JP2002060680A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

カチオン電着塗料組成物

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JP2002060680A
JP2002060680A JP2000245789A JP2000245789A JP2002060680A JP 2002060680 A JP2002060680 A JP 2002060680A JP 2000245789 A JP2000245789 A JP 2000245789A JP 2000245789 A JP2000245789 A JP 2000245789A JP 2002060680 A JP2002060680 A JP 2002060680A
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coating composition
electrodeposition coating
cationic electrodeposition
organic acid
epoxy resin
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JP2000245789A
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Shinsuke Shirakawa
信介 白川
Mitsuo Yamada
光夫 山田
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性媒体に対する分散安定性は低下させない
で、つきまわり性、耐ガスピン性、及び耐ハジキ性等を
改良したカチオン電着塗料組成物を提供すること。 【解決手段】 アミン変性エポキシ樹脂とブロックポリ
イソシアネート硬化剤とを含有するバインダー成分を、
中和剤として有機酸と有機酸の金属塩とを含有する水性
媒体中に分散させて成るエマルジョンを含有するカチオ
ン電着塗料組成物において、該中和剤として含まれる有
機酸の総量がアミン変性エポキシ樹脂100gに対して
15〜30ミリグラム当量であり、有機酸と有機酸の金
属塩との当量比が0.3/1〜5/1であるカチオン電
着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカチオン電着塗料組
成物に関し、特に、つきまわり性、耐ガスピン性、及び
耐ハジキ性等に優れるカチオン電着塗料組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属材料を腐蝕から保護しその美感を使
用期間中維持するため、その表面には一般に塗装が施さ
れる。カチオン電着塗装は、複雑な形状を有する被塗物
であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的か
つ連続的に塗装することができるので、自動車車体等の
大型で複雑な形状を有し、高い防錆性が要求される被塗
物の下塗り塗装方法として汎用されている。また、他の
塗装方法と比較して、塗料の使用効率が極めて高いこと
から経済的であり、工業的な塗装方法として広く普及し
ている。
【0003】カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料組
成物中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加する
ことにより行われる。この塗装の過程における被膜の析
出は電気化学的な反応によるものであり、電圧の印加に
より、被塗物表面に析出した被膜は絶縁性を有するの
で、塗装過程において、被膜の析出が進行して析出膜の
膜厚が増加するのに従い、膜厚の増加に比例して、被膜
の電気抵抗は大きくなる。
【0004】その結果、当該部位への塗料の析出は低下
し、代わって未析出部位への被膜の析出が始まる。この
ようにして、順次未被着部分に塗料エマルジョン粒子が
被着して塗装を完成させる。本明細書中、被塗物の未被
着部位に被膜が順次形成されることをつきまわり性とい
う。
【0005】このようなカチオン電着塗装は、通常は下
塗り塗装に使用され、防錆等を主目的として行われるこ
とから、複雑な構造を有する被塗物であっても、すべて
の部分でその被膜の膜厚を所定値以上にする必要があ
る。カチオン電着塗装においては、上述したように被塗
物表面に絶縁性の被膜が順次形成されていくので、理論
的には無限のつきまわり性を有しており、被塗物の全て
の部分に均一に被膜を形成することができるはずであ
る。
【0006】しかしながら、従来のカチオン電着塗料組
成物においては、つきまわり性は必ずしも充分でなく、
膜厚のムラが生じることがある。
【0007】つきまわり性低下の要因としては、形成さ
せる被膜中に、塗料に含まれているイオン性基、水和官
能基等が残存し、これらが電荷移動媒体となることによ
って被膜の電気抵抗値を下げてしまうことが考えられ
る。従って、カチオン電着塗装において、高いつきまわ
り性を実現するためには、このような要因を除去する必
要がある。
【0008】他方、カチオン電着塗料組成物は水性塗料
として十分な貯蔵安定性を示す必要がある。従って、カ
チオン電着塗料組成物の成分は水性媒体中で分散安定性
を示すものでなければならず、一定量以上のイオンを含
有していることは不可避である。
【0009】つまり、カチオン電着塗料組成物のつきま
わり性を改良するためにはイオン性成分の含有量を下げ
て電着被膜の電気抵抗値を上げればよい。しかしなが
ら、単にイオン性成分の含有量を下げただけではカチオ
ン電着塗料組成物の水性媒体に対する分散安定性が低下
し、水性塗料として使用し難くなってしまう。
【0010】また、カチオン電着塗装では、陰極として
電圧が印加される被塗物の表面において水が電気分解さ
れて水素ガスが発生する。水素ガスは被膜の析出と同時
に発生し、発生した水素ガスがスパークすると塗膜にピ
ンホールが形成される。このようなピンホールは当業者
に「ガスピン」と呼ばれている。ガスピンは塗膜欠陥の
原因となるため抑制することが好ましい。
【0011】更に、電着塗膜の欠陥には、当業者に「ハ
ジキ」と呼ばれるものがある。この種の塗膜の欠陥は、
例えば、塗料組成物に含まれる低分子量の有機化合物や
