JP2004026702A - 原虫類の殺滅・消毒剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のオーシストやシストにも有効な殺滅・消毒剤を提供する。
【解決手段】ピリジニウム塩化合物を有効成分として含有する原虫類の殺滅・消毒剤によりこれらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒する。
【選択図】 なし
【解決手段】ピリジニウム塩化合物を有効成分として含有する原虫類の殺滅・消毒剤によりこれらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどのオーシストやシストを形成する原虫類の殺滅・消毒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類は、それらオーシストあるいはシストが人間などのほ乳類に経口的に侵入した場合、これらオーシストあるいはシストから栄養型虫体(スポロゾイド)が放出されその腸内で繁殖しながら、新たなオーシストあるいはシストを形成するとともに激しい下痢を引き起こすことで知られ、日本国内においても、これらのオーシストあるいはシストにより汚染された水道水により集団下痢事件が発生している。
【0003】
これらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類は宿主の体外ではオーシストあるいはシストの形で存在するが、これらオーシストあるいはシストは水道水の浄水設備で用いられる塩素系殺滅・消毒剤に対する耐性が強い(特に、クリプトスポリジウムのオーシストの場合、有効塩素濃度100ppmでの24時間処理でも死滅しないとの報告もある)。
【0004】
ただしこれらオーシストあるいはシストの大きさは数ミクロンであるため、砂濾過によりで99.9〜99.99%除去が可能であり、水道原水のこれらオーシストやシストによる汚染が数万オーシスト/10Lより充分に少ない場合には、感染のおそれのないレベルに処理することが可能とされ、また、膜濾過によればこれらを完全に除去できる。
【0005】
しかしながら、砂濾過や膜濾過等の濾過設備では、濾過性能の維持のため逆洗が行われる。このときに、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水が生じる。これらオーシストやシストは耐薬品性は高いものの熱には比較的弱いため、加熱による処理が可能ではあるが、多量の排水に対する加熱処理は実際的でない。
【0006】
また、下水道や畜産関係の排水等、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水があり、また、畜産業における糞の消毒に至っては有効な対策が殆どなく、これら原虫類のオーシスト及びシストにも有効な殺滅・消毒剤が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のオーシストやシストにも有効な殺滅・消毒剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、ピリジニウム塩化合物を有効成分として含有する原虫類の殺滅・消毒剤であり、このような構成により、原虫類のシストあるいはオーシストを破壊し、殺滅・消毒することが可能となる。
【0009】
このようなピリジニウム塩化合物としては、下記の化学式A、化学式B、化学式C、化学式D、化学式E及び化学式Fのいずれかの式で表される化合物から選ばれたものであるのがよい。
【0010】
【化7】
化学式A中、Rはアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、X−は任意のアニオンであり、Y及びZはそれぞれが−H,−COOH,−NH2 のいずれかである。
【0011】
【化8】
化学式B中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0012】
【化9】
化学式C中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0013】
【化10】
化学式D中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0014】
【化11】
化学式E中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0015】
【化12】
化学式F中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分であるピリジニウム塩化合物としては、例えばドデシルピリジニウム−アイオダイドなどの前記化学式Aで示される化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Bで示される化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム−アイオダイド)などの前記化学式Cで示される化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Dで示される化合物、例えば4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、4,4′−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Eで示される化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Fで示される化合物等を、挙げることができる。ここでとくに、化学式B〜Fで示されるビス型ピリジニウム塩化合物であると、特に高い効果を得ることができるため好ましい。
【0017】
これら化学式において「X−」は任意のアニオンを示す。これらアニオンは原虫類の殺滅・消毒剤としてのピリジニウム化合物の原虫類の殺滅・消毒剤としての作用を著しく阻害せず、また、用途上、毒性が問題となったり公害発生などの原因にならない限りにおいて、無機及び有機のアニオンから自由に選択することができるが、たとえば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、あるいは酢酸イオンなどが挙げられる。なお、これらアニオンは各化合物において1種であってもよく、また、2種以上であってもよい。
【0018】
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を使用してクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類の殺滅・消毒を実施するに当たっては、同時に殺菌や微生物、藻類除去等をおこなうことを目的として、他の殺菌剤、殺滅・消毒剤を併用しても良い。そのようなものとしては例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系化合物、例えばグルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、例えば過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム等)、臭素系殺菌剤及びヨウ素系殺菌剤、更にジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ヨーネンポリマー、四級アンモニウム塩系化合物などが挙げられる。
