JP3889036B2 - アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物の改良法 - Google Patents
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Description
本発明は、特定のアルキルエステルスルホン酸カリウムおよびアルキルエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤組成物、特にα−スルホン化脂肪酸メチルエステル界面活性剤組成物の純度および色を改良することに関する。本方法は、暗色不純物、有機および無機塩、二塩(disalt)、および石鹸を含む界面活性剤の製造時に生成する不純物を除去し、それによって改善された色を有する高純度界面活性剤組成物を調製することによって、これらの界面活性剤組成物を改良するものである。
背景技術
水性苛性物での脂肪酸エステルスルホン酸の中和によってα−スルホ脂肪酸アルキルエステルのアルカリ金属塩(或いはスルホン化脂肪酸アルキルエステル、アルキルエステルスルホネートなどとも称する)の製造は、周知である。このようなエステルスルホネートは、主として洗浄およびクレンジング剤および製品において界面活性剤として使用されている。
これらのエステルスルホネートを良好な収率で製造するための既知の方法は、暗色不純物、有機および無機塩、および二塩を含む特定の不純物が生成するという問題がある。アルキルエステルスルホネートの原料であるエステルスルホン酸は、脂肪酸エステルをスルホン化することにより、または余り好ましくはなく脂肪酸をスルホン化し且つエステル化することにより得られる。高いスルホン化収率を得るためには、より長い加工時間および/またはより高い温度との組み合わせでの過剰のスルホン化剤が、必要とされる。これらの条件は、暗色不純物および酸形の有機および無機硫酸塩および二塩の生成を含めて望ましくない副反応を生じさせることがある。このようなスルホン化法の例は、米国特許第3,485,856号明細書(ウルフ等)、米国特許第4,695,409号明細書(ピオール等)、および米国特許第4,820,451号明細書(ピオール等)、独国特許出願第3 535 184号明細書(イマムラ等)、特開平2−290842号公報(特願平1−113423号)、および「ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・オイル・ケミスツ・ソサエティ」,52(1975),pp.323−329に記載されている。
美観および他の理由で、暗色エステルスルホネート組成物は、洗浄またはクレンジング剤および製品で直接使用するのに好適ではない。それゆえ、暗色エステルスルホネート生成物は、従来、脱色して、色を淡色化している。典型的には、暗色生成物は、中和前および/または中和後に、過酸化水素、ハイポクロライトなどの水性漂白剤で処理している。このような脱色法は、米国特許第3,159,657号明細書(ウルフ等)、米国特許第3,452,064号明細書(スタイン等)、米国特許第4,547,318号明細書(クロエッツァー等)、米国特許第4,671,900号明細書(シュミット等)、および米国特許第4,874,552号明細書(リヒトラー等)に記載されている。
脱色法における或る固有の問題、特に取扱困難、エステル基の加水分解、および増感剤の生成が認識されてきている。従来、これらの問題は、なかんずく、脱色法自体を最適化することにより、またはより低い色および/またはより少ない不純物を有するエステルスルホネートを与えるためにエステルスルホン化法自体を修正することにより取り扱われてきた。このことは、脱色法と関連づけられる問題を軽減することがあるより温和な脱色条件の使用を可能にする。このような方法は、米国特許第3,997,576号明細書(オゴシ等)、米国特許第4,080,372号明細書(スタイン等)、米国特許第4,547,318号明細書(クロエッツァー等)、および米国特許第4,671,900号明細書(クロエッツァー等)に記載されている。しかしながら、これらの文献のどれも、完全に満足のいくエステルスルホネート界面活性剤の製法を開示するものではない。
脱色の必要なしにアルキルエステルスルホン酸カリウムおよびアルキルエステルスルホン酸マグネシウム組成物の色および純度の改良法が今や発見された。より詳細には、淡色高純度アルキルエステルスルホネート界面活性剤が、水および暗色アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物を含む混合物から分離できることが発見された。エステルスルホネート界面活性剤組成物および水を含む混合物の調製時において、暗色不純物を含む不純物が可溶化し且つアルキルエステルスルホネート界面活性剤が混合物から分離され且つ回収されて、改善された色、即ち、淡色を有する製品を調製することができる。回収された界面活性剤は、改善された純度も有し、即ち、回収された界面活性剤は少量の有機および無機塩、二塩および石鹸不純物を含有する。この方法は、改善された界面活性剤臭を有するエステルスルホネート界面活性剤も提供する。
発明の開示
本発明は、アルキルエステルスルホネート(以下エステルスルホネート)界面活性剤組成物(該界面活性剤組成物は
(i)一般式
(式中、(1)Mがカリウムである時にはRは平均してC10〜C22、好ましくはC14〜C16アルキルであり、R1は平均してC1〜C8、好ましくはC1アルキルであり、nは1であり;または(2)Mがマグネシウムである時にはRは平均してC14〜C22、好ましくはC14〜C16アルキルであり、R1は平均してC1〜C8、好ましくはC1アルキルであり、nは2である)を有するアルキルエステルスルホネート界面活性剤;および
(ii)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤の製造時に生成する不純物
を含む)を改良するにあたり、
(1)(a)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物;および
(b)前記不純物を実質上可溶化するのに十分な量の水
を含む混合物を調製し;
