JP2017137541A - 電着液及びこれを用いた絶縁皮膜の形成方法 - Google Patents

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慎太郎 飯田
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英章 桜井
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Abstract

【課題】電着法により非成膜性微粒子を用いることなく、誘電率の低い絶縁皮膜を被電着導電体の表面に形成する電着液を提供する。またこの電着液を用いて誘電率の低い絶縁皮膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】本発明の電着液は、被電着導電体の表面に絶縁皮膜形成するために用いられ、分散媒中にポリマー粒子に加えて、更にトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上のナノバブルを含む。本発明の絶縁皮膜の形成方法は、この電着液を用いて電着法により被電着導電体の表面に皮膜中にナノボイドが均一に分散した絶縁皮膜を形成する方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電着法により被電着導電体の表面に誘電率の低い絶縁皮膜を形成するための電着液及びこれを用いた絶縁皮膜の形成方法に関する。更に詳しくは、絶縁電線の絶縁皮膜を形成するのに適する電着液及びその形成方法に関するものである。
一般に、絶縁電線に高電圧が印加されると、その絶縁皮膜表面で部分放電(コロナ放電)が発生しやすくなり、コロナ放電の発生により、局部的な温度上昇やオゾンやイオンの発生が引き起こされ、その結果、絶縁皮膜が侵され、早期に絶縁破壊を生じ易くなることが知られている。そして、コロナ放電開始電圧を上げるために絶縁皮膜の低誘電率化が求められている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ワニスを導体に塗布して焼付けてなる絶縁皮膜の誘電率を低くするために、多価カルボン酸無水物と、芳香族ジカルボン酸又はそのはアルキルエステルとの組み合わせ、多価アルコール、並びにジアミン化合物を反応させてなるポリエステルイミド樹脂を主成分とするワニスが示される。このワニスでは、アミン化合物として、分子量250以上の所定の芳香族ジアミン化合物を使用し、多価アルコールとして、イソシアヌレート環を有する多価アルコールと炭素数が4以下の多価アルコールとを組み合わせた多価アルコールを使用し、ポリエステルイミド樹脂中のエステル部分に対するイミド酸部分の含有率比(イミド/エステル)を0.2〜1.0(但し、0.4を除く)にしている。
一方、電着法により低誘電率絶縁皮膜を形成するための電着液として、水性媒体中に、平均粒子径1μm以下かつ誘電率3以下の非成膜性微粒子と、重合性化合物および重合体の少なくとも一方からなる有機粒子とが分散しており、電着により絶縁膜を形成可能であることを特徴とする電着液が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第5770986号公報(請求項1、段落[0002]〜[0004]) 特開2001−294815号公報(請求項1、段落[0001])
しかし、上記従来の特許文献1に示されたワニスでは、塗布法により絶縁皮膜を形成するため、平角上の被塗装体を使用した場合には被塗装体の角部にワニスが付着し難く絶縁皮膜のコーナーカバー性が悪く絶縁信頼性が低下するという問題があった。
また上記従来の特許文献2に記載の電着液は、電着される成分が非成膜性微粒子と有機粒子という二種類の粒子成分を含むため、絶縁皮膜を形成したときに、二種類の粒子成分の比率が膜中で均一にならない場合もあった。
本発明の目的は、電着法により非成膜性微粒子を用いることなく、誘電率の低い絶縁皮膜を被電着導電体の表面に形成する電着液を提供することにある。本発明の別の目的は、この電着液を用いて誘電率の低い絶縁皮膜を形成する方法を提供することにある。
