JP4518800B2 - 無鉛性カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

無鉛性カチオン電着塗料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4518800B2
JP4518800B2 JP2004002242A JP2004002242A JP4518800B2 JP 4518800 B2 JP4518800 B2 JP 4518800B2 JP 2004002242 A JP2004002242 A JP 2004002242A JP 2004002242 A JP2004002242 A JP 2004002242A JP 4518800 B2 JP4518800 B2 JP 4518800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrodeposition coating
parts
agent
coating composition
cationic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004002242A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005194390A (ja
Inventor
与志夫 児島
宏 細野
伊藤  誠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Toyota Auto Body Co Ltd
Toyota Motor Corp
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Toyota Auto Body Co Ltd
Toyota Motor Corp
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Toyota Auto Body Co Ltd, Toyota Motor Corp, Nippon Paint Holdings Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2004002242A priority Critical patent/JP4518800B2/ja
Publication of JP2005194390A publication Critical patent/JP2005194390A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4518800B2 publication Critical patent/JP4518800B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、無鉛性カチオン電着塗料組成物に関し、特に、揮発性有機分含有量(VOC)及び金属イオン濃度が低い、高つきまわり性かつ低加熱減量である無鉛性カチオン電着塗料組成物に関する。
カチオン電着塗装は、複雑な形状を有する被塗物であっても細部にまで塗装を施すことができ、自動的かつ連続的に塗装することができるので、特に自動車車体等の大型で複雑な形状を有する被塗物の下塗り塗装方法として広く実用化されている。カチオン電着塗装は、カチオン電着塗料中に被塗物を陰極として浸漬させ、電圧を印加することにより行なわれる。
これまで電着塗料には、塗膜の耐食性を改良するため、鉛を含む金属触媒(耐食性付与剤等)が添加されてきた。近年、金属イオン、特に鉛イオンは環境に対して悪影響を与えることから、電着塗料に使用する金属触媒の量を削減することが要求されている。
さらに、最近、環境に対する意識が高まるにつれ、先進国などでは、有害大気汚染物質(HAPs)の量を規制する方向に進んでいる。電着塗料は樹脂を合成する際の溶剤として、及び電着塗膜のフロー助剤や塗装作業性の調整剤として、揮発性有機溶媒を含んでいる。そのため、環境規制基準が強化された場合は使用が困難となる怖れがある。
一方で、近年は塗装コストを低減させることが要求されており、塗料自体の使用量の減少も望まれている。
カチオン電着塗装の過程における塗膜の析出は電気化学的な反応によるものであり、電圧の印加により、被塗物表面に塗膜が析出する。析出した塗膜は絶縁性を有するので、塗装過程において、塗膜の析出が進行して析出膜の増加するのに従い、塗膜の電気抵抗は大きくなる。その結果、塗膜が析出した部位での塗料の析出は低下し、代わって、未析出部位への塗膜の析出が始まる。このようにして、順次被着部分に塗料固形分が被着して塗装を完成させる。本明細書中、被塗物の未着部位に塗膜が順次形成される性質をつきまわり性という。
カチオン電着塗装は、通常は下塗り塗装に使用され、防錆等を主目的として行われることから、複雑な構造を有する被塗物であっても、すべての部分でその塗膜の膜厚を所定値以上にする必要がある。そのため、膜厚にムラがあると、厚い部分は塗り過ぎであり、塗料が過剰に使用されていることとなる。従って、塗料の使用量を減少させるためには、電着塗料のつきまわり性を改良し、膜厚を均一にする必要がある。
つきまわり性低下の要因としては、形成させる塗膜中に、塗料に含まれているイオン性基、水和官能基等が残存し、これらが電荷移動媒体となることによって塗膜の電気抵抗値を下げてしまうことが考えられる。従って、カチオン電着塗装において、高いつきまわり性を実現するためには、このような要因を除去して塗膜の電気抵抗値を上げる必要がある。
特開2002−356647号公報(特許文献1)には、本出願人らの提案による無鉛性カチオン電着塗料組成物が記載されている。この提案によって高つきまわり性の電着塗料組成物を得ることができるが、高つきまわり性などに対するさらなる要求により、バインダー樹脂の構成成分についてさらに検討する余地もでてきた。
ところでカチオン電着塗料組成物において、バインダー樹脂の構成成分の1つであるブロックポリイソシアネート硬化剤は、ブロック剤によってブロックされることにより塗料中における安定性等が高められている。そしてこれらのブロック剤は、主として電着塗膜の焼付け硬化時に脱ブロック化され揮散する。この脱ブロック化によるブロック剤の揮散は、乾燥炉内でヤニとなって付着し、乾燥炉などを汚染する要因となりうる。
特開2002−356647号公報
本発明は、VOC及び金属イオン濃度が低く、また、電着塗料自体の使用量も少なくて済むために環境に与える影響が少ない、高つきまわり性かつ低加熱減量の無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供することにある。
