前記課題を解決するためになされた第1の発明は、複数の座席が配置された監視エリアを撮像した画像に基づき、利用者による座席の利用状況を可視化した出力情報を生成する座席モニタリング装置であって、利用者による座席の利用状況に関する座席利用情報を取得する座席利用情報取得部と、前記座席利用情報に基づき、前記監視エリアを撮像した撮像画像上で座席ごとの利用状況を可視化するとともに、前記撮像画像における利用者の人物領域の少なくとも一部に対してプライバシー保護の画像処理が実施されたモニタリング画像を生成するモニタリング画像生成部と、前記座席利用情報に基づき、座席ごとの利用者の利用状況が可視化された座席マップ画像を生成するマップ画像生成部と、前記座席マップ画像を表示する画面上で座席を指定するユーザの操作入力に応じて、ユーザが指定する座席が属する座席区画に対応する前記モニタリング画像を含む前記出力情報を生成する出力情報生成部と、を備えた構成とする。
これによると、座席マップ画像で座席ごとの利用状況を把握し、この座席マップ画像で注目する座席を指定することで、その座席が写るモニタリング画像を表示させて、注目する座席の実際の状況を確認することができるため、座席の利用状況を確認する作業を効率よく行うことができる。また、プライバシー保護の画像処理が実施されるため、モニタリング画像に写る利用者のプライバシーを保護することができる。
なお、利用状況を可視化として、利用者ごとの識別画像を付加する場合、モニタリング画像における利用者の人物領域上またはその近傍に配置すればよく、また、識別画像の表示態様を変更するとは、識別画像の表示色などの表示形態を変更する他に、識別画像の表示の有無を変更することを含み、識別画像の表示形態を変更することにより、また、識別画像を表示させるか否かにより、座席ごとの利用状況を可視化することができる。
また、第2の発明は、さらに、座席ごとの利用の可否に関する座席管理情報を取得する座席管理情報取得部と、前記撮像画像に対する人物検出の結果に基づき、各座席における利用者の在席を検知する在席検知部と、を備え、前記座席利用情報取得部は、前記座席管理情報および前記在席検知部の検知結果に基づき、各座席について不正利用か否かを判定して、各座席の不正利用に関する前記座席利用情報を取得する構成とする。
これによると、不正利用か否かをユーザが即座に把握することができる。この場合、座席の利用の可否、すなわち、座席の利用が許可されているか否かに関する座席利用情報と、在席検知部の検知結果とを座席ごとに比較することで、各座席について不正利用か否かを判定することができる。
また、第3の発明は、前記モニタリング画像生成部は、前記座席利用情報に基づき、不正利用でない利用者の人物領域に対して前記プライバシー保護の画像処理を実施し、不正利用である利用者の人物領域に対して前記プライバシー保護の画像処理を実施しない構成とする。
これによると、正当な利用者のプライバシーを保護することができる。一方、不正な利用者は未処理の状態で表示されるため、個人を識別することができる。
また、第4の発明は、前記モニタリング画像生成部は、前記プライバシー保護の画像処理として、モザイク処理、ぼかし処理、ブレンド処理のいずれかの識別性低減処理が実施された前記モニタリング画像を生成する構成とする。
これによると、モザイク処理、ぼかし処理、ブレンド処理のいずれかの識別性低減処理を実施することで、個人を識別することができなくなるため、利用者のプライバシーを確実に保護することができる。
また、第5の発明は、前記モニタリング画像生成部は、前記識別性低減処理が実施された識別性低減画像上に、利用者の人物領域の少なくとも一部を取り囲む枠画像を重畳した前記モニタリング画像を生成し、前記座席利用情報に基づき、前記枠画像の表示形態を変更することで、座席ごとの利用状況を可視化する構成とする。
これによると、利用者ごとの枠画像の表示態様(例えば、表示色)により、利用者による座席の利用状況(例えば、不正利用か否か)が表現されるため、利用者による座席の利用状況を即座に把握することができる。
また、第6の発明は、前記モニタリング画像生成部は、前記プライバシー保護の画像処理として、前記撮像画像における利用者の人物領域をその人物領域の形状を表すマスク画像に置き換える画像処理が実施された前記モニタリング画像を生成する構成とする。
これによると、撮像画像内の人物領域をマスク画像に置き換えることで、個人を識別することができなくなるため、利用者のプライバシーを確実に保護することができる。
また、第7の発明は、前記モニタリング画像生成部は、前記座席利用情報に基づき、前記マスク画像の表示形態を変更することで、座席ごとの利用状況を可視化する構成とする。
これによると、利用者ごとのマスク画像の表示態様(例えば、表示色)により、利用者による座席の利用状況(例えば、不正利用か否か)が表現されるため、利用者による座席の利用状況を即座に把握することができる。
また、第8の発明は、前記監視エリアは、座席利用料が課される座席が配置された列車の車内であり、前記モニタリング画像生成部は、駅構内での列車の発車時または停車時に撮像された前記撮像画像に対する人物検出の結果に基づいて前記プライバシー保護の画像処理が実施された前記モニタリング画像を生成する構成とする。
これによると、列車の発車時または停車時の車両の揺れで乗客の身体に動きが生じることから、動体検知に基づく人物検出を確実に行うことができるため、乗客に対してプライバシー保護の画像処理が適切に実施されたモニタリング画像を生成することができる。
また、第9の発明は、前記監視エリアは、座席利用料が課される座席が配置された列車の車内であり、前記座席管理情報取得部は、駅構内での列車の発車時または停車時における前記座席管理情報を取得する構成とする。
これによると、列車の発車時または停車時に乗客が着席や離席を行う場合が多いため、適切な座席管理情報を取得することができる。
また、第10の発明は、前記監視エリアは、座席利用料が課される座席が配置された列車の車内であり、さらに、前記座席利用情報取得部で取得した前記座席利用情報を、車両単位、列車単位、路線単位の少なくともいずれかで集約する座席利用情報集約部と、この座席利用情報集約部で集約された前記座席利用情報に基づき、路線ごとの利用状況を可視化した路線マップ画像、列車ごとの利用状況を可視化した列車マップ画像、車両ごとの利用状況を可視化した車両マップ画像の少なくともいずれかを生成するマップ画像生成部と、を備えた構成とする。
これによると、車両単位や列車単位や路線単位でユーザが座席の利用状況を把握することができる。
