JP6069035B2 - 電着塗装体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電着塗装により被塗装体をポリマーで被膜した電着塗装体の製造方法に関するものである。
従来、平角状の導線に絶縁被膜を形成する方法として、被塗装体を塗料に浸漬してから引き上げた後に塗料を乾燥させ所定の絶縁被膜厚が得られるまで塗装が繰り返される浸漬塗装や、電着塗料に電極を挿入して電流を通じ塗料粒子を陽極とした平角状の導線上に沈着させ形成した絶縁被膜を半硬化し圧延してから硬化して絶縁導線を形成する電着塗装が行われていた(例えば、特許文献1参照。)。一方、電着塗装として平角状の導線を電着塗料を満たした電着層中を通過させ次に有機溶媒を満たした溶媒層を通過させたり有機溶媒のミストや蒸気に通過させた後焼き付けて絶縁被膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。更に、平角状の導線に電着塗料を電着塗装した後に有機溶媒を噴霧する方法として、超音波による有機溶媒のミスト発生方法や、有機溶媒の蒸気を噴射ノズルから噴霧する方法が開示されている(例えば、特許文献3、4参照。)。
特開平03−159014号公報(第1頁右欄〜第2頁右上欄) 特開平03−241609号公報(第4頁左下欄〜第5頁左上欄) 特公平04−065159号公報(第2頁左欄) 特開2012−160304号公報(段落[0006])
しかし、上記従来の特許文献1に記載される浸漬塗装では、平角状の導線の角部に塗料が付着し難く塗装斑が生じたり所定の絶縁被膜厚を得るのに何度も塗装を繰り返す必要があり、また、電着塗装では、平角状の導線の角部に電界集中が起こるため、角部の絶縁被膜が厚くなり、半硬化させた状態で圧延する必要があった。一方、上記従来の特許文献2に記載される有機溶媒を通過させる方法では均一な絶縁被膜厚でピンホールのない絶縁被膜を得られるけれども、有機溶媒の液体に浸しても表面張力等により樹脂微粒子どうしの隙間に液体が浸透せず十分に溶解できなかったり、蒸気やミストでは有機溶媒の温度や量の制御が難しかった。更に、上記従来の特許文献3、4に記載される超音波による有機溶媒のミスト発生方法や有機溶媒の蒸気を噴射ノズルから噴霧する方法は、有機溶媒の温度や量の調整は可能であるものの超音波発生装置やノズルによる蒸気噴霧装置、その他の制御装置など複雑な装置構成と制御が必要であるとともに、有機溶媒を空中に放出するおそれがあり人体への影響が懸念され、防火の配慮が必要であった。
本発明の目的は、絶縁被膜にピンホールがなく絶縁特性に優れた電着塗装体の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的はピンホールがなく平坦な表面の絶縁被膜を簡便でかつ安全な環境で形成できる電着塗装体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、電着塗装により基材に絶縁被膜をコーティングする場合に、ポリマーを含む電着塗料にポリマー溶解度の高い有機溶媒を添加し電着塗装することで、ピンホールがなく平坦な表面の絶縁被膜を形成することができることを見出し本発明を完成させた。
本発明の第1の観点は、ポリマーを含む電着塗料を用いて電着方法により被塗装体の表面に前記ポリマーの絶縁層を形成した後焼き付け処理することにより前記ポリマーからなる絶縁被膜が形成された電着塗装体を製造する方法において、前記ポリマーは水に分散する水分散系のポリマーであって、前記電着塗料は前記水分散系ポリマーが水に分散したワニスに有機溶媒を添加して構成され、前記有機溶媒は前記ワニス100質量%に対して0.5〜6質量%の割合で添加され、前記有機溶媒の沸点は100℃を越えかつ次式で表されるD(S-P)<6であることにある。
(S-P)=[(dDS−dDP)2+(dPS−dPP)2+(dHS−dHP)2]1/2 (1)
