JP2009161825A - 電着塗装方法および水洗工程を短縮もしくは水洗水の使用量の削減方法 - Google Patents

電着塗装方法および水洗工程を短縮もしくは水洗水の使用量の削減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カチオン電着塗装方法における水洗工程を短縮あるいは水資源の削減することを目的とする。
【解決手段】被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加する電着塗装工程、および電着塗装工程により得られた塗装された被塗物を水洗する水洗工程からなるカチオン電着塗装方法において、該カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を用いることにより水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減することを特徴とするカチオン電着塗装方法またはそれを用いる電着塗装後の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法。
【選択図】図1

Description

本発明はカチオン電着塗装方法およびカチオン電着塗装方法の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法に関する。特に、カチオン電着塗装における水洗工程を工程数の削減もしくは水洗のための水の量を削減により行われるカチオン電着塗装方法およびカチオン電着塗装方法の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法に関する。
電着塗装は、その塗装管理の容易さ、および経済性等の高さなどから、塗装分野、特に自動車分野において広く用いられている。カチオン電着塗料組成物はさらに、自動車分野にとどまらず、建材、一般金属製品、電機製品、産業機械などの幅広い分野においても幅広く用いられている。
このような電着塗装に用いられる電着塗装システムは、図1に示すように、被塗物の表面に電着塗膜を形成する電着浴10、そして得られた塗装物に過剰に残存する電着塗料組成物などを洗い落とす手段、即ち第1次水洗工程Aと第2次水洗工程Bとが含まれる。第1次水洗工程は、塗装物上に物理的に付着した過剰の塗料組成物などを洗い落とすと共に、塗料成分を回収して電着浴に補充する手段である。第2次水洗工程は、イオン交換水、純水または工業用水などの水洗水を用いて仕上げ洗浄を行う手段である。第1次水洗工程では、電着塗料の限外濾過により得られた限外濾液を水洗水として用いて行う水洗工程で、通常第1水洗ブース1〜第3水洗ブース3の三つの水洗ブースで水洗が行われる。第2次水洗工程では、第1次水洗手段では洗い落とすことができなかった微量の塗料成分および塗料組成物に混入しているイオンなどが洗い落とされる工程で、イオン交換水、純水または工業用水などの水洗水を用いて、やはり第4水洗ブース4、第5水洗ブース5および純水水洗ブース6の三つのブースで水洗が行われる。こうして得られた塗装物は、焼付け処理されることによって、電着塗膜が硬化し、硬化電着塗膜が得られることとなる。
図1を見ると明らかなように、電着塗装とその後の水洗工程は、非常に多くの工程が並んでいて、スペース的に見ると大きな領域を必要とする。また、水洗工程では、大量の水もしくは限外濾液(水が主成分)が必要であり、自動車などの大きな被塗装物を塗装する場合は、水の使用量は莫大なものになる。水洗工程により生じる洗浄水中には、塗料成分などが含まれているため、そのまま外部へ排出することは好ましくない。従って、何らかの処理をして排出する必要があり、その処理にも時間と費用がかかる。水洗工程が短縮されたり、水の使用量が削減されたりすることは、設備やスペースの節約、水資源の節約など大きな効果が予想されるが、現在までのところカチオン電着塗装方法において水洗工程を短縮したり、水資源の使用量を削減したりすることを目的とした特許文献は、殆ど見あたらない。
特開2001−214300号公報(特許文献1)には、カチオン電着塗装において、被塗物を表面処理した後にカチオン電着槽に浸漬して電着塗装する場合に、表面処理後に複数回水を吹き付けて、従来行われていた乾燥炉を省略する、カチオン電着塗装方法が開示されている。この方法では、表面処理後の乾燥炉の省略が達成されているのであって、カチオン電着塗装後の水洗工程の短縮は検討されていない。
特開平9−241891号公報(特許文献2)には、被塗物にカチオン電着塗装を施した後水洗し、その後簡単に乾燥を行って、さらに粉体塗料を塗布し、全体を加熱硬化する方法を開示する。この方法は、カチオン電着塗膜の硬化と粉体塗料塗膜硬化とを同時に行って、焼付硬化工程を一回削減するものであるが、カチオン電着塗装後の水洗工程の短縮は検討されていない。
特開2001−214300号公報 特開平9−241891号公報
本発明は、これまで検討されてこなかったカチオン電着塗装方法における水洗工程を短縮あるいは水資源の削減することを目的とする。
本発明者等は、カチオン電着塗料を、電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料に変更することにより、水洗工程が大きく改善されて、水洗工程を短縮あるいは水資源の使用量を多く削減できること発見し、本発明を成すに到った。