(2)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤を前記混合物から分離する
ことを特徴とするアルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物の新規の改良法を含有する。
本発明は、メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤組成物の色および純度を改良するのに特に有意である。本発明の新規の方法の得られる生成物は、良好な色品質を示し、即ち、少量の暗色不純物を含有し且つまた石鹸、有機および無機硫酸塩、二塩などを含めて減少量の他の望ましくない不純物を含有する。
発明を実施するための最良の形態
本発明によって色および純度が改良されるエステルスルホネート界面活性剤組成物は、一般式(I)
(式中、Mがカリウムである時にはRは平均してC10〜C22線状または分枝アルキル鎖であり、R1は平均してC1〜C8アルキルであり、nは1であり;またはMがマグネシウムである時にはRは平均してC14〜C22線状または分枝状アルキル鎖であり、R1は平均してC1〜C8アルキルであり、nは2である)
を有するエステルスルホネートを含む。
特に有用なエステルスルホネートは、R1が−CH3であるもの、即ち、メチルエステルスルホネート、より特にRが平均してC14〜C16であるメチルエステルスルホネートである。本法は、これらの好ましいメチルエステルスルホネート、特にC16〜C18メチルエステルスルホン酸カリウムの色および純度を改良する際に特に有用である。
エステルスルホネートの疎水部分はα位にスルホネート基を有し、即ち、スルホネート基はカルボニル基に隣接する炭素原子に配置される。エステルスルホネートのR部分に対応する疎水部分のアルキル部分は、平均してカリウム界面活性剤の場合にはC10〜C22アルキルであり、マグネシウム界面活性剤の場合にはC14〜C22アルキルである。好ましくは、この疎水部分のアルキル部分Rは、特にR1が−CH3である時には、平均して飽和直鎖C14〜C16炭化水素である。
スルホン化アルキルエステルのエステル部分を構成するR1は、平均してC1〜C8アルキルである。好ましくは、R1は、平均してC1〜C6アルキル、最も好ましくはC1アルキル、即ち、メチルである。
一緒に考える時には、ヘビーデューティー粒状洗濯洗剤組成物の場合には、RおよびR1は、好ましくは、それらの間に分布された合計約15〜17個の炭素を有する。好ましくは、分布は、Rが平均してC14〜C16アルキルであり且つR1がメチルであるようなものである。ヘビーデューティー液体洗濯およびライトデューティー液体皿洗い洗剤組成物の場合には、RおよびR1は、好ましくは、合計約11〜15個の炭素を有する。
陽イオン部分Mは、カリウムまたはマグネシウムである。一般に、陽イオンは、アルキルエステルスルホン酸カリウムまたはアルキルエステルスルホン酸マグネシウムを生成するようにエステルスルホン酸を中和するために使用する薬剤から得られる。
エステルスルホネートの原料であるエステルスルホン酸は、天然または合成脂肪酸をスルホン化し、次いで、エステル化することにより、または合成脂肪酸エステルをスルホン化することにより得ることができる。商業的な理由で、エステルスルホン酸は、好ましくは、脂肪酸エステルをスルホン化することによって製造する。
好適な脂肪酸エステルは、非分枝C6〜C24カルボン酸およびC1〜C8アルコールから誘導できる。経済的な見地から、市販の脂肪酸のメチルエステルが好ましい。パーム核油、ヤシ油またはタロー油からのメチルエステルは、使用してもよい。好ましくは、脂肪酸エステルは、IV価(ヨウ素価)が約3.0以下、最も好ましくは約0.5以下であるような程度水素添加する。その理由は、スルホン化法が脂肪酸エステル中の不飽和およびスルホン化用の比較的苛酷な要件(過剰のSO3、温度、時間など)のため暗色不純物を生ずるからである。本法は、低品位(より高いIV価)脂肪酸エステルをこのようなスルホン化法で使用することを可能にする。より高いIV価脂肪酸エステルは、多量の色体(color body)(暗色不純物)のスルホン化法から生ずるが、本法は、これらの色体を除去する能力を与える。低品位脂肪酸エステルは、高品位脂肪酸エステルより高価ではないので、本法は、より安価な原料、即ち、低品位脂肪酸エステルを特に高品位脂肪酸エステルがローカル供給者から入手できない地域で使用することを可能にすることによって経済的な利点を与える。
好適な脂肪酸エステルの例としては、限定するものではないが、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、水素添加タロー脂肪酸メチルエステル、水素添加タロー脂肪酸エチルエステル、水素添加ココ脂肪酸メチルエステル、水素添加ココ脂肪酸エチルエステル、水素添加パーム脂肪酸メチルエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。水素添加タロー脂肪酸メチルエステル、水素添加パーム油脂肪酸メチルエステル、水素添加ヤシ油脂肪酸メチルエステル、およびそれらの混合物が、好ましい。
脂肪酸エステルは、既知の方法により、例えば、流下フィルムまたはバッチスルホン化によりスルホ脂肪酸エステルにスルホン化できる。好適なスルホン化剤としては、無水SO3、窒素または乾燥空気で希釈されたSO3などが挙げられる。一例として、C8〜C20カルボン酸の線状エステルは、「ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・オイル・ケミスツ・ソサエティ」,52(1975),pp.323−329に開示の方法に従ってガス状SO3でスルホン化できる。
脂肪酸エステルのスルホン化は、特に低品位高IV価脂肪酸エステルをスルホン化法で原料として利用するならば、エステルスルホン酸エステル生成物中の暗色不純物の生成を生ずることがある。陽イオンMを与える薬剤でのエステルスルホン酸の中和は、これらの暗色不純物を含むエステルスルホネート界面活性剤組成物を生成する。一般に、より高いIV価を有する脂肪酸エステルは、界面活性剤組成物中により多くのより暗色体を有するエステルスルホネートを生ずる。追加的に、カリウム陽イオンでのエステルスルホン酸の中和は、スルホン酸を例えばナトリウム陽イオンで中和する場合より淡色エステルスルホネート界面活性剤組成物を生成させることが見出された。