但し、dDS:有機溶媒のHSP値の分散成分、dDP:ポリマーのHSP値の分散成分、dPS:有機溶媒のHSP値の分極成分、dPP:ポリマーのHSP値の分極成分、dHS:有機溶媒のHSP値の水素結合成分及びdHP:ポリマーのHSP値の水素結合成分である。HSP(dD、dP、dH)は物質に固有の値で、これらの値が近い物質程相溶性が高い。これらの値は、分子構造から計算が可能であり分子構造が分からない物質でも次の本発明の第2の観点の方法により推定可能である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、ポリマーと有機溶媒の混合液が透明化した場合をポリマーの溶解性がある有機溶媒とし、ポリマーと有機溶媒の混合液が白濁化した場合をポリマーの溶解性がない有機溶媒とし、有機溶媒のdDS、dPS、dHSを3次元グラフ化し、ポリマーの溶解性がある有機溶媒の表す点が全て内側に入る最小球の中心をポリマーのdDP、dPP、dHPと推定して前記D(S-P)<6の関係を満たす有機溶媒を選定することにある。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、有機溶媒は親水系溶媒であることにある。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、有機溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、4ブチロラクトン、又はNメチル2ピロリドンであることにある。
本発明の第5の観点は、第3又は第4の観点に基づく発明であって、水分散系のポリマーはポリウレタン、エポキシ・アクリル、ポリエステル又はポリエステルイミドである
本発明の第6の観点は、第1ないし第5の観点に基づく発明であって、被塗装体は銅線であることにある。
本発明の第7の観点は、被塗装体の表面に絶縁被膜が形成された電着塗装体を製造する第1ないし第6いずれかの観点に記載された方法であって、SEMにより観察し計量した被膜断面のピンホールの数は50個/10μm□以下であり、かつJISC0601に従って計量した表面粗さRaは40nm以下である電着塗装体の製造方法である。
本発明の第1の観点では、水分散系ポリマーが水に分散したワニスに有機溶媒を0.5〜6質量%の割合で添加したことで有機溶媒の槽やミスト・蒸気を発生・噴霧する装置及び制御装置を不要とし、また、有機溶媒を蒸気やミストにしないので空中に放出するおそれを低減して製造環境を安全にして簡便に製造することができる。次いで、有機溶媒の沸点が100℃以上であるので焼付工程にて100℃以上になって電着塗料の水分が蒸発しても有機溶媒は残るので樹脂に対しての有機溶媒によるポリマーへの膨潤、溶解の効果が長く期待できる。更に、有機溶媒のポリマーに対する溶解度をハンセン溶解度パラメーターを使用し、D(S-P)<6という式で規定する。ポリマーと相溶性の小さい有機溶媒を添加した場合には、ポリマー粒子を形成する高分子鎖中に有機溶媒分子が入り込むことが困難で高分子鎖が解かれた状態とならないため、造膜性が向上せずクラックやピンホールが発生することがあるけれども、上記規定条件によりポリマーと相溶性の高い有機溶媒を選定して添加することで、ポリマー粒子が膨潤状態、即ちポリマー粒子を形成する高分子鎖中に有機溶媒分子が入り込むことにより高分子鎖が解かれた状態となり、熱硬化時にポリマー粒子同士の融着が容易になり造膜性が向上するため、クラックやピンホールのなく絶縁特性に優れた平坦な絶縁被膜を有する電着塗装体を製造することができる。
本発明の第2の観点では、ポリマーと有機溶媒の混合液が透明化した場合をポリマーの溶解性がある有機溶媒とし、ポリマーと有機溶媒の混合液が白濁化した場合をポリマーの溶解性がない有機溶媒とし、有機溶媒のdDS、dPS、dHSを3次元グラフ化し、ポリマーの溶解性がある有機溶媒の表す点が全て内側に入る最小球の中心をポリマーのdDP、dPP、dHPと推定してD(S-P)<6の関係を満たす有機溶媒を選定することができるようになる。
本発明の第3の観点では、有機溶媒は親水系溶媒とし、水に溶解する物質としたことで塗装面に確実に絶縁被膜を成形することができるようになる。
本発明の第4の観点では、有機溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、4ブチロラクトン、又はNメチル2ピロリドンを用いることにより特にエポキシ・アクリルのポリマーに対してピンホールの少ない若しくはなく、表面が均一な絶縁被膜を形成することができるようになる。