外部から塗料被膜に付着した油等が、その後の加熱硬化
工程で突沸して生じることが知られている。すなわち、
電着された塗料の被膜は加熱硬化工程では溶融し流動状
態にあるため、突沸による局所的な衝撃で容易に孔が空
く。その後、回りの樹脂が平坦化して孔が完全に埋まる
前にバインダー成分が硬化した場合に、塗料被膜の孔が
固定され、形状がクレーターに似た塗膜の欠陥が形成さ
れるのである。
【0012】従って、塗料組成物中の不純物及び電着塗
装工程における油の飛散等を排除すればこのようなハジ
キは生じないのであるが、工業的規模で実施する場合は
特にそれを徹底することは困難である。ハジキは流動性
に優れる低粘度の塗料組成物で特に生じ易い。
【0013】WO98/03701号公報には、基体樹
脂にエチニル基やニトリル基等の三重結合を導入するこ
とによりカチオン電着塗料組成物のつきまわり性を改良
することが記載されている。特開2000−38525
号公報には基体樹脂にスルホニウム基、プロパルギル基
や二重結合を導入することによりカチオン電着塗料組成
物のつきまわり性を改良することが記載されている。
【0014】特開平11−182795号公報には、顔
料分散用樹脂として1級アミノ基含有樹脂、3級及び/
又は4級オニウム塩基含有樹脂を用いることによりカチ
オン電着塗料組成物の耐ガスピン性やつきまわり性を改
良することが記載されている。特開平10−18279
5号には、イミダゾリン基含有ポリオキシアルキレンジ
アミンとポリフェノール系エポキシ樹脂との反応生成物
を添加することにより電着塗料組成物の耐ハジキ性を改
良することが記載されている。
【0015】このように、上記先行技術では、それぞれ
の性能を個別に改良することは示されている。しかしな
がら、これらの性能は相互に関連するため、すべてを同
時に改良することは困難である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題をすべて同時に解決するものであり、その目的とする
ところは、水性媒体に対する分散安定性は低下させない
で、つきまわり性、耐ガスピン性、及び耐ハジキ性等を
改良したカチオン電着塗料組成物を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、アミン変性エ
ポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含
有するバインダー成分を、中和剤として有機酸と有機酸
の金属塩とを含有する水性媒体中に分散させて成るエマ
ルジョンを含有するカチオン電着塗料組成物において、
上記中和剤として含まれる有機酸の総量がアミン変性エ
ポキシ樹脂100gに対して15〜30ミリグラム当量
であり、有機酸と有機酸の金属塩との当量比が0.3/
1〜5/1であるカチオン電着塗料組成物を提供するも
のであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】バインダー成分 電着塗料組成物のバインダー成分はカチオン化樹脂と硬
化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物である。
【0019】カチオン化樹脂は水分散性を示す水性樹脂
である必要がある。カチオン化樹脂には、例えば、アミ
ン変性エポキシ樹脂、アミン変性ポリウレタンポリオー
ル樹脂、アミン変性ポリブタジエン樹脂、アミン変性ア
クリル樹脂、またはスルホニウム基含有樹脂系およびホ
スホニウム基含有樹脂系等が含まれる。好ましいカチオ
ン化樹脂はアミン変性エポキシ樹脂である。
【0020】アミン変性エポキシ樹脂は、典型的には、
エポキシ樹脂のエポキシ基の全部をアミンで開環する
か、または一部のエポキシ基を他の活性水素化合物で開
環し、残りのエポキシ基をアミンで開環して製造され
る。
【0021】エポキシ樹脂は一般に分子量600〜40
00、好ましくは700〜3000、エポキシ当量30
0〜2000、好ましくは350〜1500のものを用
いる。典型的には、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾ
ールノボラックのようなポリフェノールポリグリシジル
エーテル型エポキシ樹脂である。
【0022】特開平5−306327号公報第0004
段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有
エポキシ樹脂をエポキシ樹脂として用いてもよい。耐熱
性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
【0023】エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入す
る方法としては、例えば、メタノールのような低級アル
コールでブロックされたブロックポリイソシアネートと
ポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副
生する低級アルコールを系内より留去することで得られ
る。
【0024】特に好ましいエポキシ樹脂は、特願平10
−305294号に記載のオキサゾリドン環含有エポキ
シ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性
にも優れた塗膜が得られるからである。このオキサゾリ
ドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法について
は、特願平10−305294号第0012〜0047
段落に記載されている。
【0025】これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポ
リオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性の
アルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良
い。この変性に用いる樹脂の例としては、ポリカプロラ
クトンジオール、エチレンオキサイド付加重合物が挙げ
られる。
【0026】また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオー
ル又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長すること
