JP4036051B2 - 顔照合装置および顔照合方法 - Google Patents

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    • G06T2207/30201—Face

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラが撮影した画像から人物の顔を検出し、これを予め登録されている顔と照合することにより特定人物を検出する顔照合の技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
指名手配中の人物のような特定人物を発見するために、空港、駅、ショッピングセンター、街角などに監視用カメラを設置し、不特定多数の人物を撮影してその画像を記録するシステムが実用化されている。このようなシステムにおいて、従来は、撮影した画像をそのまま記録するか、あるいは撮影画像から顔画像のみを抜き出して記録しているが、これらの方法では特定人物以外の者の顔画像も記録されることになるため、肖像権に係る個人のプライバシーが保護されないという問題がある。
【０００３】
そこで、監視用カメラで撮影した人物の顔画像と、登録されている特定人物の顔画像とを照合して、両者が一致したときに撮影した人物の顔画像のみを記録し、一致しないときは撮影した人物の顔画像を破棄するシステムが実用化されている。これによると、撮影した顔画像のうち、登録されている特定人物の顔画像と一致しない顔画像は記録に残らないため、特定人物以外の者のプライバシー保護が保障される。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のシステムでは、記録されるのは特定人物の顔画像と一致する顔画像だけであるため、特定人物の服装や手荷物、あるいは周囲の状況といった顔以外の有益な情報が失われてしまう。したがって、照合結果が一致して通報により係員が駆けつけた場合、あるいは記録された画像を後で確認する場合に、顔以外の情報が存在しないことから、特定人物の捜索が困難になるという問題がある。
【０００５】
一方、個人のプライバシーを保護する手段としては、たとえば特開２００１−８６４０７号公報に記載されているように、顔画像の部分にモザイク処理を施す方法もある。しかしながら、本公報では、撮影した人物画像から肌色を検知して自動的に顔部分にモザイク処理を施しているため、撮影したすべての顔画像に対してモザイク処理が施されることとなり、特定の人物だけを除外して顔画像にモザイク処理を施すことはできない。
【０００６】
また、特開２０００−２１６号公報にも人物画像にモザイク処理を施してプライバシーを保護することが記載されているが、特定人物以外の者のプライバシーを保護するために本公報の技術を用いた場合は、人物画像全体にモザイク処理が施されるため、特定人物の周囲の状況を確認するのが困難になるという問題がある。
【０００７】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、特定人物以外の者の肖像権に係るプライバシーを保護するとともに、特定人物の顔以外の情報や、特定人物の周囲の状況を容易に確認できるようにすることにある。本発明の他の目的は、事後的に登録された特定人物を検出できるようにすることにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る顔照合装置は、カメラで撮影した人物の画像から顔画像を検出する検出手段と、特定の人物の顔画像が事前登録によりあらかじめ記憶されている記憶手段と、検出手段で検出された顔画像を記憶手段に事前登録されている顔画像と照合して、両顔画像が一致するか否かを判定する判定手段と、検出手段で検出された顔画像のうち、所定の顔画像に対して顔の認識を不可能とする抽象化処理を施す抽象化手段とを備えている。そして、判定手段により両顔画像が一致しないと判定されたときは、抽象化手段は、検出された顔画像の部分にのみ抽象化処理を施す。一方、判定手段により両顔画像が一致すると判定されたときは、抽象化手段は、検出された顔画像の部分に抽象化処理を施さないようになっている。