即ち、本発明は、被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加する電着塗装工程、および電着塗装工程により得られた塗装された被塗物を水洗する水洗工程からなるカチオン電着塗装方法において、該カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を用いることにより水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減することを特徴とするカチオン電着塗装方法を提供する。
また、本発明は被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加することにより得られる電着塗装された被塗物を水洗する際に、カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を使用することにより、電着塗装後の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法を提供する。
前記水洗工程は、好ましくは、カチオン電着塗料の限外濾液で水洗する第1次水洗工程と、イオン交換水、純水または工業用水などの水洗水を用いて仕上げ洗浄を行う第2次水洗工程とから成る。
前記カチオン電着塗料は、好ましくは固形分含量0.5〜9.0重量%を有する。
本発明のカチオン電着塗装方法では、カチオン電着塗料を電導度制御剤で低固形分型したものに変更することで、つきまわり性を低下することなく、水洗工程を短縮したり、使用水量を削減したりすることができるのであり、工程短縮の場合はスペースや設備の削減につながり、使用水量の場合は水資源の節約や廃水処理量の削減などにつながる。工程短縮と使用水量の削減を組み合わせることもでき、この場合は両方の効果が期待できる。
カチオン電着塗装方法および電着塗装後の水洗工程を短縮する方法
本発明のカチオン電着塗装方法では、被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加する電着塗装工程、および電着塗装工程により得られた塗装された被塗物を水洗する水洗工程からなるカチオン電着塗装方法において、カチオン電着塗料として電導度制御剤を含有する低固形分型カチオン電着塗料を用いることを特徴とする。また、本発明の電着塗装後の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法では、被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加することにより得られる電着塗装された被塗物を水洗する際に、カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を使用ことを特徴とする。
図1を参照して本発明を説明する。図1は、電着塗装方法、特に電着浴とその後の水洗工程を模式的に示す図である。図1は、前述のように、従来例を説明するものであるが、工程そのものは本発明の説明にも利用できる。
図1中では、自動車の車体の形状をした被塗物が電着浴10から第1次水洗工程Aを経て第2次水洗工程Bに移動し、その後別の工程に流れていく。第1次水洗工程Aでは、電着浴10の塗料を限外濾過器11を経て回収した限外濾液12に貯蔵した液体成分(水を主成分とする)をポンプ(図示せず)より送って水洗水として用いる。第2次水洗工程Bでは、イオン交換水、純水または工業用水などを水源14から導入して水洗水として用いる。電着浴10で電着塗装が行われた被塗物は、第1次水洗工程Aの中の第1水洗ブース1に移動し、その後第2水洗ブース2を経て、第3水洗ブース3に移動する。各ブースでは、図1に示されるように、水洗水がスプレー吹きつけにより、水洗されてもよいが、この方法のみに限定されない。第4水洗ブース4に示されているような水洗浴中に浸漬する方法でもよく、またその他の方法、例えば水流の中を被塗物が通る方法などでもよい。第1次水洗工程Aでは、水洗水(限外濾液)は被塗物の流れと逆に、第3水洗ブース3から第2水洗ブース2を経て第1水洗ブース1で利用され、最後に塗料分を多く含んだ水洗水は、電着浴10に戻されて再利用される。
第1次水洗工程Aを経た被塗物は、第2次水洗工程Bで限外濾液ではなく、イオン交換水、純水または工業用水などによる水洗を受ける。第2次水洗工程B中では、被塗物は第4水洗ブース4から第5水洗ブース5を経て最後の純水水洗ブース6に移動する。水洗水は、逆に純水水洗ブース6から第4水洗ブース4に移動する。図1の例では、第4水洗ブース4は水洗浴に被塗物を浸漬する方式になっているが、この方式に限定されない。また、他の水洗ブース5および6もスプレー式になっているが、その方法に限定されず、どのような水洗方式をとってもよい。図1の例では、また、水源14から純水水洗ブース6に水を供給する配管20と、第4水洗ブース4に水を供給する配管21が記載されているが、この方式に限定されず、どのような方式で水洗水を供給してもよい。さらに、第4水洗ブース4で使用された水洗水は配管22を通って排水13されているが、この方式に限定されず、場合によっては濾過などを経て水洗水として再利用することも可能である。また、排水13では、直接廃棄されるわけではなく、種々の環境基準に適合するように排水の処理が当然行われる。
