を配合しただけ
の効果が得られないばかりか、塗膜の強度、硬度、加工
性、耐薬品性等が低下し、黄変性や耐候性も低下しやす
い。好ましくは、1.0〜1.2倍である。
【0100】上記硬化剤(B)には、一般的に、硬化触
媒が用いれらる。上記メラミン系硬化剤を用いる場合に
は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナ
フタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香
族スルホン酸類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等の
有機ホスホン酸類;これらのアミン塩等の硬化触媒を用
いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。上記硬化触媒の配合量は、全樹
脂固形分に対し、0.01〜3.0重量%が好ましい。
【0101】上記ブロックポリイソシアナートを用いる
場合の硬化触媒としては特に限定されず、例えば、ジブ
チルスズラウレート、ジブチルスズオクテート、ジブチ
ルスズジアセテート等の有機スズ化合物類;アルミニウ
ムトリス(アセチルアセトナート)、チタニウムテトラ
キス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(アセ
チルアセトナート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス
(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(イソプロ
ポキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウム
ビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)、ジル
コニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセト
ナート)等の金属キレート化合物類等が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。これらの中でも、有機スズ化合物類が一般的であ
る。
【0102】樹脂(A2−1) 上記樹脂(A2)は、ポリエステルポリオール、ポリエ
ーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ
ウレタンポリオール、ポリオレフィンポリオール及びア
クリルポリマーからなる群より選択される少なくとも1
つのポリマー(a1)を、分子中にイソシアナート基、
カルボキシル基及びエポキシ基からなる群より選択され
る少なくとも1つの官能基を有する化合物、ジアルキル
カーボネート、環状カーボネート、モノアルコール又は
これらの混合物(a2)と反応させて得られるポリマー
のうちカルボキシル基が残存するもの(a3)を、更
に、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹
脂(a4)と反応させた後、残存するエポキシ基にスル
ホニウム基を導入することによって得られる樹脂(A2
−1)を使用することができる。
【0103】上記樹脂(A2−1)を得るために使用さ
れる上記ポリマー(a1)としては、上記(C1−1)
が挙げられ、そのポリマー(a1)を(a2)と反応さ
せて得られるポリマーのうちカルボキシル基が残存する
もの(a3)としては、上記の(C1−2)のうちカル
ボキシル基が残存するものを挙げることができる。
【0104】上記分子中に少なくとも2つのエポキシ基
を有するエポキシ樹脂(a4)としては、上述したポリ
エポキシ樹脂等を好適に使用することができる。これら
のうち、硬化性を高めるための多官能基化が可能である
ノボラックフェノール型ポリエポキシ樹脂、ノボラック
クレゾール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルアクリレー
トが好ましい。上記一分子中に少なくとも2つのエポキ
シ基を有するエポキシ樹脂の数平均分子量は、400〜
15000であることが好ましく、650〜12000
であることがより好ましい。上記(a3)と上記エポキ
シ樹脂(a4)との反応は、公知の方法に従って行うこ
とができる。上記スルホニウム基の導入方法としては、
上述の方法を挙げることができる。
【0105】樹脂(A2−2)を含有するもの 上記樹脂(A2)は、ポリエステルポリオール、ポリエ
ーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ
ウレタンポリオール、ポリオレフィンポリオール及びア
クリルポリマーからなる群より選択される少なくとも1
つのポリマー(a5)を、分子中にイソシアナート基、
カルボキシル基及びエポキシ基からなる群より選択され
る少なくとも1つの官能基を有する化合物、ジアルキル
カーボネート、環状カーボネート、モノアルコール又は
これらの混合物(a6)と反応させて得られるポリマー
のうちイソシアナート基が残存するもの(a7)を、更
に、モノヒドロキシスルフィド(a8)と反応させた
後、中和させるか、又は、モノエポキシドを反応させる
ことによって、スルホニウム基を導入した樹脂(A2−
2)であってもよい。
【0106】上記樹脂(A2−2)を得るために使用さ
れる上記ポリマー(a5)としては、上記(C1−1)
が挙げられ、そのポリマー(a5)を(a6)と反応さ
せて得られるポリマーのうちイソシアナート基が残存す
るもの(a7)としては、上記の(C1−2)のうちイ
ソシアナート基が残存するものを挙げることができる。
【0107】上記モノヒドロキシスルフィドとしては特
に限定されず、例えば、1−(2−ヒドロキシエチルチ
オ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエチル
チオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエチル
チオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等を挙げるこ
とができる。上記スルホニウム基の導入方法としては、
上述の方法を挙げることができる。
【0108】樹脂(A2−3)を含有するもの 上記樹脂(A2)は、エポキシ化ポリオレフィンの一部
又は全部のエポキシ基にスルホニウム基を導入した樹脂
(A2−3)であってもよい。
【0109】上記エポキシ化ポリオレフィンは、例え
ば、ポリオレフィンポリオールにエピクロルヒドリンを
反応させることにより得ることができる。上記ポリオレ
フィンポリオールとしては特に限定されず、例えば、上
述したポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリ
コール等を挙げることができる。上記エポキシ化ポリオ
レフィンの一部又は全部のエポキシ基にスルホニウム基
を導入する方法としては、上述のスルホニウム基を導入
する方法をとることができる。
【0110】本発明で用いる電着塗料〔1〕において、
上記樹脂(A2)は、それぞれ、単独で又は2種以上を
混合して使用することができる。上記樹脂(A2)にお
いて、樹脂(A2−1)、樹脂(A2−2)及び樹脂
(A2−3)を混合して使用することも可能である。
【0111】上記樹脂(A2)及び所望によりメラミン
又はブロックイソシアナートからなる硬化剤(B)を含
有する電着塗料〔1〕は、更に、数平均分子量1000
〜30000の樹脂(C1)を含有することができる。