ができる。ジオールの例にはエチレングリコール、1,
2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ルなどのアルキレンジオール;1,2−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環
式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、レ
ゾルシノール、ハイドロキノン等の芳香族ジオール等が
挙げられる。ジカルボン酸の例にはコハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、C18
20の長鎖脂肪族ジカルボン酸、末端カルボキシル基変
性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の脂肪族ジ
カルボン酸、またはフタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0027】エポキシ基を開環させるのに用いるアミン
は、一般に、1級アミン、2級アミン、3級アミンであ
る。その例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、
ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−
メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、
N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、アミノエチ
ルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミン
のジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミ
ンがある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよ
い。
【0028】1級アミンを反応させるときは2当量であ
るためエポキシ樹脂の鎖延長剤として働らき、エポキシ
樹脂を高分子量化させる。エポキシ基と反応させるこれ
らのアミンは、エポキシ樹脂のエポキシ基とほぼ当量で
使用するのが好ましい。
【0029】アミン変性エポキシ樹脂のGPC分析によ
る数平均分子量は600〜4000が好ましい。数平均
分子量が600未満であると造膜性が不十分であり、4
000を越えると乳化、水溶化が困難である。
【0030】また、アミン変性エポキシ樹脂のアミノ基
当量はアミン変性エポキシ樹脂とブロックポリイソシア
ネート硬化剤の合計重量100gに対して50〜80ミ
リグラム当量、好ましくは55〜80ミリグラム当量、
更に好ましくは60〜80ミリグラム当量である。この
アミノ基当量が50ミリグラム当量未満であるとバイン
ダー成分の水性媒体中での分散安定性が低下し、100
ミリグラム当量を越えると電着塗料組成物のつきまわり
性の改良が不十分となる。
【0031】硬化剤とは、カチオン化樹脂を架橋するこ
とによって電着塗料組成物の被膜を硬化させる成分をい
う。硬化剤は電着塗料組成物に通常用いられるもので良
い。一般には、メラミン樹脂やブロックポリイソシアネ
ートが好ましく、中でもブロックポリイソシアネートが
好ましい。ブロックポリイソシアネートとはブロック剤
でイソシアネート基が保護されたポリイソシアネートを
いう。
【0032】ブロックポリイソシアネートの調製に用い
ることができるポリイソシアネートの具体例には、トリ
メチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシア
ネート、ペンタメチレンジソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネ
ート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブ
チレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシア
ネート、エチリデンジイソシアネート、ブチリデンジイ
ソシアネートなどの脂肪族化合物、1,3−シクロペン
タンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソ
シアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族環式化合
物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネ
ート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−
ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族化合物、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ま
たは2,6−トルエンジイソシアネートまたはそれらの
混合物4,4’−トルイジンジイソシアネート、1,4
−キシレンジイソシアネートなどの脂肪族−芳香族化合
物、ジアニシジンジイソシアネート、4,4−ジフェニ
ルエーテルジイソシアネート、クロロジフェニルジイソ
シアネートなどの核置換芳香族化合物等がある。また、
2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチ
ル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDI)、
1,3−ジイソシアナートメチルシクロヘキサン(水添
XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイ
ソシアネート)(水添MDI)等が挙げられる。
【0033】ブロックポリイソシアネートの調製に用い
るブロック剤とはイソシアネートが室温環境で反応する
のを防止するために、イソシアネート中のイソシアネー
ト基と一時的に反応させる低分子量化合物をいう。一般
に、ブロック剤は加熱下イソシアネート基から脱離す
る。
【0034】ブロック剤はこの分野では良く知られてい
るものを用いることができる。例えば、フェノール、ク
レゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチ
ルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε−カプ
ロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム
およびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック
剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンなどの活
性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコ
ール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジア
セトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチルなどの
アルコール系ブロック剤;ホルムアルドキシム、アセト
アルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシ
ム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム
などのオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘ
キシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフ
ェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノー
ルなどのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベン
ズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド
およびマレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;イ
ミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾー
ル系ブロック剤;ピラゾール系ブロック剤;及びトリア
ゾール系ブロック剤等を挙げることができる。このう
ち、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ラクタ
ム系およびオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
【0035】バインダー成分の硬化性を調節するため、
必要に応じてジブチルチンジラウレート、ジブチルチン
オキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレタン開裂
触媒を本発明のカチオン電着塗料組成物に含有させてよ
い。その量はブロックポリイソシアネートの0.1〜5
重量%とすることが好ましい。
【0036】中和剤 中和剤とはカチオン化樹脂に含まれるカチオン性基と結
合して塩を形成し、カチオン化樹脂を水性媒体に分散可
能にする成分をいう。一般には、中和剤は有機酸及び無
機酸である。中和剤のpKaは一般に0.9〜4.8で
ある。
【0037】より好ましくは、中和剤として有機酸及び
有機酸の金属塩を組み合わせて用いる。有機酸の金属塩
を用いることによりバインダー成分の硬化速度が増大
し、塗料組成物の耐ハジキ性が改良されるからである。
【0038】好ましい有機酸の具体例には、乳酸、酢
酸、蟻酸及びスルファミン酸等が挙げられる。特に好ま
しい有機酸は乳酸である。
【0039】有機酸と塩を形成する金属の好ましい具体
例には、銅、ニッケル、コバルト及び亜鉛等が挙げられ
る。特に好ましい金属は亜鉛である。
【0040】カチオン電着塗料組成物 本発明のカチオン電着塗料組成物は、上述のアミン変性
エポキシ樹脂、硬化剤等、及びその他のカチオン電着塗
料組成物に通常含有させる成分を、中和剤を含む水性媒
体中に分散させることによって調製される。成分の分散
は通常の方法で行えばよい。
【0041】水性媒体中には水の他に種々の有機溶剤を
樹脂の溶解、粘度などの調整のために用いてもよい。使
用し得る溶剤の例としては炭化水素類(例えば、キシレ
ンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルア
ルコール、n-ブチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘ
キシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチ
ルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコー
ルモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート)あとはそれらの混合物
が挙げられる。これらの溶剤の使用量は塗料全体に対し
て約0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15重
量%である。
【0042】硬化剤の量は、硬化時にカチオン化樹脂中
の1級、2級又は/及び3級アミノ基、水酸基等の活性
水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるよう
に調節する。アミン変性エポキシ樹脂と硬化剤との固形
分重量比で表して一般に90/10〜50/50、好ま
しくは80/20〜65/35の範囲である。
【0043】中和剤の量は、電着塗料組成物中に中和剤
として含まれる有機酸の総量がアミン変性エポキシ樹脂
100gに対して15〜30ミリグラム当量、好ましく
は16〜28ミリグラム当量、更に好ましくは18〜2
6ミリグラム当量になる量とする。有機酸の総量とは、
遊離の有機酸の量と金属塩化した有機酸の量との合計を
いう。
【0044】有機酸の総量がアミン変性エポキシ樹脂1
00gに対して15ミリグラム当量未満であるとバイン
ダー成分の水性媒体中での乳化安定性が低下し、30ミ
リグラム当量を越えると電着塗料組成物のつきまわり性
が低下する。
【0045】有機酸と有機酸の金属塩との含有割合は当
量比で0.3/1〜5/1、好ましくは0.4/1〜4