また、第11の発明は、前記モニタリング画像生成部は、初期状態において、前記プライバシー保護の画像処理を実施した前記モニタリング画像を生成し、プライバシー保護を解除するユーザの操作入力に応じて、前記プライバシー保護の画像処理を実施しない前記モニタリング画像を生成する構成とする。
これによると、ユーザが必要に応じてプライバシー保護を解除して、プライバシー保護の画像処理が実施されていないモニタリング画像を表示させることができる。
また、第12の発明は、複数の座席が配置された監視エリアを撮像した画像に基づき、利用者による座席の利用状況を可視化した出力情報を生成する座席モニタリングシステムであって、前記監視エリアを撮像して、撮像画像に対する人物検出を行うカメラと、利用者による座席の利用状況を可視化した前記出力情報を生成するサーバ装置と、前記出力情報に基づき、閲覧画面を表示するユーザ端末装置と、を有し、前記サーバ装置は、利用者による座席の利用状況に関する座席利用情報を取得する座席利用情報取得部と、前記座席利用情報に基づき、前記撮像画像上で座席ごとの利用状況を可視化するとともに、前記撮像画像における利用者の人物領域の少なくとも一部に対してプライバシー保護の画像処理が実施されたモニタリング画像を生成するモニタリング画像生成部と、前記座席利用情報に基づき、座席ごとの利用者の利用状況が可視化された座席マップ画像を生成するマップ画像生成部と、前記座席マップ画像を表示する画面上で座席を指定するユーザの操作入力に応じて、ユーザが指定する座席が属する座席区画に対応する前記モニタリング画像を含む前記出力情報を生成する出力情報生成部と、を備えた構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、座席マップ画像で座席ごとの利用状況を把握し、この座席マップ画像で注目する座席を指定することで、その座席が写るモニタリング画像を表示させて、注目する座席の実際の状況を確認することができるため、座席の利用状況を確認する作業を効率よく行うと共に、モニタリング画像に写る利用者のプライバシーを保護することができる。
また、第13の発明は、複数の座席が配置された監視エリアを撮像した画像に基づき、利用者による座席の利用状況を可視化した出力情報を生成する処理を情報処理装置に行わせる座席モニタリング方法であって、利用者による座席の利用状況に関する座席利用情報を取得し、前記座席利用情報に基づき、前記監視エリアを撮像した撮像画像上で座席ごとの利用状況を可視化するとともに、前記撮像画像における利用者の人物領域の少なくとも一部に対してプライバシー保護の画像処理が実施されたモニタリング画像を生成し、前記座席利用情報に基づき、座席ごとの利用者の利用状況が可視化された座席マップ画像を生成し、前記座席マップ画像を表示する画面上で座席を指定するユーザの操作入力に応じて、ユーザが指定する座席が属する座席区画に対応する前記モニタリング画像を含む前記出力情報を生成する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、座席マップ画像で座席ごとの利用状況を把握し、この座席マップ画像で注目する座席を指定することで、その座席が写るモニタリング画像を表示させて、注目する座席の実際の状況を確認することができるため、座席の利用状況を確認する作業を効率よく行うと共に、モニタリング画像に写る利用者のプライバシーを保護することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る座席モニタリングシステムの全体構成図である。
この座席モニタリングシステムは、列車の車内を監視エリアとして、車内を撮影した画像などに基づいて生成された、座席ごとの利用状況を可視化したモニタリング画像を、監視センターの監視者などのユーザに提供するものであり、カメラ1と、サーバ装置(座席モニタリング装置)2と、ユーザ端末装置(閲覧装置)3と、車内検札装置4と、座席管理装置5と、を備えている。
列車は、自由席で座席利用料が課される複数の座席が配置された特別車両(普通列車のグリーン車)が連結されたものであり、この特別車両では、乗客は座席利用料を支払うことで自由に座席を選択して利用することができる。この特別車両には、座席ごとの乗客の利用状況を監視するために、カメラ1および車内検札装置4が設置されている。このカメラ1および車内検札装置4は、車載ネットワークおよび無線通信部6と無線基地局7とを介して、VLAN(Virtual Local Area Network)などの閉域ネットワークに接続されている。
カメラ1は、列車の車内の天井に設置され、列車の車内に設けられた座席を撮像する。このカメラ1では、車内の座席を撮像した撮像画像から人物を検出する処理が行われ、撮像画像および人物検出情報が出力される。
車内検札装置4は、各座席の上方の天井に設置され、乗客が購入した座席利用券(グリーン券)を確認する車内検札を無人で行うものであり、リーダライタ8と、表示ランプ9と、を備えている。乗客は、駅構内の券売機などにおいてICカードを用いて座席利用券を購入した上で列車に乗車し、自分が着席する座席に対応する車内検札装置4のリーダライタ8にICカードをかざす操作を行うと、表示ランプ9が赤色から緑色に変わる。これにより、乗務員等は、車内検札が終了したことを確認することができる。なお、座席利用券の購入および車内検札を、スマートフォンなどの携帯端末装置で行うこともできる。
座席管理装置5は、各列車に搭載された車内検札装置4と閉域ネットワークを介して接続されており、車内検札装置4から、各座席の車内検札が終了したか否かに関する車内検札情報を収集する。また、座席管理装置5は、閉域ネットワークを介してサーバ装置2に接続されており、座席ごとの利用の可否、すなわち、乗客が車内改札により座席を利用する権限があるか否かに関する座席管理情報をサーバ装置2に提供する。
サーバ装置2は、閉域ネットワークを介して各列車の各カメラ1に接続されており、各列車の各カメラ1から送信される撮像画像を受信する。また、サーバ装置2は、インターネットを介してユーザ端末装置3に接続されており、ユーザが閲覧する画面を生成してユーザ端末装置3に配信し、また、ユーザが画面で入力した情報を取得する。
ユーザ端末装置3は、スマートフォンやタブレット端末やPCで構成される。このユーザ端末装置3では、サーバ装置2から配信されるモニタリング画像などの閲覧画面が表示される。このモニタリング画像などの閲覧画面をユーザが閲覧することで、各列車の各車両における乗客による座席の利用状況などを把握することができる。