ここで、樹脂(C1)は、ポリエステル樹脂、ポリエー
テル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこれらの変性物
からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0112】上記樹脂(C1)を併用した場合、樹脂
(C1)はコアを形成し、樹脂(A2)はコア部の周囲
を取り巻くようにシェル部を形成する。上記樹脂(C
1)は、構造的に柔軟であるので、樹脂(C1)を含む
電着塗料〔1〕は、形成される塗膜の耐衝撃性及び耐チ
ッピング性を更に向上することができ、また、疎水的な
構造を有することから、樹脂(A2)とコア/シェル構
造を形成して、安定なエマルションとすることができ
る。上記樹脂(C1)としては、上述のものが挙げら
れ、樹脂(C1)を含む電着塗料の調製方法についても
上記の方法が挙げられる。
【0113】上記樹脂(C1)は、下記(C1−1)並
びに(C1−2): (C1−1)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタン
ポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポ
リマー (C1−2)上記(C1−1)と、分子中に、イソシア
ナート基、カルボキシル基及びエポキシ基からなる群よ
り選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物、
ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、モノアル
コール、又は、これらの混合物との反応によって得られ
るポリマーからなる群より選択される少なくとも1つで
あることが好ましい。上記樹脂(C1−1)及び(C1
−2)としても、上述のものを挙げることができる。
【0114】電着塗料〔2〕 本発明において、電着塗料〔2〕は、定電流条件下での
電着の過程において、析出皮膜の単位体積当たりの電気
抵抗値が増加する時点を有するものである。すなわち、
上記電着塗料〔2〕は、定電流条件下における電着(定
電流法)を行った場合に、析出皮膜の単位体積当たりの
電気抵抗値は、電圧印加による皮膜析出の開始以降に一
定の値であって、その後、変化する一つの時点を有し、
上記時点において、上記析出皮膜の単位体積当たりの電
気抵抗値が増加する性質を具備する。このような電着特
性は、定電流条件下での膜電圧と電着時間との関係にお
いて、図2に模式的に示すようなV−tカーブを示す。
上記V−tカーブは、時間t0 において折れ曲がりを示
し、時間t0 の前後の時間範囲において右肩上がりの直
線を示している。
【0115】電着過程において皮膜の膜電圧は、皮膜の
単位体積当たりの電気抵抗値が一定の場合、膜厚に比例
して増加する。また、定電流法による電着においては、
図2においてμ−tカーブとして示すように、上記膜厚
は時間に比例して増加する。従って、電着過程において
上記膜電圧は、時間に比例して増加する。すなわち、定
電流条件下での膜電圧と電着時間との関係がこのような
V−tカーブを示す場合、析出皮膜の単位体積当たりの
電気抵抗値は時間t0 の前後で変化し、時間t0の後に
おける析出皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値は、時間
0 の前におけるその値より増加することを表す。
【0116】本発明に使用する上記電着塗料〔2〕は、
上記定電流法による電着を行った場合に、このような条
件を充たしており、上記V−tカーブは、時間t0 の前
後のそれぞれの時間範囲においてその傾きがほぼ一定と
なる。上記時間t0 は、上記皮膜の単位体積当たりの電
気抵抗値が増加する時点である。本明細書中、以降にお
いて、上記析出皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値が増
加するこの時間t0 を「変化点」と称する。
【0117】上記皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値
は、下記式により算出することができる。 R1 =(V1 /I)×S×(1/μ1 ) 〔式中、R1 は、時間t1 (秒)における単位体積当た
りの電気抵抗値(Ω・cm)であり、V1 は、時間t1
(秒)における膜電圧(V)であり、Iは、電流(A)
であり、Sは、被塗物の面積(cm2 )であり、μ1
は、時間t1 (秒)における膜厚(cm)である。ただ
し、溶液抵抗は無視するものとする。〕
【0118】上記皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値を
測定する際の被塗物の単位面積当たりの電流の大きさ
は、上記変化点を観察するのに好適な範囲で設定され、
0.5〜30mA/cm2 が好ましい。0.5mA/c
2 未満であると、変化点を発現させるまでに多大の時
間を要し、かつ、変化点が不明瞭になり、30mA/c
2 を超えると、瞬時に変化点に至るので、観察には適
さない。より好ましくは、2〜10mA/cm2 であ
る。
【0119】上記変化点であるt0 は、一概に規定され
るものではなく、さまざまな要因により変化する値であ
る。上記要因としては、例えば、印加する電流の大き
さ、上記電着塗料〔2〕の液温、被塗物の種類等の物理
的要因;上記電着塗料〔2〕中の電圧の印加によりイオ
ン放出を起こす官能基の濃度、電解反応促進剤の添加の
有無等の化学的要因により決定される。具体的に説明す
ると、上記印加する電流の大きさは、大きいほどt0
小さい値となり、上記電着塗料〔2〕の液温は、低いほ
どt0 は小さい値となり、上記被塗物の種類としては、
高抵抗のものほどt 0 は小さい値となる。また、後に詳
細に説明する上記電圧の印加によりイオン放出を起こす
官能基の濃度が低いほどt0 は小さい値となり、更に、
電解反応促進剤が添加されていると、t0 はより小さい
値となる。
【0120】例えば、本発明において、被塗物として冷
間圧延鋼板の表面未処理鋼板を使用した場合、電流の大
きさを0.5〜30mA/cm2 とした定電流法では、
上記変化点が発生するまでの時間は、およそ20〜10
0秒である。
【0121】本発明に使用する上記電着塗料〔2〕にお
いて、上記皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値は、上記
変化点の直前の電気抵抗値と、上記変化点を経過し、塗
膜破壊(ラプチャー)が生じる直前に達した時点の電気
抵抗値とを比較した場合に、上記ラプチャーが生じる直
前の電気抵抗値が上記変化点の直前の値の2倍以上とな
ることが好ましい。2倍未満であると、つきまわり性が
不充分となり、より好ましくは、5倍以上である。上記
ラプチャーが生じる直前に達した時点は、通常、膜電圧
が一定の値、例えば、400Vに達した時点として定め
ることができる。
【0122】上記電着塗料〔2〕としては、上記被塗物
表面に皮膜を析出させた後、析出した皮膜に更に電圧の
印加を行った場合に、イオン放出を起こす官能基を有す
る成分を含有してなるものを使用することによって、上
記のような電着特性を発揮することができる。上記電圧
の印加によりイオン放出を起こす官能基としては特に限
定されないが、水和官能基が好ましく、なかでもスルホ
ニウム基が好ましい。
【0123】上記スルホニウム基は、上記電着塗料
〔1〕において詳述したように、不可逆的に不導体化す
るため、電着時間を延長した場合でも、自動車等の外板
部位について過度の膜厚の増大に至ることなく、袋構造
(内板)部分等の未被着部位にまで充分な皮膜を形成す
