JP2015084301A - 導電シートおよび導電シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することのできる導電シートおよび導電シートの製造方法を提供する。【解決手段】第1の可撓性基材上に設けられた導電膜と、導電膜上に設けられた第2の可撓性基材とを含み、導電膜は、銅結晶粒を含む第1の導電層と、銅結晶粒を含む第2の導電層とを含み、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径が第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい導電シートとその導電シートの製造方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、導電シートおよび導電シートの製造方法に関する。
現在、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Print Circuit Board)等の導電シートは、たとえば、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機、パーソナルコンピュータおよび自動車等の用途に幅広く使用されている。
このような導電シートの一例として、たとえば特許文献1には、タフピッチ圧延銅箔の表面に銅めっき膜を形成し、銅めっき膜上に接着剤を介してポリイミドシートを貼り合わせ、銅箔にフォトリソグラフィーとエッチング技術とを適用して導体回路を加工した後に、ポリイミドシートと接着剤から積層材を熱圧プレスして貼着したFPCが開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載のFPCについて、屈曲を繰り返した場合には、非常に少ない屈曲回数でFPCが高電気抵抗化してしまう。その理由は、たとえば以下のように考えられる。すなわち、図26の模式的拡大断面図に示すように、特許文献1に記載のFPCの圧延銅箔1002は酸化銅異物1004を有しており、銅めっき膜1003はボイド1005を有している。このような構成のFPCの屈曲を繰り返したときには、圧延銅箔1002中の酸化銅異物1004に応力が集中し、酸化銅異物1004を起点としてクラック1006が進展する。このようなクラック1006の進展がFPCの高電気抵抗化につながると考えられる。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することのできる導電シートおよび導電シートの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、第1の可撓性基材と第1の可撓性基材上に設けられた導電膜と、導電膜上に設けられた第2の可撓性基材とを含み、導電膜が銅結晶粒を含む第1の導電層と銅結晶粒を含む第2の導電層とを含み、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径が第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい導電シートを提供することができる。
本発明の第2の態様によれば、第1の可撓性基材上に導電膜を形成する工程と、導電膜上に第2の可撓性基材を形成する工程とを含み、導電膜を形成する工程は、銅結晶粒を含む第1の導電層を形成する工程と、銅結晶粒を含む第2の導電層を形成する工程とを含み、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径が第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい導電シートの製造方法を提供することができる。
上記の態様によれば、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することのできる導電シートおよび導電シートの製造方法を提供することができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施形態は、以下の(1)〜(17)を含んでいる。
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施形態は、以下の(1)〜(17)を含んでいる。
(1)本発明の第1の態様は、第1の可撓性基材と、第1の可撓性基材上に設けられた導電膜と、導電膜上に設けられた第2の可撓性基材とを含み、導電膜は、銅結晶粒を含む第1の導電層と、銅結晶粒を含む第2の導電層とを含み、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい導電シートである。このような構成とすることにより、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを提供することができる。
(2)本発明の第1の態様において、第2の可撓性基材は、ポリイミドフィルムを含むことが好ましい。この場合には、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(3)本発明の第1の態様において、第1の導電層はクラックを含むことが好ましい。この場合には、第1の導電層に含まれるクラックによって、導電シートの屈曲時に導電シートに加えられる曲げ応力が緩和されるため、導電シートの高電気抵抗化を抑制することができる。
(4)本発明の第1の態様において、クラックの深さは、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。この場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(5)本発明の第1の態様において、隣り合うクラックの間隔は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。この場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(6)本発明の第1の態様において、第1の導電層は、第1の可撓性基材に接していることが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。
(7)本発明の第1の態様において、第1の導電層上に第2の導電層が設けられており、第2の導電層は銅めっき膜を含むことが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。
(8)本発明の第1の態様において、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径と、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下であることが好ましい。この場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(9)本発明の第1の態様において、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、1nm以上100nm以下であり、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径を1nm以上100nm以下とすることによって、第1の導電層中における銅の分散性および安定性が向上するとともに、第1の導電層の塗布ムラも低減することができる。また、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径を0.1μm以上3μm以下とすることによって、第2の導電層に形成される微小な欠陥を低減することができるため、導電シートの屈曲に対する信頼性を向上することができ、ひいては導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(10)本発明の第1の態様の変形例においては、第2の導電層は、第1の可撓性基材に接しており、第2の導電層上に第1の導電層が設けられており、第1の導電層は銅めっき膜を含むことが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを提供することができる。
(11)本発明の第1の態様の変形例において、第1の導電層上に銅結晶粒を含む第3の導電層が設けられており、第3の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも平均粒径が小さいことが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを提供することができる。
(12)本発明の第1の態様の変形例において、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径と、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下であることが好ましい。この場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(13)本発明の第1の態様の変形例において、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径が0.1μm以上3μm以下であり、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径が0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを提供することができる。
(14)本発明の第2の態様によれば、第1の可撓性基材上に導電膜を形成する工程と、導電膜上に第2の可撓性基材を形成する工程と、を含み、導電膜を形成する工程は、銅結晶粒を含む第1の導電層を形成する工程と、銅結晶粒を含む第2の導電層を形成する工程と、を含み、第1の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい導電シートの製造方法である。このような構成とすることにより、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを製造することができる。
(15)本発明の第2の態様において、第2の可撓性基材は、ポリイミドフィルムを含むことが好ましい。この場合には、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
(16)本発明の第2の態様において、第1の導電層を形成する工程は、第1の可撓性基材の表面上に導電性インクを塗布する工程と、導電性インクを焼結する工程とを含み、第2の導電層を形成する工程は、第1の導電層の表面上に銅めっき膜を形成する工程を含むことが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを製造することができる。