【0019】
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を、水系に添加する際に金属防食剤等、たとえば、亜硝酸、リン酸、珪酸、モリブデン酸、タングステン酸、アルミン酸、硼酸、オキシ酸、アミノ酸、脂肪族有機酸、芳香族カルボン酸、リグニンスルホン酸、或いはこれらの塩などや、タンニン、リグニンなどの鉄用防食剤、或いは、例えばトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等のアゾール類、亜鉛塩などを併用することができる。
【0020】
さらに、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤にスケール防止剤を併用しても良い。このようなスケール防止剤としては、例えばアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、リン酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、あるいはこれらの水溶性塩などが挙げられる。
【0021】
これら併用薬品は、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤に対して、予め保存性、安定性、あるいは、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類に対する殺滅・消毒効果等に、問題が生じないことを確認した上で、ピリジニウム塩化合物と混合・調合して混合剤とすることができる。
【0022】
【実施例】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分であるピリジニウム塩化合物として、化学式Bで表される化合物として4,4′−(1,10−デカメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−アイオダイド)(「S−10,8」と略記)及び4,4′−(1,10−デカメチレンジチオ)ビス(1−デシルピリジニウム−アイオダイド)(「S−10,10」と略記)、化学式Dで表される化合物としてN,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)(「D−38」と略記)について、それぞれジメチルスルホキシド(「DMSO」と略記)に溶解させ、各薬剤のジメチルスルホキシド溶液を準備し、また、ピリジニウム塩化合物を含まない薬剤を添加しないコントロールとしてジメチルスルホキシドも用意した。
【0023】
<クリプトスポリジウムでの検討>
予め精製されたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料100μLに対して、HBSS(ハンクスの平衡塩(フェノールレッド不含有)、pH7.5、シグマ社製)を900μL加えて系をpH7.5に保ち、次いで、薬剤添加濃度が10mg/Lあるいは50mg/Lになる濃度に調整した上記の各薬剤のジメチルスルホキシド溶液あるいはジメチルスルホキシド単独でそれぞれ20μL添加し、さらに、ブランク(薬液もジメチルスルホキシドも加えない系)とともにその後37℃で静置した。
【0024】
これら薬剤溶液添加後3時間あるいは24時間のサンプルに対して、非イオン系界面活性剤(Tween80、シグマ社製)の0.1重量%水溶液1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行った後、沈渣を分取し、この沈渣に再度Tween80の0.1重量%水溶液1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行った。
【0025】
得られた沈渣にHBSSを1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行い、得られた沈渣をHBSS100μLに懸濁させ、その25μLについて顕微鏡観察を行い、脱嚢したオーシスト(破壊され、中身が失われたオーシスト)数、および、全オーシスト数を調べ、破壊率(全オーシスト中の脱嚢したオーシストの割合(%))を算出した。これら結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1により、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、クリプトスポリジウムのオーシストに対して高い破壊率が得られることが判る。
【0028】
<ジアルジアでの検討>
上記で用いたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料の代わりに、予め精製されたジアルジアシスト1.0×105個/mLの濃度で含む試料を用い他はすべて同様にして、薬剤溶液添加3時間後のジアルジアシストの破壊率を調べた。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2より、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、ジアルジアのシストに対して高い破壊率が得られること、そのとき、薬剤添加後3時間後以内と云う短時間で、さらに10mg/Lの低濃度での添加でも充分に高い効果が得られることが判る。
【0031】
【発明の効果】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は、原虫類の殺滅・消毒剤に対して耐性を有することが知られているクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒が可能であり、これらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類が存在する水系や、糞などに応用したとき、優れた効果が得られる原虫類の殺滅・消毒剤である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどのオーシストやシストを形成する原虫類の殺滅・消毒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類は、それらオーシストあるいはシストが人間などのほ乳類に経口的に侵入した場合、これらオーシストあるいはシストから栄養型虫体(スポロゾイド)が放出されその腸内で繁殖しながら、新たなオーシストあるいはシストを形成するとともに激しい下痢を引き起こすことで知られ、日本国内においても、これらのオーシストあるいはシストにより汚染された水道水により集団下痢事件が発生している。
