JP3587839B2 - ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法 - Google Patents
ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法、詳しくは、細菌、かび、酵母、藻の防除剤として用いられる微生物防除剤の有効成分であるビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種の工業製品には、細菌、かび、酵母、藻などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因となっている。そのため、このような有害微生物の繁殖を防除するために、抗菌、防かび、防腐、防藻効果を発現する種々の微生物防除剤が広く使用されている。
【0003】
また、このような微生物防除剤として、近年、例えば、特開平9−110692号公報、特開平10−95773号公報、特開平10−287566号公報、特開2000−95763号公報、特開2000−136185号公報、特開2000−198879号公報、特開2000−159607号公報、特開2001−310191号公報などにおいて、それらに記載されるビス四級アンモニウム塩化合物が、広い抗菌スペクトルを有し、優れた防除効果を発現することが報告されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−110692号公報
【特許文献2】
特開平10−95773号公報
【特許文献3】
特開平10−287566号公報
【特許文献4】
特開2000−95763号公報
【特許文献5】
特開2000−136185号公報
【特許文献6】
特開2000−198879号公報
【特許文献7】
特開2000−159607号公報
【特許文献8】
特開2001−310191号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したビス四級アンモニウム塩化合物は、製剤中において、経時的に分解を生じて有効成分濃度が減少し、その結果、微生物に対する防除効果が経時的に減少するという不具合がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような不具合に鑑みなされたもので、その目的とするところは、有効成分であるビス四級アンモニウム塩化合物を安定化させ、優れた微生物に対する防除効果を長期にわたって確保することのできる、微生物防除剤の有効成分であるビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは、ビス四級アンモニウム塩化合物を安定化させるために鋭意検討したところ、ビス四級アンモニウム塩化合物に、酸化作用および/または還元作用を有する無機酸またはその塩を配合することにより、ビス四級アンモニウム塩化合物を安定化させることができる知見を見い出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物に、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合することを特徴とする、ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法、
一般式(1)
【0008】
【化4】
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、アルキレン基を、Y1は、−CONRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)を、Y2は、−NRnCO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)を、Zはアニオンを、aは1または2の整数を示す。前記置換基は、同一または相異なって1〜5個置換しており、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基およびアリールチオ基からなる群より選ばれる。)
(2) さらに、下記一般式(2)および/または下記一般式(3)で示されるイソチアゾリン系化合物を配合することを特徴とする、前記(1)に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法、
一般式(2)
【0009】
【化5】
(式中、R6は、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を、X1およびX2は、同一または相異なって、炭化水素基(X1およびX2が2価の炭化水素基で環形成されている場合を含む。)、ハロゲン原子または水素原子を示す。前記置換基は、同一または相異なって1〜5個置換しており、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基およびアリールチオ基からなる群より選ばれる。)
一般式(3)
【0010】
【化6】
(式中、R7は、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。前記置換基は、同一または相異なって1〜4個置換しており、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基およびアリールチオ基からなる群より選ばれる。)
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、微生物防除剤の有効成分であるビス四級アンモニウム塩化合物に、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合する。
【0012】
本発明に用いられるビス四級アンモニウム塩化合物は、例えば、下記一般式(1)で示される。
【0013】
一般式(1)
【0014】
【化7】
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、アルキレン基を、Y1は、−CONRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)を、Y2は、−NRnCO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)を、Zはアニオンを、aは1または2の整数を示す。)
一般式(1)の式中、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などが挙げられる。
【0015】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
【0016】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプチニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルなどの炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
【0017】
アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、オクテニルなどの炭素数2〜8のアルキニル基が挙げられる。
【0018】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
【0019】
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
【0020】
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルなどの炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられる。