エステルスルホネート界面活性剤組成物の調製は、カリウムまたはマグネシウムの硫酸塩およびメチル硫酸塩、およびα−スルホ脂肪酸二塩を含めて石鹸および有機または無機硫酸塩などの他の望ましくない不純物をも生じさせることがある。
α−スルホ脂肪酸二塩不純物は、スルホン化脂肪酸塩からなる。例えば、カリウム二塩は、式
を有する。
理論によって制限しようとするものではないが、酸形の二塩〔二酸(di-acid)〕は加水分解反応によって水の存在下で生成すると理論化される。スルホン化プロセス時に、脂肪酸アルキルエステルの一部分は、三酸化硫黄SO3と反応して、混合無水物と通常呼ばれるものを生成する。混合無水物は、水と反応して加水分解反応で二酸を生成する。別の加水分解反応においては、非中和スルホン化脂肪酸アルキルエステルは、水と反応して二酸を生成する。これらの二酸は、中和時に二塩を生成する。二塩は、中和工程時に混合無水物と塩基/水との直接反応によって生成してもよい。多量の二塩の生成も、バッチ型中和プロセス工程時に観察された。J.ファルベ編の「消費製品における界面活性剤」第75頁〜第80頁(スプリンガー−フェルラーグ、1986)参照。
脂肪酸塩不純物(通常石鹸と称する)は、式(RCH2COO−)nMn+の脂肪酸塩からなる。石鹸は、加水分解反応(非スルホン化脂肪酸アルキルエステルが水を反応して脂肪酸を生成する)によって生成すると考えられる。脂肪酸は、その後、中和時に石鹸を生成する。
前記不純物に加えて、硫酸塩およびアルキル硫酸塩を含めて他の不純物は、中和ペーストに存在することがある。これらの硫酸塩およびアルキル硫酸塩は、後のプロセス工程における他の反応体または生成物と共にスルホン化プロセスで使用する過剰のSO3を包含する反応の結果として生成すると考えられる。
工程(1)における混合物の一部分を構成する界面活性剤組成物は、アルキルエステルスルホン酸カリウムまたはアルキルエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤およびエステルスルホネート界面活性剤の製造時に生成する不純物を含む。これらの不純物の量を最小限に保つことが重要である。界面活性剤組成物中の不純物含量の減少は、洗剤組成物の性能および処方融通性を改善する。これらの不純物は、界面活性剤に存在する時には、洗剤組成物の場合に望ましいクリーニング特性を減少させる(不純物なしの界面活性剤を含有する組成物と比較して)。暗色不純物は、エステルスルホネート界面活性剤を美観的に許容できなくさせる。
本発明によれば、エステルスルホネート界面活性剤は、これらの不純物から分離して、有意に淡色および高純度を有する生成物を与えることができる。本発明の方法は、
(1)水およびエステルスルホネート界面活性剤組成物を含む混合物を調製し;
(2)アルキルエステルスルホネート界面活性剤を混合物から分離する
2つの必須工程を含む。
プロセスの第一工程、工程(1)は、暗色エステルスルホネート生成物と水との水性混合物を調製することからなる。混合物を調製することは、一般に、2種の方法の1つによって達成できる:低温可溶化および高温可溶化。低温可溶化下では、調製された混合物は、水、可溶化不純物および主として未溶解エステルスルホネート界面活性剤を含む不均一混合物である。高温可溶化下では、調製された混合物は、水、可溶化不純物および可溶化エステルスルホネート界面活性剤を含む単相均一溶液である。
或る温度および圧力においては、界面活性剤組成物中の不純物は、一般に、水性媒体にエステルスルホン酸カリウムまたはエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤より可溶性である。例えば、周囲圧力でのカリウム界面活性剤の場合には、色体と硫酸塩とメチル硫酸塩と二塩との組み合わせは、約40°F(4.4℃)以上の温度で水に易溶性である。一方、脂肪酸(平均R=10〜12)メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤は、約40°F(4.4℃)と110°F(43.3℃)との間の温度で水に比較的不溶性である。約110°F(43.3℃)より高い温度では、これらのエステルスルホネート界面活性剤は、水に易溶性である。
低温可溶化は、水、未溶解エステルスルホネート界面活性剤および可溶化不純物を含む混合物を調製することからなる。エステルスルホネート界面活性剤組成物と比較して量の十分な水は、実際的な加工温度および圧力で不純物を可溶化するために存在しなければならない。濃度およびプロセス条件は、不純物を実質上可溶化し、最も好ましくは完全に可溶化するように選ばれる。一方、エステルスルホネート界面活性剤は、主として、混合物に未溶解のままである。他の不純物はそれから除去されるが、若干の界面活性剤組成物、例えば、カリウムスルホン化C16〜C18脂肪酸メチルエステル界面活性剤組成物は、約120°F(48.9℃)以下の温度では色を改善することがより困難であることがある。好適な可溶化条件の選択は、当業者の能力の範囲内であるとみなされる。しかしながら、水対エステルスルホネート界面活性剤組成物の重量比は、一般に、周囲圧力および約40°F(4.4℃)〜約120°F(48.9℃)の温度で約20:1から約3:1、好ましくは約15:1から約4:1、最も好ましくは約10:1から約5:1であろう。好ましくは、若干の剪断は、混合物に適用して不純物、特にエステルスルホネート界面活性剤の粒子間にトラップされる暗色不純物の可溶化を容易にする。この剪断は、懸濁に適当な各種の混合装置、例えば、攪拌機、粉砕機などによって与えることができる。水対界面活性剤組成物のより高い比率(20:1より高い比率)は、使用できるが、多分、商業的プラクティスでより有効または効率的ではない。
