JP5324303B2 - カチオン電着塗料、塗膜の形成方法及び塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、カチオン電着塗料、及び当該カチオン電着塗料を用いた塗膜の形成方法、並びに当該方法により得られる塗膜に関するものである。
電着塗装方法は、複雑な形状を有する被塗物であっても均一に塗装することができ、自動的かつ連続的に塗装することができるので、大型で複雑な形状を有し、高い防錆性が要求される被塗物の下塗り塗装方法として汎用されている。また、他の塗装方法と比較して、塗料の使用効率が極めて高いため、経済的であり、工業的な塗装方法として広く普及している。
このような電着塗装方法に使用される電着塗料として、耐電圧性及び耐熱性を向上させることを目的に、ポリイミドの主鎖中にシロキサン結合を含有し、かつ分子中にアニオン性基を有する樹脂から得られる塗膜を形成するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、メラミン硬化型アクリル系アニオン電着塗料中に水酸基含有ポリオキシアルキレン変性ジオルガノポリシロキサンを含有する熱硬化型アニオン電着塗料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ポリシロキサンとポリシロキサン以外の重合体とからなるアニオン性基若しくはカチオン性基を含有する水性樹脂を必須成分として含有する電着塗料が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−228984号公報(2005年8月25日公開) 特開2005−60486号公報(2005年3月10日公開) 特開平11−209694号公報(1999年8月3日公開)
しかしながら、上記従来の構成では、アニオン電着塗料である場合は、電着塗装を行う際に被塗物が溶出するという問題が生じる。また、特許文献3でのカチオン電着塗料は、硬化塗膜の耐久性を課題としており、耐電圧性や耐熱性を課題としたカチオン電着塗料ではなく、水性樹脂を使用しているため耐電圧性や耐熱性が不十分である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、得られる塗膜の耐電圧性及び耐熱性に優れたカチオン電着塗料、及び当該カチオン電着塗料を用いた塗膜の形成方法、並びに当該方法により得られる塗膜を実現することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。当該検討において本発明者は、まずポリシロキサンをカチオン電着塗料に混合させることを試みた。しかしながら、ポリシロキサンとカチオン電着塗料とは互いに馴染まない性質を有するため、単純に両者を混合してもポリシロキサンをカチオン電着塗料中に均一に分散させることができなかった。
具体的には、従来のカチオン電着塗料では、使用される樹脂とポリシロキサンとの親和性が低く、ポリシロキサンの分散安定性が不十分であるため、表面張力の関係でシロキサンを中心にして塗膜に円形の穴が開き、塗装時にはじきと呼ばれる、塗膜として重大な欠陥が生じてしまっていた。
そこで、本発明者は、ノボラッククレゾール型骨格やノボラックフェノール型骨格等が有する環構造はポリシロキサン骨格と親和性が高く、疎水性相互作用(ファン・デル・ワールス力)によってポリシロキサンの分散安定性を高めることができるとの推定のもと、ポリシロキサンを、所定の構造を有するエポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子とすることにより、ポリシロキサンをカチオン電着塗料中に均一に分散させることを検討した。そして、その結果、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るカチオン電着塗料は、上記課題を解決するために、ポリシロキサンと、エポキシ樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有し、上記エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有することを特徴としている。
上記構成によれば、上記ポリシロキサンと、上記所定の構造を有するエポキシ樹脂とを含有するため、得られる硬化膜の耐電圧性を犠牲にすること無く、得られる塗膜の耐熱性を向上させることができる。
従って、上記構成によれば、得られる塗膜の耐電圧性及び耐熱性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンは、シラノール基を有していることが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンはカチオン電着塗料中により安定して分散するため、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンは、下記一般式(Ia)
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
で表される構造単位を有することが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンはカチオン電着塗料中により安定して分散するため、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンは、下記一般式(Ib)
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
で表される構造単位を有することが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンはカチオン電着塗料中により安定して分散するため、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンは、下記一般式(II)
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
で表される構造単位を更に有することが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンはカチオン電着塗料中により安定して分散するため、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンと上記エポキシ樹脂との質量比が10:90以上90:10以下の範囲内であることが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含有し、上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は50nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましい。
上記構成によれば、ポリシロキサンの含有量が多くても安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンは、下記一般式(III)
Figure 0005324303
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基であり、X及びYは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基であり、m及びnは、それぞれ独立して任意の整数である)
で表される構造を有することが好ましい。
上記構成によれば、耐電圧性及び耐熱性により優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記エポキシ樹脂に対する上記ポリシロキサンの割合が5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましい。
上記構成によれば、上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂に対して所定の割合で含有するため、得られる硬化膜の耐電圧性を犠牲にすること無く、得られる塗膜の耐熱性を向上させることができる。
従って、上記構成によれば、得られる塗膜の耐電圧性及び耐熱性により優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料では、上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含有し、上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は50nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましい。
上記構成によれば、より安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る塗膜の形成方法は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る何れか1つのカチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装することにより電着塗膜を形成する工程を含むことを特徴としている。
上記方法によれば、本発明に係る上記カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装するため、複雑な形状をした金属に耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る塗膜は、上記課題を解決するために、上記本発明に係る方法により得られることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明に係る上記方法により得られるため、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係るカチオン電着塗料は、以上のように、ポリシロキサンと、エポキシ樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有し、上記エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有することを特徴としている。