本発明者らは、ポリマー粒子が分散媒中に分散した電着液を作製する際の分散媒としてナノバブルが均一に分散した水を用い、これを電着液として使用することにより、ナノボイドが皮膜中に均一に分散した誘電率の低い絶縁皮膜が得られることに着目し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、分散媒中にポリマー粒子を含み、被電着導電体の表面に絶縁皮膜を形成するための電着液において、前記分散媒中にトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上のナノバブルを更に含むことを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記被電着導電体が金属線であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく電着液を用いて電着法により被電着導電体の表面に皮膜中にナノボイドが均一に分散した絶縁皮膜を形成する方法であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、前記被電着導電体が金属線であることを特徴とする。
本発明の第1の観点及び第3の観点に基づく発明では、電着液に所定の濃度で含有するナノバブルが分散媒中に均一に分散し電荷を有し、電圧印加により電荷を有するポリマー粒子とともにナノバブルも被電着導電体に電気泳動されるため、分散媒が蒸発してもナノバブルは絶縁皮膜中にナノボイドとして皮膜中に残存している可能性がある。この結果、電着法により非成膜性微粒子を用いることなく、被電着導電体の表面に形成された絶縁皮膜の誘電率を低くすることができる。
本発明の第2の観点及び第4の観点に基づく発明では、被電着導電体が金属線であると、金属線上に低誘電率の絶縁皮膜を形成した絶縁電線を作製でき、絶縁電線として使用した際のコロナ放電開始電圧を高めることができる。
本発明の実施形態の絶縁皮膜を被電着導電体の表面に形成するプロセスを示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔電着液の調製〕
(1) 電着液の種類について
本実施形態で用いられる電着液としては、水にポリマー粒子が分散した水分散型電着液及び水と水溶性有機溶媒を混合した溶媒にポリマー粒子が分散した水・有機溶媒分散型電着液が挙げられる。いずれの電着液もこの電着液に含まれるポリマー粒子としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の粒子が挙げられる。ポリマー粒子の平均粒子径は0.01〜10μmであるのが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。ここで、ポリマー粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−950)を用いて測定した粒子径であり、体積基準平均粒子径である。
水分散型電着液は、例えば分散媒である水に上記樹脂のモノマーと重合開始剤と界面活性剤を加えて混合して帯電したポリマー粒子を形成し、これを分散媒中に分散させることにより調製される。また水・有機溶媒分散型電着液は、例えば水溶性有機溶媒に上記樹脂を溶解させた樹脂溶液に中和剤を添加し撹拌して樹脂溶液を中和させた後で樹脂の貧溶媒である水を添加混合してポリマー粒子を析出し、これを水と有機溶媒からなる分散媒中に分散させることにより調製される。この有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(γBL)、アニソール、テトラメチル尿素、スルホラン等が挙げられる。また中和剤としては、アミノエタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン等の塩基性化合物が挙げられる。
(2) 電着液の種類に応じたナノバブルの分散方法について
本実施の形態のナノバブルは、トラッキング法(追尾法)で測定したときに400nm以下の気泡をいう。気泡に含まれる気体は、比誘電率が1である、空気、酸素、窒素等の気体である。本実施の形態のナノバブルは、蒸留水、イオン交換水のような純水に発生させる。以下、ナノバブルが均一に分散した水をナノバブル水という。本実施の形態のナノバブル水は、トラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上のナノバブルを含有する。1×10個/ml未満では、被電着導電体の表面に形成された絶縁皮膜の誘電率を低くすることができない。