【０００９】
また、本発明では、記憶手段に特定人物の顔画像が事後登録された場合に、抽象化処理が施された顔画像に対して、抽象化処理を解除して原画像を復元し、復元された原画像から顔を検出する。そして、原画像から検出された顔画像と、事後登録された顔画像とが一致するか否かを照合し、その照合結果を表示する。
【００１０】
なお、上記でいう「一致」とは、検出された顔画像と登録されている顔画像との完全一致だけを意味するのではなく、それらの顔画像の類似する度合いが高い場合も含む。
【００１１】
本発明によると、検出された顔画像と登録された顔画像とが一致しない場合、すなわち検出された顔が特定人物でない場合は、顔画像に抽象化処理が施されることで、特定人物以外の者の肖像権に係るプライバシーを保護することができる。また、この抽象化処理は顔画像の部分にのみ施されるため、顔以外の服装や荷物等の画像はそのまま残すことができる。一方、検出された顔画像と登録された顔画像とが一致する場合、すなわち検出された顔が特定人物である場合は、顔画像の部分に抽象化処理は施されず、特定人物の顔の画像はそのまま残り、また、顔以外の服装や荷物等の画像もそのまま残る。このように、特定人物およびそれ以外の人の服装や荷物等の画像を残すことによって、それらを有益な手がかりとして特定人物の捜索を容易に行うことが可能となる。
【００１２】
さらに、本発明においては、顔画像が事後登録された場合に、抽象化処理が施された顔画像の抽象化処理を解除して原画像を復元し、原画像から検出された顔画像と、事後登録された顔画像とを照合するようにしているので、記憶手段に記録されている顔画像を用いて、事後的に登録された特定人物の検出を行うことができる。これにより、捜索願いが出されている人物や迷子などの検出が可能となる。
【００１３】
本発明の好ましい実施形態では、原画像を復元する者が正当な権限を有するか否かを判別し、正当な権限を有する場合のみ、原画像の復元が許可される。これによると、正当な権限のない第三者による復元が禁止されるため、セキュリティを確保することができる。この場合、正当な権限を有する者の顔画像を、電子透かしとして抽出化処理が施された画像に埋め込み、原画像を復元する際に、当該復元作業を行う復元者の顔画像のデータと電子透かしのデータとが一致するか否かを判定し、一致する場合に復元者が正当な権限を有していると判別するようにしてもよい。
【００１４】
また、本発明では、検出された顔画像と事前登録されている顔画像とが一致すると判定されたときに、顔および顔以外の部分に抽象化処理が施されていない特定人物の画像と、顔の部分にのみ抽象化処理が施された特定人物以外の者の画像とを表示するとともに、警報を出力するようにしている。これによると、特定人物が検出された時点で警報が出力されるので、迅速な対応をとることができる。また、特定人物については撮影した画像がそのまま表示され、特定人物以外の者については顔の抽象化処理によりプライバシーが保護されるとともに、服装や手荷物などの画像はそのまま表示されるので、特定人物や周囲の状況に関する有益な情報を得ることができ、特定人物の捜索が容易となる。さらに、本発明では、復元した原画像から検出された顔画像と、記憶手段に事後登録された顔画像とが一致すると判定されたときに、当該復元した原画像を表示するようにしているので、捜索 願いが出されている人物や迷子などの検出が可能となる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明が適用される顔照合システムのブロック図である。図において、顔照合システムは、人物を撮影する監視用カメラ１と、この監視用カメラ１で撮影した人物の顔画像を照合する本発明の顔照合装置２とからなる。監視用カメラ１は、たとえば空港、駅、ショッピングセンター、街角など人の集まる場所に複数台設置され、それぞれのカメラ１が監視センタなどに設置された顔照合装置２と接続されている。