ることができる。即ち、電着塗料〔1〕は、このような
スルホニウム基の性質を、デジタル電着性を担保するた
めに利用するものであったが、電着塗料〔2〕では、高
いつきまわり性を得るために利用する。
【0124】本発明においては、上記電着塗料〔2〕と
して、スルホニウム基、不飽和二重結合を鎖中に含んで
いてもよい炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基、及び、
プロパルギル基を有する樹脂(A3)を含有するものを
使用することが好ましい。
【0125】上記樹脂(A3)は、高いつきまわり性を
有するととともに、更に、プロパルギル基及び所望によ
り含まれる不飽和二重結合に由来する反応性及び硬化
性、並びに、炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基に由来
する塗膜の耐衝撃性を優れたものとすることができる。
【0126】本発明においては、電着塗料〔1〕による
電着塗膜により、外板が絶縁化されているので、更に電
着塗料〔2〕のつきまわり性を強化することができる。
従って、樹脂(A3)によって、自動車等の被塗物の袋
構造(内板)部分に必要とされる、薄膜での高い防錆性
を発揮する。上記樹脂(A3)としては、上記樹脂(A
1)を挙げることができる。上記樹脂(A3)は、更に
エポキシ樹脂を骨格とするものであることが好ましい。
上記樹脂(A3)の骨格をエポキシ樹脂とすることによ
り、塗膜の強度及び耐食性が向上する。
【0127】更に、上記電着塗料〔2〕は、上記樹脂
(A3)、及び、数平均分子量1000〜30000の
樹脂(C2)を含有するものを使用することができ、こ
の場合、コア/シェル構造が形成され、耐衝撃性を更に
向上させることができる。ここで、上記樹脂(C2)
は、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、
アクリル樹脂及びこれらの変性物からなる群より選択さ
れる少なくとも1つである。
【0128】上記樹脂(C2)は、好ましくは、下記
(C2−1)並びに(C2−2): (C2−1)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタン
ポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポ
リマー (C2−2)上記(C2−1)と、分子中に、イソシア
ナート基、カルボキシル基及びエポキシ基からなる群よ
り選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物、
ジアルキルカーボネート、環状カーボネート、モノアル
コール、又は、これらの混合物との反応によって得られ
るポリマー からなる群より選択される少なくとも1つである。上記
樹脂(C2)としては、上記樹脂(C1)を挙げること
ができる。
【0129】上記電着塗料〔2〕において、上記スルホ
ニウム基の含有量は、上記電着塗料〔2〕樹脂固形分1
00gあたり5〜400mmolである。5mmol/
100g未満であると、充分なつきまわり性や硬化性を
発揮することができず、また、水和性、浴安定性が悪く
なる。400mmol/100gを超えると、被塗物表
面への皮膜の析出が悪くなる。樹脂骨格に応じてより好
ましい含有量を設定可能であり、例えば、ノボラックフ
ェノール型エポキシ樹脂、ノボラッククレゾール型エポ
キシ樹脂の場合には、樹脂組成物固形分100gあたり
5〜250mmolであることが好ましく、10〜15
0mmolが更に好ましい。
【0130】上記電着塗料〔2〕には、上述の樹脂自体
が硬化性を有するので、硬化剤の使用は必ずしも必要な
い。しかし、硬化性の更なる向上のために使用してもよ
く、このような硬化剤としては、上述のものが挙げられ
る。
【0131】本発明において、上記電着塗料〔1〕及び
上記電着塗料〔2〕には、不飽和結合間の硬化反応を進
行させるために、硬化触媒を使用することができる。こ
のような硬化触媒としては特に限定されず、例えば、金
属の酢酸塩及び/又はアセチルアセトナート錯体が挙げ
られる。上記金属としては特に限定されず、例えば、
銅、セリウム、アルミニウム、スズ、マンガン、亜鉛、
コバルト及びニッケル等を挙げることができ、これらは
1種又は2種以上を使用することができる。これらのう
ち、銅のアチセルアセトン錯体、酢酸銅が好ましい。上
記硬化触媒の配合量は、上記電着塗料〔1〕の樹脂固形
分又は上記電着塗料〔2〕の樹脂固形分100gあたり
0.1〜20mmolであることが好ましい。
【0132】上記電着塗料〔1〕及び上記電着塗料
〔2〕には、また、アミンを配合することができる。上
記アミンの添加により、電着過程における電解還元によ
るスルホニウム基のスルフィドへの変換率が増大する。
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、1級〜3
級の単官能及び多官能の脂肪族アミン、脂環族アミン、
芳香族アミン等のアミン化合物を挙げることができる。
これらのうち、水溶性又は水分散性のものが好ましく、
例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジイソ
プロピルアミン、トリブチルアミン等の炭素数2〜8の
アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジメタノール
アミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノール
アミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、N−メチ
ルモルホリン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、イミ
ダゾリン、イミダゾール等を挙げることができる。これ
らは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよ
い。なかでも、水分散安定性が優れているので、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン等のヒドロキシアミンが好ましい。
【0133】上記アミンは、直接、上記電着塗料〔1〕
及び上記電着塗料〔2〕中に配合することができる。従
来の中和型アミン系の電着塗料では、遊離のアミンを添
加すると、樹脂中の中和酸を奪うことになり、電着溶液
の安定性が著しく悪化するが、本発明においては、この
ような浴安定性の阻害が生じることはない。
【0134】上記アミンの添加量は、上記電着塗料
〔1〕樹脂固形分又は上記電着塗料〔2〕樹脂固形分1
00gあたり、0.3〜25meqが好ましい。0.3
meq/100g未満であると、つきまわり性に対して
充分な効果を得ることができず、25meq/100g
を超えると、添加量に応じた効果を得ることができず不
経済である。より好ましくは、1〜15meq/100
gである。
【0135】上記電着塗料〔1〕及び上記電着塗料
〔2〕は、必要に応じて、通常の電着塗料に用いられる
その他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分と
しては特に限定されず、例えば、顔料、顔料分散樹脂、
界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の塗料用添加
剤等を挙げることができる。
【0136】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着