【0021】
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。これらの置換基は同一または相異なって1〜5個、好ましくは1〜3個置換していてもよい。
【0022】
上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していない炭化水素基、または、ヒドロキシル基を有する炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基またはヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0023】
アルキル基としては、好ましくは、炭素数が1〜18のアルキル基、より好ましくは、炭素数が7以上である、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数7〜18のアルキル基が挙げられる。
【0024】
ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは、炭素数が1〜18のヒドロキシアルキル基、より好ましくは、炭素数が3〜12である、ヒドロキシトリメチレン、ヒドロキシテトラメチレン、ヒドロキシペンタメチレン、ヒドロキシヘキサメチレン、ヒドロキシヘプタメチレン、ヒドロキシオクタメチレン、ヒドロキシノナメチレン、ヒドロキシデカメチレン、ヒドロキシドデカメチレンなどの炭素数3〜12のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
【0025】
R1およびR2は、同一または相異なって、ともに炭素数1〜18のアルキル基であるか、一方が炭素数1〜18のアルキル基で、他方が炭素数3〜12のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
【0026】
一般式(1)の式中、R3およびR4で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0027】
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどの炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
【0028】
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。
【0029】
上記したR3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、置換基を有していないアルコキシ基が好ましく、その中でも、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどの炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられる。
【0030】
R3およびR4は、同一または相異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子であることが好ましく、その中でも、ともに水素原子であることが好ましい。
【0031】
一般式(1)の式中、R5で示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、iso−プロピレン、ブチレン、iso−ブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレンなどの炭素数1〜18のアルキレン基が挙げられる。
【0039】
また、一般式(1)の式中、Y1で示される−CONRn−、および、Y2で示される−NRnCO−のRnとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子が挙げられ、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、アルキル基または水素原子が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
【0040】
一般式(1)の式中、Y1として、好ましくは、−CONH−が挙げられ、また、Y2として、−NHCO−が挙げられる。
【0041】
一般式(1)の式中、Zで示されるアニオンとしては、例えば、無機アニオン、有機アニオンが挙げられる。
【0042】
無機アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、F−、Cl−、Br−、I−など)、ヨウ素酸イオン(IO3−)、臭素酸イオン(BrO3−)、塩素酸イオン(ClO3−)、過ヨウ素酸イオン(IO4−)、過塩素酸イオン(ClO4−)、硫酸イオン(SO4 2−)、硝酸イオン(NO3−)、リン酸イオン(PO4 3−)、亜硫酸イオン(SO3 2−)、亜硝酸イオン(NO2−)などが挙げられる。
【0043】
有機アニオンとしては、例えば、遊離の有機カルボン酸や遊離の有機スルホン酸などの遊離の有機酸などが挙げられる。遊離の有機酸としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の遊離の有機酸が挙げられる。
【0044】
遊離の有機カルボン酸としては、例えば、1価の飽和カルボン酸イオン、2価の飽和カルボン酸イオン、1価の不飽和カルボン酸イオン、2価の不飽和カルボン酸イオン、ヒドロキシカルボン酸イオン、オキソカルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0045】
1価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、蟻酸イオン(HCOO−)、酢酸イオン(CH3COO−)、プロピオン酸イオン(C2H5COO−)、酪酸イオン(C3H7COO−)、イソ酪酸イオン((CH3)2CHCOO−)、吉草酸イオン(CH3(CH2)3COO−)、イソ吉草酸イオン((CH3)2CHCH2COO−)、ピバル酸イオン((CH3)3CCOO−)、オクタン酸イオン(CH3(CH2)6COO−)、デカン酸イオン(CH3(CH2)8COO−)、ラウリン酸イオン(CH3(CH2)10COO−)、ミリスチン酸イオン(CH3(CH2)12COO−)、パルミチン酸イオン(CH3(CH2)14COO−)、ステアリン酸イオン(CH3(CH2)16COO−)などの炭素数1〜18の1価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0046】
2価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、シュウ酸イオン((COO−)2)、マロン酸イオン(CH2(COO−)2)、コハク酸イオン((−OOC)(CH2)2(COO−))、グルタル酸イオン((−OOC)(CH2)3(COO−))、アジピン酸イオン((−OOC)(CH2)4(COO−))、ピメリン酸イオン((−OOC)(CH2)5(COO−))、スベリン酸イオン((−OOC)(CH2)6(COO−))、アゼライン酸イオン((−OOC)(CH2)7(COO−))、セバシン酸イオン((−OOC)(CH2)8(COO−))などの炭素数2〜10の2価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0047】