【0003】
これらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類は宿主の体外ではオーシストあるいはシストの形で存在するが、これらオーシストあるいはシストは水道水の浄水設備で用いられる塩素系殺滅・消毒剤に対する耐性が強い(特に、クリプトスポリジウムのオーシストの場合、有効塩素濃度100ppmでの24時間処理でも死滅しないとの報告もある)。
【0004】
ただしこれらオーシストあるいはシストの大きさは数ミクロンであるため、砂濾過によりで99.9〜99.99%除去が可能であり、水道原水のこれらオーシストやシストによる汚染が数万オーシスト/10Lより充分に少ない場合には、感染のおそれのないレベルに処理することが可能とされ、また、膜濾過によればこれらを完全に除去できる。
【0005】
しかしながら、砂濾過や膜濾過等の濾過設備では、濾過性能の維持のため逆洗が行われる。このときに、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水が生じる。これらオーシストやシストは耐薬品性は高いものの熱には比較的弱いため、加熱による処理が可能ではあるが、多量の排水に対する加熱処理は実際的でない。
【0006】
また、下水道や畜産関係の排水等、これらオーシストやシストが高濃度に存在する排水があり、また、畜産業における糞の消毒に至っては有効な対策が殆どなく、これら原虫類のオーシスト及びシストにも有効な殺滅・消毒剤が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のオーシストやシストにも有効な殺滅・消毒剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、ピリジニウム塩化合物を有効成分として含有する原虫類の殺滅・消毒剤であり、このような構成により、原虫類のシストあるいはオーシストを破壊し、殺滅・消毒することが可能となる。
【0009】
このようなピリジニウム塩化合物としては、下記の化学式A、化学式B、化学式C、化学式D、化学式E及び化学式Fのいずれかの式で表される化合物から選ばれたものであるのがよい。
【0010】
【化7】
化学式A中、Rはアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、X−は任意のアニオンであり、Y及びZはそれぞれが−H,−COOH,−NH2 のいずれかである。
【0011】
【化8】
化学式B中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0012】
【化9】
化学式C中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0013】
【化10】
化学式D中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0014】
【化11】
化学式E中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0015】
【化12】
化学式F中、R1 はアルキル基、好ましくは炭素数6〜16のアルキル基であり、R2 は炭素数2以上、好ましくは炭素数2〜8のポリメチレン基か、またはp−フェニレン基であり、X−は任意のアニオンである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分であるピリジニウム塩化合物としては、例えばドデシルピリジニウム−アイオダイドなどの前記化学式Aで示される化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Bで示される化合物、例えば4,4′−(ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム−アイオダイド)などの前記化学式Cで示される化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Dで示される化合物、例えば4,4′−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、4,4′−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Eで示される化合物、例えばN,N′−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム−ブロマイド)などの前記化学式Fで示される化合物等を、挙げることができる。ここでとくに、化学式B〜Fで示されるビス型ピリジニウム塩化合物であると、特に高い効果を得ることができるため好ましい。
【0017】
これら化学式において「X−」は任意のアニオンを示す。これらアニオンは原虫類の殺滅・消毒剤としてのピリジニウム化合物の原虫類の殺滅・消毒剤としての作用を著しく阻害せず、また、用途上、毒性が問題となったり公害発生などの原因にならない限りにおいて、無機及び有機のアニオンから自由に選択することができるが、たとえば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、あるいは酢酸イオンなどが挙げられる。なお、これらアニオンは各化合物において1種であってもよく、また、2種以上であってもよい。
【0018】
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を使用してクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類の殺滅・消毒を実施するに当たっては、同時に殺菌や微生物、藻類除去等をおこなうことを目的として、他の殺菌剤、殺滅・消毒剤を併用しても良い。そのようなものとしては例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系化合物、例えばグルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、例えば過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム等)、臭素系殺菌剤及びヨウ素系殺菌剤、更にジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ヨーネンポリマー、四級アンモニウム塩系化合物などが挙げられる。
【0019】
また、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤を、水系に添加する際に金属防食剤等、たとえば、亜硝酸、リン酸、珪酸、モリブデン酸、タングステン酸、アルミン酸、硼酸、オキシ酸、アミノ酸、脂肪族有機酸、芳香族カルボン酸、リグニンスルホン酸、或いはこれらの塩などや、タンニン、リグニンなどの鉄用防食剤、或いは、例えばトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等のアゾール類、亜鉛塩などを併用することができる。
【0020】