色顔料;塩基性けい酸鉛、りんモリブデン酸アルミニウ
ム等の防錆顔料;カオリン、クレー、タルク等の体質顔
料等の一般にカチオン電着塗料組成物に使用されるもの
等を挙げることができる。上記顔料の配合量は、上記電
着塗料〔1〕は、従来の中塗り塗料の代わりに用いるも
のであることから、固形分として10〜50重量%であ
ることが好ましい。上記電着塗料〔2〕は、被塗物の袋
構造部分に塗装されることから通常クリヤー塗料である
が、顔料を用いる場合は固形分として10重量%以下で
あることが好ましい。
【0137】上記顔料分散樹脂としては特に限定され
ず、一般に使用されている顔料分散樹脂を使用すること
ができる。また、樹脂中にスルホニウム基と不飽和結合
とを含有する顔料分散樹脂を使用してもよい。このよう
なスルホニウム基と不飽和結合とを含有する顔料分散樹
脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂とハーフ
ブロック化イソシアナートとを反応させて得られる疎水
性エポキシ樹脂に、スルフィド化合物を反応させるか、
又は、上記樹脂に、一塩基酸及び水酸基含有二塩基酸の
存在下でスルフィド化合物を反応させる方法等により得
ることができる。
【0138】上記電着塗料〔1〕及び上記電着塗料
〔2〕は、上記樹脂に、必要に応じて、上述の各成分を
混合し、水に溶解又は分散すること等により得ることが
できる。カチオン電着塗装に用いる場合には、不揮発分
が10〜30%の浴液となるように調製されることが好
ましい。また、上記電着塗料〔1〕及び上記電着塗料
〔2〕中のプロパルギル基、不飽和二重結合及びスルホ
ニウム基の含有量が、上述の樹脂における含有量範囲を
逸脱しないように調製されることが好ましい。
【0139】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法は、被塗物に、上記電着塗料
〔1〕を塗装し、次に上記電着塗料〔2〕を塗装した
後、焼き付けを行うことからなるものである。上記各塗
装は、電着塗装により行う。上記電着過程は、(i)電
着塗料に被塗物を浸漬する過程、(ii)上記被塗物を
陰極して、陽極との間に電圧を印加し、皮膜を析出させ
る過程から構成されるが、電着塗料〔2〕の電着塗装の
際には、上記(i)及び(ii)の過程に加えて、(i
ii)析出させた上記皮膜に、電圧を更に印加すること
により、上記皮膜の単位体積あたりの電気抵抗値を増加
させる過程、から構成されることが好ましい。また、電
圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、電着
塗料〔1〕の塗装の際には、被塗物の外板部位に電着塗
膜を析出すればよいことから、10秒〜3分程度とする
ことができ、20秒〜2.5分が好ましい。電着塗料
〔2〕の塗装の際は、被塗物の内板部位全体に塗膜を形
成させる必要があることから、2〜4分とすることがで
きる。
【0140】本発明の塗膜形成方法における電着塗料を
使用して電着塗装を行う場合、被塗物としては導電性の
あるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼
板、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、こ
れらの成型物等を挙げることができる。上記成形物とし
ては、自動車、オートバイやその部品等を挙げることが
できる。
【0141】上記電着塗装は、被塗物を陰極として陽極
との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行
う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分とな
り、450Vを超えると、消費電力が大きくなり、不経
済である。本発明における電着塗料を使用して上述の範
囲内で電圧を印加すると、電着過程における急激な膜厚
の上昇を生じることなく、被塗物全体に均一な皮膜を形
成することができる。電着塗料〔1〕の塗装の際には、
50〜200V程度が好ましく、電着塗料〔2〕の塗装
の際は、150〜400Vが好ましい。上記電圧を印加
する場合の上記電着塗料の浴液温度は、通常、10〜4
5℃が好ましい。
【0142】上記電着過程(iii)は、上記被塗物の
皮膜未析出部位に皮膜を析出させるものである。即ち、
本発明においては、上記皮膜を構成する上記電着塗料
〔2〕の電着特性によって、電着過程(iii)におい
て更に電圧が印加されることにより、上記皮膜の単位体
積当たりの電気抵抗値は増加する。このため、電着の過
程において既に形成されている皮膜の絶縁性を大幅に改
善することが可能となり、過度の膜厚の増大に至ること
なく、皮膜は充分な絶縁性を獲得することが可能とな
り、上記皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値が増加した
時点で、事実上、当該部分への電着が終了する。そし
て、直ちに被塗物の皮膜未析出部分に、新たに皮膜の析
出が始まり、上述の過程が繰り返される。その結果、最
終的に被塗物内板部位のすべての部分に皮膜を形成する
ことが可能となる。このように、電着塗料〔2〕の塗装
においては、上記電着過程(iii)を経ることによっ
て、皮膜の単位体積当たりの電気抵抗値を飛躍的に増加
させることができ、被塗物へのつきまわり性を大幅に向
上させることができる。
【0143】本発明の塗膜形成方法においては、上記電
着塗料〔1〕はスルホニウム基を含有することから上述
したように塗料自体の絶縁性が高いことから、焼き付け
は、上記電着塗料〔1〕を塗装した後に行うことなく、
上記電着塗料〔2〕を塗装した後に行えば足りる。特開
平8−120494号公報及び特開平10−8291号
公報に記載の技術では、第1段階目の電着塗料の塗装と
第2段階目の電着塗料の塗装との間に加熱硬化又はプレ
ヒートが必要とされていたので、加熱、冷却等の工程が
必要となるばかりでなく、かかる加熱硬化又はプレヒー
トの加熱温度や加熱時間等の条件により、その後に塗装
を行う第2段階目の電着塗料のつきまわり性等の塗着挙
動が大きく影響されるため、かかる温度や時間の煩雑な
管理も必要であった。本発明の塗膜形成方法によれば、
かかる加熱硬化又はプレヒートは必要ないことから、上
記電着塗料〔1〕の塗装後直ちに被塗物を上記電着塗料
〔2〕に浸漬して塗装することができ、加熱硬化又はプ
レヒートに伴う上記問題点が解決され、時間や労力の省
略化、コストの低減を図ることができる。
【0144】本発明の塗膜形成方法は、しかし、上記電
着塗料〔1〕の塗装後、上記電着塗料〔2〕の塗装前の
加熱硬化又はプレヒートを全く排除するものではなく、
上記加熱硬化又はプレヒートを行ってもよく、また、乾
燥等の工程を行ってもよい。上記電着塗料〔1〕を塗装
した後に加熱硬化又はプレヒートを行う場合には、上記
電着塗料〔1〕の塗膜の絶縁性が高まるので、上記電着
塗料〔2〕の塗装において、つきまわり性が更に良好と
なる。上記電着塗料〔1〕の塗装後に乾燥を行う場合に
は、室温〜120℃程度で、5〜60分間乾燥すること
ができる。
【0145】上記電着塗料〔2〕を塗装した後の電着皮
膜は、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、1
20〜260℃、好ましくは160〜220℃で、10
〜30分間焼き付けることにより硬化させて、塗装を完
了する。上記電着塗料〔1〕の塗装後に加熱硬化又はプ
レヒートを行う場合にも、上記焼き付け方法をとること
ができる。
【0146】本発明の塗膜形成方法における電着塗料