さて、本実施形態では、サーバ装置2において、カメラ1から取得した撮像画像に基づいて、各座席における乗客の在席を検知し、この在席検知結果と、座席管理装置5から取得した座席管理情報とに基づいて、ICカードによる車内検札の有無に応じて、座席に在席する乗客が不正乗車か否かを判定する。すなわち、ICカードによる車内検札が終了した座席に着席する乗客を正当な乗客とし、ICカードによる車内検札が終了していない座席に着席する乗客を不正な乗客とする。
なお、本実施形態では、座席利用券の購入および車内検札を全てICカードを用いて行い、ICカードを用いた車内検札を受けていない乗客を不正乗車とするが、座席利用券を切符で購入するようにしてもよい。この場合、座席利用券の切符を購入して乗車した乗客は、ICカードを用いた車内検札ができないため、車内検札を受けていない乗客は、正当か否かが未定となる。この場合、乗務員は、座席利用券の切符を確認した際に、所持する管理端末(図示せず)から車内検札終了に関する情報を入力することで、表示ランプ9を赤色から緑色に変えることができる。
次に、列車の各車両におけるカメラの配置状況について説明する。図2は、列車の車両におけるカメラ1の配置状況を示す説明図である。
列車の各車両Cの天井には、車内に複数配置された座席Sを撮像するようにカメラ1が設置されている。特に、図2に示す例では、カメラ1に、魚眼レンズを用いて360度の撮像範囲を有する全方位カメラが採用されているが、所定の画角を有するカメラ、いわゆるボックスカメラでも可能である。
次に、サーバ装置2で生成されてユーザ端末装置3に表示される画面について説明する。図3は、路線マップ画像表示画面を示す説明図である。図4は、列車マップ画像表示画面を示す説明図である。図5は、車両マップ画像表示画面を示す説明図である。図6は、座席マップ画像表示画面を示す説明図である。図7は、モニタリング画像表示画面を示す説明図である。
本実施形態では、路線マップ画像表示画面(図3参照)、列車マップ画像表示画面(図4参照)、車両マップ画像表示画面(図5参照)、座席マップ画像表示画面(図6参照)、およびモニタリング画像表示画面(図7参照)に関する画面情報がサーバ装置2で生成されて、これらの画面がユーザ端末装置3に表示される。
路線マップ画像表示画面(図3参照)で、注目する路線を選択すると、選択した路線に関する列車マップ画像表示画面(図4参照)に遷移する。そして、列車マップ画像表示画面で、注目する列車を選択すると、選択した列車に関する車両マップ画像表示画面(図5参照)に遷移する。そして、車両マップ画像表示画面で、注目する車両を選択すると、選択した車両に関する座席マップ画像表示画面(図6参照)に遷移する。そして、座席マップ画像表示画面で、注目する座席を選択すると、選択した座席に関するモニタリング画像表示画面(図7参照)に遷移する。
まず、図3に示すように、路線マップ画像表示画面には、路線ごとの利用状況(不正乗車の多さ)を可視化する路線マップ画像101が表示される。この路線マップ画像101は、対象となる地域における各路線の敷設状況を模式的に描画したものであり、路線マップ画像101内の各路線を表す路線画像102の表示形態を変更することで、路線ごとの利用状況が可視化されている。図3に示す例では、路線画像102の表示色で、路線ごとの不正乗車の多さが表現されている。
次に、図4に示すように、列車マップ画像表示画面には、列車ごとの利用状況(不正乗車の多さ)を可視化する列車マップ画像111が表示される。この列車マップ画像111は、対象となる路線における列車の運行状況を模式的に描画したしたものであり、列車マップ画像111内の各列車を表す列車画像112の表示形態を変更することで、列車ごとの利用状況が可視化されている。図4に示す例では、列車画像112の表示色で、列車ごとの不正乗車の多さが表現されている。
次に、図5に示すように、車両マップ画像表示画面には、車両ごとの利用状況(不正乗車の多さ)を可視化する車両マップ画像121が表示される。この車両マップ画像121は、対象となる列車における車両の編成状況を模式的に描画したものであり、車両マップ画像121内の各車両を表す車両画像122の表示形態を変更することで、車両ごとの利用状況が可視化される。図5に示す例では、車両画像122の表示色で、車両ごとの不正乗車の多さが表現されている。
次に、図6に示すように、座席マップ画像表示画面には、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を可視化する座席マップ画像131が表示される。この座席マップ画像131は、対象となる車両における座席の配置状況を模式的に描画したものであり、座席マップ画像131内の各座席を表す座席画像132の表示形態(表示色)を変更することで、座席ごとの利用者の利用状況が可視化される。図6に示す例では、座席画像132の表示色で、座席ごとの不正乗車の有無が表現されている。例えば、正当な乗客が在席する座席では座席画像132が緑色で表示され、不正な乗客が在席する座席では座席画像132が赤色で表示される。空席では座席画像132が白色で表示される。
ここで、本実施形態では、サーバ装置2において、カメラ1から取得した撮像画像および人物検出情報と、座席管理装置5から取得した座席管理情報とに基づいて、座席ごとに不正乗車か否かを判定し、この不正乗車か否かに関する座席ごとの座席利用情報に基づいて、座席マップ画像(図6参照)における座席画像132の表示色が決定される。
また、サーバ装置2において、座席ごとの座席利用情報を車両ごとに集約して、車両ごとの座席利用情報(不正乗車の座席数)を取得し、この車両ごとの座席利用情報に基づいて、車両マップ画像(図5参照)における車両画像122の表示色が決定される。また、車両ごとの座席利用情報を列車ごとに集約して、列車ごとの不正乗車情報を取得し、この列車ごとの座席利用情報に基づいて、列車マップ画像(図4参照)における列車画像112の表示色が決定される。また、列車ごとの座席利用情報を路線ごとに集約して、路線ごとの座席利用情報を取得し、この路線ごとの座席利用情報に基づいて、路線マップ画像(図3参照)における路線画像102の表示色が決定される。
次に、図7に示すように、モニタリング画像表示画面には、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を可視化するモニタリング画像141が表示される。このモニタリング画像141には、識別性低減画像142上に矩形の枠画像143が重畳して表示されている。なお、モニタリング画像141は、動画として閲覧できることが望ましいが、所定の時間間隔で配信される静止画によって閲覧できるようにしてもよい。