さらに、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤にスケール防止剤を併用しても良い。このようなスケール防止剤としては、例えばアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、リン酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、あるいはこれらの水溶性塩などが挙げられる。
【0021】
これら併用薬品は、本発明の原虫類の殺滅・消毒剤に対して、予め保存性、安定性、あるいは、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類に対する殺滅・消毒効果等に、問題が生じないことを確認した上で、ピリジニウム塩化合物と混合・調合して混合剤とすることができる。
【0022】
【実施例】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤の有効成分であるピリジニウム塩化合物として、化学式Bで表される化合物として4,4′−(1,10−デカメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム−アイオダイド)(「S−10,8」と略記)及び4,4′−(1,10−デカメチレンジチオ)ビス(1−デシルピリジニウム−アイオダイド)(「S−10,10」と略記)、化学式Dで表される化合物としてN,N′−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム−ブロマイド)(「D−38」と略記)について、それぞれジメチルスルホキシド(「DMSO」と略記)に溶解させ、各薬剤のジメチルスルホキシド溶液を準備し、また、ピリジニウム塩化合物を含まない薬剤を添加しないコントロールとしてジメチルスルホキシドも用意した。
【0023】
<クリプトスポリジウムでの検討>
予め精製されたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料100μLに対して、HBSS(ハンクスの平衡塩(フェノールレッド不含有)、pH7.5、シグマ社製)を900μL加えて系をpH7.5に保ち、次いで、薬剤添加濃度が10mg/Lあるいは50mg/Lになる濃度に調整した上記の各薬剤のジメチルスルホキシド溶液あるいはジメチルスルホキシド単独でそれぞれ20μL添加し、さらに、ブランク(薬液もジメチルスルホキシドも加えない系)とともにその後37℃で静置した。
【0024】
これら薬剤溶液添加後3時間あるいは24時間のサンプルに対して、非イオン系界面活性剤(Tween80、シグマ社製)の0.1重量%水溶液1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行った後、沈渣を分取し、この沈渣に再度Tween80の0.1重量%水溶液1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行った。
【0025】
得られた沈渣にHBSSを1000μLを加え、充分に攪拌した後、3000rpmで5分の遠心分離処理を行い、得られた沈渣をHBSS100μLに懸濁させ、その25μLについて顕微鏡観察を行い、脱嚢したオーシスト(破壊され、中身が失われたオーシスト)数、および、全オーシスト数を調べ、破壊率(全オーシスト中の脱嚢したオーシストの割合(%))を算出した。これら結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1により、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、クリプトスポリジウムのオーシストに対して高い破壊率が得られることが判る。
【0028】
<ジアルジアでの検討>
上記で用いたクリプトスポリジウムオーシストを8.5×104個/mLの濃度で含む試料の代わりに、予め精製されたジアルジアシスト1.0×105個/mLの濃度で含む試料を用い他はすべて同様にして、薬剤溶液添加3時間後のジアルジアシストの破壊率を調べた。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2より、本発明に係る原虫類の殺滅・消毒剤によれば、ジアルジアのシストに対して高い破壊率が得られること、そのとき、薬剤添加後3時間後以内と云う短時間で、さらに10mg/Lの低濃度での添加でも充分に高い効果が得られることが判る。
【0031】
【発明の効果】
本発明の原虫類の殺滅・消毒剤は、原虫類の殺滅・消毒剤に対して耐性を有することが知られているクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類のシストやオーシストに対して効果的に殺滅・消毒が可能であり、これらクリプトスポリジウム、ジアルジアなどの原虫類が存在する水系や、糞などに応用したとき、優れた効果が得られる原虫類の殺滅・消毒剤である。
Claims (2)
- ピリジニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする原虫類の殺滅・消毒剤。
- ピリジニウム塩化合物が、下記の化学式A、化学式B、化学式C、化学式D、化学式E及び化学式Fのいずれかの式で表される化合物から選ばれたものである、請求項1に記載の原虫類の殺滅・消毒剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002184239A JP2004026702A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 原虫類の殺滅・消毒剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002184239A JP2004026702A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 原虫類の殺滅・消毒剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006022069A (ja) * | 2004-07-09 | 2006-01-26 | Hiroki Koma | 原虫類の殺滅・消毒剤 |
JP2008179571A (ja) * | 2007-01-25 | 2008-08-07 | Aquas Corp | 微生物防除剤、及び、微生物防除方法 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184239A patent/JP2004026702A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006022069A (ja) * | 2004-07-09 | 2006-01-26 | Hiroki Koma | 原虫類の殺滅・消毒剤 |
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