本発明によれば、電着浴10で使用するカチオン電着塗料を低固形分型に変更することにより、水洗工程が短縮されるか、使用する水洗水量を減らすか、またその両方の混合が達成される。使用する水洗水量を減らす態様は、図1の水洗工程(即ち、第1次水洗工程Aと第2次水洗工程Bの両方または一方)で、水洗水の使用水量を減らして、被塗装物1つ当たりに使用する水洗水の水量を低減する。このことにより、水洗工程全体として水資源の節約をはかり、省資源化および環境適合性を高めるのである。使用水量の削減量は、現在の使用量の80重量%以内、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%である。80重量%より多くの削減も可能であるかもしれないが、塗装被膜の欠陥が目立つようになる。
水洗工程の短縮は、図1に示す水洗工程の1以上のブースを削減するか、1以上の水洗ブースで水洗距離を短くするか、の方法で行われる。いずれの方法でも、水洗工程全体としての距離が短くなり、水洗スペースの短縮、ひいては電着塗装工程の短縮につながる。また、水洗工程の短縮は、水洗時間の短縮となり、電着工程全体として時間の短縮にもなる。さらに、水洗工程の短縮は、短縮された部分に使用されている水洗水の使用も削減されるのであるから、自然に水洗水の使用量も削減されることになる。
本発明では、前述のように、カチオン電着塗料が電導度制御剤を含有する低固形分型カチオン電着塗料である必要がある。低固形分型とは、カチオン電着塗料の固形分含有量が0.5〜9.0重量%、好ましくは3.0〜9.0重量%、より好ましくは5.0〜8.0重量%である。従来のカチオン電着塗料では、固形分含有量は10〜25重量%ぐらいが通常であるので、本発明では、従来のものより固形分顔料が低い、低固形分型を用いる必要がある。
カチオン電着塗料を低固形分型にするのは、単に固形分量を減らせばよいのであるが、その場合電着塗料の電導度が不足してつきまわり性が低下する傾向にあるので、電導度制御剤を含めることによってつきまわり性を維持及び向上することができる。以下、電導度制御剤を含む電着塗料組成物の説明を行う。
電着塗料組成物
本発明のカチオン電着塗装方法において、一般的に使用されるカチオン電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤および必要に応じて顔料や添加剤を含むものが挙げられる。以下、それぞれの成分について説明する。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
特開平5−306327号公報に記載される、下記式
Figure 2009161825
[式中、Rはジグリシジルエポキシ化合物のグリシジルオキシ基を除いた残基、R’はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、nは正の整数を意味する。]で示されるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネートとポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されており、公知である。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数のものを併用してもよい。
硬化剤
本発明で使用する硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートが好ましく、ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも硬化剤として使用してよい。
ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることが好ましい。形成される塗膜が耐候性に優れるからである。
脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートの好ましい具体例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添TDI、水添MDI、水添XDI、IPDI、ノルボルナンジイソシアネート、それらの二量体(ビウレット)、三量体(イソシアヌレート)等が挙げられる。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
カチオン性エポキシ樹脂と硬化剤とを含むバインダーは、一般に、電着塗料組成物の全固形分の25〜85質量%、好ましくは40〜70質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
顔料
本発明で用いられる電着塗料組成物は、通常用いられる顔料を含んでもよい。使用できる顔料の例としては、通常使用される無機顔料、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等、が挙げられる。
顔料は、一般に、電着塗料組成物の全固形分の1〜35質量%、好ましくは10〜30質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
電導度制御剤
カチオン電着塗料を低固形分、具体的には0.5〜9.0重量%固形分にする場合には、電導度の不足分を補うために電導度制御剤を配合する。電導度制御剤は、特に、数平均分子量500〜20,000でアミン価が200〜500mmol/100gを有するアミノ基含有化合物が好ましい。