本発明は、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶解した、カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂及びブロックポリイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、金属触媒を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物であって、揮発性有機分含有量が0.1〜1.0重量%であり、金属イオン濃度が50〜500ppmであり、中和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10〜30mg当量であり、被塗物に対して厚さ10〜20μmに電着された塗膜の膜抵抗が1000〜1500kΩ/cm2であり、ブロックポリイソシアネート硬化剤がポリイソシアネートをブロック剤によりブロック化して得られるブロックポリイソシアネート硬化剤であってこのブロック剤の分子量が60〜200であり、ブロックポリイソシアネート硬化剤のガラス転移温度が−5〜20℃である、無鉛性カチオン電着塗料組成物を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
上記ブロック剤は、分子量60〜100を有するブロック剤Aと分子量150〜200を有するブロック剤Bとを含むのが好ましい。そして、このブロック剤に含まれるブロック剤Aとブロック剤Bとのモル比A/Bは、50/50〜70/30であるのがより好ましい。
本明細書でいう「無鉛性」とは、実質上鉛を含まないことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を含まないことを意味する。具体的には、電着浴中の鉛化合物濃度が50ppm、好ましくは20ppmを超える量で鉛を含まないことをいう。
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、つきまわり性が高いため、塗料自体の使用量が少なくて済み、またVOC及び金属イオン濃度が低いため、環境に与える影響が少ない。さらに本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、加熱減量が低く、焼付け硬化時におけるヤニの発生が低減されているため、塗装ラインの乾燥炉などのメンテナンスが容易である。
カチオン電着塗料組成物は、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶解した、バインダー樹脂、中和酸、有機溶媒、金属触媒等種々の添加剤を含有する。バインダー樹脂は官能基を有するカチオン性樹脂とこれを硬化させるブロックポリイソシアネート硬化剤とを含む。水性媒体としては、イオン交換水等が一般に用いられる。
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂として、カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を用いる。カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂として、アミンで変性されたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が好ましい。カチオン性エポキシ樹脂として、カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂と併せて、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂を用いることもできる。
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
本発明では、特開平5−306327号公報に記載される、下記式
Figure 0004518800
[式中、Rはジグリシジルエポキシ化合物のグリシジルオキシ基を除いた残基、R’はジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、nは正の整数を意味する。]で示されるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いる。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネートとポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば特開2000−128959号公報に記載されており、公知である。
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。本発明の1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数のものを併用して用いてもよい。
ブロックポリイソシアネート硬化剤
本発明のブロックポリイソシアネート硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤によりブロック化して得られる。本発明のブロックポリイソシアネート硬化剤は、ガラス転移温度(Tg)が下限−5℃、上限20℃である。上記下限は0℃であるのがより好ましく、上記上限は15℃であるのがより好ましい。Tgが−5℃未満であると塗膜の粘性が低く塗膜抵抗値が十分得られず、つきまわり性が劣ることとなり、20℃を越えると電着塗装時の熱フローが十分得られず外観不良となるおそれがある。
ブロックポリイソシアネート硬化剤のTgの調節は当業者に周知の方法により行なえば足りる。ここでいうTgは樹脂のガラス転移温度であって、示差走査熱量計で樹脂のガラス転移に伴う熱変化を検出することにより測定された値をいう。使用できる示差走査熱量計としては、例えば、セイコー電子工業社製DSC220C等を挙げることができる。
ブロックポリイソシアネート硬化剤の調製で使用されるポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、このMDIとしてジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびこれらの混合物が含まれる、MDIと多核体との混合物であるクルードMDI、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックポリイソシアネート硬化剤に使用してよい。
ポリイソシアネートをブロック化するブロック剤は、イソシアネート基に付加してブロックすることによって、常温ではポリイソシアネート硬化剤を安定に保ち、そして解離温度以上に加熱すると脱ブロック化して遊離のイソシアネート基を再生することができるものである。