(17)本発明の第2の態様において、第2の導電層を形成する工程は、第1の可撓性基材の表面上に電解銅箔を形成する工程を含み、第1の導電層を形成する工程は、第2の導電層の表面上に銅めっき膜を形成する工程を含むことが好ましい。この場合にも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる導電シートを製造することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一例である実施の形態について説明する。なお、本明細書の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
以下、本発明の一例である実施の形態について説明する。なお、本明細書の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施の形態1>
[導電シート]
図1に、本発明の一例である実施の形態1の導電シートの模式的な断面図を示す。実施の形態1の導電シートは、第1の可撓性基材11と、第1の可撓性基材11上に設けられた導電膜15と、導電膜15上に設けられた第2の可撓性基材21とを含んでいる。導電膜15は、第1の可撓性基材11上に第1の可撓性基材11の表面に接するようにして設けられた銅を含む第1の導電層12と、第1の導電層12上に第1の導電層12の表面に接するようにして設けられた銅を含む第2の導電層13とを含んでいる。また、第1の可撓性基材11上には、導電膜15を覆うようにして接着層22が設けられており、接着層22上に第2の可撓性基材21が設けられて、接着層22によって第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とが貼り合わされている。
[導電シート]
図1に、本発明の一例である実施の形態1の導電シートの模式的な断面図を示す。実施の形態1の導電シートは、第1の可撓性基材11と、第1の可撓性基材11上に設けられた導電膜15と、導電膜15上に設けられた第2の可撓性基材21とを含んでいる。導電膜15は、第1の可撓性基材11上に第1の可撓性基材11の表面に接するようにして設けられた銅を含む第1の導電層12と、第1の導電層12上に第1の導電層12の表面に接するようにして設けられた銅を含む第2の導電層13とを含んでいる。また、第1の可撓性基材11上には、導電膜15を覆うようにして接着層22が設けられており、接着層22上に第2の可撓性基材21が設けられて、接着層22によって第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とが貼り合わされている。
(第1の可撓性基材)
第1の可撓性基材11としては、撓むことができる部材を用いることができ、たとえばポリイミドまたはポリエステル等の絶縁性の樹脂フィルムを用いることができる。第1の可撓性基材11の厚さT1は、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることができる。
第1の可撓性基材11としては、撓むことができる部材を用いることができ、たとえばポリイミドまたはポリエステル等の絶縁性の樹脂フィルムを用いることができる。第1の可撓性基材11の厚さT1は、特に限定されないが、5μm以上100μm以下とすることができる。
(第1の導電層)
導電膜15に含まれる第1の導電層12としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態1の第1の導電層12としては導電性インクから形成された層を用いることが好ましい。第1の導電層12に導電性インクから形成された層を用いることによって、真空設備を必要とすることなく、第1の可撓性基材11の表面を容易に導電性の被膜で覆うことができる。また、第1の導電層12を下地として、電解めっき法等により、第1の導電層12上に第2の導電層13を形成する場合には、第2の導電層13を所望の厚さに容易に形成することができる。
導電膜15に含まれる第1の導電層12としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態1の第1の導電層12としては導電性インクから形成された層を用いることが好ましい。第1の導電層12に導電性インクから形成された層を用いることによって、真空設備を必要とすることなく、第1の可撓性基材11の表面を容易に導電性の被膜で覆うことができる。また、第1の導電層12を下地として、電解めっき法等により、第1の導電層12上に第2の導電層13を形成する場合には、第2の導電層13を所望の厚さに容易に形成することができる。
導電性インクから形成された第1の導電層12は、たとえば、銅粒子と、銅粒子を分散させるための分散剤および分散媒とを少なくとも含む導電性インクを第1の可撓性基材11の表面上に塗布して乾燥した後に焼結することによって形成することができる。導電性インクの焼結時に導電性インクの分散剤および分散媒が揮発するため、導電性インクから形成された第1の導電層12は、複数の銅結晶粒を有する多結晶体から構成されることになる。
導電性インクから形成された第1の導電層12の厚さT2は、特に限定されないが、たとえば0.1μm以上5μm以下とすることができる。
≪銅結晶粒≫
導電性インクから形成された第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さければ特に限定されないが、たとえば1nm以上500nm以下とすることができ、1nm以上100nm以下とすることが好ましく、30nm以上100nm以下とすることがより好ましい。第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径が1nm以上100nm以下、特に30nm以上100nm以下となるように、導電性インクから第1の導電層12が形成された場合には、導電性インク中における銅粒子の分散性および安定性が向上するとともに、導電性インクの塗布ムラを低減することができる。
導電性インクから形成された第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さければ特に限定されないが、たとえば1nm以上500nm以下とすることができ、1nm以上100nm以下とすることが好ましく、30nm以上100nm以下とすることがより好ましい。第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径が1nm以上100nm以下、特に30nm以上100nm以下となるように、導電性インクから第1の導電層12が形成された場合には、導電性インク中における銅粒子の分散性および安定性が向上するとともに、導電性インクの塗布ムラを低減することができる。
ここで、本明細書において、導電性インクから形成された第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径は、第1の導電層12の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値を意味する。
導電性インクに含まれる銅粒子は、たとえばチタンレドックス法等により作製することができる。チタンレドックス法は、3価のチタンイオンが4価に酸化する際の酸化還元作用によって金属イオンを還元して粒子を析出させる方法である。チタンレドックス法で得られる粒子は、粒径が小さく揃っており、粒子の形状を球状または粒状とすることができるため、チタンレドックス法により銅粒子を作製した場合には、導電性インクから第1の導電層12を薄く緻密な層に形成することができる。
≪分散媒≫
導電性インクに含まれる分散媒としては、銅粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、たとえば、水および/または水溶性の有機溶媒等を用いることができる。分散媒に用いられる水溶性の有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール若しくはtert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン若しくはメチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール若しくはグリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、およびエチレングリコールモノエチルエーテル若しくはジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類の少なくとも1つを用いることができる。
導電性インクに含まれる分散媒としては、銅粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、たとえば、水および/または水溶性の有機溶媒等を用いることができる。分散媒に用いられる水溶性の有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール若しくはtert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン若しくはメチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール若しくはグリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、およびエチレングリコールモノエチルエーテル若しくはジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類の少なくとも1つを用いることができる。
導電性インク中の水の含有量は、特に限定されないが、銅粒子100質量部に対して20質量部以上1900質量部以下であることが好ましい。導電性インク中の水の含有量が銅粒子100質量部に対して20質量部以上である場合には、水によって分散剤を十分に膨潤させて、分散剤で囲まれた銅粒子の凝集を効果的に抑制することができるため、銅粒子を良好に分散させることができる。また、導電性インク中の水の含有量が銅粒子100質量部に対して1900質量部以下である場合には、所望の厚さと密度とを有する第1の導電層12を容易に形成することができる。
導電性インク中の水溶性の有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、銅粒子100質量部に対して30質量部以上900質量部以下であることが好ましい。導電性インク中の水溶性の有機溶媒の含有量が銅粒子100質量部に対して30質量部以上である場合には、分散媒の粘度および蒸気圧を好適にすることができる。また、導電性インク中の水溶性の有機溶媒の含有量が銅粒子100質量部に対して900質量部以下である場合には、水によって分散剤を十分に膨潤させて、分散剤で囲まれた銅粒子の凝集を効果的に抑制することができるため、銅粒子を良好に分散させることができる。
≪分散剤≫