〔1〕及び電着塗料〔2〕を使用した場合、硬化後の電
着塗膜の膜厚は、例えば自動車車体等の被塗物の外板部
位においては20〜50μmが好ましく、内板部位にお
いては5〜25μmが好ましい。外板部位において20
μm未満であると、防錆性、耐光劣化性、耐候性、耐チ
ッピング性等に劣る。内板部位において5μm未満であ
ると、防錆性が不充分である。外板部位において50μ
m、内板部位において25μmを超えると、塗料の浪費
につながる。特に、上記電着塗料〔2〕においては、上
述の電解還元反応により、電着によって被塗物表面に析
出した皮膜が不導体化し、結果として、つきまわり性が
飛躍的に向上することになる。従って、塗膜の膜厚が上
述の範囲であっても、被塗物全体に均一な塗膜を形成す
ることができ、充分な防錆性を発揮することができる。
【0147】本発明の塗膜形成方法は、上記電着塗料
〔1〕及び上記電着塗料〔2〕とを組み合わせて使用
し、上記方法により行うことにより、下記のように、優
れた特徴を有する。 (1)本発明の塗膜形成方法に用いる上記電着塗料
〔1〕は、デジタル電着性を有するので、自動車車体等
の被塗物の外板部位に選択的に塗装することができる。
その結果、被塗物の外板部位と内板部位との境界付近に
おいて、上記電着塗料〔1〕の塗膜の膜厚はほぼゼロと
なり、上記電着塗料〔2〕の塗膜と不連続層を広く形成
することがないので、かかる不連続層から錆や劣化が進
行する等の不都合がなく、防錆性に優れるのみならず、
内板部位において上記境界付近から直ちに上記電着塗料
〔2〕の塗膜が形成されるので、平滑で優れた仕上がり
外観を呈する。
【0148】(2)上記電着塗料〔1〕は、外板部位に
選択的に塗装することができるが、得られる塗膜は、相
対的に低いガラス転移温度を有し、抗張力、伸び、柔軟
性が高く、耐チッピング性、密着性に優れている。
【0149】(3)上記電着塗料〔1〕は、耐候性、耐
光劣化性、平滑性、白色(隠蔽)性に優れる等の、中塗
り塗料に必要とされる特性を有する塗膜が得られる。こ
れにより、中塗り塗装が不要となることから、中塗り塗
料の調製、塗装、乾燥の各工程が不要となり、管理に多
大な費用と労力を要する中塗り塗装ブースも不要とな
る。本発明の塗膜形成方法は、しかし、中塗り塗料を全
く排除するものではなく、中塗り塗料を施してもよい。
中塗り塗料を施した場合には、更に耐チッピング性、平
滑性等を優れたものにすることができるが、これらの特
性は中塗り塗料を施さない場合においても充分に優れて
いるので、塗装費用、時間、労力等を勘案すると、中塗
り塗料を施す利点は少ないものと思われる。
【0150】(4)上記電着塗料〔2〕は、つきまわり
性が高く、被塗物の内板部位の、袋状構造等の複雑で塗
装しにくい構造部分にまで、充分かつ均一な膜厚で塗膜
を形成することができる。かかるつきまわり性は、上記
電着塗料〔1〕による外板部位の塗膜の絶縁化により、
更に強化される。これにより、内板部位に、遮断性が高
く、防錆性、防食性、密着性に優れた塗膜を得ることが
できる。また、外板部位には上記電着塗料〔2〕が塗着
されることがないので、袋状構造に効率よく塗装でき、
外板部位の不必要な厚膜化を防止でき、全体として塗料
使用量を低減することができる。
【0151】(5)本発明の塗膜形成方法によれば、上
述のように、加熱硬化又はプレヒートや中塗り塗料の塗
装という工程を省略すること、及び、下塗り塗装として
の特性に優れた塗膜を得ること、の両方を同時に実現す
ることができる。
【0152】このようにして得られる塗膜が形成された
被塗物は、通常、目的に応じて必要な上塗り塗装が更に
施される。上記上塗り塗装は、例えば、自動車用外板の
場合には、一般に、ベース塗料を塗布し、これを硬化さ
せずにクリア塗料を塗布する、いわゆるウェットオンウ
ェット方法で塗装され、その後これらの塗膜を同時に焼
き付ける2コート1ベーク塗装方法が適用される。その
際、上記ベース塗料としては水性塗料を使用し、上記ク
リア塗料としては、粉体塗料を使用することが、環境問
題に対する配慮として好ましい。この他に、1コート塗
装方法が適用されるソリッド系塗料にも使用可能である
ことは当然である。
【0153】本発明の塗膜形成方法によって形成されて
なる塗膜を有する被塗物は、被塗物の外板部位は乾湿試
験等における防錆性、耐候性、平滑性、耐チッピング性
等に優れており、内板部位は湿潤防錆性等の防食性に優
れており、しかも、境界面においても防錆性及び仕上が
り性が良好である。
【0154】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。製造例1 ポリエステルポリオール樹脂(C1−1a)
の製造 ポリブタジエンジカルボン酸(NISSO PB−C1
000、日本曹達社製)660gと2−ブチン−1,4
−ジオール(BASF社製)60gをキシレン145g
に溶解させ、p−トルエンスルホン酸0.7gを加え
た。150℃で脱水しながら縮合させた。理論量の水が
生成した時点で減圧下脱溶剤を行い、数平均分子量60
70、ガラス転移温度−21.1℃、水酸基価18.5
のポリエステルポリオール樹脂を得た。
【0155】製造例2 ポリエステルポリオール樹脂
(C1−1b)の製造 ポリブタジエンジカルボン酸(商品名:NISSO P
B−C1000、日本曹達社製)580gと水添ビスフ
ェノールA(商品名:リカビノールHB、新日本理化社
製)75.6g、2−ブチン−1,4−ジオール(BA
SF社製)26gをメチルイソブチルケトン116gに
溶解させ、ここにp−トルエンスルホン酸0.58g、
メトキノン0.34gを加え、100〜160℃で脱水
しながら8時間還流して縮合させた。理論量の水が生成
した時点で減圧下脱溶剤を行い、数平均分子量490
0、ガラス転移温度−14.0℃、水酸基価22.0の
ポリエステルポリオール樹脂を得た。
【0156】製造例3 ポリウレタンポリオール樹脂
(C1−1c)の製造 ポリブタジエンジオール(商品名:NISSO PB−
G2000、日本曹達社製)200gとジフェニルメタ
ンジイソシアネート(MDI)11.6gを脱水処理し
たメチルイソブチルケトン24gに溶解させて、60〜
70℃で4.5時間加熱攪拌を行った。これにより、数
平均分子量7000、ガラス転移温度10.0℃、水酸
基価16.0のポリウレタンポリオール樹脂を得た。
【0157】製造例4 ポリオレフィンポリオール樹脂
(C1−1d)の製造 ポリブタジエンジオール(商品名:NISSO PB−
G2000、日本曹達社製、数平均分子量1930)を
用意した。
【0158】製造例5 ノボラックエポキシ−プロパル
ギルアルコール−アマニ油−スルホニウムを構成成分と
する樹脂(A− 1)の製造 エポキシ当量201.8のクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(商品名:エポトートYDCM−703、東都
化成社製)3082.5gにプロパルギルアルコール6
21.3gとアマニ油脂肪酸535.4g、触媒として
ジメチルベンジルアミン9.2gを、攪拌機、温度計、
窒素導入管及び冷却装置を備えたセパラブルフラスコに
加え、110℃にまで昇温し、2時間反応させてエポキ
シ当量が1850になったところで、1−(2−ヒドロ
キシエチルチオ)−2−プロパノール311.6g、氷
酢酸110g、脱イオン水329.9gを加え、75℃
で6時間反応させて残存酸価が5以下であることを確認
して、脱イオン水1501.2gを加え、目的の樹脂組
成物溶液を得た。
【0159】製造例6 エポキシ化ポリプタジエン−プ
ロパルギルアルコール−スルホニウムを構成成分とする
