JPH066720B2 - α−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉末洗剤の製造方法 - Google Patents

α−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉末洗剤の製造方法

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JPH066720B2
JPH066720B2 JP62087991A JP8799187A JPH066720B2 JP H066720 B2 JPH066720 B2 JP H066720B2 JP 62087991 A JP62087991 A JP 62087991A JP 8799187 A JP8799187 A JP 8799187A JP H066720 B2 JPH066720 B2 JP H066720B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高品質のα−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉
末洗剤を安定に製造する方法に関するものである。
〔従来の技術及びその問題点〕
一般式 (式中、Rは炭素数4〜22のアルキル又はアルケニル
基、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノー
ルアミン又はアンモニウム、Aは炭素数1〜4のアルキ
ル基、H又はMを示す)で表されるα−スルホ脂肪酸エ
ステル塩の中和物は、生分解性、耐硬水性が良好であ
り、比較的安価な界面活性剤であるため、粉末洗剤用の
基剤として注目されている。しかしながら、α−スルホ
脂肪酸エステル塩は、酸、アルカリの存在下、或いは高
温下においてエステル結合が加水分解してα−スルホ脂
肪酸となり、洗浄作用が低下することが問題である。
α−スルホ脂肪酸エステル塩を配合した粉末洗剤の保存
中の安定性を改善するために、従来は、特定のアルカリ
剤を使用したり(特開昭52-28507号公報)、或いは安定
剤を配合する方法(特公昭53-28163号公報)が提案され
ている。また、アルカリ剤と接触させることなく噴霧乾
燥する製造方法(特開昭58-47098号公報)で目的を達成
する試みもなされているが、この方法は、乾燥粒子の機
械的強度が弱くて微粉になり易く、製品の品質上問題が
ある。
また、特開昭58-47098号公報に記載中の方法は噴霧され
る界面活性剤濃度が比較的低いために乾燥に要するエネ
ルギーの面で不利な方法である。更には該公報に記載さ
れた方法では、α−スルホ脂肪酸エステル塩成分とアル
カリ剤との接触を避けるために2者を独立に噴霧してい
るが、噴霧位置が近いために、両成分の半乾燥物の融合
による加水分解のおそれがあり、好ましい方法とは言え
ない。
一方、粒状洗剤の製造方法として、界面活性剤を含むス
ラリー成分を噴霧乾燥空間の上部から噴霧し、無機塩成
分を含むスラリー成分を噴霧乾燥空間の下部から上方に
向けて噴霧することによって粒状洗剤の表面状態を改質
する試みがなされている(特開昭53-51212号公報、特開
昭53-57208号公報)。しかしながらこれらの方法は、粒
状洗剤の吸湿固化性、加圧固化性、流動性を改善する目
的とするものである。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上記技術状況のもとで、α−スルホ脂
肪酸エステル塩を含有する高品質の粉末洗剤、即ちエス
テル保持率が高く、変色等のない粉末洗剤を効率良く製
造する方法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、品質が良好なα−スルホ脂肪酸エステル
塩含有粉末洗剤を安定に効率良く製造する方法が未だに
見出されていないという問題点を解決すべき鋭意研究を
重ねた結果、α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和
物を含む成分を噴霧乾燥塔の熱風送風部より下部で上方
に向けてスプレーし、他の成分を噴霧乾燥塔の熱風送風
部の上部で下方に向けてスプレーすることによって上記
の問題点が解決されることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、噴霧乾燥塔内の熱風送風部より下部で
55重量%以上の界面活性有効分を含有するα−スルホ脂
肪酸エステル塩の高濃度中和物を上方に向けて噴霧し、
強アルカリを含有するその他成分のスラリーを熱風送風
部より上部で下方に向けて噴霧することを特徴とするα
−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉末洗剤の製造方法を提
供するものである。
本発明によって、高品質でα−スルホ脂肪酸エステル塩
の保持率の良好なα−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉末
洗剤が効率的に製造される。
本発明の特徴の第1は、55重量%以上の界面活性有効分
を含有するα−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和物