本発明で用いることができる電導度制御剤は、アミン価が200〜500mmol/100gを有するアミノ基含有化合物から構成される。電導度制御剤はアミン価が上記範囲を有すれば、どのようなアミノ基含有物であってもよいが、通常はアミン変性エポキシ樹脂もしくはアミン変性アクリル樹脂が好ましい。また、本発明で用いる電導度制御剤は必要に応じて、酸により中和されていても良い。アミン価は好ましくは250〜450mmol/100gであり、もっとも好ましくは300〜400mmol/100gである。アミン価が200mmol/100gよりも小さいと、低固形分濃度のカチオン電着塗料の液電導度を最適値に調整するための必要添加量が多くなり、耐食性を損なう恐れがある。また、500mmol/100gを超えると、析出性を低下させ、所望のつきまわり性が得られないといった欠点を有する。また亜鉛鋼板適性も低下する。
本発明における上記カチオン電着塗料用電導度制御剤としてのアミノ基含有化合物は、低分子のものから高分子のものまで考えられるが、通常アミン変性エポキシ樹脂やアミン変性アクリル樹脂などの高分子量のものの化合物が挙げられる。低分子量アミノ基含有化合物は、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルブチルアミンなどが挙げられる。
本発明では、高分子量のアミノ基含有化合物、特にアミン変性エポキシ樹脂およびアミン変性アクリル樹脂が好ましい。アミン変性エポキシ樹脂はエポキシ樹脂のエポキシ基をアミン化合物で変性することにより得られる。エポキシ樹脂は、一般的なものが使用できるが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であって、分子量が500〜20000を有するものが好適である。これらのエポキシ樹脂の中で、フェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック型樹脂がもっとも望ましい。特に、これらのエポキシ樹脂は市販されている。たとえば、ダウケミカルジャパン社製フェノールノボラック樹脂DEN−438、東都化成社製クレゾールノボラック樹脂YDCN−703などがあげられる。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
アミン変性アクリル樹脂としては、たとえばアミノ基含有モノマーであるジメチルアミノエチルメタクリレートのホモポリマーまたは他の重合性モノマーとの共重合体をそのまま用いても良いし、グリシジルメタクリレートのホモポリマーまたは他の重合性モノマーとの共重合体のグリシジル基をアミン化合物で変性することにより得ることができる。
エポキシ樹脂またはエポキシ基を含有するアクリル樹脂にアミノ基を導入する化合物としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンなどが挙げられる。それらの具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジメチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフイド・酢酸混合物などの外、アミノエチルエタノールアミンのジケチミン、ジエチルヒドロアミンのジケチミンなどの一級アミンのブロックした二級アミンが挙げられる。アミン類は複数のものを使用してもよい。
前述のとおり、これらアミン変性エポキシ樹脂およびアミン変性アクリル樹脂の数平均分子量は500〜20,000が好適である。数平均分子量が500よりも小さいと、耐食性を損なう恐れがあり、また理由は定かではないが、つきまわり性の低下および亜鉛鋼板適性の低下が見られる。数平均分子量が20000よりも大きいと仕上がり外観の低下を引き起こす恐れがある。
これらアミン変性エポキシ樹脂およびアミン変性アクリル樹脂は、あらかじめ中和酸により中和させて用いることもできる。中和に用いる酸は、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
顔料分散ペースト
顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂と呼ばれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂ワニスと共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂ワニスとしては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂ワニスは5〜40質量部、顔料は10〜30質量部の固形分比で用いる。
上記顔料分散用樹脂ワニスおよび顔料を、樹脂固形分100質量部に対し10〜1000質量部混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて、顔料分散ペーストを得る。
電着塗料組成物の調製
電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂、硬化剤、及び顔料分散ペーストを水性媒体中に分散することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂の分散性を向上させるために中和剤を含有させる。中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。その量は少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量である。
硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂の硬化剤に対する固形分質量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
電着塗料は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレタン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まないものが好ましいため、その量はブロックポリイソシアネート化合物の0.1〜5質量%とすることが好ましい。
電着塗料は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
本発明では、カチオン電着塗料の所望のつきまわり性を得るために、電気電導度を900〜2000μS/cmにコントロールするのが好ましい。前述の電導度制御剤を添加することにより、低固形分型電着塗料の液電導度をこの範囲にコントロールすることができる。電導度の好ましい下限は1000μS/cmであり、好ましい上限は1800μS/cmである。電導度が900μS/cmより小さいと、所望のつきまわり性が得られないといった欠点を有し、2000μS/cmより大きいと、亜鉛鋼板塗装時にガスピンと呼ばれる塗膜欠陥を生じやすいといった欠点を有する。なお、電導度は市販されている液電導度計を用い、液温25℃の条件にて測定する。
カチオン電着塗料への電導度制御剤の配合量は、特に限定的ではなく、所定の電気電導度が得られればよく、具体的には、塗料固形分に基づいて、0.5〜30重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%である。0.5重量%より少なくてもよいが、十分な電気電導度が得られないことがある。また、配合量は50重量%を超えてもよいが、添加量に比例した電気電導度の増加が見られなくなる。
電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合の被塗物は、予め、浸漬、スプレー方法等によりリン酸亜鉛処理等の表面処理の施された導体であることが好ましいが、この表面処理が施されていないものであっても良い。また、導体とは、電着塗装を行うに当り、陰極になり得るものであれば特に制限はなく、金属基材が好ましい。
電着が実施される条件は一般的に他の型の電着塗装に用いられるものと同様である。印加電圧は大きく変化してもよく、1ボルト〜数百ボルトの範囲であってよい。電流密度は通常約10アンペア/m2〜160アンペア/m2であり、電着中に減少する傾向にある。
本発明の電着塗装方法によって電着した後、電着塗膜を昇温下にて通常の方法、例えば焼付炉中、焼成オーブン中あるいは赤外ヒートランプで焼付ける。焼付け温度は変化してもよいが、通常約140℃〜180℃である。本発明の電着塗装方法によって塗装された塗装物は、最終水洗の後、乾燥、焼付けされることによって、硬化電着塗膜が形成され、これにより塗装工程が完了する。
上述のカチオン電着塗料を用いることにより、従来のつきまわり性を維持しつつ、低固形分化が達成でき、その結果、工程の短縮、水量の削減が可能になるのである。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものと解してはならない。実施例中、部および%は、別途指示しない限り重量に基づく。
調製例A
電導度制御剤Aの調製例
還流冷却器、撹拌機を備えたフラスコに、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と略す。)295部、メチルエタノールアミン37.5部、ジエタノールアミン52.5部を仕込み、撹拌しながら100℃に保持する。これにクレゾールノボラックエポキシ樹脂(東都化成製、商品名YDCN−703)205部を徐々に加える、全量加え終えたのち3時間反応させる。分子量を測定したところ、2,100であった。得られたアミノ変性樹脂のアミン価(MEQ(B))を測定したところ、340mmol/100gであった。
得られたアミノ変性樹脂溶液140部に、ギ酸5.5部と脱イオン水1254.5部を加えて80℃に保持しながら30分間撹拌する。減圧下において有機溶剤を除去し固形分7.0%の液電導度制御剤Aを得た。
調製例B
電導度制御剤Bの調製例
還流冷却器、撹拌機を備えたフラスコに、MIBK255部、メチルエタノールアミン75部、を仕込み、撹拌しながら100℃に保持する。これにフェノールノボラック樹脂(ダウケミカルジャパン社製、商品名DEN−438)180部を徐々に加える、全量加え終えたのち3時間反応させる。分子量を測定したところ、1,000であった。得られたアミノ変性樹脂のアミン価(MEQ(B))を測定したところ、390mmol/100gであった。
得られたアミノ変性樹脂溶液140部に、スルファミン酸14部と脱イオン水1247部を加えて80℃に保持しながら30分間撹拌する。減圧下において有機溶剤を除去し固形分7.0%の液電導度制御剤Bを得た。
調製例C
電導度制御剤Cの調製例