1価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、アクリル酸イオン(CH2=CHCOO−)、メタクリル酸イオン(CH2=C(CH3)COO−)、クロトン酸イオン(CH3CH=CHCOO−)、cis−クロトン酸イオン(CH3CH=CHCOO−)、ソルビン酸イオン(CH3CH=CHCH=CHCOO−)、オレイン酸イオン(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO−)、trans−9−オクタデセン酸イオン(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO−)、フランカルボン酸イオン(C4H3OCOO−)などの炭素数3〜18の1価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0048】
2価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、マレイン酸イオン(CH(COO−)=CHCOO−)、シトラコン酸イオン((CH3)C(COO−)=CHCOO−)、メサコン酸イオン((COO−)C(CH3)=CHCOO−)などの炭素数4〜5の2価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0049】
ヒドロキシカルボン酸イオンとしては、例えば、乳酸イオン(CH3CH(OH)COO−)、リンゴ酸イオン(CH(OH)(COO−)CH2COO−)、クエン酸イオン(CH2(COO−)C(OH)(COO−)CH2COO−)、グリコン酸イオン(CH2(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)COO−)などの炭素数3〜6のヒドロキシカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0050】
オキソカルボン酸イオンとしては、例えば、ピルビン酸イオン(CH3COCOO−)、アセト酢酸イオン(CH3COCH2COO−)などの炭素数3〜4のオキソカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0051】
芳香族カルボン酸イオンとしては、例えば、安息香酸イオン(C6H5COO−)、フタル酸イオン(C6H4(COO−)2)、ナフタレンカルボン酸イオン(C10H7COO−)、ピリジンカルボン酸イオン(C5H5NCOO−)などの炭素数5〜11の芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0052】
また、遊離の有機スルホン酸としては、例えば、メチル硫酸イオン((CH3)SO4−)、エチル硫酸イオン((C2H5)SO4−)、メチルベンゼンスルホン酸イオン(CH3C6H4SO3−)などの炭素数1〜7の有機スルホン酸イオンが挙げられる。
【0053】
また、一般式(1)の式中、Zで示される有機アニオンとしては、その他に、アミノ酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸、アルコラート、フェノラートおよび水酸基に起因する有機アニオンなどが挙げられる。
【0054】
これらアニオンは、単独または2種以上併用してもよい。好ましくは、有機アニオン、さらに好ましくは、遊離の有機酸、より好ましくは、遊離の有機カルボン酸が挙げられる。
【0055】
また、aは、1または2の整数を示し、具体的には、ビス四級アンモニウム塩化合物およびアニオンの種類に応じて、適宜決定される。aは、1が特に好ましい。
【0056】
このようなビス四級アンモニウム塩化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、1,4−テトラメチレンビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、1,6−ヘキサメチレンビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、1,6−オクタメチレンビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)などが挙げられる。
【0057】
なお、上記したビス四級アンモニウム塩化合物のピリジニウム塩としては、上記したZで示されるアニオンとの塩であれば特に制限されないが、例えば、ブロマイド(ピリジニウムブロマイド)、アイオダイド(ピリジニウムアイオダイド)、アセテート(ピリジニウムアセテート)などが挙げられる。
【0058】
これらのうち、好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー38A、イヌイ社製)が挙げられる。さらに好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー38A、イヌイ社製)が挙げられる。これらビス四級アンモニウム塩化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0059】
そして、本発明では、ビス四級アンモニウム塩化合物を安定化させるために、酸化作用および/または還元作用を有する無機塩として、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合する。
【0062】
これら亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩は、単独または2種以上併用してもよい。
【0063】
例えば、ビス四級アンモニウム塩化合物が酢酸塩である場合には、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムが好ましく用いられる。
【0064】
無機塩を配合させる割合は、ビス四級アンモニウム塩化合物100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。このような範囲において、ビス四級アンモニウム塩化合物を最も安定化させることができる。
【0065】
無機塩をビス四級アンモニウム塩化合物に配合するには、特に制限されず、ビス四級アンモニウム塩化合物に亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合すればよく、後述するように、種々の剤型に調製することができる。
【0066】
また、本発明では、さらに、有効成分として、下記一般式(2)および/または下記一般式(3)で示されるイソチアゾリン系化合物を配合することが好ましい。
【0067】
一般式(2)
【0068】
【化8】
(式中、R6は、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を、X1およびX2は、同一または相異なって、炭化水素基(X1およびX2が2価の炭化水素基で環形成されている場合を含む。)、ハロゲン原子または水素原子を示す。)
一般式(3)
【0069】
【化9】
(式中、R7は、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。)
一般式(2)および一般式(3)の式中、R6およびR7で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜8のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基およびn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数8のアルキル基が挙げられる。さらに好ましくは、メチル、n−ブチル、n−オクチルが挙げられる。
【0070】
また、R6およびR7の好ましい例としては、炭素数が1〜8のアルキル基および水素原子が挙げられる。
【0071】
一般式(2)で示されるイソチアゾリン系化合物において、X1およびX2で示される炭化水素基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0072】