このため、ポリシロキサンを塗料中に安定して分散させることができ、得られる塗膜の耐電圧性及び耐熱性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る塗膜の形成方法は、以上のように、本発明に係る上記カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装することにより電着塗膜を形成する工程を含むことを特徴としている。
このため、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係る塗膜は、以上のように、本発明に係る上記方法により得られることを特徴としている。
このため、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。また、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本実施の形態に係るカチオン電着塗料は、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む。
(1)エポキシ樹脂
上記エポキシ樹脂は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有し、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有する。
上記エポキシ樹脂は、一分子中にスルホニウム基及びプロパルギル基の両者を有していてもよいが、必ずしもその必要はなく、例えば、一分子中にスルホニウム基又はプロパルギル基の何れか一方だけを有していてもよい。後者の場合には、樹脂組成物全体として、これら2種の硬化性官能基の全てを有していればよい。
上記スルホニウム基は、上記カチオン性樹脂組成物における水和官能基である。スルホニウム基は、電着工程で一定以上の電圧又は電流を与えられると、電極上で電解還元反応をうけてイオン性基が消失し、不可逆的に不導体化される。上記カチオン電着塗料は、このことにより高度のつきまわり性を発揮することができていると考えられる。
また、上記電着工程においては、電極反応が引き起こされ、生じた水酸化物イオンをスルホニウム基が保持することにより電解発生塩基がカチオン電着塗料中に発生すると考えられる。この電解発生塩基は、カチオン電着塗料中に存在する、加熱による反応性の低いプロパルギル基を、加熱による反応性の高いアレン結合に変換することができる。
上記エポキシ樹脂としては、硬化性を高めるための多官能基化が容易であるので、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有する、ノボラックフェノール型ポリエポキシ樹脂、及び/又はノボラッククレゾール型ポリエポキシ樹脂が用いられる。
上記エポキシ樹脂における、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格の含有割合は、好ましくは50〜99.5質量%の範囲内である。
上記エポキシ樹脂の数平均分子量は、下限700、上限5,000であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂中のスルホニウム基の含有量は、後述するスルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を満たした上で、上記エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限5ミリモル、上限400ミリモルである。5ミリモル/100g以上であれば、つきまわり性や硬化性を充分に発揮することができ、また、水和性、浴安定性により優れる。400ミリモル/100g以下であれば、被塗物への樹脂層の析出がより良好となる。
エポキシ樹脂の固形分100gあたりの上記下限は、5ミリモルであることがより好ましく、10ミリモルであることが更に好ましい。また、上記上限は、250ミリモルであることがより好ましく、150ミリモルであることが更に好ましい。
上記エポキシ樹脂の有するプロパルギル基は、上記カチオン電着塗料において、硬化官能基として作用する。また、理由は不明であるが、スルホニウム基と併存させることにより、カチオン電着塗料のつきまわり性をより向上させることができる。
上記エポキシ樹脂の有するプロパルギル基の含有量は、後述するスルホニウム基及びプロパルギル基の含有量の条件を満たした上で、上記エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限10ミリモル、上限495ミリモルである。10ミリモル/100g以上であれば、つきまわり性や硬化性を充分に発揮することができ、495ミリモル/100g以下であれば、水和安定性により優れる。エポキシ樹脂の固形分100gあたりの上記下限は、20ミリモルであることがより好ましく、上記上限は、395ミリモルであることが更に好ましい。
尚、本明細書における「プロパルギル基の含有量」は、エポキシ樹脂を製造する際の各原料の仕込み量から計算した値を意味する。
上記エポキシ樹脂の有するスルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、500ミリモル以下であることが好ましい。500ミリモル/100g以下であれば、耐電圧性と耐熱性とに優れたカチオン電着塗料のための樹脂をより安定して得ることができる。上記エポキシ樹脂の有するスルホニウム基及びプロパルギル基の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、400ミリモル以下であることがより好ましい。
上記エポキシ樹脂中のプロパルギル基の一部は、アセチリド化されていてもよい。アセチリドは、塩類似の金属アセチレン化物である。上記エポキシ樹脂中のアセチリド化されるプロパルギル基の含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限0.1ミリモル、上限40ミリモルであることが好ましい。0.1ミリモル以上であれば、アセチリド化による効果が充分発揮され、40ミリモル以下であれば、アセチリド化を安定して行うことができる。この含有量は、使用する金属に応じてより好ましい範囲を設定することが可能である。
上記アセチリド化されたプロパルギル基に含まれる金属としては、触媒作用を発揮する金属であれば特に限定されず、例えば、銅、銀、バリウム等の遷移金属が挙げられる。これらの中では、環境適合性を考慮するならば、銅、銀が好ましく、入手容易性から、銅がより好ましい。
銅を使用する場合、上記エポキシ樹脂中のアセチリド化されるプロパルギル基の含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり0.1〜20ミリモルであることがより好ましい。
上記エポキシ樹脂中のプロパルギル基の一部をアセチリド化することにより、硬化触媒を樹脂中に導入することができる。このようにすれば、一般に、有機溶媒や水に溶解又は分散しにくい有機遷移金属錯体を使用する必要がなく、遷移金属であっても容易にアセチリド化して導入可能であるため、難溶性の遷移金属化合物であっても自由に使用可能である。また、遷移金属有機酸塩を使用する場合のように、有機酸塩がアニオンとして電着浴中に存在することを回避でき、更に、金属イオンが限外濾過によって除去されることはなく、浴管理や電着塗膜の設計が容易となる。
また、上記エポキシ樹脂は、炭素−炭素二重結合を含有していてもよい。上記炭素−炭素二重結合は、反応性が高いので硬化性をより向上させることができる。
上記炭素−炭素二重結合の含有量は、後述するプロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の含有量の条件を満たした上で、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限10ミリモル、上限485ミリモルが好ましい。10ミリモル/100g以上であれば、添加により充分な硬化性を発揮させることができ、485ミリモル/100g以下であれば、水和安定性がより良好となる。
上記炭素−炭素二重結合の含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限20ミリモル、上限375ミリモルであることがより好ましい。
上記炭素−炭素二重結合を含有する場合、上記プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限80ミリモル、上限450ミリモルの範囲内であることが好ましい。80ミリモル/100g以上であれば、硬化性がより良好となり、450ミリモル/100g以下であれば、つきまわり性がより良好となる。
上記プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、下限100ミリモル、上限395ミリモルであることがより好ましい。
また、上記炭素−炭素二重結合を含有する場合、上記スルホニウム基、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、500ミリモル以下であることが好ましい。500ミリモル/100g以下であれば、目的とする性能の樹脂を安定して得ることができる。
上記スルホニウム基、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合の合計含有量は、エポキシ樹脂の固形分100gあたり、400ミリモル以下であることがより好ましい。