水分散型電着液にナノバブルを分散させるためには、樹脂のモノマーと重合開始剤とを加える前の水にナノバブル水を用いる。また水・有機溶媒分散型電着液にナノバブルを分散させるためには、貧溶媒である水にナノバブル水を用いる。また上記水分散型電着液及び水・有機溶媒分散型電着液を希釈する際の希釈水にナノバブル水を用いてもよい。いずれの電着液でも、電着前の電着液は、トラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上のナノバブルを含有する。ナノバブル水は、市販のナノバブル水を使用してもよいし、ナノバブル発生装置(例えば、シグマテクノロジー社製 ΣPM-10-B)を使用して作製することもできる。
〔電着液を用いた絶縁皮膜の形成方法〕
本実施の形態の電着液により絶縁皮膜が形成される被電着導電体としては、良好な導電性を有する銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等が挙げられる。この被電着導電体としては、板状体、線状体、球状体等の導電体が挙げられる。この中で線状体の金属線であることによって、金属線上に低誘電率の絶縁皮膜を形成した絶縁電線を作製でき、絶縁電線として使用した際のコロナ放電開始電圧を高めることができる。
以下、図1に基づいて、上記電着液を用いて被電着導電体の表面に絶縁皮膜が形成する方法について説明する。被電着導電体の表面に絶縁皮膜が形成されたものを絶縁導電体という。図1(d)に示すように、絶縁導電体11は、被電着導電体12と、この被電着導電体12の表面に形成された絶縁皮膜13とを備える。図1(a)〜(d)に示すように、この例では絶縁皮膜13は、ポリマー粒子16とナノバブル15aが均一に分散した分散媒17とを含む電着液14が、電着法により被電着導電体12の表面に形成された絶縁層前駆体18を加熱して絶縁層19にし、これを焼付けて硬化させたポリマー(樹脂)の絶縁皮膜である。電着液14は、前述したように、水分散型又は水・有機溶媒との混合分散型の電着液或いはこれらをナノバブル水で希釈した電着液のいずれでも構わない。
次いで、図示しない電着装置を用いて上記ポリマー粒子16とナノバブル15aを電着法により被電着導電体12の表面に電着させて絶縁層前駆体18(図1(b))を形成する。具体的には、図示しない電着槽に電着液14を貯留し、この電着液内に被電着導電体12とこの被電着導電体と間隔をあけて直流電源の陰極と電気的に接続した対向電極を配置する。次いで被電着導電体12に直流電源の陽極を電気的に接続する。これにより、直流電源の直流電圧が被電着導電体12と電着液14との間に印加され、電着液14の分散媒17に分散したポリマー粒子16とナノバブル15aが被電着導電体12の表面に電着されて絶縁層前駆体18が形成される(図1(a)及び(b))。電着液中でナノバブル15aは帯電しているため、被電着導電体12の表面に付着するとともに、ポリマー粒子間に捕捉される。
ここで、電着槽内の電着液14の温度は5〜60℃であることが好ましく、電着液14中のポリマー粒子の濃度は1〜40質量%であることが、また電着液14中のナノバブルの濃度は、前述したように、トラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上である。また、直流電源の直流電圧は1〜300Vであることが好ましく、直流電源による通電時間は1〜30秒であることが好ましい。
次に、表面に絶縁層前駆体18が電着された被電着導電体12を電着槽の電着液から取り出し、焼付処理の前処理として乾燥を行い、絶縁層前駆体中の溶媒を蒸発させる。前処理の温度は、後述の焼付処理の温度より低く設定される。更に、前処理の温度は50〜200℃の範囲内であることが好ましく、前処理の時間は1〜10分間の範囲であることが好ましい。
前処理により、先ず被電着導電体12が加熱され、続いて図1(b)に示した絶縁層前駆体18中の分散媒17が加熱される。このため、絶縁層前駆体18が被電着導電体12に接した部分から表面に向って次第に加熱されるので、絶縁層前駆体18中の分散媒17が被電着導電体12に接した部分から表面に向って順に蒸発する。このとき、溶媒中のナノバブル15aはその一部が溶媒の蒸発に随伴することなく、前述したように、被電着導電体12の表面に付着したり、或いはポリマー粒子16間に捕捉されている。この結果、絶縁層前駆体18中の分散媒17が蒸発しても、被電着導電体12に付着又は粒子間に捕捉されたナノバブル15aが残存し、図1(c)に示すように、前処理後の絶縁層19中にナノボイド15bとして残る。