ブロック剤として使用できる化合物として、分子量60〜200であるものが好ましく、例えば、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−ブトキシエトキシプロパノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルまたはそれらの誘導体などが挙げられる。そして本発明においては、ブロック剤として、分子量の下限60、好ましくは70、そして上限200を有するブロック剤を使用する。上記範囲の分子量を有するブロック剤を使用することにより、加熱減量が少なく、塗装ラインの乾燥炉内で生じ得るヤニの発生が低減された電着塗料組成物を得ることができるからである。ここで加熱減量は、電着塗膜の焼付け硬化時における減量割合(%)を意味する。この加熱減量は下記式より求めることができる。
Figure 0004518800
式中、W0:塗装前のテストパネルの重量、W1:未硬化の電着塗膜を有するテストパネルの重量、W2:焼付け硬化された電着塗膜を有するテストパネルの重量、を表わす。
ポリイソシアネートをブロック化するブロック剤として、分子量の下限60、上限100を有するブロック剤Aと、分子量の下限150、上限200を有するブロック剤Bと、を併用するのが好ましい。ブロック剤として、分子量60〜100を有するブロック剤Aを多く配合する事で加熱減量はより低下する事になるが、これらのような比較的低分子量のブロック剤を反応させたポリイソシアネートは、結晶化などの状態変化が起こりやすい。そのため、長期の安定性が必要である電着塗料用ブロックイソシアネートのブロック剤としては、一般にブロック剤Aのような低分子量のものは適さない。また、分子量150以上の分子量を有するブロック剤では、結晶化の問題の発生は少ないものの、分子量が200を超えるものでは低い加熱減量を得難くなる。本発明においては、これらの特徴を踏まえ、上記範囲の分子量を有するブロック剤Aとブロック剤Bとを併用する事によって、電着塗料における長期安定性を悪化させることなく、焼き付け硬化時におけるヤニの発生を低減させる事ができる。
上記ブロック剤Aとブロック剤Bとのモル比A/Bは、50/50〜70/30の範囲で用いるのが好ましく、モル比A/Bが60/40〜70/30の範囲で用いるのがより好ましい。
なお、揮発性のブロック剤はHAPsの対象として規制されているものが多いため、ブロック剤の使用量は必要最小限とすることが好ましい。
顔料
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、必要に応じた顔料を含んでもよい。含まれ得る顔料として、着色顔料、防錆顔料および体質顔料が挙げられるが、これらの顔料は塗料のつきまわり性を著しく低下させない範囲の量で用いられる。具体的には塗料組成物中に含まれる顔料と樹脂固形分との重量比(P/V)が1/2.5以下になる量で用いるのが好ましい。
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物に含有させてよい顔料の具体例としては、カーボンブラックのような着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー及びシリカのような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。
顔料分散ペースト顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂は5〜40重量部、顔料は20〜50重量部の固形分比で用いる。
金属触媒
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物には塗膜の耐食性を改良するための触媒として、金属触媒を金属イオンとして含有させる。その金属イオンとしては、セリウムイオン、ビスマスイオン、銅イオン、亜鉛イオンが好ましい。これらは適当な酸と組み合わせた塩や金属イオンを含有する顔料からの溶出物として電着塗料組成物に配合される。酸としては、カチオン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸として後に説明する塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸のいずれかであればよい。好ましい酸は酢酸である。
金属触媒の配合量は、電着塗料中の金属イオン濃度の上限が500ppmとなる量で配合する。環境への影響をより少なくするためである。電着塗料中の金属イオン濃度の下限は50ppmであるのが好ましく、100ppmであるのがより好ましい。上記上限は450ppmであるのがより好ましい。但し、塗料組成物に顔料を含ませる場合は、顔料から溶出する金属イオンの量も考慮して、上記範囲内に制御する必要がある。顔料から溶出する金属イオンの例としては、亜鉛イオン、モリブデンイオン、アルミニウムイオン等がある。
電着塗料中の金属イオン濃度が500ppmを超えると環境に対して与える影響が大きくなり、また、金属イオンの濃度が高くなると塗膜の析出性も低下することとなるため、塗料のつきまわり性も低下する。電着塗料中の金属イオン濃度は遠心分離処理により得られた上澄み液を原子吸光分析することにより測定する。
電着塗料組成物
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は、上に述べた金属触媒、カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート硬化剤、及び顔料分散ペーストを水性媒体中に分散することによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して、バインダー樹脂エマルションの分散性を向上させるために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
塗料組成物に含有させる中和酸の量が多くなるとカチオン性エポキシ樹脂の中和率が高くなり、バインダー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が高くなり、分散安定性が増加する。このことは、電着塗装時に被塗物に対してバインダー樹脂が析出し難い特性を意味し、塗料固形分の析出性は低下する。
逆に、塗料組成物に含有させる中和酸の量が少ないとカチオン性エポキシ樹脂の中和率が低くなり、バインダー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が低くなり、分散安定性が減少する。このことは、塗装時に被塗物に対してバインダー樹脂が析出し易い特性を意味し、塗料固形分の析出性は増大する。
