JP2006022069A - 原虫類の殺滅・消毒剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどのオーシストやシストを形成する原虫類の殺滅・消毒剤に関する。
クリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類は、それらオーシスト或いはシストが人間などのほ乳類に経口的に侵入した場合、これらオーシスト或いはシストから栄養型虫体(スポロゾイド)が放出されその腸内で繁殖しながら、新たなオーシスト或いはシストを形成するとともに激しい下痢を引き起こすことで知られ、日本国内においても、これらのオーシスト或いはシストにより汚染された水道水により集団下痢事件が発生している。これらクリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類は宿主の体外ではオーシスト或いはシストの形で存在するが、これらオーシスト或いはシストは水道水の浄水設備で用いられる塩素系殺滅・消毒剤に対する耐性が強い(特に、クリプトスポリジウムのオーシストの場合、有効塩素濃度100ppmでの24時間処理でも死滅しないとの報告もある)。
但し、これらオーシスト或いはシストの大きさは数ミクロンであるため、砂濾過により99.9〜99.99%除去が可能であり、水道原水のこれらオーシストやシストによる汚染が数万オーシスト/10Lより充分に少ない場合には、感染のおそれのないレベルに処理することが可能とされ、また、膜濾過によればこれらを完全に除去できる。しかしながら、砂濾過や膜濾過などの濾過設備では、濾過性能の維持のため逆洗が行われる。このときに、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水が生じる。これらオーシストやシストは耐薬品性は高いものの熱には比較的弱いため、加熱による処理が可能ではあるが、多量の排水に対する加熱処理は実際的でない。
また、下水道や畜産関係の排水など、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水があり、また、畜産業における糞の消毒に至っては有効な対策が殆どなく、これら原虫類のオーシストおよびシストにも有効な殺滅・消毒剤が求められていた。
特開2004−26702公報
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、クリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類のオーシストやシストにも有効な殺滅・消毒剤を提供することを目的とする。
(但し、上記一般式において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一または異なるハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖若しくは分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である。)
2.前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である前記1に記載の原虫類の殺滅・消毒剤。
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は、原虫類の殺滅・消毒剤に対して耐性を有することが知られているクリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒が可能であり、これらクリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類が存在する水系や、糞などに応用したとき、優れた効果が得られる原虫類の殺滅・消毒剤である。
以下に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物のなかで好ましい化合物は、前記一般式(1)において、R1およびR4が、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5が、水素原子であり、R3が、テトラメチレン基であり、R6が、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zが塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である化合物であり、特に好ましい化合物は前記式(1)〜(4)の化合物である。前記一般式(1)で表される化合物は、単独でも混合物としても使用できる。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(a)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(b)
で表されるジオール類とを、強塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(c)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(d)
で表されるピリジン化合物とを強塩基の存在下に反応させることにより下記一般式(e)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(f)
で表されるハロゲン化合物若しくはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって得られる。
(但し、上記一般式(a)〜(f)において、AおよびBは塩基の作用により脱離基として機能し、アルキルカチオンを生成し得る置換基であり、XおよびYは無機、若しくは有機のプロトン酸の対アニオンであり、mおよびnは0〜1であり、R1〜R7、Zは前記と同意義である。)
で表されるピリジン化合物と、下記一般式(b)
で表されるジオール類とを、強塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(c)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(d)
で表されるピリジン化合物とを強塩基の存在下に反応させることにより下記一般式(e)
で表されるピリジン化合物を製し、該化合物と下記一般式(f)
で表されるハロゲン化合物若しくはスルホン酸エステル化合物とを反応させることによって得られる。
(但し、上記一般式(a)〜(f)において、AおよびBは塩基の作用により脱離基として機能し、アルキルカチオンを生成し得る置換基であり、XおよびYは無機、若しくは有機のプロトン酸の対アニオンであり、mおよびnは0〜1であり、R1〜R7、Zは前記と同意義である。)
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を使用してクリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類の殺滅・消毒を実施するに当たっては、同時に殺菌や微生物、藻類除去などを行なうことを目的として、他の殺菌剤、殺滅・消毒剤を併用してもよい。そのようなものとしては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾロン系化合物、例えば、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒドなどのアルデヒド類、例えば、過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)、臭素系殺菌剤およびヨウ素系殺菌剤、さらにジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ヨーネンポリマー、第4級アンモニウム塩系化合物などが挙げられる。