高温可溶化は、水、実質上溶存エステルスルホネート界面活性剤および可溶化不純物を含む混合物を調製することからなる。エステルスルホネート界面活性剤組成物と比較して量の十分な水は、実際的な加工温度および圧力で不純物およびエステルスルホネート界面活性剤を可溶化するために存在しなければならない。濃度およびプロセス条件は、アルキルエステル界面活性剤の分離前にエステルスルホネート界面活性剤および不純物を実質上溶解し、最も好ましくは全く溶解するように選ばれる。好適な可溶化条件の選択は、当業者の能力の範囲内であるとみなされる。しかしながら、不純物およびエステルスルホネート界面活性剤組成物を可溶化するのに必要とされる水の量は、周囲圧力および約110°F(43.3℃)〜約180°F(82.2℃)の温度での水対エステルスルホネート界面活性剤組成物の重量比約20:1から3:1、好ましくは15:1から4:1、最も好ましくは10:1から5:1に対応する。水対エステルスルホネート界面活性剤組成物のより高い比率(20:1より高い比率)は、使用できるが、多分、商業的プラクティスでより有効または効率的ではない。
それゆえ、方法の工程(1)で調製された混合物は、高温または低温可溶化工程のどちらを利用する利用するかに応じて均一(単相)混合物または不均一混合物のいずれかであることができる。
方法の好ましい態様は、不純物およびエステルスルホネート界面活性剤、即ち、全体としてエステルスルホネート界面活性剤組成物が水に完全に溶解または可溶化されている均一混合物を調製する。アルキルエステルスルホネート界面活性剤は、クラフト点以下では最小にだけ可溶性であるので、混合物の温度は、ブレンドされたエステルスルホネート界面活性剤のクラフト点以上の温度に上げなければならない。例えば、パームステアリン(平均R=14〜16)メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤の場合には、メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤組成物を含有する混合物の温度は、均一溶液を調製するために約120°F(48.9℃)以上、好ましくは約120°F(48.9℃)〜180°F(82.2℃)の温度に上げなければならない。エステルスルホネート界面活性剤組成物の両成分、即ち、エステルスルホネート界面活性剤および不純物は、ブレンドされた界面活性剤のクラフト点以上の温度で易溶性であるので、一般に、単相溶液を調製するのに必要とされる剪断より多い剪断を均一系に適用する必要はない。
不純物を可溶化するのに必要とされる水の量は、ここで更に論ずるエステルスルホネート界面活性剤組成物を調製するためのエステルスルホン酸の中和前、中和時および中和後の時点のどこでも、またはこれらすべてにおいて添加できる。有利には、水の若干またはすべてを、中和時に加える。酸ミックスの中和時に調製するエステルスルホン酸カリウムまたはエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤ペーストは、比較的低い粘度を有する。それゆえ、標準の装置は、酸ミックスの中和を達成するために使用できる。対照的に、水性媒体中の中和時に調製するエステルスルホン酸ナトリウム界面活性剤ペーストは、極めて粘稠であり且つしばしば特殊な装置または操作技術を必要とする。
水と1種以上の他の溶媒との溶液が不純物を実質上溶解することができ且つエステルスルホネート界面活性剤が適当なプロセス条件下で可溶化不純物を含有する混合物から分離することができるならば、他の溶媒は、混合物を調製するために水と併用できる。水と追加の溶媒との溶液を使用する時には、水対他の溶媒の比率は、約3:1より高く、好ましくは約10:1より高く、最も好ましくは約30:1より高い。本発明の商業的に関連する溶媒は、低級(C1〜C8アルコールおよび特にメタノールである。本発明の方法前の或るプロセスまたは工程は、エステルスルホネート界面活性剤組成物中に或る量のこのような溶媒を生ずるであろう(以下参照)。本発明の方法は、界面活性剤組成物に存在する水混和性溶媒の実質上すべてを除去するであろう。
本発明の特に好ましい態様によれば、或るプロセスまたはプロセス工程は、後述のように行う。
脂肪酸アルキルエステルをエステルスルホン酸に転化するスルホン化法直後に、スルホン化法の生成物は、C1〜C8アルコール約3〜20重量%と反応させる。好ましくは、スルホン化反応の生成物流は、C1〜C8アルコール約10重量%以下、最も好ましくは約7重量%以下と反応させる。好ましくは、アルコールの少なくとも一部分は、中和前にエステルスルホン酸と混合する。エステルスルホン酸をアルコールと予備混合または反応させることによって、アルコールとの反応を行わない系と比較して減少量の脂肪酸二塩が中和時に生成することが技術上(例えば、セキグチ等の米国特許第4,404,143号明細書およびカン等の同時係属米国特許出願第07/944,854号明細書参照)で示されている。例えば、メタノールは脂肪酸エステルのスルホン化時に生成した混合無水物と反応して酸形のエステルスルホネートおよびメチルサルフェートを製造し、それによって酸形の二塩の生成を限定すると理論づけられる。本発明は、その後に、少ない残留量の水混和性アルコールおよびアルコール反応工程時に生成し且つ界面活性剤組成物に存在するアルキルサルフェート不純物を除去する。
本法は、本法を前記アルコール温浸(digestion)法と共に行う時には、エステルスルホネート界面活性剤の他の製法以上の利点を与える。本法は、追加のプロセス工程を必要とせずに実質量の残留アルコールを界面活性剤から除去する手段を与える。他の方法は、別個のアルコール除去工程、例えば、潜在的に危険な高価な方法であるアルコールフラッシング法を必要とする。水および或る低級アルコールは完全に混和性の液体であるので、このような低級アルコールの大部分(すべてではないとしても)は、本法の工程(2)で界面活性剤から除去されて、ほとんどまたは何もアルコール含量を有していない淡色の高純度アルキルエステルスルホン酸カリウムまたはアルキルエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤を残すであろう。