識別性低減画像142は、撮像画像に写る乗客のプライバシーを保護する画像処理として、人物の識別性を低減する画像処理(識別性低減処理)を撮像画像に対して実施することで生成される。図7に示す例では、識別性低減処理としてモザイク処理が実施されている。また、図7に示す例では、各乗客の顔領域(人物の顔が写る画像領域)に対して識別性低減処理が実施されている。
モザイク処理は、撮像画像を複数のブロックに分割して、ブロック内の1つの画素の画素値あるいはブロック内の各画素の画素値の平均値などの単一の画素値に、そのブロック内の全ての画素の画素値を置換するものである。
なお、本実施形態では、人物の識別性を低減する上で最も効果的な顔領域に対して識別性低減処理を実施するようにしたが、このような人物領域(人物の身体が写る画像領域)の一部ではなく、人物領域の全体に対して識別性低減処理を実施するようにしてもよい。また、撮像画像の全体に対して識別性低減処理を実施するようにしてもよい。
また、図7に示す例では、撮像画像に写る人物の識別性を低減する画像処理として、モザイク処理を実施したが、この他にぼかし処理やブレンド処理を実施するようにしてもよい。
ぼかし処理は、各種のフィルタ処理、例えば、ブラーフィルタ、ガウシアンフィルタ、メディアンフィルタ、およびバイラテラルフィルタなどによるフィルタ処理である。さらに、ネガ/ポジ反転、色調補正(明るさ変化、RGBカラーバランス変化、コントラスト変化、ガンマ補正、および彩度調整など)、2値化、ならびにエッジフィルタなどの各種の画像処理を利用することも可能である。
ブレンド処理は、2つの画像を半透過状態で合成(ブレンド)するものであり、合成する度合いを示すα値に基づいて、所定の合成用の画像と撮像画像とを合成する。
なお、撮像画像の全体に対して識別性低減処理を行う場合には、モザイク処理やぼかし処理やブレンド処理のような特殊な画像処理を行うことなく、人物の識別性が失われる程度に画像の解像度を低下させる処理を行うようにしてもよい。この場合、特別な画像処理機能を搭載する必要がないため、画像処理部を安価に構成でき、画像データ量も減少させることができるので、ネットワーク上での通信負荷を軽減することができる。
枠画像143は、各乗客の頭部領域(人物の頭部が写る画像領域)を取り囲むように表示されている。この枠画像143は、カメラ1で行われる人物検出において、検出された人物が存在する領域に設定される人物枠に基づいて生成される。
この枠画像143では、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を表現する識別画像であり、枠画像143の表示態様を変更することで、座席ごとの利用状況が可視化される。図7に示す例では、枠画像143の表示色で、座席ごとの不正乗車の有無が表現されている。例えば、正当な乗客では枠画像143が緑色で表示され、不正な乗客では枠画像143が赤色で表示される。
なお、本実施形態では、枠画像143の表示色で座席ごとの利用状況を表現するようにしたが、この利用状況を表現する表示要素は、表示色(色合いや色の濃さ)に限定されるものではなく、線種(破線など)や太さで利用状況を表現することもできる。すなわち、色合い、色の濃さ、線種、および太さの少なくとも1つの表示要素が異なるように描画される構成とすればよい。
また、本実施形態では、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を可視化する識別画像として、乗客の頭部を取り囲む枠画像143を表示するようにしたが、乗客の上半身を取り囲むように枠画像143を表示するようにしてもよく、さらにこのような人物領域の一部ではなく、人物領域の全体を取り囲むように枠画像143を表示するようにしてもよい。また、枠画像143を矩形としたが、この枠画像は矩形に限定されるものではなく、円形などの他の形状の図形であってもよい。さらに、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を可視化する画像は、人物領域の一部あるいは全体を取り囲む枠画像に限定されるものではなく、適宜な形状の図形、記号および文字の少なくともいずれかからなる画像として、この画像を人物領域の内部またはその近傍に表示させるようにしてもよい。
さて、図7(A)に示す例では、全ての人物を対象にしてプライバシー保護の画像処理(識別性低減処理)が実施されている。図7(B)に示す例では、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理が実施されており、不正な乗客にはプライバシー保護の画像処理が実施されない。
ここで、図7(A)に示すモニタリング画像141と、図7(B)に示すモニタリング画像141とのいずれかのみを表示するようにしてもよいが、図7(A)に示すモニタリング画像141を表示させる表示モードと、図7(B)に示すモニタリング画像141を表示させる表示モードとのいずれかをユーザが選択することができるようにしてもよい。
また、初期状態として、図7(A)に示すモニタリング画像141を表示し、プライバシー保護を解除する操作をユーザが行うと、図7(B)に示すモニタリング画像141が表示されるようにしてもよい。この場合、モニタリング画像表示画面上に、プライバシー保護を解除するボタンを設ければよい。また、ユーザ認証を行って、ユーザ認証が成功した場合にのみ、プライバシー保護を解除する操作をユーザが行うことができるようにして、プライバシー保護の画像処理が実施されていないモニタリング画像141の閲覧を制限するようにしてもよい。
なお、図7(B)に示すモニタリング画像141では、プライバシー保護の画像処理(識別性低減処理)の有無で不正な乗客か否かを判別することができることから、座席利用情報(不正な乗客か否か)を可視化する枠画像143を省略するようにしてもよい。
また、図7(B)に示すモニタリング画像141では、プライバシー保護の画像処理の有無で不正な乗客か否かを判別することができることから、枠画像を別の情報を表示する用途で用いるようにしてもよい。例えば、空席状態と在席状態とを判別するために枠画像を表示させるようにしてもよい。この場合、枠画像の表示色で空席状態と在席状態とを表現し、例えば、空席状態の場合に緑色の枠画像を表示し、在席状態の場合に赤色の枠画像を表示するようにしてもよい。
また、本実施形態では、人物検出において人物領域に設定される人物枠に基づいて枠画像143を表示するようにしたが、人物検出の対象となる検出エリアを撮像画像上にユーザが予め設定して、この検出エリアの範囲を表す枠画像143を表示するようにしてよい。撮像画像において座席に着席した人物の頭部の像は座席のヘッドレストの位置に現れるため、このヘッドレストの位置に検出エリアを設定することで、座席に着席した人物を検出することができる。