導電性インクに含まれる分散剤は、分散媒中で銅粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、分子量が2000以上30000以下の分散剤を用いることが好ましく、分子量が2000以上30000以下のポリエチレンイミン若しくはポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポリビニルアルコール、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、および1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤の少なくとも1つを用いることがより好ましい。この場合には、銅粒子を分散媒中で良好に分散させることができるとともに、第1の導電層12をボイドの少ない緻密な層に形成することができる。
導電性インクに含まれる分散剤は、分散媒中で銅粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、分子量が2000以上30000以下の分散剤を用いることが好ましく、分子量が2000以上30000以下のポリエチレンイミン若しくはポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポリビニルアルコール、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、および1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤の少なくとも1つを用いることがより好ましい。この場合には、銅粒子を分散媒中で良好に分散させることができるとともに、第1の導電層12をボイドの少ない緻密な層に形成することができる。
分散剤は、銅粒子が分散している分散媒中に直接に添加されてもよく、分散媒に溶解した状態で銅粒子が分散している分散媒中に添加されてもよい。
導電性インク中の分散剤の含有量は、特に限定されないが、銅粒子100質量部に対して1質量部以上60質量部以下であることが好ましい。この場合には、銅粒子を分散媒中で良好に分散させることができるとともに、第1の導電層12をボイドの少ない緻密な層に形成することができる。
≪銅結晶粒以外の金属結晶粒≫
第1の導電層12は、銅結晶粒とともに、第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する金属結晶粒を含んでいてもよい。ここで、金属結晶粒としては、たとえば、銀、金、白金、パラジウム、ルビジウム、錫、ニッケル、鉄、コバルト、チタンおよびインジウムからなる群から選択された少なくとも1つの金属結晶粒等を用いることができる。なお、本明細書において、導電性インクから形成された第1の導電層12の銅結晶粒以外の金属結晶粒の平均粒径も、銅結晶粒の平均粒径と同様に、第1の導電層12の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)の個数で除した値を意味する。なお、導電性インクにより第1の導電層12を形成する場合の第1の導電層12における銅結晶粒以外の金属結晶粒の原料となる導電性インク中の金属粒子(銅粒子以外の金属粒子)も、たとえばチタンレドックス法等により作製することができる。
第1の導電層12は、銅結晶粒とともに、第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さい平均粒径を有する金属結晶粒を含んでいてもよい。ここで、金属結晶粒としては、たとえば、銀、金、白金、パラジウム、ルビジウム、錫、ニッケル、鉄、コバルト、チタンおよびインジウムからなる群から選択された少なくとも1つの金属結晶粒等を用いることができる。なお、本明細書において、導電性インクから形成された第1の導電層12の銅結晶粒以外の金属結晶粒の平均粒径も、銅結晶粒の平均粒径と同様に、第1の導電層12の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)の個数で除した値を意味する。なお、導電性インクにより第1の導電層12を形成する場合の第1の導電層12における銅結晶粒以外の金属結晶粒の原料となる導電性インク中の金属粒子(銅粒子以外の金属粒子)も、たとえばチタンレドックス法等により作製することができる。
(第2の導電層)
導電膜15に含まれる第2の導電層13としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態1の第2の導電層13としては銅めっき膜を用いることが好ましい。第2の導電層13に銅めっき膜を用いることによって、第2の導電層13をボイドの少ない緻密な層に形成することができるため、実施の形態1の導電シートの導電機能をより高くすることができる。
導電膜15に含まれる第2の導電層13としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態1の第2の導電層13としては銅めっき膜を用いることが好ましい。第2の導電層13に銅めっき膜を用いることによって、第2の導電層13をボイドの少ない緻密な層に形成することができるため、実施の形態1の導電シートの導電機能をより高くすることができる。
銅めっき膜から構成される第2の導電層13は、たとえば電解めっき法または無電解めっき法により形成することができるが、電解めっき法により形成することが好ましい。電解めっき法により第2の導電層13を形成した場合には、第2の導電層13の厚みの調整をより容易にかつより正確に行なうことができるとともに、比較的短時間で所望の厚さを得ることができる。なお、第2の導電層13の形成前に下地として予め第1の導電層12が形成されているため、電解めっき法によって第2の導電層13を容易に形成することができる。
銅めっき膜から構成される第2の導電層13の銅結晶粒の平均粒径は、第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径よりも大きくなっていれば特に限定されないが、たとえば0.1μm以上10μm以下とすることができ、0.1μm以上3μm以下とすることが好ましい。第2の導電層13の銅結晶粒の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である場合には、第2の導電層13に形成される微小な欠陥を低減することができるため、導電シートの屈曲に対する信頼性を向上することができ、ひいては導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
ここで、本明細書において、銅めっき膜から構成される第2の導電層13の銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層13の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値を意味する。
銅めっき膜から構成される第2の導電層13の厚さT3は、特に限定されないが、たとえば5μm以上100μm以下とすることができる。
なお、銅めっき膜から構成される第2の導電層13は、銅結晶粒とともに、第1の導電層12に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも大きい平均粒径を有する金属結晶粒を含んでいてもよい。ここで、金属結晶粒としては、たとえば、銀、金、白金、パラジウム、ルビジウム、錫、ニッケル、鉄、コバルト、チタンおよびインジウムからなる群から選択された少なくとも1つの金属結晶粒等を用いることができる。なお、本明細書において、銅めっき膜から構成される第2の導電層13の銅結晶粒以外の金属結晶粒の平均粒径も、銅結晶粒の平均粒径と同様に、第1の導電層12の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る金属結晶粒(銅結晶粒以外の金属結晶粒)の個数で除した値を意味する。
(接着層)
接着層22としては、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせることができる材質であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、エポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤などの接着剤を用いることができる。
接着層22としては、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせることができる材質であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、エポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤などの接着剤を用いることができる。
(第2の可撓性基材)
第2の可撓性基材21としては、撓むことができる部材を用いることができ、たとえばポリイミドまたはポリエステル等の絶縁性の樹脂フィルムを用いることができるが、ポリイミドフィルムを含むものを用いることが好ましい。これは、後述するように、本発明者が鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムを含む第2の可撓性基材21を用いた場合には、実施の形態1の導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに飛躍的に増大させることができることを見い出したためである。なお、本明細書において、「ポリイミドフィルム」は、繰り返し単位にイミド結合を含む膜を意味する。
第2の可撓性基材21としては、撓むことができる部材を用いることができ、たとえばポリイミドまたはポリエステル等の絶縁性の樹脂フィルムを用いることができるが、ポリイミドフィルムを含むものを用いることが好ましい。これは、後述するように、本発明者が鋭意検討した結果、ポリイミドフィルムを含む第2の可撓性基材21を用いた場合には、実施の形態1の導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに飛躍的に増大させることができることを見い出したためである。なお、本明細書において、「ポリイミドフィルム」は、繰り返し単位にイミド結合を含む膜を意味する。
第2の可撓性基材21の厚さT4は、特に限定されないが、1μm以上50μm以下とすることが好ましく、10μm以上40μm以下とすることがより好ましい。第2の可撓性基材21の厚さT4が1μm以上である場合、特に10μm以上である場合には、導電シートの屈曲時における電気回路となり得る導電膜15にかかる負担を低減することができるため、導電シートの屈曲に対する信頼性を向上することができ、ひいては導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。また、第2の可撓性基材21の厚さT4が50μm以下である場合、特に40μm以下である場合には、導電シートの屈曲性を向上させることができる傾向にある。
[導電シートの製造方法]
(可撓性基材の準備工程)
