JP2742409B2 - 多形相iのフィナステライド - Google Patents

多形相iのフィナステライド

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JP2742409B2 JP8259373A JP25937396A JP2742409B2 JP 2742409 B2 JP2742409 B2 JP 2742409B2 JP 8259373 A JP8259373 A JP 8259373A JP 25937396 A JP25937396 A JP 25937396A JP 2742409 B2 JP2742409 B2 JP 2742409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本出願人により商品名 PROSC
AR(登録商標)で市販されているフィナステライド(Fin
asteride) は、17β-(N-t-ブチルカルバモイル)-4-アザ
-5α- アンドロスト-1- エン-3- オンであり、ニキビ、
女性多毛症及び、特に良性の前立腺過形成の治療に使用
するための5α- レダクターゼ阻害剤である。本明細書
中、その全体が参照として含まれる米国特許第4,760,07
1 号(1988)を参照されたい。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】米国特
許第4,760,071 号に記載のフィナステライドの合成は、
4-アザ-5α- アンドロスト-1- エン-3- オンの17β-(2-
ピリジルチオ) カルボキシレートとt-ブチルアミンの
反応を包含する。フィナステライドの合成についてはさ
らに、本明細書中参照として含まれるSynthetic Commun
ications, 30(17), p.2683-2690(1990) に記載されてお
り、4-アザ-5α- アンドロスト-1- エン-3- オンの17-
アシルイミダゾールとt- ブチルアミンの反応を包含す
る。
【0003】しかしながら、これらの両方の反応は、い
ずれも高価で且つ環境安全及び毒性問題を起こす複素環
芳香族アミンを使用しなければならない。これらの中間
体の両方は、17β- カルボン酸から製造する。
【0004】F. Bodroux[Bull. Soc. Chim. France 3
3, 831(1905) ;35,519(1906) ;1, 912(19079 ;Comp
t. Rend. 138, 1427(1904);140 , 1108(1905);142 ,
401(1906) ]により記載のBodroux 反応は、アミンのハ
ロゲン化マグネシウム塩とエステルとの反応を開示して
いる。しかしながら、反応が立体障害アミン(例えば、
t- ブチルアミン)と、立体障害エステル(例えば、
)との反応に適用し得るような示唆または教示はな
い。
【0005】当業界では、環境的に安全で非毒で、且つ
芳香族複素環アミンを使用しないフィナステライドの合
成方法が望まれている。出発化合物は、上記複素環の中
間体を製造する際に工程を一段省略できる17- βエステ
ル()であるのが好ましい。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明により、フィナス
テライド
【0007】
【化3】
【0008】[式中、Rは、未置換または1個以上のフ
ェニルで置換されているC1 〜C10の直鎖、分枝または
環状アルキルである]の製造法であって、(1)不活性
雰囲気下、不活性有機溶媒中、エステルをハロゲン化
t- ブチルアミノマグネシウムと、ハロゲン化t- ブチ
ルアミノマグネシウム対エステルのモル比を少なくとも
約2:1で接触させ;(2)反応混合物を少なくとも10
℃に保持し;次いで(3)生成物フィナステライド
回収する段階を含む該化合物の製造法を提供する。
【0009】本発明により、フィナステライドの合成に
有用な中間化合物を提供する。さらに、フィナステライ
ドの特定の多形相の結晶形並びに多形相自体の分離及び
結晶化を含む合成法も提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者は、フィナステライド