ところで、本実施形態では、座席利用料が課される全ての座席が複数のカメラ1のいずれかで撮像され、各カメラ1では、魚眼レンズを介して撮像することで得られる魚眼画像に対して歪み補正を実施した複数の撮像画像が出力され、この複数の撮像画像からモニタリング画像が生成される。このため、1つのモニタリング画像には車両に設置された座席の一部が写り、各モニタリング画像に写る複数の座席ごとの座席区画(座席グループ)に、1つの車両内の全ての座席が区分(グループ分け)される。そして、座席マップ画像表示画面(図6参照)において座席を選択すると、モニタリング画像表示画面(図7参照)に遷移するが、このとき、選択した座席が属する座席区画に対応するモニタリング画像が表示される。
このように、本実施形態では、路線マップ画像表示画面(図3参照)において、座席の利用状況が路線単位で表示され、列車マップ画像表示画面(図4参照)において、座席の利用状況が列車単位で表示され、車両マップ画像表示画面(図5参照)において、座席の利用状況が車両単位で表示され、座席マップ画像表示画面(図6参照)において、座席の利用状況が座席単位で表示される。したがって、監視センターにおいて、路線、列車、車両の順に絞り込みながら座席の利用状況を確認することができる。そして、モニタリング画像表示画面(図7参照)において、注目する座席の実際の状況を確認することができる。これにより、座席の利用状況を確認する作業を効率よく行うことができる。
なお、本実施形態では、座席マップ画像表示画面(図6参照)において座席を選択すると、モニタリング画像表示画面(図7参照)に遷移するようにしたが、モニタリング画像表示ウィンドウを座席マップ表示画面上にホップアップ表示するようにしてもよい。このとき、座席マップ表示画面上における選択された座席の近傍にモニタリング画像表示ウィンドウをホップアップ表示するとよく、複数の座席を順次選択することで、モニタリング画像表示ウィンドウが複数表示されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、列車マップ画像表示画面(図4参照)において、路線を運行する列車の中から、注目する列車を選択することで、車両マップ画像表示画面(図5参照)において、選択した列車における車両ごとの利用状況を表示するようにしたが、路線を運行する各列車の車両ごとの利用状況を、列車ごとに並べて一覧表示するようにしてもよい。
次に、カメラ1、サーバ装置2およびユーザ端末装置3の概略構成について説明する。図8は、カメラ1、サーバ装置2およびユーザ端末装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。
カメラ1は、撮像部11と、制御部12と、情報記憶部13と、通信部14と、を備えている。
撮像部11は、イメージセンサを備え、時間的に連続する撮像画像(フレーム)、いわゆる動画像を順次出力する。制御部12は、撮像部11から出力される撮像画像から人物を検出する処理などを行う。情報記憶部13は、制御部12を構成するプロセッサで実行されるプログラムや、撮像部11から出力される撮像画像を記憶する。通信部14は、サーバ装置2との間で通信を行うものであり、撮像部11から出力される撮像画像や制御部12から出力される人物検出情報をネットワークを介してサーバ装置2に送信する。
撮像部11は、イメージセンサの他に、魚眼レンズと、この魚眼レンズを介して被写体を撮像することで得られた魚眼画像に対して歪み補正を実施する画像処理回路と、を備えており、画像処理回路で生成した補正画像が撮像画像として出力される。
サーバ装置2は、制御部21と、情報記憶部22と、通信部23と、を備えている。
通信部23は、カメラ1、ユーザ端末装置3および座席管理装置5との間で通信を行うものであり、カメラ1から送信される撮像画像および人物検出情報を受信し、また、座席管理装置5から送信される座席管理情報を受信し、また、ユーザ端末装置3から送信されるユーザ設定情報を受信し、また、座席モニタリングの閲覧画面をユーザ端末装置3に配信する。情報記憶部22では、通信部23で受信した撮像画像、人物検出情報および座席管理情報や、制御部21を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。制御部21は、撮像画像、人物検出情報および座席管理情報に基づいてモニタリング画像などを生成して、ユーザ端末装置3に配信する座席モニタリングの閲覧画面を生成する。
ユーザ端末装置3は、制御部31と、情報記憶部32と、通信部33と、入力部34と、表示部35と、を備えている。
入力部34は、ユーザが各種の設定情報を入力する。表示部35は、サーバ装置2から送信される画面情報に基づいて座席モニタリングの閲覧画面を表示する。入力部34および表示部35は、タッチパネルディスプレイで構成することができる。通信部33は、サーバ装置2との間で通信を行うものであり、入力部34で入力されたユーザ設定情報をサーバ装置2に送信し、また、サーバ装置2から送信される画面情報を受信する。制御部31は、ユーザ端末装置3の各部を制御する。情報記憶部32は、制御部31を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
次に、カメラ1およびサーバ装置2の機能的な構成について説明する。図9は、カメラ1およびサーバ装置2の機能ブロック図である。
カメラ1の制御部12は、動体除去画像生成部41と、人物検出部42と、を備えている。この制御部12の各部は、情報記憶部13に記憶された座席モニタリング用のプログラム(インストラクション)を、制御部21を構成するプロセッサに実行させることで実現される。
動体除去画像生成部41では、所定の学習期間における複数の撮像画像(フレーム)に基づいて、撮像画像から人物などの動体を除去した動体除去画像(背景画像)を生成する。この動体除去画像の生成には、公知の背景画像生成技術を利用すればよい。
人物検出部42では、動体除去画像生成部41で取得した動体除去画像(背景画像)と、撮像部11から出力される現在の撮像画像とを比較して、両者の差分から撮像画像内の動体の画像領域を特定する(動体検知)。そして、動体の画像領域に、人物の顔、または頭部および肩部で構成されるΩ形状が検出されると、その動体を人物と判断する(人物検知)。なお、この動体検知および人物検知には公知の技術を用いればよい。この人物検出部42では、人物検出情報として、撮像画像内における各乗客の人物領域の位置情報、および各乗客の人物領域に設定される人物枠の位置情報が出力される。