を用いることにある。α−スルホ脂肪酸エステル塩の乾
燥特性は石鹸等の均質材料と同様な乾燥特性を示し、恒
率乾燥期間がほとんどなく、すぐに減率乾燥期間とな
り、水分移動が拡散によるものとなるため非常に乾燥さ
れにくいものである。従って水分含量の少ない高濃度中
和物を噴霧することによって乾燥時間を短縮でき、熱風
との接触による加水分解を極力防ぐことができる。
また、上記高濃度中和物は高粘度であるために、スプレ
ー時に、平均粒径が250μm程度の均一なものとして噴
霧され、従って微粉の生成はほとんどなく、粉末洗剤と
して優れたものが得られるのである。従って、粉末品が
分級して製品の均一化が図れないおそれや、粉末品取り
扱い時に微粉が発生して人体に悪影響を与える等の問題
は全く生じない。
本発明で用いるα−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中
和物は、種々の方法によって製造することができ、例え
ば、α−スルホ脂肪酸エステル塩と疎水基の末端に解離
基を有するアニオン性界面活性剤とを重量比で1/1〜
10/1の比率で混合し、水溶性でその水溶液が中性であ
る無機塩で塩析する方法、また、α−スルホ脂肪酸エス
テル塩の中和物を、水溶性でその水溶液が中性である無
機塩で塩析し、機械力を与えることにより分離する方
法、α−スルホ脂肪酸エステル塩を、中和剤の水酸化ア
ルカリ金属に水溶性でその水溶液が中性である無機塩を
予め混合したもので中和・塩析し、機械力を与えること
によって分離する方法などが挙げられ、いずれも好まし
い方法である。
本発明の特徴の第2は、α−スルホ脂肪酸エステル塩の
高濃度中和物と強アルカリを含むその他成分スラリーの
二者を同一噴霧乾燥塔内に同時に噴霧して乾燥させ、そ
の際、α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和物を熱
風送風部より下部で上方に向けて噴霧し、一方強アルカ
リを含むその他成分スラリーを塔上部から下方に向けて
噴霧することにある。
一般に、噴霧乾燥塔内の静圧条件は若干の負圧(−2〜
6mmHg程度)としており、多くの場合塔底部から冷却空
気を導入して乾燥品の冷却を行っている。本発明者ら
は、この点に着目し、塔下部から流入する気流中にα−
スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和物を噴霧し、該気
流が上方に向かう際熱風送風部から送られてくる熱風に
よって熱せられることを利用してα−スルホ脂肪酸エス
テル塩の高濃度中和物の乾燥を行えば本発明の目的を達
成し得ることを見出した。上記高濃度中和物は水分含量
が通常のものに比して著しく少ないから、少量の熱量
で、しかも短時間で乾燥することが可能であり、下部か
ら流入する気流中にα−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃
度中和物をスプレーすることによって容易に良質の乾燥
品が得られるのである。また、本発明の方法に於いて
は、熱風送風部より下部にα−スルホ脂肪酸エステル塩
の高濃度中和物を噴霧する配管が位置せしめられるか
ら、配管中のα−スルホ脂肪酸エステル塩高濃度中和物
が熱風による温度上昇にさらされることがなく、従って
加水分解のおそれがなく、また、配管上に蓄積した粉末
が高温により炭化したり品質が著しく劣化する等のおそ
れがないため、高エステル保持率で高品質のものが得ら
れるのである。
また、本発明ではα−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度
中和物と、強アルカリを含むその他成分とを2者に分離
し、熱風送風部の上下2方向から噴霧することによっ
て、二者の半乾燥物の融合による加水分解を防ぐことが
でき、高いエステル保持率で高品質のα−スルホ脂肪酸
エステル塩含有粉末洗剤を得ることができるのである。
本発明に用いられる、強アルカリを含有するその他成分
スラリーとは、1%水溶液のpHが10.6以上である強アル
カリを含有するものであり、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナ
トリウム等を含有するものであり、α−スルホ脂肪酸エ
ステル塩以外のアニオン界面活性剤や両性界面活性剤等
を含むことができる。
本発明においては、α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃
度中和物を熱風送風部より下部で上方に向けて噴霧する
が、その際、α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和
物の界面活性有効分は55重量%以上であり、また、その
粘度は、60〜80℃において1000〜30000cpsのものが好ま
しい。また、該高濃度中和物は無機分を含むことが可能
であるが、その量は20重量%以下であることが好まし
い。
本発明に用いるα−スルホ脂肪酸エステル塩としては、
炭素数が6〜24のアルカリ金属塩が最も好ましいもの
である。
また、上記高濃度中和物中の界面活性有効成分と強アル
カリを含有するその他成分スラリー中の固型分との重量
比は1/5〜1/100の場合が最も好ましい。
これらは、噴霧の容易さ、得られる粉末洗剤のエステル