【００１６】
顔照合装置２において、３は顔照合を行なうコンピュータ、４はコンピュータ３での顔照合の結果を出力する照合結果出力装置、５は特定の人物（たとえば指名手配中の容疑者）の顔画像データがあらかじめ記憶されている記憶装置である。６，７は記憶装置５へ顔画像を登録するための画像入力装置であって、６はスキャナ、７はデジタルカメラである。コンピュータ３は、監視用カメラ１で撮影した人物の画像から顔画像を検出する検出手段、検出された顔画像を記憶装置５に記憶されている顔画像と照合して両顔画像が一致するか否かを判定する判定手段、および検出された顔画像のうち所定の顔画像に対して顔の認識を不可能とする抽象化処理を施す抽象化手段を構成する。照合結果出力装置４は、照合結果を表示するディスプレイや、照合結果を印刷するプリンタなどの出力機器からなる。記憶装置５は、たとえばハードディスクからなり、本発明の記憶手段を構成する。なお、記憶手段としてはハードディスク以外に光ディスクなどを用いることもできる。
【００１７】
次に、上記構成からなる顔照合システムの動作につき説明する。本システムでは、特定人物の顔画像を記憶装置５にあらかじめ登録しておく。図２は、この顔画像登録時の手順を示したフローチャートであって、コンピュータ３により実行される手順を表している。最初に、登録する特定人物の顔を含んだ画像をスキャナ６やデジタルカメラ７からコンピュータ３に取り込む（ステップＳ１）。次に、取り込んだ画像より登録する顔を検出する（ステップＳ２）。この顔の検出には、肌色検出による方法、背景画像との差分を抽出する方法、パターンマッチングから顔らしさを抽出する方法など、公知の方法が用いられる。顔が検出されると、続いて、顔画像より目、鼻、口、耳などの特徴点を検出し（ステップＳ３）、検出した各特徴点についてそれらの形状や位置に関する特徴量を抽出する（ステップＳ４）。この特徴量の抽出も、目、鼻、口、耳などの濃淡画像からテンプレートマッチングにより特徴量を抽出する方法など、公知の方法を用いて行うことができる。そして、抽出した特徴量を顔画像データとして記憶装置５に記憶させて登録する（ステップＳ５）。
【００１８】
図３は、本発明に係る顔照合方法の手順を示したフローチャートであって、コンピュータ３により実行される手順を表している。コンピュータ３では、監視用カメラ１が撮影した画像を、たとえば１秒間隔で静止画像として取り込み（ステップＳ１１）、取り込んだ画像より顔を検出する（ステップＳ１２）。顔が検出されなければ（ステップＳ１３：ＮＯ）、ステップＳ１１へ戻って次のタイミングで画像を取り込む。顔が検出されれば（ステップＳ１３：ＹＥＳ）、検出した顔画像と記憶装置５にあらかじめ登録されている顔画像とを照合し（ステップＳ１４）、両顔画像が一致するか否かを判定する（ステップＳ１５）。
【００１９】
図４は、ステップＳ１４での照合の具体的手順を示したフローチャートである。照合においては、検出した顔画像から特徴点（目、鼻、口など）を検出し（ステップＳ３１）、検出された各特徴点についてそれらの形状や位置に関する特徴量を抽出する（ステップＳ３２）。そして、抽出した特徴量を記憶装置５に登録されている顔の特徴量と比較する（ステップＳ３３）。この比較結果に基づいて、図３のステップＳ１５で両顔画像の一致・不一致を判定する。なお、ここでいう一致とは完全一致だけを指すのではなく、両顔画像の類似の度合いが高い場合も一致と判定する。具体的には、それぞれの顔画像の特徴量から類似度を算出し、類似度をあらかじめ定められた閾値と比較して、閾値以上である場合に一致と判定する。
【００２０】