)を良好な収率で製造するために、4-アザ-5α- ア
ンドロスト-1- エン-3- オン()の17β- カルボアル
コキシエステルを、ハロゲン化脂肪族/芳香族マグネシ
ウム試薬、例えば臭化エチルマグネシウムと一緒にt-
ブチルアミンと、ハロゲン化マグネシウム試薬とt- ブ
チルアミンをエステル()に対して少なくとも約2:
1のモル比で反応させ得ることを知見した。ハロゲン化
脂肪族/芳香族マグネシウムとt- ブチルアミンとの反
応により、ハロゲン化t- ブチルアミノマグネシウムが
生成する。ハロゲン化t-ブチルアミノマグネシウム1
モルを、エステルA- 環ラクタムの脱プロトン化に使用
し、これによりステロイドを可溶化させ、もう1モルは
アミド化反応に必要で、さらにもう1モルは、新しく形
成したアミドの脱プロトン化に使用し得る。あるいは、
エステル()は別個にグリニヤール試薬で脱プロトン
化し、次いでハロゲン化t- ブチルアミノマグネシウム
2モルと反応させてアミド化工程を受け得る。
【0011】または、ハロゲン化t- ブチルアミノマグ
ネシウムを同一若しくは別個の容器内で周囲温度でまず
前形成し、次いで4-アザ- ステロイドエステル(
と、ハロゲン化試薬:エステルのモル比を少なくとも
3: 1で接触させ、続いて好ましくは、例えば約 100℃
に加熱し得る。あるいは、ハロゲン化t- ブチルアミノ
マグネシウムを同一または別個の容器内でエステル
対するモル比2: 1で形成し、次いで脱プロトン化して
可溶化するために、予め同一または別のグリニヤール試
薬と接触させたエステルと1: 1のモル比で接触させ
得る。
【0012】本発明の特別な一態様に於いて、フィナス
テライドの製造法は、:
【0013】
【化4】
【0014】(1)エステルとハロゲン化脂肪族/芳香
族マグネシウムを反応させて所望でない対応するケトン
及びアルコール生成物を形成させずに、容器内で4-アザ
- ステロイドエステルと、t- ブチルアミン及びハロ
ゲン化脂肪族/芳香族マグネシウムを、エステルに対し
て少なくとも3: 1のモル比で不活性雰囲気下、不活性
有機溶媒中、温度−20℃〜10℃で、反応混合物を撹拌し
ながら接触させてハロゲン化t- ブチルマグネシウムを
in situ 製造し、(2)反応混合物を15℃〜 100℃に加
熱し、ハロゲン化t- ブチルアミノマグネシウムとエス
テルを反応させ;次いで(3)前記生成物フィナステラ
イド(但し、t- Bu は第3級ブチルを示す)を回収
する段階を含む。
【0015】4-アザ- ステロイドの中間体ハロゲン化
マグネシウムは、以下の式:
【0016】
【化5】
【0017】[式中、Rは、未置換または1個以上のフ
ェニルで置換されたC1 〜C10の直鎖、分枝または環状
アルキルである]を有する。
【0018】出発物質のエステル及びその合成法は、
米国特許第4,760,071 号に記載されている。化合物
製造するのに使用する化合物は、1,2-位で飽和している
公知のステロイドエステルであり、これを脱水素化剤
(例えば、無水ベンゼンセレン酸)と一緒に還流クロロ
ベンゼン中で脱水素化されている。
【0019】出発物質のエステルは、式中、Rが、アル
キル鎖が場合により1個以上のフェニルで置換されてい
るC1 〜C10の直鎖、分枝または環状アルキルである化
合物である。エステル部分としては、例えばメチル (M
e)、エチル (Et)、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキ
シル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソ-プ
ロピル(i-Pr)、イソ- ブチル(i-Bu)、t- ブチル(t-B
u)、sec-ブチル(s-Bu)、イソ- ペンチル、シクロヘキシ
ルなど及びベンジル、 -CH2 CH2 - フェニル、 -CH2 CH
2 CH2 - フェニルなどが挙げられる。特にRは、未置換
またはフェニルで一置換されている直鎖アルキル、より
好ましくはメチルである。長鎖アルキル基も同様に使用
し得るが、使用する必要はない。