以下、図2〜図7の模式的断面図を参照して、実施の形態1の導電シートの製造方法の一例について説明する。まず、図2に示すように、第1の可撓性基材11を準備する。ここで、第1の可撓性基材11としては、たとえばロールから引き出されることによって一方向に連続する連続材を準備することが好ましい。この場合には、実施の形態1の導電シートを連続的に製造することができるため、実施の形態1の導電シートの製造効率を向上させることができる。
(可撓性基材の準備工程)
以下、図2〜図7の模式的断面図を参照して、実施の形態1の導電シートの製造方法の一例について説明する。まず、図2に示すように、第1の可撓性基材11を準備する。ここで、第1の可撓性基材11としては、たとえばロールから引き出されることによって一方向に連続する連続材を準備することが好ましい。この場合には、実施の形態1の導電シートを連続的に製造することができるため、実施の形態1の導電シートの製造効率を向上させることができる。
(第1の導電層の形成工程)
≪導電性インクの塗布工程≫
次に、図3に示すように、第1の可撓性基材11の表面上に導電性インク12aを塗布する。ここで、導電性インク12aとしては、上述した、銅粒子、分散剤および分散媒を含む導電性インクを用いることができる。導電性インク12aは、たとえば、チタンレドックス法等の液相の反応系において析出させた銅粒子を、濾別、洗浄、乾燥および解砕等の工程を経て、一旦、粉末状としたものと、分散媒と、分散剤とを混合することによって作製することができる。また、銅粒子をチタンレドックス法等の液相の反応系において析出させた場合には、たとえば、当該銅粒子を含む反応系の液相を、限外ろ過、遠心分離、水洗および電気透析等の処理に供して不純物を除去した後に、必要に応じて、濃縮または希釈等することによって導電性インク12aを形成することもできる。この場合には、銅粒子の乾燥時の凝集による粗大で不定形な銅粒子の発生を抑制することができる。なお、銅粒子の平均粒径は、たとえば、上述したチタンレドックス法における銅粒子の形成条件を適宜調節することによって変更可能である。
≪導電性インクの塗布工程≫
次に、図3に示すように、第1の可撓性基材11の表面上に導電性インク12aを塗布する。ここで、導電性インク12aとしては、上述した、銅粒子、分散剤および分散媒を含む導電性インクを用いることができる。導電性インク12aは、たとえば、チタンレドックス法等の液相の反応系において析出させた銅粒子を、濾別、洗浄、乾燥および解砕等の工程を経て、一旦、粉末状としたものと、分散媒と、分散剤とを混合することによって作製することができる。また、銅粒子をチタンレドックス法等の液相の反応系において析出させた場合には、たとえば、当該銅粒子を含む反応系の液相を、限外ろ過、遠心分離、水洗および電気透析等の処理に供して不純物を除去した後に、必要に応じて、濃縮または希釈等することによって導電性インク12aを形成することもできる。この場合には、銅粒子の乾燥時の凝集による粗大で不定形な銅粒子の発生を抑制することができる。なお、銅粒子の平均粒径は、たとえば、上述したチタンレドックス法における銅粒子の形成条件を適宜調節することによって変更可能である。
第1の可撓性基材11の表面上への導電性インク12aの塗布方法としては、たとえば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法またはディップコート法等の塗布方法を用いることによって、第1の可撓性基材11の表面全面に導電性インク12aを塗布することができる。また、スクリーン印刷法またはディスペンサを用いた塗布方法等を用いることによって、第1の可撓性基材11の表面の一部のみに、導電性インク12aを塗布することもできる。
≪導電性インクの焼結工程≫
次に、第1の可撓性基材11の表面上に塗布された導電性インク12aを乾燥した後に焼結する。これにより、図4に示すように、導電性インク12aから液体成分が除去されるとともに銅結晶粒の焼結体である第1の導電層12が形成される。
次に、第1の可撓性基材11の表面上に塗布された導電性インク12aを乾燥した後に焼結する。これにより、図4に示すように、導電性インク12aから液体成分が除去されるとともに銅結晶粒の焼結体である第1の導電層12が形成される。
なお、導電性インク12aの焼結方法は、特に限定されないが、たとえば窒素雰囲気で、導電性インク12aを150℃以上500℃以下に加熱することにより行なうことができる。
(第2の導電層の形成工程)
次に、図5に示すように、第1の導電層12の表面上に第2の導電層13を形成する。第2の導電層13は、たとえば、硫酸銅水溶液等の電解めっき液を用いた電解めっき法により形成することができる。電解めっき法による第2の導電層13の好ましい形成方法としては、たとえば25℃程度の電解めっき液に空気バブリングを行ないながら、電流密度2A/dm2程度の電流を流すことによって電解めっきを行なう方法などを挙げることができる。この場合には、ボイドの少ない緻密な第2の導電層13を形成することができる。なお、上述したように、電解めっき法に代えて、無電解めっき法により第2の導電層13を形成してもよい。
次に、図5に示すように、第1の導電層12の表面上に第2の導電層13を形成する。第2の導電層13は、たとえば、硫酸銅水溶液等の電解めっき液を用いた電解めっき法により形成することができる。電解めっき法による第2の導電層13の好ましい形成方法としては、たとえば25℃程度の電解めっき液に空気バブリングを行ないながら、電流密度2A/dm2程度の電流を流すことによって電解めっきを行なう方法などを挙げることができる。この場合には、ボイドの少ない緻密な第2の導電層13を形成することができる。なお、上述したように、電解めっき法に代えて、無電解めっき法により第2の導電層13を形成してもよい。
ここで、第2の導電層13の形成時においては、第2の導電層13を構成する銅めっき膜の銅結晶粒の平均粒径が、第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径よりも大きくなるように、第2の導電層13の形成条件が適宜調節され得ることは言うまでもない。
(レジスト膜の形成工程)
次に、図6に示すように、第2の導電層13の表面上に、所定の位置に開口部16を有するレジスト膜14を形成する。ここで、開口部16を有するレジスト膜14は、たとえば第2の導電層13の表面全面に液状のレジストを塗布した後に、露光および現像等を行なうことによって、開口部16を設けるとともに、液状のレジストを硬化することにより形成することができる。開口部16の位置は、たとえば、実施の形態1の導電シートの第1の可撓性基材11の表面上の配線形状等に応じて適宜設定することができる。
次に、図6に示すように、第2の導電層13の表面上に、所定の位置に開口部16を有するレジスト膜14を形成する。ここで、開口部16を有するレジスト膜14は、たとえば第2の導電層13の表面全面に液状のレジストを塗布した後に、露光および現像等を行なうことによって、開口部16を設けるとともに、液状のレジストを硬化することにより形成することができる。開口部16の位置は、たとえば、実施の形態1の導電シートの第1の可撓性基材11の表面上の配線形状等に応じて適宜設定することができる。
(エッチング工程)
次に、図7に示すように、レジスト膜14をマスクとして、第2の導電層13および第1の導電層12をエッチングすることによって、開口部16から第1の可撓性基材11の表面を露出させる。ここで、エッチング方法としては、第1の導電層12および第2の導電層13を除去することができるものであれば特に限定されず、たとえば従来から公知のウエットエッチング、ドライエッチングまたはこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。その後、レジスト膜14を除去する。
次に、図7に示すように、レジスト膜14をマスクとして、第2の導電層13および第1の導電層12をエッチングすることによって、開口部16から第1の可撓性基材11の表面を露出させる。ここで、エッチング方法としては、第1の導電層12および第2の導電層13を除去することができるものであれば特に限定されず、たとえば従来から公知のウエットエッチング、ドライエッチングまたはこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。その後、レジスト膜14を除去する。
(第1の可撓性基材と第2の可撓性基材との貼り合わせ工程)
次に、図8に示すように、第2の可撓性基材21上に接着層22を設置する。そして、第2の可撓性基材21上の接着層22が導電膜15の隙間を埋めるように第1の可撓性基材11上に第2の可撓性基材21を設置した状態で、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを加圧しながら加熱することによって、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせる。これにより、図1に示す構成の実施の形態1の導電シートが作製される。
次に、図8に示すように、第2の可撓性基材21上に接着層22を設置する。そして、第2の可撓性基材21上の接着層22が導電膜15の隙間を埋めるように第1の可撓性基材11上に第2の可撓性基材21を設置した状態で、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを加圧しながら加熱することによって、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせる。これにより、図1に示す構成の実施の形態1の導電シートが作製される。
[作用効果]
上記のようにして得られた実施の形態1の導電シートは、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。その理由は不明であるが、たとえば以下のように考えられる。
上記のようにして得られた実施の形態1の導電シートは、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。その理由は不明であるが、たとえば以下のように考えられる。
図9に、上記のようにして得られた実施の形態1の導電シートを屈曲させた後の模式的な拡大断面図を示す。図9に示すように、屈曲後の導電シートの第1の導電層12には複数のクラック41が形成される。実施の形態1の導電シートの第1の導電層12においては、銅結晶粒の平均粒径が小さいため、銅結晶粒間により多くの結晶粒界が存在している。このような構成を有する実施の形態1の導電シートを屈曲させた場合には、第1の導電層12の結晶粒界に第2の導電層13よりも多くのクラック41が形成される。そして、このようなクラック41が形成された第1の導電層12を有する実施の形態1の導電シートの屈曲を行なった場合には、当該クラック41によって、当該屈曲時に導電シートに加えられる曲げ応力が緩和されるため、第2の導電層13の高電気抵抗化、ひいては導電シートの高電気抵抗化を抑制することができる。