還流冷却器、窒素導入管、滴下ロート、撹拌機を備えたフラスコにメチルイソブチルケトン(MIBK)を50部仕込み、撹拌しながら100℃に保持する。メタクリル酸グリシジル100部、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2部からなる混合液を滴下ロートより2時間で等速滴下した。100℃に保ち30分間撹拌を続けた。その後、MIBK52.5部、AIBN0.5部の混合液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けて反応を終了させ、反応物を得た。
別に、還流冷却器、撹拌機を備えたフラスコに、MIBK47.5部、メチルエタノールアミン52.8部を仕込み、撹拌しながら100℃に保持した。これに上記反応物205部を徐々に加え、全量加え終えたのち3時間反応させた。分子量を測定したところ、9,800であった。得られたアミノ変性樹脂のアミン価(MEQ(B))を測定したところ、450mmol/100gであった。
得られたアミノ変性樹脂溶液140部に、乳酸25.2部と脱イオン水1234.8部を加えて80℃に保持しながら30分間撹拌した。減圧下において有機溶剤を除去し固形分7.0%の液電導度制御剤Cを得た。
製造例1 カチオン電着塗料組成物の調製
製造例1−1 アミン変性エポキシ樹脂の調製
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブチル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を攪拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温から始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル50部を滴下漏斗より滴下した。更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオキシド5モル付加体53部を添加した。反応は主に、60〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
次に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃まで昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部を添加し、エポキシ当量410になるまで130℃で反応させた。
続いて、ビスフェノールA61部およびオクチル酸33部を加えて120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノールアミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およびアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるまで希釈し、アミン変性エポキシ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
製造例1−2 ブロックイソシアネート硬化剤の調製
ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびMIBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK336.1部を加えてガラス転移温度が0℃のブロックイソシアネート硬化剤を得た。
製造例1−3 顔料分散樹脂の調製
まず、攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK39.1部で希釈した後、ここヘジブチル錫ジラウレート0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール131.5部を攪拌下、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(樹脂固形分90.0%)が得られた。
次いで、適当な反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で約半時間攪拌して、4級化剤を調製した。
次に、エポン(EPON)829(シェル・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部とビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したところ、初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
反応混合物を110〜120℃に約1時間保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル463.4部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃に保持した後、脱イオン水964部を加えて、エポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了させ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を得た(樹脂固形分50%)。
製造例1−4 顔料分散ペーストの調製