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を、水系に添加する際に金属防食剤など、例えば、亜硝酸、リン酸、珪酸、モリブデン酸、タングステン酸、アルミン酸、硼酸、オキシ酸、アミノ酸、脂肪族有機酸、芳香族カルボン酸、リグニンスルホン酸、或いはこれらの塩などや、タンニン、リグニンなどの鉄用防食剤、或いは、例えば、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾールなどのアゾール類、亜鉛塩などを併用することができる。
さらに、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤にスケール防止剤を併用してもよい。このようなスケール防止剤としては、例えば、アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、リン酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、或いはこれらの水溶性塩などが挙げられる。
これら併用薬品は、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤に対して、予め保存性、安定性、或いはクリプトスポリジウムやジアルジアなどの原虫類に対する殺滅・消毒効果などに、問題が生じないことを確認した上で、前記一般式(1)で表される化合物と混合・調合して混合剤とすることができる。
次に本発明で使用する前記一般式(1)で表される化合物の合成例を挙げる。合成例1(前記化合物(1)の合成)
[下記構造式で示される化合物(1−1)の合成]
DMF(ジメチルホルムアミド)75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。このスラリー液に−8〜−3℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩1.0g(6.10mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.68g(6.06mmol)を交互に添加し、これを15回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩15.0g(91.45mmol)およびカリウムtert−ブトキシド10.2g(90.9mmol)を添加した。
[下記構造式で示される化合物(1−1)の合成]
DMF(ジメチルホルムアミド)75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。このスラリー液に−8〜−3℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩1.0g(6.10mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.68g(6.06mmol)を交互に添加し、これを15回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩15.0g(91.45mmol)およびカリウムtert−ブトキシド10.2g(90.9mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.13g(10.07mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去して油状の粗生成物(化合物(1−1))17.1gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(1−1)の面積%は76.0%であった。
前記化合物(1−1)の粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(1−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.67−1.75(4H,m,−(CH 2)2−)、δ2.35(1H,s,OH)、δ3.52−3.56(2H,t,J=6.0Hz,CH 2)、δ3.64−3.68(2H,t,J=6.0Hz,CH 2 )、δ4.52(2H,s,CH 2)、δ7.27−7.31(1H,m,aromH)、δ7.66−7.70(1H,m,aromH)、δ8.52−8.56(2H,m,arom H×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+)
HPLC(条件1)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:B=70:30(一定)
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:B=70:30(一定)
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
[下記構造式で示される化合物(1−2)の合成]
DMF25mlに前記化合物(1−1)5.0g(27.59mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.1g(27.63mmol)を添加した。このスラリーに5〜6℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩0.5g(3.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.34g(3.03mmol)を交互に添加し、これを9回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩4.5g(27.43mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.06g(27.27mmol)を添加した。添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(1−1)のピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(1−1)のピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは0.62g(5.53mmol)であった。
DMF25mlに前記化合物(1−1)5.0g(27.59mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.1g(27.63mmol)を添加した。このスラリーに5〜6℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩0.5g(3.05mmol)およびカリウムtert−ブトキシド0.34g(3.03mmol)を交互に添加し、これを9回繰り返し、全量で3−クロロメチルピリジン塩酸塩4.5g(27.43mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.06g(27.27mmol)を添加した。添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、3−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(1−1)のピークが確認されたので、3−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(1−1)のピークが消失するまで、カリウムtert−ブトキシドを5℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは0.62g(5.53mmol)であった。