また、X1およびX2は、2価の炭化水素基で環形成されていてもよく、このような2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン(トリメチレン)、iso−プロピレン、ブチレン(テトラメチレン)、iso−ブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン(ヘキサメチレン)などの炭素数1〜6の2価の炭化水素基が挙げられる。好ましくは、トリメチレンが挙げられる。
【0073】
また、X1およびX2で示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。好ましくは、塩素が挙げられる。
【0074】
X1およびX2の好ましい例としては、例えば、ハロゲン原子、水素原子が挙げられ、好ましい態様としては、例えば、X1およびX2がともに水素原子、X1およびX2のうち、いずれか一方が水素原子であって他方がハロゲン原子、X1およびX2がともにハロゲン原子である態様が挙げられる。また、トリメチレンで環形成されているものも、好ましい態様の1つである。
【0075】
一般式(3)で示されるイソチアゾリン系化合物において、A環で示されるベンゼン環の置換基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基など)が挙げられる。これらの置換基は、同一または相異なって1〜4個、好ましくは、1または2個置換していてもよい。A環で示される置換基を有していてもよいベンゼン環の好ましい態様としては、置換基を有していないベンゼン環が挙げられる。
【0076】
このようなイソチアゾリン系化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0077】
これらのうち、好ましくは、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。さらに好ましくは、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。これらイソチアゾリン系化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0078】
イソチアゾリン系化合物を配合する割合は、ビス四級アンモニウム塩化合物1重量部に対して、例えば、0.005〜100重量部、好ましくは、0.01〜50重量部である。このような範囲においてイソチアゾリン系化合物を配合すれば、ビス四級アンモニウム塩化合物とともに、微生物に対する防除効果を相乗的に発現させることができる。また、イソチアゾリン系化合物も、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩によって安定化されるので、微生物に対する相乗的な防除効果を、長期にわたって確保することができる。
【0079】
より具体的には、ビス四級アンモニウム塩化合物1重量部に対して、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを配合する割合は、0.01〜44重量部、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを配合する割合は、0.01〜10重量部、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンを配合する割合は、0.01〜29重量部であることが好ましい。
【0080】
また、イゾチアゾリン系化合物をビス四級アンモニウム塩化合物に配合するには、特に制限されず、ビス四級アンモニウム塩化合物にイソチアゾリン系化合物を配合すればよく、後述するように種々の剤型に調製することができる。
【0081】
ビス四級アンモニウム塩化合物を製剤化するには、特に制限されることなく、公知の方法を用いることができ、その目的および用途に応じて、例えば、液剤(水懸濁剤および油剤を含む。)、ペースト剤、粉剤、粒剤、マイクロカプセルなどの公知の種々の剤型に製剤化することができる。また、包接化合物として調製してもよく、さらに、層状ケイ酸塩などのモンモリロナイト(スメクタイト類など)などに担持させ、あるいは、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルクなどに吸着させることにより調製することもできる。
【0082】
これらのうち、例えば、液剤として製剤化する場合には、ビス四級アンモニウム塩化合物、無機塩、および、必要によりイソチアゾリン系化合物を、上記した配合割合で、適宜溶剤に溶解または分散すればよい。より具体的には、例えば、液剤100重量%中に、ビス四級アンモニウム塩化合物が0.1〜10重量%、無機塩が0.005〜1重量%、イソチアゾリン系化合物が0.1〜10重量%、溶剤がその残量となる割合でそれぞれ配合し、溶解または分散させればよい。用いられる溶剤としては、少なくともビス四級アンモニウム塩化合物、無機塩を溶解しまたは分散し得る溶剤であれば特に制限されない。
【0083】
このような溶剤としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール系溶剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネートなどのケトン系溶剤、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどのエーテル系溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチルなどのエステル系溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドンなどの極性溶剤などが挙げられる。
【0084】
これらのうち、好ましくは、水、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、極性溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独または2種以上併用してもよい。
【0085】
また、製剤化された微生物防除剤は、その目的および用途によって、公知の添加剤、例えば、他の防藻剤および/または防かび剤、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤などを添加してもよい。
【0086】
他の防藻剤および/または防かび剤としては、例えば、ニトロアルコール系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、ハロアセチレン系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ピリチオン系化合物、フェニルウレア系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、トリアゾール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩系化合物が挙げられる。
【0087】
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールなどが挙げられる。
【0088】
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンがなど挙げられる。
【0089】
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
【0090】
ハロアセチレン系化合物としては、例えば、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートなどが挙げられる。
【0091】