従って、電着塗料のつきまわり性を改良するためには、塗料組成物に含有させる中和酸の量を減らしてカチオン性エポキシ樹脂の中和率を低レベルに抑えることが好ましい。
具体的には、中和酸の量は、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックポリイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂固形分100gに対して下限10mg当量、上限30mg当量の範囲が好ましい。上記下限は15mg当量であるのがより好ましい。中和酸の量が10mg当量未満であると水への親和性が十分でなく水への分散ができないか、著しく安定性に欠ける状態となり、30mg当量を超えると析出に要する電気量が増加し、塗料固形分の析出性が低下し、つきまわり性が劣る状態となる。
尚、本明細書において中和酸の量は塗料組成物に含まれているバインダー樹脂固形分100gに対するmg当量数で表わし、MEQ(A)と表示する。
ブロックポリイソシアネート硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級アミノ基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂のブロックポリイソシアネート硬化剤に対する固形分重量比で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。
塗料組成物は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレタン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まないため、その量は樹脂固形分の0.1〜5重量%とすることが好ましい。
有機溶媒はカチオン性エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート硬化剤、顔料分散樹脂等の樹脂成分を合成する際に溶剤として必ず必要であり、完全に除去するには煩雑な操作を必要とする。また、バインダー樹脂に有機溶媒が含まれていると造膜時の塗膜の流動性が改良され、塗膜の平滑性が向上する。
塗料組成物に通常含まれる有機溶媒としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
従って、従来、樹脂成分からこれらの有機溶媒を完全には除去せず、また、別途有機溶媒を加えることにより、電着塗料のVOCをある程度高め、重量基準で1〜5%程度に調節されている。ここで、VOC(揮発性有機分含有量)で表現されている、揮発性有機分とは、沸点250℃以下の有機溶媒のことをいい、上記で具体的に列挙したものが該当する。
これに対し、本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物では、有機溶媒の含有量を従来と比較して低くするすることが好ましい。環境に対して悪影響を与えるのを防止するためである。具体的には、塗料組成物のVOCを下限0.1重量%、上限1.0重量%とする。上記下限は0.2重量%であるのがより好ましい。また上記上限は0.8重量%であるのがより好ましく、0.5重量%であるのがさらに好ましい。塗料組成物のVOCが上記範囲から外れる場合は、環境に対して与える影響が大きくなり、また、析出塗膜に対する流動性改良により塗膜抵抗値も減少するので、塗料のつきまわり性も低下する。
VOCを1.0重量%以下にする方法としては、反応時の粘度調整に使用される有機溶媒については、反応温度を上げ低溶剤又は無溶剤で反応させることで削減する。また反応時にどうしても必要な有機溶媒については、脱ソルベントなどの工程で回収されるよう低沸点の溶媒を使用するなどして、最終製品の揮発性有機分含有量を削減することができる。塗装時の粘性調整などに用いる有機溶媒については、ソフトセグメントによる変性等、樹脂を低粘度化するなどして、その含有量を削減することができる。
VOCの測定は、内部標準法によるガスクロ測定を実施し、有機溶媒として配合されているVOC成分量を測定することにより行なうことができる。
塗料組成物は、上記のほかに、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
本発明の無鉛性カチオン電着塗料組成物は被塗物に電着塗装され、電着塗膜(未硬化)を形成する。被塗物としては導電性のあるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等を挙げることができる。
電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異常外観となる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、通常10〜45℃に調節される。
電着過程は、(i)カチオン電着塗料組成物に被塗物を浸漬する過程、及び(ii)上記被塗物を陰極として、陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、2〜4分とすることができる。
電着塗膜の膜厚は10〜20μmとすることが好ましい。膜厚が10μm未満であると、防錆性が不充分であり、20μmを超えると、塗料の浪費につながる。また、電着塗膜の膜抵抗は膜厚10〜20μmにおいて下限1000kΩ/cm2、上限1500kΩ/cm2の範囲であることが好ましい。上記上限は1300kΩ/cm2であるのがより好ましい。塗膜の膜抵抗が1000kΩ/cm2未満であると十分な電気抵抗が得られていない状態であり、つきまわり性に劣る状態となり、1500kΩ/cm2を超えると塗膜外観が著しく劣ることとなる。
電着塗膜の膜抵抗は、析出膜の電荷移動媒体量や粘性を制御することにより調節できる。
上述のようにして得られる電着塗膜を、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、乾燥炉内で120〜260℃、好ましくは160〜220℃で、10〜30分間焼き付けることにより硬化させる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、重量基準による。
製造例1 カチオン性基を有する変性エポキシ樹脂の製造
撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を装備したフラスコに、液状エポキシ940部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)61.4部およびメタノール24.4部を仕込んだ。反応混合物は撹拌下室温から40℃まで昇温したあと、ジブチル錫ラウレート0.01部およびトリレンジイソシアネート(以下TDIと略す)21.75部を投入した。40〜45℃で30分間反応を継続した。反応はIRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。