他の好ましい態様によれば、エステルスルホン酸の中和は、水性媒体中または低級(C1〜C8)アルコールの実質上無水の媒体中のいずれかで、それぞれカリウム界面活性剤またはマグネシウム界面活性剤の場合にはカリウムアルカリ性塩またはマグネシウムアルカリ性塩を使用して行う。これらのアルカリ性塩としては、KOH、KOCH3、K2CO3、およびKHCO3、またはMg(OH)2、Mg(OCH3)2、Mg(CO3)4・Mg(OH)2・5H2Oなどのマグネシウム塩が挙げられる。最も好ましい態様は、水性水酸化カリウムまたは水酸化マグネシウムを使用してのスルホン酸の中和を包含する。スルホン酸をアルキルエステルスルホネートのカリウム塩に中和することによって、アルキルエステルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルエステルスルホネートの他の塩より淡色生成物が生ずる。追加的に、この反応は、発熱的であり且つ生成物流(エステルスルホネート界面活性剤組成物および水)の温度を約120°F(48.9℃)以上に上げるのに十分な熱を与えることがある。それゆえ、この水性中和法工程からの生成物流は、本発明の第一工程で直接使用してもよい。好ましくは、中和工程からの生成物流のワークアップは、必要とされず且つ生成物流は、界面活性剤組成物と水とを含有する単相不均一溶液〔溶液は約120〜180°F(48.9〜82.2℃)の温度を有する〕からなる。
得られた中和エステルスルホネート界面活性剤組成物を溶解するのに十分な水の量は、好ましい中和工程で使用できる。追加の水は、分離法を改善するために必要に応じて中和後に添加できる。
本発明の方法の第二工程、工程(2)は、エステルスルホネート界面活性剤を工程(1)で調製された混合物から分離する工程からなる。
低温可溶化系の場合には、分離は、常法、例えば、沈降/清澄、遠心分離、濾過またはそれらの組み合わせによって達成できる。高温可溶化系の場合には、分離は、エステルスルホネート界面活性剤を均一溶液から沈殿した後、沈降/清澄、遠心分離、濾過またはそれらの組み合わせを施すことからなる。使用する1種以上の特定の分離法は、多数の因子、例えば、水対沈殿固形分の比率および水に可溶性または懸濁性であるものと比較しての水に不溶性である不純物の割合に依存するであろう。
沈殿は、不純物が可溶性のままである限りは、均一溶液(混合物)の温度を、エステルスルホネート界面活性剤が水に比較的不溶性であるが不純物がそこに可溶性のままで温度、即ち、ブレンドされたアルキルエステル界面活性剤のクラフト点以下に抑えて下げることによって達成する。好適な沈殿条件の選択は、当業者の能力の範囲内であるとみなされる。例えば、周囲圧力でのカリウム界面活性剤(R=C14〜16、R1=C1)の場合には、溶液は、約110°F(43.3℃)〜約50°F(10℃)の温度に冷却する。マグネシウム界面活性剤(R=C14〜16、R1=C1)の場合には、溶液は、約100°F(37.8℃)〜約50°F(10℃)の温度に冷却する。沈殿は、熱を溶液から除去すること、冷水を溶液に加えること、またはそれらの組み合わせによって行うことができる。熱は、プレート/フレーム熱交換器、シェル/チューブ熱交換器などを含めて通常の熱伝達装置によって溶液から除去できる。冷水を溶液に加えることは、界面活性剤を溶液から沈殿するのに追加の装置を必要としないので、より好ましい。
この分離工程時に、エステルスルホネート界面活性剤は、溶液から沈殿する一方、有意量の暗色不純物および他の不純物、例えば、石鹸、有機および無機サルフェート、二塩などは、水に溶けたままである。エステルスルホネート界面活性剤が沈殿した時に、若干量の暗色不純物および他の不純物は、界面活性剤と共に沈殿することがある。このような不純物は、界面活性剤に吸蔵または同伴されることがある。それゆえ、界面活性剤の追加の加工は、消費洗剤製品で使用するのに十分な程改善された界面活性剤を得るために必要とされることがある。例えば、エステルスルホネート界面活性剤の所望の色品質および純度が達成されるまで、エステルスルホネート界面活性剤組成物は、工程(2)の生成物流を工程(1)へのフロー流として使用して、繰り返してプロセスを通して走行してもよい。追加の洗浄も、有益であることがある。
清澄は、単純な重力によって達成できる。工業規模では、回転すき、レーキなどの通常の装置の使用は、分離を助長するために使用できる。遠心分離は、沈降界面活性剤生成物からの上澄みの傾瀉を含めてバッチ法または連続法のいずれかによって行うことができる。清澄した後の洗浄との組み合わせた遠心分離が、通常、使用できる。向流上澄み洗浄法を使用する一連の遠心機が、特に望ましい。
濾過は、通常の濾過器によって行うことができる。例えば、実験室規模では、紙または吸収性濾過器を通しての濾過が、好適である。工業規模では、好適な濾過装置としては、プレート/フレームまたはシェル/リーフ構造の圧力濾過器、または回転ドラムまたはディスク型の圧力濾過器;回転ドラムまたはディスク型の真空または吸引濾過器;エッジ濾過器;清澄濾過器などが挙げられる。洗浄との組み合わせでの濾過が、有用に使用できる。
方法の工程(2)時に調製された上澄み液体(エステルスルホネート界面活性剤を工程(1)の混合物から分離した後)は、水および前記不純物の混合物からなる。可溶化色体、有機塩、無機塩および二塩不純物を含有するこの暗色溶液は、凝集、沈降、溶存空気浮選(DAF)、炭素処理、通気、紫外線処理、またはそれらの組み合わせを含めて通常の水処理法によって処理して、固形物を除去し且つ水を一体システムで再使用可能にさせてもよい。水から分離された固形物(またはスラッジ)は、一般に、濃縮不純物の若干またはすべてを含む。
本法の追加の任意工程、工程(3)は、エステルスルホネート界面活性剤を工程(2)で調製された混合物から回収する工程からなる。このような回収法としては、例えば、得られる界面活性剤生成物に含有される本質上すべてまたはいずれかの残留水の蒸発が挙げられる。蒸発は、常圧または減圧下で(加熱の有無)生じて固体または溶融エステルスルホネート生成物を生じてもよく、この固体または溶融エステルスルホネート生成物は既知の方法によって所望の形、例えば、粉末、フレーク、厚切れまたは粒状物に加工できる。