サンドグラインドミルに製造例9−3で得た顔料分散用樹脂を100部、二酸化チタン100.0部およびイオン交換水100.0部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た(固形分50%)。
製造例1−5 エマルションの調製
製造例1−1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と製造例9−2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固形分比で80/20で均一になるよう混合した。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量(MEQ(A))が30になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
比較例1
上記製造例1−5で得られたエマルション319部および上記顔料分散ペースト133部と、イオン交換水543部と10%酢酸セリウム水溶液2部およびジブチル錫オキサイド3部とを混合して、固形分20%の電着塗料組成物Fを得た。このカチオン電着塗料組成物の固形分に含まれる顔料の濃度は23重量%であった。なお塗料固形分は、180℃で30分間加熱した後の残渣の質量の、元の質量に対する百分率として求めることができる。(JIS K5601に準拠)ここで得られた電着塗料組成物Fをそのまま比較例1として用いた。液電導度は1600μS/cmであった。
比較例2
上記製造例1−5で得られたエマルション158部および顔料分散ペースト8部と、イオン交換水831部と10%酢酸セリウム水溶液2部およびジブチル錫オキサイド1部とを混合して、固形分7%の電着塗料組成物Gを得た。顔料濃度は5重量%であった。ここで得られた電着塗料組成物Gをそのまま比較例2として用いた。液電導度は890μS/cmであった。
実施例1
先に得られた電着塗料組成物Gの1000部に対して、調製例Aで得られた液電導度制御剤Aを6部加えることにより、液電導度を1200μS/cmに調整した電着塗料組成物Hを得た。この電着塗料組成物Hを実施例1として用いた。
実施例2
先に得られた電着塗料組成物Gの1000部に対して、調製例Bで得られた液電導度制御剤Bを8部加えることにより、液電導度を1300μS/cmに調整した電着塗料組成物Iを得た。この電着塗料組成物Iを実施例2として用いた。
実施例3
先に得られた電着塗料組成物Gの1000部に対して、調製例Cで得られた液電導度制御剤Cを3部加えることにより、液電導度を1100μS/cmに調整した電着塗料組成物Jを得た。この電着塗料組成物Jを実施例3として用いた。
実施例4
先に得られた電着塗料組成物Gの1000部に対して400部のイオン交換水を加えることにより、固形分濃度を7%から5%に低減した。この操作により液電導度が890μS/cmから640μS/cmに低下した。ここに調製例Aで得られた液電導度制御剤Aを8部加えることにより液電導度を1100μS/cmに調整した電着塗料組成物Kを得た。この電着塗料組成物Kを実施例4として用いた。
実施例および比較例で得られたカチオン電着塗料組成物と焼き付けて得られたカチオン電着塗膜については以下の方法により評価をおこなった。
<つきまわり性>
つきまわり性は、いわゆる4枚ボックス法により評価した。すなわち、図1にしめすように、4枚のリン酸亜鉛処理鋼鈑(JIS G3141 SPCC−SDのサーフダインSD−5000(日本ペイント社製)処理)11〜14を、立てた状態で間隔20mmで平行に配置し、両側面下部および底面を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を調製した。なお、鋼鈑14以外の鋼鈑11〜13には下部に8mmφの貫通穴15が設けられている。
カチオン電着塗料4リットルを塩ビ製容器に移して第1の電着浴とした。図2に示すように、上記ボックス10を、被塗装物として電着塗料21を入れた電着塗料容器20内に浸漬した。この場合、各貫通穴15からのみ塗料21がボックス10内に侵入する。
マグネチックスターラー(非表示)で塗料21を攪拌した。そして、各鋼鈑11〜14を電気的に接続し、最も近い鋼鈑11との距離が150mmとなるように対極22を配置した。各鋼鈑11〜14を陰極、対極22を陽極として電圧を印加して、鋼鈑にカチオン電着塗装を行なった。塗装は、印加開始から5秒間で鋼鈑11のA面に形成される塗膜の膜厚が15μmに達する電圧まで昇圧し、その後通常電着では175秒間、短時間電着では115秒間その電圧を維持することにより行った。
塗装後の各鋼鈑は、水洗した後、170℃で25分間焼き付けし、空冷後、対極22から最も近い鋼鈑11のA面に形成された塗膜の膜厚と、対極22から最も遠い鋼鈑14のG面に形成された塗膜の膜厚とを測定し、膜厚(G面)/膜厚(A面)の比(G/A値)によりつきまわり性を評価した。この値が50%を超えた場合を良好(凡例;○)、この値が50%以下の場合を不良(凡例;×)と判断した。
<亜鉛鋼鈑適性>
化成処理を行った合金化溶融亜鉛めっき鋼鈑に、220Vまで5秒で昇圧後、175秒で電着したのち水洗し、170℃で25分間焼き付けし、塗膜状態を観察した。塗膜異常が認められない場合を良好(凡例;○)、わずかに異常が認められる場合を、異常あり(凡例;△)、著しい異常が認められる場合を不良(凡例;×)と判断した。
<水平外観>
無攪拌状態のカチオン電着塗料中に水平状態に置いて電着塗装された電着塗装板の焼付け後の外観を目視評価した。