本発明の第5の観点では、水分散性のポリマーはポリウレタン、エポキシ・アクリル、ポリエステル又はポリエステルイミド等であり、水溶性のポリマーにはポリイミドを用いることによりピンホールの少ない若しくはなく、表面が均一な絶縁被膜を形成することができるようになる。
本発明の第6の観点では、絶縁被膜にピンホールが少ない若しくはない絶縁銅線を形成することができるようになる。
本発明の第7の観点の方法で製造された、ピンホールが少ない若しくはない絶縁被膜を有する電着塗装体は、絶縁特性に優れ、また電子線、宇宙線、紫外線等の照射が厳しい過酷な環境でも絶縁性能を維持できる。
本発明の実施形態の電着塗装装置を模式的に表した図である。 実施例1の絶縁銅線の絶縁部分の断面を拡大したSEMの写真図である。 比較例1の絶縁銅線の絶縁部分の断面を拡大したSEMの写真図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、図1に示すように、電着塗装装置100によりポリマーと有機溶媒を平角状の導線101bにコーティングし、コーティングした平角状の導線101bを熱処理して表面に硬化したポリマーの絶縁被膜が形成された電着塗装体である絶縁導線を製造する方法の改良である。
本発明の特徴ある構成は、水分散系ポリマーが水に分散したワニスに下記後述する公知のハンセン溶解度パラメーターを用いた選定方法で選定した所定の有機溶媒を添加して調製された電着塗料102を電着塗装装置100の塗料として使用するところにある。このように、有機溶媒を含む電着塗料102を電着塗装の塗料とすることで、所望の絶縁被膜を形成する電着塗料102を簡便に調製でき、また、有機溶媒をコーティングする工程を別個に設けることなく電着塗装することができるようになる。
本発明の電着塗装体の製造工程を図1を参照して詳しく説明する。図1は、縦方向に連続して電着、焼き付け工程等を行う方式を図示したが、本発明の電着塗装は横方向に連続して各工程を行う方法や、一つの工程をまとめて行ってから次の工程を行うバッチ方式など如何なる方式でも行うことができる。
図1は電着塗装装置100によって導線101に絶縁被膜を形成する製造工程の一例を示す図である。円筒状に巻き込んである断面が円形状の導線101aには直流電源103の正極に接続された陽極104が設置されている。円形状の導線101aは矢印105の方向に引き上げられて各工程を経る。まず、第1の工程として、円形状の導線101aは一対の圧延ローラ106を通して平角状に圧延され断面を長方形とした平角状の導線101bとなる。次いで、第2の工程として平角状の導線101bは水分散系ポリマーが水に分散したワニスに有機溶媒が添加された電着塗料102が充填された電着槽107を通過する。電着槽107の電着塗料102中には、通過する平角状の導線101bの周囲に直流電源103の負極に接続された陰極108が設置されている。電着槽107を平角状の導線101bが通過する際に直流電源103により直流電圧が印加され平角状の導線101bの表面には溶解したポリマーが電着される。次に、第3の工程として電着槽107から引き上げられた平角状の導線101bは焼付炉109を通過し、電着したポリマーは平角状の導線101bに焼き付けられ絶縁導線が形成される。なお、本明細書で「絶縁導線」とは表面に絶縁被膜が形成された導線をいう。導線としては、銅線、アルミ線、鋼線、銅合金線等が挙げられる。
電着塗料102の温度は5〜60℃、ポリマーの濃度は1〜40質量%、直流電圧は1〜300V、通電時間は0.01〜30秒、焼き付け温度は200〜600℃が好ましい。なお、有機溶媒の濃度は、下限を絶縁被膜にクラックが発生しない程度とし、上限を電着塗料の導電性が低下し電着による成膜が困難にならない程度の値であればよく、おおよそ1〜70質量%の範囲が好適である。
ここで、本発明の有機溶媒の選定方法について詳しく説明する。
まず、有機溶媒として沸点が100℃以上のものを選定する。水とポリマーを含む電着塗料を使用するため焼き付け時に最初に水を蒸発させるため、即ち、有機溶媒が水より先に蒸発してしまうと焼き付けの際にポリマーが有機溶媒による膨潤・溶解の効果が期待できなくなるからである。膨潤はポリマーを構成する高分子鎖の間に有機溶媒が入り込みポリマーが膨らみゲル化して粘度が向上する効果を期待している。また、有機溶媒が高分子鎖の間に入り込んで高分子鎖の結合を離しポリマーが溶解する効果も期待する。これは、ポリマーが有機溶媒により溶解することでポリマー元来の硬化温度80℃から硬化し始めないようにして水分が蒸発した後でも導線の表面に硬化せずに溶解したポリマーが流動体として一様に付着した状態で焼き付けができるようにするためである。