上記反応物にポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル82.0部、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート 125.0部を添加した。反応は55℃〜60℃で行い、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続した。続いて昇温し、100℃でN,N-ジメチルベンジルアミン2.0部投入し、130℃で保持し、分留管を用いメタノールを分留すると共に反応させたところ、エポキシ当量は284となった。
その後、MIBKで不揮発分95%となるまで希釈し反応混合物を冷却、ビスフェノールA268.1部と2-エチルヘキサン酸93.6部を投入した。反応は120℃〜125℃で行いエポキシ当量が1320となったところでMIBKで不揮発分85%となるまで希釈し反応混合物を冷却した。ジエチレントリアミンの1級アミンをMIBKブロックしたもの93.6部、N−メチルエタノールアミン65.2部を加え、120℃で1時間反応させた。その後、カチオン性基を有するオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂(樹脂固形分85%)を得た。
製造例2 ブロックポリイソシアネート硬化剤Aの製造
クルードMDI 1330部およびMIBK585.6部を反応容器に仕込み、これを85〜95℃まで加熱した後、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(分子量162)486部を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、一時間保温した。その後MIBK194.8部を投入し50℃まで冷却し、プロピレングリコール(分子量76)532部を滴下した。滴下完了後60℃に加温し、一時間保温した。ジブチル錫ラウレートを0.4部投入した後昇温し、70℃にて1時間保温した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、ガラス転位温度が8℃のブロックポリイソシアネート硬化剤Aを得た。
製造例3 ブロックポリイソシアネート硬化剤Bの製造
クルードMDI 1330部およびMIBK610部を反応容器に仕込み、これを85〜95℃まで加熱した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(分子量174)783部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、一時間保温した。その後エチレングリコール(分子量62)341部を滴下した。滴下完了後ジブチル錫ラウレートを0.4部投入した後昇温し、80℃にて1時間保温した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、ガラス転位温度が0℃のブロックポリイソシアネート硬化剤Bを得た。
製造例4 ブロックポリイソシアネート硬化剤Cの製造
クルードMDI 1330部を反応容器に仕込み、これを45〜50℃まで加熱した後、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(分子量162)1620部を4時間かけて滴下した。滴下終了後、ジブチル錫ラウレートを2部投入した。120℃で一時間保温した。保温の後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認しMIBK440部で希釈し、ガラス転位温度が−20℃のブロックポリイソシアネート硬化剤Cを得た。
製造例5 ブロックイソシアネート硬化剤Dの製造
クルードMDI 1330部およびMIBK275部を反応容器に仕込み、これを85〜95℃まで加熱した後、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(分子量218)872部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、一時間保温した。その後MIBK344部を投入し40℃まで冷却し、エタノール(分子量46)276部を滴下した。滴下完了後50℃に加温し、二時間保温した。ジブチル錫ラウレートを0.4部投入した後昇温し、60℃にて1時間保温した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、ガラス転位温度が−15℃のブロックイソシアネート硬化剤Dを得た。
製造例6 顔料分散樹脂の製造
撹拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器にイソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略す)2220部MIBK342.1部を仕込み、昇温し50℃でジブチル錫ラウレート2.2部を投入し60℃でメチルエチルケトンオキシム(以下MEKオキシムと略)878.7部を仕込んだ。その後、60℃で1時間保温し、NCO当量が348となっていることを確認し、ジメチルエタノールアミン890部を投入した。60℃で1時間保温しIRでNCOピークが消失していることを確認後60℃を超えないよう冷却しながら50%乳酸1872.6部と脱イオン水495部を投入して4級化剤を得た。ついで異なる反応容器にTDI870部およびMIBK49.5部を仕込み、50℃以上にならないように2−エチルヘキサノール667.2部を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後MIBK35.5部を投入し、30分保温した。その後NCO当量が330〜370になっていることを確認しハーフブロックポリイソシアネートを得た。
撹拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装備した反応容器に、液状エポキシ940.0部メタノール38.5部で希釈した後、ここへジブチル錫ジラウレート0.1部を加えた。これを50℃に昇温した後、TDI87.1部投入さらに昇温した。100℃でN,N-ジメチルベンジルアミン1.4部を加え130℃で2時間保温した。このとき分留管によりメタノールを分留した。これを115℃まで冷却し、MIBKを固形分濃度90%になるまで仕込み、その後ビスフェノールA270.3部、2−エチルヘキサン酸39.2部を仕込み125℃で2時間加熱攪拌した後、前述のハーフブロックポリイソシアネート516.4部を30分間かけて滴下し、その後30分間加熱攪拌した。ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル1506部を徐々に加え溶解させた。90℃まで冷却後、前述の四級化剤を加え、70〜80℃に保ち酸価2以下を確認して、顔料分散樹脂を得た(樹脂固形分30%)。