上記エポキシ樹脂は、例えば、特表2005−538872号公報に記載されている方法により製造することができる。具体的には、一分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に、エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基を有する化合物を反応させて、プロパルギル基を有するエポキシ樹脂を得る工程(i)と、工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂中の残存エポキシ基に、スルフィド/酸混合物を反応させて、スルホニウム基を導入する工程(ii)とにより好適に製造することができる。
上記エポキシ基と反応する官能基及びプロパルギル基を有する化合物(以下、「化合物(A)」と称する)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基とプロパルギル基とを共に含有する化合物が挙げられ、具体的には、プロパルギルアルコール、プロパルギル酸等が挙げられる。これらの中では、入手の容易性及び反応の容易性から、プロパルギルアルコールが好ましい。
上記エポキシ樹脂に、炭素−炭素二重結合を持たせる場合には、上記工程(i)において、エポキシ基と反応する官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「化合物(B)」と称する)を、上記化合物(A)と併用すればよい。
上記化合物(B)としては、例えば、水酸基やカルボキシル基等のエポキシ基と反応する官能基と炭素−炭素二重結合とを共に含有する化合物が挙げられる。
具体的には、エポキシ基と反応する基が水酸基である場合、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリルアルコール等が挙げられる。
エポキシ基と反応する基がカルボキシル基である場合、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸;マレイン酸エチルエステル、フマル酸エチルエステル、イタコン酸エチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等のハーフエステル類;オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の合成不飽和脂肪酸;アマニ油、大豆油等の天然不飽和脂肪酸等が挙げられる。
上記工程(i)においては、上記一分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂に上記化合物(A)を反応させて、プロパルギル基を有するエポキシ樹脂を得るか、又は、上記化合物(A)と、必要に応じて、上記化合物(B)とを反応させてプロパルギル基及び炭素−炭素二重結合を有するエポキシ樹脂を得る。
この後者の場合、工程(i)においては、上記化合物(A)と上記化合物(B)とは、両者を予め混合してから反応に用いてもよく、又は、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを別々に反応に用いてもよい。
尚、上記化合物(A)が有するエポキシ基と反応する官能基と、上記化合物(B)が有するエポキシ基と反応する官能基とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記工程(i)において、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを反応させる場合の両者の配合比率は、所望の官能基含有量となるように設定すればよく、例えば、上述したプロパルギル基と炭素−炭素二重結合の含有量となるように設定すればよい。
上記工程(i)の反応条件は、通常、室温又は80〜140℃にて数時間である。また、必要に応じて触媒や溶媒等の反応を進行させるために必要な公知の成分を使用することができる。
反応の終了は、エポキシ当量の測定により確認することができ、得られた反応生成物の不揮発分測定や機器分析により、導入された官能基を確認することができる。
このようにして得られる反応生成物は、一般には、プロパルギル基を1つ又は複数有するエポキシ樹脂の混合物であるか、又は、プロパルギル基と炭素−炭素二重結合とを1つ又は複数有するエポキシ樹脂の混合物である。つまり、上記工程(i)によりプロパルギル基、又は、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合を有するエポキシ樹脂が得られる。
上記工程(ii)においては、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂中の残存エポキシ基に、スルフィド/酸混合物を反応させて、スルホニウム基を導入する。
スルホニウム基の導入は、スルフィド/酸混合物とエポキシ基とを反応させてスルフィドの導入及びスルホニウム化を行う方法や、スルフィドを導入した後、更に、酸又はフッ化メチル、塩化メチル、臭化メチル等のアルキルハライド等により、導入したスルフィドのスルホニウム化反応を行い、必要によりアニオン交換を行う方法等により行うことができる。反応原料の入手容易性の観点からは、スルフィド/酸混合物を使用する方法が好ましい。
上記スルフィドとしては特に限定されず、例えば、脂肪族スルフィド、脂肪族−芳香族混合スルフィド、アラルキルスルフィド、環状スルフィド等が挙げられる。具体的には、例えば、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルフィド、チオジエタノール、チオジプロパノール、チオジブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノール等が挙げられる。
上記酸としては特に限定されず、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ホウ酸、酪酸、ジメチロールプロピオン酸、塩酸、硫酸、リン酸、N−アセチルグリシン、N−アセチル−β−アラニン等が挙げられる。
上記スルフィド/酸混合物における上記スルフィドと上記酸との混合比率は、通常、モル比率でスルフィド/酸=100/40〜100/100程度が好ましい。
上記工程(ii)の反応は、例えば、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂と、例えば、上述のスルホニウム基含有量になるように設定された所定量の上記スルフィド及び上記酸との混合物とを、使用するスルフィドの5〜10倍モルの水と混合し、通常、50〜90℃で数時間攪拌して行うことができる。反応の終了点は、残存酸価が5以下となることを目安とすればよい。得られた樹脂中のスルホニウム基導入の確認は、電位差滴定法により行うことができる。
スルフィドの導入後にスルホニウム化反応を行う場合も、上記に準じて行うことができる。上述のように、スルホニウム基の導入を、プロパルギル基の導入の後に行うことにより、加熱によるスルホニウム基の分解を防止することができる。
上記エポキシ樹脂の有するプロパルギル基の一部をアセチリド化する場合は、上記工程(i)で得られたプロパルギル基を有するエポキシ樹脂に、金属化合物を反応させて、上記エポキシ樹脂中の一部のプロパルギル基をアセチリド化する工程によって行うことができる。
上記金属化合物としては、アセチリド化が可能な遷移金属化合物であることが好ましく、例えば、銅、銀又はバリウム等の遷移金属の錯体又は塩が挙げられる。具体的には、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸銅、アセチルアセトン銀、酢酸銀、硝酸銀、アセチルアセトンバリウム、酢酸バリウム等が挙げられる。これらの中では、環境適合性の観点から、銅又は銀の化合物が好ましく、入手容易性の観点から、銅の化合物がより好ましく、例えば、アセチルアセトン銅が、浴管理の容易性に鑑み好適である。
プロパルギル基の一部をアセチリド化する反応条件は、通常、40〜70℃にて数時間である。反応の進行は、得られたカチオン性樹脂組成物が着色することや、核磁気共鳴スペクトルによるメチンプロトンの消失等により確認することができる。このようにして、エポキシ樹脂中のプロパルギル基が所望の割合でアセチリド化する反応時点を確認して、反応を終了させる。
得られる反応生成物は、一般には、プロパルギル基の1つ又は複数がアセチリド化されたエポキシ樹脂の混合物である。このようにして得られたプロパルギル基の一部をアセチリド化したエポキシ樹脂に対して、上記工程(ii)によってスルホニウム基を導入することができる。
尚、エポキシ樹脂の有するプロパルギル基の一部をアセチリド化する工程と上記工程(ii)とは、反応条件を共通に設定可能であるので、両工程を同時に行うことも可能である。両工程を同時に行う方法は、製造プロセスを簡素化することができるので有利である。
このようにして、プロパルギル基及びスルホニウム基、必要に応じて、炭素−炭素二重結合、プロパルギル基の一部がアセチリド化したものを有するエポキシ樹脂を、スルホニウム基の分解を抑制しつつ、製造することができる。
(2)ポリシロキサン
(2−1)シラノール基非含有ポリシロキサン
上記ポリシロキサンは、従来公知のポリシロキサンであれば特には限定されないが、例えば、下記一般式(III)
Figure 0005324303
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基等であり、X及びYは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基等であり、m及びnは、それぞれ独立して任意の整数である)
で表される構造を有するポリシロキサンを用いることができる。
入手のし易さから、上記一般式(III)におけるR〜Rは全てメチル基であることがより好ましい。また、上記一般式におけるX及びYは、両方がメチル基であること、両方がフェニル基であること、並びに一方が水素原子で他方がメチル基であることがより好ましい。