反応混合物を固液分離し、ケークをDMF30mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。この濃縮残液にジクロロメタン20mlを添加し、溶解液を飽和食塩水で洗浄後、溶媒を留去し、油状物5.8gを得た。この粗生成物0.5gについてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−メタノール)で精製を行い、油状の前記化合物(1−2)0.3gを得た。(1H−NMR:δ1.70−1.74(4H,m,−(CH 2)2−)、δ3.50−3.54(4H,m,CH 2×2)、δ4.51(4H,s,CH 2×2)、δ7.25−7.29(2H,dd,J=4.9Hz,7.9Hz,aromH×2)、δ7.65−7.69(2H,dt,J=1.7Hz,7.9Hz,aromH×2)、δ8.52−8.57(4H,dd,J=1.7Hz,4.9Hz,aromH×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+)
[化合物(1)の合成]
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にオクチルブロマイド35.5g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のオクチルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶9.7g(粗収率(前記化合物(1−2)より):85%)を得た。
前記化合物(1−2)5.0g(18.36mmol)にオクチルブロマイド35.5g(183.8mmol)を加え、70〜80℃で20時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のオクチルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶9.7g(粗収率(前記化合物(1−2)より):85%)を得た。
得られた結晶2gについてアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液で再結晶を行い、微灰白色結晶の化合物(1)1.6gを得た。(融点:52〜53℃、1H−NMR(d6−DMSO):δ0.82−0.89(6H,t,J=5.3Hz,CH 3×2)、δ1.25−1.34(20H,m,−(CH 2)5−×2)、δ1.77−1.80(4H,m,−(CH 2)2−×2)、δ2.04−2.09(4H,t,J=7.0Hz,CH 2×2)、δ3.70−3.72(4H,t,J=5.9Hz,CH 2×2)、δ4.67−4.71(4H,t,J=7.0Hz,CH 2×2)、δ4.84(4H,s,CH 2×2)、δ8.11−8.15(2H,dd,J=6.0Hz,8.0Hz,aromH×2)、δ8.56−8.59(2H,d,J=8.0Hz,aromH×2)、δ8.69−8.92(4H,dd,J=6.0Hz,13.1Hz,aromH×4)、MS(ESI):m/z=579[M−Br]+)。
HPLC(条件2)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:70%(12min保持)→(10min)→A:50%(14min保持)→A:70%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:70%(12min保持)→(10min)→A:50%(14min保持)→A:70%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
合成例2(前記化合物(2)の合成)
[下記構造式で示される化合物(2−1)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−10〜−5℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩1.5g(9.14mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.03g(9.18mmol)を交互に添加し、これを10回繰り返した。
[下記構造式で示される化合物(2−1)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF75mlに1,4−ブタンジオール8.24g(91.43mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド10.3g(91.79mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−10〜−5℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩1.5g(9.14mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.03g(9.18mmol)を交互に添加し、これを10回繰り返した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンのピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークが消失するまでカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加したカリウムtert−ブトキシドは1.03g(9.18mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去し油状の粗生成物17.0gを得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−1)の面積%は63.0%であった。
粗生成物を水30mlに溶解し、トルエンで洗浄した。その後、水層に食塩6gを加え、ジクロロメタン20ml×2で抽出し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去し、油状の前記化合物(2−1)9.21g(収率(1,4−ブタンジオールより):57.2%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件1)で分析すると、面積%は99.4%であった。(1H−NMR(CDCl3):δ1.65−1.80(4H,m,−(CH 2 )2−)、δ2.4(1H,s,OH)、δ3.54−3.58(2H,t,J=5.9Hz,CH 2 )、δ3.66−3.70(2H,t,J=5.9Hz,CH 2 )、δ4.53(2H,s,CH 2 )、δ7.24−7.26(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,aromH×2)、δ8.55−8.57(2H,dd,J=1.5Hz,4.5Hz,aromH×2)、MS(APCl):m/z=182[M+H]+)
[下記構造式で示される化合物(2−2)の合成:3−クロロメチルピリジン塩酸塩から4−クロロメチルピリジン塩酸塩に代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