また、本発明者が鋭意検討した結果、導電膜15上に第2の可撓性基材21を設置することによって、実施の形態1の導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大させることができることを見い出し、好ましくは導電膜15上にポリイミドフィルムを含む第2の可撓性基材21を設置することによって、実施の形態1の導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに飛躍的に増大させることができることを見い出した。なお、実施の形態1の導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数が飛躍的に増大する理由は不明であるが、第2の可撓性基材21の設置、特にポリイミドフィルムを含む第2の可撓性基材21の設置により、第1の導電層12に含まれる銅結晶粒の平均粒径を第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも小さくすることにより得られる効果が相乗的に増加するためと推測される。
以上の理由により、実施の形態1の導電シートにおいては、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができるものと推測される。
ここで、第1の導電層12におけるクラック41の深さd1は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。クラック41の深さd1が、0.1μm以上5μm以下である場合、特に0.2μm以上2μm以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
また、第1の導電層12において隣り合うクラック41の間隔g1は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。隣り合うクラック41の間隔g1が、0.1μm以上5μm以下である場合、特に0.2μm以上2μm以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートが高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
また、実施の形態1の導電シートの第1の導電層12に含まれる銅結晶粒の平均粒径と、第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径との比((第1の導電層12に含まれる銅結晶粒の平均粒径)/(第2の導電層13に含まれる銅結晶粒の平均粒径))は、0.01以上0.5以下であることが好ましく、0.02以上0.1以下であることがより好ましい。第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径と、第2の導電層13の銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下である場合、特に0.02以上0.1以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
なお、上述のように、実施の形態1の導電シートにおいては、第2の導電層13の表面上に1層以上の導電層が形成されていてもよいことは言うまでもない。
また、実施の形態1の導電シートは、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大させることができることから、高電気抵抗化するまでにより多くの屈曲回数が要求されるフレキシブルプリント配線板等に好適に用いることができる。
なお、本明細書において、「高電気抵抗化するまでの屈曲回数」とは、導電シートの屈曲を繰り返したときに、導電シートの導電部分の電気抵抗が屈曲前の1.2倍となった時点の屈曲回数を意味するものとする。
<実施の形態2>
[導電シート]
図10に、本発明の他の一例である実施の形態2の導電シートの模式的な断面図を示す。実施の形態2の導電シートは、実施の形態1と導電膜15の構成が異なっている点に特徴がある。すなわち、実施の形態2の導電シートにおいては、第1の可撓性基材11上に第1の可撓性基材11の表面に接するようにして第2の導電層32が設けられているとともに、第2の導電層32上に第2の導電層32の表面に接するようにして第1の導電層31が設けられている。
[導電シート]
図10に、本発明の他の一例である実施の形態2の導電シートの模式的な断面図を示す。実施の形態2の導電シートは、実施の形態1と導電膜15の構成が異なっている点に特徴がある。すなわち、実施の形態2の導電シートにおいては、第1の可撓性基材11上に第1の可撓性基材11の表面に接するようにして第2の導電層32が設けられているとともに、第2の導電層32上に第2の導電層32の表面に接するようにして第1の導電層31が設けられている。
(第2の導電層)
第1の可撓性基材11上の第2の導電層32としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態2の第2の導電層32としては電解銅箔を用いることが好ましい。なお、本明細書において、電解銅箔は、電解めっき法により作製された銅箔であるを意味する。第2の導電層32に電解銅箔を用いることによって、真空設備を必要とすることなく、第1の可撓性基材11の表面を容易に導電性の被膜で覆うことができる。また、第2の導電層32を下地として、電解めっき法等により、第2の導電層32上に第1の導電層31を形成する場合には、第1の導電層31を所望の厚さに容易に形成することができる。
第1の可撓性基材11上の第2の導電層32としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態2の第2の導電層32としては電解銅箔を用いることが好ましい。なお、本明細書において、電解銅箔は、電解めっき法により作製された銅箔であるを意味する。第2の導電層32に電解銅箔を用いることによって、真空設備を必要とすることなく、第1の可撓性基材11の表面を容易に導電性の被膜で覆うことができる。また、第2の導電層32を下地として、電解めっき法等により、第2の導電層32上に第1の導電層31を形成する場合には、第1の導電層31を所望の厚さに容易に形成することができる。
電解銅箔から構成される第2の導電層32に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、第1の導電層31に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも大きくなっていれば特に限定されないが、0.1μm以上3μm以下とすることが好ましく、0.3μm以上2μm以下とすることがより好ましい。電解銅箔から構成される第2の導電層32に含まれる銅結晶粒の平均粒径が0.1μm以上3μm以下である場合、特に0.3μm以上2μm以下である場合には、第1の導電層31におけるクラックの伝搬をより遅らせることができるため、実施の形態2の導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数を増加させることができる。
本明細書において、電解銅箔から構成される第2の導電層32の銅結晶粒の平均粒径は、第2の導電層32の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値を意味する。
電解銅箔から構成される第2の導電層32の厚さt2は、特に限定されないが、たとえば1μm以上5μm以下とすることができる。
(第1の導電層)
第2の導電層32上の第1の導電層31としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態2の第1の導電層31としては銅めっき膜を用いることが好ましい。第1の導電層31に銅めっき膜を用いることによって、第1の導電層31をボイドの少ない緻密な層に形成することができるため、実施の形態2の導電シートの導電機能をより高くすることができる。
第2の導電層32上の第1の導電層31としては、銅結晶粒を含む層を用いることができるが、実施の形態2の第1の導電層31としては銅めっき膜を用いることが好ましい。第1の導電層31に銅めっき膜を用いることによって、第1の導電層31をボイドの少ない緻密な層に形成することができるため、実施の形態2の導電シートの導電機能をより高くすることができる。
銅めっき膜から構成される第1の導電層31は、たとえば電解めっき法または無電解めっき法により形成することができるが、電解めっき法により形成することが好ましい。電解めっき法により第1の導電層31を形成した場合には、第1の導電層31の厚みの調整をより容易にかつより正確に行なうことができるとともに、比較的短時間で所望の厚さを得ることができる。なお、第1の導電層31の形成前に下地として予め第2の導電層32が形成されているため、電解めっき法によって第1の導電層31を容易に形成することができる。
銅めっき膜から構成される第1の導電層31の銅結晶粒の平均粒径は、電解銅箔から構成される第2の導電層32の銅結晶粒の平均粒径よりも小さくなっていれば特に限定されないが、たとえば0.1μm以上3μm以下とすることができる。
ここで、本明細書において、銅めっき膜から構成される第1の導電層31の銅結晶粒の平均粒径は、第1の導電層31の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値を意味する。
銅めっき膜から構成される第1の導電層31の厚さt1は、特に限定されないが、たとえば0.05μm以上3μm以下とすることができる。
なお、銅めっき膜から構成される第1の導電層31は、銅結晶粒とともに、第2の導電層32に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも大きい平均粒径を有する金属結晶粒を含んでいてもよい。ここで、金属結晶粒としては、たとえば、銀、金、白金、パラジウム、ルビジウム、錫、ニッケル、鉄、コバルト、チタンおよびインジウムからなる群から選択された少なくとも1つの金属結晶粒等を用いることができる。なお、本明細書において、銅めっき膜から構成される第1の導電層31の銅結晶粒以外の金属結晶粒の平均粒径も、銅結晶粒の平均粒径と同様に、第1の導電層31の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の金属結晶粒(銅結晶粒以外)を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る金属結晶粒(銅結晶粒以外)の個数で除した値を意味する。
[導電シートの製造方法]
(第2の導電層の形成工程)
以下、図11〜図15の模式的断面図を参照して、実施の形態2の導電シートの製造方法の一例について説明する。まず、図11に示すように、第1の可撓性基材11上にたとえば無電解めっき法等により金属薄膜30を形成する。
(第2の導電層の形成工程)
以下、図11〜図15の模式的断面図を参照して、実施の形態2の導電シートの製造方法の一例について説明する。まず、図11に示すように、第1の可撓性基材11上にたとえば無電解めっき法等により金属薄膜30を形成する。