:問題なく良好、△:顔料が少し沈降し、ややザラザラ感がある、×:顔料が沈降し、外観不良。
<電導度>
実施例および比較例によって得られたカチオン電着塗料組成物の電導度を、導電率計(東亜電波工業(株)社製CM−305)を用い、液温25℃の条件にて測定した。
<水洗性の試験方法>
まず、電導度と固形分の関係を求めた。具体的には、実施例1〜4および比較例1、2のそれぞれの塗料に対し、純水を用いて0.05重量%、0.1重量%、0.01重量%の固形分濃度に調整し、その時の電導度を東亜DKK(株)社製の導電率計で測定した。この測定結果から、固形分濃度(NV)と塗料の電導度の関係をグラフにプロットして図4を得た。
次に、リン酸亜鉛処理鋼板(70mmX150mmX0.8mm)に、上記実施例および比較例で得られた電着塗料を用いて、200Vで3分電着塗装し、次いで純水1リットルの満たされた容器中に上記塗装板を30秒間浸漬水洗して、これを取り出した。取り出した塗装板を別に純水1リットルを満たした容器に30秒間浸漬水洗をし、塗装板を取り出した。浸漬水洗を2回行った塗装板を、更に別に純水1リットルを満たした容器に浸漬し、NELVO−CLEAR社製の超音波発生器によって強制的に洗浄したのち、塗装板を取り出した。
強制的に洗浄した後の洗浄液の電導度を東亜DKK(株)社製の導電率計で測定し、電導度を求めた。電導度と固形分との関係図(図4)から強制的に洗浄した後の洗浄液の固形分を導き出した。得られた固形分を電着塗装板1m当たりの固形分(g/m)を計算により求めて、表1に示す。電着塗装板1mの固形分は、例えば、1リットルの洗浄液の固形分濃度をa重量%とすると、1リットル中には1000gxa/100=10xa(g)の固形分があることになる。これは、上記電着塗装板に表面に付着していたものであるから、1m当たりの固形分量は、10xax1/7(mm)x15(mm)x2(mm)x10から計算して、1m当たりの固形分量を求めた。
Figure 2009161825
実施例1〜4では、液電導度制御剤を含むカチオン電着塗料であり、液電導度が適正範囲にあって、つきまわり性や塗膜外観に欠陥は見られない。また、最終洗浄水(第3回目の洗浄による洗浄水)中の固形分が少ないということは、その前2回の水洗で十分洗浄することができたことを意味し、実施例1〜4および比較例2では洗浄性が高いと言うことができる。比較例1は通常の塗料固形分(20重量%)のカチオン電着塗料であり、液電導度は本発明の領域にあるが、塗料固形分が高く水平外観が悪くなる。比較例2は塗料固形分濃度が7重量%と低いカチオン電着塗料であって、電着塗料の液電導度が不足して、つきまわり性が低下する。比較例1は最終洗浄水中の固形分が実施例より大きく、水洗が各実施例よりは不十分である。
電着塗装方法、特に電着浴とその後の水洗工程を模式的に示す図である。
つきまわり性を評価する際に用いるボックスの一例を示す斜視図である。
つきまわり性の評価方法を模式的に示す断面図である。
水洗性を求める試験で作成した塗料中の電導度と塗料固形分との関係を示すグラフである。
符号の説明
A…第1次水洗工程A
B…第2次水洗工程B
1…第1水洗ブース、
2…第2水洗ブース
3…第3水洗ブース、
4…第4水洗ブース、
5…第5水洗ブース、
6…純水水洗ブース、
10…電着浴、
11…限外濾過装置、
12…限外濾液、
13…廃水、
14…水源、
20、21,22…配管、
30…ボックス、
31〜34…リン酸亜鉛処理鋼板、
35…貫通穴、
40…電着塗装容器、
41…電着塗料、
42…対極。

Claims (6)

  1. 被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加する電着塗装工程、および電着塗装工程により得られた塗装された被塗物を水洗する水洗工程からなるカチオン電着塗装方法において、該カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を用いることにより水洗工程を短縮かもしくは水洗水の使用量を削減することを特徴とするカチオン電着塗装方法。
  2. 前記水洗工程が、カチオン電着塗料の限外濾液で水洗する第1次水洗工程と、イオン交換水、純水または工業用水などの水洗水を用いて仕上げ洗浄を行う第2次水洗工程とから成る請求項1記載のカチオン電着塗装方法。
  3. 前記カチオン電着塗料が、固形分含量0.5〜9.0重量%を有することを特徴とする請求項2記載のカチオン電着塗装方法。
  4. 被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し電圧を印加することにより得られる電着塗装された被塗物を水洗する際に、カチオン電着塗料として電導度制御剤を配合した低固形分型カチオン電着塗料を用いることにより、電着塗装後の水洗工程を短縮するかもしくは水洗水の使用量を削減する方法。
  5. 前記水洗工程が、カチオン電着塗料の限外濾液で水洗する第1次水洗工程と、イオン交換水、純水または工業用水などの水洗水を用いて仕上げ洗浄を行う第2次水洗工程とから成る請求項4記載の方法。
  6. 前記カチオン電着塗料が、固形分含量0.5〜9.0重量%を有することを特徴とする請求項5記載のカチオン電着塗装方法。
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