DMF49mlに1,4−ブタンジオール2.7g(30.0mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.4g(30.0mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−5〜−3℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.68g(6mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返した。これ以降の添加は、−5〜−2℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.36g(12mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返し、全量で4−クロロメチルピリジン塩酸塩9.8g(60mmol)、カリウムtert−ブトキシド10.2g(90mmol)を添加した。
DMF49mlに1,4−ブタンジオール2.7g(30.0mmol)を加え、氷冷下カリウムtert−ブトキシド3.4g(30.0mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。このスラリーに−5〜−3℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド0.68g(6mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返した。これ以降の添加は、−5〜−2℃で4−クロロメチルピリジン塩酸塩0.98g(6mmol)、カリウムtert−ブトキシド1.36g(12mmol)を交互に添加し、これを5回繰り返し、全量で4−クロロメチルピリジン塩酸塩9.8g(60mmol)、カリウムtert−ブトキシド10.2g(90mmol)を添加した。
添加終了後、反応混合物をHPLC(条件1)で分析すると、4−クロロメチルピリジンおよび前記化合物(2−1)のピークが確認されたので、4−クロロメチルピリジンのピークおよび前記化合物(2−1)のピークが消失するまで、4−クロロメチルピリジン塩酸塩とカリウムtert−ブトキシドを10℃以下で添加した。追加した4−クロロメチルピリジン塩酸塩は2.0g(12mmol)、カリウムtert−ブトキシドは2.6g(24mmol)であった。反応混合物を固液分離し、ケークをDMF20mlで洗浄、ろ洗液からDMFを減圧下に留去した。
この濃縮残液に酢酸エチル50mlを添加し、溶解液を水で洗浄後、溶媒を留去し、黄色結晶の前記化合物(2−2)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(2−2)の面積%は70.5%であった。得られた粗生成物5g(18mmol)をイソプロピルアルコール23.3gで再結晶を行い、白色結晶の前記化合物(2−2)2.7gを得た。(融点:98.6〜100.2℃、1H−NMR(CDCl3):δ1.75−1.79(4H,m,−(CH 2)2−)、δ3.53−3.57(4H,m,CH 2×2)、δ4.52(4H,s,CH 2×2)、δ7.23−7.27(4H,dd,J=0.8Hz,6.0Hz,aromH×4)、δ8.55−8.57(4H,dd,J=1.6Hz,6.0Hz,aromH×4)、MS(APCl):m/z=273[M+H]+)
[下記構造式の化合物(2)の合成:前記化合物(2−2)を4−クロロメチルピリジン塩酸塩から誘導したものに代え、反応条件を以下の通りにした他は合成例1と同様]
前記化合物(2−2)2.0g(7.34mmol)にオクチルブロマイド21.3g(110.3mmol)を加え、70〜80℃で53時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(2−2)のピークは消失していた。反応混合物からオクチルブロマイドを減圧下で留去し、油状の前記化合物(2)5.2g(粗収率:107.7%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件2)で分析すると、化合物(2)のピークの面積%は81.3%であった。
前記化合物(2−2)2.0g(7.34mmol)にオクチルブロマイド21.3g(110.3mmol)を加え、70〜80℃で53時間反応を行った。反応混合物をHPLC(条件2)で分析すると、前記化合物(2−2)のピークは消失していた。反応混合物からオクチルブロマイドを減圧下で留去し、油状の前記化合物(2)5.2g(粗収率:107.7%)を得た。得られたオイルをHPLC(条件2)で分析すると、化合物(2)のピークの面積%は81.3%であった。
反応混合物をHPLC(条件3)で分析すると、前記化合物(1−2)のピークは消失していた。反応混合物より上層のデシルブロマイド層を分離し、下層油状物をアセトニトリル−酢酸エチル=1:3(v/v)混液に注加した。混合物を冷却し、析出結晶を0℃でろ過、減圧乾燥を行い、灰白色結晶11.6g(粗収率(前記化合物(1−2)より):88.5%)を得た。該化合物の結晶をHPLC(条件1)で分析すると、前記化合物(3)の面積%は98.4%であった。融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
(融点:76.8〜79.2℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.9(6H、t、CH 3×2)、δ1.29〜1.40(28H、m、(CH 2)7×2)、δ1.77〜1.84(4H、m、CH 2×2)、δ2.00〜2.05(4H、t、CH 2×2)、δ3.69〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.64〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、J=、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
(融点:76.8〜79.2℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.9(6H、t、CH 3×2)、δ1.29〜1.40(28H、m、(CH 2)7×2)、δ1.77〜1.84(4H、m、CH 2×2)、δ2.00〜2.05(4H、t、CH 2×2)、δ3.69〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.64〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、J=、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
HPLC(条件3)
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:60%(5min保持)→(10min)→A:30%(30min保持)→A:60%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:10μL
・カラム:Inertsil ODS-3(GL Sciences)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.5%酢酸アンモニウム水溶液、B−アセトニトリル A:60%(5min保持)→(10min)→A:30%(30min保持)→A:60%
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:10μL
合成例4(前記化合物(4)の合成)