製造例7 顔料分散ペーストの製造
サンドグラインドミルに製造例6で得た顔料分散用樹脂を106.9部、カーボンブラック1.6部、カオリン40部、二酸化チタン55.4部、リンモリブデン酸アルミニウム3部、脱イオン水13部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た(固形分60%)。
実施例1 カチオン電着塗料組成物の製造
製造例1で得られたカチオン基を有するオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と製造例2で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤Aを固形分比で70/30で均一になるよう混合した。さらに2−エチルヘキシルグリコールを樹脂固形分に対し3%添加したものに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量が27になるよう氷酢酸で中和し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
このエマルション1730部および製造例7で得られた顔料分散ペースト295部と、イオン交換水1970部と10%酢酸セリウム水溶液20部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物の塗料中溶剤量は0.5%、樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量は25.1、溶出しているセリウムイオンと亜鉛イオンの総量は205ppmであった。また浴温30℃における15μm塗装電圧は220Vで、電着終了時の残余電流から算出される塗膜抵抗値は1100KΩ・cm2であった。
実施例2
製造例1で得られたカチオン基を有するオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と製造例3で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤Bを固形分比で70/30で均一になるよう混合した。さらに2−エチルヘキシルグリコールを樹脂固形分に対し3%添加したものに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量が27になるよう氷酢酸で中和し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
このエマルション1730部および製造例7で得られた顔料分散ペースト295部と、イオン交換水1970部と10%酢酸セリウム水溶液20部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物の塗料中溶剤量は0.6%、樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量は25.0、溶出しているセリウムイオンと亜鉛イオンの総量は210ppmであった。また浴温30℃における15μm塗装電圧は200Vで、電着終了時の残余電流から算出される塗膜抵抗値は1050KΩ・cm2であった。
比較例1
製造例1で得られたカチオン基を有するオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と製造例4で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤Cを固形分比で70/30で均一になるよう混合した。さらに2−エチルヘキシルグリコールを樹脂固形分に対し1.5%添加したものに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量が27になるよう氷酢酸で中和し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
このエマルション1730部および製造例7で得られた顔料分散ペースト295部と、イオン交換水1970部と10%酢酸セリウム水溶液20部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物の塗料中溶剤量は0.2%、樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量は24.8、溶出しているセリウムイオンと亜鉛イオンの総量は205ppmであった。また浴温30℃における15μm塗装電圧は180Vで、電着終了時の残余電流から算出される塗膜抵抗値は800KΩ・cm2であった。
比較例2
製造例1で得られたカチオン基を有するオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と製造例5で得られたブロックイソシアネート硬化剤Dを固形分比で70/30で均一になるよう混合した。さらに2−エチルヘキシルグリコールを樹脂固形分に対し2%添加したものに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量が27になるよう氷酢酸で中和し、さらにイオン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除去することにより、固形分が36%のエマルションを得た。
このエマルション1730部および製造例7で得られた顔料分散ペースト295部と、イオン交換水1970部と10%酢酸セリウム水溶液20部およびジブチル錫オキサイド10部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物の塗料中溶剤量は0.3%、樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量は24.4、溶出しているセリウムイオンと亜鉛イオンの総量は195ppmであった。また浴温30℃における15μm塗装電圧は180Vで、電着終了時の残余電流から算出される塗膜抵抗値は750KΩ・cm2であった。
上記実施例1、2および比較例1、2で得られたカチオン電着塗料組成物について、下記の項目について評価を行った。その結果を表1に示す。
つきまわり性