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
【0092】
ハロアルキルチオ系化合物としては、例えば、N−ジメチルアミノスルホニル−N−トリル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Tolylfluanide)、N−ジメチルアミノスルホニル−N−フェニル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Dichlofluanide)などが挙げられる。
【0093】
ピリチオン系化合物としては、例えば、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオンなどが挙げられる。
【0094】
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
【0095】
トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0096】
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
【0097】
トリアゾール系化合物としては、例えば、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)などが挙げられる。
【0098】
ベンズイミダゾール系化合物としては、例えば、メチル 2−ベンズイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンズイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0099】
四級アンモニウム塩系化合物としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライドなどが挙げられる。
【0100】
また、他の防藻剤および/または防かび剤として、その他に、例えば、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマールなどの有機ヨウ素系化合物、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチオカーバメート系化合物、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジンなどのピジリン系化合物、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイドなどのオキサチアジン系化合物などが挙げられる。
【0101】
これらの他の防藻剤および/または防かび剤は、単独または2種以上併用してもよい。また、他の防藻剤および/または防かび剤の配合割合は、その剤型および目的ならびに用途によって適宜決定されるが、例えば、ビス四級アンモニウム塩化合物100重量部に対して、1〜9000重量部、好ましくは、3〜8000重量部である。
【0102】
また、界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤、高分子界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられ、好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0103】
また、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0104】
これら、界面活性剤および酸化防止剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜5重量部添加される。
【0105】
また、光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
【0106】
このような光安定剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜10重量部添加される。
【0107】
このようにして製剤化された微生物防除剤は、優れた、抗菌、防かび、防腐、防藻作用などを発現し、細菌、かび、酵母、藻などに対する防除剤として用いることができ、しかも、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩の配合により、ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化を図ることができる。その結果、ビス四級アンモニウム塩化合物の製剤中における経時的な分解を防止することができ、優れた微生物に対する防除効果を長期にわたって確保することができる。
【0108】
そのため、このような微生物防除剤は、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、カゼイン、澱粉糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種工業製品などの有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。
【0109】
より具体的には、例えば、製紙パルプ工場などのスライムコントロール剤、金属加工用油剤の防腐剤、塗料の防腐防かび剤、樹脂エマルションの防腐防かび剤、セメント混和剤の防腐剤、インキの防腐防かび剤、湿し水の防腐防かび剤、セメント減水剤の防腐防かび剤、植物の延命剤などの工業用の有害微生物防除剤として好適に用いられる。
【0110】
なお、微生物防除剤は、その適用対象に応じて添加量を適宜決定すればよいが、例えば、1〜8000mg(全有効成分)/kg(製品)、好ましくは、5〜5000mg(全有効成分)/kg(製品)の濃度として用いることができる。
【0111】
また、微生物防除剤は、pHが、3〜13、好ましくは、4〜12の適用対象に用いることができ、さらには、例えば、SO2 2−、SO3 2−、HSO2 −、HSO3 −、S2O3 2−、好ましくは、SO3 2−、HSO3 −、S2O3 2−などの還元剤の存在下においても、その効力を有効に発現することができる。なお、この場合の還元剤の濃度は、例えば、製品中1〜10000ppmであることが好ましい。
【0112】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例に用いる有効成分の略号を下記に示す。
【0113】
HMDP−Ac:N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)
HMDP−Br:N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)
MIT:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
OIT:2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
BIT:1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン
実施例1
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、亜硝酸ナトリウム0.05g、プロピレングリコール20g、水45.95gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0114】
実施例2
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)50g、亜硝酸ナトリウム0.08g、水49.92gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0115】