ステップＳ１５での判定の結果、検出された顔画像と登録されている顔画像とが一致しない場合は（ステップＳ１５：ＮＯ）、検出された顔画像の人物は登録されている特定人物ではないので、検出された顔画像の部分にのみモザイク処理を施す（ステップＳ１６）。図５は、モザイク処理が施された画像の例であって、特定人物以外の人物１０Ｂ〜１０Ｆの顔画像の部分にモザイク処理１２が施されて、顔が認識できないように抽象化されている。また、モザイク処理１２が施されるのは顔画像の部分のみであり、顔以外の服や手荷物等の部分にはモザイク処理１２は施されない。
【００２１】
一方、検出された顔画像と登録されている顔画像とが一致した場合は（ステップＳ１５：ＹＥＳ）、検出された顔画像の人物は登録されている特定人物であるので、検出された顔画像の部分にモザイク処理は施さずマーカを付与する（ステップＳ１７）。図５では、人物１０Ａが特定人物であり、この特定人物１０Ａの顔画像の部分にはモザイク処理１２は施されておらず、顔１１は監視用カメラ１で撮影されたままの画像となっている。また、顔１１を囲むようにマーカ１３が付与され、特定人物であることが一目瞭然に判別できるようになっている。なお、この特定人物１０Ａの顔以外の服や手荷物等の部分にもモザイク処理１２は施されていない。すなわち、特定人物１０Ａについては、監視カメラ１で撮影された画像がそのまま現れている。
【００２２】
ステップＳ１７の処理の後、照合結果出力装置４のディスプレイに、顔および顔以外の部分にモザイク処理１２が施されていない特定人物１０Ａの画像と、顔の部分にのみモザイク処理１２が施された特定人物以外の人物１０Ｂ〜１０Ｆの画像とを含む図５の画像を、警報とともに表示する（ステップＳ１８）。この警報は、特定人物の氏名、撮影日時、撮影場所などを含むメッセージとして表示され、また、係員の注意を促すために、必要により表示と並行して警報音も発せられる。これにより、係員は特定人物捜索のために必要な人員配備などの手配を行う。
【００２３】
ここで、特定人物１０Ａ以外の者の顔には、図５のようなモザイク処理１２が施されているため、画像がディスプレイに表示されても肖像権に係るプライバシーが侵害されるおそれはない。また、モザイク処理１２が施されるのは顔のみであり、顔以外の部分にはモザイク処理１２が施されないので、特定人物１０Ａの周囲にいる人の服装や手荷物などを容易に確認することができる。一方、特定人物１０Ａについては、全身にわたって撮影した画像がそのまま現れているので、顔だけでなく服装や手荷物なども確認することができる。こうして、プライバシーが問題となる顔にのみモザイク処理１２を施し、それ以外の部分については撮影画像をそのまま残すことで、服装や手荷物を有益な手がかりにして特定人物１０Ａの捜索を容易に行うことができる。
【００２４】
ステップＳ１６〜Ｓ１８を実行した後、検出したすべての顔につき照合を行ったか否かを判定し（ステップＳ１９）、まだ照合すべき顔が残っている場合は（ステップＳ１９：ＮＯ）、ステップＳ１４へ戻って次の顔について照合を行う。すべての顔につき照合が終了すれば（ステップＳ１９：ＹＥＳ）、ステップＳ１６，Ｓ１７の処理を施した画像を記憶装置５へ記録する（ステップＳ２０）。その後、ステップＳ１１へ戻って、次のタイミング（ここでは１秒後）で再び監視用カメラ１から撮影画像を取り込み、以後は上述したステップＳ１２〜Ｓ２０の手順を繰り返す。
【００２５】
なお、上記の例では、監視用カメラ１が撮影した画像を１秒間隔で静止画像として取り込む場合を説明したが、監視用カメラ１が撮影した動画像から顔を検出し、検出された顔を自動追尾しながら照合を行うような方式を採用してもよい。これによると、同一人物について何回も画像を記録する必要がないので、記憶装置５に記録する画像のデータ量を減らすことができ、記憶装置５は容量の小さなもので済む。
【００２６】
記憶装置５に記録された画像は、その後任意の時点で照合結果出力装置４で表示したり印刷したりして、出力することができる。この場合も、特定人物１０Ａ以外の者の顔はモザイク処理によってプライバシーが保護されるとともに、服装や手荷物などの画像はそのまま保存され、特定人物に関しても服装や手荷物などの画像はそのまま保存されるので、これらの情報を手がかりにすることで特定人物１０Ａの捜索が容易となる。