つきまわり性は、いわゆる4枚ボックス法により評価した。すなわち、図1に示すように、4枚のリン酸亜鉛処理鋼板(JIS G 3141 SPCC−SDのサーフダインSD−5000(日本ペイント社製)処理)11〜14を、立てた状態で間隔20mmで平行に配置し、両側面下部および底面を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を用いる。なお、鋼板14以外の鋼板11〜13には下部に8mmφの貫通穴15が設けられている。このボックス10を、図2に示すように各実施例または比較例の電着塗料21を入れた電着塗装容器20内に浸漬し、各貫通穴15からのみ希釈塗料21がボックス10内に侵入するようにする。そして、各鋼板を電気的に接続し、最も近い鋼板11との距離が150mmとなるように対極22を配置した。各鋼板11〜14を陰極、対極22を陽極として電圧を印加して鋼板にカチオン電着塗装を行った。塗装は、印加開始から5秒間で鋼板11のA面に形成される塗膜の膜厚が20μmに達する電圧まで昇圧し、その後175秒間その電圧を維持することにより行った。このときの電着塗装設定温度は28℃に調節した。塗装後の各鋼板は、水洗した後、160℃で20分間焼き付けし、空冷後、対極22に最も近い鋼板11のA面に形成された塗膜の膜厚と、対極22から最も遠い鋼板14のG面に形成された塗膜の膜厚とを測定し、G面の膜厚が10μmの時の膜厚(G面)/膜厚(A面)の比(G/A値)によりつきまわり性を評価した。この値が大きいほどつきまわり性が良いと評価できる。
加熱減量
塗装前のテストパネルの重量(W0)を予め測定しておいた。このテストパネルに、15μmの膜厚が得られる電圧で3分間電着塗装した。電着塗装後、得られたテストパネルを水洗し、水切り乾燥させ、105℃に調整されたオーブンで3時間乾燥させた。こうして得られた、未硬化の電着塗膜を有するテストパネルの重量(W1)を測定した。ついで、テストパネルを、160℃に調整されたオーブンで被塗物(テストパネル)の温度が160℃で10分保持されるように焼き付け乾燥した。こうして得られた、焼付け硬化された電着塗膜を有するテストパネルの重量(W2)を測定した。下記式により、加熱減量を算出した。
Figure 0004518800
Figure 0004518800
つきまわり性を評価する際に用いるボックスの一例を示す斜視図である。 つきまわり性の評価方法を模式的に示す断面図である。
符号の説明
10…ボックス、
11〜14…リン酸亜鉛処理鋼板、
15…貫通穴、
20…電着塗装容器、
21…電着塗料、
22…対極。

Claims (2)

  1. 水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶解した、カチオン性オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂及びブロックポリイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、金属触媒を含有する無鉛性カチオン電着塗料組成物であって、
    揮発性有機分含有量が0.1〜1.0重量%であり、
    金属イオン濃度が50〜500ppmであり、
    中和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10〜30mg当量であり、
    被塗物に対して厚さ10〜20μmに電着された塗膜の膜抵抗が1000〜1500kΩ/cm2であり、
    ブロックポリイソシアネート硬化剤がポリイソシアネートをブロック剤によりブロック化して得られるブロックポリイソシアネート硬化剤であって、該ブロック剤の分子量が60〜200であり、および該ブロック剤が、分子量60〜100を有するブロック剤Aと分子量150〜200を有するブロック剤Bとを、ブロック剤Aとブロック剤Bとのモル比A/Bが50/50〜70/30の範囲で含んでおり、および
    該ブロックポリイソシアネート硬化剤のガラス転移温度が−5〜20℃である、
    無鉛性カチオン電着塗料組成物。
  2. 前記ブロック剤Aが、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択され、前記ブロック剤Bが、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−ブトキシエトキシプロパノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルおよびエチレングリコールジブチルエーテルからなる群から選択される、請求項1記載の無鉛性カチオン電着塗料組成物。
JP2004002242A 2004-01-07 2004-01-07 無鉛性カチオン電着塗料組成物 Expired - Lifetime JP4518800B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004002242A JP4518800B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004002242A JP4518800B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005194390A JP2005194390A (ja) 2005-07-21
JP4518800B2 true JP4518800B2 (ja) 2010-08-04

Family

ID=34817523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004002242A Expired - Lifetime JP4518800B2 (ja) 2004-01-07 2004-01-07 無鉛性カチオン電着塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4518800B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5293050B2 (ja) * 2008-09-26 2013-09-18 新日鐵住金株式会社 自動車部材
JP5846828B2 (ja) * 2011-09-30 2016-01-20 日本ペイント・インダストリアルコ−ティングス株式会社 電着塗料組成物

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07258586A (ja) * 1994-03-18 1995-10-09 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2002241690A (ja) * 2001-02-20 2002-08-28 Kansai Paint Co Ltd カチオン性塗料組成物