上記一般式におけるm及びnは、25℃での動粘度が10〜200mm/sとなるような値であることがより好ましい。
尚、上記動粘度は、JIS Z 8803で規定される粘度測定法に基づく測定器によって測定した値を意味する。上記測定器としては、具体的には、キャノン・フェンスケ粘度計やウベローデ粘度計等が挙げられる。
上記一般式(III)で表される構造のポリシロキサンとしては、例えば、市販されているポリシロキサンを用いることができる。具体的には、R〜R、X及びYがメチル基である「KF−96」(商品名、信越化学社製)、R〜Rがメチル基であり、X及びYがフェニル基である「KF−53」(商品名、信越化学社製)、R〜Rがメチル基であり、X及びYの一方が水素原子で他方がメチル基である「KF−99」(商品名、信越化学社製、25℃での動粘度は20mm/s)が挙げられる。
本実施の形態に係るカチオン電着塗料では、上記のようなポリシロキサンを用いる場合では、上記エポキシ樹脂に対する上記ポリシロキサンの割合は5〜40質量%の範囲内であることが好ましい。上記割合が5質量%未満であると、得られる塗膜に対して耐熱性付与の効果が不十分となり、40質量%を超えると得られる塗膜の硬化性が低下する。より好ましくは、10〜35質量%の範囲である。
(2−2)シラノール基含有ポリシロキサン
本実施の形態では、ポリシロキサンとして、シラノール基を有しているポリシロキサンを用いることができる。
上記シラノール基含有ポリシロキサンとしては、3官能アルコキシシランから加水分解縮合(アルコキシシラン法、ゾル−ゲル法)して得られるもの、及びトリクロロシランから合成(トリクロロシラン法)して得られるものを用いることが好ましい。
3官能アルコキシシランのアルコキシ基は、加水分解縮合反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基であることが好ましい。上記3官能アルコキシシランが有するアルコキシ基以外の有機基としては、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、(エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。3官能アルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記シラノール基含有ポリシロキサンは、何れも3官能の化合物を原料として用いるため、下記の一般式(Ia)及び(Ib)で表される2つの構造単位からなる群から選択される少なくとも1つの構造単位を含み、また、下記の一般式(II)で表される構造単位を含んでいてよく、各構造単位は酸素原子を介して結合している。また、上記シラノール基含有ポリシロキサンは、下記一般式(Ia)、(Ib)及び(II)で表される構造単位全てを含んでいてよい。
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
Figure 0005324303
(式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
上記シラノール基含有ポリシロキサンはシラノール基を含有するため、構造単位(Ia)及び/又は(Ib)は必須成分である。鎖状構造を取る場合の末端は構造単位(Ib)となるが、環状構造を取ることもできる。また、原料として3官能の化合物を使用することから、上記シラノール基含有ポリシロキサンは、構造単位(II)で示される枝分かれ構造を有すると考えられる。
上記シラノール基含有ポリシロキサンにおける構造単位の個数比、((Ia)+(Ib))/(II)が10/90又は、(II)に対する((Ia)+(Ib))の個数が10/90より多いことが好ましい。
尚、上記一般式(Ia)、(Ib)、及び(II)で表される構造単位におけるR、R、及びRは、原料が有する有機基である。このため、複数の原料を使用して得られたポリシロキサンにおいて、上記3種の構造単位はそれぞれ原料の数の分、存在する可能性がある。
上記シラノール基含有ポリシロキサンは、市販されているものであってもよい。そのようなポリシロキサンとしては、官能基がメチル基又はメトキシ基である「X−21−5841」、「KF−9701」、「KR−212」(何れも商品名、信越化学社製)、官能基がフェニル基及び水酸基、又は官能基がメチル基、フェニル基若しくは水酸基である「217FLAKE」、「220FLAKE」、「233FLAKE」、「249FLAKE」(何れも商品名、東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
上記シラノール基含有ポリシロキサンの数平均分子量は300以上50000以下であることが好ましい。これらの範囲外では、目的とする性能が得られないおそれがある。
上記シラノール基を含むことでポリシロキサンはエポキシ樹脂との混合性が向上し、結果として、分離することなく安定した塗料組成物を得ることができ、かつ、この塗料から得られた塗膜は耐電圧や耐熱性に優れる。
本実施の形態に係るカチオン電着塗料では、シラノール基含有ポリシロキサンを用いる場合には、シラノール基非含有ポリシロキサンを用いる場合に比べて、上記エポキシ樹脂に対する上記ポリシロキサンの量を多くすることができる。例えば、上記ポリシロキサンと上記エポキシ樹脂との質量比が90:10〜10:90の範囲内であることが好ましい。
上記ポリシロキサンと上記エポキシ樹脂との質量比が上記範囲内であれば、安定性により優れたカチオン電着塗料を提供することができる。
上記ポリシロキサンと上記エポキシ樹脂との質量比が90:10〜20:80であることがより好ましく、90:10〜30:70であることが更に好ましい。より多くの量の上記ポリシロキサンを含むことによって無機性が高まり、得られる塗膜の耐電圧、電気絶縁性および耐熱分解性等を向上させたカチオン電着塗料を提供することができる。
(3)多層構造を有する樹脂組成物
本実施の形態に係るカチオン電着塗料は、ポリシロキサンを、エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含んでいることが好ましい。この樹脂組成物粒子においては、ポリシロキサンを含む成分が核(コア)を形成し、エポキシ樹脂を含む成分がそのコアの周囲を取り囲んだ構造を有しているものと考えられる。このような多層構造を取ることにより、ポリシロキサンを塗料中に安定して分散させることができ、塗膜を形成した際に、塗膜の表面にポリシロキサンがブリードアウトすることを防止することができ、均一な塗膜を提供することができる。
上記樹脂組成物粒子は、上述したエポキシ樹脂と上記ポリシロキサンとを十分に混合攪拌した後、水分散化して得ることができる。これは、スルホニウム基という水和官能基をもつエポキシ樹脂が、比較的疎水性の強いエポキシ樹脂の有するノボラッククレゾール型骨格又はノボラックフェノール型骨格の部分によって、ポリシロキサンを分散させることができることによると考えられる。
(4)カチオン電着塗料
本実施の形態に係るカチオン電着塗料は、上述した樹脂組成物粒子を含有することが好ましい。上記カチオン電着塗料における、樹脂組成物粒子の含有割合は、30〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
カチオン電着塗料における上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、樹脂組成物粒子の分散安定性の観点から、50nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、50nm〜500nmの範囲内であることがより好ましく、70nm〜200nmの範囲内であることが特に好ましい。体積平均粒子径は、各粒子径の範囲に沿った測定方法、具体的には光散乱法又は光回折法によって求めることができる。
上記カチオン電着塗料は、上述のエポキシ樹脂を含有しているため、カチオン性樹脂組成物自体が硬化性を有する。このため、上記カチオン電着塗料において、硬化剤の使用は必ずしも必要ないが、硬化性の更なる向上のために使用してもよい。
このような硬化剤としては、例えば、プロパルギル基及び炭素−炭素二重結合のうち少なくとも1種を複数個有する化合物、例えば、ノボラックフェノール等のポリエポキシドやペンタエリスリットテトラグリシジルエーテル等に、プロパルギルアルコール等のプロパルギル基を有する化合物やアクリル酸等の炭素−炭素二重結合を有する化合物を付加反応させて得た化合物等が挙げられる。
また、上記カチオン電着塗料には、硬化触媒を必ずしも使用する必要はない。しかし、硬化反応条件により、更に硬化性を向上させる必要がある場合には、必要に応じて、通常用いられる遷移金属化合物等を適宜添加してもよい。
このような硬化触媒として用いることができる化合物としては特に限定されず、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、パラジウム、ロジウム等の遷移金属に対して、シクロペンタジエンやアセチルアセトン等の配位子や酢酸等のカルボン酸等が結合したもの等が挙げられる。上記硬化触媒の配合量は、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、下限0.1ミリモル、上限20ミリモルであることが好ましい。
上記カチオン電着塗料には、アミンを配合することができる。上記アミンの配合により、電着過程における電解還元によるスルホニウム基のスルフィドへの変換率が増大する。上記アミンとしては特に限定されず、例えば、1級〜3級の単官能及び多官能の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物が挙げられる。