樹脂(A−2)の製造 エポキシ化ポリブタジエン樹脂(商品名:E−1000
−6.5、エポキシ当量250、日石三菱社製)450
0gにプロパルギルアルコール729.3g、反応触媒
としてジメチルベンジルアミン9.2gを、攪拌機、温
度計、窒素導入管及び冷却装置を備えたセパラブルフラ
スコに加え、110℃まで昇温し、4時間反応させてエ
ポキシ当量が1850になったところで1−(2−ヒド
ロキシエチルチオ)−2−プロパノール311.6g、
氷酢酸110g、脱イオン水329.9gを加え、75
℃で8時間反応させて残存酸価が5以下であることを確
認して、脱イオン水2688gを加えて目的の樹脂組成
物を得た。
【0160】調製例1 電着塗料〔1−1〕の調製 製造例1により得られた樹脂(C1−1a)を110
g、製造例5により得られた樹脂(A−1)を720g
混合し、添加剤として、アルミニウム−アセトナート錯
体(Al(acac)3 )を1.8g、酸化防止剤とし
てメトキシキノンを0.66gを加え、脱イオン水(D
IW)を1700g加えて、乳化した。得られたエマル
ションに酢酸セリウム(Ce(OAc)3 )を1.8
g、酢酸銅(Cu(OAc)2 )を1.2g加えて、5
5℃で3時間攪拌することにより、電着塗料〔1−1〕
を得た。
【0161】調製例2 電着塗料〔1−2〕の調製 樹脂(C1−1a)の代わりに製造例2により得られた
樹脂(C1−1b)を使用することのほかは、調製例1
と同様にして、電着塗料〔1−2〕を得た。調製例3 電着塗料〔1−3〕の調製 樹脂(C1−1a)の代わりに製造例3により得られた
樹脂(C1−1c)を使用することのほかは、調製例1
と同様にして、電着塗料〔1−3〕を得た。
【0162】調製例4 電着塗料〔1−4〕の調製 樹脂(C1−1a)の代わりに製造例4により得られた
樹脂(C1−1d)を使用することのほかは、調製例1
と同様にして、電着塗料〔1−4〕を得た。調製例5 電着塗料〔1−5〕の調製 樹脂(A−1)の代わりに製造例6により得られた樹脂
(A−2)を使用することのほかは、調製例1と同様に
して、電着塗料〔1−5〕を得た。
【0163】調製例6 電着塗料〔1−6〕の調製 樹脂(C1−1a)を使用しないことのほかは、調製例
1と同様にして、電着塗料〔1−6〕を得た。調製例7 電着塗料〔1−7〕の調製 樹脂(C1−1a)を使用しないことのほかは、調製例
5と同様にして、電着塗料〔1−7〕を得た。
【0164】調製例8 電着塗料〔2〕の調製 製造例5により得られた樹脂(A−1)を789g、添
加剤としてアルミニウム−アセトナート錯体(Al(a
cac)3 )を1.8g、酸化防止剤としてメトキシキ
ノンを0.66g加え、DIWを1700g加えて、乳
化した。得られたエマルションに酢酸セリウム(Ce
(OAc)3 )を1.8g、酢酸銅(Cu(OAc)
2 )を1.2g加えて、55℃で3時間攪拌することに
より塗料を得た。この塗料に更に、N−メチルエタノー
ルアミンを0.2g加え、電着塗料〔2〕を得た。
【0165】参考例1 つきまわり挙動の調査 調製例1〜8により得られた電着塗料〔1−1〕〜〔1
−7〕及び〔2〕について、図1に示した4枚ボックス
つきまわり性測定装置を用いて、下記のように、つきま
わり挙動を測定した。結果を表1に示す。
【0166】参考例1−1 調製例1により得られた電
着塗料〔1−1〕のつきまわり挙動の調査 図1に示すようなプラスチック製の電着塗装容器(10
0×250×200mm)に上記電着塗料〔1−1〕4
Lを入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。4枚の
りん酸亜鉛処理鋼板(JIS G 3141 SPCC
−SDのサーフダインSD−5000処理)を用い、鋼
板の間隔を各20mmとし、対極方向から3枚目までに
は8mmφの穴をあけ、上記穴からのみ塗料が浸入する
ことができるようにした箱状構造の評価板を作成し、対
極までの距離が150mmとなるように上記電着塗装容
器中に設置した。上記箱状構造の評価板の側部は、電気
絶縁処理を行い、該側部には被膜を形成させないように
した。上記評価板を陰極として対極との間に電圧を印加
して塗装した。塗装は、樹脂固形分20重量%の塗料を
用い、浴温を40℃に調節し、印加開始から5秒間で1
00Vまで昇圧し、その後120秒間100Vを維持す
ることにより行った。塗装後の評価板は、水洗した後、
180℃で20分間焼き付けし、空冷後、得られた塗膜
について、対極に最も近い評価板のA面の膜厚から、対
極に最も遠い評価板のG面までの各面の膜厚を測定する
ことにより、つきまわり挙動を調べた。
【0167】参考例1−2〜1−7 調製例2〜7によ
り得られた電着塗料〔1−2〕〜〔1−7〕のつきまわ
り挙動の調査 電着塗料〔1−1〕の代わりに調製例2〜7により得ら
れた電着塗料〔1−2〕〜〔1−7〕をそれぞれ使用す
ることのほかは、参考例1−1と同様にして、つきまわ
り挙動を調べた。
【0168】参考例1−8 調製例8により得られた電
着塗料〔2〕のつきまわり挙動の調査 上記電着塗装容器に上記電着塗料〔2〕を入れ、塗装
は、樹脂固形分20重量%の塗料を用い、浴温を30℃
に調節し、印加開始から5秒間で240Vまで昇圧し、
その後175秒間240Vを維持することにより行うこ
とのほかは、参考例1−1と同様にして電着塗料〔2〕
のつきまわり挙動を調査した。
【0169】参考例1の結果 表1の結果から、上記電着塗料〔1−1〕〜〔1−7〕
を使用した場合は、何れも、A面の膜厚は膜厚20〜3
5μmの範囲内にあり、B面の膜厚はA面の膜厚の1/
10以下であり、C〜G面にはほとんど塗着しないこと
が判った。また、表1の結果から、上記電着塗料〔2〕
を使用した場合は、A〜G各面にわたってほぼ同じ膜厚
が維持され、高いつきまわり性を有することが判った。
【0170】参考例2 塗膜の水接触角の測定 調製例1〜8により得られた電着塗料〔1−1〕〜〔1
−7〕及び〔2〕を用いて参考例1により得られた評価
板A面の塗膜の水接触角を自動水接触角測定装置(商品
名:Face Contact−Angle Mete
r 形式CA−A、協和界面化学社製)を用いて以下の
要領で測定した。まず、評価板A面が上になるようにサ
ンプル台に載せた後、直径が20μmになるようにマイ
クロシリンジ先端に水滴を作成し、サンプル台を垂直上
方に作動させ、水滴をA面上に移した。水滴を移した瞬
間より時間計測を行い、60秒が経過した時点での水滴
表面と塗板との接点における接線とA面とのなす角度を
読みとり、その値を水接触角とした。結果を表1に示
す。
【0171】
【表1】
【0172】参考例3 塗膜の電気抵抗値の測定 調製例8で得られた電着塗料〔2〕に、評価板として冷
延圧延鋼板の表面未処理鋼板を浸漬させ、対極との間に
5.0mA/cm2 の定電流を流した。その結果、評価
板の膜電圧に急激な変化が生じた。この急激な変化が生
じた直前(t0)及び膜電圧が400Vに達した時点
(t1)の膜電圧、膜厚から、電気抵抗値(R0及び
1)を算出し、その増加割合を計測した。その結果、
この電着塗料〔2〕は、析出皮膜の単位体積あたりの電
気抵抗値の増加割合が5.6倍であった。
【0173】実施例 1 参考例1で使用した4枚ボックスつきまわり性測定装置
を使用して、下記の方法により、2段階電着塗装を行っ
た。 (1)第1段階目の電着 上記電着塗装容器に調製例1により得られた電着塗料
〔1−1〕4Lを入れ、参考例1−1と同様にして、1
00V、40℃で2分間電着し、電着塗膜を析出させ
た。塗装後の評価板は、良く水洗し、更に純水で水洗
し、室温で40分間風乾した。 (2)第2段階目の電着 次いで、上記により得られた評価板を、調製例8により