実施例3
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)50g、臭素酸ナトリウム0.1g、水49.9gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0116】
実施例4
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)50g、ヨウ素酸ナトリウム0.1g、水49.9gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0117】
実施例5
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、ゾーネンMT(MIT:50重量%、ケミクレア社製)3.4g、亜硝酸ナトリウム0.08g、水62.52gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0118】
実施例6
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)30g、ゾーネン0/100(OIT:100重量%、ケミクレア社製)2.0g、亜硝酸ナトリウム0.03g、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)67.97gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0119】
実施例7
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、BIT(BIT:99.9重量%、乾燥品、リバソン社製)2.5g、亜硝酸ナトリウム0.07g、水20g、ジエチレングリコール43.43gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0120】
実施例8
ダイマー38(HMDP−Br:99重量%、イヌイ社製)2.5g、ゾーネンMT(MIT:50重量%、ケミクレア社製)2.5g、亜硝酸ナトリウム0.02g、水20g、メチルカルビトール74.98gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0121】
比較例1
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、プロピレングリコール20g、水46gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0122】
比較例2
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)50g、水50gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0123】
比較例3
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、ゾーネンMT(MIT:50重量%、ケミクレア社製)3.4g、水62.6gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0124】
比較例4
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)30g、ゾーネン0/100(OIT:100重量%、ケミクレア社製)2.0g、メチルカルビトール68gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0125】
比較例5
ダイマー38A(HMDP−Ac:5重量%水溶液、イヌイ社製)34g、BIT(BIT:99.9重量%、乾燥品、リバソン社製)2.5g、水20g、ジエチレングリコール43.5gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0126】
比較例6
ダイマー38(HMDP−Br:99重量%、イヌイ社製)2.5g、ゾーネンMT(MIT:50重量%、ケミクレア社製)2.5g、水20g、メチルカルビトール75gを配合して、室温で撹拌して溶解することにより、100gの液剤を得た。
【0127】
安定性試験
上記で得られた各実施例および各比較例を、60℃、4週間密封後、各有効成分の残存率%[(残存した有効成分の含有量/初期の有効成分の含有量)×100]を液体クロマトグラフィーにて測定した。その結果を表1に示す。
【0128】
【表1】
振盪培養試験
pH9に調整されたグルコース−ブイヨン液体培地に、3種混合菌懸濁液(前培養した菌体、すなわち、エスケリシア・コリ(Escherichia coli:IFO 3044)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa:IFO 3080)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens:IFO 3735)をそれぞれ濁度(660nm)0.2に調整した懸濁液を等量混合したもの)を、103CFU/mLとなるように加え、さらに、実施例5、7および比較例5、7を、表1に示す有効成分濃度で加え、30℃で振盪培養し、菌増殖阻止時間を求めた。なお、3種混合菌懸濁液は、42時間後および80時間後にも加えた。その結果を表2に示す。
【0129】
【表2】
最小発育阻止濃度(MIC)
実施例5および比較例3について、pH9に調整されたグルコース−ブイヨン寒天培地を用いた倍数希釈法で、表3に示す供試菌を用い、細菌は33℃で18時間培養、かびおよび酵母は28℃で3日間培養し、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)を求めた。その結果を表3に示す。
【0130】
【表3】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法では、ビス四級アンモニウム塩化合物に、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合して、ビス四級アンモニウム塩化合物を安定化させるので、このようにして安定化されたビス四級アンモニウム塩化合物を有効成分として含む微生物防除剤は、優れた、抗菌、防かび、防腐、防藻作用などを発現し、細菌、かび、酵母、藻などに対する防除剤として用いることができ、しかも、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩の配合により、ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化を図ることができる。その結果、ビス四級アンモニウム塩化合物の製剤中における経時的な分解を防止することができ、優れた微生物に対する防除効果を長期にわたって確保することができる。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物に、亜硝酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、臭素酸カリウムおよびヨウ素酸カリウムから選ばれる少なくとも1つの無機塩を配合することを特徴とする、ビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法。
一般式(1)
- さらに、下記一般式(2)および/または下記一般式(3)で示されるイソチアゾリン系化合物を配合することを特徴とする、請求項1に記載のビス四級アンモニウム塩化合物の安定化方法。
一般式(2)
一般式(3)
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