これらの中では、水溶性又は水分散性のものが好ましく、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリブチルアミン等の炭素数2〜8のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジメタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、イミダゾリン、イミダゾール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水分散安定性が優れているため、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロキシアミンが好ましい。
上記アミンは、直接、上記カチオン電着塗料中に配合することができる。
上記アミンの配合量は、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、下限0.3meq、上限25meqが好ましい。0.3meq/100g以上であれば、つきまわり性に対して充分な効果が得られ、25meq/100g以下であれば、添加量に応じた効果を得ることができ、経済的である。上記下限は、1meq/100gであることがより好ましく、上記上限は、15meq/100gであることがより好ましい。
上記カチオン電着塗料には、脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物を配合することができる。上記脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物の配合により、硬化後の塗膜の耐衝撃性が向上する。
上記脂肪族炭化水素基を有する樹脂組成物としては、(i)当該樹脂組成物の固形分100gあたりスルホニウム基5〜400ミリモルと、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基80〜135ミリモルと、炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基及びプロパルギル基のうち少なくとも1種10〜315ミリモルとを含有し、かつ、(ii)スルホニウム基と、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基と、炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基と、プロパルギル基との合計含有量が当該樹脂組成物の固形分100gあたり500ミリモル以下であるものが挙げられる。
上記カチオン電着塗料に対して、脂肪族炭化水素基を有する上記樹脂組成物を配合する場合、(i)カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり、スルホニウム基5〜400ミリモルと、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基10〜300ミリモルと、プロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計10〜485ミリモルとを含有し、かつ、(ii)スルホニウム基と、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基と、プロパルギル基と、炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基との合計含有量が、カチオン電着塗料中の樹脂固形分100gあたり500ミリモル以下であり、(iii)上記炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基の含有割合が、カチオン電着塗料中の樹脂固形分の3〜30質量%であることが好ましい。
上記カチオン電着塗料に対して、脂肪族炭化水素基を有する上記樹脂組成物を配合する場合、スルホニウム基が、上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり5ミリモル以上であれば、つきまわり性や硬化性を充分に発揮することができ、また、水和性、浴安定性により優れる。上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり400ミリモル以下であれば、被塗物への析出がより良好となる。
また、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい上記脂肪族炭化水素基が、上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり80ミリモル以上であれば、耐衝撃性がより良好に改善され、上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり350ミリモル以下であれば、樹脂組成物の取扱性が容易となる。
プロパルギル基及び炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基の合計が、上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり10ミリモル以上であれば、硬化性を充分に発揮することができ、上記カチオン電着塗料の固形分100gあたり315ミリモル以下であれば、耐衝撃性がより良好に改善される。
スルホニウム基と、炭素数8〜24の不飽和二重結合を鎖中に含んでいてもよい脂肪族炭化水素基と、プロパルギル基と、炭素数3〜7の不飽和二重結合を末端に有する有機基との合計含有量は、カチオン性樹脂組成物の固形分100gあたり500ミリモル以下である。500ミリモル以下であれば、目的とする性能の樹脂を安定して得ることができる。
上記カチオン電着塗料は、例えば、上記樹脂組成物粒子に、必要に応じて、上述の各成分を混合し、水に溶解又は分散すること等により得ることができる。電着工程に使用する際には、不揮発分が下限10質量%、上限30質量%の浴液となるように調製されることが好ましい。また、カチオン電着塗料中のプロパルギル基、炭素−炭素二重結合及びスルホニウム基の含有量が、上述した範囲を逸脱しないように調製されることが好ましい。
(5)カチオン電着塗装方法(塗膜の形成方法)
本実施の形態に係る塗膜は、上述した電着塗料組成物を用いて、国際公開第98/03595号パンフレットに記載の方法に準じて得ることができる。
具体的には、本実施の形態に係るカチオン電着塗装方法は、上述した電着塗料組成物中に浸漬した被塗物を陰極とし、対極との間に電圧を印加して上記被塗物の表面に電着塗料組成物からなる被膜を形成する電着工程と、上記電着工程において得られた上記被膜を加熱することにより硬化膜を得る加熱工程とからなる。
上記被塗物としては、電着工程を行うことが可能な導電性を示す基材であり、板状又はフィルム状のものであれば特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、亜鉛、チタン、タングステン等及びこれらの金属を含む合金による板、成形物等の金属成形品が挙げられる。
上記電着塗料組成物の濃度は、特に限定されないが、良好に電着塗装を行う観点から、不揮発分が15〜25%となるように調製することが好ましい。
上記印加される電圧の大きさは、通常印加される被膜の電気抵抗値により決定され、一般に5〜500V、より好ましくは50〜350Vの直流電圧が印加される。
上記電圧を印加する際の浴液温度は、本実施の形態に係る電着塗料組成物が高温であっても浴安定性を保つことができるため、0〜100℃の範囲内で適宜設定することができる。電着塗料組成物の機械的安定性や熱安定性、硬化官能基の反応性を考慮して、5〜50℃がより好ましく、15〜35℃が更に好ましい。
上記電着工程の処理時間は、一般に所定印加電圧まで昇圧させるまでの時間と上記所定電圧で保持させる時間との合計である総電圧印加時間が0.5〜30分間となるように設定されることが好ましく、より好ましくは1〜10分間である。0.5分以上の時間であれば、電極反応によって活性化される化学種が十分な量発生し、被膜の硬化性を高めることができる。一方、30分以下の時間であれば消費電力を抑制することができる。
上記被塗物は、上記電着工程を経た後、そのまま加熱工程に送られてもよく、表面を水洗して、不要な水溶性物質を除去した後に加熱工程に送ってもよい。
上記水洗は純水で行うことが好ましく、洗浄後は上記被塗物を約10分間室温で放置することが好ましい。
上記加熱工程は、電気乾燥炉、ガス乾燥炉等の加熱炉において行われる。上記被塗物の焼付けは100〜240℃、好ましくは140〜200℃で、5〜60分間、好ましくは10〜30分間行うことが好ましい。
(VI)塗膜
本実施の形態に係る塗膜は、上述した製造方法により得られるものであるため、耐電圧性及び耐熱性に優れる。具体的には、ポリシロキサンを含まないこと以外は同じ組成の電着塗料組成物を用いて塗膜を形成した場合と比較して、5%分解温度が向上され、かつ耐電圧が2kV以上である塗膜を形成することができる。
尚、上述した本発明は、以下のように言い換えることができる。即ち、
(1)ポリシロキサンと、エポキシ樹脂とを含み、上記エポキシ樹脂に対する上記ポリシロキサンの割合が5質量%以上40質量%以下の範囲内であり、上記エポキシ樹脂は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有し、上記エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有することを特徴とするカチオン電着塗料。
上記構成によれば、上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂に対して所定の割合で含有するため、得られる硬化膜の耐電圧性を犠牲にすること無く、得られる塗膜の耐熱性を向上させることができる。
従って、上記構成によれば、得られる塗膜の耐電圧性及び耐熱性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという効果を奏する。