なお、本実施形態では、公知の技術に基づく標準的な人物検出を行うようにしたが、撮像画像において座席に着席した人物の頭部の像は座席のヘッドレストの位置に現れるため、座席のヘッドレストの位置に人物の頭部と想定される動体を検知すると、人物と判定するようにしてもよい。
サーバ装置2の制御部21は、カメラ画像取得部51と、人物検出情報取得部52と、座席管理情報取得部53と、在席検知部54と、座席利用情報取得部55と、座席利用情報集約部56と、マップ画像生成部57と、モニタリング画像生成部58と、出力情報生成部59と、を備えている。この制御部21の各部は、情報記憶部22に記憶された座席モニタリング用のプログラム(インストラクション)を、制御部21を構成するプロセッサに実行させることで実現される。
カメラ画像取得部51では、カメラ1から定期的(例えば15分間隔)に送信されて通信部23において受信した撮像画像を取得する。人物検出情報取得部52では、撮像画像と同時にまたはこれと異なるタイミングでカメラ1から送信されて通信部23において受信した人物検出情報を取得する。
座席管理情報取得部53では、座席管理装置5から送信されて通信部23において受信した座席管理情報を取得する。本実施形態では、座席管理装置5において、座席ごとの車内改札の有無に関する車内改札情報が車内検札装置4から収集され、座席ごとの利用の可否、すなわち、乗客が車内改札により座席を利用する権限があるか否かに関する座席管理情報が座席管理装置5からサーバ装置2に提供される。
在席検知部54では、人物検出情報取得部52においてカメラ1から取得した人物検出情報に基づいて、各座席における乗客の在席を検知する。本実施形態では、撮像画像における各座席の位置に関する座席位置情報が予め設定されており、この座席位置情報を参照して、人物検出情報における撮像画像上での各乗客の位置から、どの座席に乗客が在席しているかを判定する。このとき、乗客が座席に着座している状態が一定時間継続した場合に、在席と判定するようにするとよい。この在席検知部54では、各座席の在席検知の検知結果に関する在席検知情報(座席番号および各座席の在席の有無など)が出力される。
座席利用情報取得部55では、座席管理情報取得部53で座席管理装置5から取得した座席管理情報、および在席検知部54から出力される在席検知情報に基づき、各座席の利用状況を表す座席利用情報を取得する。本実施形態では、座席管理情報が、座席ごとの利用の可否、すなわち、車内改札により座席を利用する権限があるか否かに関するものであり、この座席管理情報と在席検知情報とを比較することで、座席ごとの利用状況として、各座席に在席する利用者が不正乗車か否か、すなわち、座席利用料を支払わないまま座席を利用しているか否かを判定して、不正乗車か否かを表す座席利用情報を座席ごとに取得する。
座席利用情報集約部56では、座席利用情報取得部55で取得した座席ごとの座席利用情報を車両ごとに集約して、車両ごとの座席利用情報を生成する。また、車両ごとの座席利用情報を列車ごとに集約して、列車ごとの座席利用情報を生成する。また、列車ごとの座席利用情報を路線ごとに集約して、路線ごとの座席利用情報を生成する。これらの集約処理では、座席利用情報としての不正乗車の座席数に対して積算や平均化などの統計処理を行えばよい。
マップ画像生成部57では、路線マップ画像101(図3参照)、列車マップ画像111(図4参照)、車両マップ画像121(図5参照)、および座席マップ画像131(図6参照)を生成する。このマップ画像生成部57では、座席利用情報取得部55で取得した座席ごとの座席利用情報(不正乗車か否か)に応じた表示形態(表示色)で、座席マップ画像131における座席画像132が描画される。
また、マップ画像生成部57では、座席利用情報集約部56で取得した座席利用情報(不正乗車の座席数)を所定のしきい値と比較してランク分けを行い、ランクごとに割り当てられた表示形態(表示色)で、路線マップ画像101における路線画像102、列車マップ画像111における列車画像112、および車両マップ画像121における車両画像122が描画される。
マップ画像生成部57で生成したマップ画像(路線マップ画像、列車マップ画像、車両マップ画像および座席マップ画像)は情報記憶部22に蓄積され、ユーザが日時を指定することで、指定された日時のマップ画像をマップ画像表示画面に表示させることができる。
モニタリング画像生成部58では、座席ごとの利用状況を可視化するとともに、撮像画像に写る乗客のプライバシーを保護する画像処理が施されたモニタリング画像(図7参照)を生成する。このモニタリング画像生成部58は、識別性低減処理部61と、枠画像生成部62と、画像合成部63と、を備えている。
識別性低減処理部61では、人物検出情報取得部52でカメラ1から取得した人物検出情報(人物領域の位置情報)に基づいて、撮像画像に写る乗客のプライバシーを保護する画像処理として、人物の識別性を低減する画像処理(識別性低減処理)を、カメラ画像取得部51でカメラ1から取得した撮像画像内の各乗客の人物領域に対して実施して、識別性低減画像を生成する。本実施形態では、各乗客の顔領域に対して識別性低減処理を実施する。
このとき、撮像画像から各乗客の顔領域を切り出して、その顔領域の画像に対して識別性低減処理を実施し、次に、識別性低減処理が実施された顔領域の画像を撮像画像に重畳して、識別性低減画像を生成すればよい。ここで、図7(A)に示したように、全ての乗客を対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、全ての乗客について識別性低減処理が実施された顔領域の画像を取得し、図7(B)に示したように、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、正当な乗客についてのみ識別性低減処理が実施された顔領域の画像を取得すればよい。
枠画像生成部62では、座席利用情報取得部55で取得した各座席の座席利用情報と、人物検出情報取得部52でカメラ1から取得した人物検出情報(人物枠の位置情報)とに基づいて、各座席に在席する乗客ごとに、乗客の頭部を取り囲む枠画像143を、各座席の座席利用情報に応じた表示色で生成する。
画像合成部63では、枠画像生成部62で生成した枠画像143を、識別性低減処理部で生成した識別性低減画像における対応する乗客の人物領域上に重ね合わせる画像合成を行って、モニタリング画像141を生成する。
モニタリング画像生成部58で生成したモニタリング画像は情報記憶部22に蓄積され、ユーザが日時を指定することで、指定された日時のモニタリング画像をモニタリング画像表示画面に表示させることができる。