【００２７】
以上の実施形態では、特定人物の顔画像を事前に登録しておき、撮影した顔画像と登録されている顔画像とを照合して特定人物を検出するようにしたが、記憶装置５に記録された画像を用いて、事後的に登録された特定人物の検出を行うこともできる。これによると、たとえば捜索願いが出されている人物や迷子などの検出が可能となる。
【００２８】
図６は、上記のような事後登録の場合の照合手順を示したフローチャートであって、コンピュータ３により実行される手順を表している。最初に、記憶装置５に記録されている画像をコンピュータ３へ取り込む（ステップＳ４１）。ここで、記憶装置５に記録されている画像は、前述のようにモザイク処理が施されていてそのままでは判別できないので、原画像を復元したうえで照合を行う必要がある。そこで、次に、モザイク処理を解除して原画像の復元を行う（ステップＳ４２）。そして、原画像の復元後、その復元画像から顔を検出する（ステップＳ４３）。復元した画像から顔が検出されなければ（ステップＳ４４：ＮＯ）、ステップＳ４１に戻って記録画像の取り込みを行う。復元した画像から顔が検出されれば（ステップＳ４４：ＹＥＳ）、検出された顔画像と事後に登録した顔画像とを照合する（ステップＳ４５）。事後登録の顔画像は、事前登録の場合と同様に、スキャナ６やデジタルカメラ７により撮影され、記憶装置５に記録されている。
【００２９】
ステップＳ４５での照合の結果、記録画像の顔と事後登録の顔とが一致しなければ（ステップＳ４６：ＮＯ）、記録画像から検出したすべての顔を照合したか否かを判定し（ステップＳ４７）、未照合の顔が残っている場合は（ステップＳ４７：ＮＯ）、ステップＳ４５へ戻って次の顔について照合を行う。すべての顔の照合が終了すれば（ステップＳ４７：ＹＥＳ）、全記録画像について照合を行ったか否かを判定し（ステップＳ４８）、全記録画像についての照合が終了してなければ（ステップＳ４８：ＮＯ）、ステップＳ４１へ戻って記憶装置５から次の記録画像を取り込んで上述した手順を繰り返す。また、全記録画像についての照合が終了すれば（ステップＳ４８：ＹＥＳ）、事後登録した顔画像と一致する顔画像が記録されていなかったことを照合結果出力装置４のディスプレイへ表示して通知する（ステップＳ４９）。
【００３０】
一方、ステップＳ４６において、記録画像の顔と事後登録の顔とが一致すれば（ステップＳ４６：ＹＥＳ）、復元した原画像を照合結果出力装置４へ出力してディスプレイへ表示するとともに（ステップＳ５０）、事後登録した顔画像と一致する顔画像が記録されていたことをディスプレイへ表示して通知する（ステップＳ５１）。
【００３１】
ところで、上述したような事後登録の場合の照合において、記憶装置５に記録されている画像のモザイク処理を解除して原画像を復元する処理は、正当な権限を有する者（たとえばシステム管理者）のみが行えるよう制限を加えることがセキュリティ上好ましい。図７および図８は、この場合の実施形態を示したフローチャートである。
【００３２】
図７は、図３に対応するフローチャートであって、図３と同一のステップには同一符号を付してある。ステップＳ１１〜Ｓ１９の処理は図３と全く同じであるので、説明は省略する。ステップＳ１９ですべての顔の照合が終了すると（ステップＳ１９：ＹＥＳ）、画像の記録を行う記録者の顔画像を取り込み（ステップＳ２０ａ）、取り込んだ記録者の顔画像を、ステップＳ１６，Ｓ１７の処理を施した画像に「電子透かし」として埋め込み、この「電子透かし」が埋め込まれた画像を記憶装置５に記録する（ステップＳ２０ｂ）。ここで、記録者とはたとえばシステム管理者であり、ステップＳ２０ａで取り込む記録者の顔画像は、スキャナ６やデジタルカメラ７であらかじめ撮影されて記憶装置５に記録されている。
【００３３】