得られた電着塗料〔2〕4Lを入れた上記電着塗装容器
に設置し、参考例1−8と同様にして、240V、30
℃で3分間電着し、電着塗膜を析出させた。塗装後の評
価板は、良く水洗し、更に純水で水洗し、室温で40分
間風乾した。その後、180℃で25分焼き付け、硬化
塗膜を得た。
【0174】実施例 2〜7 電着塗料〔1−1〕の代わりに、調製例により得られた
電着塗料を表2に示すように使用することのほかは、実
施例1と同様にして硬化塗膜を得た。
【0175】比較例1 従来型カチオン電着塗料を使用
し、プレヒートを行わない塗膜形成 (1)従来型カチオン電着塗料(イ)の製造 特開平10−8291の作成例1によりカチオン電着塗
料を得て、これを従来型カチオン電着塗料(イ)とす
る。 (2)従来型カチオン電着塗料(ロ)の製造 特開平10−8291の作成例2によりカチオン電着塗
料を得て、これを従来型カチオン電着塗料(ロ)とす
る。 (3)従来型カチオン電着塗料(イ)及び(ロ)の塗装 上記により得られた従来型カチオン電着塗料(イ)及び
(ロ)を、それぞれ電着塗料〔1−1〕及び電着塗料
〔2〕の代わりに使用することのほかは、上記実施例1
と同様にして、電着塗装を行い、硬化塗膜を得た。
【0176】比較例2 従来型カチオン電着塗料を使用
し、プレヒートを行う塗膜形成 第1段階目の電着と第2段階目の電着との間に、170
℃で20分間加熱することによるプレヒートを行うこと
のほかは、比較例1と同様にして、電着塗装を行い、硬
化塗膜を得た。
【0177】評価 実施例1〜7及び比較例1〜2により得られた各塗膜に
ついて、下記の評価を行った。結果は、評価1及び評価
2については表2に示し、評価3〜6については表3に
示す。評価1 つきまわり性 A〜G各面の膜厚を測定した。表2の結果から、実施例
は何れも、A面には特に厚く、C〜G面にはほぼ均一に
充分に厚く、それぞれ塗着するが、比較例1及び2は何
れも、G面に近づくにつれて膜厚が薄くなり、つきまわ
り性に劣ることが判った。
【0178】評価2 水接触角 参考例2と同様の方法により、A、E及びG各面につい
て、水接触角(°)を測定した。実施例1により得られ
た塗膜について、表2の結果を表1の水接触角と比較す
ると、A面の水接触角は、調製例1により得られた電着
塗料〔1−1〕を使用して参考例2により得られた水接
触角と近似しており、E及びG各面の水接触角の何れ
も、調製例8により得られた電着塗料〔2〕を使用して
参考例2により得られた水接触角と近似していることか
ら、A面に選択的に上記電着塗料〔1−1〕が塗着し、
E及びG面には何れも上記電着塗料〔2〕が塗着したこ
とが判った。実施例2〜7により得られた塗膜について
も、同様に表2の結果を表1の水接触角と比較すると、
A面には選択的に、対応する電着塗料〔1〕が塗着し、
E・G両面には、対応する電着塗料〔2〕が塗着したこ
とが判った。
【0179】
【表2】
【0180】評価3 耐チッピング性試験 A面を試験片とし、砕石が上記試験片に対して45°の
角度で当たるようにグラベロメーター試験機にセット
し、以下の条件で耐チッピング性試験を行った。 砕石; 7号 砕石量; 50g 突出圧力; 4kg/cm2 試験片温度;25℃、−20℃ その後、試験片の塗膜状態を目視にて観察した。評価は
以下の基準によった。 ○:塗膜の剥離を全く認めない。 △:塗膜の剥離が僅かに認められる。 ×:塗膜が大きく剥離している。 表3の結果から、実施例の塗膜形成方法を使用した場合
の耐チッピング性は何れも、比較例1の場合よりも優
れ、比較例1及び2の何れの場合よりも優れていること
が判った。
【0181】評価4 促進耐候性試験 A面を試験片とし、試験前の60度の光沢値を測定し
た。その後、サンシャインウエザオメーター(スガ試験
機社製)を用いて500時間試験を行った後、再び60
度の光沢値を測定した。試験前後での60度光沢保持率
を次式により算出し、評価した。 (60度光沢保持率)=〔(試験後の60度光沢値)/
(試験前の60度光沢値)〕×100 評価は以下の基準に従った。 ○:90%を超える △:50〜90% ×:50%未満 表3の結果から、実施例の塗膜形成方法を使用した場合
の促進耐候性は、比較例1及び2の何れの方法による場
合よりも優れていることが判った。
【0182】評価5 防錆性 JIS Z 2371に準じ、5%食塩水を用いて35
℃で960時間塩水噴霧した後、クロスカット部をテー
プ剥離し、カット部からの片側の剥離幅を測定し評価し
た。評価は、以下の基準に従った。 ◎:1.5mm未満 ○:1.5〜2.0mm ×:2.0mmを超える 表3の結果から、実施例の塗膜形成方法を使用した場合
の防錆性は、比較例1及び2の何れの方法による場合よ
りも優れていることが判った。
【0183】評価6 平滑性 得られた塗膜表面の平滑性を目視にて評価した。評価
は、以下の基準に従った。 ◎:非常によい ○:よい ×:悪い 表3の結果から、実施例の塗膜形成方法を使用した場合
の平滑性は、比較例1及び2の何れの方法による場合よ
りも優れていることが判った。
【0184】
【表3】
【0185】以上の評価結果から、本発明の塗膜形成方
法によれば、A面に選択的に電着塗料〔1〕を塗着させ
且つ膜厚を厚くすることができ、B〜G面は充分な膜厚
をG面に至るまでほぼ均一に維持することができ、高い
つきまわり性を有していたが、比較例1〜2の方法によ
ると、陽極からの距離の増加に伴って膜厚が減少し、つ
きまわり性に欠けることが判った。また、本発明の塗膜
形成方法によれば、比較例1及び2の何れの方法による
場合よりも、耐チッピング性、促進耐候性、防錆性、平
滑性ともに優れた塗膜が得られた。
【0186】
【発明の効果】本発明の塗膜形成方法は、上述の構成よ
りなるので、被塗物外板部には選択的に、耐チッピング
性の電着塗料〔1〕が厚い膜厚で塗膜を形成し、被塗物
内板部には奥部に至るまで電着塗料〔2〕が充分な膜厚
で塗膜を形成し、外板部と内板部との境界付近には電着
塗料〔1〕が混在しないことから、耐チッピング性、防
錆性、外観等に優れた塗膜が得られる。また、本発明の
塗膜形成方法は、上述の構成よりなるので、電着塗料
〔1〕の塗装と電着塗料〔2〕の塗装との間に加熱硬化
又はプレヒートを行わなくても、優れた塗膜が得られる
ことから、加熱硬化又はプレヒートに伴う加熱、冷却等
の工程や煩雑な温度管理が不要となる。更に、本発明の
塗膜形成方法は、上述の構成よりなるので、耐チッピン
グ性、促進耐候性、耐光劣化性、防錆性、平滑性等の中
塗り塗料に要求される性質を備えた塗膜が得られること
から、通常必要とされる中塗り塗料の塗装が不要とな
り、中塗り塗料の調製、塗装、乾燥の各工程や、管理に
多大な費用と労力を要する中塗り塗装ブースも不要とな
る。このように、本発明の塗膜形成方法は、物性、外観
ともに優れた塗膜を与えるとともに、省資源、省力化、
コスト低減を実現し、特に自動車車体の塗装に適するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】4枚ボックス法によるつきまわり性測定装置の
概要を示す図である。
【図2】定電流条件下での電着時間と膜電圧との関係
(V−tカーブ)及び電着時間と膜厚との関係(μ−t
カーブ)を表すグラフである。破線カーブは、V−tカ
ーブであり、実線カーブは、μ−tカーブである。
【符合の説明】
1.評価板(英字は評価面を表し、カッコ内は、裏面を
表す) 2.対極 3.直流電流 4.貫通孔 5.電着塗装槽 6.スターラー 7.電着塗料
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月20日(2001.11.