出力情報生成部59では、マップ画像生成部57で生成した路線マップ画像101、列車マップ画像111、車両マップ画像121、および座席マップ画像131に基づいて、路線マップ画像表示画面(図3参照)、列車マップ画像表示画面(図4参照)、および座席マップ画像表示画面(図5参照)に関する表示情報を生成する。また、出力情報生成部59では、モニタリング画像生成部58で生成したモニタリング画像に基づいて、モニタリング画像表示画面(図6参照)に関する表示情報を生成する。
ところで、本実施形態では、動体除去画像を生成して、この動体除去画像と撮像画像との差分から人物を検出するようにしたが、このような動体検知による人物検出方法では、例えば睡眠中で人物に動きがないと、人物を動体として検知することができないため、人物検出が失敗して、乗客に対してプライバシー保護の画像処理を適切に実施することができない。
そこで、本実施形態では、駅構内での列車の発車時または停車時に取得した撮像画像で動体除去画像を生成して人物検出を行う。このようにすると、列車の発車時または停車時の車両の揺れで乗客の身体に動きが生じるため、乗客を動体として確実に検知することができるようになり、乗客に対してプライバシー保護の画像処理が適切に実施されたモニタリング画像を生成することができる。
また、本実施形態では、座席に在席する乗客が不正乗車か否かを判定することができるが、不正乗車が見つかる度に乗客に対して注意を行うことは乗務員の負担が大きい。そこで、不正乗車を繰り返す悪質な乗客に限って注意を行い、また、不正乗車の摘発を行うことが考えられる。この場合、不正乗車を行う乗客が見つかると、不正乗車を行う乗客の顔画像をカメラ1の撮像画像から抽出して、その顔画像を情報記憶部22に蓄積する。そして、情報記憶部22に蓄積された顔画像に対して同一人物か否かの人物照合を行い、この人物照合の結果に基づいて、各路線における乗客ごとの不正乗車の回数を取得する。これにより、不正乗車を繰り返す悪質な乗客を見つけ出すことができる。
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。図10は、第1実施形態の変形例に係るカメラ1およびサーバ装置2の機能ブロック図である。
第1実施形態では、サーバ装置2が識別性低減処理部61を備えていたが、この変形例では、カメラ1が識別性低減処理部45を備えている。このカメラ1の識別性低減処理部45では、人物検出部42で取得した人物領域の位置情報に基づいて、各乗客の人物領域(顔領域)に対して識別性低減処理を実施する。
ここで、図7(A)に示したように、全ての乗客を対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、カメラ1の識別性低減処理部45において、各乗客の人物領域(顔領域)を切り出して、その切り出した人物画像(顔画像)に対して識別性低減処理を実施する。次に、識別性低減処理が実施された人物画像を撮像画像に重畳して識別性低減画像を生成し、この識別性低減画像をサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2の画像合成部63において、カメラ1から取得した識別性低減画像に、枠画像生成部62で生成した枠画像143を重畳する画像合成を行って、モニタリング画像141を生成する。
なお、識別性低減処理が実施された人物画像および撮像画像をカメラ1からサーバ装置2に送信し、サーバ装置2の画像合成部63において、識別性低減処理が実施された人物画像を撮像画像に重畳する画像合成を行うようにしてもよい。
一方、図7(B)に示したように、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、カメラ1の識別性低減処理部45において、全ての乗客について識別性低減処理が実施された人物画像を生成して、その乗客ごとの人物画像および撮像画像をサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2の画像合成部63において、座席利用情報取得部55で取得した各座席の座席利用情報に基づいて、正当な乗客の人物画像を選択して、その乗客の人物画像を撮像画像に重畳して識別性低減画像を生成し、さらに枠画像生成部62で生成した枠画像143を識別性低減画像に重畳する画像合成を行って、モニタリング画像141を生成する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。図11は、第2実施形態に係るモニタリング画像表示画面を示す説明図である。
第1実施形態では、プライバシー保護の画像処理として、撮像画像に写る人物の識別性を低減する画像処理(識別性低減処理)を実施するようにしたが、本実施形態では、撮像画像152内の各乗客の人物領域の形状を表すマスク画像153を生成して、撮像画像152内の各乗客の人物領域をマスク画像153に置き換える画像処理を実施する。
また、第1実施形態では、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)を可視化する識別画像として、各乗客の人物領域を取り囲む枠画像143を描画して、枠画像143の表示形態(表示色)を変更することで、座席利用情報(不正乗車か否か)を可視化するようにしたが、本実施形態では、マスク画像153が識別画像となり、このマスク画像153の表示形態(表示色)を変更することで座席利用情報を可視化するようにしている。
図11(A)に示す例では、全ての乗客を対象にしてプライバシー保護の画像処理が実施されており、全ての乗客がマスク画像153で表示されている。この場合、マスク画像153の表示態様を変更することで、座席ごとの利用状況(不正乗車か否か)が可視化され、図11(A)に示す例では、マスク画像153の表示色で、座席ごとの不正乗車の有無が表現されており、例えば、不正な乗客ではマスク画像153が赤色で表示され、正当な乗客ではマスク画像153が緑色で表示される。
図11(B)に示す例では、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理が実施されており、正当な乗客が所定の表示色(例えば青色)のマスク画像153で表示されている。一方、不正な乗客にはプライバシー保護の画像処理が実施されず、不正な乗客の人物領域では撮像画像152がそのまま表示される。
次に、第2実施形態に係るカメラ1およびサーバ装置2の機能的な構成について説明する。図12は、カメラ1およびサーバ装置2の機能ブロック図である。