次に、画像を復元する手順について説明する。図８は、図６に対応するフローチャートであって、図６と同一のステップには同一符号を付してある。最初に、記憶装置５に記録されている画像をコンピュータ３へ取り込む（ステップＳ４１）。続いて、画像の復元作業を行う復元者の顔画像を取り込む（ステップＳ４１ａ）。この復元者の顔画像は、この時点でスキャナ６やデジタルカメラ７により撮影される。次に、ステップＳ４１ａで取り込んだ顔画像のデータが、ステップＳ４１で取り込んだ画像に埋め込まれている「電子透かし」のデータと一致するか否かを判定する（ステップＳ４１ｂ）。データが一致しなければ（ステップＳ４１ｂ：ＮＯ）、復元作業を行おうとしている復元者が前述の記録者（システム管理者）ではないと判断して、処理を終了する。一方、データが一致すれば（ステップＳ４１ｂ：ＹＥＳ）、復元者が記録者（システム管理者）と同一人物であると判断して、モザイクの解除を行い、原画像を復元する（ステップＳ４２）。ステップＳ４２以降の処理については図６と全く同じであるので、説明は省略する。
【００３４】
以上のように、記録者の顔画像を「電子透かし」として用いることで、モザイク処理を解除して画像を復元する場合に、記録者のみが復元を行うことが許され、正当な権限のない第三者による復元は禁止されるため、セキュリティを確保することができる。
【００３５】
本発明は、以上述べた実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態においては、顔画像に施す抽象化処理としてモザイク処理を例に挙げたが、モザイク処理に代えて顔画像の部分をぼかすような処理を施してもよい。あるいは、モザイク処理やぼかし処理に代えて、顔画像の部分を黒色や白色などで塗り潰すような処理を施してもよい。
【００３６】
また、上記実施形態においては、監視用カメラ１で撮影されてモザイク処理やマーカが施された画像を記憶装置５に保存するようにしたが、この画像は単に照合結果出力装置４のディスプレイに表示されるだけであってもよく、この場合は記憶装置５への保存は不要である。
【００３７】
また、上記実施形態においては、事前登録または事後登録した顔画像を記憶装置５に記録するとともに、監視用カメラ１で撮影されてモザイク処理やマーカが施された画像も同じ記憶装置５に記録するようにしたが、図９のように、記憶装置５とは別に専用の画像記録装置８を設け、登録する顔画像のみを記憶装置５に記録し、監視用カメラ１で撮影した画像は画像記録装置８へ記録するようにしてもよい。画像記録装置８は、ビデオテープレコーダ、ＤＶＤ（Digital Versatile Disk）レコーダ、ハードディスクレコーダなど、各種の記録メディアを扱う装置から構成することができる。この場合も、特定人物以外の顔には抽象化処理が施されているので、再生時に肖像権に係るプライバシーが侵害されるおそれはない。
【００３８】
【発明の効果】
本発明によれば、特定人物以外の者の顔画像部分にのみ抽象化処理を施すようにしたので、肖像権に係るプライバシーを保護できるとともに、特定人物およびそれ以外の者の服装や手荷物などの画像はそのまま残るため、これらを手がかりとして特定人物の捜索を容易に行うことが可能となる。また、記憶手段に記録されている画像を用いて、事後的に登録された特定人物の検出を行うこともできるので、捜索願いが出されている人物や迷子などの検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明が適用される顔照合システムのブロック図である。
【図２】顔画像登録時の手順を示したフローチャートである。
【図３】本発明に係る顔照合方法の手順を示したフローチャートである。
【図４】照合の具体的手順を示したフローチャートである。
【図５】モザイク処理が施された画像の例である。
【図６】事後登録の場合の照合手順を示したフローチャートである。
【図７】顔照合方法の他の実施形態を示したフローチャートである。
【図８】他の実施形態による事後登録の場合の照合手順を示したフローチャートである。