第1の可撓性基材11の表面上に予め形成される金属薄膜を構成する金属結晶粒の平均粒径は、たとえば、0.5nm以上100nm以下とすることができ、1nm以上30nm以下とすることが好ましく、1nm以上20nm以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において、第1の可撓性基材11の表面上に予め形成される金属薄膜の金属結晶粒の平均粒径は、第1の可撓性基材11の表面上に予め形成される金属薄膜の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の金属結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る金属結晶粒の個数で除した値を意味する。
次に、図12に示すように、金属薄膜30上に第2の導電層32を形成する。ここで、第2の導電層32は、たとえば、ロール等に巻き取られた長尺の第1の可撓性基材11を引き出しながら連続的に電解めっき液に浸漬させ、電解めっき法により、第1の可撓性基材11の金属薄膜30の表面上に銅を析出させることにより、電解銅箔からなる第2の導電層32を連続的に形成することができる。この場合には、実施の形態2の導電シートを連続的に製造することができるため、実施の形態2の導電シートの製造効率を向上させることができる。
ここで、第2の導電層32の形成時においては、第1の導電層31を構成する銅めっき膜の銅結晶粒の平均粒径が、第2の導電層32の電解銅箔の銅結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、第2の導電層32の形成条件が適宜調節され得ることは言うまでもない。
(第1の導電層の形成工程)
次に、図13に示すように、第2の導電層32の表面上に第1の導電層31を形成する。第1の導電層31は、たとえば、硫酸銅水溶液等の電解めっき液を用いた電解めっき法により形成することができる。電解めっき法による第1の導電層31の好ましい形成方法としては、たとえば25℃程度の電解めっき液に空気バブリングを行ないながら、電流密度2A/dm2程度の電流を流すことによって電解めっきを行なう方法などを挙げることができる。この場合には、ボイドの少ない緻密な第1の導電層31を形成することができる。なお、電解めっき法に代えて、無電解めっき法により第1の導電層31を形成してもよい。
次に、図13に示すように、第2の導電層32の表面上に第1の導電層31を形成する。第1の導電層31は、たとえば、硫酸銅水溶液等の電解めっき液を用いた電解めっき法により形成することができる。電解めっき法による第1の導電層31の好ましい形成方法としては、たとえば25℃程度の電解めっき液に空気バブリングを行ないながら、電流密度2A/dm2程度の電流を流すことによって電解めっきを行なう方法などを挙げることができる。この場合には、ボイドの少ない緻密な第1の導電層31を形成することができる。なお、電解めっき法に代えて、無電解めっき法により第1の導電層31を形成してもよい。
ここで、第1の導電層31の形成時においては、第1の導電層31を構成する銅めっき膜の銅結晶粒の平均粒径が、第2の導電層32の電解銅箔の銅結晶粒の平均粒径よりも小さくなるように、第1の導電層31の形成条件が適宜調節され得ることは言うまでもない。
(レジスト膜の形成工程)
次に、図14に示すように、第1の導電層31の表面上に、所定の位置に開口部16を有するレジスト膜14を形成する。ここで、開口部16を有するレジスト膜14は、たとえば第1の導電層31の表面全面に液状のレジストを塗布した後に、露光および現像等を行なうことによって、開口部16を設けるとともに、液状のレジストを硬化することにより形成することができる。開口部16の位置は、たとえば、実施の形態2の導電シートの第1の可撓性基材11の表面上の配線形状等に応じて適宜設定することができる。
次に、図14に示すように、第1の導電層31の表面上に、所定の位置に開口部16を有するレジスト膜14を形成する。ここで、開口部16を有するレジスト膜14は、たとえば第1の導電層31の表面全面に液状のレジストを塗布した後に、露光および現像等を行なうことによって、開口部16を設けるとともに、液状のレジストを硬化することにより形成することができる。開口部16の位置は、たとえば、実施の形態2の導電シートの第1の可撓性基材11の表面上の配線形状等に応じて適宜設定することができる。
(エッチング工程)
次に、図15に示すように、レジスト膜14をマスクとして、第2の導電層32および第1の導電層31をエッチングすることによって、開口部16から第1の可撓性基材11の表面を露出させる。ここで、エッチング方法としては、第1の導電層31および第2の導電層32を除去することができるものであれば特に限定されず、たとえば従来から公知のウエットエッチング、ドライエッチングまたはこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。その後、レジスト膜14を除去する。
次に、図15に示すように、レジスト膜14をマスクとして、第2の導電層32および第1の導電層31をエッチングすることによって、開口部16から第1の可撓性基材11の表面を露出させる。ここで、エッチング方法としては、第1の導電層31および第2の導電層32を除去することができるものであれば特に限定されず、たとえば従来から公知のウエットエッチング、ドライエッチングまたはこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。その後、レジスト膜14を除去する。
(第1の可撓性基材と第2の可撓性基材との貼り合わせ工程)
次に、図8に示すように、第2の可撓性基材21上に接着層22を設置する。そして、第2の可撓性基材21上の接着層22が導電膜15の隙間を埋めるように第1の可撓性基材11上に第2の可撓性基材21を設置した状態で、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを加圧しながら加熱することによって、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせる。これにより、図10に示す構成の実施の形態2の導電シートが作製される。
次に、図8に示すように、第2の可撓性基材21上に接着層22を設置する。そして、第2の可撓性基材21上の接着層22が導電膜15の隙間を埋めるように第1の可撓性基材11上に第2の可撓性基材21を設置した状態で、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを加圧しながら加熱することによって、第1の可撓性基材11と第2の可撓性基材21とを貼り合わせる。これにより、図10に示す構成の実施の形態2の導電シートが作製される。
[作用効果]
上記のようにして得られた実施の形態2の導電シートも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。その理由は不明であるが、たとえば以下のように考えられる。
上記のようにして得られた実施の形態2の導電シートも、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができる。その理由は不明であるが、たとえば以下のように考えられる。
図16に、上記のようにして得られた実施の形態2の導電シートを屈曲させた後の模式的な拡大断面図を示す。図16に示すように、屈曲後の導電シートの第1の導電層31には複数のクラック51が形成される。実施の形態2の導電シートの第1の導電層31は、第2の導電層32と比べて、銅結晶粒の平均粒径が小さいため、銅結晶粒間により多くの結晶粒界が存在している。このような構成を有する実施の形態2の導電シートを屈曲させた場合には、第1の導電層31の結晶粒界に第2の導電層32よりも多くのクラック51が形成される。そして、このようなより多くのクラック51が形成された第1の導電層31を有する実施の形態2の導電シートの屈曲を行なった場合には、当該クラック51によって、当該屈曲時に導電シートに加えられる曲げ応力が緩和されるため、導電シートの高電気抵抗化を抑制することができる。これにより、実施の形態2の導電シートにおいては、従来の特許文献1に記載のFPCと比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を飛躍的に増大することができると推測される。
ここで、第1の導電層31におけるクラック51の深さd2は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。クラック51の深さd2が、0.1μm以上5μm以下である場合、特に0.2μm以上2μm以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
また、第1の導電層31において隣り合うクラック51の間隔g2は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。隣り合うクラック51の間隔g2が、0.1μm以上5μm以下である場合、特に0.2μm以上2μm以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
また、実施の形態2の導電シートの第1の導電層31に含まれる銅結晶粒の平均粒径と、第2の導電層32に含まれる銅結晶粒の平均粒径との比((第1の導電層31に含まれる銅結晶粒の平均粒径)/(第2の導電層32に含まれる銅結晶粒の平均粒径))は、0.01以上0.5以下であることが好ましく、0.02以上0.1以下であることがより好ましい。第1の導電層31の銅粒子の平均粒径と、第2の導電層32の銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下である場合、特に0.02以上0.1以下である場合には、導電シートの屈曲に起因する応力をより緩和することができるため、導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
なお、実施の形態2の導電シートにおいては、たとえば図17の模式的断面図に示すように、第1の導電層31の表面上に、たとえば上述のように導電性インクから形成された第3の導電層33が形成されていてもよい。この場合には、導電性インクから形成された第3の導電層33を構成する銅結晶粒間の樹脂にクラックが形成され、当該第3の導電層33を屈曲時の曲げ応力を緩和する層として機能させることができる。これにより、導電機能を担保する第1の導電層31にクラック51が形成されるのを抑制することができるため、実施の形態2の導電シートの高電気抵抗化するまでの屈曲回数をさらに増大させることができる。