カメラ1の制御部12は、第1実施形態(図9参照)と同様であるが、人物検出部42では、人物検出情報として、撮像画像内における各乗客の人物領域の位置情報を出力し、この人物領域の位置情報および撮像画像が通信部14からサーバ装置2に送信される。
サーバ装置2の制御部21は、第1実施形態(図9参照)と略同様であるが、モニタリング画像生成部58の構成が第1実施形態と異なり、モニタリング画像生成部58は、マスク画像生成部65と、画像合成部63と、を備えている。
マスク画像生成部65では、人物検出情報取得部52でカメラ1から取得した人物検出情報(人物領域の位置情報)と、座席利用情報取得部で取得した各座席の座席利用情報(不正か否か)と、に基づいて、各乗客のマスク画像153を生成する。このとき、まず、人物領域の位置情報に基づいて人物領域の輪郭線を取得し、次に、座席利用情報に応じた表示色で輪郭線の内部を塗りつぶすことで、撮像画像内の各乗客の人物領域に対応する輪郭を有するマスク画像153が生成される。
ここで、図11(A)に示したように、全ての乗客を対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、全ての乗客について、座席利用情報に応じた表示色のマスク画像153を生成する。一方、図11(B)に示したように、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、正当な乗客についてのみ、所定の表示色のマスク画像153を生成する。
画像合成部63では、カメラ画像取得部51でカメラ1から取得した撮像画像内の人物領域を、マスク画像生成部65で生成したマスク画像153に置き換える画像合成を行って、モニタリング画像を生成する。
なお、マスク画像153は、背景が透けて見える透過状態で表示するようにしてもよく、この場合には、動体除去画像生成部41で生成した動体除去画像(背景画像)がカメラ1からサーバ装置2に送信され、マスク画像生成部65において、動体除去画像に基づいて、透過状態のマスク画像153を生成する。
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。図13は、第2実施形態の変形例に係るカメラ1およびサーバ装置2の機能ブロック図である。
第2実施形態では、サーバ装置2がマスク画像生成部65を備えていたが、この変形例では、カメラ1がマスク画像生成部46を備えている。このカメラ1のマスク画像生成部46では、人物検出部42で取得した人物領域の位置情報に基づいて、各乗客のマスク画像を生成する。
ここで、図11(A)に示したように、全ての乗客を対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、カメラ1のマスク画像生成部46において、各乗客について、2種類(色違い)のマスク画像、すなわち、正当な乗客を表す第1のマスク画像と、不正な乗客を表す第2のマスク画像とを生成してサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2のマスク画像選択部66において、座席利用情報取得部55で取得した各座席の座席利用情報に基づいて、各乗客について第1のマスク画像と第2のマスク画像とのいずれかを選択する。そして、画像合成部63において、撮像画像内の各乗客の人物領域を、マスク画像選択部66で選択された各乗客のマスク画像に置換する画像合成を行う。
一方、図11(B)に示したように、正当な乗客のみを対象にしてプライバシー保護の画像処理を実施する場合には、カメラ1のマスク画像生成部46において、各乗客について1種類のマスク画像を生成してサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2のマスク画像選択部66において、正当な乗客のマスク画像を選択して、画像合成部63において、撮像画像内の正当な乗客の人物領域を、マスク画像選択部66で選択されたマスク画像に置換する画像合成を行う。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、前記の実施形態では、自由席で座席利用料が課される座席を対象としたが、指定席を対象としてもよい。この場合、サーバ装置2において、乗客が券売機などにおいて購入した座席指定券に関する座席管理情報を座席管理装置5から取得して、座席管理情報および在席検知の結果に基づき、予約済みの座席、すなわち、販売された座席指定券で指定された座席以外の座席に乗客が在席している場合に、不正乗車と判定すればよい。
また、前記の実施形態では、列車の車内を監視エリアとして、車内に設置された座席の利用状況(不正乗車の状況)を可視化するようにしたが、映画館やスタジアムなどの各種の施設の観客席を監視エリアとしてもよい。このような施設には指定席が設けられており、販売済みの座席指定券で指定された座席以外の座席に利用者が在席している場合には、不正利用と判定することができる。
また、前記の実施形態では、座席ごとの利用の可否、すなわち、利用者が座席を利用する権限があるか否かに関する座席管理情報に基づいて、座席の不正利用を可視化するようにしたが、レストランや喫茶店などの飲食店の店内を監視エリアとして、座席の利用状況を可視化するようにしてもよい。
例えば、レストランにおいて、座席利用情報として、顧客が客席に着席してから、店員が注文を受け付けるまでに要した待ち時間を取得して、モニタリング画像において顧客ごとの枠画像またはマスク画像の表示色を待ち時間に応じて変更することで、顧客ごとの待ち時間の状況を可視化することができる。これにより、待ち時間が長い顧客をユーザが即座に把握することができる。
また、座席利用情報として、客席に着席している顧客が注文した商品に関する情報を取得して、モニタリング画像において顧客ごとの枠画像またはマスク画像の表示色を注文商品に応じて変更することで、顧客ごとの注文の状況を可視化することができる。これにより、客席に着席している顧客がどのような商品を注文したかをユーザが即座に把握することができ、また、特定の商品(例えばコーヒー)に絞り込むことで、その特定の商品を注文した顧客がどの客席に着席しているかをユーザが即座に把握することができる。
また、座席利用情報として、顧客が客席に滞在している滞在時間を取得して、モニタリング画像において顧客ごとの枠画像またはマスク画像の表示色を滞在時間に応じて変更することで、顧客ごとの滞在時間の状況を可視化することができる。これにより、客席に着席している顧客がどの程度滞在しているかをユーザが即座に把握することができ、また、滞在時間が所定のしきい値を超える場合に限定して表示することで、長時間滞在している顧客をユーザが即座に把握することができる。