JP2002285392A (ja) * 2001-03-28 2002-10-03 Nippon Paint Co Ltd 電着塗装方法
JP2002285391A (ja) * 2001-03-28 2002-10-03 Nippon Paint Co Ltd 電着塗装方法
JP2002294146A (ja) * 2001-03-28 2002-10-09 Nippon Paint Co Ltd 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002356647A (ja) * 2001-03-28 2002-12-13 Nippon Paint Co Ltd 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
JP2003082283A (ja) * 2001-09-17 2003-03-19 Kansai Paint Co Ltd カチオン性塗料組成物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07258586A (ja) * 1994-03-18 1995-10-09 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物
JP2002241690A (ja) * 2001-02-20 2002-08-28 Kansai Paint Co Ltd カチオン性塗料組成物
JP2002285392A (ja) * 2001-03-28 2002-10-03 Nippon Paint Co Ltd 電着塗装方法
JP2002285391A (ja) * 2001-03-28 2002-10-03 Nippon Paint Co Ltd 電着塗装方法
JP2002294146A (ja) * 2001-03-28 2002-10-09 Nippon Paint Co Ltd 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002356647A (ja) * 2001-03-28 2002-12-13 Nippon Paint Co Ltd 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
JP2003082283A (ja) * 2001-09-17 2003-03-19 Kansai Paint Co Ltd カチオン性塗料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005194390A (ja) 2005-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006348074A (ja) アミン変性エポキシ樹脂の製造方法およびカチオン電着塗料組成物
JP4060620B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
JP4130086B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
KR20080078792A (ko) 무연 양이온계 전착 피복 조성물 및 전착 피복 방법
JP2010095668A (ja) カチオン性電着塗料組成物
JP2003138202A (ja) 抗菌性無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2008037889A (ja) カチオン電着塗料用電導度制御剤およびそれを用いるカチオン電着塗料の電気電導度調整方法
JP2005194389A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2004107654A (ja) 亜鉛めっき鋼板用カチオン電着塗料組成物
JP2006348316A (ja) 電着塗膜形成方法
JP4518800B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP4527944B2 (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP5325658B2 (ja) カチオン電着塗料の付き回り性の向上方法
JP2002285391A (ja) 電着塗装方法
JP2006002003A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2002356645A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002294146A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物
JP2002285392A (ja) 電着塗装方法
JP2006265689A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2008189960A (ja) 電着塗膜形成方法
JP2007313420A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2006348076A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2008156655A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及び塗装方法
JP2008214705A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2006002002A (ja) カチオン電着塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100316

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100420

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100518

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130528

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4518800

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140528

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term