更に、前処理された絶縁層19を焼付処理することにより、被電着導電体12の表面に絶縁皮膜13が形成される(図1(d))。上記焼付処理は、近赤外線加熱炉、熱風加熱炉、誘導加熱炉、遠赤外線加熱炉等により行われることが好ましい。また焼付処理の温度は200〜500℃の範囲内であることが好ましく、焼付処理の時間は1〜10℃の範囲内であることが好ましい。ここで、焼付処理の温度を200〜500℃の範囲内に限定したのは、200℃未満では絶縁層19を十分に硬化できず、500℃を超えるとポリマーが熱分解してしまうからである。また、焼付処理の時間を1〜10分間の範囲内に限定したのは、1分未満では絶縁層19を十分に硬化できず、10分を超えると樹脂が熱分解してしまうからである。
これにより、図1(d)に示すように、焼付処理後の硬化した絶縁皮膜13にナノボイド15bが残存し、これにより絶縁導電体11の誘電率を低くすることができる。上記絶縁皮膜13の膜厚は5〜100μm程度まで厚くすることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
アクリロニトリル5モルと、アクリル酸1モルと、グリジシルメタアクリレート0.3モルと、ナノバブル水760gと、界面活性剤であるラウリル酸硫酸エステルソーダ7.5gと、重合開始剤である過硫酸ソーダ0.13gとからなる混合物を60℃で3時間反応させた。上記ナノバブル水は、ナノバブルとしては空気、ナノバブルの平均粒径が200nmであって、ナノバブル濃度がトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が約1.2×10個/mlであるものを用いた。このようにして、水中にアクリル樹脂及びナノバブルが分散した水分散型電着液を調製した。この電着液中の界面活性剤と重合開始剤を含むアクリル樹脂とナノバブル水との質量割合は、アクリル樹脂が15質量%でナノバブル水が85質量%であった。この電着液中に含まれるナノバブル濃度を上記と同様に測定すると1.2×10個/mlであった。
<実施例2>
市販のポリイミドワニス(宇部興産社製 UワニスA:ポリイミド/Nメチル2ピロリドン=20質量%/80質量%)2.5gを、N−メチル−2−ピロリドン5.5gで希釈し、分散剤として2−アミノエタノール0.01gを加えた後、この液を回転速度10000rpmの高速で撹拌しつつ、常温下(25℃)でナノバブル水を2g添加した。上記ナノバブル水は、ナノバブルとしては空気、ナノバブルの平均粒径が200nmであって、ナノバブル濃度がトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が約7.0×10個/mlであるものを用いた。このようにして、ナノバブル及びポリイミド微粒子が分散した水・有機溶媒分散型電着液(ポリイミド樹脂/N−メチル−2−ピロリドン/ナノバブル水/2アミノエタノール=5質量%/75質量%/19.9質量%/0.1質量%)を得た。この電着液中に含まれるナノバブル濃度を上記と同様に測定すると1.4×10個/mlであった。
<実施例3>
市販のポリアミドイミドワニス(日立化成社製 HI406D:ポリアミドイミド/Nメチル2ピロリドン=20質量%/80質量%)2.5gを、N−メチル−2−ピロリドン5.5gで希釈し、分散剤として2−アミノエタノール0.01gを加えた後、この液を回転速度10000rpmの高速で撹拌しつつ、常温下(25℃)でナノバブル水を2g添加した。上記ナノバブル水は、ナノバブルとしては空気、ナノバブルの平均粒径が200nmであって、ナノバブル濃度がトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が約5.2×10個/mlであるものを用いた。ナノバブル及びポリアミドイミド微粒子が分散した水・有機溶媒分散型電着液(ポリアミドイミド樹脂/N−メチル−2−ピロリドン/ナノバブル水/2アミノエタノール=5質量%/75質量%/19.9質量%/0.1質量%)を得た。この電着液中に含まれるナノバブル濃度を上記と同様に測定すると1.1×10個/mlであった。
<実施例4>