次に、ハンセン溶解度パラメーターによりポリマーに対して溶解性の良い有機溶媒を選定する。
まず、ポリマー粉末と各種有機溶媒を混合しポリマー、有機溶媒ともに1質量%の溶液を作製する。各溶液は、粉末がゲル化した透明液のグループと粉末が沈殿した白濁液のグループに2分する。次に、各有機溶媒のハンセン溶解度パラメーターの分散項dDS、分極項dPS、水素結合項dHSを3次元グラフ化し、透明液となったグループが内側で、白濁液となったグループが外側になるような半径が最小の球を作成し、その球の中心をポリマーのハンセン溶解度パラメーターと推定する。推定したポリマーのハンセン溶解度パラメーターと有機溶媒のハンセン溶解度パラメーターを下記の式(1)に入力して得た値がD(S-P)<6の有機溶媒をポリマーの溶解性の良い有機溶媒として選定した。
(S-P)=[(dDS−dDP)2+(dPS−dPP)2+(dHS−dHP)2]1/2 (1)
但し、dDS:有機溶媒のHSP値の分散成分、dDP:ポリマーのHSP値の分散成分、dPS:有機溶媒のHSP値の分極成分、dPP:ポリマーのHSP値の分極成分、dHS:有機溶媒のHSP値の水素結合成分及びdHP:ポリマーのHSP値の水素結合成分である。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。以下に示す実施例6は実施例ではなく、参考例である。
<実施例1>
幅2mm、厚さ0.1mmの平角状の銅線を電着の陽極とし、この平角状の銅線を固形分5質量%のエポキシ・アクリル(水分散型アクリルワニス)に6質量%のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を有機溶媒として加えた電着塗料を入れた電着槽を用意した。次に、平角状の銅線を、直流電圧5Vを印加し、この状態で線速=15m/minで2秒間電着槽中に通過し、次いで、電着された平角状の銅線を300℃の雰囲気中の焼付炉に通過させ焼付処理を行い絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例2>
有機溶媒を6質量%のDMSO(ジメチルスルホキシド)とした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例3>
有機溶媒を6質量%の4B(4ブチロラクトン)とした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例4>
有機溶媒を6質量%のNMP(Nメチル2ピロリドン)とした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例5>
有機溶媒を0.5質量%のDMFとした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例6>
有機溶媒を50質量%のDMFとした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<比較例1>
有機溶媒を加えずに、電着槽通過後DMFのミストを平角状の銅線に加えた以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<比較例2>
有機溶媒を加えない以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<比較例3>
有機溶媒を6質量%のホルムアミドとした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<比較例4>
有機溶媒を6質量%のアセトンとした以外は実施例1と同様にして絶縁被膜厚さ0.01mmの絶縁銅線を作製した。
<実施例と比較例との対比>