工業規模で、水および存在してもよい他の溶媒は、混合物を加熱し、水(および、存在するならば、溶媒)をフラッシングまたは蒸発することによって除去できる。このことは、常法、例えば、噴霧乾燥、常圧フラッシュ乾燥、真空フラッシュ乾燥、ドラム乾燥、拭き取りまたは輸送フィルム蒸発、またはそれらの組み合わせを含めて好適な方法によって行うことができる。噴霧乾燥は、粉末形または粒状形のエステルスルホネート界面活性剤を直接生成するために使用できる。他の方法は、厚切れ、ヌードルまたは大粒状形のエステルスルホネート生成物を生成し、このエステルスルホネート生成物は既知の方法によって所望の形に更に加工でき、例えば、ミル処理して粒状形とし、またはフレーク化し、次いで、寸断またはミル処理して粒状形にすることができる。エステルスルホネート界面活性剤を回収するために除去される水は、ここに記載の水添加工程のいずれかでの再使用のために凝縮し、回収し且つ再循環できる。
分離工程(2)および回収工程(3)は、所望ならば、同時に行うことができる。例えば、不均一混合物は、任意の洗浄下に圧力濾過器または遠心機を通過でき、そこで界面活性剤は本質上同時に分離し且つ回収する。エステルスルホネート界面活性剤は、ペースト形で或る量の水と共に回収し、他の洗剤成分での凝集法において直接使用して洗剤粒状物を調製することもできる。
本法の結果として、改善された純度のエステルスルホン酸カリウムおよびエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤が、得られる。本法は、改善された色の界面活性剤も生ずる。色のこの改善は、2つの方法で測定できる:界面活性剤自体の色改善(ハンターL数の増大および/またはハンターaおよびb数の絶対値の減少で示される)または洗浄水中の界面活性剤の色改善(クレット色数の減少で示される)。本法が界面活性剤組成物をプロセスに数回走行することを包含する場合には、得られる製品は、色が白色に近く、余り不純物を含有せず且つクレンジングおよび洗浄剤および製品で直接使用できる。
本法は、原料およびスルホン化のプロセス条件のより大きい融通性を更に可能にする。暗色不純物の生成を生ずることがある不純物自体のより大きい程度を有する出発物質、またはエステルスルホネートへのより高い転化率を得るための加工条件は、脱色の必要と従来関連づけられる関心事なしで使用してもよい。暗色不純物の生成を生ずることがある不純物は、技術上既知であり、それらとしては、オキソ化合物、グリセリン、グリセリド(モノ−、ジ−、トリ−)および不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。脱色の必要を回避することによって、本法は、増感剤、例えば、D.コナー等のアルキルエトキシサルフェート中の増感剤としての或るスルトンの同定、「Fette Seifen Anstrichmittel」77,25−29(1975)に記載のものの生成を回避することもある。
本発明の方法によって得られるエステルスルホネート界面活性剤生成物は、クレンジングおよび洗浄剤および製品用活性成分として有用であり且つ他の界面活性剤との混合物で使用できる。例えば、洗剤組成物においては、好適な補助界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、双性界面活性剤または両性界面活性剤が挙げられる。洗剤処方物で常用されている他の成分も、使用してもよい。このような成分としては、ビルダー、酵素、漂白剤および活性剤、防汚剤、キレート化剤、汚れ除去剤および再付着防止剤、分散剤、増白剤、抑泡剤などとして一般に使用されているものが挙げられる。或いは、エステルスルホン酸カリウムおよびエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤は、他の塩、例えば、ナトリウム塩との対イオン交換によって、低い洗浄温度で可溶化することがある。
下記の非限定例は、本発明を例示し且つその理解を容易にする。ここですべての部および%は、特に断らない限り、重量基準である。固体の場合にはL、a、b読みを与えるハンター比色計、または液体の場合には400〜450nmでのクレット−サマーソン光電気比色計(モデル900−3)を使用して、すべての色測定を行った。
例I
エステルスルホン酸をパームステアリン脂肪酸メチルエステルの通常のスルホン化によって製造する。メチルエステルの酸成分は、本質上ヨウ素価0.28および下記の鎖長分布(重量%)
C12 0.2
C14 1.5
C16 65.4
C18 32.2
C20 0.7
を有する飽和脂肪酸からなる。
三酸化硫黄と空気との混合物(SO3含量:5容量%;SO3過剰:25モル%)を使用して、スルホン化反応を環状流下フィルム反応器中で約40℃において行う。次いで、スルホン化メチルエステル酸ミックスを閉じた容器中で80℃〜90℃の温度において35〜40分間温浸する。温浸後のスルホン化度は、約93%である。
次いで、この酸ミックスを酸ミックスの16重量%のメタノールと反応させる。反応をインラインで閉じた容器中で約80℃の温度において40〜50分間行う。得られた酸ミックスは、クレット色(5%)約10,000を有する。
次いで、酸ミックスを約45〜55℃の温度で水中のKOHの10%w/w溶液で中和する。流動性を中和時に維持するために、追加のメタノールを加える。中和生成物の固体分を測定したところ(アリコートをセンコ乾燥することにより)38.5%である。中和生成物の一部分を乾燥し、粉砕して粉末とする。この乾燥試料の色は、L=71.3、a=2.4、b=14.1である。試料の揮発分%は、2〜3%であり(センコ乾燥により)、本質上付随水分からなる。
湿潤中和ペーストの第二部分(181.8gは乾燥固形分70gを含有)を脱イオン水818.2gに加えて、固形分7%w/w混合物を調製する。次いで、この混合物を混合下に165°F(73.9℃)の温度に加熱し、単相均一溶液を調製する。53°F(11.7℃)への冷却時に、溶液は2相混合物を調製する。
混合物を大きい実験室用遠心機中で高い設定値で1時間遠心分離する。遠心分離時に、混合物は、容易に2層に分離する。上層は、暗色水層であり且つ下層は、淡褐色ペースト状スラッジである。次いで、これらの2層を次の通り回収する(脱イオン水の別の30gを加えて、ジャーにくっついている固形分をすすぐ):湿潤スラッジ=569g;暗色液=441g;ガラス製品/チューブ上の損失=20g。
このカリウム中和界面活性剤組成物の一部分(水約500ml中の固形分約45g)を次の通り濾過法によって更に精製する:
水約600mlを界面活性剤組成物に加え、得られた混合物を攪拌して不均一スラリーを調製する。次いで、試料を130°F(54.4℃)に加熱して、界面活性剤組成物を完全に可溶化する。エステルスルホネート界面活性剤は、不均一混合物を調製するために溶液を約70°F(21.1℃)に冷却することによって沈殿する。次いで、混合物をワットマン#40無灰濾紙上での重力濾過によって分離する。水溶性留出物(暗褐色液体)を捕集し、蒸発乾固し、二塩、硫酸カリウム、メチル硫酸カリウムおよび石鹸を含めて多量の不純物を示す。水不溶性画分(沈殿画分)は、濾紙上に残り、捕集する。捕集された沈殿を使用して、このプロセスを繰り返す。各精製法は、可視的に改善された(即ち、より淡い)色の生成物を生成する。方法を4回繰り返すことは、白色のペーストを与える。
得られた生成物を約70°F(21.1℃)において減圧下で乾燥する。乾燥後、白色の微粉末33.3gを単離し、ペースト層を乾燥し、界面活性剤純度、クレット色(計算)およびハンター比色計色について分析する(表1参照)。白色の粉末は、NMR法によって高純度メチルエステルスルホン酸カリウムと特徴づけられる。結果は、回収された界面活性剤の純度の有意の改善を示す。追加的に、色は、生成物の場合に有意に改善される。
例II
例1に記載の方法と実質上同じ方法を使用して、スルホン化メチルエステル酸ミックスを例Iで使用したのと同じパームステアリン脂肪酸メチルエステルストックから調製する。
酸ミックスの中和を濃度10%w/wでメタノールに溶解されたKOHペレットで行う。中和法を連続的な閉ループ主要浴システム中で行う。再循環中和生成物の量対ループから除去された量は、15〜20対1である。酸ミックスおよび塩基を高剪断駆動ミキサー(10,000rpmでのロス・モデルME400L)の剪断帯に正確な割合で同時にポンプ供給して、本質上中性pH6〜8を完成品ペーストで維持する。完成品を10%KOH/メタノール溶液でpH6.9に調整する。
次いで、完成品ペーストを真空オーブン中で35〜40℃において28〜29インチHgの真空下で乾燥する。得られた生成物は、クレット色(水中0.1%溶液)106を有する暗色メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤組成物である。
乾燥界面活性剤粉末の2つの50gの試料を各々室温(72°F、22℃)で脱イオン水約600gに加えて、7.7重量%混合物を調製する。第一混合物(試料2A)を実験室用照明ミキサーで攪拌し、45°F(7℃)に冷却する。一旦45°F(7℃)の温度に達したら、強攪拌を10分間続け、温度を維持する。これらの条件下で、色体は若干可溶化されるが、エステルスルホネート界面活性剤は、不完全に溶解される。
第二混合物(試料2B)を前記のように攪拌下に130°F(54℃)に加熱する。この操作時に、界面活性剤組成物は、完全に溶解される。次いで、溶液を室温に冷却し、次いで、45°F(7℃)に更に冷却する。
次いで、試料2Aおよび2Bをデュポン製ソルバール(Sorvall)モデルSS−3自動遠心機中で11,000rpmで「バッチ遠心分離」に15分間付す。遠心分離後、両方の試料とも2個の別個の層:主として精製エステルスルホネート界面活性剤および同伴液体からなる「ペースト層」および主として水および溶存不純物からなる「液層」に分離する。これらの2層を物理的に分離し、秤量する。
ペースト層を乾燥し、界面活性剤純度、クレット色(計算)およびハンター比色計色について分析する(表2参照)。結果は、回収された界面活性剤の純度の有意の改善を示す。追加的に、色は、試料2Aの場合には有意に改善されないが、試料2Bの場合には有意に改善される。
試料2Aおよび2Bを調製するために使用する乾燥界面活性剤粉末の2つの追加の試料(各々75g)を蒸留水900gに加えて、7.7重量%混合物を調製する。一方の混合物(試料2C)の場合の蒸留水の温度は、88°F(31℃)である。約200〜300rpmで操作する実験室用ロス高剪断ミキサーモデルME100Lで20分間激しく混合しながら、混合物の温度をこの温度に維持する。他方の混合物(試料2D)の場合の蒸留水の温度は、118°F(48℃)である。約200〜300rpmで操作する実験室用ロス高剪断ミキサーモデルME100Lで20分間激しく混合しながら、この混合物の温度を118°F(48℃)に維持する。これらの試料の各々の一部分を前記のデュポンのソルバールバッチ遠心分離法によって精製し、分離し、回収する。遠心分離後、試料の場合の暗色液層の温度は、約90°F(32℃)に平衡する。各試料中のペースト層を乾燥し、クレット色およびハンター比色計色について分析する。結果は、両方の回収された界面活性剤の場合に純度の有意の改善および試料2Dの場合に有意のハンター色改善を示す。結果は、両方の試料(固形分0.1%溶液中の乾燥固形分)の場合にクレット色改善も示す。
例III
メチルエステルスルホン酸カリウム界面活性剤組成物は、通常のスルホン化、温浸および中和法によってC12〜14脂肪酸メチルエステル供給原料から調製する。乾燥後、界面活性剤組成物は、暗色メチルエステルスルホネート界面活性剤組成物である。この界面活性剤組成物は、界面活性剤組成物を高温で攪拌下に脱イオン水に溶解し、冷却し、遠心分離することを包含して前記試料2Bに記載の方法と同じ方法に付す。得られた界面活性剤生成物は、改善された色および純度を示す。
例IV
高ヨウ素価メチルエステル供給原料は、ブレンドされた供給原料が下記の分析および鎖長分布:ヨウ素価=1.9;C12=0.6%;C14=2.8%;C16=65.1%;C18=31.2%;C20=0.3%を有するように各種の鎖長およびヨウ素価を有する数種のストックメチルエステルをブレンドすることによって調製する。それゆえ、メチルエステル出発物質のRは、平均して14.6である。R1は、メチルである。
三酸化硫黄と空気との混合物(SO3含量:5容量%;SO3過剰:40モル%)を使用して、スルホン化反応を環状流下フィルム反応器中で約40℃において行う。次いで、スルホン化メチルエステル酸ミックスを閉じた容器中で87℃の温度において45分間温浸する。スルホン化度は、約90%である。