アクリロニトリル5モルと、アクリル酸1モルと、グリジシルメタアクリレート0.3モルと、純水760gと、界面活性剤であるラウリル酸硫酸エステルソーダ7.5gと、重合開始剤である過硫酸ソーダ0.13gとからなる混合物を60℃で3時間反応させることにより、アクリル樹脂電着液を調製した。この電着液中の界面活性剤と重合開始剤を含むアクリル樹脂と純水との質量割合は、アクリル樹脂が15質量%で純水が85質量%であった。これをナノバブルとして空気、ナノバブルの平均粒径が200nmであって、トラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計がナノバブル濃度が約1.5×10個/mlであるナノバブル水を使用して固形分が5質量%になるまで希釈することで水中にアクリル樹脂及びナノバブルが分散した水分散型電着液を得た。この希釈した電着液中に含まれるナノバブル濃度を上記と同様に測定すると7.2×10個/mlであった。
<比較例1〜4>
実施例1〜実施例4の各電着液において、ナノバブル水の代わりに、ナノバブルを含まない純水を用いて、比較例1〜比較例4の各電着液を調製した。
<比較試験及び評価>
(1) 絶縁皮膜の形成
実施例1〜4と比較例1〜4で得られた電着液を用いて被電着導電体である銅板表面に絶縁皮膜を形成した。具体的には、各電着液について、電着槽に貯えた電着液中に、たて2cm、よこ2cm、厚さ0.3mmの銅板を浸漬し、銅板と間隔をあけて対向電極として直径6cm、長さ10cmの銅製の円筒電極を電着槽内に配置した。銅板を陽極とし、円筒電極を陰極として、電着法により極間距離3cmで50Vの直流電圧を30秒間印加して銅板表面に絶縁層前駆体を形成した。絶縁層前駆体が形成された銅板を電着槽の電着液から取り出し、大気中、200℃の温度で3分間乾燥した後、250℃の温度で3分間焼付け処理を実施した。これにより、表面に絶縁皮膜を形成した銅板を得た。
(2) 絶縁皮膜の膜厚の測定
実施例1〜4と比較例1〜4で得られた電着液から表面に絶縁皮膜を形成した8種類の銅板上の絶縁皮膜の各膜厚をマイクロメーター(ミツトヨ社製、品番 MDH-25M)により測定した。
(3) 電着液中のナノバブル濃度の測定
電着液を孔径0.025μmのメンブレンフィルターでろ過後、ナノ粒子解析装置(Nano Sight社製、型式LM20)を使用してトラッキング法によりろ液中の粒子径の個数分布を測定し、ろ液1ml当り1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計を算出した。
(4) 絶縁皮膜の誘電率の測定
実施例1〜4と比較例1〜4で得られた電着液から表面に絶縁皮膜を形成した8種類の銅板の各誘電率については、絶縁皮膜の静電容量を測定し、この静電容量と上記(2)の測定で得られた膜厚から誘電率を算出した。静電容量の測定には、LCRハイテスタ(日置電機株式会社製、型式3532-50)を用いた。
8種類の銅板の膜厚、電着液中のナノバブル濃度、絶縁皮膜の誘電率の測定結果又は算出結果を表1に示す。
Figure 2017137541
表1から明らかなように、トラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計であるナノバブル濃度が5.3×10個/ml以下のナノバブル水を使用した比較例1〜4では、誘電率が4.2〜4.6であったのに対して、上記ナノバブル濃度が1×10個/ml以上のナノバブル水を使用した実施例1〜4では、絶縁皮膜の誘電率が3.5〜3.8であり、誘電率を低下することができた。
本発明の電着液は、コロナ放電開始電圧を上げた、部分放電しにくい絶縁皮膜を形成した電線、電子部品に利用することができる。
11 絶縁導電体
12 被電着導電体
13 絶縁皮膜
14 電着液
15a ナノバブル
15b ナノボイド
16 ポリマー粒子
17 分散媒
18 絶縁層前駆体
19 絶縁層

Claims (4)

  1. 分散媒中にポリマー粒子を含み、被電着導電体の表面に絶縁皮膜を形成するための電着液において、前記分散媒中にトラッキング法で測定した1〜400nmの粒子径の範囲にある粒子数の合計が1×10個/ml以上のナノバブルを更に含むことを特徴とする電着液。
  2. 前記被電着導電体が金属線である請求項1記載の電着液。
  3. 請求項1又は2記載の電着液を用いて電着法により被電着導電体の表面に皮膜中にナノボイドが均一に分散した絶縁皮膜を形成する方法。
  4. 前記被電着導電体が金属線である請求項3記載の絶縁皮膜の形成方法。
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