【0020】t- ブチルアミン及びハロゲン化脂肪族/
芳香族マグネシウムは、()を確実に且つ完全に
)に転換し、不純物を最小とするために、エステル
)に対して少なくとも3:1のモル比、好ましくは
3.5:1〜5.5 :1で各々使用し、エステル()に対
するハロゲン化t- ブチルアミノマグネシウムのモル比
を3:1とする。反応は、ハロゲン化脂肪族/芳香族マ
グネシウムとt- ブチルアミンとの間の反応により形成
したハロゲン化t- ブチルアミノマグネシウム3モル
と、エステル()1モルとの反応として形式的にみな
し得る。あるいは、反応は、ハロゲン化t- ブチルマグ
ネシウム2モルがエステル()のハロゲン化マグネシ
ウム塩1モルと反応するものと考えても良い。
【0021】ハロゲン化脂肪族/芳香族マグネシウム
は、慣用のものであり、且つ(1)脂肪族/芳香族部分
は、C1 〜C18の直鎖、分枝または環状アルキルであ
り、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、n- ブチル、sec-ブチル、t- ブチル、ヘキシル、
シクロヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラ
デシル、オクタデシル、ベンジル、アリル、ビニル、エ
チニルなど;及び(2)芳香族部分は、フェニルである
か、または置換基がC1 〜C4 アルキル、C1 〜C4
ルコキシ、例えばメチル、メトキシ、フルオロを含み得
る、一、二若しくは三置換フェニルから選択され得る。
ハロゲン化物は、塩化物、臭化物、フッ素化物またはヨ
ウ化物であり、特に臭化物または塩化物であり、臭化物
が最も好ましい。臭化エチルマグネシウムが好ましい。
「ハロゲン化脂肪族/芳香族マグネシウム」という用語
は、ハロゲン化脂肪族マグネシウム及びハロゲン化芳香
族マグネシウムを包含する。
【0022】使用する不活性溶媒は、慣用のグリニヤー
ル溶媒であり、ジエチル- エーテル、ジ- t- ブチルエ
ーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどを含むC4 〜C8 の直鎖または環状エーテル
であってもよい。溶媒は、通常、不活性雰囲気(例え
ば、乾燥窒素)下、撹拌下で実施する反応条件下で無水
でなければならない。
【0023】反応は、(1)ハロゲン化t- ブチルアミ
ノマグネシウムを形成するためのt- ブチルアミンとハ
ロゲン化脂肪族/芳香族マグネシウムとの反応;及び
(2)エステルのハロゲン化マグネシウム塩を形成す
るための、エステルとハロゲン化t- ブチルアミノマ
グネシウム(またはグリニヤール試薬)との反応の間、
最初、生成物が形成するのに十分な温度で実施し、例え
ば、約−40℃〜40℃、特に低い温度、例えば約−20℃〜
10℃で実施し得る。
【0024】続いて、反応混合物を撹拌し、アミド化を
進行させるのに十分な温度に保持する。反応は通常、例
えば、約10℃〜室温に温め、さらに約100 ℃または溶媒
の沸点まで加熱し得る。通常、加熱時間は、2〜12時間
である。
【0025】あるいは、ハロゲン化t- ブチルアミノマ
グネシウムは、例えば周囲温度で前形成し、次いで周囲
温度で4-アザ- エステルステロイド()と反応させ得
る。
【0026】粗なフィナステライドの後処理は慣用であ
り、本方法を実施するために使用する装置も同様であ
る。通常、シリカゲル上のクロマトグラフィー及び/ま
たは好適な溶媒(例えば、塩化メチレン/酢酸エチルま
たは酢酸/水)からの結晶化により、フィナステライド
を精製し得る。
【0027】エステル、t- ブチルアミン及びハロゲン
化脂肪族/芳香族マグネシウムの添加順は、良い結果が
得られるのであれば、所望により変更及び逆転し得る。
特に、t- ブチルアミンは、エステルと接触前に、ハ
ロゲン化t- ブチルアミノマグネシウムを前形成させる
ためにハロゲン化脂肪族/芳香族マグネシウムと最初に
反応させ得る。
【0028】
【実施例】以下の実施例は、本明細書中に請求された方
法を説明するものであり、記載の本発明の範囲及び趣旨
を変更または限定しない。
【0029】実施例1
【0030】
【化6】