合成例3におけるデシルブロマイドに代えて当モル量のドデシルブロマイドを用いた以外は合成例3と同様にして下記構造式で表される化合物(4)13.0g(粗収率:91.5%)を得た。得られた化合物(4)をHPLC(条件4)で分析すると、化合物(4)のピークの面積%は97.5%であった。また、融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
合成例3におけるデシルブロマイドに代えて当モル量のドデシルブロマイドを用いた以外は合成例3と同様にして下記構造式で表される化合物(4)13.0g(粗収率:91.5%)を得た。得られた化合物(4)をHPLC(条件4)で分析すると、化合物(4)のピークの面積%は97.5%であった。また、融点およびNMR分析値は以下の通りであった。
(融点:90.0〜91.4℃、1H−NMR(CD3OD):δ0.89(6H、t、CH 3×2)、δ1.26〜1.39(36H、m、(CH 2)9×2)、δ1.79〜1.82(4H、m、CH 2×2)、δ1.84〜2.05(4H、m、CH 2×2)、δ3.67〜3.70(4H、t、CH 2×2)、δ4.65〜4.68(4H、t、CH 2×2)、δ4.77(4H、s、CH 2×2)、δ8.07〜8.11(2H、dd、aromH×2)、δ8.55〜8.57(2H、d、aromH×2)、δ8.93〜8.94(2H、d、aromH×2)、δ9.02(2H、s、aromH×2)
HPLC(条件4)
・カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.1Mリン酸二水素カリウム(0.05%燐酸)水溶液、B−80%アセトニトリル水溶液 A:B=30:70
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
・カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(資生堂)4.6mmφ×250mm
・カラム温度:15℃付近の一定温度
・移動相:A−0.1Mリン酸二水素カリウム(0.05%燐酸)水溶液、B−80%アセトニトリル水溶液 A:B=30:70
・流量:1.0ml/min
・検出器:UV254nm
・注入量:20μL
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分である前記一般式(1)で表される化合物として、前記化合物(1)〜(4)について、それぞれジメチルスルホキシド(「DMSO」と略記)に溶解させ、各薬剤のジメチルスルホキシド溶液を準備し、また、前記一般式(1)で表される化合物を含まない薬剤を添加しないコントロールとしてジメチルスルホキシドも用意した。
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分である前記一般式(1)で表される化合物として、前記化合物(1)〜(4)について、それぞれジメチルスルホキシド(「DMSO」と略記)に溶解させ、各薬剤のジメチルスルホキシド溶液を準備し、また、前記一般式(1)で表される化合物を含まない薬剤を添加しないコントロールとしてジメチルスルホキシドも用意した。
<クリプトスポリジウムでの検討>
予め精製されたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料100μLに対して、HBSS(ハンクスの平衡塩(フェノールレッド不含有)、pH7.5、シグマ社製)を900μL加えて系をpH7.5に保ち、次いで、薬剤添加濃度が10mg/L或いは50mg/Lになる濃度に調整した上記の各薬剤のジメチルスルホキシド溶液或いはジメチルスルホキシド単独でそれぞれ20μL添加し、さらに、ブランク(薬液もジメチルスルホキシドも加えない系)とともにその後37℃で静置した。
予め精製されたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料100μLに対して、HBSS(ハンクスの平衡塩(フェノールレッド不含有)、pH7.5、シグマ社製)を900μL加えて系をpH7.5に保ち、次いで、薬剤添加濃度が10mg/L或いは50mg/Lになる濃度に調整した上記の各薬剤のジメチルスルホキシド溶液或いはジメチルスルホキシド単独でそれぞれ20μL添加し、さらに、ブランク(薬液もジメチルスルホキシドも加えない系)とともにその後37℃で静置した。
これら薬剤溶液添加後3時間或いは24時間のサンプルに対して、非イオン系界面活性剤(Tween80、シグマ社製)の0.1質量%水溶液1,000μLを加え、充分に攪拌した後、3,000rpmで5分の遠心分離処理を行った後、沈渣を分取し、この沈渣に再度Tween80の0.1質量%水溶液1,000μLを加え、充分に攪拌した後、3,000rpmで5分の遠心分離処理を行った。
得られた沈渣にHBSSを1,000μLを加え、充分に攪拌した後、3,000rpmで5分の遠心分離処理を行い、得られた沈渣をHBSS100μLに懸濁させ、その25μLについて顕微鏡観察を行い、脱嚢したオーシスト(破壊され、中身が失われたオーシスト)数、および、全オーシスト数を調べ、破壊率(全オーシスト中の脱嚢したオーシストの割合(%))を算出した。これらの結果を表1に示す。
表1により、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、クリプトスポリジウムのオーシストに対して高い破壊率が得られることが判る。
<ジアルジアでの検討>
上記で用いたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料の代わりに、予め精製されたジアルジアシスト1.0×105個/mLの濃度で含む試料を用いた他はすべて前記と同様にして、薬剤溶液添加3時間後のジアルジアシストの破壊率を調べた。結果を表2に示す。
上記で用いたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料の代わりに、予め精製されたジアルジアシスト1.0×105個/mLの濃度で含む試料を用いた他はすべて前記と同様にして、薬剤溶液添加3時間後のジアルジアシストの破壊率を調べた。結果を表2に示す。
表2より、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、ジアルジアのシストに対して高い破壊率が得られること、そのとき、薬剤添加後3時間以内という短時間で、さらに10mg/Lの低濃度での添加でも充分に高い効果が得られることが判る。
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は、原虫類の殺滅・消毒剤に対して耐性を有することが知られているクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒が可能であり、これらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類が存在する水系や、糞などに応用したとき、優れた効果が得られる原虫類の殺滅・消毒剤である。
Claims (3)
- 前記一般式(1)において、R1およびR4は、ピリジン環の3または4位置に結合しているメチレン基であり、R2およびR5は、水素原子であり、R3は、テトラメチレン基であり、R6は、オクチル基、デシル基およびドデシル基から選ばれる基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子若しくはOSO2R7基(R7は、低級アルキル基若しくは置換或いは無置換のフェニル基である)である請求項1に記載の原虫類の殺滅・消毒剤。
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