【図９】本発明の他の実施形態を示したブロック図である。
【符号の説明】
１ 監視用カメラ
２ 顔照合装置
３ コンピュータ
４ 照合結果出力装置
５ 記憶装置
６ スキャナ
７ デジタルカメラ
８ 画像記録装置
１０Ａ 特定人物
１０Ｂ〜１０Ｆ 特定人物以外の人物
１１ 顔
１２ モザイク処理
１３ マーカ

Claims (5)

  1. カメラで撮影した人物の画像から顔画像を検出する検出手段と、
    特定人物の顔画像が事前登録によりあらかじめ記憶されている記憶手段と、
    前記検出手段で検出された顔画像を前記記憶手段に事前登録されている顔画像と照合して、両顔画像が一致するか否かを判定する判定手段と、
    前記検出手段で検出された顔画像のうち、所定の顔画像に対して顔の認識を不可能とする抽象化処理を施す抽象化手段と、を備え、
    前記抽象化手段は、前記判定手段により両顔画像が一致しないと判定されたときは、検出された顔画像の部分にのみ抽象化処理を施し、前記判定手段により両顔画像が一致すると判定されたときは、検出された顔画像の部分に抽象化処理を施さないようにした顔照合装置であって、
    前記記憶手段に特定人物の顔画像が事後登録された場合に、前記抽象化処理が施された顔画像に対して、抽象化処理を解除して原画像を復元し、
    前記検出手段により、前記復元された原画像から顔を検出し、
    前記判定手段により、前記原画像から検出された顔画像と、前記事後登録された顔画像とが一致するか否かを照合し、
    前記判定手段による照合結果を表示することを特徴とする顔照合装置。
  2. 請求項１に記載の顔照合装置において、
    前記原画像を復元する者が正当な権限を有するか否かを判別し、正当な権限を有する場合のみ、原画像の復元を許可するようにしたことを特徴とする顔照合装置。
  3. 請求項２に記載の顔照合装置において、
    前記正当な権限を有する者の顔画像を、電子透かしとして前記抽出化処理が施された画像に埋め込み、
    前記原画像を復元する際に、当該復元作業を行う復元者の顔画像のデータと前記電子透かしのデータとが一致するか否かを判定し、一致する場合に前記復元者が正当な権限を有していると判別することを特徴とする顔照合装置。
  4. 請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の顔照合装置において、
    前記検出手段で検出された顔画像と、前記記憶手段に事前登録されている顔画像とが一致すると判定されたときに、顔および顔以外の部分に抽象化処理が施されていない特定人物の画像と、顔の部分にのみ抽象化処理が施された特定人物以外の者の画像とを表示するとともに、警報を出力し、
    前記復元した原画像から検出された顔画像と、前記記憶手段に事後登録された顔画像とが一致すると判定されたときに、当該復元した原画像を表示することを特徴とする顔照合装置。
  5. カメラで撮影した人物の画像から顔画像を検出し、
    検出された顔画像を、事前登録により記憶手段にあらかじめ記憶されている特定人物の顔画像と照合して両顔画像が一致するか否かを判定し、
    両顔画像が一致しないと判定されたときは、検出された顔画像の部分にのみ顔の認識を不可能とする抽象化処理を施し、
    両顔画像が一致すると判定されたときは、検出された顔画像の部分に前記抽象化処理を施さないようにし、
    前記記憶手段に特定人物の顔画像が事後登録された場合に、前記抽象化処理が施された顔画像に対して、抽象化処理を解除して原画像を復元し、
    前記復元された原画像から顔を検出し、
    前記原画像から検出された顔画像と、前記事後登録された顔画像とが一致するか否かを照合し、
    前記照合の結果を表示することを特徴とする顔照合方法。
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