次いで、温浸酸ミックスを前記例Iに記載のメタノール反応プロセス工程に従って酸ミックスの12重量%のメタノールと反応させる。スルホン化、温浸、メタノールとの反応後、酸ミックスは、クレット色(5%溶液)約31,500を有する。
中和を実験室内で小さいバッチ基準で行う以外は、酸ミックスの中和を前記例IIに記載の中和プロセス工程と同様の方法でメタノールに溶解されたKOHペレットで行う。酸ミックスおよびメタノールを反応器に加え、塩基性KOH/メタノール溶液をロスミキサー(モデル ME100L)の剪断帯にゆっくりと加える。pHが6〜8に上がるまで、中和を続ける。中和後、混合物を真空オーブン中で乾燥して、ハンター色L=63.9、a=2.3、b=11.1を有する乾燥非精製メチルエステルスルホン酸カリウム粉末を調製する。
ここの試料から形成されるペースト層を回収し、水で第二の10%溶液に還元する以外は、中和乾燥界面活性剤粉末を例IIの乾燥界面活性剤粉末試料の方法と同じ方法で可溶化し、遠心分離し、次いで、再び可溶化し、遠心分離する
得られた精製湿潤ペーストを回収し、乾燥し、分析前に粉砕する。表3参照。
例V
例Iに記載の方法と実質上同じ方法を使用して、スルホン化メチルエステル酸ミックスを例Iで使用したのと同じパームステアリン脂肪酸メチルエステルストックから調製する。
酸ミックスの中和をメタノール中の濃度8%w/wでMg(OCH3)2で行う。中和法を小さいバッチ反応器中で行う〔Mg(OCH3)2溶液をロスミキサー(モデルME100L)の剪断帯を介して反応器中の酸ミックスおよび少量のメタノールに連続的に加える〕。中和生成物の最終pH(1%水溶液)は6.7であり且つセンコ固形分は44%である。
この反応の生成物を乾燥して揮発物を除去し、粉砕して乾燥粉末とする。乾燥粉末を濾過漏斗洗浄に付す。メチルエステルスルホン酸マグネシウム界面活性剤を含む乾燥非精製粉末50gを蒸留水450gに加える。混合物を加熱して、粉末を完全に可溶化し、次いで、約80°F(27℃)に冷却し、その際に、沈殿が生じて2相混合物を調製する。2相混合物を濾過して沈殿を濾紙上で回収し、室温の蒸留水で繰り返して洗浄する。回収された沈殿を乾燥し、粉砕して粉末とし、色改善について分析する。表4参照。結果は、得られた界面活性剤生成物の場合の有意な色改善を示す。
Claims (11)
- (i)式
(2)Mがマグネシウムである時にはR1は平均してC14〜C22アルキルであり、Rは平均してC1〜C8アルキルであり、nは2である)のアルキルエステルスルホネート界面活性剤;および
(ii)有機および無機硫酸塩、α−スルホ脂肪酸二塩、石鹸、および暗色不純物を含めて、前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤の製造時に生成する不純物、
を含むアルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物を改良する方法であって、
(1)(a)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物;および
(b)前記不純物を実質上可溶化するのに十分な量の水;
を含む混合物を調製する(ただし、前記混合物の温度は4℃〜43.3℃であり、これによって溶存不純物および実質上未溶解エステルスルホネート界面活性剤を含む不均一な混合物を調製する)工程、並びに、
(2)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤を前記混合物から分離する工程、
を含むことを特徴とする、アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物の改良法。 - 請求項1に記載の方法であって、式中、(1)Mがカリウムである時にはR1は平均してC14〜C16アルキルであり、Rはメチルであり、nは1であり;または、(2)Mがマグネシウムである時にはR1は平均してC14〜C16アルキルであり、Rはメチルであり、nは2である、方法。
- 前記混合物中の水対アルキルエステルスルホネート界面活性剤組成物の重量比は10:1から5:1である、請求項1に記載の方法。
- 工程(2)が、前記エステルスルホネート界面活性剤を工程(1)の前記混合物から沈殿した後、前記界面活性剤の遠心分離または濾過またはそれらの組み合わせを施すか、洗浄との組み合わせで施すことからなる、請求項1に記載の方法。
- (3)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤を回収し、前記界面活性剤を他の洗剤成分で凝集して洗剤粒状物を調製し、またはそれらの組み合わせを施す方法を更に含む、請求項1に記載の方法。
- (3)前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤の回収が、前記界面活性剤に残る水を蒸発する方法である、請求項5に記載の方法。
- 工程(2)および(3)を同時に行う、請求項6に記載の方法。
- 前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤が、エステルスルホン酸を水性媒体または低級アルコールの実質上無水媒体中で式(R2O−)Mn+(式中、R2はHまたはC1〜C8アルキル、Mおよびnは前記の通りである)のアルコキシドで中和することによって得られる、請求項1に記載の方法。
- 前記アルキルエステルスルホネート界面活性剤が、エステルスルホン酸をC1〜C8アルコール3〜20重量%と反応させた後、前記エステルスルホン酸を水性媒体または低級アルコールの実質上無水媒体中で式(R2O−)Mn+ (式中、Mおよびnは前記の通りであり、R2はHまたはC1〜C8アルキルである)のアルコキシドで中和することによって得られる、請求項1に記載の方法。
- 前記界面活性剤組成物が、工程(1)における水対アルコールの重量比が30:1より大きいような量のC1〜C8アルコールを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記スルホン酸が、ヨウ素価0.5未満を有する脂肪酸エステルをスルホン化することによって得られる、請求項1に記載の方法。
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