保持率、粉末物性の面から好ましいものである。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではな
い。
実施例1 下記の組成のA成分、B成分(固型分55%)を作成した
(数字は重量部)。
A成分の粘度は60〜80℃で1000〜20000cpsであった。
次いで、噴霧乾燥塔の熱風送風部より下部で上方に向け
てA成分を噴霧し、同時に熱風送風部より上部で下方に
向けてB成分を噴霧し、洗剤粒子を得た。得られた洗剤
粒子の平均粒径は、450μmで、見掛けは比重は0.29g
/mであり、炭化、変色等の無い高品質のものであっ
た。この洗剤粒子93重量部と、炭酸ナトリウム5重量
部、アルミノ珪酸ナトリウム2重量部をVブレンダーで
5分間混合し粉末洗剤を得た。
この様にして得られた洗剤の見掛け比重、流動性、加圧
固化性を測定し、他の実施例、比較例とともに第1表に
示した。また、各実施例、比較例の洗剤のエステル保持
安定性を第2表に示した。
粉末の流動性はJIS K 3362に規定された見掛け比重測定
用のホッパーから、100mの粉末が流出するのに要
する時間を測定し、その時間が短いほど流動性が良いと
判定する。
粉末の加圧固化性は、直径40mmのシリンダ−に15gのサ
ンプルを平均に入れ、ピストンで1kgの荷重をかけて3
分間静置し、円柱状に形成する。成形したサンプルをシ
リンダーから取り出し、それが壊れるのに要する力をレ
オメーター(不動工業株式会社製)によって測定する。
この力を破壊荷重と定義する。破壊荷重の値が小さい
程、その粉末の加圧固化性が小さく、望ましい。
エステルの保存安定性は、10gのサンプルを三進容器
(50cc)に入れ、閉口系5,20,30,40,50℃、開口部40
℃で2週間保存した後、サンプル中のα−スルホ脂肪酸
エステル塩の保持率を次式に従って計算した。
α−SFE:α−スルホ脂肪酸エステル塩の重量部 α−SFE:α−スルホ脂肪酸の重量部 実施例2 下記の組成のA成分、B成分(固型分55%)を作成した
(数字は重量部)。
上記2成分を実施例1と同様に噴霧乾燥して、平均粒径
500μm、見掛け比重0.30g/mの洗剤粒子を得た。
このものは、炭化、変色等のない高品質の粒子であっ
た。この洗剤粒子93重量部と、炭酸ナトリウム5重量
部、アルミノ珪酸ナトリウム2重量部をVブレンダーで
5分間混合し粉末洗剤を得、実施例1と同様の評価を行
った。
比較例1 以下に示す組成のスラリー(固型分55%)を調製し、噴
霧乾燥塔内の熱風送風部より上部で下方に向けて噴霧し
洗剤粒子を得た。
得られた洗剤粒子の平均粒径は600μmで見掛け比重は
0.16g/mであった。この洗剤粒子83重量部と炭酸ナ
トリウム9重量部、珪酸ナトリウム6重量部、アルミノ
珪酸ナトリウム2重量部をVブレンダーで5分間混合し
粉末洗剤を得、実施例同様の評価を行った。
比較例2 実施例1で用いたのと同組成のA,B成分の両者を独立
に熱風送風部の上部から下方に向けて同時に噴霧し、平
均粒径500μm、見掛け比重0.28g/mの洗剤粒子を
得た。この洗剤粒子93重量部と炭酸ナトリウム5重量
部、アルミナ珪酸ナトリウム2重量部をVブレンダーで
5分間混合し粉末洗剤を得、実施例同様の評価を行っ
た。
(発明の効果) 実施例においても具体的に示したように、本発明によっ
て高品質でα−スルホ脂肪酸エステル塩の保持率の良好
なα−スルホ脂肪酸エステル塩含有粉末洗剤が効率的に
製造される。
即ち、噴霧時間の短縮、熱による加水分解の回避、アル
カリ成分とα−スルホ脂肪酸エステル塩との接触による
加水分解の回避、噴霧の容易さ等種々の効果がもたらさ
れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】噴霧乾燥塔内の熱風送風部より下部で55重
    量%以上の界面活性有効分を含有するα−スルホ脂肪酸
    エステル塩の高濃度中和物を上方に向けて噴霧し、強ア
    ルカリを含有するその他成分のスラリーを熱風送風部よ
    り上部で下方に向けて噴霧することを特徴とするα−ス
    ルホ脂肪酸エステル塩含有粉末洗剤の製造方法。
  2. 【請求項2】α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和
    物が60〜80℃において1000〜30000cpsの粘度を有するも
    のである特許請求の範囲第1項記載の製造方法。
  3. 【請求項3】α−スルホ脂肪酸エステル塩が炭素数6〜
    24のアルカリ金属塩である特許請求の範囲第1項記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度中和
    物の無機分含量が20重量%以下である特許請求の範囲第
    1項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】(A)α−スルホ脂肪酸エステル塩の高濃度
    中和物の界面活性有効分と、(B)強アルカリを含有する
    その他成分スラリー中の固型分との重量比が、(A)/(B)
    =1/5〜1/100である特許請求の範囲第1項記載の
    製造方法。
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