/1、より好ましくは0.5/1〜4/1である。
【0046】有機酸と有機酸の金属塩との含有割合が当
量比で0.3/1未満であるとバインダー成分の水性媒
体中での乳化安定性が低下し、5/1を越えると金属塩
の導入量が少なくなり、電着塗料組成物の耐ハジキ性が
低下する。
【0047】本発明のカチオン電着塗料組成物には、上
記成分の他に必要に応じカチオン電着塗料組成物に通常
含有させる成分を通常使用する量添加することができ
る。かかる成分としては、例えば、顔料、顔料分散樹
脂、粘度調節剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤等を挙げることができる。
【0048】カチオン電着塗料組成物には一般に塗膜に
色彩や隠蔽及び耐食性を付与するため顔料を含有させ
る。本発明の電着塗料組成物にも通常用いられる顔料を
含有させてよい。かかる顔料の例としては、チタンホワ
イト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔
料、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カル
シウム、マイカ、クレー及びシリカのような体質顔料、
リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カ
ルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、ト
リポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブ
デン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリン
モリブデン酸アルミニウムのような防錆顔料等が挙げら
れる。
【0049】顔料を電着塗料組成物の成分として用いる
場合、一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させて
ペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料
組成物で用いる低濃度均一状態に、一工程で分散させる
のは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔
料分散ペーストという。
【0050】顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散用樹
脂と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹
脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分
子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級ス
ルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチ
オン性重合体を用いる。一般に、顔料は100重量部、
水性媒体は10〜100重量部の固形分比で用いる。
【0051】これらの成分を混合した後、混合物を顔料
が所定の均一な粒径となるまで分散させて顔料分散ペー
ストを得る。分散には通常分散装置を用いる。例えば、
ボールミルやサンドグラインドミル等を用いる。顔料分
散ペーストに含まれる顔料の粒径は、通常15μm以下
である。
【0052】顔料分散ペーストをカチオン電着塗料組成
物に配合する場合、顔料分散ペーストの配合量はカチオ
ン電着塗料組成物中、固形分として顔料が50重量%を
越えない量とすることが好ましい。
【0053】電着塗装 本発明のカチオン電着塗料組成物を使用して電着塗装を
行う場合、被塗物としては導電性のあるものであれば特
に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板及
びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等を挙げ
ることができる。
【0054】電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との
間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印
加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、45
0Vを超えると、消費電力が大きくなり、不経済であ
る。本発明の組成物を使用して上述の範囲内で電圧を印
加すると、電着過程における急激な膜厚の上昇を生じる
ことなく、被塗物全体に均一な被膜を形成することがで
きる。
【0055】上記電圧を印加する場合のカチオン電着塗
料組成物の浴液温度は、通常、10〜45℃が好まし
い。
【0056】電着過程は、(i)カチオン電着塗料組成
物に被塗物を浸漬する過程、及び(ii)上記被塗物を陰
極して、陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる
過程、から構成されることが好ましい。また、電圧を印
加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、
2〜4分とすることができる。
【0057】上述のようにして得られる電着被膜は、電
着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜2
60℃、好ましくは160〜220℃で、10〜30分
間焼き付けることにより硬化させて、塗装を完了する。
【0058】本発明のカチオン電着塗料組成物を使用し
た場合、硬化後の電着塗膜の膜厚は10〜25μmが好
ましい。10μm未満であると、防錆性が不充分であ
り、25μmを超えると、塗料の浪費につながる。
【0059】このようにして得られる塗膜が形成された
被塗物は、目的に応じて必要な中塗及び/又は上塗りが
更に施される。例えば、自動車用外板の場合には、一般
に、耐チッピング性を付与するための溶剤型、水性又は
粉体の中塗り塗料を塗布し焼き付けた後、更に、ベース
塗料を塗布し、これを硬化させずにクリア塗料を塗布す
る、いわゆるウェットオンウェット方法で塗装され、そ
の後これらの塗膜を同時に焼き付ける2コート1ベーク
塗装方法が適用される。