(2)上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含有し、上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は50nm以上200nm以下の範囲内であることを特徴とする上記(1)に記載のカチオン電着塗料。
上記構成によれば、ポリシロキサンはカチオン電着塗料中に安定して分散するため、安定性に優れたカチオン電着塗料を提供することができるという更なる効果を奏する。
(3)上記(1)又は(2)の何れか1つに記載のカチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装することにより電着塗膜を形成する工程を含むことを特徴とする塗膜の形成方法。
上記方法によれば、本発明に係る上記カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装するため、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を形成することができるという効果を奏する。
(4)上記(3)に記載の方法により得られることを特徴とする塗膜。
上記構成によれば、本発明に係る上記方法により得られるため、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を提供することができるという効果を奏する。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。得られた結果を表1に示す。
〔数平均分子量〕
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定(ポリスチレン換算)することにより求めた。
〔スルホニウム基の含有量〕
スルホニウム基の含有量は、各原料の仕込み量から計算により求めた。但し、スルホニウム基の含有量は、電位差測定装置を用い、電位差滴定により求めることもできる。
〔炭素−炭素二重結合の含有量〕
炭素−炭素二重結合の含有量は、ヨウ素価滴定により求めた。
〔アミンの含有量〕
アミンの含有量は、電位差測定装置を用い、電位差滴定により求めた。
〔樹脂組成物粒子の体積平均粒子径〕
ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、特に断らない限り、マイクロトラックHRA(日機装社製)を用い、レーザー光散乱法によって測定した。尚、測定は、純水を溶媒として用いて行った。
尚、本実施例では、樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、カチオン電着塗料の体積平均粒子径と同じである。
〔塗料安定性〕
塗料の安定性として以下の2点を評価した。
(1)製造安定性
製造安定性は、製造直後のカチオン電着塗料を500メッシュ濾過性により以下の通り評価した。
○:500メッシュ濾過残渣が0mg
△:500メッシュ濾過残渣が0を超え150mg以下
×:500メッシュ濾過残渣が150mgを超える
上記500メッシュ濾過性は、1000gのカチオン電着塗料組成物を500メッシュで濾過して、150℃で30分乾燥後の濾過残渣の質量を算出することにより求めた。
(2)貯蔵安定性
貯蔵安定性は、カチオン電着塗料組成物を40℃の恒温槽で30日間静置した後、取り出し、攪拌したものを、380メッシュ濾過性により以下の通り評価した。
◎:380メッシュ濾過残渣が0mg
○:380メッシュ濾過残渣が0を超え150mg以下
×:380メッシュ濾過残渣が150mgを超える
上記380メッシュ濾過性は、1000gのカチオン電着塗料組成物を380メッシュで濾過して、150℃で30分乾燥後の濾過残渣の質量を算出することにより求めた。
〔5%分解温度〕
5%分解温度は、セイコーインスツルメンツ(SII)社製 TG/DTA220を使用し、5%重量変化したときの温度を計測して求めた。
〔耐電圧(絶縁破壊試験)〕
耐電圧は、鶴賀電機社製 MODEL8285を用いて、JIS C 3003に従い測定した。
〔実施例1〕
エポキシ当量200.4のノボラッククレゾール型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYDCN−701、東都化成社製)100gに、プロパルギルアルコール13.5g、ジメチルベンジルアミン0.2gを、攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに加え、105℃に昇温し、1時間反応させて、プロパルギルアルコール基を含有する、エポキシ当量が445のエポキシ樹脂を得た。
これに、リノール酸50.6g、追加のジメチルベンジルアミン0.1gを加え、更に同温度にて3時間反応を継続し、プロパルギルアルコール基と長鎖不飽和脂肪酸残基とを含有する、エポキシ当量が2100であるエポキシ樹脂を得た。
更に、ポリシロキサンとして、メチルハイドロジェンシリコーン(商品名:「KF−99」、信越化学社製)を、上記エポキシ樹脂に対して9質量%となるように上記エポキシ樹脂に加えた。充分攪拌した後、これに、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール10.6g、氷酢酸4.7g、脱イオン水7.0gを入れ、75℃で保温しつつ6時間反応させた。残存酸価が5以下であることを確認した後、脱イオン水60.8gを加え、目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は70.6質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は23.1mmol/100gであった。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中のポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は85nmであった。
続いて、上記カチオン電着塗料組成物を用いて、被塗物を陰極、ステンレス板を陽極として電着塗装を行った。
被塗物を電着浴から引き上げ水洗し、190℃の温度で25分間加熱硬化させ、膜厚20μmの塗膜を得た。得られた塗膜の5%分解温度は308℃であり、耐電圧は2.42kVであった。
〔実施例2〕
膜厚を15μmとなるように電着塗装したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚15μmの塗膜を得た。得られた塗膜の5%分解温度は298℃であり、耐電圧は2.20kVであった。
〔実施例3〕
ポリシロキサンとして、メチルハイドロジェンシリコーンの替わりに、ポリジメチルシリコーン(商品名:「KF−96」、信越化学社製)を用いて電着塗料組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製した。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中のポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は100nmであった。また、得られた塗膜の5%分解温度は323℃であり、耐電圧は2.33kVであった。
〔実施例4〕
ポリシロキサンとして、メチルハイドロジェンシリコーンの替わりに、メチルフェニルシリコーン(商品名:「KF−53」、信越化学社製)を用いて電着塗料組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製した。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中のポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は120nmであった。また、得られた塗膜の5%分解温度は310℃であり、耐電圧は2.08kVであった。
〔実施例5〕
メチルハイドロジェンシリコーン(商品名:「KF−99」、信越化学社製)をエポキシ樹脂に対して20質量%となるように、上記エポキシ樹脂に加えて電着塗料組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製した。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中のポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は125nmであった。また、得られた塗膜の5%分解温度は320℃であり、耐電圧は2.43kVであった。
〔実施例6〕
メチルハイドロジェンシリコーン(商品名:「KF−99」、信越化学社製)をエポキシ樹脂に対して30質量%となるように、上記エポキシ樹脂に加えて電着塗料組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製した。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中のポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は130nmであった。また、得られた塗膜の5%分解温度は330℃であり、耐電圧は2.45kVであった。
〔比較例1〕
ポリシロキサンとして、メチルハイドロジェンシリコーンを使用せずに電着塗料組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製した。
得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は80nmであったが、得られた塗膜の5%分解温度は296℃であり、耐電圧は1.73kVであった。
〔比較例2〕
攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとをアルカリ触媒下で反応させて得た、エポキシ当量950のビスフェノール型エポキシ樹脂(商品名:「エピコート1004」、油化シェルエポキシ社製)1900.0gを入れ、エチレングリコールモノブチルエーテル993gに溶解させた後、反応系を90℃に保温しながらジエタノールアミン210gを滴下した。滴下終了後、110℃に昇温し、1時間30分間反応させて樹脂固形分濃度が68質量%の樹脂溶液を得た。
次いで、ジフェニルメタンジイソシアナートをエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルでブロックした硬化剤を、上述により得られた樹脂溶液との固形分質量比が(樹脂溶液)/(硬化剤)=75/25となるように混合し、これに3質量%のジブチル錫オキサイドを配合した。
この樹脂組成物1383g(固形分75%)を予め用意した脱イオン水672gと氷酢酸21gとの混合水溶液に添加し、高速回転攪拌機で1時間攪拌した後、更に、脱イオン水1381.5gを加え、固形分濃度が30質量%となるように水溶液を調整して、カチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の貯蔵安定性は◎であり、カチオン電着塗料組成物中の樹脂組成物の体積平均粒子径は100nmであった。
このカチオン電着塗料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塗膜を作製したが、得られた塗膜の5%分解温度は243℃であり、耐電圧は1.00kVであった。
Figure 0005324303
〔製造例1:メチルトリメトキシシランから製造したポリシロキサン1〕
メチルトリメトキシシラン408質量部を、イソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの混合溶剤450質量部に溶解した。ここに、メトキシシリル基の等モルに相当する水162質量部と、酸触媒として塩酸1質量部とを添加して、40℃で1時間、攪拌した。その後、更に75℃で1時間、攪拌しながら溶剤の一部を留出させて濃縮し、メチルトリメトキシシランから製造された、側鎖にシラノール基を有するポリシロキサン1を得た。ポリシロキサン1の数平均分子量は、8000であった。
赤外線吸収分析の結果、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。メチルトリメトキシシランのメトキシシリル基が全て加水分解し、縮合は進行しなかったものとして計算される固形分は50質量%であった。
〔製造例2:グリシドキシアルキルトリアルコキシシランから製造したポリシロキサン2〕
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン460質量部を、イソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの混合溶剤390質量部に溶解した。ここに、メトキシシリル基の等モルに相当する水105質量部と、酸触媒として塩酸1質量部とを添加して、40℃で1時間、攪拌した。その後、更に75℃で1時間、攪拌しながら溶剤の一部を留出させて濃縮し、グリシドキシプロピルトリメトキシシランから製造された、側鎖にシラノール基を有するポリシロキサン2を得た。ポリシロキサン2の数平均分子量は、4000であった。
赤外線吸収分析の結果、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。また、加水分解縮合反応の前後における水素原子の核磁気共鳴スペクトル分析の結果、エポキシ基が95%残存していることを確認した。グリシドキシプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が全て加水分解し、縮合及びエポキシ基の開環は進行しなかったものとして計算される固形分は50質量%であった。
〔製造例3:メチルトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランから製造したポリシロキサン3〕
メチルトリメトキシシラン47.7質量部及びグリシドキシプロピルトリメトキシシラン79.8質量部を、イソプロピルアルコールとメチルとイソブチルケトンとの混合溶剤154質量部に溶解した。ここに、系内のメトキシシリル基の等モルに相当する水37.2質量部と、酸触媒として塩酸1.9質量部とを添加して、40℃で2時間攪拌した。その後、更に80℃で3時間、攪拌しながら溶剤の一部を留出させて濃縮し、メチルトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとから製造した、側鎖にシラノール基を有するポリシロキサン3を得た。ポリシロキサン3の数平均分子量は、800であった。
赤外線吸収分析の結果、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。また、加水分解縮合反応の前後における水素原子の核磁気共鳴スペクトル分析の結果、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン由来のエポキシ基が97%残存していることを確認した。メチルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が全て加水分解し、縮合及びエポキシ基の開環は進行しなかったものとして計算される固形分は50質量%であった。また、総Si原子に占めるメチルトリメトキシシラン化合物由来のSi原子の割合は50モル%と計算された。
〔製造例4:フェニルトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとから製造したポリシロキサン4〕
フェニルトリメトキシシラン148.5質量部及びグリシドキシプロピルトリメトキシシラン59.1質量部を、イソプロピルアルコールとメチルとイソブチルケトンとの混合溶剤675質量部に溶解した。ここに系内のメトキシシリル基の等モルに相当する水54.0質量部と、酸触媒として塩酸1.9質量部とを添加して、40℃で2時間攪拌した。その後、更に80℃で3時間、攪拌しながら溶剤の一部を留出させて濃縮し、メチルトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとから製造した、側鎖にシラノール基を有するポリシロキサン4を得た。ポリシロキサン4の数平均分子量は、1600であった。
赤外線吸収分析の結果、メトキシシリル基に基づくC−Hの吸収は確認されなかった。また、加水分解縮合反応の前後における水素原子の核磁気共鳴スペクトル分析の結果、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン由来のエポキシ基が98%残存していることを確認した。メチルトリメトキシシラン及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が全て加水分解し、縮合及びエポキシ基の開環は進行しなかったものとして計算される固形分は50質量%であった。また、総Si原子に占めるフェニルトリメトキシシラン化合物由来のSi原子の割合は75モル%と計算された。
〔実施例7〕
エポキシ当量200.4のノボラッククレゾール型エポキシ樹脂(商品名:エポトートYDCN−701、東都化成社製)100gに、プロパルギルアルコール8.4g、ジメチルベンジルアミン0.2gを、撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラフラスコに加え、105℃に昇温し、1時間反応させて、プロパルギルアルコール基を含有する、エポキシ当量が445のエポキシ樹脂を得た。
これに、リノール酸55.8g、追加のジメチルベンジルアミン0.1gを加え、更に同温度にて3時間反応を継続し、プロパルギルアルコール基と長鎖不飽和脂肪酸基とを含有する、エポキシ当量が2100であるエポキシ樹脂を得た。
更に、製造例1で得たポリシロキサン1を、樹脂固形分として、上記エポキシ樹脂とポリシロキサン1との質量比が30:70となるように加えた。充分撹拌した後、これに、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール27.1g、氷酢酸12g、脱イオン水7.0gを入れ、75℃で保温しつつ6時間反応させた。残存酸価が5以下であることを確認した後、脱イオン水592.3gを加え、脱溶剤して、目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は35.0質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は24.3mmol/100gであった。
カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、溶媒として純水を用い、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック UPA、日機装社製)で測定したところ100nmであった。
続いて、上記カチオン電着塗料組成物を用いて、被塗物を陰極、ステンレス板を陽極として電着塗装を行った。被塗物を電着浴から引き上げ水洗し、190℃の温度で25分間加熱硬化させ、膜厚20μmの塗膜を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例8〕
製造例1で得たポリシロキサン1に代えて、製造例2で得たポリシロキサン2を用いたこと以外は、実施例7と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は36.8質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は27.5mmol/100gであった。
カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、溶媒として純水を用い、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック UPA、日機装社製)で測定したところ180nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例9〕