ここで、導電性インクから形成された第3の導電層33に含まれる銅結晶粒の平均粒径は、銅めっき膜から構成される第1の導電層31に含まれる銅結晶粒の平均粒径よりも平均粒径が小さいことが好ましい。すなわち、導電性インクから形成された第3の導電層33の銅結晶粒の平均粒径は、銅めっき膜から構成される第1の導電層31の銅結晶粒の平均粒径よりも小さいことが好ましい。この場合には、第1の導電層31よりも第3の導電層33にクラックが形成されやすくなるため、導電機能を担保する第1の導電層31にクラック41が形成されるのを抑制することができる傾向にある。なお、本明細書において、導電性インクから形成された第3の導電層33の銅結晶粒の平均粒径は、実施の形態1の第1の導電層12の銅結晶粒の平均粒径と同様に、第3の導電層33の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値を意味する。
実施の形態2における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明については繰り返さない。
[実験例1]
図18に、実験例で用いられるサンプルの模式的な断面図を示す。ここで、サンプルは、第1の可撓性基材としてのポリイミドフィルム101と、ポリイミドフィルム101の表面上に設けられた厚さ1μmの導電性インク焼結層102と、導電性インク焼結層102の表面上に設けられた厚さ12μmの銅めっき膜103と、ポリイミドフィルム101の表面上において導電性インク焼結層102および銅めっき膜103からなる導電膜を被覆する接着剤層105と、接着剤層105上に設けられた第2の可撓性基材としての厚さ25μmのポリイミドフィルム104(東レ・デュポン株式会社製のカプトンEN)とを有していた。ここで、銅めっき膜103とポリイミドフィルム104との間には接着剤層105が介在しており、銅めっき膜103とポリイミドフィルム104とは接していなかった。
[実験例1]
図18に、実験例で用いられるサンプルの模式的な断面図を示す。ここで、サンプルは、第1の可撓性基材としてのポリイミドフィルム101と、ポリイミドフィルム101の表面上に設けられた厚さ1μmの導電性インク焼結層102と、導電性インク焼結層102の表面上に設けられた厚さ12μmの銅めっき膜103と、ポリイミドフィルム101の表面上において導電性インク焼結層102および銅めっき膜103からなる導電膜を被覆する接着剤層105と、接着剤層105上に設けられた第2の可撓性基材としての厚さ25μmのポリイミドフィルム104(東レ・デュポン株式会社製のカプトンEN)とを有していた。ここで、銅めっき膜103とポリイミドフィルム104との間には接着剤層105が介在しており、銅めっき膜103とポリイミドフィルム104とは接していなかった。
図18に示すサンプルは以下のようにして作製した。まず、平均粒径20nmの銅粒子を、分散剤(日本触媒株式会社製のポリエチレンイミン)を含む水中に分散させることによって、導電性インクを用意した。ここで、銅粒子の平均粒径は、日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布計(UPA−150EX)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50:メディアン径)とした。
次に、上記のようにして作製した導電性インクを、可撓性基材としての厚さ25mのポリイミドフィルム101の表面の全面にドクターブレード法によって塗布し、その後、窒素雰囲気下で350℃で加熱することにより導電性インクを焼結することによって導電性インク焼結層102を形成した。
ここで、導電性インク焼結層102の銅結晶粒の平均粒径は、導電性インク焼結層102の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値として算出した。その結果、導電性インク焼結層102の銅結晶粒の平均粒径は0.5μmであった。
次に、導電性インク焼結層102の形成後のポリイミドフィルム101を電解銅めっき液に浸漬させて、導電性インク焼結層102を陰極とし、銅を陽極として、当該陰極と陽極との間に電圧を印加することによって、導電性インク焼結層102の表面上に銅を析出させた。これにより、導電性インク焼結層102の表面上に本導電層としての厚さ12μmの銅めっき膜103を形成した。ここで、電解銅めっきは、25℃の電解銅めっき液に空気バブリングを行ないながら、電流密度2A/dm2程度の電流を流すことにより行なった。
ここで、銅めっき膜103の銅結晶粒の平均粒径は、銅めっき膜103の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値として算出した。その結果、銅めっき膜103の銅結晶粒の平均粒径は0.5μmであった。
次に、銅めっき膜103の表面上に所定の位置に開口部を有するレジスト膜を形成し、その後、レジスト膜をマスクとして導電性インク焼結層102および銅めっき膜103のエッチングを行なうことによって、レジスト膜の開口部からポリイミドフィルム101の表面を露出させた。その後、銅めっき膜103の表面からレジスト膜を完全に除去した。
次に、上記のエッチング後の導電性インク焼結層102および銅めっき膜103が設けられたポリイミドフィルム101と、接着剤層105が設けられたポリイミドフィルム104とを貼り合わせることによって、図18に示すサンプルを作製した。上記のようにして作製されたサンプルをサンプルNo.1とした。
また、導電性インク焼結層102に代えて、厚さ2μmの電解銅箔を用いたこと以外はサンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.2を作製した。
そして、上記のようにして作製されたサンプルNo.1およびサンプルNo.2について屈曲を繰り返して行ない、その屈曲回数と電気抵抗との関係について調査した。その結果を図19に示す。
ここで、サンプルNo.1およびサンプルNo.2の屈曲回数と電気抵抗との関係は、以下のようにして調査した。まず、信越エンジニアリング株式会社製の屈曲試験機(商品名:SEK−31B4S)に、幅75mm×長さ0.06mmの矩形状のサンプルNo.1およびサンプルNo.2を固定した。そして、サンプルNo.1およびサンプルNo.2について、曲率半径:2mm、温度:80℃、速度:1500rpmおよび摺動距離:20mmの条件で、屈曲試験機により繰り返し屈曲させて、その間、サンプルNo.1およびサンプルNo.2の電気抵抗をモニタリングした。なお、図19の縦軸に示される電気抵抗は、屈曲前のサンプルNo.1およびサンプルNo.2の電気抵抗を1としたときの相対値で表わされている。また、図19の横軸には、屈曲回数(×1000000回)が示されている。
図19に示すように、サンプルNo.1の電気抵抗は屈曲回数が1000万回の時点まで上昇したが、その後は、屈曲回数が2億5千万回まで電気抵抗の上昇は抑えられた。
また、図19に示すように、サンプルNo.2の電気抵抗は、屈曲回数が2億5千万回まで上昇が見られなかった。
ここで、サンプルNo.2の電解銅箔の銅結晶粒の平均粒径は、電解銅箔の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値として算出した。その結果、電解銅箔の銅結晶粒の平均粒径は1.0μmであった。
図20および図21に、屈曲回数が1000万回の時点でのサンプルNo.1の断面観察を行なった結果を示す。図20および図21に示されるサンプルNo.1の断面観察は、クロスセクションポリッシャーにて断面加工した後、低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察することにより行なった。なお、図20および図21は、それぞれ、サンプルNo.1の異なる部分の断面観察結果を示していることは言うまでもない。
図20および図21に示すように、屈曲回数が1000万回の時点でのサンプルNo.1の導電性インク焼結層102および銅めっき膜103にはクラックが形成されていることが確認された。
また、導電性インク焼結層102に代えて、厚さ12μmの圧延銅箔を用いたこと以外はサンプルNo.1と同様にして作製したサンプルNo.3についても、サンプルNo.1と同様にして、屈曲回数が1000万回の時点での断面観察を行なった。その結果を図22および図23に示す。
図22および図23に示すように、屈曲回数が1000万回の時点でのサンプルNo.3には全くクラックが形成されていないことが確認されたが、その後、屈曲回数が5000万回の時点で、電気抵抗が急増して破断することが確認された。
ここで、サンプルNo.3の圧延銅箔の銅結晶粒の平均粒径は、圧延銅箔の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値として算出した。その結果、サンプルNo.3の圧延銅箔の銅結晶粒の平均粒径は4.1μmであった。
[実験例2]
サンプルNo.1の複数について、それぞれ、MIT試験機(TOYO SEIKI製のMIT−D)にセットし、荷重:500g、ふり角度:135°、先端R:0.38mmおよび屈曲速度90回/分の条件で屈曲試験を行ない、サンプルNo.1が破断するまでの平均の屈曲回数を調査した。その結果を図24に示す。
[実験例2]
サンプルNo.1の複数について、それぞれ、MIT試験機(TOYO SEIKI製のMIT−D)にセットし、荷重:500g、ふり角度:135°、先端R:0.38mmおよび屈曲速度90回/分の条件で屈曲試験を行ない、サンプルNo.1が破断するまでの平均の屈曲回数を調査した。その結果を図24に示す。
また、導電性インク焼結層102に代えて、厚さ0.5μmの銅スパッタリング層を用いたこと以外はサンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.4を作製した。
そして、上記のようにして作製したサンプルNo.4について、サンプルNo.1と同一の方法および同一の条件で、MIT試験機を用いた屈曲試験を行ない、破断するまでの平均の屈曲回数を調査した。その結果も図24に示す。
図24に示すように、ポリイミドフィルム101に接するように導電性インク焼結層102が形成されたサンプルNo.1は、ポリイミドフィルム101に接するようにスパッタリング法によって銅スパッタリング層が形成されたサンプルNo.4と比べて、MIT試験機を用いた屈曲試験において、破断までの平均屈曲回数が大幅に増加することが確認された。
サンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.4の銅めっき膜103の銅結晶粒の平均粒径を算出したところ、その平均粒径は3.2μmであった。
また、サンプルNo.4の銅スパッタリング層の銅結晶粒の平均粒径は、銅スパッタリング層の表面を低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察して、複数の銅結晶粒を連続して横切る任意の線分の長さを、当該線分を横切る銅結晶粒の個数で除した値として算出した。その結果、サンプルNo.4の銅スパッタリング層の銅結晶粒の平均粒径は0.2μmであった。
また、図25に、MIT試験機による破断後のサンプルNo.1の断面観察結果を示す。図25に示すように、破断後のサンプルNo.1においては、導電性インク焼結層102に複数の微細なクラックが形成されているとともに、銅めっき膜103には大きなクラックが形成されていることが確認された。