【0031】オーバーヘッドスターラー、窒素注入口及
び還流コンデンサーを備えたフラスコに、乾燥THF(840m
l)及び△1 - メチルエステル(1)(20.0g)を入れ
た。得られたスラリーを−5℃〜−10℃に冷却し、t-
ブチルアミン(27.6mL)を添加した。THF 中の臭化エチル
マグネシウム溶液(122mL,2M) を、反応混合物の温度を
10℃以下に保持しながら添加した。反応を還流下12時間
加熱し、水中の25%塩化アンモニウムの冷(10℃)溶液
に添加した。混合物を25℃に温め、沈降させた。THF 溶
液を分離し、常圧蒸留して200mL に濃縮し、希塩酸水溶
液を約600mL 添加して生成物を結晶化させた。得られた
白色固体を濾別し、真空下70℃で乾燥させると、フィナ
ステライド(21.7g ,収率97%)が得られた。生成物フ
ィナステライドを慣用方法、例えば塩化メチレン/酢酸
エチルまたは酢酸/水から再結晶させて精製した。融点
261 ℃。
【0032】実施例2 オーバーヘッドスターラー、窒素注入口及び還流コンデ
ンサーを備えたフラスコに、乾燥THF(516mL)及びt- ブ
チルアミン(27.6mL)を添加した。溶液を10℃に冷却し、
THF 中の1M臭化エチルマグネシウム(244mL) を反応温度
を30℃以下に保持しながら添加した。乾燥THF(100mL)中
の△1 - メチルエステル(10.0g) を含むスラリーを添
加した。反応混合物を還流下4〜6時間加熱し、水中の
25%塩化アンモニウムの冷(10℃)溶液に添加した。混
合物を25℃に温め、沈降させた。THF 溶液を分離し、常
圧蒸留で200mL まで濃縮し、生成物を希塩酸(200mL) を
添加して結晶化させた。得られた白色固体を濾別し、真
空下70℃で乾燥すると、フィナステライド(21.6g,収
率97%)が得られた。
【0033】多形(polymorphism)とは、同一化学物質が
異なる結晶構造で存在し得る能力として定義し得る。異
なる構造は、多形相(polymorphs)、多形変形(polymorp
hicmodification)または多形相(polymorphic form)
と呼称される。フィナステライドは、少なくとも2種類
の多形相の非溶媒和形、多形相I及び多形相IIで存在す
ることがここに知見され、その各々は、結晶化条件を注
意深く制御することにより形成し得る。
【0034】多形相Iは、(1)混合物中の水と有機溶
媒の量が、フィナステライドがその非溶媒和形(多形相
I)の溶解度を超え、次いでフィナステライドの非溶媒
和形が混合物中のフィナステライドの他のどの形よりも
溶解しにくくなるのに十分であるようにして、有機溶媒
と水0%以上中でフィナステライドの混合物から結晶化
させ;(2)得られた固相を回収し;次いで(3)固相
から溶媒を除去することにより製造し得る。
【0035】この方法で有用な有機溶媒としては、フィ
ナステライドが溶解し得る任意の溶媒を包含する。有機
溶媒の数例としては、テトラヒドロフラン(THF) 、有機
酸、酢酸エチル(EtOAc) 、トルエン、イソ- プロピルア
セテートなどが挙げられる。さらに、有機溶媒は、水と
混和し得るものとして当業界で公知のものを使用し得
る。本明細書中で使用する「水と混和し得る」溶媒と
は、当該多形相を結晶化するのに十分な条件下で水と二
相系を形成しない溶媒を包含する。例えば、水と混和し
得る溶媒としては、THF 及び有機酸(例えば、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸など)が挙げられるがこれに限定され
ない。また、有機溶媒は、水と混和しないものとして当
業界で公知のものであってもよい。本明細書中で使用す
る「水と混和しない」溶媒とは、当該多形相が結晶化す
るのに十分な条件下で水と二相系を形成する溶媒を包含
する。水と混和しない溶媒としては、例えば、トルエ
ン、酢酸エチル、イソ- プロピルアセテートなどが挙げ
られるがこれに限定されない。
【0036】水と混和し得る溶媒を上記の方法で使用す
る場合、フィナステライドの多形相Iは、比較的湿潤な
溶媒混合物を使用して製造し得る。例えば、氷酢酸を使