【0060】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、
「部」および「%」は断らない限り重量基準による。
【0061】製造例1 アミン変性エポキシ樹脂の合成 撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソ
シアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチ
ルケトン(MIBK)95部およびジブチルチンジラウ
レート0.5部を仕込んだ。反応混合物を撹拌下、メタ
ノール21部を滴下した。反応は、室温から始め、発熱
により60℃まで昇温した。その後、30分間反応を継
続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシ
ルエーテル57部を滴下漏斗より滴下した。更に、反応
混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオキシド5モ
ル付加体42部を添加した。反応は主に、60〜65℃
の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシ
アネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
【0062】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410部になるまで130℃で
反応させた。
【0063】続いて、ビスフェノールA87部を加えて
120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190
となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノール
アミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およ
びアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79
重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反
応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるま
で希釈し、アミン変性エポキシ樹脂(樹脂固形分80
%)を得た。
【0064】このアミン変性エポキシ樹脂のアミノ基当
量は86meq/100gであった。
【0065】製造例2 硬化剤の合成 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1250
部及びメチルイソブチルケトン266.4部を反応容器
に仕込み、80℃になるまでこれらを加熱し、ジブチル
チンジラウレート2.5部を加えた。ブチルセロソルブ
(エチレングリコールモノブチルエーテル)944部に
ε−カプロラクタム226部を溶解させた溶液を上記反
応容器に80℃にて2時間かけて滴下した。温度を10
0℃まで上げ、4時間加熱してイソシアネート基の吸収
スペクトルが消失したことを確認した。ついで、メチル
イソブチルケトン336.1部を加えてブロックポリイ
ソシアネート硬化剤を得た。
【0066】製造例3 硬化剤(ハーフブロックイソシアネート)の合成 イソホロンジイソシアネート(IPDI)222部を反
応容器に入れ、メチルイソブチルケトン39.1部で希
釈した後、ジブチルチンジラウレート0.2部を加え、
50℃に昇温し、2−エチルヘキサノール131.5部
を樹脂温度が55℃を越えないように2時間かけて加え
た。撹拌しながら反応温度を50℃に1時間維持し、ハ
ーフブロックイソシアネート硬化剤を得た。
【0067】製造例4 顔料分散樹脂の調製 反応容器に、エポキシ当量188のビスフェノールA型
エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル・カンパニー社製)38
2.2重量部とビスフェノールA117.8重量部を仕
込み、窒素雰囲気下、150〜160℃で1時間反応さ
せ、120℃に冷却した後、製造例3で調製した2−エ
チルヘキサノールハーフブロックIPDI(MIBK溶
液)209.8重量部を加えた。140〜150℃で1
時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエー
テル205.0重量部を加えて60〜65℃に冷却し
た。
【0068】そこへ、1−(2−ヒドロキシエチルチ
オ)−2−プロパノール408.0重量部、脱イオン水
144.0重量部、ジメチロールプロピオン酸134重
量部を加え、酸価が1となるまで65〜75℃で反応さ
せ、エポキシ樹脂に3級スルホニウム基を導入し、脱イ
オン水1595.2重量部を加えて3級化を終了させる
ことにより、顔料分散用3級スルホニウム塩基含有エポ
キシ樹脂を得た(樹脂固形分30%)。
【0069】製造例5 顔料分散ペーストの調製 サンドグラインドミルに製造例4で得た顔料分散樹脂2
00部、カーボンブラック2.0部、カオリン100.
0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アル
ミニウム18.0部およびイオン交換水を入れ、粒度1
0μm以下になるまで分散して、鉛フリー顔料分散ペー
ストを得た(固形分60%)。
【0070】実施例1 カチオン電着塗料組成物の調製 製造例1のアミン変性エポキシ性樹脂と、製造例2の硬
化剤を固形分配合比70:30で均一に混合した。この
時、アミン変性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネ
ート硬化剤の合計重量100gに対してアミン当量は6
0meqであった。
【0071】その後、エチレングリコールモノ−2−エ
チルヘキシルエーテルを、固形分に対して3%になるよ
うに加えた。このバインダー成分800部に対して50
%乳酸(pKaは3.862)を8.0部加え、乳酸亜
鉛を12.0部加えた。有機酸の総量はアミン変性エポ
キシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤の合計重
量100gに対して20ミリグラム当量である。更にイ
オン交換水を加えてゆっくり希釈した。固形分が36.