それぞれの実施例と比較例で得られた絶縁銅線についてSEM写真によりピンホールの個数、表面段差計により表面粗さRa(株式会社アルバック社製触針式表面形状測定器使用。)、耐電圧(菊水電子社製AC耐電圧試験機TOS5000使用。)を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1〜6ではクラック、ピンホールが無く、表面粗さは30〜40nm、耐電圧は1.5kVとなる絶縁特性に優れた絶縁銅線が得られた。特にDMSOは表面粗さが30nmの平坦な表面である絶縁銅線が得られた。
比較例1、3ではクラックはなかったものの、表面粗さは200〜230nm、ピンホールは10〜53個/10μm□、耐電圧は0.3〜1.4kVとなり実施例に対して各評価項目は劣る結果となった。
比較例2、4ではいずれもクラックが発生し、その他の評価項目において比較評価するデータが得られなかった。
次に、実施例1と比較例1をSEM写真にて絶縁銅線の断面の組織の状態を観察した。SEM写真は、日立製作所のS−4300SEを使用して撮影した。その結果を図2及び図3に示す。
図2及び図3に示すように、実施例1ではピンホールはなく表面はなめらかであるのに対し、比較例1では無数のピンホールがみられた。
上記結果より、沸点が100℃以上かつハンセン溶解度パラメーターによって選定した有機溶媒を用いて簡便に調製した電着塗料を使用して電着焼付を行うことで緻密で平滑な表面とピンホールの無い耐電圧の高い絶縁被膜を持った絶縁銅線を安全な製造環境において得られることが確認できた。
本発明の電着塗装体は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンの電源用パワーインダクタ、車載用インバータのトランス等に使用することができる。
102 電着塗料

Claims (7)

  1. ポリマーを含む電着塗料を用いて電着方法により被塗装体の表面に前記ポリマーの絶縁層を形成した後焼き付け処理することにより前記ポリマーからなる絶縁被膜が形成された電着塗装体を製造する方法において、
    前記ポリマーは水に分散する水分散系のポリマーであって、
    前記電着塗料は前記水分散系ポリマーが水に分散したワニスに有機溶媒を添加して構成され、
    前記有機溶媒は前記ワニス100質量%に対して0.5〜6質量%の割合で添加され、
    前記有機溶媒の沸点は100℃を越えかつ次式で表されるD(S-P)<6であることを特徴とする電着塗装体の製造方法。
    (S-P)=[(dDS−dDP)2+(dPS−dPP)2+(dHS−dHP)2]1/2 (1)
    但し、dDS:有機溶媒のHSP値の分散成分、dDP:ポリマーのHSP値の分散成分、dPS:有機溶媒のHSP値の分極成分、dPP:ポリマーのHSP値の分極成分、dHS:有機溶媒のHSP値の水素結合成分及びdHP:ポリマーのHSP値の水素結合成分である。
  2. 前記ポリマーと前記有機溶媒の混合液が透明化した場合を前記ポリマーの溶解性がある有機溶媒とし、前記ポリマーと前記有機溶媒の混合液が白濁化した場合をポリマーの溶解性がない有機溶媒とし、前記有機溶媒のdDS、dPS、dHSを3次元グラフ化し、前記ポリマーの溶解性がある有機溶媒の表す点が全て内側に入る最小球の中心を前記ポリマーのdDP、dPP、dHPと推定して前記D(S-P)<6の関係を満たす有機溶媒を選定することを特徴とする請求項1記載の電着塗装体の製造方法。
  3. 記有機溶媒は親水系溶媒である請求項1又は2記載の電着塗装体の製造方法。
  4. 前記有機溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、4ブチロラクトン、又はNメチル2ピロリドンである請求項1ないし3いずれか1項記載の電着塗装体の製造方法。
  5. 前記水分散系のポリマーはポリウレタン、エポキシ・アクリル、ポリエステル又はポリエステルイミドである請求項3又は4記載の電着塗装体の製造方法。
  6. 前記被塗装体は銅線である請求項1ないし5いずれか1項記載の電着塗装体の製造方法。
  7. 被塗装体の表面に絶縁被膜が形成された電着塗装体を製造する請求項1ないし6いずれか1項に記載された方法であって、SEMにより観察し計量した被膜断面のピンホールの数は50個/10μm□以下であり、かつJISC0601に従って計量した表面粗さRaは40nm以下である電着塗装体の製造方法。
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