用する場合、多形相Iを得るために約25℃の周囲温度で
水約83%以上を使用し得る。
【0037】通常水と混和しないと考えられる有機溶
媒、例えばトルエン、酢酸エチル、イソ- プロピルアセ
テートなどを使用する場合、多形相Iを製造するための
上記方法は比較的乾燥した溶媒中で実施する。例えば、
各々約25℃の周囲温度で、フィナステライドの多形相I
を酢酸エチル/水混合物から製造するためには、使用す
る水の量は最高約3.5mg/mlであり、イソ- プロピルアセ
テート/水混合物から製造するには、使用する水の量は
最高約1.6mg/mlである。
【0038】上記方法の結晶化の例は、周囲温度で実施
する。当業者には公知のごとく、任意の所与の有機溶媒
混合物中で多形相Iを生成するのに必要な水の量は、温
度の変化により溶質の溶解度が変化するため、温度によ
って変動する。例えば、多形相Iを生成するためにイソ
- プロピルアセテートを使用する場合、以下の量の水を
表示温度で存在させ得る。
【0039】温度 水の量 1.4 ℃ 0.8mg/ml以下 6 ℃ 0.9mg/ml以下 12 ℃ 1.0mg/ml以下 18 ℃ 1.3mg/ml以下 多形相Iは、多形相IIを完全に多形相Iに転換させるの
に十分な時間、水または有機溶媒中、少なくとも約25℃
でフィナステライドの多形相IIを加熱し、次いで得られ
た固相を、例えば濾過によって回収することによっても
製造し得る。
【0040】多形相IIは、(1)混合物中の有機溶媒と
水の量が、フィナステライドがその溶媒和形の溶解度を
超え、次いでフィナステライドの溶媒和形が混合物中の
フィナステライドの他のどの形よりも溶解しにくくなる
ようにして、有機溶媒と水中でフィナステライドの混合
物から結晶化し;(2)得られた固相を回収し;次いで
(3)固相から溶媒を回収するすることにより製造し得
る。
【0041】この方法で有用な有機溶媒は、前記の通り
であるが、同様に、水と混和性及び水と非混和性溶媒を
包含する。しかしながら、水と混和性溶媒から多形相II
を製造する場合、溶媒混合物中で使用する水の重量%
は、同じ水と混和性溶媒から多形相Iを製造するのに使
用した量よりも少ない。例えば、氷酢酸/水混合物中か
らフィナステライドの多形相IIを製造する場合には、溶
媒混合物中の水の重量%は、約25℃の周囲温度で約83%
未満である。
【0042】さらに、水と非混和性の溶媒(例えば、酢
酸エチルまたはイソプロピルアセテート)を多形相IIの
製造に使用する場合、溶媒混合物中で使用する水の量
は、同一有機溶媒から多形相Iを製造するのに使用する
よりも多い。例えば、各々約25℃の周囲温度で、酢酸エ
チル/水混合物からフィナステライドの多形相IIを製造
する場合には、使用する水量は約3.5mg/ml以上であり、
イソプロピルアセテート/水混合物から製造する場合、
使用する水量は約1.6mg/ml以上である。上記の如く、当
業者は、温度変化が任意の所与の溶媒混合物から多形相
IIを製造するのに必要な水量に影響し得ることを熟知し
ている。
【0043】多形相IIは、多形相IからIIに完全に転換
するのに十分な時間、少なくとも約150 ℃で、例えば少
なくとも1時間、フィナステライドの多形相Iを加熱
し、次いで得られた固相を回収することによっても製造
し得る。
【0044】以下の実施例は、フィナステライド(Pros
car :登録商標, MK906)の多形相I及びIIを得るため
の方法及びその物性値を説明する。以下の実施例は、本
発明の化合物の製造法の詳細を記載する。本実施例は、
本発明の範囲を限定するものではなく、そのように解釈
されるべきではない。
【0045】実施例3 フィナステライド多形相Iは、氷酢酸にフィナステライ
ドを溶解させ(約100mg/ml)、次いで水の重量%が84%
以上になるまで撹拌しながら水を添加することにより製
造し得る。得られた固相を濾過して収集し、真空下、約
50℃で乾燥する。得られた多形相Iは、閉鎖カップ中、
20℃/分で加熱時に、約11ジュール/gmの会合熱を伴う
外挿した開始温度約 223℃とピーク温度約 232℃の弱い
吸熱及び、約89ジュール/gmの会合熱を伴う外挿した開
始温度約 258℃とピーク温度約261 ℃の主な融解吸熱と