0%となるように、減圧下でMIBKを除去することに
より、メインエマルジョンとした。
【0072】このメインエマルジョン1580.2部お
よび製造例5で得た顔料分散ペースト420.2部を、
イオン交換水2025.2部およびジブチルチンオキサ
イド9.3部と混合して、固形分20.0重量%のカチ
オン性電着塗料を調製した。電着塗料中の顔料含有量と
全樹脂含有量の固形分重量比は1/3.5であった。
【0073】このように調製したカチオン電着塗料組成
物のつきまわり性、耐ガスピン性、耐ハジキ性、及び貯
蔵安定性を評価した。評価結果を表4に示した。
【0074】評価手順 (A)つきまわり性 実施例によって得られたカチオン電着塗料組成物を使用
して、図1に示す測定装置により、4枚ボックスつきま
わり性を測定した。プラスチック性の電着塗装容器(1
00×250×200mm)に、調製した電着塗料4リ
ットルを入れ、マグネチックスターラーで撹拌した。4
枚のリン酸亜鉛処理鋼板(JIS G3141 SPC
C−SDのサーフダインSD−5000処理)を用い、
鋼板の間隔を各20mmとし、対極方向から3枚目まで
には8mmφの穴を空け、上記穴からのみ塗料が侵入で
きるようにした箱状構造の評価板を作製し、対極までの
距離が150mmとなるように上記電着塗装容器中に設
置した。
【0075】上記箱状構造の評価板の側部は、電気絶縁
処理を行い、該側部には皮膜を形成させないようにし
た。上記評価板を陰極として対極との間に電圧を印加し
て塗装した。
【0076】塗装は、印加開始から5秒間で所定の電圧
まで昇圧し、その後、175秒間所定の電圧を維持する
ことにより行った。この時の浴温は30℃に調節した。
塗装後の評価板は、水洗した後、170℃で20分間焼
き付けし、空冷後、対極に最も近い評価板Aの膜厚と、
対極に最も遠い評価板のG面の膜厚とを測定し、G面と
A面との膜厚比(G/A値(%))を求めた。
【0077】(B)耐ガスピン性 カチオン電着塗料組成物を含む電着浴にリン酸亜鉛処理
した冷延鋼板(寸法:70×150mm)を浸した。こ
の鋼板に電圧を印加し、5秒間かけて200Vの電圧に
昇圧し、175秒間電着した。その後、水洗し、160
℃で10分間焼き付けて、カチオン電着塗膜を得た。次
いで、4枚の冷延鋼板を用いて、電圧を220V、24
0V、200Vおよび280Vにそれぞれ変化させてこ
の操作を繰り返した。
【0078】得られた塗膜の塗面状態を目視観察し、ガ
スピンの有無により、以下の基準で評価した。
【0079】評価基準:
【表1】
【0080】(C)耐ハジキ性 カチオン電着塗料組成物を、リン酸亜鉛処理した冷延鋼
板(寸法:10cm×15cm)に乾燥膜厚20μmと
なるように電着した。この電着塗装板を水洗し、10分
間室温放置した。
【0081】電着塗装板を塗装面を上向きにして水平に
置き、直径15mm、高さ5mmのアルミホイル製のカ
ップを板の中央に両面テープで貼った。このアルミホイ
ル製カップに防錆油と水をスポイトで1滴づつ入れた。
【0082】カップを付けた塗装板を160℃に設定し
たオーブン中に水平に維持して10分間焼付けた。焼付
け後のウエット板上の電着塗膜表面上に油が飛散して発
生したクレーター状の塗膜欠陥を、以下の評価基準によ
り目視評価した。
【0083】評価基準:
【表2】
【0084】(D)貯蔵安定性 電着塗料2リットルを撹拌下40℃で2週間貯蔵した。
この塗料を380メッシュの金網でろ過し、残渣を測定
した(mg/塗料1kg)。その残渣量から以下の評価
基準で貯蔵安定性を評価した。
【0085】評価基準:
【表3】
【0086】実施例2 カチオン電着塗料組成物の調製 製造例2の硬化剤の代わりに製造例3の硬化剤を用いる
こと以外は実施例1と同様にしてカチオン電着塗料組成
物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物のつきまわ
り性、耐ガスピン性、耐ハジキ性、及び貯蔵安定性を実
施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示し
た。
【0087】実施例3 カチオン電着塗料組成物の調製 50%乳酸の添加量を17.0部とし、乳酸亜鉛の添加
量を12.0部とすること以外は実施例1と同様にし
て、カチオン電着塗料組成物を得た(有機酸と有機酸の
金属塩との当量比:1.2/1)。得られたカチオン電
着塗料組成物のつきまわり性、耐ガスピン性、耐ハジキ
性、及び貯蔵安定性を実施例1と同様にして評価した。
評価結果を表4に示した。
【0088】比較製造例1 アミン変性エポキシ樹脂の合成 撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソ
シアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチ
ルケトン(MIBK)95部およびジブチルチンジラウ
レート0.5部を仕込んだ。反応混合物を撹拌下、メタ
ノール21部を滴下した。反応は、室温から始め、発熱
により60℃まで昇温した。その後、30分間反応を継
続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシ
ルエーテル57部を滴下漏斗より滴下した。更に、反応
混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオキシド5モ
ル付加体42部を添加した。反応は主に、60〜65℃
の範囲で行い、IRスペクトルの測定において、イソシ
アネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
【0089】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410部になるまで130℃で
反応させた。
【0090】続いて、ビスフェノールA54部を加えて
120℃で反応させた。その後、反応混合物を冷却し、
ジエタノールアミン15.4部、N−エチルエタノール
アミン33.6部およびアミノエチルエタノールアミン
のケチミン化物の79重量%MIBK溶液35部を加
え、110℃で2時間反応させた。その後、MIBKで
不揮発分80%となるまで希釈し、アミン変性エポキシ
樹脂(樹脂固形分80%)を得た。このアミン変性エポ
キシ樹脂のアミノ基当量は130meq/100gであ
った。
【0091】比較例1 カチオン電着塗料組成物の調製 製造例1のアミン変性エポキシ樹脂の代わりに比較製造
例1のアミン変性エポキシ樹脂を用い、50%乳酸の添
加量を24.9部とし、乳酸亜鉛の添加量を12.0部
とすること以外は実施例1と同様にして、カチオン電着
塗料組成物を得た(有機酸総量:35meq/100
g、及び有機酸と有機酸の金属塩との当量比:1/1.
7)。得られたカチオン電着塗料組成物のつきまわり
性、耐ガスピン性、耐ハジキ性、及び貯蔵安定性を実施
例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示した。
【0092】比較例2 カチオン電着塗料組成物の調製 50%乳酸の添加量を22.5部とし、乳酸亜鉛を添加
しないこと以外は実施例1と同様にして、カチオン電着
塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の
つきまわり性、耐ガスピン性、耐ハジキ性、及び貯蔵安
定性を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4
に示した。
【0093】
【表4】
【0094】この結果から、実施例によって得られたカ
チオン電着塗料組成物はつきまわり性、耐ガスピン性、
及び耐ハジキ性について従来のカチオン電着塗料組成物
に比べて顕著に向上しており、貯蔵安定性は従来のカチ
オン電着塗料組成物と同等であることが示された。
【0095】
【発明の効果】水性媒体に対する分散安定性は低下させ
ないで、つきまわり性、耐ガスピン性、及び耐ハジキ性
等を改良したカチオン電着塗料組成物が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4枚ボックス法によるつきまわり性測定装置
の概要を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…評価板(英字は評価面を表し、括弧内は、裏面を表
す)、 2…対極、 3…直流電流、 4…貫通孔、 5…電着塗装槽、 6…スターラー、 7…電着塗料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J034 BA02 CA04 CA15 CB05 CB08 CC44 CC45 CC52 CC61 CC67 CD01 CD03 DA02 DA03 DB04 DB05 DB08 DC02 DC12 DC15 DC20 DC25 DC34 DC35 DC42 DK09 HA01 HA07 HD03 HD04 HD05 HD06 HD07 JA06 LA22 LA33 QC03 RA07 4J038 DB021 DB391 DG161 DG301 JA37 JA47 JB18 KA02 KA03 MA08 MA10 NA24 NA25 PA04 PB07 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミン変性エポキシ樹脂とブロックポリ
    イソシアネート硬化剤とを含有するバインダー成分を、
    中和剤として有機酸と有機酸の金属塩とを含有する水性
    媒体中に分散させて成るエマルジョンを含有するカチオ
    ン電着塗料組成物において、 該中和剤として含まれる有機酸の総量がアミン変性エポ
    キシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤の合計重
    量100gに対して15〜30ミリグラム当量であり、
    有機酸と有機酸の金属塩との当量比が0.3/1〜5/
    1であるカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記有機酸の金属塩を形成する金属が
    銅、ニッケル、コバルト又は亜鉛である請求項1記載の
    カチオン電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記有機酸のpKaが0.9〜4.8で
    ある請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 前記有機酸が乳酸、蟻酸又はスルファミ
    ン酸である請求項1記載のカチオン電着塗料組成物。
  5. 【請求項5】 前記アミン変性エポキシ樹脂のアミノ基
    当量が、アミン変性エポキシ樹脂とブロックポリイソシ
    アネート硬化剤の合計重量100gに対して50〜80
    ミリグラム当量である請求項1記載のカチオン電着塗料
    組成物。
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