製造例2で得たポリシロキサン2とエポキシ樹脂との質量比を20:80としたこと以外は、実施例8と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は36.8質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は27.5mmol/100gであった。カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は80nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例10〕
製造例1で得たポリシロキサン1に代えて、製造例3で得たポリシロキサン3を用いたこと以外は、実施例7と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は36.8質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は27.3mmol/100gであった。カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は162nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例11〕
製造例3で得たポリシロキサン3とエポキシ樹脂との質量比を50:50としたこと以外は、実施例10と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は40質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は23.8mmol/100gであった。カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は85nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例12〕
製造例1で得たポリシロキサン1に代えて、製造例4で得たポリシロキサン4を用いたこと以外は、実施例7と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は36.8質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は22.5mmol/100gであった。
カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は、溶媒として純水を用い、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック UPA、日機装社製)で測定したところ90nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
〔実施例13〕
製造例1のポリシロキサン1とエポキシ樹脂との質量比を95:5としたこと以外は、実施例7と同様にして目的のカチオン電着塗料組成物を得た。
得られたカチオン電着塗料組成物の固形分濃度は40質量%であり、カチオン電着塗料組成物における、エポキシ樹脂の数平均分子量は3226であり、エポキシ樹脂固形分中のスルホニウム基の含有量(スルホニウム価)は23.8mmol/100gであった。カチオン電着塗料組成物中の、ポリシロキサンとエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は985nmであった。
得られたカチオン電着塗料組成物の評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
攪拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却管を備えたセパラブルフラスコに、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとをアルカリ触媒下で反応させて得た、エポキシ当量950のビスフェノール型エポキシ樹脂(商品名:「エピコート1004」、油化シェルエポキシ社製)1900.0gを入れ、エチレングリコールモノブチルエーテル993gに溶解させた後、反応系を90℃に保温しながらジエタノールアミン210gを滴下した。滴下終了後、110℃に昇温し、1時間30分間反応させて樹脂固形分濃度が68質量%の樹脂溶液を得た。
次いで、ジフェニルメタンジイソシアナートをエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルでブロックした硬化剤を、上述により得られた樹脂溶液との固形分質量比が(樹脂溶液)/(硬化剤)=75/25となるように混合し、これに3質量%のジブチル錫オキサイドを配合した。
更に、製造例1で得たポリシロキサン1を、樹脂固形分として、上記エポキシ樹脂とポリシロキサン1との質量比が30:70となるように加えた。充分撹拌した後、この樹脂組成物1383g(固形分75%)を予め用意した脱イオン水672gと氷酢酸21gとの混合水溶液に添加し、高速回転攪拌機で1時間攪拌した後、更に、脱イオン水1381.5gを加え、固形分濃度が30質量%となるように水溶液を調整して、カチオン電着塗料組成物を得た。しかしながら、得られたカチオン電着塗料組成物は製造直後から沈殿が生じ、塗料として成立しなかった。
得られたカチオン電着塗料組成物及び塗膜の評価結果を表2に示す。
Figure 0005324303
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のカチオン電着塗料は、耐電圧性及び耐熱性に優れた塗膜を形成することができる。このため、電気電子部品等の絶縁膜等の用途に好適に適用することができる。

Claims (12)

  1. ポリシロキサンと、エポキシ樹脂とを含み、
    上記エポキシ樹脂は、スルホニウム基とプロパルギル基とを有し、
    上記エポキシ樹脂は、ノボラッククレゾール型骨格及びノボラックフェノール型骨格からなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有することを特徴とするカチオン電着塗料。
  2. 上記ポリシロキサンは、シラノール基を有していることを特徴とする請求項1に記載のカチオン電着塗料。
  3. 上記ポリシロキサンは、下記一般式(Ia)
    Figure 0005324303
    (式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
    で表される構造単位を有することを特徴とする請求項2に記載のカチオン電着塗料。
  4. 上記ポリシロキサンは、下記一般式(Ib)
    Figure 0005324303
    (式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
    で表される構造単位を有することを特徴とする請求項2に記載のカチオン電着塗料。
  5. 上記ポリシロキサンは、下記一般式(II)
    Figure 0005324303
    (式中、Rは、フェニル基、グリシドキシプロピル基、ビニル基、炭素数1〜10のアルキル基、メルカプトプロピル基、又は(エポキシシクロヘキシル)エチル基である)
    で表される構造単位を更に有することを特徴とする請求項3又は4に記載のカチオン電着塗料。
  6. 上記ポリシロキサンと上記エポキシ樹脂との質量比が10:90以上90:10以下の範囲内であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカチオン電着塗料。
  7. 上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含有し、
    上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は50nm以上1000nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のカチオン電着塗料。
  8. 上記ポリシロキサンは、下記一般式(III)
    Figure 0005324303
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基であり、X及びYは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基であり、m及びnは、それぞれ独立して任意の整数である)
    で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載のカチオン電着塗料。
  9. 上記エポキシ樹脂に対する上記ポリシロキサンの割合が5質量%以上40質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載のカチオン電着塗料。
  10. 上記ポリシロキサンを上記エポキシ樹脂によって分散した樹脂組成物粒子を含有し、
    上記樹脂組成物粒子の体積平均粒子径は50nm以上200nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項8又は9に記載のカチオン電着塗料。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載のカチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装することにより電着塗膜を形成する工程を含むことを特徴とする塗膜の形成方法。
  12. 請求項11に記載の方法により得られることを特徴とする塗膜。
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