を示す、示差走査熱量計(DSC )曲線により特徴付けら
れる。X線粉末回折パターンは、d- 間隔6.44、5.69、
5.36、4.89、4.55、4.31、3.85、3.59及び3.14により特
徴付けられる。FT-IR スペクトル(KBr 中)から、343
1、3237、1692、1666、1602及び 688cm-1に帯が知見さ
れた。水及びシクロヘキサン中の溶解度は、25℃で各々
0.05+0.02及び0.27+0.05mg/gmであった。
【0046】さらに、フィナステライドの多形相Iは、
周囲温度(〜25℃)で乾燥酢酸エチル及びイソプロピル
アセテート(H2 O <1mg/ml)から再結晶することにより
製造し得る。単離した固体を約50℃で真空下乾燥した。
この固体は、上記と同じ物性値を有した。
【0047】さらに、多形相Iは、周囲温度で乾燥トル
エン中、多形相IIを一晩撹拌し、次いで得られた固相を
回収することにより製造した。多形相Iは、周囲温度で
乾燥アセトニトリル中、多形相IIを一晩撹拌し、次いで
得られた固相を回収することによっても製造できる。
【0048】実施例4 フィナステライドの多形相IIは、氷酢酸中にフィナステ
ライドを溶解させ(約100mg/ml)、次いで水の重量%が
約75%に等しいが、80%を超えなくなるまで撹拌しなが
ら水を添加することにより製造し得る。得られた固相を
濾過により収集し、約100 ℃で真空下乾燥した。得られ
た多形相IIを、閉鎖カップ中、20℃/分で加熱時、約89
ジュール/gmの会合熱を伴う外挿した開始温度約 258℃
及びピーク温度約 261℃の単一の融解吸熱を示すDSC 曲
線により特徴付けた。X線粉末回折パターンは、d間隔
14.09、 10.36、7.92、7.18、6.40、5.93、5.66、5.3
1、4.68、3.90、3.60及び3.25により特徴付けられる。F
T-IR スペクトル(KBr中) から、3441、3215、1678、165
4、1597、1476及び 752cm-1に帯を示した。25℃に於け
る水及びシクロヘキサン中の溶解度は、各々0.16+0.02
及び0.42+0.05mg/gmである。
【0049】さらに、フィナステライドの多形相IIは、
各々周囲温度(〜25℃)で水約3.5〜30mg/ml を含む酢
酸エチルから、または水約 1.6〜15mg/ml を含むイソプ
ロピルアセテートから再結晶することにより製造し得
る。単離した固体を約80℃で真空下乾燥した。この固体
は、上記と同一物性値を有していた。
【0050】多形相IIは、多形相Iを約 150℃に加熱
し、約1時間保持し、次いで室温に冷却することによっ
ても製造し得る。この方法で製造した多形相IIは、上記
と同一物性値を有していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジエイムズ・エイ・マコーリー アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 08502、ベル・ミード、リバー・ビユ ー・テラス・54 (72)発明者 リチヤード・ジエイ・バーソローナ アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07076、スコツチ・プレインズ、インバ ーネス・ドライブ・1973

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造: 【化1】 の17β-(N-t-ブチルカルバモイル)-4-アザ-5α- アンド
    ロスト-1- エン-3- オンであって、(1)混合物中の有
    機溶媒と水の量が、フィナステライドがその非溶媒和形
    の溶解度を超え、次いでフィナステライドの非溶媒和形
    が混合物中のフィナステライドの他のどの形よりも溶解
    しにくくなるのに十分であるようにして、有機溶媒と0
    重量%以上の水中でフィナステライドの混合物から結晶
    化させ;(2)得られた固相を回収し;次いで(3)固
    相から溶媒を除去することにより製造した多形相Iで存
    在する該化合物。