なお、図25に示されるMIT試験機による破断後のサンプルNo.1の断面観察は、クロスセクションポリッシャーにて断面加工した後、低加速型電子顕微鏡(カールツァイス社製のULTRA55)で観察することにより行なった。
[実験例3]
第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルム104に代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCP(Liquid Crystal Polymer)フィルムをそれぞれ用いたこと以外はサンプルNo.1と同様にして、表1に示す構成のサンプルNo.5およびNo.6を作製する。
[実験例3]
第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルム104に代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCP(Liquid Crystal Polymer)フィルムをそれぞれ用いたこと以外はサンプルNo.1と同様にして、表1に示す構成のサンプルNo.5およびNo.6を作製する。
また、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルム104に代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCPフィルムをそれぞれ用いたこと以外はサンプルNo.2と同様にして、表1に示す構成のサンプルNo.7およびNo.8を作製する。
また、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルム104に代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCPフィルムをそれぞれ用いたこと以外はサンプルNo.4と同様にして、表1に示す構成のサンプルNo.9およびNo.10を作製する。
また、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルム104の厚さをそれぞれ表1に示す厚さに変更したこと以外はサンプルNo.1と同様にして、表1に示す構成のサンプルNo.11〜16を作製する。
そして、上記のようにして作製したサンプルNo.5〜16について、実験例1と同様にして、屈曲回数と電気抵抗との関係について調査することによって、高電気抵抗化するまでの屈曲回数を求める。また、上記のようにして作製したサンプルNo.5〜16について、実験例2と同様にして、MIT試験機を用いた屈曲試験を行ない、破断するまでの平均の屈曲回数(MIT試験機を用いた屈曲回数)を調査する。その結果を表1に示す。また、参考のため、サンプルNo.1〜4が高電気抵抗化するまでの屈曲回数およびMIT試験機を用いた屈曲回数についても表1に示す。
表1に示すように、第2の可撓性基材としてポリイミドフィルムを用いたサンプルNo.1は、第2の可撓性基材としてポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCPフィルムをそれぞれ用いたサンプルNo.5および6と比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数およびMIT試験機を用いた屈曲回数のいずれも高くなることが確認されている。
また、表1に示すように、第2の可撓性基材としてポリイミドフィルムを用いたサンプルNo.2は、第2の可撓性基材としてポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCPフィルムをそれぞれ用いたサンプルNo.7および8と比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数が高くなることが確認されている。
また、表1に示すように、第2の可撓性基材としてポリイミドフィルムを用いたサンプルNo.4は、第2の可撓性基材としてポリエチレンナフタレートフィルムおよびLCPフィルムをそれぞれ用いたサンプルNo.9および10と比べて、MIT試験機を用いた屈曲回数が高くなることが確認されている。
また、表1に示すように、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルムの厚さが1μm以上50μm以下の範囲にあるサンプルNo.1およびNo.12〜15は、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルムの厚さがその範囲にないサンプルNo.11および16と比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数およびMIT試験機を用いた屈曲回数のいずれも高くなることが確認されている。
また、表1に示すように、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルムの厚さが10μm以上40μm以下の範囲にあるサンプルNo.1、13および14は、第2の可撓性基材としてのポリイミドフィルムの厚さがその範囲にないサンプルNo.11、12、15および16と比べて、高電気抵抗化するまでの屈曲回数およびMIT試験機を用いた屈曲回数のいずれも高くなることが確認されている。
以上のように本発明の実施の形態および実験例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実験例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の態様および第2の態様は、導電シートおよび導電シートの製造方法に利用することができ、特にフレキシブルプリント配線板およびフレキシブルプリント配線板の製造方法に好適に利用することができる。
11 第1の可撓性基材、12,31 第1の導電層、12a 導電性インク、13,32 第2の導電層、14 レジスト膜、15 導電膜、16 開口部、21 第2の可撓性基材、22 接着層、30 金属薄膜、33 第3の導電層、41,51 クラック、101,104 ポリイミドフィルム、102 導電性インク焼結層、103 銅めっき膜、105 接着剤層、1002 圧延銅箔、1003 銅めっき膜、1004 酸化銅異物、1005 ボイド、1006 クラック。
Claims (17)
- 第1の可撓性基材と、
前記第1の可撓性基材上に設けられた導電膜と、
前記導電膜上に設けられた第2の可撓性基材と、を含み、
前記導電膜は、銅結晶粒を含む第1の導電層と、銅結晶粒を含む第2の導電層と、を含み、
前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径よりも小さい、導電シート。 - 前記第2の可撓性基材は、ポリイミドフィルムを含む、請求項1に記載の導電シート。
- 前記第1の導電層は、クラックを含む、請求項1または請求項2に記載の導電シート。
- 前記クラックの深さは、0.1μm以上5μm以下である、請求項3に記載の導電シート。
- 隣り合う前記クラックの間隔は、0.1μm以上5μm以下である、請求項3または請求項4に記載の導電シート。
- 前記第1の導電層は、前記第1の可撓性基材に接している、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電シート。
- 前記第1の導電層上に前記第2の導電層が設けられており、
前記第2の導電層は、銅めっき膜を含む、請求項6に記載の導電シート。 - 前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径と、前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下である、請求項6または請求項7に記載の導電シート。
- 前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、1nm以上100nm以下であり、
前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下である、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の導電シート。 - 前記第2の導電層は、前記第1の可撓性基材に接しており、
前記第2の導電層上に前記第1の導電層が設けられており、
前記第1の導電層は、銅めっき膜を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電シート。 - 前記第1の導電層上に銅結晶粒を含む第3の導電層が設けられており、
前記第3の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径よりも平均粒径が小さい、請求項10に記載の導電シート。 - 前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径と、前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径との比が、0.01以上0.5以下である、請求項10または請求項11に記載の導電シート。
- 前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下であり、
前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下である、請求項10〜請求項12のいずれか1項に記載の導電シート。 - 第1の可撓性基材上に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上に第2の可撓性基材を形成する工程と、を含み、
前記導電膜を形成する工程は、銅結晶粒を含む第1の導電層を形成する工程と、銅結晶粒を含む第2の導電層を形成する工程と、を含み、
前記第1の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径は、前記第2の導電層に含まれる前記銅結晶粒の平均粒径よりも小さい、導電シートの製造方法。 - 前記第2の可撓性基材は、ポリイミドフィルムを含む、請求項14に記載の導電シートの製造方法。
- 前記第1の導電層を形成する工程は、前記第1の可撓性基材の表面上に導電性インクを塗布する工程と、前記導電性インクを焼結する工程とを含み、
前記第2の導電層を形成する工程は、前記第1の導電層の表面上に銅めっき膜を形成する工程を含む、請求項14または請求項15に記載の導電シートの製造方法。 - 前記第2の導電層を形成する工程は、前記第1の可撓性基材の表面上に電解銅箔を形成する工程を含み、
前記第1の導電層を形成する工程は、前記第2の導電層の表面上に銅めっき膜を形成する工程を含む、請求項14または請求項15に記載の導電シートの製造方法。
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