20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正内容】
【0099】上記硬化剤は、上記樹脂(A2)の水酸基
価に対して、上記水酸基価の当量以上のイソシアナート
基が含まれるように配合するのが好ましい。具体的に、
上記メラミン系硬化剤の配合は、上記樹脂(A2)の合
計と上記メラミン系硬化剤との重量比を8/2〜5/
5、好ましくは7/3〜6/4とするのが好ましい。ポ
リイソシアナート化合物の場合、上記水酸基価の当量の
0.8〜1.5倍の範囲の配合であれば差し支えない。
上記水酸基価の当量の0.8倍未満であると、塗料の硬
化性が充分でなく、軟弱な塗膜しか得られず、硬度のみ
ならず塗膜の耐薬品性及び耐汚染性も低下し、上記水酸
基価の当量の1.5倍を超えると、ポリイソシアナート
化合物を配合しただけの効果が得られないばかりか、塗
膜の強度、硬度、加工性、耐薬品性等が低下し、黄変性
や耐候性も低下しやすい。好ましくは、上記水酸基価の
当量の1.0〜1.2倍である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/44 C09D 5/44 A 7/12 7/12 163/00 163/00 201/02 201/02 C25D 13/06 C25D 13/06 C (72)発明者 藤井 基樹 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 森近 和生 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 川上 一郎 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB89Y CA32 CA33 CA48 DC12 EB20 EB31 EB33 EB38 4J038 CB001 CB002 CG001 CG002 DB011 DB012 DB021 DB022 DB071 DB072 DB091 DB092 DB201 DB202 DB221 DB222 DB301 DB302 DB401 DB402 DD001 DD002 DE001 DE002 DF001 DF002 DG001 DG002 GA01 GA03 GA06 GA07 GA11 GA13 JA47 JC38 KA04 MA12 MA14 NA01 NA03 NA17 NA27 PA04 PA19 PB07 PC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物に、電着塗料〔1〕を塗装し、次
    に電着塗料〔2〕を塗装した後、焼き付けを行うことか
    らなる塗膜形成方法であって、前記電着塗料〔1〕は、
    スルホニウム基を含有する樹脂を含むものであり、4面
    ボックス法において、樹脂固形分20重量%の塗料中、
    100V、40℃にて、立ち上げ5秒/維持120秒間
    電着塗装し、A面に膜厚20〜35μmを付与した場
    合、B面の膜厚は前記A面の膜厚の1/10以下である
    ものであって、前記電着塗料〔2〕は、定電流条件下で
    の電着の過程において、析出皮膜の単位体積当たりの電
    気抵抗値が増加する時点を有するものであることを特徴
    とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 電着塗料〔1〕中のスルホニウム基を含
    有する樹脂は、プロパルギル基、カルボキシル基、エポ
    キシ基、ブロック化されたイソシアナート基及び水酸基
    からなる群から選択される少なくとも1つの官能基、並
    びに/又は、不飽和二重結合を有する樹脂(A)である
    請求項1記載の塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 樹脂(A)は、スルホニウム基、不飽和
    二重結合を鎖中に含んでいてもよい炭素数8〜24の脂
    肪族炭化水素基、及び、プロパルギル基を有する樹脂
    (A1)である請求項2記載の塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 樹脂(A1)は、エポキシ樹脂を骨格と
    するものである請求項3記載の塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 電着塗料〔1〕は、更に、数平均分子量
    1000〜30000の樹脂(C1)を含有するもので
    あり、前記樹脂(C1)は、ポリエステル樹脂、ポリエ
    ーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹
    脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこれらの変
    性物からなる群より選択される少なくとも1つである請
    求項2、3又は4記載の塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】 電着塗料〔2〕は、スルホニウム基、不
    飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい炭素数8〜24
    の脂肪族炭化水素基、及び、プロパルギル基を有する樹
    脂(A3)を含有するものである請求項1、2、3、4
    又は5記載の塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 樹脂(A3)は、エポキシ樹脂を骨格と
    するものである請求項6記載の塗膜形成方法。
  8. 【請求項8】 電着塗料〔2〕は、更に、数平均分子量
    1000〜30000の樹脂(C2)を含有するもので
    あって、前記樹脂(C2)は、ポリエステル樹脂、ポリ
    エーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹
    脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及びこれらの変
    性物からなる群より選択される少なくとも1つである請
    求項6又は7記載の塗膜形成方法。
  9. 【請求項9】 電着塗料〔1〕及び電着塗料〔2〕は、
    更に、触媒として、金属の酢酸塩及び/又はアセチルア
    セトナート錯体を含有するものであり、前記金属は、
    銅、セリウム、アルミニウム、スズ、マンガン、亜鉛、
    コバルト及びニッケルからなる群より選択される少なく
    とも1つである請求項1、2、3、4、5、6、7又は
    8記載の塗膜形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9記載の塗膜形成方法によって形成されてなる塗
    膜を有する被塗物。
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