  2. 【請求項2】 有機溶媒が氷酢酸であり、溶媒混合物中
    の水の重量%が少なくとも約83%であることを特徴とす
    る請求項1に記載の方法による生成物。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が酢酸エチルであり、溶媒混合
    物中の水の量が最高約3.5mg/mlであることを特徴とする
    請求項1に記載の方法による生成物。
  4. 【請求項4】 有機溶媒がイソプロピルアセテートであ
    り、溶媒混合物中の水の量が最高約1.6mg/mlであること
    を特徴とする請求項1に記載の方法による生成物。
  5. 【請求項5】 構造: 【化2】 の17β-(N-t-ブチルカルバモイル)-4-アザ-5α- アンド
    ロスト-1- エン-3- オンであって、有機溶媒または水中
    のフィナステライドの多形相IIを少なくとも温度約25℃
    に加熱し、次いで得られた固相を回収する方法により製
    造した、多形相Iで存在する該化合物。
  6. 【請求項6】 溶媒が水、トルエン及びアセトニトリル
    から選択されることを特徴とする請求項5に記載の生成
    物。
  7. 【請求項7】 粉末X線回折スペクトル間隔d6.44、5.
    69、5.36、4.89、4.55、4.31、3.85、3.59及び3.14から
    得られた特徴的な吸収帯;約11ジュール/gmの会合熱を
    伴う、外挿した開始温度約 223℃とピーク温度約 232℃
    の弱い吸熱及び、約89ジュール/gmの会合熱を伴う、外
    挿した開始温度約258 ℃とピーク温度約 261℃の主な融
    解吸熱を示す、加熱速度20℃/分の示差走査熱量計曲
    線;3431、3237、1692、1666、1602及び 688cm-1に帯を
    示す FT-IR(KBr 中)スペクトル;及び25℃に於ける水
    及びシクロヘキサン中の溶解度が各々0.05+0.02及び0.
    27+0.05mg/gm であることを特徴とする多形相Iの17β
    -(N-t-ブチルカルバモイル)-4-アザ-5α- アンドロスト
    -1- エン-3- オン。
  8. 【請求項8】 (1)混合物中の有機溶媒と水の量が、
    フィナステライドがその非溶媒和形の溶解度を超え、次
    いでフィナステライドの非溶媒和形が混合物中のフィナ
    ステライドの他のどの形よりも溶解しにくくなるのに十
    分であるようにして、有機溶媒と水0重量%以上中でフ
    ィナステライドの混合物から結晶化させ;(2)得られ
    た固相を回収し;次いで(3)固相から溶媒を除去する
    段階を含む、実質的に純粋形の多形相Iの17β-(N-t-ブ
    チルカルバモイル)-4-アザ-5α- アンドロスト-1- エン
    -3- オンの製造法。
  9. 【請求項9】 有機溶媒が氷酢酸であり、溶媒混合物中
    の水の重量%は少なくとも約83%であることを特徴とす
    る請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 有機溶媒が酢酸エチルであり、溶媒混
    合物中の水の量が最高約3.5mg/mlであることを特徴とす
    る請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 有機溶媒がイソプロピルアセテートで
    あり、溶媒混合物中の水の量は最高約1.6mg/mlであるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の方法。
  12. 【請求項12】 フィナステライドの多形相IIを水また
    は有機溶媒中、少なくとも約25℃に加熱し、次いで得ら
    れた固相を回収することを含む、実質的に純粋形の17β
    -(N-t-ブチルカルバモイル)-4-アザ-5α- アンドロスト
    -1- エン-3-オンの多形相Iの製造方法。
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